※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

魔王軍幹部は基本的にしつこく死んでなかったり、なんか復活したりと大忙しですよね。でも、何故か最強と言われたあの人はそんな描写がありません。ってことで、カズマにはまた泣いてもらいます。

またお暇なときにでもお付き合いください。


この恐ろしき幹部と再会を

地獄から魔力を吸収することで、ほぼ無限の魔力を持ち、個々の能力として瞬間再生を携え、その火力は史上最強と名高い魔法使いがいた。それは魔王城を攻める為の軍隊を単独で撃破し、紅魔族の総攻撃にさえ拮抗する、まさに最強を名乗るに相応しい存在。魔王軍幹部……

 

「あいつ、名前なんだっけ?」

 

「えっと……基本的に話すこと無いのよね…」

 

「そういえば、名乗って貰った事も無いような……」

 

「お前ら、話題に出したのに何気に酷いな……ほら、ジャーマンポテト出来たぞ」

 

「「「わーい」」」

 

元魔王軍幹部女子会。俺はおつまみ係としてこの場に参加している。と言うのも、この3人は仕事とか立場的に飲酒することが殆ど無く、贈り物で頂いた高級酒がアクアの元へ行き無駄になってしまうのだ。ということで、セレナの教会で定期的にお酒を飲む機会を設けている。俺としてもタダで分けてもらうのは申し訳ないので、なんとなくこの立ち位置に落ち着いているという訳だ。

 

「でも、魔王城の封印もそいつが作ったんだろ?そんだけ用意周到な奴、よくあんなゴリ押しで倒せたよな…」

 

「備えるって言ってもリソースが必要だもの。爆裂魔法を使うアークウィザードなんてほとんど居ないし、大抵は射程勝ちするから撃ち合いになれば負けないのよ」

 

「あぁ、やっぱりアレは例外なのか……」

 

ある意味では、真の勇者はめぐみんだったな。

 

「一応、自らの消滅をトリガーに発動する魔法もあるのですが、やられた直後の復活では結界と同じです。なので、時差式にしたり、他者に発動を委ねたりするのですが、それでは魔王さんは守れないので、使うとしてもカズマさんに復讐するくらいしか出来ませんね」

 

「それじゃ魔王死んでるし意味ないだろ〜」

 

「ほんとよね〜、魔王死んでから今更復讐とか言われてもねぇ〜」

 

「「「あはははは」」」

__________

 

「遥か広がる、戦いの荒野へ〜♫」

 

バァン!

「娘いる?!」

 

「ちょっ、ウォルバク?!アンタなんでいつもお風呂の時に来るわけ?!ってカズマも居るし、ウィズとセレスディナまで居るし!」

 

こういうフラグを踏んだとき、即座に確認するのは基本中の基本だ。まぁ、結果として魔王の娘の風呂を再び覗く事になった訳で、ある意味ではもうフラグは回収した気もする。いや、それにしてもいい体してるな。

 

「あ、お久しぶりです。この度は本当に惜しい方を亡くして……あっ、魔王様にお線香とかあげてもいいですか?」

 

「そうだよな。あたしも線香と祈りくらい捧げた方が良いよな。で、遺影はどこだ?」

 

こいつらからすれば元上司なので分かるのだが、ここで魔王の話をされると俺は凄く気不味い。だって殺したの俺だし?なんならそこから魔王軍幹部を引き抜きまくってるし?これはもう、魔王の娘のおっぱいでも見て気を逸らすしかない。

 

「それ今する話?!生娘の風呂場に押し掛けてする話じゃないからそれ!ちょっと待合室で待ってて!おいカズマ!お前はせめて目を逸らしなさい!ガッツリ見てんじゃないわよ!」

 

「お構いなく」

 

「こっちが構うの!!」

 

___________

 

 

「……ぷはぁ!それで?なんで今更戻って来たのよ?こいつが魔王になる決心でもついたわけ?」

 

「残念だけどまだ勧誘中よ。間違いなく向いてるのに、本人は頑なに認めないから…」

 

「なぁ、その話はどこまで広まってんだ?つうか、娘として後を継げば良いだろ。他にやりたいことでもあるのかよ?」

 

風呂上がりの魔王の娘にキンキンに冷えたシュワシュワを献上することで、今日も停戦は守られた。と言っても、このメンバーのヤバさをよくご存知な魔王軍としては、ここで戦うなんてしないだろう。俺だって嫌だ。巻き込みで死ぬ。

 

「……花屋か…お嫁さん」ボソッ

 

