※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~SIDE STORYS~   作:カナト

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勇者の兜

 夜になり、俺はソファーを借りて寝ることになったが、すぐに寝つけるはずもなかった。

 いきなり、別次元の宇宙に連れてこられ、今日1日でいろいろと起き過ぎた。

 

「……俺をここに導いたのは、あんたなのか?不動勇希」

 

 悪魔の中に存在が消えたのなら、どうして彼の声が聞こえたのか。

 それとも、残留思念でも残っていたのか。

 

 不動という苗字も気になる。

 偶然か?

 不動明の転生者として、俺が引き寄せられたという可能性も……。

 

 もしかして、別次元の不動明……それが不動勇希なのかもしれない。

 

「はっ、我ながら想像が偏ってるな」

 

 ベランダに出て夜景を見ようとしても、どこも明かりは付いていない。

 電気なんて付けようものなら、天使の兵士が飛んでくるからだ。

 夜はもはや静寂に包まれてしまっている。

 暗闇しか広がっていない。

 それを照らしているのは、月の光だけだ。

 

「月はどこの世界でも変わらねぇな…」

 

 ゼロドライバーを手に取り、夜空を見上げながら考える。

 

 夜の内に奇襲を仕掛ければ、あの巨大戦艦にも大打撃は与えられるんじゃないのか。

 身体の傷はもう治っている。

 偵察も兼ねて、もう1度空に挑んでみるか。

 

 腰にベルトを巻いて変身しようとすれば、その前に後ろから声をかけられる。

 

「また、ヒーローに変身するの?」

 

 振り返れば、後ろで眠たそうな目を擦っている次郎の姿が在った。

 

「明人…お兄ちゃんも、パパと一緒のヒーローなんでしょ?」

「……ヒーローか。どうかな」

 

 自分がヒーローかと聞かれれば、それに素直に頷くことはできない。

 俺の世界では、次郎の言うヒーローに相応しい男が1人だけ思いつくんだけどな。

 

 変身を止め、彼に身体を向ける。

 

「おまえのママから話は聞いた。パパは別の宇宙でヒーローしてるんだってな」

「うん……」

 

 次郎もベランダに出れば、外を見て悲しそうな顔をする。

 

「でも、僕……パパに会ったことがないんだ。パパが戦場に行ったのは、僕がまだママのお腹に居た時だったから」

「……そうだったのか」

 

 1度も会ったことがない父親を待つのも、辛い話だよな。

 

「ママからは聞いたのか?パパがどんな人だったのかは」

「良い人だったって……僕もパパに会ったらわかるって言ってた。……僕のパパはヒーローだもん。強いんだ。だから……必ず、帰ってくる!それまでは、僕がママを守るんだ!」

 

 小さな両手に拳を握り、力強く言う次郎の頭の上に手を置き、少し荒く撫でてみる。

 

「な、何するんだよ~!?」

「いや、ついな。子どもの癖にいっちょ前のことを言うと思ってさ」

 

 笑いながら言い、しゃがんで視線を合わせれば真剣な顔を向ける。

 

「次郎……約束だ。必ず、ママの側を離れるな。パパが居ない今、ママを守れるのはおまえなんだ。そして……おまえも、おまえのママも、俺が守るからな」

「明人兄ちゃん…。うん、僕、約束するよ!」

 

 俺たちは互いに右手の小指を立てて指切りをする。

 

 この親子は、今は俺が守って見せる。

 もう、子どもの目の前で親が居なくなるのを見るのは御免なんだ。

 俺と母さんのような別れをする家族は、見たくない。

 

 

 -----

 

 

 次郎が安らかな眠りに入ったのを確認し、俺はマンションを出てデビルマンに変身して空に向かって飛ぶ。

 今のうちに、できるだけ敵の情報を知っておきたい。

 

 大天使ガブリエル。

 美紀さんの言っていた、奴の口にした『神の器』とは一体なんなのか。

 

 奴と再度戦うことで、何かが掴めるかもしれない。

 

