このすばweb版の魔王を倒した後の話ですが、キャラ設定は文庫版に寄せています。
エリス様メインのストーリーですが、徐々にハーレムになっていくような気がします。
下ネタや欲望の描写があるのでR-18です。
エロ描写は、いつか来るかもしれません。
カズマのパーティーに、エリスがやってきた。
サトウカズマは魔王を倒して世界を救った。神々から提示された彼への報酬は
[平和な日本に転生し、裕福な家庭で理想的な伴侶と共に何不自由なく生涯を過ごす事]
または
[彼の戦った世界で再び蘇生すること]
この二択は神々の判断基準に照らし合わせた場合、明らかに後者の選択肢の価値が低いと思われた。しかし
[彼は世の英雄と扱われる。そして与えられるであろう莫大な報酬。彼は平和を望むため、以降の命の危険はない]
これらを加味することで、同等の価値があると判断されたのだ。
しかし、自分達の派遣した人材が、その根底を破壊することとなった……
__ある日__
「カズマさんどうしよう!拾ってきた卵がワイバーンの卵だったの!町に向かってきてるのー!!」
「またか!この駄女神!なんでトラブルばっかり持ってくるんだ!」
__また別のある日__
「じゃんじゃんお酒持ってきて!カズマのお金はまだまだあるわ!全員に奢りよ!」
「ふざけんな!レイドクエストだぞ?!何人居ると思ってるんだ!しかも何回目だよ!」
___そして更に別のある日___
「カズマが英雄?な~にいってんの!あんなスケベ丸出しで、その癖ヘタレで責任を取りたくない奴が英雄な訳ないわ。私が居なきゃあんなの使えないヒキニートよ!私が育てたから英雄になったと言っても過言では無いわね!」
「ほー、お前が俺の何を育ててくれたか、あっちで詳しく聞こうか…」
________________
「と、まぁそんな感じで、世界の英雄に対する義理を果たせてない。このままでは神の沽券に関わる。と言う問題が提起されまして…」
と大変申し訳なさそうにうちのリビングで項垂れているのが、この世界担当の[本物の女神様]ことエリス様である。先輩女神の不出来に後輩が頭を下げに来るとは、アクアは本当にこれで良いんだろうか……
「良いんですよエリス様。なんだかんだで俺はこの生活が結構気に入ってますし、アクアを送り返すなんてことは絶対にしません。ぶっちゃけ、死なない為の保険でもありますし…」
「なによ、ヒキニートのくせに…生意気なんだから……」
この駄女神、さっきまで「帰らないもん!」って泣いていた癖に、俺が庇ったら直ぐにこれだ。魔王を倒してからは少しだけ素直になった気もするが、出来れば普段から素直で居てくれないだろうか……
「はい。今まで見てきて、カズマさんのアクア先輩を大切に思う気持ちは分かります。そこで神々から追加で特典を与えると言う方向で話がまとまりましたので、今日はご挨拶に来たわけです!」
なるほど、エリス様の提案は大変魅力的なモノだ。つまり、俺はミツルギのようなチート持ちとして、実力派冒険者の仲間入りと言うわけだ。冒険者の汎用性にチート能力を加えれば、もはや怖いものなんてないんじゃなかろうか?これは慎重に選ばないと…
「素晴らしいお心遣いありがとうございます。で、頂ける特典はどんなものになります?」
かしこまって敬語になったが、内心俺は小躍りしていた。しかし、エリス様は俺の予想を遥かに越えた回答を、大変愛らしい赤面した表情で告げてきた。
「女神は……特典になりますでしょうか?」
「…………はい?」
赤面したエリス様が、うつむき気味にチラチラとこちらを伺っている。つまりアレか?特典はエリス様ってか?いや待て一度冷静になろう。そう言う甘酸っぱい俺の予想は基本的に外れる。どうせアクアが本気モードになるとかそんなオチだ。ちゃんと確認をして、もし本気アクアならお断りをしなければ……
「エリス様が欲しいです」(イケボ)
おっと俺の本能が勝手に!これは完全に恥ずかしい!いや貰えたら最高だけども、流石にそんな都合の良い話が……
「はい!今日からお願いします!」
