※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

107 / 226
いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

感想で手鏡のネタをアクセルハーツになんて意見が出まして、思い立ったら書くのが私です。

って事で前回の時系列の視点違いです。

またお暇なときにでもお付き合いください。


その愛無き二人にも天望?を

「ベルセルグ王国踊り子グランプリ。大差を付けての堂々の一位は……アクセルハーツ!!」

 

「……やった……私達…遂にここまで……」

 

「やった!やったんだよ!ボク達が一位だよ!リアちゃん!エーリカちゃん!」

 

「と、当然だよね…エーリカちゃんは…間違いなく世界一…可愛いんだから……」ポロポロ

 

普段の落ち着きが嘘のようにはしゃぐシエロと、溢れ出る涙を拭いもしないエーリカを見て、私はこれが現実だと実感する。耳をつんざく程の歓声の中、私達は遂に夢を掴んだ……

 

_______

 

「なんだよ。またアルバム見てんのか?」

 

「わ、悪いか?まだ夢を見ているようで、確認しないと実感が沸かないんだ……」

 

あれからどれほどの月日が流れただろう。私達はアクセルで踊り子を続けながら、少しずつ未来を見据えた活動を始めた。手袋3枚で男性に触れられるようになったシエロは、少しずつ貴族令嬢として社交界に出るようになり、エーリカは孤児院を経営するようになった。私もこの春から音楽教師を始めることになっている。だから……

 

「なぁカズマ。私達は、もう踊り子を引退しようと思うんだ」

 

「……もう、良いのか?」

 

「あぁ、夢は叶ったし、新しくやりたいことも出来たしな。それに、カズマの人生をこれ以上縛りたくはない……」

 

「リア……」

 

ここまで支えてくれた男を、いい加減自由にしてやることにした。

 

「本当に待たせてすまなかった。本当は、もっと若いうちに国1番になれると思ってたんだがな…」

 

「何いってんだよ。そんな簡単な夢じゃないって、お前はちゃんと解ってただろ?」

 

「ふふっ…お見通しか…」

 

思えば、カズマには随分と助けられたものだ。利益しか見ていないと思った男が、私達の為に何度も身体を張ってくれた。それでも絶対に不正はしないで、最後まで私達の力を信じてくれた。そんな信頼があったからこそ、私達はここまで来れたんだ。そう考えると、なんだか目頭が熱くなる。

 

「なぁリア、アクセルハーツは楽しかったか?」

 

「あぁ、最高の時間だった。カズマはどうだった?」

 

「俺もさ。お前らを1番近くで見ていたんだぜ?楽しくない筈がないだろ?」

 

「その割には文句が多かったけどな?」

 

「別にいいだろ…楽しくても疲れるんだよ…」

 

でも、疲れたって言いながら、結局最後まで付き合ってくれたのはちゃんと覚えてる。だから、もう一度真っ直ぐにカズマを見つめて、ちゃんと言葉で伝えよう。

 

「プロデューサー。今までお世話になりました。私は、今日で踊り子を引退します。本当に、ありがとうございました」

 

「おう、今までお疲れ様。本当によく頑張ったな」

 

あぁ、飾らなくて素っ気ないその返事が、カズマの心からの言葉だと伝わってくる。でも、どうしてだろう。私の夢は叶ったのに、この言葉が凄く苦しい。私はまだ歌いたいのか?私はまだ踊りたいのか?いや、多分この苦しさの理由は……

 

「じゃ、また何か困ったら頼ってくれよな。プロデューサーは終わっても、俺達は仲間で……」

 

「いやだ……」

 

「……リア?」

 

あっ…駄目だ……理解しちゃ駄目だ……この苦しさの理由を理解したら、私はもう戻れなくなる。でも…

 

「か、勝手なのは分かってる!でも、私のことをこれからも支えてくれないか?!カズマが居ないと駄目なんだ!私は掃除も料理も全然駄目だし、何よりカズマが居ないと……私は寂しくて…」ポロポロ

