カズマさんはお尻叩かれて可哀想なので、今回の被害者は実は別に居ます。まぁ、何となく私に毒されている方は理解しているでしょう。という事で後半です。
またお暇な時にでもお付き合いください。
大人の掲げる不条理を、俺は小学校2年生で味わったことがある。
「おい佐藤。流石に作者の気持ちに[もう死んでやる]は無いだろ?」
「でも先生。この前テレビで、この人はこの本を書いて直ぐに自殺したって言ってました!」
そう、だから作者の気持ちはこれで正解のはずだ。作者だって仕事だし[これが売れたら風俗行こう!]くらいの気持ちで書いているのが自然だ。そして、童貞のくせに恋愛小説書いてるやつが、キャラに深い思い入れがある筈が無い。俺の抗議は正当だった筈、なのに……
「いや、これ国語の問題だから!文章から読み解きなさいよ!」
「そんな!真実は目に見える所だけとは限らないじゃないですか?!」
「探偵かお前は?!でも駄目だ!これは流石に認められん!」
結局あの答案は不正解のままだった。だが、今のこの状況ならどうだろう?まさに作者の近しい人がいる状況なら、どんな先生も丸を付けるしか無いのではなかろうか……真実を知るものが、その場にいるのであれば……
…………………………………
「次の問題!エリス様が降臨時に愛飲されていた飲み物は……はい!大司教様!」
「沸かした牛の乳を好んで飲んでおられました!」
「正か……」
「おっとそれは不正解だぞ?スタイルを気にして頑張って飲んでたけど、そこまで好きじゃないから愛飲じゃない。なんなら、飲むヨーグルトの方が好きだしな?」
「えっと…牛乳と歴史書には書かれているのですが……」
「おい天使、答えは?」
「カズマ様のミルクが選択肢にないなら、ヨーグルトでいいのでは?」
おい辞めろ。お前本当にそういうところだぞ?!
「か、カズマさんに……ポイントです……」
「くっそぉぉー!」
「よっしゃぁー!」
歴史に書かれた真実とは、歴史家の都合による解釈に他ならない。だが、その真実を知るものが居るとなれば、と言うか本人が存命であれば、答えは間違いなくここにある。まぁ、それでも過去の歴史とか知らないので、勝負は五分五分なのだが……
「と言うか、このストーカーみたいなクイズは本人公認なのか?普通にアクアと天使以外呆れて帰ったんだが……」
「まぁ、奥様方からすれば友人のストーカートークですしね……それでも、信者の方々から見れば教えと人徳を学ぶ神聖な機会なので………」
どこら辺が神聖なんだよ……その内あるえに聖書でも書かせるか………
「大司教様と五分五分だぞ……」
「これで負けたらカズマ様が大司教の座を?」
「いや、エリス教に加入して無いので権利はない筈だが……」
そんな面倒くさそうな役職は要らないが、それでもエリスの事で負けるのはなんとなく悔しい。大司教には悪いが、今日は勝ちに行くぞ!
「エリス様の髪い……ハイ大司教様早かった!」
「銀髪!」
「これは文句なし!早押しの差で大司教!」
くっ!これが場馴れか!問題のパターンを把握してるな!しかし、タダで点はやらん!
「あれ、実は青みが少しかかってて、風呂で見ると薄い空色だったりするんだぞ?風呂で見るとな!」
「一緒に…お風呂ですと……ごふぁ!!」
びちゃっ!
「大司教様が吐血を?!そ、それでも間違いではないので得点ですから!カズマさんも変な煽り方しないでください!」
「いやぁ、熱心な司教様には知っといて貰おうかと思ってな!」
いくら俺のほうがエリスに詳しくても、問題文を暗記しているであろう大司教に早押しでは分が悪い。そこで、こうしてメンタルに直接攻撃を入れる事で、相手の集中力を削っているのだ。なんか集中力以外にもダメージが入っている気もするが、恨むなら出題者を恨め。そもそも、もっと詳しく聞く問題が無いのが悪い。そう、胸のカップ数とか風呂で最初に洗う場所とか!
