※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~SIDE STORYS~   作:カナト

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信じる想い☆

 明人とアモンがジンメンとの対決を始める前。

 

 不動美紀と次郎は、家から外を見ては復活したデーモンたちの暴れ様に目を見開いた。

 

 その光景を見て、彼女は10年前の惨劇を思い出して身体が震えだした。

 

 何もできず、愛する人が自分の目の前から消えた時のことを。

 

 その時、次郎は母の手を繋ぎ、外をジッと見つめる。

 

(そうだ、私にはこの子が居る。そして、今の私にできることは、1つしかない)

 

 明人は自分にできることとして、デビルマンの力でこの世界を救おうとしている。

 

 だから、彼女も自分にできることをしなければならないと決意した。

 

 美紀はすぐに行動に移り、元・テレビレポーターとしての人脈を利用し、ラジオを配信している局に連絡しては自身の声を届けるため、次郎と共にテレビ局に向かった。

 最初は安全のために次郎を家に置いていこうとしたが、その時に彼は棚に置いてあった勇希の写真立てを取って言った。

 

「明人兄ちゃんと約束したんだ。パパが戻ってくるまでは、僕がママを守るんだって‼」

 

 その強い覚悟を宿した目から、夫の面影を感じた。

 そして、美紀は何が何でも息子を守ることを決め、共に目的の場所に向かったのだ。

 

 テレビ局に着けば、既に当時のスタッフたちが美紀の声に応えて集まっており、設備等の準備は終わっていた。

 

「美紀ちゃん、久しぶりの仕事がとんでもないことになりそうだけど、大丈夫かい?」

「はい、大丈夫です。私たちには、彼らと違って戦う力はありません。でも、信じることはできます。絶望している人々に、希望を訴えることが、私たちのやるべきことなんです」

 

 マイクの前に座り、スタッフが合図を送れば、彼女は深呼吸をして口を開いた。

 

『みなさん、この放送が聞こえていますか?元・レポーターの不動美紀です。みなさん、希望を捨ててはいけません』

 

 美紀の希望を訴える声が、ラジオやスマホなどの電子機器を通じて地下や地上に居る者たちに広がっていく。

 今、戦っている戦士たちの心に希望を与える。

 

 それは絶望や恐怖を望む、天使の計略を妨げていく。

 

 その状態を神の意志は許さない。

 

 今、彼女の下に危機が迫っていた。

 

 

 ーーーーー

 

 

 俺とアモンは阿修羅軍団の妨害を受け、ジンメンを追いかけることができずにいた。

 数で押し切られて地面まで後退してしまい、2人で背中を合わせて敵を見据える。

 

 目の前に立つシレーヌやゼノン、カイムなどのデーモンに対して、仮面の下で嫌な汗が流れている。

 

『集中しろ。こいつらを退けるには、生半可な覚悟では足りんぞ!?』

「わかってる‼……でも、こいつらは……。この世界を守るために戦った戦士たちだったんだろ?それに…」

 

 シレーヌの爪をインパルスジャックの刃で受け止め、ゼノンや阿修羅王ルシファーなどに視線を送る。

 すると、脳裏にツバサやダンテ、そして了さんなどの顔が浮かぶ。

 

『私情を捨てろ‼こいつらと俺たちの世界のサタンたちは無関係だ‼』

「そうだとしても……俺にはぁ…‼」

 

 防戦一方の俺を見かね、アモンがシレーヌとの間に入っては手刀を縦に振るう。

 その瞬間、阿修羅軍団の包囲網を両断して空間を作る。

 

『血腕刀(セイバー・チョップ)。……今のおまえでは足でまといだ。こいつらの相手は、俺1人で十分』

「おまえ……まさか!?」

『さっさと行けぇ‼……もう2度と、奪わせない。おまえが言った言葉だ、デビルマン・ゼロ…内海明人』

 

 アモンは全身から紅のオーラを放ち、俺の前に立って横顔を向ける。

 

『おまえだけではない。そ(・)い(・)つ(・)も、大切な者たちの下に行きたがっている』

 

 その声に反応するように、勇者の兜が青く点滅して反応している。

 

「多勢に無勢だぞ。……勝てるのか?アモン」

『っフ、愚問だな。デーモンにとっては、戦いこそが至上の悦び‼別次元の戦士たちと手合わせできる貴重な機会を、おまえなどにくれてたまるか』

 

 そう言って、陣の風穴を開けた部分を指さす。

 

『俺もここで死ぬ気はない。……おまえも、この俺を超えたいと思うのならば、紛い物の力に頼る亀風情に負けることは許さんからな』

「……わかってる。勝てよ、アモン‼」

 

 翼を大きくはためかせ、アモンの導きで包囲網を突破する。

 目指すは、美紀さんの居るテレビ局だ。

 

 飛行しながら、勇者の兜を見て呟く。

 