 

「リア…お前…」

 

止めどなく溢れ出る涙を、もう止めることなど出来ない。でも、そんな身勝手が許されるはずがない。踊り子を辞めた私は、もうカズマの利益にはならない。それに、今やカズマは英雄で、私とは住む世界が違うんだ。

 

「いや、すまない忘れてくれ……ちょっと未来に弱気になっただけだ…カズマにも自分の生活があるのは分かっている。だから、私の事はまた友人として……」

 

「…………しょうがねぇなぁ!」

 

がばっ

「へっ?カズマ?!」

 

突如抱き締められ、私は随分と気の抜けた声を出してしまう。でも、この腕に甘える権利は私にはない。これはカズマが心から愛する人に向けられるべきモノであって、私に向けられるべきものじゃ……

 

「料理は2流、片付けと掃除は3流以下。そんな奴を世に放つなんて、プロデューサー失格だろ?」

 

「そ、それは……でも、アクセルハーツは解散するし…もうカズマに払えるモノなんて…」

 

「そうだな。魔王を倒してアクセルハーツを国1番の踊り子にした敏腕の俺に釣り合うものなんて、もう国1番の踊り子くらいしか無いんじゃないか?」

 

「そ、それって……」

 

「リアが心から望む未来まで、また俺がプロデュースしてやるよ。でも、今度は二人っきりでな…」

 

そう言って抱き締めていた腕を私の左手に移動したカズマは、そのまま左手を包み込んだ。そして、ゆっくりとその手を解くと……

 

「指輪…左手薬指って……」

 

「踊り子の次は、世界一の花嫁にしてやる。まぁ、審査が俺じゃ、随分と簡単だろうけどな…」

 

この男は本当にどうしてここまで……

 

「わ、私…まともに片付けなんて出来ないぞ……」

 

「知ってるよ…そのままじゃ子供の教育に良くないから、ちゃんと覚えないとな?」

 

「1番の踊り子になるのに時間かかって、もうそこまで若くないし……」

 

「世界一の踊り子の方が、国の英雄には相応しいだろ?」

 

「ほ、本当に、私でいいのか?」

 

「あぁ…お前が良い。結婚しよう、リア」

 

あぁ、どうしよう。笑顔でいなきゃいけないのに……笑って返事をしなきゃいけないのに…勝手に涙が溢れてくる……

 

「わ、私もカズマが好きだ。ずっとずっと、好きだったんだ。でも、私は踊り子だから、恋愛なんてしちゃ駄目だから……」

 

「でも引退するなら、もういいよな?」

 

「あぁ、不束者だが……どうか、どうかよろしく頼っ!…んっ」

 

ちゅっ

涙に濡れたファーストキスの味を、私はきっと忘れない。最後に一曲だけ作ろうか、この熱い気持ちを忘れないように……

 

……………

 

「いくらなんでも、手が早すぎるだろ……」

 

「何いってんだよ。年単位で我慢してたんだぞ?遅すぎるくらいだ」

 

初めて唇を重ねてから、カズマの行動は早かった。私はシャワーを浴びる事さえ許してもらえず、ただ思うままに鳴かされ、落ち着いてみれば腕の中だ。まったく、変なところばかり優秀なんだから……

 

「……良くなかったか?」

 

「聞くな……良かったに決まってる…好きな男のモノになったんだぞ…」

 

「あぁ、俺も最高だった…世界一の踊り子は、ベッドでも良い声で鳴くんだな…」

 

「そ、そういうこと言うな…鳴かせたのはカズマじゃないか…」

 

あぁ、どうやらもう夫婦のヒエラルキーは決まってしまったようだ。こんな幸せな時間を知ってしまえば、私はもう戻れないだろう。でも、それも悪くない気がしている。この男はきっと、また私のことを幸せにしてくれるだろうから…

 

_______________

 

「なっっっが!!なんですかこれ?!効果時間が私の5倍はあるじゃないですか?!」

 

