ネタにされまくっているハーピ…天使ですが、そろそろ本職に怒られたほうが良いかなって思ってのネタ回です。
また盛大にふざけていますが、お暇な時にでもお付き合いください。
クリスマスの朝。ミニスカサンタ女神(ヤンデレ風)の騎乗位でカッピカピに干乾びた俺は、少し遅く起きてリビングを目指していた。
「はぁ…早くレベルを上げ直さないと、またセレナとかウィズに絞られる……と言うか、こんなのゆんゆんにバレたら……」
「私にバレたら、何かあるんですか?」
「あっ……」
………………………………
クリスマスの昼。朝から赤い目のサキュバスにカッサカサになるまで絞られた俺は、若干這いつくばるようにリビングを……
「カズマ!これはカズマの仕業で………って何があったんですか?!干物になってますよ?!」
目指している途中で爆裂娘に保護された。
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「『セイクリッド・ハイネス・ヒール』!」
「すまんアクア、助かったよ…」
クリスマス当日。エリスは天界の飲み会に出ていて不在だ。なんでもクリスマスは封印の女神や破壊神など、独り身の神様の精神が不安定になるらしく、基本的には皆で集まって寂しさを紛らわせるらしい。アットホームさが死活問題になる職場ってあるんだな……
「ところで、この意地悪なプレゼントはカズマさんなの?」
「いや、全く見覚えがない」
アクアが取り出したのは、エリス教のペンダント。確か幸運値が上がるとか言うアイテムだが、これをアクアに送るなんて、いくら俺でも流石にしない。と言うか、クリスマスプレゼントは一緒に買いに行ったので、そもそも微妙なプレゼントになる筈も、枕元に置かれる筈もないのだ。つまり、これは完全ないたずらの類と言うことになる。
「私の所には辞書より分厚くて持ち歩けないメモ帳が来てて……」
「私には貴族の交友パーティーへの特別招待状が届いてまして……」
「私にはギリギリ爆裂を撃つのに足りないマナタイトが置かれていまして……」
「うわぁ…なにその絶妙に要らないモノ選ぶセンス…」
紅魔の3人の枕元にもプレゼントはあったようだが、その選択はまさに微妙に要らないギリギリのライン。逆に相手をよく理解してないと配れないものだった。まぁ、誰の悪戯なのかは予想がつくが、その鬱憤をベッドで晴らそうとする次期族長には本当に困る。エロくてたくさん出ちゃうから困る!
バタン!
「ははははは!メリークリスマスである諸君!お得意さんのお子様方には、特別なクリスマスプレゼントをご用意したぞ!さぁ、吾輩の心遣いに感謝して、有り難さに咽び泣くがよい!」
ちょっとネタバラシが早すぎる気もするが、悪感情を食いに来たのなら仕方ない。冷静になれば、プレゼントには何の害もなく、むしろ売ればいくらかプラスになると気付いてしまうからな。
「ねぇ……子供の中に私が含まれているのはなんの冗談かしら?」
「おっと!吾輩とした事が、貴様のような不出来な女神には、お守りではなく知育玩具から始めるべきであったか!わからないなら教えてやろう!おつむの出来が、子供以下であるからだ!」
「あら嫌だ悪魔さんてば。そんな気を遣わないで?そんなの選ぶセンスないでしょ?寄生虫のおつむには……」
「「あははは!」」
………いや、この流れって……
「『バニル式……』」
「『セイクリッド……』」
「やめろお前ら!家が壊れる!」
くそぅ!エリスが居ないとこれだよ!
