ついつい気になる隣の芝。カルテットな皆様はお互いの生活をどう考えるのか……
って思って書いたネタです。またお暇な時にでもお付き合いください。
『国の英雄、ターニャ・デグレチャフ中佐の朝は早い。彼女の目覚めは、殆ど太陽と同時に訪れる』
「んんっ…おはよう…ございます…ふぁ〜…」
「はい!意義あり!ねぇこれ誰?!このかわいい幼女誰?!ピンクのネグリジェ着てるの誰?!」
なんて、分かりやすい解説の入ったプロモーション映像に対し、ナツキ・スバルの鋭いツッコミが入る。こういうのはそういう見世物だと理解していないのか、それとも芸人の血が騒ぐのかは知らないが、流石にこれは早すぎる。
「なんだスバル。お前はアイドルがトイレに行かないとか信じているタイプなのか?外に映像を出すのであれば、当然それ用に加工はするだろう?」
「えぇ…ターニャってそんな仕事もしてんのかよ……」
「まぁな。だが安心しろ。これはノーカット版だ。私の苦労や苦悩、各部の無能も見て取れる素晴らしい映像に仕上がっている。ほら、わかったら大人しくしていろ」
「お、おお…」
アインズの発言により、俺達は互いの私生活を見て評価されることとなった。ということで、最初はターニャの生活を見ているのだが……これノーカット過ぎて事案になるのでは?
「なぁ、これ条例とか大丈夫なのか?普通にカメラ前で着替えてるけど…」
「ノーカット版だと言っただろう?まぁ、ついでにこの映像を所持している無能な広報の連中が捕まれば良いとは思っているがな?」
うわぁ、幼女がハニトラしてやがる……
『彼女の職務は、一杯のコーヒーから始まると言っても過言ではない。今日も信頼の置ける部下の淹れた一杯を飲み。彼女は雄々しき軍人へと切り替わるのだ』
「中佐殿、コーヒーです」
「「「ぶふっ!!」」」
そこに突如現れたのは、オカメ顔のヴィーシャさん。多分化粧に気合を入れすぎて、気付けばこんな大惨事になったのだろうが、流石にこれは面白過ぎる!
「こ、こうしてみると、ターニャも楽しい日々を過ごしているように見えるな」
「辞めてくれ。彼女だけだぞ?戦地でこんなマイペースに過ごせるものは……」
ある意味では、一番の大物なのかな……
コンコン
「隊長殿、ヴァイスです。本日のご予定の確認に参りました」
「ふむ、コーヒーブレイクついでに聞こう。入り給え」
「はっ!失礼いたします!……ぷっ」
スゲー、朝からもう緊張感がヤバい。ヴィーシャさん居なかったら息が詰まるわ。これが国の命運を背負ってる軍人ってやつなのか……
「本日、9:00より新兵訓練の成果確認!9:39より新型兵装の試験運用!10:00より戦略会議!………………」
「うわぁ……分刻みじゃん……」
「元社畜の私でもこれは死ねるぞ……」
「と言うか、これマジでこなせるのかよ……」
「命がかかっているんだ。手は抜けんだろう?」
いや、そもそも過労で死なないこれ?
「……以上!22:00帰還の予定です!」
「ほう、今日は随分と余裕のある予定だな?」
「「「いやこれで?!」」」
嘘だろおい!!
「さぁ、本日も国のために働くぞ諸君!セレブリャコーフ中尉は化粧を落としてきたまえ!」
「はっ!」「はっ!……へ?」
いや、なんで不思議そうなんだよ…
………………………………
「うわぁ…マジで分刻みにこなしたよ……」
「社会人ってスゲー……」
「プロ社畜だ…私など素人社畜だったんだな……」
ターニャの完璧な仕事ぶりは、俺達からすれば正しく圧巻の一言に尽きる。全てに無駄がなく、まるで毎回繰り返しているかのような効率。こんなものを見せられれば納得するしか無いだろう。ターニャはすべき事を全力でやっていると……
「まぁ見ての通りだ。私は国のために誠実かつ堅実に働いている。社会の歯車を回す者として、PTAの皆様も納得の仕事ぶりで……あぁーーー!!」バリバリバリバリ!
えっ?なんでこのタイミングで?!
「どうしたデグレチャフ…あぁーーー!!」バリバリバリバリ!
レルゲン先生まで?!
「はっ?!そうかわかったぞ!映像のターニャは帰還こそしているが、まだ報告書を書いている!これはつまり、労働基準法の未成年者の深夜勤務禁止法違反だ!」
「「そこかぁーー!!」」バリバリバリバリ!
いや、幼女を戦争に出しときながら今更そこ?!