そんな慌てふためく俺に向かって、エリス様は真っ直ぐな笑顔で答えてくれた。あれ、まさかの大正解?でも国教の女神様が特典とか、流石に破格過ぎる気も……
「ここに契約は果たされました」
「いや今度はなに?!」
俺が1人で混乱していると、リビングの天井から懐かしい顔が降りてきた。いや女神の次は天使かよ。大司教でもこんな状況には遭遇しないぞ……
「サトウカズマ様、お久しぶりです」
いやそれにしても誰だっけこの人…なんか懐かしく見えるんだけど……
「あぁ!!あんた、よくも私を下界に落としてくれたわね!しかもなんの準備もなく!」
「おぉ!そう言えば転生の時に見た顔だな!」
そうだ。この人はアクアを特典にしたときの天使だ。そう言えば名前知らないな。ほとんど会話もしてないし。
「アクア様はカズマ様に見定められ、魔王を共に倒した英雄となりました。きっとあの困難は必要だったのです」
ニッコリ
俺に言う権利はないと思うが、準備時間くらいあげても良かったんじゃないかな?いや、本当に俺が言うことでは無いのだが……
「ふざけんじゃないわよ!あの大工仕事なんて、完全に出遅れもいい所じゃない!そもそもねぇ!」
「さて、いまここに契約は結ばれました。カズマ様、貴方の更なる冒険に祝福を」
「いや聞きなさいよ?!」
天使は笑顔でそう告げると、エリス様に向き直る。アクアは完全に無視されているが、天界でもこんな扱いだったんだろうか…
「エリス様、これは本来ならば日本で行うべき使命です。こちらの世界では困難かも知れません。しかし、貴方ならばきっとやり遂げられます。応援しております」
「はい。私は、立派に私の使命を果たします!」
「では、貴方の未来に祝福を」
「ちょっと!私の話は終わってないわよ!無視しないで!こらぁ!勝手に帰るんじゃないわよぉ!」
良い雰囲気を出して言いたいことだけ言った天使様は、まるで空気に溶けたように消えてしまった。さて、ここで疑問が2つ発生した訳だが、取りあえず本人が目の前に居るので聞いてみることにしよう。知らないことを放置すると、大抵ろくなことにならない。
「エリス様、特典と言うことですが、アクアと同じような状況と思って良いんですか?」
「はい。基本的にはその考えで問題ありません。この世界の女神としての力は持っていますが、あくまで管理者なので好き放題には使えません。あまり過度な期待は持たないでくださいね?」
エリス様は地上に降りた時のアクアとは違い、随分と余裕があるように見える。まぁ自分の愛した世界が平和になったんだし、その世界を見て回るのも悪くないのかも知れない。さて、では二つ目の疑問だ。
「日本で果たす予定だった使命って、何か聞いても良いですか?」
「え?……それはその…」
しまった。神様の使命とか軽々しく聞いちゃ不味かったか?さっき契約とか言っちゃったし、知ったら連帯責任とか負わされる可能性もある。よし、ここはそれとなくフォローを入れよう。
「い、言えないなら無理には聞きませんよ?!聞いたら関係者とかなら、ほんと大丈夫なんで…」
知ったらお前も関係者なんて、この不条理な世界では良くある話だ。俺は今後平和に暮らしたいので、知らなくて良いなら知らなくても良い。いや、それならむしろ知りたくもない。
「えっと…これはちゃんと聞いてもらった方が良いと思います。その、別に強制とかではありませんから……」
「そ、そういう事なら、聞かせてください」
強制はしないと言う割には、エリス様の顔には緊張が見える。ここまで聞いてしまった以上、聞かないと言うのもフラグになりそうだ。大丈夫、相手はエリス様だ。そんな馬鹿な話をするはずが……
「わ、私の使命は……カズマさんのお嫁さんです!」
「……はっ?」
そんな身構えた俺に向かって、エリス様は真っ赤になりながら、とんでもない使命を明かしたのだった。
「え、エリス様が嫁だと?!」
これは聞き間違いではない!今のは間違いなく嫁だといった!完全に俺の嫁だと言った!なにこれ素敵すぎる!魔王を倒した俺に惚れたってことでいいんだよな?!と言うかそれ以外に愛される理由ないし!