「おい不味いぞ……このままでは我々エリス教会の沽券に関わる……」
「仕方ない……ここはカズマ様に負けてもらうべく、歴史問題を中心に持って来るしか……」
うん、だからそういう所な!この世界は宗教家も汚い手を使いやがる!そっちがその気なら……
「ルナさん!さっきから問題に勘違いの話が多過ぎます!これではエリス教会の調査力と分析力の無さが露見するだけなので、問題と出題者の変更を提案します!」
「「「「なにぃ?!」」」」
「えっと……その発言もかなりエリス教会の沽券に関わる気がするのですが……と言うか、教会以外のエリス様の問題なんて、この国には存在し得ないような……」
「そうだぞ!いくら英雄でも勝手が過ぎる!」
「我々の長き年月の信仰と調査を愚弄するとは!」
「具体的にお願いします!誰ならエリス様の問題を作れると言うのですか!」
「「「「あっ、こら!今それを言うと!」」」」
最後の一人はアルカンレティアの人だったし、多分俺の思惑に気付いて乗っかったのだろう。抗議してる体なのにメッチャ笑顔だし、ギャラリーの注目も一点に注がれている。それじゃ、お言葉に甘えて……
「おい天使、アクア、いけるな?」
「「勿論(です)!」」
「しまったこれは……」
「我々の唯一の優位性が……」
「これでは我らが信仰が……」
「狼狽えるな!ここからは真実を競うだけの話……エリス様を愛し、知ろうというのは私も同じこと!さぁ、正々堂々勝負といきましょう!」
「あぁ!手加減なしの真っ向勝負だ!」
………………………
以下、皆も答えを考えながら読んでください。
「では問題です。エリス様は、家から片道5キロ先の八百屋に、時速5キロで歩いてりんごを買いに行きました。八百屋で時速3キロで歩くアークウィザードのウォルバク様と合流して帰宅した場合、エリス様の買い物時間はどれくらいかかりますか?買い物時間は10分として求めなさい」
「ふふふ、エリス様なら遅い方に合わせて歩くでしょう!行きが60分で帰りが100分、買い物時間が10分なので……2時間と50分です!」
「いや、1時間10分だ」
「はい、カズマ様正解!!」
「そんな?!それでは買い物して終わりで……はっ?!まさか!」
そう、この問題はエリスの考え方に依存するのは勿論だが、ここで個人名と職業を出した事に意味がある。エリスは基本的に合理的で、一緒に居るのがウォルバクだと……
「そう、帰りにはテレポートを使用する!」
「くう!だからアークウィザードだと言うセリフが!!」
「えっと、それもはやエリス様は関係無いような……」
そうだとも!でも、天使とアクアが素直な問題なんて作るはずがない!こいつらはこういう時余計な要素を大量に盛り込む迷惑な奴らだが、慣れ親しんだ俺にはこんなの余裕で読める!まぁ、慣れたくなんてなかったが……
「では、ウォルバク様を移動速度時速5キロのカズマ様に入れ替えた場合の時間は……」
「彼は冒険者だがテレポートが出来る!よって1時間10分だ!」
「二人きりなのに急ぐことは無いし、2時間と10分だ!」
流石は天使だ。旦那と二人の時間を楽しむと言う発想に至れない司教には、この問題は解けないだろう。これはもう間違いなく俺の優勢と……
「大司教様にポイントです!カズマ様が一緒なら、すぐに帰ってベッドにインします!」
「なにその悪意ある問題?!」
流石に人前でそんなの言う?!
「ごふぁ!!」
びちゃぁ!
そして点数取ったのに大ダメージだぞ?!流石にこれ以上は死ぬんじゃないか?!あと俺とエリスも社会的に死にかねないんだが?!ベッドインはしますけども!
「天使、流石にそれは下世話よ。じゃあ次は私から…エリスの左手薬指のサイズは……」
「「9号!」」
「えっ…選択問題の予定だったのに即答とか……何この二人気持ち悪い…」
なにそれ不条理?!
「いや問題考えたのお前だろ?!俺は指輪を送ってるからな!」
「エリス様の手形から調べられたデータです!決してそんなストーカー地味たことはしてません!結婚したいとか思ってません!」
いやどうかな?それはストーカー行為に含まれそうだけど、と言うか結婚したかったのかな……
「そもそも、アクアは正解知ってんのかよ?これ問題だから正解知らなきゃ出題できないぞ?」
「当たり前じゃない!私と同じ9号よ!あの子への献上品やプレゼントを無駄にしないように着けてみたら、ピッタリ一緒だったもの!」
「先輩女神が後輩への献上品をちょろまかしてんじゃねぇよ?!」
と言うか指輪とか送るやつ居るの?!
「そ、そんな……まさかあの指輪がアクア様の元へ……天使様の降臨をアレだけ待ち続けたのに?!」
いや隣に居たわ!アイドルにアクセサリー送る系のガチ勢居たわ!