「と言うかそれならターニャは悪くなくね?」
「ヴィーシャさんが同じタイミングで仕事してるからだ!あの人の上司はターニャだし、見た目的には未成年だ!」
「おぉ!そういうことか!」
戦争には何も言わないけど、こういう所厳しいよねPTAの皆さんって……
____________
「ふう……酷い目にはあったが、これで私の禊は済んだわけだ。今後は幼女として正しい勤労を心がけようと思う。これでPTAの皆様も納得だろう」
「幼女に電流流すPTAも相当悪影響だとは思うけど、ターニャはどんな理由でもいいからもっと休んだほうが良いって……マジ過労で死ぬぞ?」
「いやスバル。幼女としての正しい労働ってパワーワードにまず突っ込もうぜ?ほんっとに今更だけど……」
結局蓋を開けてみれば、ターニャの生活は自分にやれるだけの仕事をしているだけだった。世界が世界だからこんな感じだが、多分うちに来ればセナさんみたいなポジションになったのだろう。怖さ2割増しなので不採用だが……
「では、次はスバルくんだ。最近騎士になって大活躍との事だから、期待させてもらうとしよう」
「おうよ!ペトラが良く俺を覗いてたのはそういうことだろ!完璧な俺の騎士様生活を見せておいたから、なんも怖いことはねぇぜ!」
「なんだそれズルいぞ!ノーカットでお送りしろよ!」
「そうだぞ!私の身体まで見ておきながら貴様というやつは!」
「いや、それに関してはターニャも隠せ……」
しかし、スバルのやつ上手くやったな。これなら怒られることなんて……
「いや、記録者はエキドナくんなので、ペトラくんは何も関係ないぞ?」
「へっ?!」
あれ?なんか風向き変わった?
「あの、レルゲン先生?撮影日も違ったりなんて事は……」
「……残念だが」
「後生だから!お願いだから一度検閲をお願いします!流石にそんなの怖すぎる!」
ガシッ!
「諦めろスバル。条件は皆同じだ」
「あぁ、骨は拾ってやるぜ…」
「大丈夫だ。ラブロマンス位なら祝福してやる」
必死なスバルを皆で取り押さえながら、俺達の顔は明らかに安堵していた。「こいつがやらかしただけ、自分たちのダメージが減る」。俺達3人の顔は、多分こんなことを考えている。
「では、検証開始!」
「ノォーー!」
………………………
『早朝4時。ナツキスバルは睡眠中。隣にベアトリスが添い寝。普段通り』
映し出された映像には、幸せそうに眠るスバルと、その隣に寄り添うベアトリスの姿があった。そして、そこに合わせられたエキドナのナレーション。なにこれ観察日記か?
「この映像は完璧に事案だろう……なぜ電気が流れないんだ?」
「見た目ここまで離れていると、可愛い妹とかそう言う風に見えるのではないか?」
「まぁ、心が汚れてなきゃ如何わしく見えないんだろうさ」
良かった…これで事案アウトなら、多分めぐみんとかアイリスとのイチャイチャで俺は死んでいた。
「んんっ…かしら…」
ころっ…ピラッ
「「「なんか可愛いベビードール着てる?!」」」
「あぁーー!ちがっ!これは寝心地のいい服ってだけで!いだだだだ!」バリバリバリバリ!
くっ!流石にこれはアウトか!
「いや、そう言われると私も同じような物を中尉に渡された気がするな。感触が良くてか弱い肌に良いとか言われて……」
「そうそれ!俺は決してやましい気持ちなんて持ってないから!だから電流は……止まった?」バリバ……
なるほど、そこに邪な感情がないと伝われば、このお仕置きは回避できるのか……
「んっ…もう朝かしら…夢なんて見ないのに、いい目覚めって気がするのよ…ねっスバル」ニコッ
「事後かよ」「事案だ」「事案だな」
「ちょっ!本当に違うから!これは信頼とかそういうのだから!ってあぁーー!」バリバリバリ!
ふむっ、俺達の発言でも電気は流れるらしい。なら疑わしい場合は先手を打とう。あと、取り敢えず今後もスバルはロリコンとして取り扱おう。
「それはそれとして……今日も当たってるかしら…もう、スバルってば……」
「ちがっ!それは生理現象で……あぁーー!また強くなってるー!」バリバリバリバリ!
うん、流石にこれはアウト。
『本日のスバルは12.7。日本人平均に若干届かない』
「そして追い打ち辞めろエキドナ!あぁー!」バリバリバリバリ!