「そ、そんなこと言われましても……」

 

完全に夢に取り込まれていた私は、まさかのタイミングで鏡の中から放り出された。そうだ。アレをいきなり向けられた私は、気が付けば国1番とか言われてたんだ。つまり、アレは私に都合の良い夢を見せられただけと言うことになる。いや、でもそれなら、カズマを出す必要はあったのだろうか……

 

「あ、あの天使様?私の悩みを解決するとのお話でしたが、そのアイテムは一体……何故かカズマが出てきたのですが…」

 

「あぁ、これはカズマ様との未来を見せる魔道具です。いやしかし、リア様はヒロイン枠じゃないので良くてヤリ捨てかと思ったのですが、まさかここまで大切にされるとは……」

 

「な、なんでそんなものを私に?!別にカズマとの未来なんて望んでないのですが?!と言うかヤリ捨てとか最低なんですが?!」

 

「ただのショック療法ですよ。シエロ様との関係が悪化していて、神々からも不満が出ているのです。「どっちかが男になるなんてあり得ない!」だとか「百合だから良かったのに!」とか、一部「可愛いままで、ちんちん付いてるからむしろお得!」って意見もありましたが、神々としては関係修繕を最優先としたのです。ほら、あんなの知ったら、もうシエロ様とのアレは気にならないですよね?」

 

た、確かにカズマに抱かれたのと比べたら、あんなの全然気にならないが……と言うか、そもそもそんな紛らわしい事になった理由は、間違いなく神様の道具なんだが?!

 

「天使様!流石にこのやり方は乱暴すぎます!そういうのは記憶処理とか色々あるんじゃないのですか?!」

 

「………鏡見せるほうが全然楽じゃないですか?」

 

あっ、やっと分かった。きっかけの魔道具を含めて、この人は多分駄目な天使だ!そもそもあの変な魔道具を出さなきゃ、こんなことにはなってないぞ?!

 

「それに、あんなノリノリでイチャイチャしてたリア様に、今更文句とか言われましても……」

 

「へっ?!これ、まさか内容まで全部見られて……」

 

「……ばか…今更避妊とか気にするな…私の全部をあげるって、ちゃんと伝えたはずだぞ…」

※謎のハイクオリティモノマネ

 

「あぁーー!!ちがっ!それは本当に空気に呑まれただけで!あれは私の意志じゃなくて!!」

 

「へぇ…そうですかぁ…そんな気はなくてもあんなことになるんですかぁ……じゃあ乗り気で拒否られた私はなんなんですか?!」クワッ!

 

「貴女のことは知りませんよ?!」

 

でもそっか…カズマとの未来は、あんな感じなんだ……

 

「あぁ!!浸ってる!浸ってやがりますよ畜生!シエロ様は絶対に負け組にしてやるからなぁ!!」

 

「ひ、浸ってません!勘違いです!」

 

私に捨て台詞を吐いた天使様は、そのままシエロの元へ向かった。あれが天使で先輩がアクアなんて、エリス様は本当に苦労が絶えないな。でも、私がカズマとか……そんな未来も………

 

「あっ、駄目だ。冷静になると怒りしか湧いて来ない。後でカズマは殴ろう。助走をつけて……」

 

_________________

 

日常が変わるきっかけは、本当に些細なことでした。

 

「くそっ…こんな所に、毒のトラップなんて…」

 

「動かないでください!こんなところで、死なせませんから!」

 

「えっ、シエロ?!」

 

カズマさんの肩を掠めた、毒が塗られたトラップ。あのときのボクは本当に必死で、カズマさんの傷から毒を吸い出している事に気が付きませんでした。でも、それ以来カズマさんだけは、殴ることがなくなりました。

 

……………

 

「いや〜、まさかシエロから触れることで克服されるなんてな…」

 

「カズマさんだから必死になれたけど、他の人でも上手くいくかな?」

 

「いや試すなよ?それ死にかけの奴にトドメさす可能性あるからな?!」

 