…………………………
「で、あの子は何処に居る訳?これ選んだの、あんたじゃないでしょ?」
「ふむ。やはり無駄に長く生きる女神である。遂にコレとかあの子とか言い出したか……」
「ちっがうわよ!天使よ天使!女神はボケないの!常に知的な存在なのよ!」
「「「「……えっ?」」」」
「えっ?!」
アクアが知的かはさて置き、この件にあいつが絡んでいるのは違いないだろう。この家の女神3名による完璧なセキュリティを突破し、この微妙に要らないモノを選ぶセンスを併せ持つなんて、間違いなく天使か頭の悪い神様くらいだ。
「あぁ、そう言えばここに来るまでに羽の生えたサンタの噂を聞いたな。そんなものが居るなら間違いなく目立つであろうし、街で探してはいかがかな?」
「あの馬鹿!またチヤホヤされるために飛び回ってるのね!行くわよ皆!とっ捕まえて、持ってる微妙なプレゼントは没収してやりましょう!きっと禁酒中の人用にお酒もあるわ!」
「流石にそれを奪うのは可哀想だけど、確かにそんなことをする動機は気になるね。私もお供しようじゃないか!」
「そうですね!もしかしたら、私達の琴線に触れるプレゼントがあるかも知れません!」
「えっ…それは強盗のような気もするけど…あっ!待って!行かないとは言ってないからぁ!」
バニルの言葉に乗せられて、屋敷を飛び出していく(具合は)良い子達。そもそもプレゼントは無料なのだし、それに文句を言うのはお門違いな気もする。だが、それより……
「悪感情を食うだけなら、起きたタイミングが1番の筈だろ?なんで面倒なアクアの相手までして、あいつらを天使に仕向けたんだ?」
「ふむ、やはり小僧は一筋縄とはいかんか……だが安心するがいい。これは世のため人のためになる行いだ。放っておいてもギルドに泣き付かれるのは時間の問題であるし、お互いに損はしないことを約束しよう」
「それ、悪魔に言われても微妙な気持ちだよ……まぁ、嘘は付かないのは知ってるし、そういうことなら乗ってやるさ」
バニルの言葉は気になるが、それでもコイツは一から十まで教えてくれるような奴じゃない。それに、張り切ったアクアのほうが俺にとっては有害なので、取り敢えずアクアを追いかけよう。なにより、ギルドに問題だと思われるような事態は回避したいからな!
………………………
「サンタ服の天使様なら、東の通りで見たよ。プレゼントを配りながら、美しい声で歌っていたよ」「私は南の門の近くで見かけたな。カナリアのような声で歌いながら、煙突にプレゼントを入れていたよ」「いやいや、中央広場でロックな聖歌を歌っていただろ?声はちょっとハスキーだったような気がするけど……」
「まぁ、あれだけ目立つ存在が飛び回っていれば、嫌でも人目には付きますよね……」
羽の生えたサンタの目撃情報は、あえて探す必要もないほどに街を騒がせていた。この話を聞いてお察しの方も多いと思うが、あいつはもう全然騒がれるような存在ではない。神聖な存在とは全く思われておらず、あえて言うなら黄色い新幹線位の縁起物扱いである。
「……ねぇ、あの子馬鹿なの?本来天使って言うのは、混乱を避ける為に存在を秘匿しなきゃいけない存在なのよ?それをこんな目立つ事ばかりして、と言うか街中ではしゃぎ回ってるじゃない!」
そして、俺の目の前で騒いでいるコイツも、1発目から女神を自称していた気がする。そして、結局混乱なんて全く起きなかったが、これはツッコミ待ちなのだろうか?多分、この街の人が神聖な存在に慣れたのは、アクアのせいだろうし。
「えっと……アクアさんって滅茶苦茶女神を自称してた本物の女神なんじゃ……」
「………」プイッ
こいつ、それで天使のプレゼント奪うのか……
「確認なのだけど、プレゼントは何を配っていたんだい?微妙に要らないモノを押し付けられたりしていないかな?」
「あぁ、そう言えば煙突から一撃必殺うさぎが投げ込まれていたよ。冬にはありがたい食料だけど、まさか生きたまま直火とは予想外だったな……」
「うちには石炭が置かれていたよ。助かる反面、家の中に放り込まれると部屋が汚れて困るね……」
「ほぅ、やはり微妙なプレゼントなのは変わらないようだ。と言うか、もう嫌がらせのようにも思えるね…」
「あいつ、一般人にも迷惑かけてんのかよ。根底は……いや、こういう祭事のときには……じゃなくてえっと、子供達に対しては…そう!子供たちに対してなら、ちゃんと天使してると信じていたのに!」
「それ微塵も信じてませんでしたっていうのと同義だよ?!」
うん、だって微塵も信じてないもん。
「取り敢えず、手分けして天使のやつを捕まえましょう!プレゼントの確保を最優先に!」
「アクアさんも優先順位がおかしいよ?!天使さんは仲間だよね?!」
「あるえ。カズマの方が上手なのでそう見えないだけで、アクアも大概薄情ですよ?基本的に自分本意です」
「「いやめぐみんには言われたくないから!」」
「なにをー?!」
そりゃお前の爆裂道も大概だからな?!