おおぅ…これは死にたくなるプライバシー情報……
「まぁ、こればっかりは男ならば仕方あるまい。勝手にそうなるんだから、不便なものだったよな?」
「ターニャが言うと事案臭いな……」
「しかし、こういう勘違いスケベとラッキースケベが起こらないのは、私の身体唯一の利点だな」
いや、アインズに付いてたら毎晩すっからかんにされるだろ。だってサキュバス居るもん。あれ?ベアトリスがスバルに耳打ちしてる?
「スバル起きてる?起きてないなら教えてあげるかしら。ベティは赤ちゃんは作れないけれど……スバルの欲望なら、どんな形でも受け止めてあげるかしら…だから、我慢できなくなったら何時でも望んで良いかしら……」
え?なにこれスバル愛され過ぎじゃね?!
「あぁー!電流が凄いことになってる!ベア子辞めてくれ!そんなのしなくても死ぬまで大切にするからぁ!!」バリバリバリバリ!
「それをナチュラルに言えるところは、素直に感心するな」
「あぁロリコンで無ければ素直に男として感心できると思う」
「ツッコミと謎の男気はスバルの長所だもんな」
「おいカズマ謎とか言うな!あぁー!!」バリバリバリバリ!
しかし、スバルへの電流はやたら長いのはなんでだろう?芸人枠だからか?
……………………
「さて、今日は朝からエッグベネディクトとか作っちゃうぞ!フレデリカ、ポーチドエッグとベーコンを頼む!」
「はい、お任せください」
目が覚めてからのスバルは、とても真面目かつ誠実に家事をしている。それはまさしくPTAの皆様が好む男女平等を代表するかのような仕事ぶりで、先程から電気は全く流れていない。だが、ほんの少しだけツッコミを入れさせてくれるなら……
「……騎士なんだよな?」
「いや、これは執事の仕事だろう…」
「どちらかと言うと家政婦のような気もするな…」
「良いじゃん!役職貰ったからっていきなり務まるわけないだろ!そもそも騎士って何するわけ?!」
「「「なりたかったんだよな?!」」」
まぁ、俺も人のこと言えないんだけどさ?せめて職務内容は把握しようぜ……
「あ、あのねスバル…騎士としてお仕事をお願いしたいんだけど…いま大丈夫?」
「おぉよ!エミリアたんの頼みならなんでも!フレデリカ、ソース出来てるからちょっと頼むな?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
スバルを送り出すフレデリカを良く見ると、その顔は少しばかりニヤけている。あれ?これってまさか…
「一応、騎士っぽい仕事もあるんだな?」
「いや、会話の流れ的には個人的要件に見えるが……んっ?なんでスバルは顔を手で覆っているんだ?」
「き、聞かないでください…あと、数分だけ俺の顔見ないでください…」
あっ、これ確定だな……
「す、スバルは騎士としての朝の務めを忘れちゃったの?私ずっと待ってたんだからね?」
「いや、ごめん!その…また部屋の前にラムが居てさ…」
「あっ…またなんだ……でも、それなら連絡だけでもして!私、これが無いと寂しいんだから…」
「うん…俺も、これがないと寂しいよ。エミリア……ちゅっ」くいっ
えっ?スバルくんって顎クイからのキスなんて出来るタイプだったの?!そんな大人の階段登っちゃってたの?!なんか意外なんだけど?!
※大人の階段を3段飛ばしで登った男
「んっ……えへへ…こんな隠れてなんて、アヴァンチュールだね?」
「今日びアヴァンチュールなんて聞かねぇなぁ。でも、スリリングなのは嫌いじゃないよ…」ぐいっ
「もう…私が恥ずかしそうにするのを見たいだけじゃない……スバルってばすごく意地悪……あっもう…」
チュッチュッ…
「こ、これはまた……ただ唇を重ねるだけのキスを何度も何度も……」
「見てる方が恥ずかしくなる初々しさというか…」
「PTAも怒れない純粋さと言うか……」
「辞めてぇ!これだけは本当に見られたくなかったのに!畜生エキドナ覚えとけよ!」
『本日の朝チュッチュは26回。平均より+3回』
「お前本当に覚えとけよ?!」
いや、それならスバルも廊下でやんなよ……
…………
「見てみてスバル様!教えてもらった刺繍でフレデリカ姉様を縫ってみたの!」
「おぉ!ペトラも随分とレベルを上げたな!先生として鼻が高いぞ!」
エミリアと隠れてイチャついたと思ったら、今度もまた幼女。何故だろう。やっぱりロリコンなのだろうか?
「こっちに手を出したら流石に通報案件だぞ?」
「出さねぇよ?!皆俺のことなんだと思ってるわけ?!」
「ロリコン」「ペド野郎」「幼女好き」『幼女使い』
「流石に傷付くんですが?!」
いや否定できるか?