その一件でカズマさんに触れられるようになってからも、ボクたちの特訓は続いています。ほんの少しだけ、前に進んで……

 

「じゃあ、そろそろお願いします」

 

「お、おぅ…」

 

ぎゅっ

「うん…大丈夫……カズマさんの鼓動が聞こえるよ…」

 

「そ、そうか…いや、でもここまでする必要あるかな……」

 

「だって…手を握るだけじゃもう特訓にならないから…」

 

ボクたちの特訓は、手を握るところから肩を抱き、今は抱き締めるまでに至りました。でも、やっぱりカズマさん以外とは触れ合えていません。だから、もっと前に進まないといけないんです。そういう言い訳を、ずっと続けています。

 

「今日はこれくらいで……また明日も、お願いしますね?」

 

「あ、あぁ…」

 

顔を赤らめるカズマさんを前に、ボクは必死に平常心を保ちます。これにやましい意味はない。そういう事にしておかないと、この関係は続けられないから……

 

……………………………

 

「ごめん…もう、この特訓には付き合えない…」

 

「そう…ですよね。こんなの、もう無意味ですもんね……」

 

でも、そんな偽りだらけの関係が長く続くはずも無く、終わりは唐突に訪れました。覚悟はしていたつもりでも、やっぱりそれは寂しくて、ボクの目からは大粒の涙が溢れてしまいます。でも、あの時間が幸福だったことを伝えて、自分の不甲斐なさをちゃんと謝らないと、カズマさんに合わせる顔がありません。

 

「今まで、本当にありがとうございました。ボクの悪癖にずっと付き合ってくれて……何度も酷い目にあったのに、それでもボクを信じてくれて……それなのに、ボクは期待に答えられなくて……」

 

本当はもっと触れ合っていたい。この心地いいぬるま湯に浸っていたい。でも、それはきっとカズマさんに迷惑で、負担になっているはずで……

 

「でも、最後にワガママを言わせてください……」

 

駄目。それを漏らせば止まらなくなる。ボクの嘘がバレてしまう。でも、そんな理性が働くより先に、ボクの心が叫んでしまいました。

 

「本当はもっとカズマさんに触れたい。ボクの悪癖なんてどうでも良くて…カズマさんにだけ触れられるなら、ボクはもう、他の男の人になんて触れなくていいんです…」

 

あぁ、これでボクとカズマさんの関係は終わりなんだろうな。自分の身勝手で特訓に付き合ってもらったことも、その特訓の意味が無かったことも知られてしまって、きっと軽蔑されちゃうだろうな……

 

「それなら、もう練習は終わりだな?」

 

「うん……これでボクたちは……んっ!」

 

ちゅぷっ

関係の解消を言い出そうとしたボクの唇は、カズマさんの唇でその先を封じられてしまいました。どうしてこんなことをするのか、ボクには理解が出来ません……

 

「えっ…あの…今のって……」

 

「ったく。なに勝手に嫌われた事にしてんだよ。俺が特訓に付き合えないって言ったのはな……そろそろマジで我慢出来なくなりそうだからだ!」

 

「へっ?!で、でも…そんな素振り一度も…」

 

「信頼を裏切る訳にはいかないからな…手の甲を本気で抓って耐えてたんだよ…」

 

バツが悪そうに目を逸らすカズマさんを見て、ボクの鼓動はどんどん早くなっていきます。ボクは拒まれてなかった。むしろ女として意識してくれていた。今まで拒むことしか出来なかったボクを、カズマさんが愛してくれていた。それだけで、ボクは心から救われました。仲間として、そして、女の子として……

 

「だから、この先は練習じゃなくて……俺とシエロで先に進みたいんだよ。シエロは、それじゃ駄目か?」

 

「駄目じゃない……駄目じゃないよ!ボクもカズマさんとの先を知りたい!立ち止まる時も隣りに居たい!たった一人、唯一触れ合える貴方と、残りの生涯を歩みたい!」

 

