※この作品はR-18です。

花騎士とひたすらにイチャつくだけの話   作:アメリカ兎

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エノテラとホテルでイチャつく話

 

 

 

 ――その人物は、記憶が無かった。

 第一の目撃情報の時点で、だいぶ怪しい報告だった。

 発見者いわく「空から降ってきた」とのこと。誰が信じるのだろうか。その記憶喪失も、ショック症状によるものだとされていたが、それを抜きにしてもその人物は不審な点がいくつも浮かび上がる。

 例えば、身体能力。記憶喪失は真実ながら、窮地に陥った際にはまるで身体が勝手に動いているかのように凄まじい絶技を発揮した。それに救われた花騎士も少なからず存在する。

 様々な問題点はあるものの、放置しておくわけにもいかず。当人の厚意もあって、命の恩人兼第一発見者の花騎士にその身柄を預ける形となった。

 

 ――その人物の身柄を預かる保証人となったのは、花騎士のエノテラ。元々戦うことが好きだった彼女は、傭兵という経歴もあって騎士団の中でも自由人という評価だった。もちろん、彼女にしてみれば面倒を背負い込むような形だが、要はその人物の監視と護衛を兼ねてさえいれば花騎士の職務は概ね問題ない。結果、自分が楽になるというのが本音だった。

 

 エノテラの誤算としては――その人物が、思った以上に男性として魅力的だったということだろうか。無論、他の花騎士達からしても。

 気づけば嫉妬の炎が自分の中に生まれていた。

 

 記憶喪失の飛来者。前代未聞、空からの来訪者であるエヌラスという男性に目下、エノテラは日々付き合っている。

 

 

 

 ――ブロッサムヒル・商業都市スカネ。

 

 ブロッサムヒル南西領に位置する、南の玄関口としても広く知られている商業都市は隣国のリリィウッドとの国境付近に面しており日々交易で賑わっている。本来ならば、エノテラは此処に滞在する理由など無い。

 しかし、件のエヌラスという監視対象(兼護衛対象)と行動を共にするということはつまり、彼の移送先へも同行するということだ。

 リリィウッドで発見され、しばらくの療養期間を経て、比較的穏やかな環境のブロッサムヒルへ移送された。当人の意思で花騎士達の力になれれば、ということで騎士団長としての試験を受けたものの難なく突破。現在は少数の花騎士を引き連れて遊撃隊として活動している。

 それが、エノテラには面白くなかった。なぜならば、すり寄ってくる障害が増えたということだから。そして、部隊として運用されるということは仕事が増えるということ。

 面倒ではあるが、それでも戦闘は大好きだ。そしてそれは、エヌラスも同じにも思える。記憶があろうがなかろうが、身体に染み付いた戦闘術は決して消えない。

 一度だけ手合わせをしてみた事があった。それが思いもよらぬ収穫だったので、エノテラは満足している。

 

「…………ふふ」

 思わず、笑みがこぼれた。

 自分の前を歩いている黒服の男性が立ち止まり、肩越しに振り返る。左目の刀傷が特徴的な、赤い瞳の男性。前髪の左側だけを伸ばして、傷を隠すようにしている。

 

「どうしたんだ、エノテラ」

「ちょっと思い出し笑いです、気にしないでください」

「そうか」

 短く一言だけ告げて、再び歩き出した。

 エヌラスが率いる遊撃隊は多くない。基本的にはエノテラが付き添っている。それだけで十分と言えた。ならば何故ブロッサムヒルに留まっているのか。それはエヌラスの知見を広めるためでもある。前述の通り、記憶喪失。スプリングガーデンのことなど右も左もわからない状態。そのため少しでも世間の風に触れておこう、という本人の考えからだった。

 エノテラからすれば仕事というよりもデートのような感覚。役得である。

 

 商業関係者で賑わう都市を歩き、小腹が空いたと言ってエノテラが喫茶店に連れ込み、日が暮れるまで二人で都市を見て回る。

 戦闘があろうとなかろうと、平和だろうと、それが乱れようとも関係なかった。

 交易品を見て、買う買わないと話し合ったり。都市の活気に触れて、エヌラスもどこか懐かしむような視線を向けていた。

 その目が、自分ではない、此処ではない何処か遠い情景を見ているように思えてならない。だからこそ、エノテラはメラメラと妬ける。

 

 黒い外套の袖を引き、エヌラスを引き止めた。昼から随分と歩き回って、日も傾いている。そろそろ騎士団の駐屯地に戻らなければ――そう考えるエヌラスとは別に、エノテラは別な方角へ向けて歩き出していた。

 

「ちょ、ちょっとエノテラ? 何処に行くんだ。騎士団はあっち――」

「エノテラは知りません。フリーダムなので」

 駐屯地に戻れば、ブロッサムヒルの花騎士達に囲まれるのは目に見えている。そもそもエノテラはリリィウッドの花騎士だ。ここの規律など知ったことではない。律儀に戻ろうとするエヌラスを引き連れてエノテラはそのまま勝手に宿へと連れ込んでしまった。

 当然、エヌラスがこの世界の通貨を持っているはずがなかったので全額エノテラの財布から出てきたお金だ。それを建前にされれば、一文無しのエヌラスとしてはエノテラに逆らうわけにもいかず、なされるがまま。

 

 

 

 ――商業都市スカネの宿というのは、商業関係者向けに建設されていることもあってか割高だった。人の足元を見て商売をする点、さすが商業都市と感心する他ない。

 選んだ部屋は、それなりなお値段のそれなりな部屋だった。が、問題がひとつ。

 エヌラスが部屋の中を見渡しても、自分が寝るためのベッドが見当たらない。

 

「……エノテラ。ベッドが一つしか無いんだが?」

「見ればわかります。なにか問題でも。二人で一つのベッドに入って抱き合って寝れば窮屈さも問題ありません」

「それはそうなんだが……その……」

 此処は、どう見ても、個人で宿泊するための部屋なのではないだろうか?

