事の前触れは、いつも突然だ。
例えばお茶会の途中にスプーンが床に落ちたり。
あるいはいつもサボっている門番が真面目に仕事をしていたり。
後からどんなに考えても、どれが異変の始まりだったかは分からない。
しかし、わずかに崩れた日常が、大きな異変を呼ぶ。
物語の始まりというものは、得てしてそういうものだ。
「おーい、霊夢。遊びに来てやったぜ!」
よく聞き慣れた、良く言えば元気な、悪く言えばうるさい声が聞こえて、私は箒を掃く手を止めた。
「魔理沙、また掃除の邪魔しに来たわね」
「邪魔とは酷いな。せっかく有益な情報持ってきたのによ」
そう言ってけらけら笑う帽子を被った黄色い髪の少女の名は霧雨魔理沙。私の親友であり、同時に
そして私の名は博麗霊夢。博麗神社の神主にしてこの幻想郷のバランスを保つ仕事をしている。
「それで、有益な情報って何よ」
「お前も聞きたいだろうなと思ってよ。あの突然現れた城についてだよ」
「ああ、紅魔館の近くに現れたやつね。入口が見つからないって言って、レミリアが中に入るのを諦めたやつ」
「そうそう。その城なんだがな。入口が見つかったんだよ!」
「それ、ホント?レミリアも散々探したけど見つからなかったって言ってたし、ガセ情報掴まれたんじゃないの?」
「ところが!ガセじゃないんだなーこれが。入口を見つけたのは他でもない、この私なんだからな!」
「…ふーん」
「おいおい、反応が薄くないか?まさか私を疑ってるのか?この大魔法使い魔理沙さん、チンケな嘘を吐くほど落ちぶれてないぜ?」
「その大魔法使いさんに、私が今までどれほど振り回されたと思ってんのよ。そもそも、レミリアが散々探して見つからなかったのに、どうしてアンタが急に見つけたの」
「それが私も不思議なんだが、私が城の手前まで行くと、スーっと扉が急に現れたんだよ。まるで私を招き入れるかのように。」
私は、それを聞いたとき少し嫌な予感がした。まるで虫の知らせのように。そして、こういう予感は大体当たるのだ。
「とにかく、入口が見つかったんだから調査しようと思う。霊夢も一緒に行こうぜ!もしかしたら、すごいマジックアイテムなんかが眠ってるかも…」
「私は行かないわ」
「ど、どうしてだよ!」
「今のところ、あの城はそこにあるというだけで
「もういい、私一人で行く!何か見つかっても知らないからな!」
そう言って、魔理沙は箒に跨がり謎の城へと向かった。
それから3日経っても、魔理沙が戻って来ることは無かった。
ここまで読んでくださり、感謝です。