「あぁ、俺もシエロと一緒が良い。だから、俺のモノになってくれないか?」

 

「はい…不束者ですが、どうぞよろしくお願いします!」

 

本気で心を通わせたボクたちの間に、もう言葉なんて必要ありませんでした。見つめ合えば唇を重ね、寄り添えば愛の言葉を囁き、そして…………

 

…………………

 

「しちゃいましたね……」

 

「ごめん…色々我慢できなくって……」

 

カズマさんの腕の中で、ボクは優しい余韻に浸っています。深く心で繫がったボクたちの間に、もう理性の壁なんてありませんでした。何度も好きって伝えあって、何度も唇を重ねていたら、そのまま身体まで繋がってしまったのです。本当なら節操なしと怒るべきなのかも知れませんが、その…凄く良かったので…怒れません……

 

「……ねぇ、カズマさん。やっぱり、ボクは男性恐怖症を治そうと思います」

 

「えっ…それじゃライバル増えるじゃん…今更必要かよ?」

 

カズマさんは気を使ってくれるけれど、ボクの真意はそこじゃないんです。だって、いつかカズマさんじゃない男の人を抱き締めたくなる予定なので……

 

「当たり前だよ……だって、一人目は男の子が良いもん……」

 

「………これ、シエロが悪いからな!」

 

「あっ…もうエッチ……あぁん!」

 

強引に押し倒されたボクの抵抗は、ただ優しくカズマさんの胸板を押し返すだけ。この簡単な手加減に何年もかかってしまいました。だから、その分のお礼はちゃんとします。取り敢えず、今はボクでいっぱい気持ち良くなってくださいね……

 

_________________

 

「なっっっっっっっっっっっが!そしてチョッッッッロ!え?触れてからセッ○スまでのハードル低過ぎません?トラウマ無かったら尻軽なんですか?!」

 

「ち、違いますから!あれ絶対に洗脳スキルですよ!ボクはカズマさんなんて!カズマさん…なんて……」

 

突然カズマさんが死にかけたと思ったら、今度はまた自室に戻されました。どうやら天使様の言う治療とは、あの映像をみせることだったようです。そ、それにしたって、カズマさんは上手すぎます…あんなの、未経験の女の子にシちゃ駄目なエッチです……

 

「かあぁぁぁ!!ボーイッシュかと思ったらメス顔ですか!暴力系かと思ったら恋する乙女ですか!私もカズマ様殴ったらヒロインになれますかっ?!!」クワッ!

 

「あ、貴女は多分普通に怒られるだけかと……」

 

「………でしょうね。知ってます」

 

あっ、感情が死んだ目をしてる……

 

「一応聞きますけど、シエロ様もリア様のアレを意識したりは?」

 

「か、カズマさんのアレを知っちゃったら、リアちゃんとのアレなんて仲良しのスキンシップですよ……」

 

「そ、その認識は色々不味いですが……取り敢えず目的は達したようで何よりです。あとは、心配かけたエーリカ様にちゃんとフォローしてくださいね?」

 

「あ、そうですよね……ボクたちのせいで、エーリカちゃんは気不味い思いをしてますもんね…」

 

寂しい思いをさせてごめんねエーリカちゃん。エーリカちゃんの事も、ボクは同じくらい大好き(意味深)だよ。

 

「ち、ちなみにカズマ様に関しては……」

 

「仮想世界とは言えあんなに好き放題されたので、取り敢えずぶっ飛ばすつもりです」ニッコリ

 

「えぇ…あんなノリノリで跨って…」

 

「予行練習、必要ですかね?」

 

シュッシュッ!