 ベッドも、浴室も、なんなら備え付けのタオルも。

 そこに男女で泊まるということは、色々と問題があるのではないか。エヌラスが視線で訴えかけると、そんなことはお構いなしにエノテラはにんまりと笑う。妖艶な微笑みを向けてきた。

 

「もう我慢できないんですか。エノテラを押し倒して、いやらしいことをたくさんしたいのなら止めません。好きにしてください」

「そうじゃなくて」

「なら、襲われたいほうですか?」

「そうでもなくて……」

 こんな調子で、これまでエヌラスはずっとエノテラに振り回されっぱなしだった。命の恩人である手前、強く言えないこともある。

 

「それとも――エノテラが出したお金を、返してくれるんですか?」

「あー……」

「出せるものが出せないのなら、仕方ありません。体で払ってもらうしかないです」

「……もしや俺は、君に脅されているのではないか?」

「エノテラは脅迫なんてしていないです。潔白です」

 どの口が言うのか。その小さくてかわいい唇か? エヌラスとしては、反論の材料が手元に皆無なので従う他にない。頭一つ分以上小さい女の子に弱みを握られているというのは、なんとも情けないことに。

 勝ち誇った笑みを浮かべて、エノテラが上目遣いでエヌラスを見上げていた。

 

「わかってくれればいいんです。あんまりエノテラを困らせないでください」

「俺を困らせるぶんにはエノテラは困らないだろうな……」

「はい。むしろ、ゾクゾク、ムラムラします」

「正直でよろしい……で、俺はどうすればいいんだ?」

「少し汗をかいてしまったので、お風呂にお湯を張ってください」

「わかったわかった。従いますよ。エノテラお嬢様」

 肩をすくめて、エヌラスはコートをハンガーに掛けて早速風呂の支度に取り掛かる。

 

 浴室に入るとやはり二人で利用するには少々手狭な間取りだった。無理もないのだが、エヌラスはひとまず浴槽の栓をしてから蛇口をひねる。お湯が出るまで少し時間がかかった。

 ふと、備え付けの石鹸が目に入る。シャンプーも、リンスも揃っていた。身だしなみを整えるために必要な道具は一通りあるようだ。あくまでも此処は商業の宿泊施設。間違っても“そういう目的”で泊まるような場所ではないことだけは留意しておこう。

 脱衣場に人の気配を感じた。それが誰であるのか、考えるまでもない。すりガラスの向こうで、肌色が見えた。徐々にその面積が増えていく。衣類の擦れる音を最後に手が伸びた。

 浴室の戸が開けられると、そこには一糸まとわぬエノテラが立っている。ほんのりと頬を赤らめながらも、エヌラスをじっと見ていた。緩んだ口元からは舌を覗かせて、唇を湿らせている。

 女性の裸体を初めて見るわけではないが。記憶喪失のエヌラスにしてみればそれはちょっとした衝撃だった。顔を赤くしながら、目を逸らす。しかし、お構いなしにエノテラは自分をもっと見てくれと言わんばかりに身体を擦り寄せてきた。

 

「今、浴槽にお湯を入れたばかりなんだが……」

「知ってます。なのでその間に、エノテラの身体を綺麗にしてください」

「……本気で言っておられる?」

「マジです。本気です。さぁ。早くしてください、さぁ」

 催促してくる素っ裸のエノテラは、恥ずかしげもなく自分の身体を押しつけてくる。

 そうは言われても、エヌラスはまだ服を着ている。このままではずぶ濡れになってしまう。明日の着替えを用意などしていないことを知ってか知らずか――いや、確信犯だろう。エノテラはシャワーからお湯を出し始めた。

 頭の天辺からつま先まで。シャツも靴下も、パンツまでお湯で濡らされる。

 

「濡れたままじゃ風邪を引いちゃいます。脱いでください。お風呂場でどうして服を脱がないんですか」

「風呂に入るつもりはまだなかったからだよ……どうすんだこれ……」

「仕方ないですね。服が乾くまでは裸でいるしかないです。安心してください、今夜は二人きりなので……たっぷり、しっぽり。楽しみましょう」

「…………」

 なんというか、何もかも全部エノテラの思い通りであることにエヌラスは呆れた。肌に貼り付く不快な感触を引き剥がして、とりあえず脱衣場に投げておく。

 そして、改めてエノテラと向き合う。全裸で。

 唇に指を軽く当てながら、どこか恍惚とした表情でエヌラスの肢体に熱い視線を注ぐ。

 全身傷だらけの身体は、ただならぬ過去を想起させる。そして、股ぐらにある男の象徴もまた同様に。

 

「……あんまり見つめないでくれないか」

「どうしてですか。減るものじゃありませんし、今回が初めてではないはずです」

「それはそのとおりなんだが。恥ずかしいものは恥ずかしいんだ」

「エノテラの裸は、好きなだけ見てもらっても構いませんよ。見放題触り放題抱き放題です」

 実は以前に、エヌラスはエノテラに襲われたことがある。夜這いだ。その時はされるがまま、互いに肢体を貪りあった。一線を越えて肉体関係を持ってしまったとはいえ、それでもエヌラスはエノテラの裸を直視するのは慣れない。

 するりと、小さな手がペニスに触れた。艶めかしい手つきで根本から優しく撫でられると、意識してしまう。

 

「ふにふに、むくむく……ふふ、触っただけでこんなにしちゃうなんて。えっちです」

「そうなっちゃうものなんだよ……」

「ここを、どうしてほしいですか?」

 まるで誘うようにして、エノテラが口を開けて舌を出す。漏れる吐息が先端に吹きかけられると、くすぐったさにエヌラスは身体を小さく震わせる。

 

「……咥えてくれると、うれしい」

「わかりました。エノテラの口の中で、たくさん気持ちよくなりたいんですね。変態さんです」

 どの口で言うんだ。

 舌先が、先端に触れる。

 

「ちろちろ……ぺろぺろ……ふふ、これからエノテラのお口の中で気持ちよくなっちゃうことを期待してるんですね。すっごくいやらしいです」

「それは、エノテラが……」

「エノテラは悪くないです。ちゅっ……」

 ペニスを手で擦りながら、裏筋を舐めあげていく。先端を咥えると、まるで飴玉を舐めるように舌で亀頭を丹念に舐め回した。エノテラの口から唾液が溢れてくる。それを潤滑剤にして、ますます竿を撫でる手が滑らかに愛撫を繰り返していた。まるでそれを喜ぶかのようにペニスが震える。