……………………
「さて、何とか無事に確保したな。何故か2体いるけど……」
「くそぅ!まさか飛べない人間に捕まるなんてぇ……」
「いやおかしい!私のような麗しき天使と、こんなハーピィ風情を同格扱いは流石におかしいですよ!神聖な存在と鳥類の違いくらい明確でしょう?!あと、クリスマスの件なら上司の命令です!」
この天使のどこに神聖な部分があるのか……まずそこが明確ではない。悪魔に手を貸して直ぐに売り渡す様は、完全に小悪党のそれである。しかし、目撃情報から推測するに、街に迷惑なプレゼントを運んでいたのはこの声の可愛いハーピィと言うことになる。この酒焼けで声がガラガラの天使を、誰もカナリアのような声なんて説明するはずがない。
「まぁ、天使はバニルに言われて手を貸しただけってことだろうな。そうなると犯人は……」
こっちのサンタ服を着た可愛い声のハーピィって事になるが……
「離せ汚い人間め!万年発情したサルの分際で!どうせ私の事も〇〇するまで☓☓して、□□させて△△にするつもりなのだろう!そんなの絶対に許さないぞ!」
「いや言葉遣い汚っ!きれいな声から聞きたくなかった単語がめっちゃ出てくる!流石にそんな事する訳が……」
「……しないのかい?」「人にはしないと思いますが……」「ハーピィは温厚でもモンスターですし……」「お金になるならやりかねないかなって……」
あれ?まさかの嫁達が疑う側に?!
「やらねぇよ!そんなことしたら戦争の火種になるじゃねぇか?!俺が何のために魔王倒したと思ってんだよ?!」
「魔王を倒したって……お、お前まさか、サトウカズマなのか…」
おや?どうやらハーピィにも俺の名前は広まっているらしい。それなら、ここは友好的に話を進めるのも容易だろう。何かしらの理由があるのなら、俺の力を借りたいと思ってもおかしくはない。
「あぁ、俺は魔王討伐のサトウカズマだ。お前がこんな事をする理由を聞かせてくれれば、何かしらの力に……」
「白々しいことを言うな!お前が同族を〇〇なんてするから!お前が☓☓なんて広めるから!お前が□□の為に△△なんてしたから!だから私は人々に復讐しに来たのだ!こうしてハーピィのイメージを下げれば、お互いに距離を置かざるを得ないからな!」
「うわぁ…カズマさんって魔物でも抱けるわけ…」「と言うか、もはやそれは性欲の捌け口ですよ…私達に優しくする分、クズな部分は魔物にぶつけていたなんて…」「そ、そういうプレイも、私だったら受け止めますよ?」「へ、へぇ…カズマさんってそういうのが好きなんだ……」
「おい待て!どれもこれも身に覚えがないから!信じて!ちゃんと妻として俺を信じて!!」
あと、ゆんゆんはどこまでオッケーなのか後で詳しく!
「いや無理でしょ……性欲関連に関しては何1つ変わってないじゃない…」
「そうですね。セクハラされる側の私達の意識が変わっただけですから、カズマのゲスっぷりは何も変わってないですよ?」
「あっ、それに関してはすみません……」
今後反省するので、そろそろ話を進めてくれますか?
