※この作品はR-18です。

5P erosuna4   作:夜叉五郎

19 / 21
菜々子回ですが非ナナコンなのでわりとどうでもいい回です。
エロほとんど無しです。


第18章 正義

<VELVET ROOM 2011年10月8日SAT 雨 --:-->

 

「さて主、さっそく試してみましょう」

 

白黒のバーテンダー姿のマーガレットが筒のようなものを取り出し、マーラ様にセットする。

 

「これは私の膣をモチーフとした新式のオナホ。それっ」

 

筒の中はヌルヌルな構造で、マーガレットがスイッチを入れると自動で顫動が開始される。

 

「次々に種を吐き出していくあなたのマーラ様。とても美しいわ。うふふっ」

 

筒の先端には穴があり、マーガレットの持つカクテルグラスにペルソナ液がぴゅっぴゅっと強制搾取されていく。

 

「私の膣に入り込めるのはこのマーラ様だけ」

 

顫動を続ける筒とカクテルグラスを支えながら、うっとりと溜まっていくペルソナ液を見つめるマーガレット。

 

「マーガレット畑に蒔かれる鳴上悠印の種。果たしてその品質は」

 

カクテルグラス一杯にペルソナ液が溜まり、マーガレットが電動オナホのスイッチを切る。

 

「いやだ。指にかかってしまったわ。ちゅるっ。ずずず」

 

溢れて指を伝ったペルソナ液を口で余さず吸った後、頬を染めて優雅にグラスに口を付け、杯を傾けていく。

 

「んっんっんっ。主は今、男としての受精力を試されているの。くちゅくちゅ」

 

いつの間にか鳴上悠専門のペルソナ液ソムリエの資格を取得していたマーガレットのテイスティング。

 

「んっ。おめでとうございます。合格ですわ」

 

杯が全て飲み干されてテイスティングが終了し、晴れて鳴上悠の種はマーガレットの卵への受精資格を得た。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月8日SAT 雨 19:30>

 

「んっモゴモゴ。ごっくん。次は千枝の番ね」

 

りせとのキスを解いた雪子。

りせに口移されたペルソナ液をコクリと嚥下した後、千枝と場所を変わる。

 

「うん、ありがとう雪子。んじゃりせちゃん、あたしにもちょっとちょーだい。んん」

 

千枝が次にりせとキス。

千枝もりせの口に溜まっている白濁したペルソナ液を吸い取り始める。

 

「ほら、直斗くんも」

 

雪子が直斗を押す。

 

「す、すみません」

 

「うふっ。朝と夜の一発目は皆で飲み回して頂くって約束したの、すっかり癖になっちゃったね」

 

うっとりと唇に手を当てる雪子。

色っぽい仕草だ。

 

「ぷはっ、おいしいー」

 

りせとのレズキスを俺に見せつけていた千枝がキスを解く。

二人の唇の間に銀色の唾液の糸が伸びる。

これまたとてもいやらしい光景だった。

 

「直斗くんも新鮮なうちにね」

 

「い、頂きます」

 

「んんー」

 

雪子に背を押された直斗が恐る恐るりせに唇を近づけていく。

相変わらずまだ慣れていない。

りせの方はわざと直斗からのキスを待っている。

 

「んんっ」

 

「んちゅ」

 

りせの口内に貯められた俺のペルソナ液がトロトロと直斗の口に流し込まれていくのがわかる。

直斗は真っ赤な顔をして口の中に溜まって行くペルソナ液を味わっていた。

 

先ほどりせの口に一発出したばかりだというのに、俺のマーラ様はまた臨戦態勢に移行し始める。

 

「ふふふっ。ご主人様、元気ー」

 

「固くなってきたっ。えへへ」

 

雪子が玉をコロコロと転がし、千枝が竿を優しく撫で摩る。

俺の股間に仲良く手を伸ばしている二人。

その瞳はこれからの始まる暴淫への期待で金色に蕩けていた。

 

さて今日は誰から抱こうかな。

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月8日SAT 雨 21:00>

 

「あああーーんっ」

 

ぶるんと乳房を揺らしてガクリと直斗が崩れ落ちる。

セックスも二周り目に突入。

次はりせの番だ。

 

「悠せんぱーい。次は後ろから犯して」

 

りせが腰を高く上げて俺を誘ってくる。

 

「ああ、どっちの穴にするんだ?」

 

「こっちぃ」

 

尻タブを自らの手で割開いて後ろ穴を曝してくるりせ。

よし、じゃあ次の一周はアナルでいこう!