「あ、あれ貴方が送ったの?大丈夫!センスは無いけど高く売れたから、そのお金でエリスにお菓子を差し入れたわ!」
「売ってお菓子って……ごふぅ!」
びちゃっ!
だから殺しに行くなって!
「大司教ー!!皆のものヒールを!早く大司教様に治癒を……」
「なりません!支援など不要!これはカズマ様との真剣勝負……私のエリス様への愛を試されているのです!誰かに頼るなど論外です!」
「「「「大司教様!!」」」」
いや命かける系の勝負じゃないだろこれ!どこまで行く気だよ!このまま最期まで逝く気かよ?!いや始めたの俺だけども!
「カズマ様、問答を続けましょう……彼の決意は硬いですから……」
「そうね…信仰に殉じようとする信者を止めるなんて、私達には出来ないものね……」
「こんな殉じ方聞いたことないけどな?!」
と言うか、これで死なれたらエリスも困るだろうけどな!
「では次の問題、トロッコが線路を爆走しています。このままでは線路にアクシズ教徒が5人いる通路に突っ込みますが、切り替えレバーを操作すれば、エリス教徒が1人の通路に誘導できます。さて、エリス様ならどうしますか?」
ほう、これは本来正解が存在しない問題だな。本来なら2択で、エリスと同じ方を選ぶのが正解と……
「そ、そんな辛い選択を……しかし、エリス様ならば少しでも多くの人を助ける筈…ここは切り替えを行います!」
なんて、普通に答えたら負けだ!エリスは意外とアグレッシブな女神!誰かを諦めるなんて事は……俺と天使を除けば多分しない!
「切り替えレバーを真ん中で止めて、トロッコを脱輪させる!」
「おぉ!カズマ様正解です!天界のドッキリで引っ掛けたらそうなりました!」
流石はエリス!何もしなくても幸運だけで被害者0とかに出来そうだが、神器回収で盗むに至るだけの行動力は伊達じゃない!あと、天界の倫理観はもう少しなんとかなりませんか?!
「くっ!私の考えが浅はかでした!人の命を諦めないのがエリス様だというのに!」
「いや、これ絶対にカズマ様の影響では……」
「我らの女神がドンドンアグレッシブに……」
「それもそれで尊い!カズマ様にグイグイ行くエリス様も可愛い!むしろ行って欲しい!」
「お前は後で屋上な?!」
元から割とアグレッシブだぞ?夜のベッドでもな!
「どんどん点差が開きますね……これはもうカズマ様の勝ちで終了にしても……」
「天使様!少し待って頂きたい!先程からエリス様の歩みに関わる問題が出ておりません!エリス様の偉大さを知るには、今までの歩みも含めて問題にすべきです!」
「そうですよ!その偉業を何故讃えないのですか!」
「永きに渡り信仰を得てきたのは、その歴史に裏付けられる物語があるからですぞ!」
あっ、この流れは不味い!あまり過去の話をされてもここに来る以前のことなんて調べてないぞ!
「それもそうですね……では、エリス様がカズマ様を魔王と一騎打ちさせた理由を答えなさい。カズマ様はご存知なので、大司教だけの特別問題です」
「えっ…」「一騎打ち?」「魔王とカズマ様が……」「集団でタコ殴りにしたとか、ミツルギ様に頼り切りだったとかではなく?!」「と言うか割と最近では?!」
あ、そういえば王都とかじゃミツルギが殆ど何とかしたみたいな話なんだっけ?俺も自爆だし、詳しい部分は聞かないで欲しいんだけど……あと、割と最近なのは天使が過去の偉業とか覚えてないからだと思うぞ?
「いや、確かに歴史の教科書に載せられる案件ですが……これは簡単過ぎますよ。カズマ様の強き心と優しさに可能性を見出したからだと……」
「いや、なにも特別な力がない俺が魔王倒したほうがカッコいいじゃん?って言われたんだが……」
「ハイ。その通りです!まぁ、カズマ様にはポイント無いですが………あれ?大司教は何故またメイスを……」
「…………ふんっ!」
ガンッ!
またやりやがった!そりゃエリスがそんな無茶振りしたとか知りたくなかっただろうけどさ?!それ続けたら精神的どころか物理的にも死ぬぞ?!