…………………………………
「成程、仲間が里を捨てて人里に降りたと……」
「そうだ……それもこれもお前が…お前があんな破廉恥な事を仲間にしたから……仲間が人間の男を求めるようになって…だから族長の娘の私が、こうして人との関係を断ち切りに来たんだ……」グスンッ
「ほう、族長の娘だけあって行動力がありますね?」
「えっ?なんでこっちみるの?!私も一族のために頑張ってるもん!」
ゆんゆんが子作り以外で何を頑張っているかはさて置き、このハーピィの犯行動機は、どうやら俺によるハーピィの快楽調教によるものらしい。まず最初に弁明しておくと、俺はそんなことをした覚えはない。そもそも俺の淫魔スキルは基本的にムードと好感度により増幅される為、特に恋愛感情のない相手に発動しても、その効果は殆ど無い。これで堕ちるのは、よっぽどチョロいか、根がドスケベな変態くらいである。
「でも、カズマさんがそんな大々的に犯行に及ぶかしら?知れ渡ってるって事は、情報の漏洩を許してるってことよね?そんなの、ゆんゆんにバレたらカラカラになるまで絞られるわよ?」
「おい待て!弁明内容が証拠を残すか否かっておかしいだろ?!確かにゆんゆんにはカラカラにされそうだから、そういうのは隠すと思うけどさ!」
「ちょっと!人前で辞めてください!私そんなにエッチじゃないです!」
「えっ?それじゃあ今朝のって……」
「あ、あれは……カズマさんがその気にさせるからで……」
俺、ちゃんと今は駄目って言ったよね?!それを振りみたいに考えて跨ったのゆんゆんだよね?!
「そういうことなんだけど。アンタはカズマさんがハーピィに手を出している所を見たわけ?それとも、何かしらの証拠でも見つけたのかしら?」
「直接は見ていないが、人里に降りた仲間の家に日記が残されていたんだ……その内容は凄惨で、思わず目を覆いたくなるものだった……これを読めば、私の気持ちも解るはずだ…」
そう言ってハーピィの取り出したものは、まだ新しい小さな手帳。なお取り出しには足を使っていたが、これがまた鋭利な爪に似つかわしく無い程器用に動く。温厚で友好的な種族故に深く気にしてなかったが、これは中々にエグい攻撃力がありそうだ。もしこれが理由で全面戦争になったりなんて、出来ることなら考えたくもない。
「……じゃあ、読むわよ?」
「あぁ、そこに何が書かれているかで、俺の対応が決まるからな……」
『彼との冒険が、もう二桁に及ぼうという頃。彼は突然、私の全てを求めてきた。今まではこの美しい翼を撫でるだけで満足だと話していた彼も、やはり私の、女のすべてが欲しくなったらしい。しかし私達は異なる種族、そこに子を為せるのかも分からず、まして身体を捧げることによるリスクも知らない。だから、私は彼の提案を断った。確かに断ったのに……』
紡がれている文章を見るに、確かにこの手帳の持ち主は人と友好的に接していたかのように見える。だが、友情は徐々に性愛になり、異種族交友だけでは片付かない話になってしまったようだ。その禁忌に触れる気持ちは凄く分かる。なにせ女神を抱いているんだ。俺だって他人事ではない。
『彼は抵抗を全く許してくれなかった。強引で啄むようなキスが段々と深くなり、ねっとりと私の口を犯していく。それだけで力が抜けていき、もう彼の腕を拒むことが出来ない。あっ……そこはまだ、誰にも許したことないのに……』
うん、こりゃまた随分と赤裸々に語られているし、確かに俺のやり方に似ている……俺の名前は一切出てないが、それでも何となく近いものを感じてしまう。許してやってくれ。男なんてそんなもんだ!
「ふむ……手口はカズマのモノと似ていますが、これでは生ぬるいです。この男は羞恥を煽りながら生娘の身体を舐め回すような変態ですから、むしろ無罪の可能性が高まった気がします……あっ、いえ!決して私がされたとかではないですよ?!」
「さ、流石にカズマさんも、最初からそんな無茶はしないんじゃ……ねぇ、あるえ?」
「そ、そうだね…流石にそんな変態じゃないかな……」
「そうなの?カズマさんならすると思ってたわ……」
すみません!漏れ無く全員ペロってすみません!ほぼ全員に気を使わせてすみません!でも、目の前で美味しそうにトロトロしてる方にも責任あると思います!