「えっ、なにこの娘可愛い……殺されかけた相手に不覚にもキュンとした……」

 

「そうなんだよ…あの魔王にして何故かこの娘なんだよ…英才教育はされてっから実力はあんだけどさ……」

 

「性格的には、結界維持だけで良かったんじゃないかしらって思うのよね…」

 

「私と一緒に、人里で生活すべきですよね……」

 

いや、本当になんでここに残ってるのこの娘……

 

「な、なによその優しい目は?!育ててくれた人が全員魔王軍なんだから仕方ないでしょ!私だけ戦線離脱とかしたら、流石に皆に申し訳ないじゃない!」

 

「「「「「あぁ…本当に良い子……」」」」」

 

「その目を辞めて!!」

 

あぁ、でもこんな良い子なのを知ってしまったら、俺はこの子に攻撃なんて出来ない。もしどうしても戦うなら、もう寝技で決着を付けるしかないな。

 

「でも、それならまだ遅くないだろ?いい加減魔王軍なんて解体しようぜ?お前は普通に人里に紛れて暮らせるだろうし、美人なんだから結婚相手だって普通に探せるだろ?」

 

「……魔王軍がなくなったら、人間は間違いなく私達のような亜人の魔物を狩りに来る。知能のある魔物を捕らえて、実験動物にしたり、魔法で隷属させる奴らが横行するわ。私にはそんなの耐えられない…」

 

「そんなこと……いや、するやつは絶対にいるか…」

 

戦争が終わっても、残された問題は色々とある。俺達は勝者だからこんな状況で居られるが、負けた方は色々と大変な目に合うんだろう。だから、この魔王軍は魔物側にしたら最後の生命線なのかも知れない。特に紅魔族とか絶対にやる。

 

「……今の発言は無責任だったな。取り消すよ。悪かった」

 

「はっ?いや、お前は人間側だろう?なんでお前が謝る必要が……」

 

「俺は冒険者だぞ?人に危害を及ぼす魔物は狩るけど、お前らを滅ぼすつもりでなんて戦ってない。それに、ウィズとウォルバクとセレナは勿論、今はお前にだって死なれたくない。死ぬ必要が無い奴が安心して生きてられるのが、平和な世界って奴だろ?」

 

「……お前のそういうところは、素直に好ましいと思うわ」

 

おっ、これはちょっと通じ合えたんじゃないか?俺と魔王の娘が良好な関係が築ければ、このまま終戦もあるんじゃ……

 

「あら、もう抱く?直ぐ抱く?そのまま代わりに新魔王になる?」

 

「いや流石に早すぎんだろ…いや、あたしも即日だったな……」

 

「わ、私もその…誘ってからは早かったような……」

 

「ねぇ君たち?今いい事言ってるところだからね?あとさ、普通に俺にはこんな器のデカさはないからな?」

 

少なくとも、俺はオークとゴブリン、トロールは愛せないよ?

 

「ふふっ。まさか、父の仇の英雄に器についてお墨付きを貰うなんて思わなかったわ。これじゃ、私は最期まで独身かしらね……」

 

そう自虐気味に呟く顔は、なんとなくその未来を覚悟していたように見える。でも、やっぱりそれはなんか違う。魔王として生きるとしても、それで生き方を諦めるのはまだ早い。

 

「別に魔王だろうと結婚はしても良いだろ?副業で花屋をしたって良いし、統治が暴力である必要もないし、なんなら魔王が複数いたって、大臣や補佐官が100人いたって良いんだよ。だって、これからのルールは新魔王のお前が作るんだからさ?」

 

「ふふっ、魔王が副業するなんて聞いたことないわよ……でも、暴力に頼らないのは良いかもね。もう、誰にも死んで欲しくないもの…」

 

「おう、それなら俺も応援するぞ。戦争じゃない方法で分かり合えるなら、俺だってそのほうが良いからな」

 

何より、こういうので真っ先に死ぬの俺だし。

 

「私は貴方を誤解していたようね。サトウカズマ、貴方はちゃんと英雄の器だわ。クズで身勝手で卑怯で外道で助平で欲望に忠実で手段を問わない悪魔より悪魔と言う認識を改めさせて貰うわ」

 

「うん、俺魔物サイドにもそんな風に言われてんだ……なんかちょっと凹む…」

 

「あ、それは別に改めなくて大丈夫よ。本当だから」

 

「おい!それをそっちが否定するな!仲間にそれ言われるとマジで凹むんだけど?!」

 

まぁ一部……いや半分くらいは否定できないんだけども!