 

「んん、じゅぷ……んはぁ……嬉しそうに、こんなに大きくしちゃって。ふふ、エノテラのお口は気持ちいいですか?」

「すごくいやらしくて、気持ちいい……」

「お気に召しました?」

「……」

 正直なところ、口だけでも十分なほどの快感があった。しかし、それ以上に小柄で綺麗な身体に目がいってしまう。自分の身体を見つめられていることに気づいたのか、エノテラはペニスから手を離した。おもむろに胸を持ち上げる。小柄な体格の割に胸の発育は良く、挑発するように小首を傾げてみせた。

 

「口だけじゃ物足りなさそうな変態さんにはサービスです。ん、しょ……」

 すると、胸でペニスを挟み込む。素肌の滑らかさと、人肌の温もりに加えて病みつきになりそうな柔らかさが左右から伝わってくる。それが竿にフィットするかのように形を変えて擦りつけられて、気持ちよくて堪らない。エノテラの唾液だけでは足りないのか、少し引っかかりを覚えた。

 ふと目にしたのは、備え付けのボディソープ。

 

「エノテラ、ちょっと失礼」

「ひゃ……」

 シャワーで身体を濡らして、それからボディソープを手に垂らすとエノテラの胸を中心に全身に塗りたくる。泡で滑りの良くなった胸の谷間にペニスをあてがうと先ほどとは段違いに肌同士が擦れ合う。

 

「んんぅ……、これは、とてもえっちです。エノテラのおっぱいに挟まれて、おちんちんが熱くなってますよ」

「エノテラの身体がエロいのがいけない」

「ふふ。エノテラにメロメロになってくださいね。そのためなら何だってします。どんなにエッチなことだってしちゃいますので」

「もうちょっと強く挟んでくれるか?」

「こうですか。ん……! 熱く脈打ってるのが、おっぱいから伝わってきて、エノテラもドキドキです」

 左右から強く手で胸をペニスに押し付ける。より密着して濃密な肉の感触が擦れ合う。まるで挿入しているかのような快楽に包まれて、エヌラスがエノテラの身体に肉棒をますますあてがう。まるでそれは、自分の物だとマーキングをしているような錯覚に陥る。この体を独り占めできるのだという背徳感が背中を震わせた。

 それはエノテラも同様なのか、エヌラスの顔色を窺いながら胸を上下にリズミカルな動きで射精感を促している。

 

「エノテラのこと、好きにできて嬉しそうです。愉しそうで何よりです。このまま、沢山出していいんですよ。忘れられないくらい、エヌラスさんの臭いを嗅がせてください。口も、おっぱいも、おまんこも。全部、エヌラスさんのモノなので」

「、っ……エノテラ……!」

「んっ、射精そうですか? ビクビク、ビクビクって、膨らんできてますよ? いいですよ、エノテラの顔も、髪も、全部。エヌラスさんの精子で汚してください」

 根本までこみ上げてきていた熱を吐き出す。亀頭から噴火する白濁液の勢いにエノテラが驚くも、すぐに蓋をするように口で塞いだ。そのまま搾り取るように強く吸い上げられてますます勢いづく射精に、エヌラスが咄嗟にエノテラの頭を押さえ込む。

 

「んむっ、んぅぅぅっ……!!」

 苦しそうなうめき声をあげながらも、口を決して離そうとしないどころか喉奥まで咥えて小さな口いっぱいにペニスを頬張るエノテラ。射精が収まってから引き抜くと、口の中は精液で満たされていた。

 無理やり喉までペニスを押し込まれたからか、むせて口から吐き出した精液を掌で受け止める。

 

「えふっ、げふっ……! はぁ、ん……げほっ! おぇっ!」

「だ、大丈夫かエノテラ? すまん」

「はぁー……はー……だい、じょうぶです。たっぷり、いっぱい出されたのでエノテラも驚きです。こんなに、ドロドロとしたのをいっぱい……もったいないです。んくっ、んくっ……」

 喉を鳴らしながら、エノテラは自分の掌を受け皿にした精液を飲み干していく。そして、指に付いた精液までも舌を出しながら舐め取っていき、大きく喉を鳴らして飲み込む。白い吐息と共に小さな口を大きく開けて、口内が綺麗になっていることをエヌラスに見せた。

 

「エノテラのお口の中、きれーになってまふか……?」

「……全部、ちゃんと飲んでくれたんだな」

「残したらもったいないので。こっちにも、まだちょっと残ってませんか? ん、ちゅ……じゅるっ、ちゅぱっ……」

 射精したばかりだというのに萎える気配のないペニスは天を仰いでいる。その先端を再び口にして根本に残っている精液まで吸い上げていた。

 

「ん、ふ……。出したばっかりなのに、まだこんなにガチガチで。ギンギンにしてます。一回じゃ満足できないのは、すでに経験済みです。それにしても……綺麗にするどころか、ドロドロのベタベタになっちゃいました」

 浴室の床に座りこんで、エノテラが自分の胸に手を当てている。顔に付着した白濁液が垂れていた。それを指ですくい取ると、しゃぶり始める。

 

「ちゅぱっ、ちゅっ。んぷっ……はぁ……こんなに濃いのをエノテラに飲ませるなんて、ちょっぴりもったいない。どうせなら、こっちに欲しかったです」

 自分の身体をなぞっていくと、秘部に触れて指先で広げてみせた。そこは、窮屈そうにしながらも綺麗な桃色の花弁を開かせている。

 足首にまで届きそうな髪を床に広げ、紅潮した頬に、程よい大きさの柔らかな胸が呼吸のたびに上下していた。その胸元も、今しがた吐き出した精液で白く汚されてしまっている。

 傭兵団に務めていた経歴から想像もつかないほどに、エノテラの素肌は綺麗だった。花騎士というよりも、今は可憐な少女が目の前であられもない姿を見せている。

 思わず生唾を飲み込む。それが、浴室の壁に反響して思いの外大きな音を立ててしまった。エノテラが嬉しそうに微笑んでいる。

 