「まぁ、ハーピィはこれが確たる証拠になるとか言ってるし、取り敢えず続きを読むわね?」
『強引な彼の愛撫に屈した私は、ゆっくりと脚を開いてしまう。私は高貴な存在で、こんな簡単に身体を許すなんてあってはならない……ならないのに……彼のソレが、今は心から欲しくて…』
俺が犯人だったら合意と押し切りそうな状況だが、向こうの立場からすると明確な合意がないのだからそりゃ怒って当然だし、言ってしまえばサキュバスの手口と同じだ。だが、もし本当に俺が犯人の場合でも、この相手は俺に対して相当な好感を持っている事になるのでは無かろうか?でないとこんな簡単に堕ちるとは考えにくい。
『一瞬の刺すような痛みの後、腹部を抉るかのような圧迫感に襲われる。本来ならただ屈辱の筈、本来ならただ苦痛の筈。必死にそうやって彼を否定しようと頭を働かせるが、彼を押しのけようとする気持ちは湧いてこない。それどころか、口から溢れる言葉は、そんな思考とはかけ離れたモノだった』
「最期まで愛して…貴方のモノを注いで欲しい………って、うわぁ〜これ完全に堕ちてるわね…」
アクアに音読されるとちょっぴりドキッとするが、この日記の作者は本当にその相手に惚れ込んでいるように思う。この小説のように詳細を記した日記は、多分この瞬間を忘れたくなかったのだ。もし恨みを忘れたくなかったのなら、こんな幸福を感じたことを残すはずがなく、ただ犯されたと記せば良い。となれば、この日記を理由に復習なんてするべきではないし、やっぱり相手は俺ではない。こんな情熱的に愛し合ったのなら、流石に忘れるはずがない。
『そこから先の事は、どう記して良いのか分からない。彼の腰が打ち付けられる度に、私の身体はどんどん熱くなっていった。最初はただ洩れ出ていただけの嬌声が甘くなり、最後には両足を彼の腰に絡ませて、なんども彼の熱いものを一番奥で受け入れた。あぁ、もう種族なんてどうでも良い。人の彼故に情事に快楽が伴うと言うのなら、私はもう人しか愛せそうにない……』
「へぇ〜、なにハーピィってあっさり終わるの?」
「変な聞き方をするな!子を成すのは神聖な行事だぞ?!まぁ、確かに繋がる時間は数秒だし、オスはメスの数を重視する傾向にあるが……」
「あぁ、それで人の行為を知っちゃったら、確かに溺れるのも仕方ないかも……」
「だから簡単に言うな!それで群れのメスが人里に降りてしまって、里が大ピンチなんだぞ?!」
あぁ成程。つまり性欲に負けて滅びかけてんだこいつら……と言うか、犯人はもうこの日記じゃね?俺じゃなくね?
「なぁ、これって俺が犯人って話は何処にも…」
『………大好きですカズマ様。次はアマツカって呼びながら愛してくださいね。禁断の愛欲物語…著 あるえ』
「「「んっ?」」」
「ほら見ろ!やはりお前が犯人ではないか!」
確かに俺の名前は出てきた。しかし、だとしても別の気になる名前が二人ほど出てきたのだが……と言うか、著って書いてあるんだが?!
「おっとぉ!そういえば今日は締切日だった!早く帰って作品を仕上げないと!」
「『アクシズ式勧誘術』!」
シュバッ、サササ!
「ひぃっ!この距離を一瞬で詰めてきた?!そして全く引き剥がせない!なんなら視界からも外れない!」
「どうだ!中距離の相手に瞬時に距離を詰めるこのスキル!入信書を持たないと使えないデメリットはあるが、俺が唯一アクシズ教の利点として認めているスキルだ!さぁ、詳しく聞かせて……おっと『バインド』!」
ドサッ
「ギャフン!」
主人公の名前と羽の流れから何となく予想は出来ていたが、このタイミングで飛び立とうとした天使も間違いなく共犯!と言うか、多分コイツが実質主犯だろ!