 

「と言うか、誰が魔王になるとか言うのは今日の本題じゃないだろ?早く目的を果たそうぜ?」

 

「あぁっ!新魔王もといカズマの件で話が逸れたけど、あの結界用の大型魔法陣に変な機能とかなかった?私達はそれが気になって訪ねてきたのよ!」

 

ウォルバクのやつ、しれっと俺を推薦しやがった……

 

「あぁそんなこと?それなら好きに調べなさいよ。変わらず地下室にあるわ」

 

「随分軽いな……良いのか?それって、普通に最重要機密なんじゃ……」

 

「私じゃ読めないし、読めても理解できないのよ。それに、もし自爆機能なんて有ったら困るじゃない?ここには変わり者が多いから…」

 

あっ、それはなんとなく分かるわ。

 

______________

 

「これはまた、とんでもないのが出てきたな……」

 

魔王城の地下室には、それはもう複雑で巨大な魔法陣が描かれていた。その外側には各幹部の名が刻まれた8つの法陣があり、どうやらそこから力が流れ込んでいたらしい。なお、話題の彼の名前は掠れていて読めない。外部からの謎の力を感じる……

 

「あ、これ私達の魔法陣って一応起動してない?」

 

「本当だ。レベル下がっても猫になっても、ちゃんと認識は続けるんだな…」

 

「バニルさんの所も起動してますし、この結界って凄く結び付きが強いですよね…」

 

メインの魔法陣が停止していても、何故か各幹部に割り当てられたモノは普通に生きているらしい。つまり、ここで確認したらバニルの裏切りはバレていた事になるのだが……魔王軍は意外と抜けているようだ。

 

「と言うかセレナのレベル1でも結び付きが切れてなかったのなら、幹部8人と言わず魔王軍の全メンバーで維持したら最強の結界になるんじゃないか?」

 

「「「「あっ…」」」」

 

それやられたら困るのは俺達なんだけどさ?出来るのならそっちの方が安全じゃん?

 

「でも、これを見るとその最強のヤツは死んでるってことだよな?」

 

「停止してるのは3枠だし、ハンスとベルディア、あとはアイツってことになるよな?」

 

「そうね。他のメンバーの生存は間違いなく確認してるんだから、その3枠は間違いなくそこよね?」

 

「ねぇ、なんで3人はオジさんの名前を呼ばないの?まさか忘れたなんてことは……」

 

魔王の娘の言うオジさんというのが、多分例の最強の幹部のことなんだろう。俺からはあえて言わないが、普通に忘れてるぞこいつら。

 

「いやいや!別にOGの事を忘れたわけじゃないぞ?」

 

「なんでそんな卒業した女の人みたいな呼び方してるの?!男だったでしょ?!」

 

「そ、そうですよ!オズ○ーンさんの名前を忘れるなんてそんな……」

 

「え?オジー・オ○ボーン?!誰もその人の話はしてないでしょ?!」

 

苦しい……流石にその言い訳は苦しい。と言うか、なんでオジさんから推理しようとしてんだよ…絶対無理だろ……

 

「ウォルバク…貴女は大丈夫よね?まさか忘れたなんて言わないわよね?」

 

「……な、名前を呼ぶと発動する魔法とかあるから警戒してるのよ。ほら、このタイミングで戦ったりしたら、城がただじゃ済まない訳だし……」

 

「そういう事なの?!確かにここで全面戦争は困るものね!」

 

よく言うわ。そんなのがここにあったら部下の会話で間違いなく発動してるだろうし……そもそも目がめっちゃ泳いでるし……

 

「ん?なぁ、この魔法陣の中心部分、なんか紙が貼ってないか?」

 

「ん?そう言えばそうね。他は石の床を削っているのに、中央部分だけ紙に書いて張ってあるわね?」

 

「中央部分はかなり重要な術式が書かれていますし、石を削るのは難しかったのでは?」

 

そりゃそれっぽい理由はいくらでも思い付くんだが、だとしてもこんな重要部分を紙にするか?魔法で守られて劣化はしてないけど、剥がそうと思えば普通に剥がせそうだし、なにか別の用途に……

 

「もう結界も使ってないし、気になるから剥がしちゃおうかしら。ついでに掃除もして、いっそ新しい魔王軍用に作り直しを……」ベリッ

 

「あっ!馬鹿そういうのは!」

 

カッ!