「エノテラを、綺麗にしてくれますね?」

「――あー……はい……」

 拒否権などエヌラスに与えられなかった。

 エノテラの物言いは、懇願ではなく「命令」である。逆らう権利も理由もないエヌラスは従うしかなかった。

 湯船に張っていたお湯を止めて、それからタオルを手にする。だが、その手を止めた。タオルではなく、手で綺麗にしてくれということらしい。

 ニヤニヤと、エノテラは嬉しそうに、心底楽しそうに頬を綻ばせながら全身を弄るエヌラスの手を受け入れていた。

 

「ん……」

 どこから洗えばいいものやら、少しだけ悩んで――乳房に手を添える。そのまま全体を手のひらで捏ねるようにして、ボディソープを塗り込んでいく。指先でピンと固くなった先端を跳ねるたびにエノテラの口から甘い声が小さく漏れていた。

 肌を傷つけないよう、細心の注意を払って柔肌を撫でていく。指が軽く沈み込むたびに、ハリのある肌が押し返してくる。シーツのようにきめ細やかな手触りでありながら、程よい体温が手に伝わってきた。

 

「エノテラの、おっぱいばっかり洗って……そんなに、ぷにぷに、ふわふわのおっぱいが気に入ったんですか。いいですよ、好きなだけ洗ってください」

「あ、いや……ごめん。ここが一番汚れてたから最初に洗おうと思っててな」

 汚したのは自分なのだが、エヌラスはエノテラの胸から手を離して他の場所を洗おうと考える。浴室の床には何も敷かれていない。硬い床の上に寝転ばせておくのも申し訳ない。

 身体を抱き上げると自分の膝の上に座らせる。後ろから手を回し、今度はお腹を撫で始めた。

 細い腰回りの肉付きを堪能してから、へそを指でつついてみる。

 

「んひゃ……」

「痛かったか?」

「そういうわけじゃないです。ただちょっと、ビックリしただけで――ん、っぅ!」

 指先も入らないほどの小さな穴をエヌラスがなぞると、くすぐったそうに身をよじる。

 下腹部全体に手を当てて、上下に優しく撫でる。上から感じる微かな圧迫感にエノテラが身体を震わせていた。身体に這わせていた指を、少しずつ下にずらしていく。

 指先がエノテラの内ももに触れる。焦らすように、秘部を避けてその周囲をなぞるたびに小さな口から切ない声が出ていた。

 

「あっ。んっ……ふ。エノテラの、おまんこ疼いて……ビショビショです」

「どれどれ?」

「ンっ~……!」

 淫猥な水音。粘り気のある水をかき混ぜた音が浴室の壁に響いた。それに合わせて、エノテラの身体が快感に素直な反応を見せる。

 エヌラスの指が、窮屈な女性器へと滑り込んでいく。

 

「本当だ。ここもちゃんと綺麗にしないとな」

 執拗に入り口の周囲をなぞるようにゆっくりとした動きで馴染ませていくと、目尻に涙を浮かべながらエノテラが頬を膨らませて睨んでくる。

 

「わかっててやってますね。エノテラはとても傷つきました。これはもう責任を取ってもらうしかありません。エノテラと籍を入れて生涯の苦楽を共にする権利を与えます。いいですね」

「……それ、今となにか違うのか?」

 耳元で囁きながら、耳たぶに軽く唇を当ててエヌラスが舌で耳裏を攻め始めた。

 股間から感じる波のような快楽と、鼓膜に直接伝わってくるからみついてくる快感にエノテラの口からは甘い声が発せられるばかりだ。くすぐったそうに、焦らされてもどかしそうに、切なげに足を閉じては開いてを繰り返す。身体は熱く固いモノを求めて堪らないのに、それを知っていてこんなにも情欲を焚きつかせてくるエヌラスに、エノテラは弄ばれていた。記憶はないのに、その手が、動きが、女性の悦ばせ方を覚えているらしい。

 膣に滑り込んでくる指が二本に増える。中をより大きくかき分けて、先程よりも複雑な動きでエノテラの膣を撫で回す。

 

「んひゃぅ、あっ、エノテラの、おまんこの中、グチャグチャに、かき混ぜて……そんなに、エノテラを悦ばせて、弄んでどうするつもり、ですか」

「エノテラの身体を綺麗にしてるのに、そんな言い方はないだろう」

「お尻に、ギンギン、ビンビンの熱くて固いものを当てながら言われても説得力が……、んんッ~~!」

「エノテラにも弱点、あったんだな」

 意外そうな声でエヌラスは膣をかき混ぜていた手で天井をなぞり始める。ほんの僅かな、肉壷の感触の違い。そこをトントンと小刻みにノックするとエノテラの身体が跳ねる。膣が締まり、指を離さない。引き抜こうとすると、吸いついて中へと誘い込んでくる。もっとそれをよこせとねだるように。

 下腹部を撫でていた手を離して、今度はエノテラの手を握る。指同士を絡ませた恋人のような手の繋ぎ方に、身体を預けてきた。

 

「そこ、ばっかりトントン、して……ッ! エノテラ、そんなにされたら、イッちゃ、ぅ、んっぅ! イッ、あッ、んぅぅぅ! キちゃ……んっ、ぁ、イく……! イ、く……エノテラ、おまんこクチュクチュ、トントンされて、イッ――イくゥゥゥッ!」

 背中を仰け反らせて、大きく跳ねたかと思うと次の瞬間。エノテラの女性器から勢いよく潮が吹き出す。まるで小水のように、お湯に混じって床を濡らしていた。エヌラスの指を離したかと思うと、今度こそチョロチョロと尿を流し始める。

 舌を出してだらしない顔をしながら、エノテラが自分の放尿を見つめていた。

 

「ぁ、ぁぁ……エノテラの、おもらし……全部、見られちゃいました。恥ずかしいです。一生モノの赤っ恥、です……もうこれは、逃がすわけにはいきません」

 ぐいっとエヌラスの腕を掴み、引き寄せるとそのまま顔を押しつける。

 触れた唇からすぐにエノテラが舌を入れてきた。エヌラスはそれを受け入れて、自分の舌を絡ませていく。粘膜同士の絡みつく音、息が苦しくなるほどにお互い我を忘れてキスを繰り返した。