「しかし、家事してエミリアとイチャイチャするだけで、どこら辺が騎士なのか一向に分からんな……」
「いっそ保母とか家政婦のほうが合ってるのではないか?」
「おい待て!俺だって魔女教との戦いに身を投じているんだぞ?!これは偶然にも休暇だっただけだって!」
その理論でいうと、俺の魔王討伐8割以上休暇だったな……
「ま、まぁ…時には休暇も大切だよな…アクシズ教みたいなのが相手じゃな…」
「まぁ、連合との戦争にも休暇が必要だからな……」
「王国との戦争にも休暇はあったしな……」
「辞めてくれます?!なんか俺の敵が大した事ない感じになるから辞めてくれます?!特にカズマ!」
「なんで俺?!アクシズ教をなんだと思ってんの?!」
「頭の狂った屍兵軍団」「我々アンデッドの天敵」「高い組織力を持つ、潜伏型の同時多発テロ集団」『ペテルギウスの群れ』
どうしよう……全部否定できなかった……と言うかエキドナが俺に突っ込めるのおかしくね?!
「スバル様、お風呂が湧きましたよ」
「おや、もう風呂の時間のようだ。スバルの生活、もう完全に家政婦の一日じゃないか…」
「風呂って事はあれか?やっぱりエミリアと入ったりしてんのか?」
「流石に入ってねぇよ?!ほら…まだ子供とか出来たら困る訳だし……」
え?あんな可愛いキスしか出来ないのに、そこはちゃんと心配するんだ。
「でもそれは安心しろ。そこは思ったより簡単には出来ない。たとえ欲しくても、プレッシャーがあっても全然出来ない」(真顔)
「あっはい…なんかすみません…」
「お前ら切実さの方向性が正反対だな…」
「やはり異世界でも初孫問題はあるんだな…」
周りの期待から来るプレッシャーとか半端ないもん…子供服カタログが天界から送られてくるんだぜ?あとダスティネスからも……
「す、スバル!夜のお仕事は……忘れて…ないよね?」
「忘れる筈ないだろエミリア。すぐに部屋に行くよ」
「う、うん…待ってるね…」
あっ、またこの流れが……
「朝昼とノリノリだった癖に、夜は随分と消極的ではないか?やはりロリじゃないと駄目なのか?エミリアに飽きたのか?これだからハーレムに憧れる男は……」
「そろそろ俺への偏見辞めてくれます?夜にこんなのされると、悶々として眠れなくなるんだよ……」
「あぁ分かる。若さが辛い時ってあるよなぁ…」
「あぁ、確かにお前らは年頃だもんな。私など、まだ性欲の概念が思い出せそうにないぞ?」
「ターニャはまだ肉体があるだけ良いだろう。私などどこへ行ったのやら……」
「そうだな。行方不明という意味では同じだが、アインズに関しては代用品もないものな……」
もうスバルの一日も終わりと言うところで、もはや恒例になったエミリアちゅっちゅタイムが始まる。この触れるだけのキスのもどかしい感じに最初はムズムズしたが、見慣れるとなんか可愛らしいもんだ。今度避妊具を送り付けてやろ!
「しかし、一部事案の疑惑はあったが、スバルくんの倫理観はとても良い!昨今の乱れた若者の性に流されず、今後とも清く正しい交際を続けてくれたまえ!交換日記とかね!」
「いや俺は先に進みたいんですけど?!」
「と言うか先生の恋愛観?!」
「昭和でもそうそうやらんやつだぞ!」
…………………
「えぇ…と言う事で、スバル君の甘い一時も終わったので、いよいよアインズ君の私生活を見ていこうと思う。思うのだが……」
ブラックコーヒーを飲みながらスバルとエミリアの夜を眺めていた俺たちの前に、また新たな映像が映し出される。それはベッドに横になるアインズの隣に、多分アルベドらしきモノが控えているようだ。なんで「らしき」なんて言うのか…それはモザイクがかかってるからです……
「私は眠る必要がないので、こうして寝そべって勉強をしているのだ。しかし、集中すると時間を忘れてしまうので、こうしてアルベドが起こしに来るのだが……」
「いやこれ完全にアレだろ…あわよくば二度寝(意味深)に持ち込もうとしてるだろ…」
「魔王が美女をはべらせるのはある意味正解だが、これはPTAが黙っては居ないだろうな…」
「取り敢えず……『パワード』『プロテクション』『スピードゲイン』『ブレッシング』『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」
「おい待てカズマ。支援魔法は有り難いが、最後のは聞いた事無いんだが?」
「あぁ、これは芸達者になる支援魔法だ。声真似とか出来るようになるぞ!」
「この状況で要らんだろそれ?!」
えぇ、凄く良いものなのに……
「……では始めるぞ。再生!」
ピッ
「あぁぁー!!!」バリバリバリバリ!