「はいはーい。馬鹿な冗談やめなさい。なんでエリスがカズマのお嫁さんになるのよ。まったく意味わからないんですけど?カズマは本気にしちゃうから、そう言うドッキリは悪質よ?」
アクアがやれやれといった感じで、俺とエリス様の間に割り込んで来た。確かに、そんな宣言までして嫁ぐ必要性はないし、そもそも嫁入りを使命とするのも意味が分からない。でも、エリス様が冗談なんて……いや言うか……
「そもそも、なんでエリスなのよ?あんたこんなのが好きなの?」
「おい、こんなのは辞めろ。俺も人並に傷付く」
認めたくないが、確かにそれも疑問ではある。俺は魔王を討伐したとは言え、中身は普通の学生だ。女神様と釣り合うわけがない。今日のアクアは割と冴えている。俺がモテない前提なのは腹が立つが、確かにエリス様に惚れられるかと聞かれたら自信はない。でも、だとしても後で折檻はする。
「カズマさんの魔王討伐特典の中に[理想的な伴侶]が含まれてたんですが…」
「そう言うのは、好みが合う人間を探し当てるもんでしょ?」
「それはそうなんですが…カズマさんの事が好きになる人が天文学的な確率だったので……」
「ブフッ!カズマさん可哀想!」
おいやめろ。これは俺も普通に傷つく。
「で、なんでエリスな訳?適当な天使で良かったんじゃない?あの子達って自我を殺し慣れてるから演技だって余裕でしょ?」
なにその地獄の労働環境。流石に天使に同情する。
「……が、しい…て…」
これはきっとアクアの疑問に答えているのだろうが、エリス様は耳まで真っ赤にしながら小声で何かを話している。ひょっとしてそれは言いにくい事なのか?!俺はモテな過ぎて、そんなにも残酷な運命を背負っていると言うのか?!
「ちょっとー?聞こえないんですけどー?カズマがクズでモテないのはこの世界では常識なんだから、気を使わないでハッキリ言いなさいよね!」
よーし、アクアの隠し持ってる高級シュワシュワを今度勝手に飲んでやろう。そして俺を馬鹿にしたことを泣いて謝るが良い。なんて、そんな事を考えていたら、エリス様は意を決した顔で俺とアクアを見て、ハッキリと声を張った。
「カズマさんが私を好きって言ったからです!」
「は?じょ、冗談きついわよ?!いやだってカズマは私の……えぇ?!」
アクアがもの凄く狼狽えているが、俺はお前の何者でもない。しかし、そう言えば魔王を倒した後でアクアじゃなくてエリス様を指名したな。後でアクアに怒られて、結局は元に戻されたけど…
「カズマは常に私が目の前にいるのよ?!なんでパッドを選ぶのよ!?」
「アクア先輩は女神としての振る舞いに問題がありすぎるんです!そもそも私が派遣された理由も大半は先輩の責任ですからね!」
この国を代表する女神二人がギャーギャー言い合っているが、こう言うところは普通に女の子なんだな。らちが明かないし、取りあえず俺が止めるか…
「ストップ!アクア、ハウス!つまり、エリス様は俺を幸せにするために特典として来た。可能なら嫁いで幸福条件を1つ満たしてこい。って認識で良いですか?」
「そう言うことになりますね」
何だろう。これアルダープやアイリスの件にちょっと似ている。俺という権力者に、天界がエリス様を宛がうと言う事ではないのだろうか……そう、エリス様の意志は無視して……
「エリス様、神々とやらに伝言は可能ですか?」
「一応、私はこの世界の女神なので、私からならメッセージを送ることが出来ると思いますが……」
それなら、これは一言いってやらないと気がすまない。なんでエリス様の気持ちを尊重しないんだ?彼女の意思は無視して、ただの勇者への報酬扱い?ふざけているにも程があるだろう!