 エノテラの指が伸びて、ペニスを擦る。それはすでに先端からカウパーをよだれのように垂らして、お預けを食らった犬のようにだらしなく屹立していた。手のひらに塗りたくって、エノテラがいやらしく微笑む。誘う淫魔のように。

 

「ぜぇったいに、エノテラは逃しませんよ? 覚悟しててくださいね」

「……」

 一応、明日も仕事があるのだが。そのことはちゃんと記憶しているのだろうか。エヌラスが念の為エノテラに尋ねると、眉を寄せて怪訝な表情をされた。

 

「何を言っているんですか。エノテラに限って、そんなわけないじゃないですか」

「そ、そうか」

「エヌラスさんの足腰が立たなくなるまでズッコンバッコン、朝まで精液搾取プレイです」

「俺はその後仕事では?」

「はい。なので、子鹿のように足腰ガクガクさせながら、お仕事に励んでください。当然、明日もエノテラとイチャイチャでラブラブなエッチ三昧です。嬉しいですか。嬉しいはずです」

 ムフーッとエノテラの目はすでにやる気満々。エヌラスが尋ねるよりも素早く跨ってペニスを秘部に擦りつけていた。あふれる愛液がまるでしゃぶるような口使いで熱く濡らしてくる。

 小さく思った次の瞬間には、一息にペニスを蜜のたっぷり詰まった肉壷の中いっぱいに頬張っていた。エノテラの身体が大きく仰け反る。挿入しただけで軽く達してしまったらしい。だが、そこはさすが傭兵団上がりの花騎士。体力仕事は人一倍手慣れている。すぐに快楽を求めて腰を打ち付け始めていた。

 パン、パンと小気味良いリズムで、時折変則的に腰をくねらせて精液をねだる。今すぐにもそれをよこせと駄々をこねる性器にエヌラスはしびれるような感覚を覚えていた。

 

「っ、エノテラ……ちょっと、ペース早すぎる……!」

「そうは言っても、身体は素直ですね。エノテラの中で、おちんぽビクビクしてますよ。すぐにでもおまんこにビュービューしたくて堪らないんですね。いいですよ、ほぉ……らっ」

 ゆっくりと腰を持ち上げて、根本まで咥える。ザラザラとした凹凸がみっちりと詰まったエノテラの肉壷は小さな身体に見合う狭さで、エヌラスの男根と余すところなく密着していた。ざらつきの一粒一粒までも感じ取れるほどに粘ついた腰使いで射精を煽るエノテラはすっかり惚けきった顔をしており、自らの口から垂れてくるよだれも拭わずに快楽の虜になっている。

 このままペースを握られたまま膣内射精してしまうのは情けないと思ったエヌラスは、手を伸ばして後ろからエノテラの胸を掴む。下半身に集中していた快楽が突然上体にも与えられて不意打ちを受けたエノテラが嬌声をあげた。

 

「うぅんぅぅぅっ♡ ん、もう。エノテラの、おっぱいそんなに好きなんですか? そんなにがっつかなくても、エノテラは逃げたりしませんってばぁ」

 手のひらに吸いついてくる柔らかな肉の感触。その先端はぷっくりと固くなり、ぴんと勃っていた。指で強く挟み込んで擦ると、エノテラが身悶えする。

 

「あっ、その……それ、好きです……ギュッてして、スリスリされるの、エノテラ気持ちいいです……んっ、あっ!」

「こうされるの、好きなのか?」

「もっと、つよくしてください。エノテラのこと、もっと、感じてください」

「ちょっと痛いかもしれないぞ」

 力を込めてエノテラの乳首を引っ張り、強く押し潰す。すると、エノテラが身体を大きく跳ねさせた。またイッたらしい。膣が痛いほどペニスを締め付けてくる。身体の境界線が曖昧になるほど密着して溶けそうな熱に包まれて、エヌラスもまた小さな身体を抱き寄せた。根本まで押し寄せてきている情欲が今にも弾けそうだからだ。

 

「~~~~、ッ!! イキそう、ですか? イイ、ですよ。エノテラのおまんこに、いっぱい精液出しちゃってください。エノテラ、ほしいです。エヌラスさんの白くて、熱いのぉ……!」

「エノテラ……、出すぞ……!」

「ンッ、あっ! んんんんぅぅぅぅっ!!!」

 エノテラの膣の中に熱い精液が注がれる。ペニスが射精の勢いで暴れ、エヌラスは抜けないように細い腰を掴んで押しつけた。まるで飲み干すように精液を搾り取っていくと、身体を大きく震わせて身悶えしている。射精の勢いが収まるまでの間、密着させた体温を全身で感じながら息を整えていた。

 

「ぁっ……ん、ッ……っ……ふ、ぅ……。んぁ……!」

 唇からか細い声を出しながらエノテラは膣を満たしていく余韻に浸る。

 

「エノテラの、おまんこ……ん……とっても、あっついです……。こぉんなに、出して……濃いのたっぷりで、エノテラもおなかいっぱいです」

「んっ……ふ……、抜いても、いいか?」

「それは、もう一発エノテラでヌくという意味ですか。それなら許可します……」

 自分の下腹部を撫でながら、ふやけたような。惚けた笑みを浮かべてエノテラが浮かせた腰を再び押しつける。愛液と混ざった精液がいやらしい音を立てて溢れた。

 

「どうなんですか、ほらほら。ぬぷぬぷ、くちゅくちゅといやらしい音を聞いて堪りませんか? 堪りませんよね? エノテラのちっちゃなおまんこの中で、ゴリゴリ。バキバキに勃起させたままですもん、ねっ!?」

 不意打ち気味に突き上げられて、エノテラが再び絶頂に達しそうになったのか、声がしぼんでいく。まだ飲み足りないのか、膣は吸いついて離そうとしない。まだペニスは十分に機能しており、一度や二度ではこちらも物足りないらしい。