魔王の娘が魔法陣中央の紙を剥がすと、その魔法陣は再び起動した。だが、それは書き換えられた内容での発動であり、城を守る結界ではない。なんでそんな事が分かるかって?眼の前に懐かしいヤバいのが現れたからだよ!

 

「ふふふ…流石は魔王の娘。裏切り者と英雄を集めた状態で私を復活するとは、まさに一網打尽の好機と言うわけだな!」

 

「くっ!まさか今までのが演技だったなんて!どうやら狡猾さも身に付けていたようね!」

 

「あぁ、騙されたぜ魔王の娘!まさかあたしらを罠にかけるなんてな!」

 

「そんなっ!毎年エイプリルフールは二人っきりで嘘から逃げて過ごしたのに?!耳をふさいであ〜あ〜言ってた貴女が?!」

 

何それ可愛い。それめっちゃ見たい。

 

「……えっと……なんのこと?」

 

………………ん?

 

「いや待て……私がやられた時の備えとして、この2重魔法陣を用意すると書き置きした筈ではないか?まさかそのメモを無くしたなんてことは………」

 

「なにそれ知らないわよ!私そんなの聞いてないし、お父様からも聞いてないわよ?!」

 

おやおや?どうやら魔王軍の方でもなにかの行き違いがあったらしい。危うくエンシェント・ディスペルを唱えるところだったが、安全に帰れるならその方が良い。少なくとも城には魔物が沢山いるし、魔法を封じるとこっちもピンチになってしまう。

 

「あの、大変申し上げにくいんですが、その魔法陣の書かれた張り紙に、なんかメモ書きがあるような……」

 

あっ、本当だ。緊急時用って文字が見える……

 

「あっ…そう言えば、二重魔法陣のアイデアを思い付いた時、ちょうど紙が無くて…それで裏面ならメモにしても良いかなって思って………」

 

「それを魔法陣に組み込んでどうするのよ?!それならせめて口頭で伝えて!私はそれくらい覚えられるから!」

 

「し、仕方無いだろう!ポロリと漏らしそうなリッチーとか、惚れた男になら機密も漏らしそうなグロウキメラとか、お布施くれないと漏らすとか言い出しそうなプリーストとか、面白そうだからと漏らしそうな悪魔とか居るんだぞ!こういう間接的な手段にもなるだろう?!」

 

あっ、それは何となく分かる。そっちの皆さんも苦労なされているんですね。

 

「しかし、どちらにせよ我々は停戦中よ!平和的に叶えられる要求は、ウォルバクの協力で着実に進んでいるわ!だから、オジさんはまだ大人しくしてて!」

 

「ぐっ……それならば仕方ない。戦争とは手段であり目的ではない故、今は見逃してやろう。しかし、我等が戦争はまだ終わっていない。我々の悲願が叶うまで、この戦争は終わらないと知れ!」

 

あ、こいつ実は話が分かるやつだ。やっぱり幹部って違う。なんなら、あんな方法使ってしまって、ちょっと申し訳無さも感じるレベルだ。

 

「……なら、俺はこの停戦を終わらせないように頑張るよ。俺は共存と共栄の道を模索する。理想の未来の為に、未来が見られない奴が出るのは本末転倒だからな?」

 

「ふっ……勝者の余裕か、それともただ理想を掲げるペテン師か……良いだろう。魔王を打倒した英雄よ。なればその先を見せて貰うとしよう」

 

「勘違いするなよ。俺がやるんじゃない。俺達がやるんだ。お前らにもしっかり働いて貰うぞ?歩み寄りってのは、一方通行じゃ意味がないからな?」

 

これは過去にエリスから聞いた話をそのまま語っただけの演説だが、どうやら少しは響いてくれたらしい。俺を見る二人は少しだけ表情を和らげ、そして肩の力を抜いていった。少なくとも、ここで攻撃される心配は消えたと言えるだろう。セレナはどこかで聞いたなって顔をしているが、お願いだから気付かないでくれ。

 

「…………どうやら私はこの男を見くびっていたようだ。クズで身勝手で卑怯で外道で助平で欲望に忠実で手段を問わない悪魔より悪魔と言う認識を改めよう」

 

「いや、そこは本当らしいから改めなくていいわ。最後にたまに良いやつと足せばいいそうよ」

 

「いやそこは改めよう?俺今結構良いこと言ったじゃん?なんなら共に歩めるって判断でも良くない?」

 

俺はもう和平交渉に入れるとさえ思ってたよ?パクリだけど!