「「「あぁ、やっぱり……」」」
一応フォローを入れるのならば、アルベドは全裸では無かった。だが、その布はもはや着てる方がエロいと言わざるを得ない品物で、端的に言うとタダの紐である。これにはPTAもお怒りだろう。
「おはようございますアインズ様。今日も軸椎(じくつい)がお美しいですね…」
「あ、ありがとう…」
スリスリ
「いや、どこだよそれ……」
「頸椎(けいつい)の上から二番目だな…アルベドってなんでそんなの知ってんだ?」
「いやカズマが知ってることも驚きだぞ…お前普段何してるんだ……」
「接骨スキルもレベル10だからな!」
「「だから何に使うのそれ?!」」
激しくしちゃった翌日とか……
「それにしても、よくアインズも全裸同然のアルベドを部屋に置いとくよな……」
「普段からあんな声を出していて、そもそも下着でも頻繁に迫ってくるからな。なんか慣れてしまって今更感が……」
「何となく予想できたけどさ……それもう出禁にするか他のやつにしろよ…」
「他の者の名前を出すと、泣きそうな顔をするから……」
甘っ!と言うか寝てないんだから部屋に入らなくても良いじゃん!
「では、支配者の間へ参りましょう。今日は各自から報告がありますわ」
「うむ……では皆に伝えよ!経過報告の後に今後の活動方針を決める!」
「はい!」
たとえこんな異常な状況だろうと、アインズの堂々とした態度は揺るがない。だが、俺はたまに思う。これ、実はただのツッコミ放棄なのではと……
「さぁ!皆の報告を聞こうではないか!」
……………………
「まぁ、概ね予想通りではあったが……」
「まさか、殲滅とか脅迫の報告ばっかりだとはなぁ……」
「くっ…私の葛藤など、PTAにはお構い無しか…」こんがり
アインズが言い出した段階で疑問ではあったが、やはりPTAの皆さんは罪悪感や葛藤など配慮してはくれない。と言うか、そもそもあの映像ではアインズの苦悩など伝わらないのだ。だって、アインズには表情筋が存在しないのだから、頬に「葛藤中」とでも書いてくれないだろうか……
「えぇっと、夜はまたアルベド君が来て、二人きりだからと延々と興奮する姿を見せるだけなので、これで終わりにしようと思う……よく頑張ったな。アインズ君……」
「ありがとう……ございます…」ガクンッ
あっ、力尽きた。
「では、最後にカズマ君だ。と言っても、君はもう平和な日常を手にし、しかも結婚までしているそうじゃないか。あまり見る必要は感じないが……」
「そ、そうですねレルゲン先生。辞めときましょう!」
俺は叩けば間違いなく埃が出るだろうし、そもそも撮影者があいつだ。すごく嫌な予感がするので、ここは無かった事にしたい。
「いやいや、そこはカズマの活躍から学ぶものがあるかもだし?」
「あぁ、我々からすれば平和を掴み取った大先輩だ。少し位夢を見せてくれてもいいだろう?」
「そうだな…カズマの交渉術は目を見張るものがある。是非参考にしたいところだ」
「ほう、先人から学ばんとするその意気や良し!では再生!」
あっ?!…こ、これ大丈夫…だよな?
……………………
BGM、情熱大陸
〜救世の英雄 サトウカズマ〜
「「「うわっ!懐かしっ!」」」
「はっ?!いや私には何がなんだかサッパリなんだが?!」
レルゲン先生は置いていかれているが、これはまさに日本人憧れのプロモーション。天使め、アイツ中々いい仕事をするじゃないか!そうだよな!アイツ俺を称える側なんだから、俺に有利な映像になるよな!
『サトウカズマ……若くして命を落とした彼は、新たな世界で勇者として旅立つ。彼は多くの苦難を乗り越え、遂には魔王を倒し世界を救った。これは、そんな英雄の1日追ったノンフィクションである』
「オープニングの写真の数々凄いな…」「マジで英雄じゃんか……」「むしろ、普段のこれが演技だと疑いたくなるレベルだぞ……」
いや、そのかっこいい写真ね?そのあと大抵死んだり泣かされたりしてるやつだからね?キリトリってレベルじゃないからね?