 エヌラスは一度休憩を挟むためにエノテラからペニスを引き抜くと、エノテラの頭を撫でる。しかしそれが不満だったのか、頬を膨らませてしまった。

 

「んぅ、どうして抜いちゃうんですか……まだこっちは物欲しそうにしてますよ」

「エノテラにあんまり無理させちゃ悪いと思って……」

「大丈夫です。エノテラはこう見えて体力に自信があります」

「そうかもしれないけど、ちょっと苦しそうだったし」

「……そんな優しいところを見せられるとエノテラは何も言えなくなります。ズルいです。エノテラはドキドキ。おまんこもキュンキュンしちゃいます。なので食べ頃です」

 なにが? というエヌラスの疑問をよそに、艶かしく腰を振り始めている。

 後ろから抱きしめたまま持ち上げて、エヌラスはエノテラと湯船に浸かった。

 

 相変わらず頬をかわいらしく膨らませたまま体勢を変えてこちらと向き直る。胸を合わせて、首に手を回してしがみついてくるエノテラは離れようとする意思を一切見せなかった。

 改めて全身で感じる相手の体温と心臓の鼓動に、胸が安心感と充実感で満たされていく。完全に自分が気を緩めきっていると自覚はあるが、それに伴って眠気も覚えつつあった。目を閉じていたエヌラスの頬に、エノテラの手が添えられる。

 

「こんなにかわいい子とお風呂でイチャイチャしながら寝るのは厳禁です。さぁ、早く続きをしましょう――ちゅっ、」

「んむっ……。もう休憩はいいのか?」

「他の花騎士と鍛え方が違うので。エノテラはもう準備万端です。メロメロにしてあげます」

 それは手遅れのような気がするが――エヌラスはなにも言わずにエノテラが突き出してくる小さな唇と何度も唇を重ねる。

 舌を入れると、すぐに絡ませてきた。粘膜同士がかき混ぜられ、いやらしい音を立てて喉を鳴らしながら飲み込まれる。

 

「ん、く……このままじゃのぼせちゃいます」

「ずっとこうしていられるくらいには極楽気分だ」

「こうしたら、もっと気持ちよくなれます。ん……あぁ!」

 お湯に浸かりながら、それ以上の熱に包まれた。つい先程まで自分が味わっていた極楽の肉壷の中に再び招待されてエヌラスが背中を震わせる。何度味わっても飽きることのない感覚を貪欲に求めていた。

 

「ふふっ……、そんなに急かさなくてもエノテラはちゃんとここにいます。ずっと、ずーっと」

 耳元で魔法のように囁かれる蠱惑的な言葉に惑わされながら、エヌラスはゆっくりとエノテラの中を擦り上げる。小さな身体を抱きしめながら。

 

「エノテラにはお世話になりっぱなしだな」

「昼も、夜も。お仕事も、それ以外も。全部エノテラに、んっ、任せてください。エノテラはエヌラスさんをメロメロにするためなら何だってします。なんでも使います」

「そこまでされるほどの価値が、俺にあるかどうかだが……」

 記憶が無い。自分の過去が思い出せない。その不安が時折、言葉にならない恐怖感となって襲いかかってくる。それを紛らわせるようにエノテラと身体を重ねることは、まるで自分の罪から目を背けている気がしてならなかった。

 それでもこうしてエノテラの方から求めてくる。それを断ろうにも、強硬手段に出てくる。今回だってあれよあれよという間に二人でシングルベッド。周囲からどんな目で見られようと知らぬ顔で押し通す。エヌラスの不安をよそに自由気ままに振る舞う様は、どことなく危なげではあるが頼りになる。

 

 エノテラの身体の曲線を指でなぞっていく。その線を覚えるようにゆっくりと。くすぐったそうに身体をくねらせると、膣が変則的な動きでペニスをなぶる。

 頬に手を添えて、耳の後ろを指先でくすぐるとその愛撫に堪らず口から甘い吐息がこぼれた。

 

「んっ、はぁ……♡ なんですか、エノテラをトロトロのメチャメチャにしたくて仕方ないんですか。いいですよ」

「トロトロにはしたいが、乱暴に扱う気はないぞ。エノテラは、俺の大切な命の恩人なんだから」

「っ~~~~、ズルいです。本当にそういうところがズルいと思います。エノテラのムラムラがメラメラです。もうっ、もう!」

 怒りながら腰を淫らに振るエノテラの動きに合わせて水面が揺れて跳ねる。感情的で、情欲に任せたような腰の動きに、顔をぐっと近づけてきて舌を伸ばしていた。

 

「キス、いっぱいしたいです……」

 一生懸命に差し出される舌を甘く噛んで、口の中で丹念に舐めあげていく。流し込まれる唾液を飲み込みながら、苦しそうに喘ぎ、甘い嗚咽と卑猥な水音をあげながらエノテラは腰を動かし続ける。湯船に浸かっている熱とは別に身体の芯から燃え上がるような火照りと下腹部からも熱がこみ上げてきていた。抱き合っている身体の境界線が曖昧になって、溶けてひとつになっているような錯覚に、結合部の熱がとめどなく溢れ出す。それに合わせてエノテラも身体を激しく痙攣させながら声にならない声を嬌声をあげていた。

 ――しばらく抱き合ったまま無言で荒くなった息を整える。

 髪も、顔も、息も。乱れきったエノテラの背中と頭を抱きしめたまま優しく撫でると、子猫のように大人しくしていた。

 

「んっ……んぅ……あ、ふ……ナデナデ、好きですか?」

「……こうしてると、俺はおちつく」

「エノテラも、嫌いじゃありません。でも……」

「でも?」

「子供扱いされているみたいでちょっぴりメソメソです」

「……これでもか?」

 ぐっ、とエヌラスが腰を押し当てる。擦り寄せられる固い熱に、エノテラが一瞬だけ驚いた顔を見せたが、すぐにトロンと蕩けた顔をした。一瞬前までの熱の火照りも冷めやらぬままに身体が求めてしまう。

 