 

<トゥルルルル>

 

アナルセックス用のローションを取り出してる最中にスマホが鳴る。

叔父さんからだった。

いいところだったのに・・・。

 

「ちょっとごめん。はい悠です」

 

<すまん悠!千里の陣痛が始まったみたいでな。間の悪いことについさっき轢き逃げ事件が発生して手が離せん。すまんがお前が千里に付き添ってやってくれんか!?>

 

「わかりました!すぐ行きます」

 

これは緊急事態だ!

セックスにかまけてる場合じゃない。

 

「ごめん皆。千里さん、産気づいてるらしい。今から出ないと。今日は恐らく帰れない」

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月9日SUN 曇 6:00>

 

千里さんに付き添って病院で夜を越す。

朝方、無事出産。

 

叔父さんはギリギリ間に合った。

二人で産声を聞く。

 

堂島家に待望の長男が誕生した瞬間である。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月9日SUN 曇 8:00>

 

徹夜明けでぼーっとしながら家路につく。

天城屋旅館でのバイトの時間まで少し仮眠を取るつもりだった。

 

鮫川の河川敷を歩いていると前方から八十神高校の男子生徒が向かってくる。

吹奏楽部だろうか。

大きな楽器ケースを担いでいる。

休日練習のため学校に向かっているようだ。

 

あ、危ないな。

その男子生徒、イヤホンで音楽を聞いているようで周囲に気を配っていないのが見て取れる。

よぼよぼのお爺さんの乗った自転車がヨタヨタと危なげな動きで彼の背後に迫っていた。

全く気が付いていない様子。

 

「おいっ!志村ーっ後ろーっ!!」

 

大声を上げて手を振り、背後への注意を喚起してやる。

いや、別にそいつが志村って名前ってわけではないのだが。

まあお約束だろう。

 

老人が突っ込んでいく。

 

「あわわわわわ」

 

<キキーッ、ガシャン>

 

ギリギリでその男子生徒は背後に迫っていた自転車に気付いてくれた。

咄嗟のところで自転車の横転に巻き込まれるのを避けるのに成功する。

 

「お爺さん、大丈夫ですか!?」

 

駆け寄り、倒れた老人を助け起こす。

 

「大丈夫じゃ大丈夫じゃ、若いもんにはまだまだ負けんぞい!」

 

幸いなことに怪我はないようだ。

 

「わりっ」

 

イヤホンを外してこちらに礼をしてくる生徒。

 

「いや、大きな事故にならなくて良かった」

 

その生徒、俺と同じ2年で飯田という名前らしい。

二人で老人を家まで送り届けてあげる。

 

道中、飯田君がトロンボーンを吹いていることを聞く。

別れ際に文化祭でコンサートがあるので是非聞きにきてくれと頼まれた。

 

そうか。

もう少しで文化祭か。

うちのクラスの出し物とかそろそろ決めないとな。

何か面白そうなことが出来ればいいが。

 

よしバイトが終わったらいろいろ考えてみよう。

 

 

 

<SYSOP 2011年10月9日SUN 曇 --:-->

 

鳴上悠の機転により八十神高校吹奏楽部員の飯田は怪我をしませんでした。

松永綾音に文化祭の吹奏楽部コンサートでのトロンボーン担当は回ってきません。

 

鳴上悠は文化祭で"ちょっとエッチなメイド喫茶"を出店するために動き出します。

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月11日TUE 晴 7:00>

 

朝の食卓。

 

「えへへー。どこを舐めて欲しいの悠先輩ー。ぺろぺろ」

 

「はぁはぁ。遠慮せずに言って下さい先輩っ。れろれろ」

 

「ううっ。もっと亀頭の先端を。くぅっ、そうだっそれでいい」

 