「う、嘘だろ……」「まさか、そんな理由で魔王の元へ……」「エリス様がそんな鬼畜な……」「意外と情け容赦ないのかも……」
しかも、この問題はエリスの立場まで危うくする!頼むアルカンレティアの皆さん!この状況を打開出来るのはお前達しか居ない!なんとかして好意的な解釈を頼む!俺だとまったく信用が無いから!
「そ、それはつまり……英雄になって私を娶って欲しいって、カズマ様への愛のメッセージだったのでは?」
「「「「「な、なんだってぇーー?!」」」」」
いやそれはそれで怖い!近しい関係ではあったけども、そんな理由で死地に送られるのは流石に怖い!頼みやすいって理由でも、そのお願いはちょっとどうかと思ってたのに!
「ば、馬鹿な!」「そんな事があってたまるか!」「それではエリス様がカズマ様を好き過ぎる!」「いや好きだろ!それは疑う余地もなく好きだろ!」「ふざけるな!それでは英雄への特典だと言う話はどうなる?!」「エリカズ説が証明されるのではないか?!」「おいふざけんな!カズエリだろうが!」
「お、落ち着くのだ!確かにこれでは、エリス様が望んでカズマ様の元へ嫁いだかのように見える。しかし、仮にそれを否定すれば、エリス様が残忍な女神だと言う事になるのではないかね?」
「「「「「「「あっ」」」」」」」
宗教家たちの熱い議論は、その難題を前に誰もが口を閉じた。いや、若干名の異端児達は、目を輝かせながら紙に何かを書き込んでいる。まぁ、エリスの本音は俺にも分からないが、それでも残忍な性格だとは思っていない。少なくとも、俺は心から信頼しているし、その信頼には常に応えてくれるからな。
「これでは認めるしかないですね。エリス様とカズマ様の愛は本物であると……我らが御神体は神の責務ではなく、ただ女性としての幸福を手にしたのだと……」
「大司教様!それを認めれば、我らの信仰を否定することになりますぞ?!」
いや認めてくれない?そこは普通に認めよう?
「信仰……そうですね。我々はカズマ様よりエリス様を信仰しているでしょう……ですが、それは我々がエリス様に救いを求め続けて得たものです。カズマ様は、そのエリス様さえ救うために命を懸けて戦った……それは……」
「あ、それ結構前にこの街の司教がやったので、「我々は重圧だった」とか「カズマ様はエリス様の為に戦った」とか「エリス様の威光に集まった我々が〜」なんて言うのは無しでお願いしますね?」
「そんな?!」
えぇ…この流れでそれ言うなよ……良いこと言わせて帰らせてやれよ…俺ももう帰りたいし……
「やっぱり、厄介なことになってるね?」
「ようクリス。そうなんだよ。本人降臨で何とかして欲しい所だよ……」
「あはは…最悪そのつもりだったんだけど、今は天使に任せようと思ってさ?この数十年、天使は信仰心の参考にするって、ずっとあの人を見てきたんだから……」
「嘘だろ……」
隣にクリスが現れた事よりも、今のクリスの言葉のほうが驚きが多い。天使が信仰の参考にするって、大司教はどれだけ潔白で誠実だと言うのだろう。あの四六時中監視のできるアイツが認めると言うのは、それこそ心から熱心な信徒と言うことなんだろうか?