 上空を飛行して巨大戦艦を探していると、早速遠方からビーム攻撃が飛んできた。

 

「早速、手荒い歓迎だな‼だけど、今度は前みたいにはいかねぇよ」

 

 ベルトの中央を回転させ、フォームチェンジする。

 

「ゼロ、フォーム‼」

 

 破壊皇ゼロの力を解放し、突撃をかける。

 すぐにアンドロイド戦士が次々と現れ、攻撃を仕掛けてくる。

 

「ディストラクション・トルネード‼(破壊の竜巻)」

 

 両手から2つの竜巻を飛ばし、アンドロイド戦士を風化させていく。

 一体一体倒すよりも、まとめて倒した方が早い。

 

 相手の陣に風穴を開け、すぐに中央を突破してガブリエルの前に立つ。

 

「大天使ガブリエル‼昼間はよくもやってくれたな。今度こそ、俺と戦ってもらうぜ‼」

 

 指さして言えば、戦艦は設置された砲台を全て俺に向けて牽制してくる。

 

<解析結果・・・該当なし。おまえは何者だ?データにない悪魔の反応だ>

「俺はデビルマン・ゼロ。この世界を救うために、導かれた戦士だ‼」

 

 両腕の刃を展開し、腕を振るって技を繰り出す。

 

「ディストラクション・スラッシュ(破壊の斬撃)‼」

 

 強力な斬撃波を受けるが、ガブリエルにはかすり傷程度の損傷しか与えられていない。

 

<汚れた悪魔の力など、この程度―――>

「か、どうかはまだわからねぇよ‼」

 

 砲台からビームが飛んでくる。

 アンドロイド戦士が集まり、周囲を囲む。

 

 しかし、ゼロフォームの脅威じゃない。

 

「ディストラクション・ビーム(破壊の光線)‼」

 

 全身からこちらも光線を飛ばし、アンドロイド戦士を一掃してガブリエルに接近する。

 

「遠距離攻撃がダメなら、直接叩きこんでやるぜ‼」

 

 拳を握り、オーラを集中させる。

 

「ディストラクション・インパクト(破壊の衝撃)‼」

 

 ガブリエルの装甲に拳を叩きこめば、損傷を受けたのか戦艦が傾く。

 しかし、大天使から余裕は消えない。

 

<良いのか?デビルマン・ゼロ。何も知らずに私を傷つければ、後悔するぞ?>

「あ?ハッタリか?見苦しいぞ、ガブリエル‼」

<ふっ……ハッタリかどうかは、これを見てからにしてもらおうか?>

 

 俺の頭の中に、直接何かの情報が流れ込んでくる。

 

「こ、これは…‼」

 

 光の空間に、人が浮かんでいる。

 それも100や10000どころではない。

 彼らは気を失っており、動くこともできないようだ。

 

<そこは私の作り出した異次元空間。そして、この者たちはこの世界の人類である。生体データを移し、神の器を満たすための養分となってもらっているのだ。私を倒せば、この者たちは永遠と異次元空間をさまようことになるぞ?>

「っ!?……人質ってことかよ‼ぐわぁあ‼」

 

 背後から新たに現れたアンドロイド戦士の猛攻撃に合い、防御体制に入る。

 

 消滅した6割の人類は、ガブリエルの計画に利用されていたのか。

 

「答えろ、ガブリエル‼神の器とは何だ!?おまえたちは、何をしようとしている!?」

<神の器……それは、全宇宙を支配する神を降臨するための卵だ。これが孵化する時、神は概念から肉体を得て実体となり、絶対の存在となるのだ‼>

「神を降臨させるための卵だと!?そんなこと、させてたまるか‼」

 

 そう吠えてはみたものの、アンドロイド戦士の攻撃を防御することで精一杯だ。

 

<この3か月、愚かな人類の恐怖、絶望などから発せられる無意識の悪意を吸収し、神の器はもうじき臨界点に達する。神の降臨は近い‼>

 