寝起きに一発クワトロフェラで抜いてもらっていたのだが・・・。

居間でもう一度りせと直斗の下級生コンビに抜いて貰っていた。

朝食準備中の千枝と雪子の裸エプロン姿についつい勃起してしまい、それを見られてしまったからである。

 

「もうっ。後少しで出来上がるから抜くなら早くしてよね」

 

千枝がテーブルの上を片付けながら、ちらちらと二人のフェラの様子を伺いつつ文句を言ってくる。

どうやらフェラに混ざりたくて仕方がないようだ。

 

「あっ、千枝、なんか落ちたよ。これ写真?赤ちゃんと千里さんだわ。可愛いー」

 

朝食を運んで来た雪子がテーブルの下に落ちた写真を拾って手に取り、歓声を上げる。

 

「えー、どれどれ。ほんとだ。可愛いー。千里さんも奇麗」

 

千枝も写真を覗き込んで目をキラキラさせている。

 

その写真。

千里さんが産まれた男の子を初めてだっこしているシーンのものだった。

 

「ああそれ、くぅ、堂島さんに頼まれて、ううっ、現像した写真だ。んんん、後で届けないと」

 

ペロペロレロレロと一心不乱にマーラ様を舐めてくるりせと直斗の舌の動きに耐えつつ、写真の説明をする。

 

「こんな幸せそうな写真見ると、あたしも赤ちゃん欲しくなっちゃうなー」

 

「うん、そうだね。今すぐ欲しいよね。産みたいよね」

 

なんか千枝と雪子、不穏な会話を交わしているぞ。

二人のアイコンタクト。

そしておもむろに後ろを向いて裸の背中と尻をさらし、俺を誘惑し始めた。

 

「ねぇ悠~、子作りしょ~よ~。インモラルなファイトしよ~」

 

「ご主人様の種、ここに注いでほしいな~。絶対に許すから~」

 

「くうっ」

 

<どぴゅどぴゅ>

 

「「ああんっ」」

 

千枝と雪子のあまりの淫らさに耐えきれず射精。

りせと直斗の顔をペルソナ液でドロドロにしてしまう。

当然一発抜いただけでは納まりきらず、裸エプロンで受精したがってる二人に襲い掛かってしまう。

 

とっさのところでゴムを取り出せたのはまさに奇跡だった。

ふーぅ危ない危ない。

 

・・・学校は遅刻しそうになったけどな!

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月11日TUE 晴 16:00>

 

テーブルに肘をついて千枝が深いため息をつく。

 

「ふー、神様は何でテストなんかお造りになったのでしょうか」

 

「もう千枝ったら。いいからさっさと始めましょ」

 

雪子が千枝のだらしなさに呆れている。

三日後には中間試験が始まる。

皆で俺のマンションに集まっての試験勉強の開始である。

つまり今日からお泊まり+セックスは禁止となる。

 

「悠、あたしソーダ飲みたい」

 

「自分で取って来いよ」

 

千枝はどうにもやる気が出ないようだ。

冷蔵庫の中にある飲み物を取りに行く気力さえも湧かない様子。

耳元に唇を寄せ、卑猥な声で囁いてきた。

 

「おねがーい。後で雪子の直伝のパイズリしてあげるからさー」

 

「・・・ちょっとそそられるけど、それって雪子に直接やってもらった方がよくないか?雪子の方が胸も大きいし」

 

「ばれたか。じゃあフェラも追加しちゃう!」

 

ちろりと舌を出してレロレロとエアフェラしてみせる千枝。

 

「先輩たち!菜々子ちゃんもいるんですからそういうことは・・・」

 

「そうよー。今夜からH禁止って皆で決めたじゃん!」

 

直斗とりせが非難の声を上げる。

 

そうだ。

この場は俺たちだけじゃない。

菜々子ちゃんもいるのだ。

 

千里さんはまだ産院に入院中。

叔父さんはこの前の轢き逃げ事件の犯人がまだ捕まっておらず、今日は帰れないらしい。

職場と産院の往復で精一杯で、菜々子ちゃんの面倒を見ている時間が取れないそうだ。

そのため今日明日は俺のマンションに菜々子ちゃんを預かることになっていた。

 

「???」

 

「えへへー、菜々子ちゃん何でもないからねー」

 

幸いなことに菜々子ちゃんには少し早過ぎたようだ。

苦笑いしてごまかす千枝。

 

