あのクソ企画に抱き合わせるご褒美が何か……あれ程の苦痛にバランス取るのは相当な労力となるでしょう。しかし、例の企画はこの話とバランスを取るためにより酷い目に合わせているとしたら………
という事でご褒美会です。またお暇な時にでもお付き合いください。
「はぁ〜平和な日常って最高だわ。報酬で貰った日本の銘酒セットも美味しいし、これならお尻を叩かれた甲斐もあるわよね……ぷはぁ!」
「いや、お前マジでそれでいいの?結構痛そうにしてたよな?」
あの馬鹿みたいな企画を終え、俺達は平穏な年末を迎えていた。多くの関係者が神様からの報酬を受け取り、この厳しい冬を豊かに越そうとしているのだ。当然俺達も、この一足早いお年玉を受け取っている。受け取っているのだが……
「見てくださいカズマ!この龍が巻き付いた剣!そして、我々も知らない未知の魔法陣と魔法の呪文集!更には魔物図鑑にかっこいいTシャツも入ってます!この私が喜ぶアイテム詰め合わせは、間違いなく神のチョイスですよ!何か癒やされる匂いもしますし、これは神の持つ財宝の1つかも知れませんよ!」
「そ、そうか……良かったな…」
うん、それ多分俺のチョイスなんだよな。拗らせたときに買い集めた厨ニアイテムなんだ。ねぇ、まさか俺だけ企画続いてる?と言うか河原に捨てたのにそんなに綺麗な状態で残ってる筈無いよね?
「めぐみんさんへのプレゼントは、神様の中でも最高位の力を持つ時の女神様が用意してくれたんです。あらゆる次元から最高のアイテムを探してきたそうですよ?」
その時の女神様は、あれをどこで手にしたのだろう……
『3年前のカズマくんの実家の近所の河原』
答えやがった!そして俺ので確定したぞ畜生!自分の黒歴史が嫁の手に渡ってしまったんだが?!なんでそんな最高峰の力でこんな無駄なことするの?!
「それにしても、カズマへのプレゼントは随分と小さいですね?これは紅魔の謎施設にもあったような気がしますが……」
「コンセントだな。何処から電力を持ってきてるか知らないけど、これで日本の電化製品が使える訳だな」
「本当ですか?!テレビも見られますか?!」
「いや、電波が無いから映らん」
「そ、それでは!スマホと言うので何でも調べられたりは?!」
「いや、電波もなきゃこの世界のデータベースも無いから無理だな」
「では電気自動車を買いましょう!あれはとても快適で……」
「この世界の悪路じゃ走れねぇぞ?」
「じゃあなんの役に立つんですか?!」
「おい辞めろ!尻をシバかれた代価がこれなんだぞ!なんとしても生活を豊かにする活用法を見つけないと、俺は叩かれ損なんだぞ?!」
「おぅ…逆ギレ…」
まぁ、ほとんどの家電を魔力式で作ったのは俺なんですけど!
「そう言えば、ダクネスは何を貰ったんだ?」
「私はこの必中の剣をもらったぞ。通常のモノより少々重いが、標的を強く思って剣を振れば、どんな高速移動する相手にも必ず当たるらしい」
「えっ?何それ最高じゃん!」
これで俺達のパーティは大幅な戦力アップ間違いなしだ!流石神様!ちゃんとしたアイテムもあるじゃないか!尻をシバかれた対価にもなり得るってもんだな!
「折角ですから、ここで試してみましょうよ。私がリンゴを投げるので、これを空中で両断してください」
「あぁ、私も性能を試したいと思っていたんだ。何時でも構わないぞ?」
「それでは、よっ!」
ぽいっ
あぁ、遂にダクネスのポンコツな部分が解消されるのか……ここまで長かったし、なんならもう魔王も居ないけど、それでもこんなに助かる特典は……
「せいっ!」
ガキンッ!
「いや危なっ!!」
めぐみんの投げたリンゴを完全無視し、と言うか殆どテレポートのような高速移動で、ダクネスの一撃が何故か俺の頭に迫る。咄嗟にちゅんちゅん丸を抜いてなければ、間違いなく頭を真っ二つにされていたぞ?!