 そんな話を聴いて、大人しく待っていられるはずがない。

 しかし、俺1人の力では…‼

 

 ゼロフォームの防御力でも、このまま攻撃を受け続ければ、また倒れるのは必至だ。

 

 この世界には、俺以外のデビルマンは居ない。

 ここで倒れるわけには…‼

 

『こんな奴らに圧されるとは、それでも俺の好敵手か。明人‼』

 

 その聞き覚えのある声と共に、紅い光の球が迫る。

 それはアンドロイド戦士の群れを突っ切り、薙ぎ倒していく。

 

「これは…‼まさか、おまえは!?」

 

 次元の狭間で見た紅い光は、見間違いじゃなかった。

 光は人型の悪魔の形を成していき、俺に背中を向けてはフンっと笑う。

 

 その紅の鎧の悪魔を、俺は知っている。

 

「勇者アモン!?何で、おまえがこの世界に!?」

『そんなことを話している場合か?ここは引くぞ、おまえに話さなければならないことがある』

 

 そう言って、アモンは右手を頭上に掲げて巨大な紅いエネルギー弾を作り出してガブリエルに向かって放つ。

 それが直撃すれば、戦艦から煙が立ち、地上に向かって降下していく。

 

「何してんだ、アモン‼ガブリエルが地上に落ちたら、多大な被害が‼」

『遅かれ早かれだ。下を見ろ』

 

 ガブリエルが落ちていく先は、日本海だった。

 一応、被害は考慮していたと言う事か。

 

『どちらにしろ、空は奴のテリトリーだ。それよりは、お高い天使様に地上の土を踏んでもらった方が戦いやすい』

「……そう言う事かよ」

 

 アモンの狙いはわかったが、アンドロイド戦士は俺たち2人を逃がそうとはしない。

 

『この程度の奴らに遅れをとるな。俺に勝つつもりなら、こんな雑魚どもくらい蹴散らして見せろ』

「言われるまでもなく、やってやるさ。今はここを突破する。連携するぞ、アモン‼」

『勝手にしろ、俺は好きにやらせてもらう‼』

 

 白と黒の光と、紅い光が軌跡を描きながらアンドロイド戦士を倒していく。

 互いに背中を預け、目の前の敵に集中して戦えば、兵士を片づけるのに1分もかからなかった。

 不思議な感覚だった、アモンの動きがわかる。

 次に彼がどう動こうとし、自分がどう動けば良いのかが、言葉を交わさずとも理解できたんだ。

 

「伊達に何度も殺し合ってないな。おまえの動きがわかるようになってきた」

『ふんっ、頭に乗るな。おまえのレベルに合わせてやっただけだ』

 

 一時的に戦闘を終了させ、地上に戻って俺は変身を解除する。

 場所は公園だ。

 

「アモン……おまえも、あの声に導かれたのか?」

『……そうだ。俺とは別次元の、同じ勇者アモンの声にな』

 

 勇者アモンの声だと?違う。

 俺が聞いたあの声は……間違いなく……。

 

 アモンは手にコウモリの頭をした兜を持っており、それは彼の頭の物と酷似しているが青黒い色をしていた。

 俺の視線に気づいたのか、アモンはそれを投げ渡してきた。

 

『それは、次元の狭間で拾ったもんだ。これが、俺にこの世界に来るように導いたのさ。この世界で戦った、勇者アモンの力が宿っている』

「っ!?どういうことだよ、それ!?この世界のアモンの兜が、ここにあるってことは……まさか!?」

 

 そこから先の言葉を口に出すことはできなかった。

 それを察して、アモンが腕を組みながら代わりに言った。

 

『負けたのだ、全宇宙を守るために戦った……ダイモンの勇者、アモンはな』




2人目の戦士、アモン登場‼

端折りましたけど、何気に明人とアモンの初の共闘シーンだったwww。
そして、明人の手に渡ったアモンの兜。これは物語の鍵を握るキーアイテムとなる‼


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