「いえ、ぶっつけ本番で良いと思います!」ガクブル

 

さて、それじゃあエーリカちゃんのところへ行かなきゃ。あと、間違ってもあんな事にはならないように、カズマさんには一発キツイの入れておこう……

 

_________________

 

 

自分が結婚するなんて、私は考えたことも無かった。花嫁は可愛い存在だと思っていたけれど、それには相手が必要だし、そもそも誰か一人のモノになるつもりなんて無かった。だって私は……

 

「世界中の可愛いが大集合!可愛いさ1000%、エーリカでーす!!」

 

「「「「わあぁぁ!」」」」

 

皆の可愛いエーリカちゃんだから!

 

………

 

「いや絶対にこっちのSポーズの方が可愛いね!」

 

「そんなことないもん!断然Uのポーズだよ!」

 

私の可愛いについて話す時、いつも衝突するのはカズマだ。最初は可愛いについて私に意見するなんて生意気だって思ってた。でも、その認識は直ぐに変わった。

 

「ポストカードの売上ですが、Sポーズが1位です」

 

「よしっ!」

 

「嘘ぉ?!」

 

その目は間違いなく本物で、私のライバルに相応しいと思ってた。それなのに……

 

……………

 

「辞める?カズマがプロデューサーを辞めるの?!」

 

「あぁ、随分と思い詰めていたようだった。理由を聞いたんだが、ただ「相応しくない」と……」

 

リアからこの話を聞いたとき、私は凄くショックだった。仲間でライバルだと思っていたカズマが、まさか辞めるなんて思ってなかった。でもそれ以上に、なんで私に相談がないのか、どうして私に直接伝えないのか、カズマにとって私はその程度の相手なのか、これらの話をするほうが私にとって重要だった。

 

「ごめんリア…私、カズマのところへ行くよ。ちゃんと話をしたいから……」

 

「……そうだな。エーリカが話すべきだと、私も思うよ」

 

「うん、ありがとう」

 

ごめんねカズマ。私は、カズマのこと手放したくない!

 

…………………

 

「ねぇ…どうして……逃げるの……」

 

「お、お前が追ってくるからだろ……」

 

カズマは思ったより簡単に見つかった。でも、何故か私の顔を見て逃げ出して、1時間ほど追いかけて今に至る。もう、ここ街ハズレだし……

 

「だって!カズマが辞めるって言うから!ちゃんと理由をおしえてよ!」

 

「リアに伝えたろ…ふさわしく無いんだよ……」

 

「ふざけないでよ!そんな簡単な言葉で納得できないよ!私達のこと一番見ててくれたのに!私達が一番信じられる男の人なのに!私達が……ううん、私が、1番側にいて欲しい人なのに……なんで相応しくないなんて言うの…」

 

最初は私の魅力で連れ帰るつもりだった。でも、カズマを見たら心がぐちゃぐちゃになって、可愛いなんて意識できなくて、気付いたら私は泣きながら言葉をぶつけていた……

 

「私達が1番になるまで…せめてそれまで隣に居てよ……本当はずっと居てほしいけど、それは我慢するからぁ!」

 

もう、溢れ出る感情も涙も抑えきれなくて、私はグチャグチャの顔で大泣きしながらカズマに抱きついた。こんなことされても迷惑だろうけど、私はこれしか出来なかったから……

 

「駄目なんだよ…俺はもうエーリカの事を女として見てるんだ…これ以上近くに居たら、絶対に間違いを……んっ?!」

 

ちゅっ

「なら、ちゃんと手に入れてよ……愛してるから身を引くなんて、そんなの寂しすぎるもん……」

 

カズマのその理由を聞いた私は、自然とその唇を差し出していた。離れていく理由がそういうことなら、私には繋ぎ止める権利がある。だって、私の可愛いは愛されるための手段なのだから……

 

「で、でも…エーリカは踊り子で……これはスキャンダルに…」

 

「じゃあ、コレは内緒にしなきゃね……んっ」

 

「んっ……え、エーリカ…」

 

カズマは私の唇を拒まない。私の抱擁を解かない。色々話さなきゃいけないことがあった気がするけど、私はこれだけで十分だと思う。だって、ちゃんと愛されてるって解ったから……

 