「な、なんでカズマを?!りんごはこっちですよダクネス!」
「わ、私にも理由が分からないのだ!強く思った相手を斬ると書いてあったから、必死にリンゴを考えたのに!」
「いや、もう何となく俺は予想ついたぞ!その武器の特性の思うって部分、多分その時だけ思っても駄目なんじゃないか?!」
「そ、そんな馬鹿な!それでは私はカズマしか切れないではないか!そんな筈は……せいっ!」
ガキンッ!
「だから辞めろ!ダクネスの気持ちは嬉しいが、攻撃は全く嬉しくない!」
あぁ、もう確定だこれ!2撃目もこっち来たもん!
「なら、カズマの事は考えずに……く、喰らえリンゴ!」
ガキンッ!
「きゃっ!ちょっとダクネス?!」
「おい!いい加減にしろ!今度はエリスかよ?!俺が近くにいなかったら本気で危なかったぞ?!」
「す、すまない!まさかカズマを考えないとエリスにいくなんて……」
「よ、良かったわねカズマさん……回避不可でも防御可能で…」
いや本当にな!と言うかこれを魔王向けに作れば良かったよね?!
…………………………………
「あぁ〜、あの苦労の結果がこれか……マジで割に合わねぇな……」
手元に残った報酬は、使い道のないコンセントに日本酒、厨ニ黒歴史アイテムに呪いの剣と、全く役に立つ気がしない。俺のあの地獄の時間は、一体何のためにあったのか……
「それなら、いっそクーリングオフして交換して貰えば?天界の連中だって、流石に主人公の言うことは聞くでしょ!」
「メタ発言やめろ!それに相手は神様だぞ?出来れば穏便に済ませたいだろ…」
下手すれば、あの日の尻より酷い目に遭うかも知れないし……
「ぶーぶー!あの寒空の下で馬鹿なことやらされたのよ!風邪引いてもおかしくないのに、流石にこれはあんまりよ!」
「お前は風邪引かないだろ!」
馬鹿なんだから!
「風邪と言えば、あれからエリスの顔が少し赤いですよね?寒空の下で待ってましたし風邪でもひいたのですか?」
「えぇ…なんかあれから熱っぽくて……」
「おいアクア労基を呼べ。あとセナさんも呼べ。ついでに立川から最強の助っ人を呼ぶから日本に行こう」
「あんた、本当にエリスのことになると過保護よね……」
仕方ない!この可愛い生物に保護欲を掻き立てられるのは男子なら仕方ない!
「別に大した事はないのでご心配なく…それに、そんな話をして気温を夏にされても困りますから……」
あっ、確かにやりそう……
「つくづく思うのですが、この世界の女神がエリスで本当に良かったですよね。他の神々の話を聞くと、なんかろくなのが居ない気がするのですが……」
「あぁ、確かに今のところまともそうなのは、あの父親役で来てくれた人と、ウォルバクくらいしか分からないからな……」
「ん?私はそのカウントに含まれてないのよね?エリスと同じで良かった側の女神よね?」
うん、それに関しては全面的に同意。大当たりで良かった。
「でも、それならせめてセレナの所へ行こうぜ。身体の不調は本当みたいだし、見てもらった方が安心だろ?」
「そうですね。身近に専門の神様が居るのですから、たまには頼らせて頂きましょう」
うん、別に専門ではないんだけどな?
「ちょっと、なんで無視するの?!私はまとも側の女神なのよね?!」
………黙秘権を行使する!
………………………………
「う〜ん……何も手応えが無いんだよなぁ……健康なのか、それとも女神にはレジーナ様も干渉できないのか……」
「抵抗はしてないので、干渉は出来ていると思うのですが……」
エリスの首や頭を触るセレナは、何とも煮え切らない表情で頭を悩ませている。触れれば確かに熱いのに、それでも身体に異常はない。そんな診断を下されて、一体誰が信じると言うのだろう。むしろ診察してるセレナも信じ切れていないようだ。
「他の要因とかは分からないのか?食事とか寝不足とかさ?」
「カズマが用意したもん食って、カズマが夜寝かせないんだから、そんなのあたしに聞くんじゃねぇよ……」
「すみません。今後は自分を省みるようにします……」
でも、夜に関してはセレナも含めお互い様だと思うんだけどな……
[いいえ、そこも含めて間違いなく2人は健康です。もし注意することがあるとしたら、エリスが落ち着くまで、カズマが発情しては駄目だと言うことですね]
「流石に辛そうな子は襲わねぇよ?!俺はなんだと思われてんの?!」
「「[性獣]」」
あれぇ?エリスもそっち側?!と言うか2人は健康って俺には触れずとも分かるのかよ……
「でも、あの変な祭りで心労が出たって事はあり得るからな。安静にするに越したことはねぇだろ?」
「そうだな。そういうことなら栄養取らせて安静にさせるわ。ありがとなセレナ、レジーナ」
「ありがとうございます」
「おう、お大事に」
[お大事に。溜まったらセレナに出すんですよ〜?]