「グリグリ。ふふ、ふふふ……そんなに、エノテラの身体が好きなんですか? こんなふうにちっちゃくて、プニプニでツヤツヤのエノテラが好きで好きで仕方ないなら、しょうがありません。エノテラは、エヌラスさんの面倒を見る義務があるので。任務です、ええ。花騎士としての立派なおつとめなので、これも職務のうちです」

 果たして本当にそれが仕事のうちなのかどうかはエヌラスにとってどうでもいいことだが、これはこれで役得なのでエノテラの好きにさせていた。

 

「――このままじゃのぼせちゃいます。早くベッドで続きをしませんか……?」

 どうも、まだまだ物足りないらしい。とはいえ、エヌラスの身体も正直なものでその言葉を待っていたと言わんばかりに万全を期している。我が身ながら呆れるほどの精力。

 

 

 

 濡れたエノテラの髪と身体をタオルで綺麗に拭き取ると、待ちきれないのか腕にしがみついて離れようとしなかった。身体にバスタオルを巻かずに、全裸のまま室内に引っ張るとベッドに腰を下ろして無防備な肢体を見せつけてくる。もはや否定の余地なし、襲われても文句のつけようがないほどの誘い受け。

 足を開き、口元を手で隠しているが期待の眼差しと熱い吐息は隠しきれるものではない。

 目尻に涙を浮かべて、紅潮した頬と揺れる胸が早鐘を打つ心臓を物語っている。

 シワひとつなかった白いシーツに横たわることで、湯上がりの火照ったエノテラの身体の白さが更に際立つ。

 

「…………、♡」

 息を深く繰り返して身体を落ち着かせようとしているのだろう。深呼吸をするたびに、無音の部屋の中でエノテラの吐息が微かに聞こえた。無造作に開かれた足の間、秘部からはお預けを食らった犬のように白く濁った愛液が溢れている。いやらしくひくつきながら餌をねだっていた。あれほど注ぎ込まれて、まだ足りないらしい。

 やがて、エノテラが手を伸ばした。エヌラスを受け入れるように。

 

「エヌラスさん……エノテラは、いつでもいいです。きてください」

「――――」

 ぎっ、と二人分の体重を預けたベッドが軋んだ。覆いかぶさる形で、上からエノテラを見下ろすエヌラスは見つめたまましばし、動かなかった。

 垂れた前髪を撫でるようにエノテラが指で梳く。伸ばした左側の髪に隠れて、左目の刀傷をなぞる。その傷跡は明らかに深く、失明しているはずだった。だが、赤い瞳は何事もないかのようにエノテラを見つめている。

 整った頬を撫で、首に指を這わせて、鎖骨から下へ。傷跡だらけの胸板。一際目立つ左胸にある謎の紋章。そこに視線が向けられていることに気づいたのか、エヌラスが自分の手で触れる。

 記憶がなくても、それが大切なものであることは本能で理解していた。

 エノテラの指が紋章をなぞる。後ろ足で立つ銀の獅子を象った紋様からは魔力が感じられた。それはまるでエヌラスのことを守るように。

 

「……エノテラ、くすぐったい」

「傭兵団にいた頃でも、エヌラスさんくらい傷だらけの人は見たことありません。サワサワ、ナデナデ……」

 胸板の傷跡をなぞり、エヌラスが身体を小さく震わせた。エノテラのかわいいイタズラに刺激されて、興奮が収まらないペニスが秘部に押し当てられる。熱いキスに今度はエノテラの口元が緩んだ。早く欲しくて欲しくて堪らない。腰を浮かせて、愛液を塗りたくる。

 

「んっ……! はやく、はやくください……! エノテラ、もうまちきれなくって……おまんこ、切ないです」

 どんなに愛されても、物足りない。どれだけ身体と心を重ねても、不安で仕方がない。こんな温もりに満たされる幸せを知ってしまったら、戻れない。身体の内側からこみ上げてくる熱と、密着する素肌から伝わってくる体温。

 そんなふうに優しく抱きしめられながら寂しさを埋めるように満たしてくれるエヌラスのことが、好きで好きでたまらなくなってしまう。

 

「ふ、ぁ! んんぅぅ……!! ゴリゴリって、エノテラのお腹……こすれて……!」

「っ、やっぱりエノテラの身体には、ちょっとキツいか……」

「でも、エノテラはこれ、すきです……」

 結合部を見つめていたエノテラの顔が、蕩ける。ゆっくりと引き抜かれていく肉棒が愛液で濡れていた。まるでしゃぶり尽くすように咥えて離さない自分の性器の貪欲さは素直で嫌いじゃない。もっと欲しい、なくならない飴玉のようにずっと頬張っていたい。飽きることはきっとないし、尽きることもない欲をとことん満たしたい。

 緩急をつけた腰の動きに合わせて、エノテラの口からは嬌声と甘い声が交互に吐息と共に出てきていた。ベッドが軋む音も二人の動きに合わせてリズムをとっている。

 

「もっと、激しくしてください。もっと、エノテラを感じてください……んっ、あぁぁぁ!」

 腰を掴まれて、乱暴にかき回される性器の中で熱が弾けた。何度目になるかすら数えてすらいない。身体に注がれ、溢れてお腹にまで吐き出される白い熱の粘液の前にはどうでもいいこと。お互いに呼吸を少しだけ荒くしながら、体位を変える。どちらともなく。

 エノテラは四つん這いになり、お尻を高く突き出すと左右に振った。後ろから挿入されると、今度は身体を引き寄せられる。獣のような交尾に興奮を覚えないはずがなく、シーツを掴んで喘ぐ他になかった。

 持ち上げられていた腰が不意に降ろされて、そのままベッドに押し倒される。後ろから腰を密着させて、奥の方をねちっこく何度も小突いてくる。深く、短いストロークは苦しさと気持ちよさが引くことなく何度も押し寄せてきていた。息が乱れていくエノテラの様子を察したのか、エヌラスはゆっくりとペニスを引き抜くと、入り口で止めた。

 

「…………? は、ぁ……はぁ……エヌラスさん……? どうして、止めるんですか……?」

「エノテラがイキそうだったから」

「ん、ぅ~~……! んーー……!!」

 今度は浅いところを何度も攻めてくる。そのせいで、執拗に振動を与えられるクリトリスが震えていた。もどかしくてたまらずエノテラが腰を振る。

 

