ポケモンに変えられたり、ポケモン(♀)にエッチなことをする話 作:影絵師
原作クリア済ですが、少々おかしい描写があります(ミライドンが一緒じゃないなど)
「テツノブジンが見つかんない……」
エリアゼロのとある場所で私はそう呟いた。
以前ペパーとネモ、ボタンと一緒に来た時、敵対してしまったフトゥー博士(AI)が繰り出したパラドックスポケモン――テツノブジンに惚れた。元々そのモデルと思われるサーナイトが好きだった私はそのポケモンをゲットしないわけがなく、全てを解決したあとにエリアゼロで探し回っていた。
しかし関心のテツノブジンは見つかることなく、代わりにテツノカイナやテツノドクガに追い回されていた。手持ちのポケモンで撃退して再び探しても、そう簡単に見つからなかった。
「……そろそろ帰ろっかな」
諦めてエリアゼロから去ろうかと考えていた時だった。
視界の端にエルレイドの頭が見えた気がした。エリアゼロにエルレイドやサーナイトがいるはずがない。
すぐさま目を向けると、先端がピンク色に光るおさげがついているエルレイドに似た後頭部が岩陰から出ていた。それはテツノブジンと同じ後頭部だ。
「見つけたぁー! フューチャーサーナイトォ!!」
せっかく見つけたポケモンを逃さないよう、素早く走る私。しかし、テツノブジンが隠れている岩のそばまで来ると、驚きと落胆に思わず足を止めてしまった。
そこにあったのはテツノブジンの頭部だけだったのだ。胴体はなく、頭だけがそこに転がっている状態だった。
「うっ……」
まるで生首の死体の光景に、さすがの私も気分が悪くなる。
そしてよく見ると、それは戦いか事故で死んだとは思えなかった。その周りに血等の体液は見当たらず、切り傷や打撲痕もなく、まるで最初から頭だけしかなかったように綺麗なのだ。
私は不思議に思いながら恐る恐る手を伸ばし、それを掴んで持ち上げた。重くはなく、簡単に持ち上げられた。
サーナイトの頭全体、エルレイドのトサカ、そして今は先端が光らないおさげ。それらは全て金属で作られたようにそっくりだった。
その中身は空洞になっており、恐る恐る内部が見える首の穴から除くと、私には理解できない機械が内側を覆っていた。
「やっぱりロボットみたい。未来のポケモンって全部こうなの?」
私が首を傾げながら眺めていると、不意に私の脳裏にある考えが浮かぶ。
……被っちゃお。
私はそのテツノブジンの頭部を自分の頭全体に被った。すると不思議なことにぴったりフィットし、全く違和感を感じなかった。
周囲の様子も見えており、視界が狭くなった感じもない。何の問題はなさそうだ。そう安心して、テツノブジンごっこでも始めようかとした時だった。
突然何かの電子音が被っているテツノブジンの頭に響いた。
「な、なに!? なんなの!?」
私は慌てて外そうとするが、何故か取れなかった。まるで頭に固定されている。次の瞬間、首元を覆われる感触がした。
黒いゴムの膜が胸から手の先、胴体から足の先へと広がっていく。首から下の全てがゴムのスーツに覆い尽くされた後、形成されていく装甲に着ていた服が破れてしまう。
上半身に白い装甲が覆い、胸元にサーナイトの胸の突起を模した筒状の部位が形成される。両腕を覆う白い装甲にはピンク色に光るブレードが形成された。
エルレイドの腰回りを再現するかのように変形した腰部からサーナイトを思わせる白色のスカートが広がり、足全体は白い筒状の装甲に覆われた。
最後にこの現象の原因と思われるテツノブジンの頭部のカメラアイが点灯し、瞳がピンク色に染まった。
そこにはサーナイトとエルレイドの特徴を併せ持つパラドックスポケモンの姿があった。
「な、なにこれ……」
困惑する私だったが、その時になってやっと気付いたことがあった。
それは今の自分が探し求めていたテツノブジンになっていること。それもコスプレ等ではなく、テツノブジンそのものになっていたのだ。
もちろん、求めていたポケモンに私自身がなるつもりなんて全く無かった。
「ど、どうしよう……これじゃあ帰れないよ」
今更ながらこの姿のままエリアゼロを出るわけにもいかず途方に暮れていた時だった。
感情のない人工音声が突如聞こえてきた。テツノブジンの頭の内部に搭載されているスピーカーからだと分かった。
『生体コアの装着を確認。これより情報データを転送します』
それと同時に私の脳内に膨大なデータが流れ込んできた。
そのあまりの情報量に私の記憶が塗り潰されるような感覚が襲い、その場に跪いてしまう。
「い、いやぁ……私の記憶がぁ」
お母さんがいる家庭、大好きな先生がいっぱいいるアカデミーの事が思い出せなくなる。
内気だけど仲間思いのボタン、ポケモンバトルが好き過ぎるけど明るいネモ、そして……大事なマフィティフの為に命がけのスパイス探しをしたペパーのことを忘れてしまうのが分かる。
しかしそれは決して不快ではなかった。むしろ受け入れて当然とまで感じてきてしまっている。
「私は、本機は……」
やがてデータのインストールが終わると、何事もなく立ち上がった私は自然と呟いていた。
「本機はサーナイトとエルレイドを再現したポケモン。この時代の人間は本機をテツノブジンと認識している模様。今後、命令がない限りこのエリアから去ることを避ける」
こうして私……訂正、本機はテツノブジンになった。