「いやレジーナ様?!」
ははは、帰りがけにそういう事言うなよ。今朝抜いてないから大きくなったらどうする!
「………つ、辛くても、お口でくらい出来ますもん……」ムスッ
ピキーン
「……うん、ちょっと靴紐が解けたから5分待って?」
「えっ?靴紐結ぶのに5分必要ですか?!」
そのエロ可愛エリスを忘れるのに、母のこと考えて5分は欲しいからさ!
………………………………
「これはお粥用、これはうどん用、これは首に巻いて、これは尻に……」
帰りがけに立ち寄った商店街。俺はエリスの健康を気遣い、八百屋で野菜を選んでいる。いくら問題がないと言われようとも、この熱っぽい身体には何かある筈だ。下手に薬を使うのはリスクだが、ネギなら問題ないだろう。
「あの…帰りがけに食材を買うのは良いのですが……ネギ多くないですか?あと、最後の一本は本気で辞めてくださいね?」
「えっ?あぁそうだよな。下仁田は太いから深谷ネギが良いか…」
「太さとか品種の問題ではないです!そ、そっちの初めても、出切ればカズマさんに捧げたいですし……」
ピキーン…ガクッ!
「えっ!どうしたんですかカズマさん?!なぜ突然膝を折って崩れ落ちたんですか?!」
くそっ!今朝は疲れててエリスを抱いてないから、可愛い発言に息子が過剰反応しやがる!と言うか、エリスも多分ムラムラしてるな!熱っぽさに色っぽさ混ざってるもん!
「気にしないでくれ。俺が救えなかった人達のことを思って自分の無能を呪ってただけさ……」
「本当にどうしちゃったんですか?!」
いや、その発言はまぁまぁ傷つくよ?
「あら、カズマくん」
「おや、カズマ様」
「あっ、愛の女神様と天使。こんな所で会うなんて珍しいですね?」スクッ
「あれ、何故か余裕顔で立ち上がりました……」
うん、なんかこの二人には勃たないんだよね……
「なんか、失礼な目を向けられてません?」
「そ、そうね…なんか、女として馬鹿にされてるような気がしたわ……」
「嫌だなぁ。神々しいなぁって思って見てますよ?」
何故か女としては見れないですけどね?
「そ、そう?でも、ここで会えて丁度良かったわ。ここPASM○使えないから、こっちのお金貸してくれない?」
「逆によく家電のない世界にPASM○挑戦しましたね?!」
やっぱり神としても微妙だわこの人!
「おっ?カズマさん、また新しい嫁さんかい?それならコロッケはサービスしちゃうよ!」
「いや、この人は……」
「そうなんですぅ!カズマさんとは、何時でも籍を入れられる関係なんですよぉ〜!」
えっ?こいつ何言ってんの?!
「愛の女神様は映画のカップルデーに甥っ子を連れて行き、両思いと伝えて通報されるほどクーポンや無料と言う言葉に弱いんですよ……」
「嫌な所で世帯染みてんな…女神としてそれで良いのかよ…」
立場があるなら金もあるだろ……
「それにしても、お嬢さんも信じられないほど美人だね?アクア様と同じ女神だったりして?」
「やだ〜あんなポンコツと一緒にしないでよ〜!私はこれでも愛の女神。女神としては最高峰の……はぶ!」
べしゃっ!
あっ、トマト飛んできた……
「アクア様をポンコツだと……」「カズマ様の関係者とはいえ、アクア様の悪口は許さねぇ……」「あぁ…アクア様を馬鹿にしていいのは、そういうプレイだと分かっているカズマ様だけだ!」
別にプレイじゃないけどな?割とマジでそう思ってるけどな?