「じゃあ、すみませんが伝えてください。エリス様が好きな人と結ばれない特典なんて……こっちからクソくらえだ!ってね」
俺は確かにエリス様は好みだ。でも、結婚はそう言う一方通行で、義務感でやるもんじゃない。少なくとも、俺はそんなの認めない。
「えっと、お伝えしておきます…」
「お願いします。そもそも、俺が好きな人と結婚すればそのエリス様の使命は果たさなくていいんでしょう?」
「そ、それはそうですが……お相手がいらっしゃるのでしょうか?」
あ、こっちの女神も意外と容赦ない。俺、さっきまでカッコ良かったですよね?なんでその空気で終われないんですか?!
「居ませんけどね…」
「私、頑張りますから!もし使命が果たせなくても、ちゃんとカズマさんを幸せに導きますから!」
何だろう。この真剣なフォローに少しだけ自分が惨めになってきた。幸運の女神が気合い入れなきゃ、俺は結婚も出来ないと言うのか……
「私のような優秀な女神が隣に居るのよ?カズマはもう十分幸せよ。エリスは私の補佐として頑張りなさい!」
「うるさい全ての元凶が!お前が居なきゃもっとモテてるわ!」
「痛い痛い!モテないのは私関係ないでしょ?!」
しかし、エリス様が困るのは俺としても不本意だ。なので、取りあえずアクアを折檻しながら、[この世界で幸せになる]ことを少しだけ考えてみよう。この平和な世界なら、きっとそれも可能だろうしな。
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「今日からこのパーティーにお世話になるクリスです。盗賊やってます。まぁ、みんな知ってるよね?」
翌日。エリス様が降臨したなんて明かせないので、取りあえずクリスとしてうちのパーティーに入って貰う事となった。となれば歓迎会は必須だろう。ちなみに、アクアへの説明としては……
「私はこの世界の主神でもありますので、普段から側には居られません。代わりにカズマさんの為になる情報を与えます。盗賊の女の子を仲間に加えなさい。彼女はパーティーへ繁栄をもたらします」
なんて雑な話で誤魔化している。しかし、クリスが高級酒を何本か持っていたため……
「エリスったらたまには役に立つじゃない!ちょっとクリス、あんた今日からうちのパーティーに入りなさいよ!大丈夫!何があってもカズマが何とかするわ!そして、うちのパーティではお酒は共有財産だからね!」
などとアクアが突然積極的になり、こんな感じでトントン拍子に話が進んだ。まったく、エリス様がアクアの扱いになれているのか、この惰女神が扱い易いだけなのか、まさかここまで残念だとは……
「今まで何度か誘ったのに、ずいぶん急な心変わりだな…」
「あたしは盗賊だからね?本来はパーティーで行動するのは専門外なんだけど。今は英雄様の恩恵に預かりたいと思って!」
「まったく、現金な奴だな…まぁ、それでも歓迎するよ。改めてよろしくなクリス」
「うん!」
ダクネスとしては少し引っ掛かるものがあったようだが、古くからの友人を歓迎しないはずもない。その表情は実に嬉しそうだ。
「パーティーの人数が増えることに異論はありません。でも良いですか?新人は爆裂散歩に強制参加ですからね!」
「はーい、めぐみん先輩。魔王城を落とした爆裂魔法、楽しみにしてます」
「えぇ、楽しみにしておきなさい。世界最強のアークウィザードの一撃。見られるのはこのパーティーだけですからね!」
ちなみに、めぐみんも反対しないのは分かっていた。コイツは何だかんだ仲間思いだから、ゆんゆん以外ならすんなり受け入れてくれると思う。爆裂散歩を頼める相手が増えたのは、俺としても素直にありがたい。
「このパーティーはこのアクア様の庇護下にあるの。クリスも今日からアクシズ教に入信するのよ?」
「嘘だよねダクネス?!ダクネスはエリス教だよね?!」
「安心してくれ。アクアは本物の女神だったが、それでも入信を強制するような事はしない。そもそもこのパーティーの誰も入ってはいないしな」
「ちょっとダクネス!裏切ったわね?!」
流石に嘘付いて入信させようとすんなよ。でも、エリス様をアクシズ教に入信って可能なのか?エリス教の前に、アクシズ系とか着くんだろうか…ヤバイ組みたいだな……
「と言う事で、本日からクリスが仲間に加わった。俺は自分のパーティーメンバーを馬小屋で寝かせるような事はしたくないから、屋敷にクリスの部屋を用意しようと思う。異論はないな?」
「私の隣の部屋に来ると良い。カズマの部屋の隣は不安だろ?コイツはクリスの下着を何度も盗んだ外道だからな」
「おいやめろ。英雄になった筈の俺が、いまだにクズ扱いされるのはお前らのせいだからな?!」
「カズマがそう言う扱いなのは自己責任でしょう?人の事を頭のおかしいとか、よく言えますよね?」
うん。きっと俺が天文学的にモテないのは多分コイツらのせいだ。だって、俺に変なイメージ付けるの大抵こいつらだもん!