「お兄ちゃんたち、頑張ってね。テストで一番になったら菜々子がプレゼントあげるね」

 

「楽しみにしてる」

 

純粋な菜々子ちゃんの笑顔が眩しい。

 

「よし、皆がんばろ!菜々子ちゃんは宿題頑張りましょ」

 

「うん!」

 

りせの号令に菜々子ちゃんは嬉しげに応える。

やっぱり一人で家にいるよりも賑やかな方がいいらしい。

 

「はーああー、こういうときばっかりは小学生の菜々子ちゃんが羨ましいよー」

 

「嘆いてないで、まずは余弦定理のところから始めよ」

 

再びの千枝のため息に雪子がつっこむ。

 

基本的に勉強の出来る雪子が千枝の、直斗がりせの面倒を見るスタンスだ。

俺は菜々子ちゃんの宿題と、雪子と直斗の手に余る部分を見てあげることにしていた。

 

平行して夕飯の準備も進める。

今日は菜々子ちゃんもいるのだ。

いつもより料理の腕のふるい甲斐があった。

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月11日TUE 晴 20:30>

 

夕飯はコロッケにした。

さくさくコロッケで皆から好評だった。

りせは大層気に入った様子。

料理人冥利に尽きる。

 

そして特別に辛いコロッケも用意してあげた。

一口食べた菜々子ちゃんが大喜びする。

味もヘッタクレもない辛味重視の赤いコロッケで、料理人冥利なんて全然無い一品だったのだが。

まぁ菜々子ちゃんがそれで喜ぶのなら仕方ない。

 

だが皆が引き上げて床に就く直前、菜々子ちゃんの体調に異変が訪れる。

叔父さんから電話があり応対している最中、菜々子ちゃんがお腹の痛みを訴えてきたのだ。

 

「なんかお腹痛い。チクチクする」

 

「菜々子ちゃん!?」

 

まさか俺が作った激辛コロッケが原因か!?

くっ、病院に連れて行かないと!

 

「すみません叔父さん。菜々子ちゃんがお腹が痛いと。今から病院に連れて行きます!」

 

<なんだって!?救急車!いや前にもあったな。すまん悠!菜々子と代わってくれ>

 

スマホの通話をスピーカーモードにする。

 

「はい、ほら菜々子ちゃん、お父さんだ」

 

「お父さん、お腹の下の方、痛い」

 

<菜々子!どんな痛みだ?前のときと同じか?お前また辛いもの食っただろ!>

 

「・・・ごめんなさい」

 

<まいったな。あのときの薬は確か・・・。なんだ足立!こんなときに!何ぃ!?市原さんからの封書じゃねぇか!忘れてただぁ?ふざけやがって!>

 

スピーカー越しに叔父さんの怒鳴り声が聞こえてくる。

 

「・・・お父さん」

 

<すまん、今は帰れない。悠、家の救急箱の中に薬があるはずだ。頼む!>

 

ええー、それって親としてどうなん?

いくら警察の仕事は大事とはいえ、菜々子ちゃんは自分の娘だろ。

 

って、今はそれどころじゃない!

堂島邸に薬を取りに行かないと!

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月11日TUE 晴 21:30>

 

家が一番近いりせを電話で呼び戻す。

りせに菜々子ちゃんの様子を見てもらっている間に堂島邸から薬を回収。

急いで菜々子ちゃんに薬を飲ませた。

 

「大丈夫?菜々子ちゃん」

 

「うん。ありがとう、りせちゃん」

 

大分落ち着いたようだ。

しかし夜中に痛みがぶり返してきそうで怖い。

 

さすがに俺が添い寝をするわけにはいかないので、りせには今夜泊まってもらうことにしていた。

 

「すまないな、急に」

 

「平気平気。いつものことじゃん。今のうちにお風呂頂いちゃうね」

 

りせがシャワーを浴びている間、菜々子と二人でテレビを見る。

ペンギンの親子が主人公のアニメが放送されていた。

 

「ねぇお兄ちゃん。お父さんは菜々子の本当のお父さんなの?」

 

親子で抱き合うペンギンたちを眺めながら菜々子ちゃんがぽつりと疑問を発する。

 

「もしかしたら菜々子、お父さんの本当の子供じゃないのかな」

 

これは厨二病発症の兆し!?