「あ、あなた達がアクアの信者ね!出来の悪い女神に相応し……痛い!大根は流石に駄目でしょ?!あっ、根菜は全部痛いから辞めて!くっ!カズマくんも少しは庇ってよ!」
「いやぁ、人の悪口を言うのは女神としてどうかなって……」
「裏切りが早過ぎない?!」
貴女とは色々とあったし、別に仲間でもないですし?と言うか、なるべくアクシズ教徒には関わりたくないんで……
「ひゃっはぁー!カズマ様が庇わなかったぞ!」「吊るせ吊るせー!俺達にはアクア様の寵愛だけで十分だぜー!」「ついでに剥いちまえ!」
「いきなり世紀末な本性表したわよ?!ちょっ、危ない!この……『ゴッドブロー』!」
おぉ!アクシズ教徒に容赦ない反撃!やはりアクアの上司を務めるにはこれくらいのアグレッシブさが必要なんだな!
「さて、ところでなんであの人来たの?」
「あぁ、そうでした!お二人にお伝えするのでした!……『主が、貴方と共に居られます』……ふっ、決まりましたね……」
えっ、まさかその言葉は………
「………お正月には、やはり実家か天界に帰ったほうが良いってことかな?エリスがずっと俺といるって事だよな?」
「な、なるほど……確かにたまの集まり以外ではずっとこちらに居ますから、仲の良い神々や、この子以外の天使たちが寂しがっているかも知れませんね……」
「マジですか……これ通じないとかありますか…天使界ではマジで言いたい言葉第一位ですよ…」
「いや、そんな3組の高橋ちゃんが可愛い的なノリを他校で出されても……」
「天使界を近所の他校レベルにされた?!」
だってそのネタ分かんないし……こいつしか知らないから、天使に全然神々しいイメージないし……
「良いですかカズマ様。今のはお二人の……ぶふっ!」
ドゴッ!
何か意味深な態度をとった天使だが、その言葉は飛んできた根菜に遮られた。上司である愛の女神を庇わなかった天罰なのか、それともただ日頃の行いが悪いのか、やっぱりコイツは神聖な存在には見えないな。
「くっ!天使ちゃんがやられた!これ以上持ちきれないし、ここは一時撤退ね!」ガサッ
「あの、愛の女神様はなんで紙袋を下げているんですか?そこに入っている野菜はまさか……」
「私に向かって投げた野菜は、もう間違いなく献上品よ!潰れちゃったのは仕方ないけど、無事なのはちゃんと持って帰るわ!」
「えぇ……」
うわぁ…マジでアクア並みに所帯じみてる……多分貧乏性が抜けないタイプなんだろうな……
「じゃっ!言うまでも無いと思うけど、エリスは安静に!そしてカズマくんは弁えてよね!ほら、天使ちゃん起きて!アクシズ教徒は殴り倒してもヒールしてゾンビアタックしてくるから早く起きて!」
「逃がすな!追いかけろー!」「アクア様の前に吊るし上げろー!」「もっと美人に殴られたい!」
「くそっ!しつこいわね!」
野菜の入った紙袋と天使を抱え、街を疾走していく愛の女神。結局あの二人が何を言いたかったのか分からなかったが、アクアがあぁなった職場環境については理解した。取り敢えず人事部仕事しろ。流石にもっとマシな奴が居るだろうに……
……………………………
「あら、それで今日一日不在だったんですね?」
「そうなんですよ。女神の病気なんて誰も知らないんで、結局安静にするしか出来なくて……」
「ご迷惑をおかけしてます……」
エリスと軽い昼食を取り、安静と言う事で教会の仕事を断ってきた俺達は、そのままリビングでゆいゆいさんと今日のことを話していた。新商品の納品に来たら、この人は大抵はこうしてうちでゆっくりしていくのだ。まぁ、狙いはうちの夕飯なのだろうが、めぐみんがこめっこに会えるし、俺としてもこうして相談に乗ってもらえるので、むしろウェルカムだったりする。俺の身体は、流石にもう狙ってないようだしな……
「参考程度に、どんな症状なのか教えてくれますか?ひょっとしたら、女性特有の悩みかも知れませんし……」
「そうですね……熱っぽさの他だと、昼間に少し眠そうにしてました。でも食欲はむしろ増してて、それなのに一瞬吐き気をもよおしたり、お腹が不自然に少し張ってたりしてるんで、ひょっとして昨日のこってりラーメンが原因かもって少し思ってるんですが……」
「そんなことないです!カズマさんのラーメンは悪くないですよ!」
「えぇと……先ず、なんでカズマさんが答えるんですか……お腹の張りとか一瞬の吐き気とか知ってるのは……」
「見てれば分かりますし?」
「夫婦ですから、私も把握してます」
「私も結婚生活長いですけど、そのレベルは無理です……めぐみん、ライバルは凄い強敵よ…差は開くばかりだけど、頑張ってね…」
いや、別にもうライバルじゃないし、差も別に開いてないと思うんだけどな……
「と言うかですね、それで気付かないってことあるんですか?私には間違いなく1つの答えしか出ないんですが……」
「そうなのですか?!なんかスッキリしなくて困ってたんです!ゆいゆいさん!是非その答えを教えてください!」
「俺からもお願いします!」
流石は年長者の人妻!まさかここで答えを得られるなんて、持つべきものは美人な義母だな!