「ほら、シュワシュワきたわよー。歓迎会するんでしょー?そういう話は今度にしない?」
「そうですね」「そうだな」
この駄女神がアルコールの為とは言え事態を収集するとは思わなかった。確かに今日は記念すべき日だ。この不毛な争いは辞めて、この女神様を歓迎しよう。
「よし、クリスのパーティー加入を祝して…」
「「「乾杯!」」」
……………………………………
アルコールが入ったあとは、いつも通りアクアが宴会芸を披露して吐いて、酔った勢いで俺がスティールをして、狙った覚えのないクリスのパンツを奪い、酒場の女性陣から帰るまでクズマコールをされる。英雄になってもこの日常は変わらないようだ。ところで毎回パンツ取られてるけど、エリス様は本当に幸運の女神なんだろうか?
「ねぇ、助手君。入っても良い?」
「おう、鍵は開いてるぞ」
そろそろ寝ようかと思った所に、クリスが訪ねてきた。扉を閉めると同時に鍵をかけ、その姿を女神に変えて、俺の方へゆっくりと歩いてくる。ところでどうなってるんだろう。その変装能力……
「カズマさん、今日からお世話になります。女神が町にいては騒ぎになりますので、今後はクリスとしてパーティーに参加しますね。でも、二人きりならエリスでも良いですよね?」
「そうですね。エリス様は有名すぎますから、混乱を避けるにはそっちの方が良いと思います」
それに、俺の前でだけ特別なのも、男としては嬉しい限りだし。
「あとですね…二人きりの時くらい。エリスって呼んでくれませんか?」
えっ、なんだこれ。何故か謎のおねだりイベントが発生したぞ。俺としては何も問題はないが、と言うかご褒美でしかないんだが……
「い、良いんですか?エリス様はマジもんの女神なのに……」
「アクア先輩も本物なのですが……」
アクアは違う。尊敬の念を感じるより、迷惑さを感じる方が多い。あれは俺の中では女神とは認められない。
「それに…」
「それに?」
「私だって…お嫁さん候補なんですよ?」
あぁ、これが女神…天使の上を行く存在とはこの事を言うんだろう。いや別に特典だから娶るとかないけどさ?それでもそういうシチュエーションだけ楽しむなら良くない?なんなら、マジで惚れて貰えば万事解決な訳だしさ!
「エリス」(イケボ)
「ひゃい!」
俺は調子に乗ってエリスの耳元で名前を呼んだ。なんて可愛い反応を返してくれるんだこの女神様は……結婚したい。でも、神々の思惑で結婚するのだけは避けなければならない。そうなれば……
「か、神々の思惑とは関係なく、エリスが本気で俺に惚れてくれたら嫁に来てください!あんな偉そうにして情けないけど、やっぱりエリス様が好きなんで!」
俺は思惑に負けそうになる心をギリギリの理性で抑え込み、何とかその言葉をひねり出した。いや、もう思惑でもなんでも結婚したかったが、それはエリス様が可哀想だ。愛する相手だからこそ、相手にも幸せになって欲しい。政略結婚の現場に立ち会ったからこそ、俺はそんな風になりたくない。
「それは…期待しても良いんですか?」
「俺は魔王を打ち倒した男ですよ?天文学的にモテないのは嘘だと証明します!」
フラグにしかならないだろうけど、少し位かっこつけてもバチは当たらないだろう。バチを当てる立場の方が目の前にいるんだ。もはや怖いものなんてない。いや、嫌われるのは怖いけど……
「じゃあ、早速良いところ見せてくださいね?」
「えっ?早速って……エリス様?!」
俺の決心を聞き届けたエリス様は、その言葉と同時に俺のベッドに倒れこんだ。その姿はあまりにも無防備で、俺の中の獣が顔を出しそうになる。
「まだ私のお部屋にはベッドが無いんです。あーカズマさんのベッド、凄く上質ですねぇ」
「そ、そう言えばそうでしたね……」
俺の苦悩など気にも止めず、エリスは俺の枕に顔を埋めながらベッドのふかふかを楽しんでいる。さぁ、これはどっちだ?大人の階段か?それともベッドを譲って俺はリビングのソファーか?!