 

「そんなこと言うけど、それカズマはなるべく動かない前提でしょ?看板役にはエリスと魔王の娘を使って、交渉材料に予防接種やら自分のオリジナル製品を使うとかするんじゃないの?」

 

「使うけど?」

 

そりゃあれば使うだろ?

 

「お前は国を救った英雄なのに、なぜそんな他人の威光や物品を使う必要があるのだ……」

 

「カズマは英雄になっても、クズで身勝手で卑怯で外道で助平で欲望に忠実で手段を問わない悪魔より悪魔って評価が抜けないんだよ。リアルな英雄譚は有害図書に指定されるくらいにな?」

 

「なんだそれ知らないぞ?!俺の活躍有害図書なの?!」

 

くそぅ!帰ったらセナさんに抗議してもらおう!

 

「しかし、お前らの考えはよくわかった。今は停戦に応じよう。そちらが攻撃などしなければ、我らの関係に血は流れない」

 

「あぁ、そのまま仲良くやれるように、お互いにやれるだけの事を………」

 

ドオォーン!!

……………えっ?

 

「お嬢様!!お逃げください!奇襲です!人間共の奇襲です!」「くそぅ!停戦してたんじゃねぇのかよ!こんな高レベルの爆裂魔法なんて撃ち込みやがって!」「被害は甚大です!至急避難を!!」

 

「おいふざけんな!俺達が平和的に解決しようって時にトチ狂ったことしやがって!誰だよこの87点の爆裂の犯人……は………」

 

あぁ〜、俺この流れ知ってる。ベルディアの時にもあったやつだぁ……

 

「やはり……やはりクズで身勝手で卑怯で外道で助平で欲望に忠実で手段を問わない悪魔より悪魔と言う認識は正しかったようだな!!このような甘言で騙しての不意打ちとは、これほどコケにされたのは初めてだぞ!!」

 

「待って!!これは不幸な事故なの!うちの弟子がちょっとアクシデント的にやらかしただけなのよ!だから先ず話を……」

 

ドオォーン!!

あっ、これは94点……じゃねぇよ!アイツこういう時に限ってマナタイト使うの勘弁しろよ!

 

「…………やっぱり、私達は分かり会えないようね!」キリッ!

 

「諦めないでウォルバク!めぐみんのやらかしはいつも通りだけど諦めないで!自分の弟子を信じてあげて!」

 

「無理よ!あの娘やるもん!爆裂絡みだと絶対に余計なことするもん!これも「大きくて硬いものが壊したかった」とか言うもん!」

 

えぇ…そこはなんとか躾けてくれよ!俺には無理だったけどさ!

 

「取り敢えず全員外へ出ろ!なにかの勘違いならば弁明する必要がある!だからまだ開戦はするな!オジさんも魔法を用意しないで!」

 

あぁ、なんか本当にすみません!魔王の娘さんがとても良い人で更に申し訳なくなる!

 

「……仕方あるまい。しかし、もしこれが故意によるモノであれば……」

 

「えぇ、もしこれが故意なら、流石に私も許容できないわ」

 

あぁ、本当にすみません。うちの馬鹿がマジですみません!!

 

…………………

 

『聞こえますか魔王軍!今のは牽制です!既に魔王城は完全に包囲しました!今すぐにカズマ達を解放すればこれ以上の攻撃はしませんが、従えないならカズマごと爆裂します!』

 

「「「いやそれはおかしい!」」」

 

俺達が急いで外へ出ると、そこには紅魔族や王族騎士隊、さらには冒険者の軍勢が待ち構えていた。俺のためにこんなに早く集まってくれたのは感謝しかないが、どうしてこうも間が悪い時にばかり迅速なのか……新手の嫌がらせか?

 

「お前にはこんなにも人望があるのだな…やはり英雄は伊達ではないのか……」

 

「いいえ?この国の考えとしては、カズマが魔王軍に入るって言うのが考えられる中で最悪のシナリオなのよ。そりゃ殺してでも連れ帰るわよね?」

 

「なんだよそれ……俺の評価は高いのか低いのか分かんねぇな……」

 

と言うか、そこは素直に助けに来てくれねぇかな…俺、裏切るって思われてるわけ?