「いじわるしないでください。エノテラは、だいじょうぶですからぁ……」

「だから……どうして欲しいのか、ちゃんと言ってほしい」

「~~~~っ、エノテラをイカせてください……いっぱい、気持ちよくしてください……」

「わかった。じゃあ、一緒にいっぱい気持ちよくなろう、な」

 そのおねだりに、エヌラスが腰を深く沈ませていく。浅瀬から押し寄せてくる快感の津波にエノテラがシーツを握り、枕に顔を埋めて嬌声を挙げていた。

 それからは、何度も何度も。体位を変えて、休憩を挟みながら、それでも飽きることなく身体を重ねて離れることはなかった。

 

 抱きしめ合いながらキスを繰り返して、エノテラが身体を起こすと騎乗位のままに腰を激しく打ちつける。もはや何度目かも忘れた性交を終えて、身体を横たえた。

 汗だくになった身体と、乱れた髪を梳いてエヌラスが小さな身体を抱きしめる。

 

「……、ん」

「はぁ……せっかく、風呂入ったのに、これじゃ意味なくなっちゃったな」

「じゃあ、明日の朝一番に……また一緒に入りましょう」

「そうだな」

「……そうしたら、またお風呂でも綺麗に“お掃除”してあげます」

「それは楽しみにしていいのか?」

「もちろんです……なので……」

 背中に手を回してきて、エノテラが胸板に頭を埋めた。心臓の鼓動に耳を当てられている気がして、恥ずかしさと同時に心地よさがこみ上げてくる。

 上目遣いに見つめながら、唇を小さく突き出してきた。それに応えて、エヌラスが唇を重ねる。

 

「……エノテラを離さないでください。絶対です、何が何でも」

 もちろんだ――と、そう思ってはいたが。しかし、どうしてか。その言葉が口から出てくることはなかった。なぜかはわからない。自分の胸の内側にある、言葉にならない不安感がせき止めている。危機感、あるいは、本能的に“それ”を口にしてはならないとでも物語るように。

 それでもせめて、今だけは。限られた時間の中で、精一杯――この少女のために命を尽くしたいと思う。

 

「むぅ……エヌラスさんはいじわるです。でも、そんなところがエノテラ好みです。なので、覚悟の用意をしておいてください」

「な、なんの……?」

「もちろん。エノテラと生涯の苦楽を共にする覚悟です。できてますか? できてなくても大丈夫です」

 エノテラが身を起こして、再び意地の悪い笑みを浮かべる。淫魔のような、妖艶な笑み。幼い外見からは想像もつかないほどの蠱惑的な表情に、そのゆっくりとしたいやらしい腰使いで最早呆れ返る程の精力を見せる自分のペニスに、腰を押しつける。まるでしゃぶり尽くすような、密着した性器がびしょ濡れになっていた。

 

「お、おい。ちょっと、エノテラ……? あの、エノテラさん?」

「ンフフ……なんですか? こっちはこんなに期待しちゃっているのに、まさかエノテラの厚意を無下にするつもりじゃありませんよね。それにさっき言いました。朝まで、たっぷり、搾り取るって。なので、エノテラのこのちょっとぽっこりしたお腹に入り切らなくても、口でも手でも、おしりでも、どこでも使います――まだまだ、夜は長いですよ」

 熱い吐息をこぼしながら、エノテラが覆いかぶさってくる。

 傭兵団上がりの花騎士、自由人の花騎士。エノテラに襲われるのはこれで何度目かになるわけだが――エヌラスはそんな夜を過ごすのが、嫌いではなかった。

 

 

 

 ――翌日。

 

 ブロッサムヒルの花騎士、アネモネがとある情報からここ商業都市スカネに足を運んだ。三叉の槍を携えて、若干呆れながらも件の場所へ向かう。

 そこにいたのは、ベッタリとくっついて離れようとしないリリィウッドの花騎士、エノテラと、花騎士遊撃隊の隊長(仮)のエヌラス。案の定というか、なんというか……呆れた。

 

「はぁ……。昨日はお楽しみだったのかな……スカネの視察が終わったら花騎士の駐屯所に戻ってきて報告って……私言ってたような気がするんだけど?」

「あー、いやー、そのー……」

「安心してください。そこはエノテラがやっておきました」

「いつの間に?」

「できる女なので褒めてください。ご褒美も期待してますね」

 言うが早いか、エノテラはしっかりと書類を手にしている。本当にいつの間に用意したのか。そもそもそんな重要書類をいつ持ち出したのか――、とエヌラスが勘ぐるとその気配を察したのかエノテラが愛用している十字架で足を小突いてきた。

 多分、というかおそらく。密かに持ち出して予め書いておいた、虚偽の報告書ではないだろうか……いやエノテラに限ってそれはない。と、信じたい。

 疑いの眼差しが向けられるのは、エノテラではなくエヌラスにだけ。

 じとー、と湿り気のある陰気な眼差しに見つめられて訴えられている。

 しかし、アネモネも流石に話をややこしくするのは避けたかったのかため息をひとつ。

 

「はぁ……これは、私の方で預かっておくね。もう……程々にしておかないと――“お仕置き”されたいのかな?」

「お仕置きはちょっと勘弁してください……」

「なら、今後はちゃんとお仕事頑張るように。ね、隊長さん?」

「新米なりにがんばります……」

 ブロッサムヒルに来てからというもの、アネモネには迷惑を掛けっぱなしだ。それもこれも全部エノテラが好き勝手するのが悪いのだがそれを止められない自分にも責任がある。まがりなりにも花騎士を率いる隊長なのだから。

 

「それじゃ、今日は実地訓練という予定だったけれど。覚えてた?」

「覚えてるよ、流石に。な、エノテラ」

「そうですね」

 ……そっけない返事に、今度はエヌラスが深く肩を落とした。

 少人数とはいえ、こんなにも癖のある花騎士をまとめあげている他の団長のお手並みをぜひともご教授願いたいものだ。




続かないよ!!!!!!!!!
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