「分かったよエリス。エリスがそこまで俺のこと本気なら、俺もその気持ちに……」(イケボ)
しかし、決心した女の子に恥をかかせるくらいなら、俺は喜んで恥をかこう。そう、大人の階段を登るか、踏み外すかの大勝負に………
「すぴー……」
「………ですよね」
まぁ、どうせこんなことだろうと思ったよ。バーカ!俺はもうリビングで寝るからな!と、俺は少し不機嫌になりつつドアノブに手をかけ、そしてその場で踏みとどまった。
「あ、鍵が……」
そう言えば、エリスはさっき鍵をかけた。俺が出ていく場合、当然鍵を開けないと出られない。しかし、この正体丸出しのエリスをダクネスかめぐみんが発見しないとも限らないわけで…
「くっ、これは不可抗力だ。今日は少し冷えるし、エリスも薄着過ぎる。風邪など引いたら大変だ……」
誰に言うでもなく、見苦しい言い訳をして、俺はエリスの隣に寝た。そして、そっと毛布をかけた。一枚の毛布は二人で寝るには狭いので、どうしても身体が密着してしまう。いや、しかしコレは仕方ない。混乱を招かないためには、もうこれ以上の手段はないのだ。きっとエリスも許してくれる!
「それじゃ、おやすみ」
寝ているエリスに向けて、と言うより自分に向けて、俺は決意表明にも似た言葉を投げかけた。そう、俺はこれから寝るのである。決していやらしい事はせず、ただ誠実にエリスの隣で……
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「ねぇ、カズマさん……」
「な?!なんでしょうか」
隣に寝てどれ位経っただろう?密着したエリスから不意に声をかけられ、俺は素っ頓狂な声が出てしまう。こんな美人と密着しているのだから、俺の緊張は半端ではない。むしろ返事が出来ただけで、自分を褒めたいと思うほどだ。
「さっき酒場で、私から下着をスティールしたじゃないですか…」
「す、すみません。あれは誰か特定のターゲットを狙ったんじゃないんですよ?本当に偶然なんです!」
エリスは突拍子もなく、いきなり焦る質問を俺に投げ掛けて来た。俺だってまさかエリス(クリス)にターゲットが行くとは思わなかった。しかし、それにしても何故いまそれを…
「だから、まだ…着けてないんです…」
「えっ?!」
突然のエリスの大胆な告白に、俺はただ慌てるしか出来なかった。女神様が俺にそんな大胆に迫ると言うのか?!俺はそんなに罪な男だったのか?!