「えぇっとですね……」
「「はい!!」」
「エリス様、ご懐妊されたのではないかと……」
…………あっ!
「そう言えば排卵日ってそろそろだったよな?!」
「そ、そろそろであってまだのはずです!私の幸運でも、排卵日の変更は出来なかったですし……」
「でも、症状的には間違いなく妊娠初期のモノなのですけど……」
あれ?だとしたら天界の予測が外れてたのか?
「ふふふ……その理由、私が説明できるとしたら、どうしますか?」
「あぁ、どうやら天使の計算ミスのようです。本人が来たので間違いないと思います」
「酷い!そこは「知っているのか天使?!」と続くところですよ!それに、私だって足し算と引き算くらいできますよ!電卓使ってましたもん!」
いや、日付の計算に電卓要るかなぁ……
「でも、それならなんで今なんだ?と言うか妊娠であってるのか?」
「さっきご懐妊の時に言う天使のセリフを言ったんですけどね?!間違いありませんよ。エリス様はカズマ様の第一子を身籠りました」
な、なん……だと……
「エリス、とりあえず結婚しよう。大切にするよ…」
「は、はい!喜んで…」
「ちょっと新婚夫婦?!どうして良いか分からないからってそれはおかしいですよ!と言うか、エリス様はどうすべきか調べたから妊娠を避けてましたよね?!」
「えっ?そう……なのか……」
それって、俺の子供は嫌って事なんじゃ……
「ひ、人聞きの悪いこと言わないでください!それはあくまで無意識的に幸運がそっちに向いただけで!あぁ!違うんです!無意識に拒んでたとかじゃないんです!」
「いいのよカズマさん。辛いなら、このまま私の胸で泣いて……なんなら、私が忘れさせてあげるわね……」
「うぅ……ゆいゆいさん……」
むぎゅっ
うぅ硬い……肋骨の感触が凄いする……
「ちょっと?!ゆいゆいさんも入り込もうとしないでください!本当に誤解なんですよ!」
……………………………
「それで、なんでエリス様は無意識に妊娠を避けたんですか?その理由が明らかにならなきゃ、本当に私がカズマさんを慰める事になりますよ?」
エリスの意味深発言を受け、俺とゆいゆいさんは俺の自室に移動した。ここなら盗み聞きの心配もないし、何より膝と腰が砕けた俺にはベッドがありがたい。エリスの気持ちを疑いたくないが、それでもこの内容は説明なしに納得など出来ない。今後の円満な夫婦生活の為、覚悟を決めて洗いざらい話してもらうしかない。
「うぅ…本当にここだけの話にしてくださいね……と言うか、ゆいゆいさんも人妻じゃないですか……」
「だから良いんですよ。もし、これが一時的な問題だとして、私が慰めれば略奪にはなりませんから!」ワクワク!
「お互いに不倫なのは略奪より不味いのでは?!」
それに関してはその通りだけど、俺としてはそれよりエリスだ。
「エリス、本当のことを聞かせてくれ。俺は色々なやましいことをしてきた。エリスに拒まれる理由なら山ほどあると思う。だから、ここでちゃんと本音を知りたい!」
「おぉ!3度の嘔吐でやっと落ち着きましたか?!」
うん!天使はそういうこと言わないで!