『サトウカズマは、魔王討伐後も駆け出しの街に住んでいる。ここから教育と商業を発展させ、より盤石な平和を実現しようとしているのだ』
「ふむ、実に良い心掛けだ。私は君の担任として、実に誇らしいぞ!」
「いやそれにしても、いい家に住んでいるなぁ…」
「ロズワールの所よりは狭いけど、それでも一般人が住む広さじゃないよな…」
今は家の広さなんざどうでも良い!頼むから、健全な目覚めが映ってくれぇ!
『そして、今日も彼の一日が始まる……あっ、大丈夫そうですね?』
あっ、天使のやつちゃんと気にかけてくれてた!ありがとう!マジでありが……
「やぁ…もう朝なのに……カズマってば激し過ぎ…あぁん!」
「あぁーー!ちっとも大丈夫じゃねぇ!」バリバリバリバリ!
なんで今大丈夫そうって言ったのアイツ?!
「布団とカズマの背中でギリギリ見えちゃ不味いところを隠しては居るが、これ完全に濡れ場じゃないか……」
「うわぁ…クリスさんがあんな顔させれられるのかよ…カズマえぐいな……」
「ほぅ、見せつけてくれるじゃないか…幸せ者め…」
「辞めて見ないで!流石に見せ付けたくないわこんなの!あぁー!!」バリバリバリバリ!
これ絶対入ってるよね?!ていうか入れてる時のやつだからね!
『国の行末を預かるものとして、世継ぎ問題は常について回る。しかし、そこは安心して頂きたい。愛する妻との関係は、全く冷める気配がない』
あいつ、まさかクリスかエリスなら大丈夫と思って写したのか?!そもそも濡れ場は避け………いや、濡れ場のない朝とか無かったかも……
「あぁん!……はぅ…」クテッ
「ふぅ…ごめんクリス…朝飯当番は代わるよ…」
なでなで
『……あ、愛する妻の寝顔を優しく撫で、今日も彼の一日が始まる!』
何ちょっと引いてんの?!お前が撮影したんだろ!
「いや、これ寝顔っていうか……」
「気絶だろ…これ……」
「私は男優を教え子に持っていたのだろうか……」
「デリケートな問題にツッコミはやめろ。これはアレだ。たまたま興が乗り過ぎた結果で……」
「あぁ、遂にクリスもダウンしたのか……」
「本当に性獣なんですから…もう、私はまだ立てませんよ……」
「やはり、一日放って置くとカズマさんの中の野獣が目覚めるんだね……」
「わ、私なら毎日でも……なんて…」
「「「ベッドの中から続々と出てきてる?!」」」
「あぁー!!なんでその日なんだよもう!!」バリバリバリバリ!
ダウンしたクリスの両脇から、ダクネス、めぐみん、あるえ、ゆんゆんが現れる。唯一の救いは、この日はウォルバクが朝風呂で、アクアが飲み会で不在だった事だろう。本当に撮影が昨晩からじゃなくて良かったと思う。この電流がこれ以上強くなってみろ。アインズの強化があっても俺は死ぬ。
『あ、愛する妻達に囲まれ、今日も幸せな日々が始まるぅ?』
「なんで撮影者まで露骨に引いてんの?!」
………………………
「よーし!今日は朝からスフレオムレツとか作っちゃ……出来た!」シュパンッ!
『サトウカズマの朝は早い。何というか物理的にも早い!』
「いや早いっても限度がある!何今のマジック?!」
「料理スキルをカンストしてるからな」
「料理スキルで次元を超えるな!せめて料理しろ!」
「恐ろしく早い卵とき、私でも目で追うのが精一杯だった……」
外野のツッコミは煩いが、ここからはとても平和的な日常が始まる。この朝ごはんのスープ、オムレツ、トースト、ベーコンは、我が家の定番朝ごはんだ。用意するのが1分足らずなので、とてもコスパが良い。
「いや待て何処だ?!いま何処にコーンスープとトーストとベーコンの下りがあった!なぜ食卓にホカホカで並んでいる?!」
「卵焼いてるときに用意してただろ?スープを火にかけてトーストとベーコンをオーブンに……」
「なんでこんな所ばかり伝説級なんだお前は?!それでナイフでも振るえば間違いなく近接戦闘で負け無しだろう?!」
「おいおいターニャ。包丁は、人を傷付けるものじゃないんだぜ?皆に美味しいご飯と笑顔を届けるものさ!」キリッ
「くっ!正論だが、カズマに言われると腹立つな!」
なにそれ酷くない?!