 

「英雄の元へ駆け付けた者達よ!先ずはその矛を収めよ!サトウカズマは誘拐などされていない!我らは平和的な交渉の場についている!」

 

おぉ、やはり曲がりなりにも魔王代理だ。ここで堂々と出来るのは素直に感心するな。

 

「白々しいですよ魔王の娘!寝間着に風呂上がりと、貴女の中にカズマの矛を収めたのではないのですか!性交渉の場に居たのではないのですか!カズマを籠絡して魔王にしようなどと、私達は絶対に認めませんからね!!」

 

「しとらんわ!!どんな勘違いしたらそうなるんだ!しかもその場合傷物になるのは私じゃないか!!」

 

「そうだぞめぐみん!俺は最強の魔法使いの復活を確認しに来ただけで、お前らを裏切るつもりも、争うつもりも全くない!良いから全員引いてくれ!」

 

「おい待て!私が倒した奴が復活したとしても、既に最強は私でしょうが!そこはもっと譲れませんよ!魔王の娘を妾にするほうがまだマシです!」

 

いやそっちのが優先順位高いんかい!

 

「おい小娘!お前の主は良く分かっているようだな!あんな方法で勝った所で、誰もお前を最強などと認めん!後ろにいる者を人質にせねば勝てないような小物が、最強を名乗るなど片腹痛いわ!!」

 

「おいやめろ!喧嘩を売ったらあの馬鹿は買う!いや、売ったのはアイツかも知れないけども!」

 

絶対に最強の称号は譲りたくないだろうし、そうじゃなくても普通に負けず嫌いだし!

 

「なんですとこの死にぞこないが!ならばもう一度勝負してやりますよ!我々と魔王軍のどっちが格上か!もう一度あの世で理解するが良いです!」

 

あ、あいつ地味に俺たち巻き込みやがった!やるなら個人的に競い合ってくれねぇかな!

 

「望むところだチンチクリン!!我らが魔王軍の真の恐ろしさを教えてやる!あの世で育つことが無くなった胸を眺めながら、己の愚かさを後悔するんだな!」

 

「「………………ぶっころ!!」」

 

…………えっ?待ってこれまた全面戦争になるパターン?!俺達戦わなきゃ駄目なパターン?!

 

「どうやら、お前とは同じ道は行けんらしい。魔王様の仇、悪いがここで討たせてもらうぞ!」

 

「いやいや!流石にこんなしょうもない理由で戦うのは違くないか?!魔王の娘もそう思うよな?!」

 

「私が妾だと…この花嫁修業をあんなに頑張った私が……あの小娘、その命を持って詫びさせてやる!」

 

あっ、こっちも地雷踏んでる!

 

「やはり、私達はわかり会えないのね!」キリッ

 

「そのようだな。折角だ、お前とも決着をつけるぞウォルバク!」キリッ!

 

いやお前らもうノリノリじゃん!これだから血の気の多いやつは嫌なんだよ!俺もう関わりたくないんだけど?!

 

「なお、勝敗はお互いの総大将が倒れた方の敗北とします!構いませんね?!」

 

「あぁ、それで構わん!!」

 

いやそれ俺が構うやつ!めぐみんのやつ、極力自分が狙われないルールにしやがったな!ルール変更を申し立てるぞこらぁ!

 

「諦めろよカズマ。死んでもエリスが復活してくれるって……」

 

「ちょっとセレナ?!死ぬ前提やめてくれます!」

 

「カズマさん。これ観戦チケットを作れば売れるんじゃないでしょうか!」

 

「ウィズも変なところで乗り気にならないで?!誰も関わりたくないからこんなの!」

 

くそぅ!こいつらはもう駄目だ!それなら……

 

「おいクレア!王国軍としてこの状況を何とかしてくれ!これで魔王軍と拗れたら色々と困るだろ?!お前らの方で仲裁をしてくれ!」

 

「……こ、これはカズマのパーティーと魔王軍の決闘として取り扱い、我々は関与しないものとする!ということで、我々と紅魔族は解散!王国軍と魔王軍の停戦は継続!異論はないな魔王の娘!」

 

「あぁ、それで異論はない!ぶっ潰したいのは覗き野郎とチンチクリンだけだからな!」

 

「なら良し!」

 

「いや待って!クレアは俺の身の安全を少しは気にかけて!魔王の娘もさ!俺達さっきまで分かり会えてたじゃん?!」

 

「いずれこうなる定めだったのよ。我々は人間など信用していないし……そしてやっぱり、裸見られたのは許せないから!」

 

あっはい。もう戦うしかないんですね……

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

私の話としてはとても重い、種族の壁による分かり会えない切なさを全面に押し出した話でした……えぇ、反論は受け付けていませんとも!

次回、この流れでクソみたいな決着を見せます。期待しないでお楽しみに!(矛盾)
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