「確認、しますか?」
「喜んで」
しかし俺はヘタレでは無いし、鈍感系主人公でもない。だが、ここで焦れば童貞丸出しだ。なるべくクールにエリスの毛布をめくり、そしてエレガントにスカートをつまんだ。大丈夫だ落ち着け。俺はただ大人の階段を登るだけ。人生の転機が、このタイミングで訪れただけなのだ。
「いいんですね?」
「…はい」
エリスの許可を貰い。ゆっくりとスカートをたくしあげていく。あぁ、俺は女神様と大人の階段を……
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チュンチュン。
そんな光景を前に、俺は朝の日差しと小鳥のさえずりで目を覚ました。隣のエリスは全く衣装の乱れも無く、まさに安眠だった事が見て取れる。
「夢オチかよ……」
目の前に本物が居ると、見る夢にもリアリティーが出るらしい。それにしても、俺は女神様に何を求めているんだ。これではとんでもない背教者だ。取りあえず先に起きて顔を洗おう。そして、なんなら反省文を書いてエリスに提出を……クイッ
「マジでか…」
ベッドから身を起こそうと身体を捻ると、右腕にしがみつくエリスが俺の動きを阻害した。顔も近い。色々柔らかい。むしろ狼を制した俺を誉めてやりたい。が、ここで油断するといつもの俺だ。変態と言われてぼろ雑巾になり、そして無実の罪で裁かれる。そして、早く離れてもらわないとカズマ(小)がノーマルモードにならない。これも罪にカウントされてしまう。
「エリスさまー、二人で寝室から出てきた所を見られたら、俺は英雄から世界的背教者に早変わりするんですが?」
「んぅ…カズマさん…おはようございますぅ……」
エリスはまだ半分寝ているらしい。寝ぼけた顔まで可愛い、女神とはここまで完成されたものなのか、アクアは本当に女神なのだろうか?
「カズマー、今日の朝食当番あんたでしょー。早く起きなさいよー」
クソっ!この不良品女神!エリスを眺める癒しの一時を邪魔しやがって!なんで今日に限って早起きなんだよ!
「もう起きてるよー!すぐ行くから待っとけー」
「早くしてよねー。クリスも朝から返事が無いんだけど、何か知らない?」
でも、なんだかんだ面倒見は良いよなアクアって、ちゃんとクリスを気にしてたのか。それで早起きしてたんなら、俺はお前を女神として尊敬するよ。
「はっ!これ、どうしましょう?今私がここにいる事がバレたら、カズマさんのパーティーに気まずい空気が!クリスが歓迎されません!」
そうだね。そう思うなら、夜に謎の積極性なんて出さなきゃ良いのにね。
「か、カズマさんの機転で何とかしてください!私に出来ることなら何でもしますから!」
「今、なんでもするって言いました?」
「か、可能な範囲でお願いします……」
ここで欲望に負けそうになった自分を責めつつ、取りあえず解決策を模索。よしこれで行こう。悪知恵だけで魔王を倒した俺に取っちゃこんなのピンチでも何でもない。
「クリスなら、さっき俺の部屋にパンツを取り返しにきたからここに居るぞ。すでに返り討ちだけどなー!」
「なるほど……キャー!アクアさん助けてー!パンツの次はお前の大切な物だ!って言うの!」
「バカ!そこまで言ってねぇ!」
早々とクリスに変身して、即座にこの対応。流石はマジ女神のエリス。察しの悪いアクアとは大違いで……
「ゴッドブロー!!」
ドゴッ!
「ぶふぁっ!」
ドアの前に居た俺を目掛け、アクアのゴッドブローが突き刺さる。いやまさかの扉ごと殴ってくるとは予想してなかった!ドアが身体にクリーンヒットしたぞ!
「ちょっとカズマさん?私の幸運と酒の女神を虐めるとはいい度胸ね?」
おっと前半は正解だぞ!そんな気はないだろうけど!
「これでクリスが私たちのパーティーを去ってみなさい!私はカズマの財産で国中の酒造所の権利を買い占めるからね!」
「なんだその意味の分からん怒り?!」
しかし、ちゃんとクリスを仲間と認めているらしい。やっぱり、アクアって根はいいやつだよな。
「助手君!もし本当にあたしの身体に手を出したら、責任取って貰うからね!財産半分貰うからね!」
「それは困るわ!私が使える金額が半分になっちゃう!カズマさん!それは絶対に駄目よ!」
それにしても、この二人の非難はやっぱり何処かズレている。女神の常識が変わっているからなのか、それとも個人の性格なのかは定かではないが、俺のパーティーには変わり者しか入ってこないらしい。しかし、それでも俺は期待に満ちている。だって、この新メンバーは地雷じゃ無いんだ。それだけで凄くワクワクするものさ。
お目汚し失礼しました。
不定期更新でカズマの隣にエリス(クリス)が居る日常をお届けします。