全ての厨二病は親を疑うことから始まると言っても過言ではない!

 

「ど、どうしてかな?」

 

「だってお父さんは菜々子より悪い人と弟の方が大事なんでしょ。今日も来てくれないし」

 

確かにあれは無いよなー。

尊敬出来る大人の親の態度じゃない。

 

ん?

 

「これは・・・」

 

テーブルに紙が一枚置かれている。

 

「あ、それ菜々子の」

 

手に取ってみると授業参観の希望日アンケートと書いてある。

夕方に菜々子ちゃんがランドセルから宿題を取り出したときに一緒にテーブルの上に出してしまったものらしい。

 

「今日ね。学校で配られた。お家の人に渡しなさいって。いつ来れるか書いてもらいなさいって。でもお父さんお仕事あるからきっと来れないよね。お母さんも・・・」

 

「わかった。明日俺から叔父さんに聞いてみるよ。千里さんから着替え届けて欲しいってお願いされてるから。そのときに」

 

「本当!?」

 

「ああ」

 

菜々子ちゃんの顔がパーっと輝く。

この笑顔、守りたい。

 

しかしなー。

叔父さんのあの様子だと説得するのは骨が折れそうだ。

腹くくって挑まないとな。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月12日WED 曇/雨 16:00>

 

放課後、菜々子ちゃんの面倒は雪子たちに任せて警察署に足を運ぶ。

千里さんに頼まれて叔父さんの着替えを持って行くためだ。

ついでに菜々子ちゃんの授業参観のアンケート用紙を持っていくことにする。

 

受付に場所を教えてもらい、叔父さんのデスクに赴くと足立さんがいた。

何かの資料を手に持っている。

 

「足立さん、こんにちわ」

 

「あれ悠君、どったの?」

 

「叔父さんはいますか?」

 

「ああ、堂島さんならトイレだよー。すぐ戻るんじゃないかな。そこで待ってて」

 

資料が山積みにになっているデスクを指差される。

あそこが叔父さんの席か。

 

「失礼しまーす」

 

うわっタバコの吸い殻多過ぎ!

 

「はぁー、でも堂島さんってさー。ほんとよくやるよねー。家でもあんな感じなのかなー」

 

「え?どういうことです?」

 

「連続殺人のホシが納得いかないって一人で調べてるんだよ。その上今度の轢き逃げ事件でしょー。いくら初動捜査の今が一番大事なときだっていっても、奥さん出産されたばかりなんだからさー。休めばいいのに。あ、おっと仕事仕事っと」

 

足立さんが愚痴を切り上げて足早に去って行く。

どうやら叔父さんが戻って来たらしい。

 

「おう、悠か」

 

「千里さんから頼まれていた着替えとかです」

 

「悪いな、わざわざ」

 

叔父さん、大分疲れているようだ。

 

「それとこれは菜々子ちゃんから」

 

「なんだ?」

 

「授業参観のアンケートだそうです。希望日を書いておいて欲しいって」

 

「・・・ああ、いつでもいい。後で書いておくから」

 

ちらっと眺めて内ポケットにアンケートを納める叔父さん。

上手く取り繕っているがおざなりな回答は明らかだった。

大人の欺瞞を強く感じる。

 

「今日も帰れないんですか?」

 

「ああ、多分な。菜々子の具合はどうだ?」

 

「もう元気になりました。でも・・・」

 

「何だ?」

 

「仕事が大変なのはわかります。しかし菜々子ちゃんが具合が悪いときぐらい側に居てあげてやった方が・・・」

 

「お前に何がわかる。子供が口出しするな!」

 

いきなりガオーッと獅子吼される。

どうやら虎の尾を踏んだようだ。

 

しかしこれが叔父さんのいつもの手だとわかっている。

今更ビビるほどこちらも柔ではない。

 

「いいえ言わせてもらいます!だいたい、ほんとにいつでもいいですか!?」

 

「なんだと?何の話だ!?」

 

「菜々子ちゃんの授業参観です。今いつでもいいって言ったでしょ!【きちんと答えて下さい!】」

 

「・・・まあいつだって行けそうにないからな。この忙しいときに希望日って言われてもな」

 

やっぱりだ!