「勇希さん……俺が必ず、あんたと美紀さん、次郎を会わせてみせる。…必ずだ…‼」

 

 その声に応えるように、頭の中に男の声が響いた。

 

『美…紀……じ…ろ…う…』

 

 この次元に俺を導いたものと同じだ。

 

 もしかして、本当にこの兜には…‼

 

 その声を鼓舞するように、空を飛びながら声をかけ続ける。

 

「2人とも……あんたを待ってるんだ。まだ間に合う。美紀さんは、あんたが帰ってくることを信じて俺に託してくれた。次郎は俺に、あんたがヒーローだって信じてるって言っていた。あんたの家族を信じる想いに……応えてやってくれよ‼」

 

 俺の声に反応するように、兜の発光が強くなり、点滅する速度が速くなっていく。

 そして、先ほど見た勇希の記憶を思い出す。

 彼の最後の言葉を。

 

「何が、さよならだよ……。ふざけんな‼あんたには、あんたの帰りを待っている家族が居るんだよぉ‼戻って来い……不動勇希‼」

 

 インパルスジャックを握り、紫と緑のオーラを展開しては、それが勇者の兜に集まっていく。

 

「あんたたち家族の運命は……俺が切り開く‼」

 

 オーラが交わっていき、兜の青い光が大きく強くなっていく。

 

 そして、その光は――――。

 

 

 ーーーーー

 

 

 天使ジンメンはテレビ局の上空に到着し、甲羅からビームを放って建物に攻撃を仕掛けていく。

 

<この耳障りな放送を止めろー‼神の意志が聞こえてくる。復活の時はもう近い‼人間どもの絶望を、神の器に献上するのだぁあ‼‼>

 

 周辺をデタラメに攻撃していき、地上の人々の悲鳴がジンメンに集まっていく。

 

<もっとだ、もっと泣きわめけぇ‼>

 

 テレビ局は地震が起き、建物が震える。

 その中で、ジンメンは窓から1つの女の影を見ては回転しながら突撃した。

 

<見つけたぞ、不動美紀ぃー‼>

 

 スタジオを襲撃し、ジンメンは近くに居たスタッフの腹を踏みつぶしては周りに威嚇する。

 その姿を見て、ほとんどの者が恐怖でスタジオから逃げて行った。

 

 1人の女性……不動美紀を除いては。

 

「あなたは……10年前に見たことがある。あの時、勇希と戦っていた悪魔…‼」

<クックック、俺も覚えているぞ。俺の姿に怯え、恐怖し、無様に逃げることしかできなかった女よ>

 

 亀井の記憶とジンメンの記憶が混ざり、彼女を見ては舌なめずりをする。

 

<アモン……いや、不動勇希の妻よ。おまえの存在が、俺の心を苛立たせる。神が降臨なされる前に、おまえを喰らい殺してやるぞぉ~‼>

 

 ジンメンが美紀に向かって少しずつ歩みを進めて恐怖を与えようとするが、彼女の強い意志のこもった目からは絶望の色は見えない。

 

「私は負けない。例え、何もできなくたって……もう、見ているだけなのは嫌なのよ‼」

 

 彼女は懐から拳銃を取り出し、銃口をジンメンに向ける。

 それは国防省に努めていた時に受け取った物であり、自己防衛のために身に着けていたものだった。

 

 何度も引き金を引いて銃弾を当てるが、それはジンメンには通用しない。

 

<ブハハハハッ‼人間の力など、神の前には無力と知れぇ‼>

 

 銃弾を物ともせず、その電柱のような太い獣の腕を美紀に向かって振るえば、スタジオに小さな影が入ってきては「ママァー‼」と叫び、彼女を庇うように押し倒す。

 

「次郎!?」

 

 息子を抱き締め、ジンメンに注意を向けながらたしなめる。

 

「どうして出てきたの!?危ないから、あなただけでも逃げて‼」

「い、嫌だぁー‼僕がママを守るんだぁー‼」

 

 美紀の前に立ち、ジンメンと対面する次郎。

 

「ママを傷つけたら……僕が許さないぞ‼」

 

 少年の姿を見て、さらに亀の天使は怒りを増幅させる。

 

<このガキィ……不動の息子かぁ‼ならば、おまえのことも食らい殺し、親子そろって仲良く不動の下に送ってやるぜぇ‼>

 

 ジンメンの魔の手が次郎に迫ろうとした瞬間、その前に美紀が一歩前に出ては腕を大きく振り上げた。

 彼女の平手が亀の顔に直撃し、パシンっ!と大きな声が響いた。

 

「次郎に手を出すな‼勇希の残してくれた、私の大切な子どもなんだぁ‼」

<この女ぁ……良いだろう‼先におまえから殺してやるぅ‼>

 

 両手が甲羅の中に戻り、先端が口の形になっている無数の光の触手が美紀に襲いかかる。

 