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「えっと、つまりこのハーピィの凶行の原因は……」
「か、カズマさんのせいです!貴方が私を愛してくれないから!」
「それはお前に勃たないから仕方ないだろ!」
「ごふっ!」ビシャッ!
結局こんなオチで申し訳ないが、これで事件の全容は明らかになった。なったのだが……
「お前の依頼した妄想小説が原因だと?!ふざけるなよ行き遅れ!紛らわしいもんハーピィの里近くに落として!純粋故に我々は染められやすいんだぞ!」
「誰が行き遅れですか!こんな本に影響されて滅びる部族なんて、どうせ他の要因でも簡単に滅びますよ!と言うか、これの意味が解るくせに何処が純粋ですか!」
ワーワーギャーギャー
よく考えたら、ハーピィ絶滅の危機は何も解決していない。と言うか、身内の犯行だと明確になってしまった為、ある意味では逃げ道が無くなっただけだ。
「ど、どうしようカズマさん……確かに報酬と経験値欲しさに書いたけど、これでハーピィの種が滅んだりしたら……」
「まぁ、滅んだら滅んだで人と敵対する勢力が1つ無くなるわけだから、あえて止める必要もないんじゃない?」
「おい自称女神。その言葉はお前の存在が危うい時に刺さるって分かってるか?お前の存在が、どれだけ人類に迷惑かけてると思ってんだ?!」
「私はいいの!だって女神だもん!」
うん。そういうところ!!
「すまんハーピィ!理由はどうあれ責任はこっちにある!取り敢えずこの汚い方のハーピィは懲らしめるから!取り敢えず聖水かけるから!」
びちゃっ!
「誰が汚いハーピィですか!私は世界でも清さの象徴とされる天使で……あっつう!」
「そんなことで仲間は帰っては……いや何で苦しむ?!私達にも聖水は効かんぞ?!お前普通に悪魔かアンデッドじゃないのか?!」
聖水をかけられて苦しむ天使を見て、なぜかハーピィの方が狼狽えている。今では慣れたから忘れていたが、よく考えたら天使が聖水に苦しむなんて有り得ないよな。
「ふっ!舐めるなハーピィ!天使とは邪神にも仕える光と闇が表裏一体の存在です!故に、仕えるものが悪なら闇にも染まるのです!」
「……邪神に仕えているのか?」
「エリス様を邪神扱いするな!この鳥風情が!」
「そこ疑われてるのお前のせいだからな?!」
先程まで露骨に怒りを露わにしていたハーピィも、真犯人の悲痛な姿に若干の動揺と同情を感じる。出来ることなら大事にはしたくないので、ここはエリスの風呂の残り湯もかけておこう。
「あぁ〜!これ羽がもげちゃうやつ!フライドチキンになっちゃうヤツです〜!」
「お、おい!流石にもう辞めてやれ!汚いわめき声まで出している相手を、不必要にいたぶるなど私も望んではいない!」
「くっ!あなた実は良いやつなんですね!でも普段の声は汚く無いですからね!」
「「いや否定するのそこかよ!」」
お前もうハーピィに完敗してるからな?!
……………………………………………
あれから1週間。ハーピィのメス達が無事にハーピィの里に戻ってきたと聞き、俺はエリスとハーピィの里を目指していた。あの天使が「自分で撒いた種ですから!」なんて言ったときはフラグにしか感じなかったが、あいつもやる時にはやるらしい。
「それにしても、まさかあの子が原因で種族が1つ滅びかけるなんて……」
「まぁ、中学生にエロ本見せたら一日中盛ることもあるし、それだけハーピィってのは純粋ってことなんだろうさ」
「だ、男子中学生の性欲を比較に出すのは……いえ、そういう理由で滅びそうなんですもんね……」
しかし、男子中学生だった俺には分かる。1度セクシーお姉さんによるドスケベプレイを見てしまうと、クラスメイトの女子では物足りない。そんな今回の一件、天使はどうやって解決したと言うのだろうか……
「あっ、エリス様、カズマ様!こちらです!」
「おぉ、英雄様だ!全員並べ!一族総出で出迎えるのだ!」
バサバサッ!