「ねぇ、カズマもしたいことしてよ……もう私はカズマに気持ちを伝えたんだよ?」

 

「分かったよ。なら、俺も我慢しないからな……」

 

……………………………

 

「ねぇカズマ…もう居なくなったりしない?」

 

「これで居なくなるとか最低だろ……俺だって、抱いた相手の責任くらい取るよ」

 

「そっか…なら、頑張った甲斐があったかな…」

 

私はカズマの腕を枕にして、その胸に頬を擦り付けている。何をどうして良いか分からない私を、カズマは優しく抱き締めながら、優しく導いてくれた。ただ、少し不安を漏らしていいのなら、流石に初めてで4回もするのはどうかと思う。まぁ、気持ち良かったんだけどね……

 

「ねぇ……カズマは、ここで強気に結婚を迫る女の子の方が可愛いと思う?それとも、求婚を受けて、泣いちゃう女の子が可愛いと思う?」

 

「俺の胸で、最高の幸せそうな笑顔で笑って受けてくれるのが、一番可愛いと思うぞ……だから、結婚してくれるか?」

 

「……うん!」

 

この時を超える笑顔を、私は今でも作れていない。可愛いを追求する者として、そんな事では駄目だと思う。だから、このウェディングドレスで彼の前に立つ時は、きっと記録を更新してやるの。だって、私は世界中の可愛いを集めた女の子なんだから………

 

「新婦のエーリカちゃん!入ります!」

 

_________________

 

「いや、なんですかこれ!ち○おの読み切り連載ですか?!と言うか巻き込まれた筈のエーリカ様が、むしろ自分から物語に首を突っ込んでいるのですが?!」

 

「こうした方が可愛いって、私の魂が囁いたから……」

 

「なにそれ天才?!」

 

結婚式直前で鏡から放り出された私は、何故か天使様に絶賛されています。まぁ、本当は雰囲気に流されただけなんだけど、それは悔しいから言わないよ。

 

「大丈夫かエーリカ?なんか未知の魔道具に取り込まれていたけど……」

 

「うん、一応二人に使ったって言うから試してみたけど、少し出来の良い淫夢みたいな……」

 

「ん?どうした?」

 

なんで?カズマを見つめると鼓動が早くなる。あれは仮想の世界で現実じゃないのに…カズマと私はそんな関係じゃ……

 

「おい、まさか熱があるんじゃ……」

 

ぴとっ

あ、カズマの顔が近い…そっか、ここはまだ仮想の世界なんだ。それなら、このカズマは私のカズマだから、キスしてもエッチしても良いんだよね…

 

「え?エーリカ?!な、なんか顔が近っ…おい!これ以上は流石に……」

 

「「天誅!!!」」

 

ズダァン!!

「ごふぅ!!」

 

あっ、リアとシエロがカズマをぶっ飛ばして……あれ?それじゃこれ本物?!

 

「大丈夫かエーリカ!」

 

「カズマさんに洗脳されてない!変なことされてない?!」

 

「あ、ありがとう二人共。もう、普通に話せるんだね?」

 

「そうだったな。迷惑をかけた」

 

「うん、ボクもごめんね」

 

天使様のこの仮想世界は、本当に二人を治してくれたみたい。良かった。危うく天使様を疑いそうになったけど、ちゃんと約束は守ってくれたんだ。羽真っ黒だから、パッと見悪魔みたいだけど……

 

「あ〜、美しいハッピーエンドですねカズマ様?きっと彼女らは神に愛されてるんでしょうね!けっ!」

 

「……いや、女神の旦那なのに…どうみても俺…バッド…エン…ド……がふっ!」

 

あー、ごめんねカズマ?今はちょっとかばえないや……




最後まではお付き合い頂きありがとうございます。

サブのくせに長いとお思いかも知れませんが、ちょっとラブコメを読んだので影響されました。すみません。

ちゃんと最後に天使を入れたので許してください。

次回はちゃんとしょうもないことします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。