「きゃぁあああああああ‼‼」

 

 彼女の衣服や下着を食いちぎって全裸にさせ、触手が身体に絡みつく。

 

<グヘヘヘヘヘッ。前々から思っていたが、良い女だぜ、本当によぉ~?不動にはもったいないくらいだ。なぁ~?>

 

 触手と共に美紀を自身に近づけ、その舌を長く伸ばして彼女の身体に這わせる。

 

「うぁ‼あぁあ~~~~~っ‼」

<いい声で泣くじゃねぇか、えぇ!?ほらぁ~、もっといい声で泣いてみろぉ‼その声が、神の器を満たすのだぁ‼>

 

 舌は首筋から肩、乳房、腹部、尻と下に降りていき、陰部に触れてはクヒヒっと笑う。

 

<あの世に居る不動に見せてやりたいぜ、てめぇの女を、この俺に弄ばれている光景をよぉ~。えぇ?どうよ?俺の舌で感じてるんだろぉ?なぁ!?>

「い、いやぁ~‼やめてぇ~~‼‼」

 

 涙を流しながら、行為に耐える美紀。

 そんな姿を見て、次郎は拳を震わせながら飛び掛かる。

 

「やめろぉー‼ママを離せぇええええ‼」

 

 その小さな拳をジンメンに当てようとするが、一蹴されて床に倒れてしまう。

 

<心配しなくても、おまえもすぐに殺してやるからよぉ。ガキは静かに見てろや。てめぇの母親が、この俺に犯されながら死んでいく所をなぁ‼>

 

 触手が四肢を外側に引っ張り、彼女の身体を大の字にさせては脚を開かせる。

 そして、露わになった陰部に、その亀の特大の肉棒を近づける。

 

<見てるか、不動‼おまえの女を、今、俺の女にしてやるぜぇえええ‼>

 

 肉棒を陰口に擦りつけ、今にも挿入させようとするジンメン。

 

「いやぁああ~~~~‼‼」

 

 それに対して、涙を流しながら抵抗しようとする美紀。

 

 次郎は見つけた、自分が倒れた時にポケットから落ちた、父の写真を。

 それを手に取り、涙を流す。

 

「僕には……ママを守れないのかな……。ごめん、明人兄ちゃん…‼」

 

 自身の無力さを痛感する中で、父の写真に涙が零れる。

 

『パパはね…。ママとお腹にいたあなたを守るために行ったの。私たちと世界を守るために、別の宇宙の戦場に行ったヒーローなのよ‼』

 

 母は父をヒーローと言った。

 

 そして、必ず帰ってくると信じていた。

 

 だから、次郎も父が帰ってくることを信じた。

 

「本当に、パパも……明人兄ちゃんと同じヒーローなら…‼」

 

 彼は写真を両手で強く握り、大きな声で叫んだ。

 

「助けてよっ‼パパァ~~~~~~~~~~~~~‼‼‼‼」

 

 その声は、悲痛な叫びではなかった。

 その声は、確かに強い想いを込めていた。

 

 その声に応えるように、彼らの周囲に青黒い光が広がった。

 

 そして、その空間に1人の戦士が現れた。

 

 翼を広げたコウモリの頭部に、青黒い悪魔の鎧を装着した戦士。

 

 戦士はジンメンに歩みより、小さく呟いた。

 

「亀井……いや、ジンメンよ。俺の妻に、手を出すな‼」

 

 怒りを込めた拳を亀の頭部にめり込ませ、外まで吹き飛ばす。

 

<ぐるぇぁあああああああああああああああああ‼‼>

 

 反動で触手から解放された美紀を、戦士は両手で抱きかかえる。

 そして、その顔を視界に捉え、彼女の目から恐怖とは別の涙が流れる。

 

「あなた……なのね?」

 

 その問いに答えるように、小さく頷く戦士。

 美紀を次郎の下に運んで降ろし、彼は子どもと目を合わせては頭の上に手を置いた。

 

「よく頑張ったな、次郎。立派だったぞ」

 

 口元に笑みを浮かべながら自身を褒めてくれた戦士に対して、次郎は涙を流したまま溜まらずに抱き着いた。

 

「パパっ…パパなんだよね!?パパは本当に、ヒーローだったんだね‼」

「勇希……勇希ぃ…‼」

 

 彼は我が子に続き、美紀のことも抱き締める。

 

 戦士の姿は、確かにダイモンの勇者その者だった。

 しかし、その魂は確かに、美紀と次郎が望む形で戻ってきたのだ。

 

 ダイモンの勇者アモンとしてではなく、ただ1人の夫であり、父として。

 

「ただいま……美紀、次郎」

 

 10年の時を超え、不動勇希が家族の下に帰ってきたのだ。




家族の想いに応え、遂に復活した不動勇希。

異次元の戦いは今、クライマックスに突入する。




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