「あら、実質夜食だけどタイミングが良かったわね!それじゃあ、今日も水の女神に感s……」
「「「「「いただきます」」」」」
「なんでよぉー?!」
「「「あ、これは予想できた」」」
いや、それはそれでどうなんだろ……
……………………
「おはようございます。オーナー」
「「「「おはようございます!」」」」
「話には聞いてたけど、カズマはマジでサキュバスの店のオーナーなんだな…」
「悪魔にさえ人権を認め、そして社会の中での共存を実現するとは……王国がカズマのような考えであったなら、我々は共存の道を選べたのかも知れないな……」
「その共存を生んだ本人だが、そろそろアインズの仲間入りをしそうだぞ?」
「…サキュバスがエロいのは…俺のせいじゃ…ない……」
プスプス
「「カズマ?!」」
どこまでが俺の責任に扱われるか不明だったのだが、どうやら従業員の格好がエロいのは俺の責任になるらしい。アインズの見事なフォローが無ければ、俺はうめき声も出せず消し炭になっていた事だろう。PTA、なんて恐ろしい組織なんだ……
…………………
「よぉウィズ。新商品を持ってきたぞ!」
「お疲れ様ですカズマさん。では、早速商談を始めましょう!」
サキュバス店の売上を確認したら、次はウィズとの商談だ。流石に風俗店経営が主だと思われるのは心外なので、正直忙しい日で良かったと思う。
「風俗店の次は商店か……なかなか手広くやっているではないか?」
「まぁな。平和になっても生きていくんだ。こうして未来を見据えるのは大切だろ?」
「おぉ…ここに来て大人な意見だ……」
「ふむ、やはり発展をもたらす英雄は違うのだな。性欲ばかり立派という認識を改めねばなるまい」
そうさ。俺はこの世界では英雄であり大商人。以前の駄目でスケベな俺では……
「今日の商品は……ふぇ?!…こ、これって…」
「そう!最新式のアダルトグッズだ!」
「「「いや結局それ?!」」」
「ちがっ!これはたまたまこの日が…ぎゃーー!!」バリバリバリバリ!
しまったぁ!よりにもよってこの日を撮影するなんて!あいつマジで間が悪すぎるだろ!
「ほら、これなんて…ウィズの好きな奥の方を攻める構造になってるんだぞ?」
「や、辞めてください…まだお昼で、しかもこんなの店頭に並べる訳には……」
「うわぁ…こいつ店員さんに執拗なセクハラを……」
「こんな商談AVでしか見たことねぇよ……」
「やはり、性獣だったか……」
「ふ、普段は本当に真面目に商売を……あぁーー!!」バリバリバリバリ!
俺の悲痛な叫びが届くはずもなく、映像の俺はウィズの肩を抱いて店の奥へと消えていく。そして、奥から響く甘い声が止むまで、俺への電流は止まることはなかった。
………………………
「ようこそレジーナ教会へ。いつもご協力ありがとうございます」
サキュバス店からウィズ魔導具店へと移動したら、最後に行くのはやはりレジーナ教会。まぁ、これは普段の日課だから仕方ない。それに、ここでの手伝いは患者のリスト作りなので、まず電気は流れないだろう。問題となるのは……
「じゃ、これで書類整理は終わりだな」
「お疲れ様ですカズマさん。ちなみにその…この後の要件などは……」
「じゃあその、少しだけ懺悔を……」
「はい!承りました。では、こちらへ……」
告解室の中が映せるのか否かである……
「ほう、カズマにも悔い改めると言う概念があるんだな?」
「と言うか、そんなの奥さんに言えば良いんじゃね?許してってさ?」
「それでは家庭で愚痴をこぼすのと変わらんだろう……」
すみません…あれ実は懺悔じゃなくて……
「あっ、馬鹿…がっつき過ぎ……そんないきなりは……あぁん!」
「「「いやココでも?!」」」
「ひぎゃーー!!ドアに隙間空いてんじゃねぇかぁ!」バリバリバリバリ!
これじゃ結界も意味ねぇよ!