「「「「「ようこそカズマ様!我ら一同、心より歓迎いたします!」」」」」
「お、おう…ありがとう……」
以前あれだけ俺に恨みを持っていたハーピィ達は、何があったのか俺への敬意が半端ない。もはや王都の人間より尊敬されている気さえするほどだ。正直、尊敬の理由を聞くのが怖い……
「天使殿とカズマ様の尽力により、我らの種は安泰です。以前はメス同士で発散してオスを拒んだり、狩人に手を貸す代わりに抱いて貰い、そのまま同種のオスと結ばれないメスも居たのですが、この一週間でそんな事もなくなりました!」
「へぇ〜、やっぱり陰ながらのムッツリは居たんだな…」
それなら、やっぱり俺は無罪じゃないか……
「これも全てカズマ様の教えによるもの!大したお礼にはならないかも知れませんが、是非うちの娘を妾に加えてやってください!貴方にした非礼を詫びたいと、娘も承諾済みですので!」
「そ、その……可愛がってくださると、嬉しいです…」
そう言って俺の前に連れてこられたのは、先日の族長の娘。ヒラヒラのベールに飾られた服はまるで花嫁衣装のようだ。でも、ぶっちゃけこれは困る。もう飽和してるから困る!
「いえ結構です。そもそも俺が何をしたのかも聞いてないですし、族長のご子息なんて流石に……」
「あ、それなら私は13人兄弟の9番目だから、別に気にしなくても……」
いや多い!それならそう簡単には滅ばないだろ?!
「一度は悪魔の書物により滅びかけた我らですが、それをカズマ様の書物により救われたのです。この『実戦派テクニック集その2』に!」
えっ?それ俺がサキュバス店に通いながら培ったテクニックをメモったものじゃない?!
「おぉい!それどっから出てきた?!俺の部屋の奥深くに封印してあった筈なんだが?!」
なによりそれは黒歴史なんだが?!
「ふふふ!私の妄想で滅びかけたのなら、よりエグい内容の実戦派書物で上書きすれば良いのです!早漏なら指と舌を使えば良いと、カズマさんも言ってましたからね!」
「「「「「なんと素晴らしいお言葉!」」」」」
「おいやめろ!口に出して言ってない!ソレには書いてあるけどいってない!」
「そ、それでは…わたくしめのお口で逝って、たくさん出して頂けたらと……」モジモジ
「違うそうじゃない!口に出すってそうじゃない!エリス!この状況をなんとかしてくれ!」
「……純粋で穢れなき存在と言われ、天使の原形とされたハーピィをここまで…カズマさんってどれだけ性獣なのでしょう……」
あれっ?!1番汚されたであろう、なんならお口で出されまくってる女神が引いてる?!
「カズマ様は我らにとっても英雄!まさに救世、いえ……救性主です!」
「よっ!救性主様!」
「「「「「救性主!救性主!救性主!」」」」」
「えっ?なにこれ嬉しくない!なんか漢字が違う気がして嬉しくない!」
「ま、まぁ彼らの価値観からすれば最大限の賛辞ですです……」ススス
「そう思うなら距離置かないで?!」
こうして劣化ハーピィの起こした事件は、俺の活躍で幕を閉じた。族長の娘の恩返しは、アクセルハーツのボイストレーナーとして頑張ってもらうことにした。なお、ここからまた俺の変な人気が再燃し、アダルトグッズちん○ん丸とゴッドブロー、更には媚薬ローションハンスが再販される事になるのだが、それはまた別のお話。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ハーピィと天使を絡ませようとしたら、やっぱり酷い結末になりました。すみません。
また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。