「カズマさんのことは大好きです。でも、子供が出来たりなんてしたら……」
「「したら?」」
「安定期まで、えっち出来ないじゃないですか……」
……………はい?
「えっと……エリス様はカズマさんとの子供より、子作りの方が優先って事なのですか?」
「べ、別にそういう訳じゃないんです!ただ、今のカズマさんは1日16回できる若さを持っている訳じゃないですか……」
「そうですね。黒の剣士もドン引く連戦ですよね。スターバーストエクスタシーですよね」
「おい辞めろ天使。電撃文庫に喧嘩を売るな。絶対に勝ち目ないから!」
なんなら、彼もそれくらいやりそうだし!
「そ、そんなにあるなら、1回くらい分けてくれても良くないかしら?」
「「良くないですよ?!」」
ゆいゆいさん、貴女の肉食っぷりは今も健在なんですね……
「やっぱり、一度に4回も愛して貰えるのは若い内だけじゃないですか、そのチャンスを他の皆さんに取られちゃうのは悔しいかなって思って……最悪、排卵薬で後からでも妊娠は出来ますし……」
「分かるわエリス様!そうよね!やっぱり4回くらい欲しいわよね!確かにそれは、若い今しか楽しめないわ!」
「そうですよね!」
あっ、そこは共感ポイントなんだ。
「でも、それならなんでこのタイミングなんだよ?エリスの性欲が落ち着いたとか?」
「そ、それは私にも分からなくて……」モジモジ
あぁ、これはまだまだ抱かれ足りないって顔だわ。そうなると、外的な要因しかありえないんだが、エリスの幸運を上書きなんて、到底人の力では……
「…………なぁ、まさか例の企画の報酬って、これか?」
「お察しの通りです!これはカズマ様が心から望んだ未来。無意識の中で最も強く望んだことが、エリス様との子供だったのです。それを分かっていたからこそ、おかしな企画にかこつけて、神々の力を集めたのです!」
「じゃあ、あの企画にもちゃんと意味があったのか?!」
「まぁ、企画の中身は愛の女神様の好みですが……」
「俺も根菜ぶつければ良かった!」
あの人マジで余計なことしかしない!
「まさか、あの企画にそんな裏が?!しかも私、カズマさんがそんなに望んでくれてたなんて知らず、なんて欲深いことを……」
「いや、良いんだエリス。俺だってエリスと愛し合えないのは辛いしな。でも、やっぱり一番最初はエリスの子が欲しいんだ。こんな生活してるけど、一番愛しているのはエリスだから……」
「カズマさん……」
まぁ、何よりエリスが後回しとか知れたら、エリス教徒の目が怖いのもあるしな……
「でも、カズマさんは別に避妊してたわけじゃないのよね?それで良くここまで……あら?」
おっとゆいゆいさん、その先は駄目だって!俺もちょっと考えたことあるから!なんなら今確信に変わったから!
「ねぇ、まさかエリス様って……幸運で他の子が自分より早く妊娠するのも止めてたなんて事は……」
「…………そ、そんなことしませんよ?」
あっ!これしてるわ!自覚ないけどそんな気してたって顔だわ!運比べしたら絶対に負けないって自覚ある顔だわ!
「ズルいですよ!うちの子を後回しとかそれでも女神ですか?!私は早く孫が見たいんですからね?!」ブンブン!
「すみません!本当にこれ無自覚で発生するんです!でも、もう大丈夫ですから!流石に止める理由も無いですし、なんならカズマさんが出すときに『狙撃』スキルを使えば100発100中なように支援魔法もかけますからぁ!」ガクガク
「中出しの時に『狙撃』とか言えねぇよ!と言うか、エリスは今身重ですから!ガクガクしないであげてくれますか?!」
「いやぁ、まさか妊娠報告だけでここまで騒げるとは、退屈しませんね!カズマ様!」
「俺は平穏が欲しいんだが?!」
子育ての環境を整える意味でもな!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
いや、エリスは妊娠させる気だったんですよ。本当です。子供の名前も考えてました。他のヒロインの子は考えてませんが!(笑)
また不定期にポツポツ続きます。またお暇な時にでもお付き合いください。