 

汚い。

大人って汚い!

 

「菜々子ちゃんは初めての授業参観をとても楽しみにしていました。赤ちゃんがいるので千里さんが行けないのはわかります。でも、そんなときに父親が頑張らなくてどうするんです!」

 

「いきなりなんだ!?ガキが生意気な口を!これは俺の家の中の話だ!部外者のお前が口を挟むな!」

 

ふー。

一つため息が自然と溢れた。

結局それか。

 

まあ当然か。

俺は単なる親戚の一人であって、叔父さん、いや堂島さんにとってみれば所詮は他人ってことだ。

わかっていたことではあるが・・・。

家族と同じくらいの絆を堂島一家との間に結べなかった事実が無性に悲しい。

 

「わかりました。なら他人として忠告させて下さい。堂島さん。【仕事とプライベートで同時に重要な問題が起こったらプライベートを優先しなさい。仕事ではあなたの代わりはいる。でもプライベートであなたの代わりになる人はいない】」

 

とあるまとめサイト情報を開示。

 

「・・・なんだそれは?」

 

「あるビジネスマンが上司に言われた一言だそうです。その人は部下を持った時にはこの言葉を必ず自分も言おうと思ってるらしいですよ」

 

うん、俺もいつか言ってみたい。

惚れてまうやろ。

 

「・・・利いた風な口を」

 

「確かに伝聞です。でも心に染みる言葉なのは確かだ。そして堂島さんに尋ねたい。そんなに警察には仕事を任せられる人がいないんですかと!あなたの仲間はそんなに無能なのですかと!」

 

「ぐぅ」

 

「こんなに口を酸っぱくして言っても菜々子ちゃんときちんと向き合う気が無いなら、もうあなたには何も言いません!・・・ただ千里さんにはこのことを伝えておきますけど。さすがの千里さんでも怒るだろうな」

 

「ぐぐぅ」

 

「【そのアンケート、ちゃんと参観可能な日付を書いて菜々子ちゃんに直接渡して下さい】」

 

踵を返す。

 

「では失礼します」

 

立ち尽くしている堂島さんを置いて撤収。

 

<<おおーっ!パチパチパチ>>

 

何故か堂島さんの同僚の皆さんが拍手で見送ってくれた。

足立さんなんか「よく言ってくれたねーっ」って大喜びである。

ほら、ちゃんと仕事を任せられる同僚が沢山いるじゃないですか、堂島さん。

 

でも足立さんの様子を見るとイマイチ不安だな。

もう一つ手を打っておくか。

 

「足立さん、ちょっと聞きたいことがあるんですが」

 

「え、なになに?何でも聞いてよー」

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月13日THU 晴/曇 12:40>

 

お昼。

八十神高校屋上。

 

「五日前に鮫川付近で起きた事故なんだけど、調べられるか?」

 

警察でも解決が難しい事件。

こういうときこそ美少女探偵直斗の出番だ。

 

「ちょっと待って下さい。新聞を探してみます。あ、これですね」

 

直斗が事件の記事をスマホで検索する。

 

「稲羽市で起きた轢き逃げ事件。被害者は市内に住む主婦。この記事では警察が捜査中となっていますが、目撃情報もほとんどないようです。解決まで長引きそうですね」

 

「堂島さん、この事件の捜査で今忙しいの?」

 

「ひどいよねこういうの。あたし絶対許せない!」

 

「逃げ得とかありえないし!」

 

直斗の読み上げた記事に、雪子・千枝・りせがそれぞれ声を上げる。

 

「例の道路交通監視システムは?」

 

「当然警察もチェックしているはずです。でもそれでも行方を追えていないということは、システムのカメラが設置されていない道が逃走に使われたことになりますね」

 

うーん。

なかなか難しそうだな。

 

「足立さんから聞いた話だと、轢き逃げした車は白のセダンでおそらくはでかいアメ車。でもこの街にそんな車はないらしい。修理も廃車も該当する車はなかったそうだ」

 

「・・・変ですね。そんな目立つ車なら付近で撮影されてたり、目撃情報が有ってもよさそうなのに」

 