「まさか、あの保険医もカズマの嫁だったのか……」
「いやだとしても聖職者相手って……嫁さん女神なのに……」
「神をも恐れぬとは良く言ったものだ……」
「それ……そういう意味じゃ…ない……」ガクッ
やばい…そろそろ本妻に、会いに行きそう…
……………………………
「では、今月の財務報告です」
現実の俺は満身創痍にも程があるが、映像の俺にはそんなことは関係ない。意気揚々とセナさんの元を訪れ、今月の収益を確認している。
「おいスバル…お前なんで前屈みなんだ?」
「おいおい、友達が保険医にあんな甘い声を出させていて、反応しなかったらそれはそれで問題だろ?」
「それ偉そうに言うことか?!」
「確かにそう言われると凄いシチュエーションではあるな……まぁ、私には反応するモノが無いのだが…」
「いやいや、アインズも魂が男なんだからさ?ここでおっぱじまれば熱く込み上げる物とかあるって!」
「君たち、これは保健体育の授業ではないんだが?!」
「レルゲン先生だって、このお姉さんが出てからソワソワしてたじゃないですか?気になるタイプなんでしょう?」
「なっ?!確かに彼女は理知的で毅然として好ましいが、それでもその痴態を楽しむつもりなど………」チラッ
あぁ、レルゲン先生はセナさんが好みなんだ。紹介する方法は無いけど……
「勘違いの無いように言っておくが、俺は学校を作ったり孤児院を運営したりヒット商品を開発したりもしているんだからな?別に如何わしい目的で事業拡大とかしてないからな?!」
「マジで?!孤児院と学校にも嫁がいるの?!」
「おいおい、学校と孤児院は流石に駄目だろう…教育に良くないぞ…」
「だから女抱くためにやってる訳じゃないから!」
俺の実績が全部エロで塗りつぶされてるんだけど!
「しかし、こんなオープンなオフィスで窓からの撮影とは……これは不味いな……」
「隣の寝室のカーテンも全開だし、これは凄いものが……」
「ねぇ?おっぱじめないよ?君達俺をなんだと思ってるの?!」
………………………
「なんで……ハンドマッサージしか……してないのに……」シュー
「魚肉ソーセージを食わせるだけで発狂する事もあるPTA相手だぞ?あんなエロい顔と声を出させれば、そりゃ焼かれるだろ……」
くそぅ!PTAなんて嫌いだ!
「なぁ、この後カズマは帰って風呂入るよな?あの嫁達が全裸で乱入なんてことになれば……」
「「「………あっ」」」
「『インフィニティウォール』『グレーターフルポテンシャル』『グレーターレジスタンス』『グレーターハーデニング』『ドラゴニックパワー』!」
ポンッ
「辞めるんだアインズ……もう、助からない……」
「諦めないで!お願いだから俺の生存を諦めないで!」
しかし、実際のところこれは不味い!あいつらが一斉に来れば俺は死ぬが、来なかった日なんてこの数ヶ月無い!
「カズマ…お前の最後の瞬間を、俺は目に焼き付けるぜ……」
「いや、ならモニター見てんじゃねぇよ…死ぬのこっちだからな?」
「いや、でも友達が電撃で焼き死ぬ所とか見たくねぇし……それなら美女の裸の方が……」
「正論だけど今は辞めて?!」
ガチャッ
「カズマ、髪の毛洗って〜」
「おい。ウォルバクは最近カズマに甘え過ぎだぞ!それなら私も…」
あぁ…よりにもよって最初にウォルバクとダクネス……こんなエロさの塊みたいな奴が来たら、こんな満身創痍の俺は…すまんエリス…またお世話に……
Prrrr…
「おっと!謎の湯気で美女二人の身体は見えないが、ここで一時停止だ!」
「えぇ〜、こんな惜しいところで?」
「ねぇスバル?その眼福のタイミングで俺が死ぬって分かって言ってる?お前それ人としてどうなの?」
「冗談だって……」
目がマジでしたが?!
「君たち少し静かに!あっはい。レルゲンです。はぁ…えっ?!そんな事が…はい……では……えぇ〜今回のセミナーはPTAの皆様の血管が切れて病院に運ばれたので中止となりました……」
「嘘だろ?!そんなことあるのかよ!」
「いや、確かに若干エロいだけで叱ってくる相手に、延々と強制AV鑑賞させたようなものだからな……」
あぁ、そう言われるとなんか納得……
「なんでも、デグレチャフ君の戦闘とアインズ君のエグい拷問の話で数名が嘔吐、カズマ君の度重なる性表現で遂に限界を迎えたらしい……」
「まぁ、この程度のことで熱くなる奴らに、戦争も拷問も耐性などないだろうからな……」
「でもPTAを返り討ちって…流石だよなカズマ……」
何が流石なんだよ……
「しかし、これで分かった事があるな…」
「あぁ、随分と時間がかかってしまったが……」
「俺達、大切なことを見落としてたよな……」
「そうだな。本当に今更だけど……」
「「「「良い子はこんな作品見てないよな!!」」」」
と言う事で、今日は解散!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
あっ、どうも悪い子の皆さん。有害図書の作者です。誤解のないように言っておきますが、幼女戦記もOVERLOADもリゼロも幼児から楽しめる大変良い子向けの本になっております。安心してお買い上げください。
と言う事で、2連載でネタが混線気味ではございますが、今後ともお暇な時にお付き合いください。