スマホで地図を見ながら考えてみる。

 

「そうだな。カメラに写らないように幹線道路を使わずに稲羽市に乗り入れたなら、この山道を使った可能性が高い。でもこの道は事件後すぐに検問が敷かれたらしい。山を越えた先の隣町での目撃情報も無いそうだ」

 

「つまりまだ車は稲羽市のどこかにいると?」

 

状況を整理しよう。

これまでの推測から以下の点が浮かび上がってきた。

 

・つい最近山道を使って隣町から稲羽市へやってきた市外の人間。

・稲羽市へ来るのに白いアメ車の大型セダンを初めて使った市外の人間。

・監視システムのカメラの位置を知り得る市外の人間。

・現場付近の道路情報に精通している市外の人間。

・アメ車を隠せる場所を持つ、知ってる市外の人間。

・レンタカーなど借りずとも替えの脚をすぐに用意できる市外の人間。

 

不自然すぎる。

 

「・・・稲羽市に別荘とか、別宅とかを持ってる地位の高い人間とかかな?それも隠密で移動したがっている」

 

「その可能性、ありますね」

 

どうやら直斗が東京でお世話になっているという警察の御偉いさんの力が必要な案件のようだ。

 

10月24日~26日のいずれかに予定されている菜々子ちゃんの学校の授業参観日までには間に合わないかもしれないが、一応直斗を通して依頼を出してみることにする。

 

それが後に日本の政界を揺るがす大事件に発展することになるとは、このときまだ知る由もなかった。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月20日THU 雨/曇 17:00>

 

中間試験が終わった。

いつも通りの出来である。

 

すでに千里さんと赤ちゃんは無事退院している。

放課後皆で花束とケーキを持って堂島邸を尋ねてみた。

さっそく千枝たち四人は赤ちゃんに夢中になってる。

 

「「「「かわいい!」」」」

 

ほっぺたぷにぷにー!とか。

おててちっちゃーい!とか。

だっこしたい!とか。

ボクも産んでみたいです!とか。

 

非常に姦しい。

 

試験期間が終わってついに今日からセックス解禁だ。

相手は母性本能を大いに刺激された四人である。

今夜は大変なことになりそうだ。

まぁ望むところではあるが。

 

四人のお姉さんたちが弟に群がる姿を菜々子ちゃんがニコニコと笑って見守っている。

 

「あ、お兄ちゃん!あのね。お父さん来週の授業参観来てくれるの!」

 

「良かったな。菜々子ちゃん」

 

頭を撫でてあげる。

ふと視界の隅に今まで無かった写真があることに気付く。

 

「写真が増えてるな」

 

「うん!それお母さんたちが退院した日に撮ったの!」

 

家族団らんの写真。

去年鮫川河川敷で撮ったという三人での写真の隣に、赤ちゃんが加わった四人の新しい家族写真が立てられていた。

みんなとても幸せそうな表情を浮かべている。

 

堂島さん、二児の父親になってようやく自覚が出て来たか。

あのとき随分きついことを言ってしまったが、言って良かった。

もう菜々子ちゃんは大丈夫だな。

 

 

 

<YU SIDE 2011年10月20日THU 雨/曇 20:00>

 

堂島邸で夕飯を頂いてからマンションに戻る。

1Fのエントランスでポストをチェック。

 

ちらしの中に封書が一通入っていた。

切手も宛先も無い封書。

表書きは"鳴上悠様"とだけ。

もちろん差出人の記載も無い。

 

封を開いてみる。

中には一枚の便せんが。

 

「へぇ・・・」

 

思わず笑みが溢れる。

 

便箋にはたった一行だけ印字されていた。

 

"コレイジョウタスケルナ"、と。

 

 

 

 

<SYSOP 2011年10月20日THU 雨/曇 --:-->

 

堂島菜々子は堂島遼太郎・千里夫妻ともに充実した日々を送り、鳴上悠との絆を必要としなくなります。

堂島菜々子からの鳴上悠へのプロポーズは失われました。

正義のアルカナが消滅しました。




思わせぶりな記述になってますが、ひき逃げ事件は今後一切物語に関わってきません。
あと菜々子の弟も。
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