「大司教様、これを最後の問題に致しましょう。飾らず、身分も関係なく、教会の矜持も都合も考えず……ただ貴方の、エリス様を想い続けた貴方の心からの答えを聞かせてください。エリス様が、今一番幸せだと思える瞬間はいつだと思いますか?」
「ひ、人々が平和で、笑顔で……」
「その答えは、エリス様のことを考えて導き出した答えですか?それとも、貴方の望む理想ですか?」
「そ、それは……」
大司教の前に立った天使の声は、落ち着いているが余りにも鋭い。先程のお楽しみとおふざけのムードなんて一切なく、大司教の心を見透かしているようだ。
「……本当は分かっていたんです。カズマ様のご自宅に辿り着いたとき、玄関先で少しだけ言葉を交わすエリス様を見ました。その表情は降臨のときの万人向けの微笑みではなく、心からの愛する人に向ける笑顔でした。ずっと見てきた私だからこそ、その表情を見間違える筈なんてありません……」
「大司教……」
「悔しかったのです!突然現れた男に、ずっと焦がれたエリス様を取られた気がして!だから、こんな試すような真似をして、少しでも自分を慰めようとしたのです!」
まぁ、寝取られたようなもんだからな。その辛さは分かるよ……
「では、エリス様を見てきた貴方として、最後の問題の答えを聞かせてください……」
「エリス様が幸福なのは、カズマ様と……心から愛する人の隣に居る時間です……あの笑顔を見せられては、認める他、ありません……」
まるで懺悔のように膝をつく大司教の声は、泣いているかのように震えている。この人の片思いは人生の全てだった。そう考えれば、今回の事だって色々と納得できる。だが、その回答は不正解だ。それだけで納得するほど、うちの女神は良い子じゃない。
「だそうですよ?カズマ様、正解を教えてあげてください」
「しょうがねぇな……大司教。エリスにとって本当に幸福な時間っていうのは、一人の女の子として大切にされて、それをあんたらみたいな信徒達に祝福されることだ。女神としてとか女としてとか、どっちかだけじゃ駄目なんだよ。うちの嫁さんは、結構欲張りだったりするんだぜ?」
「あぁ……これは敵いません……我々がお返しするモノだけでは不足と仰るとは……本当に貴方は欲深く、そして愛が深い……」
こんな言葉を聞けば記憶を消し飛ばしそうなものだが、大司教は何処か納得したかのような顔で俺の言葉に耳を傾けている。どうやら認めてもらえたらしい。エリスに対する、俺の本気を……
「あっ、それじゃどっちも不正解です」
「「いやなんで?!」」
おかしい!今の流れはきれいに終われる流れだった!完璧にクリスも女神スマイルで満足そうにしてたのに!
「正解は[唇を重ねながらの3連戦目の膣イキ同時絶頂で中出しされてる時]でした!これは幸せホルモンのオキシトシンの量を観測した結果なので、間違いありませんよ!」
「いや最低か?!そりゃ本能的にそうなるかも知れないが、だとしても大司教にそれは……」
「いえ、良いのですカズマ様……流石は天使様です。私の真意を見抜いていたとは……」
いや真意って何?!何を見抜いてもこの問題が良問になることはないだろ?!なんかクリスの目だけが笑ってないんだが?!
「無論です。大司教様はエリス様を心から愛しながら、それでもプリーストの矜持を守り続けると誓った………その愛と信仰と本能のせめぎ合いの行き着く先は、きっとNTR性癖だと!」
「「「「「な、なんだってぇーー!!」」」」」
いや本当になんだってだよ?!お前はそんな理由で観察してたのかよ!クリスが完全に冷たい表情になってるんだが?!
「見られていては言い訳は出来ませんね……そうです。私は信仰以上にエリス様を想ってしまいました。その気持ちは年々大きくなり、遂に彼女個人としての幸福を願ってしまったのです。ですが、私には信仰を捨てる覚悟なんてなかった……結果としてはNTR願望のようなモノとなってしまったのです……」
「それはNTRとは違うわよ?それをNTRとか言うのは、両想いだって勘違いしちゃったカズマさんくらいなものよ?せめて手を繋ぐようになってから言いなさい?」
「「ぐふっ!」」グサリッ
なにこの要らん貰い事故!アクアの野郎、俺の名前は出すんじゃねぇよ!
「それで良いのです大司教様。エリス様の幸せを純粋に願うその気持ち、それは信仰よりも人の根幹に根差すもの……つまりは愛!そして推し!!もっと具体的に言えば尊みなのです!貴方は遂に辿り着いたのです!そうですよね?アルカンレティアのエリス教徒の皆様!」
「その通りです天使様!」「あぁ!これほど深く心に刺さる表現はないな!」「エリス様は幸せになるべきです!」「カズエリ最高です!」「時にエリカズの事もわすれないでください!」「くそぅ!今だけは怒れん!」
「尊みと……推し……」
いや違う!そんな悟ったみたいな顔で言うことじゃない!騙されんな大司教!目を輝かせるんじゃない!
「目が覚めました……私のこの気持ちは推しと尊みだったのですね……もう、カズエリを否定など致しません!全てはエリス様の幸福のため、受け入れ応援したいと思います!我らがエリス教の教示に、カズエリ推進を追加しましょう!」
「素晴らしい!すぐに全国展開です!」
「いやそうじゃないだろ?!こんな救われたみたいな話じゃないだろ?!お前これ宗教観とかに色々と問題が起こるし、と言うかちょっとアクシズ教徒みたいになってるし!おいクリス!この状況は……」
「すみません……産休取り消しでもう寿退社したいんですが……この世界はウォルバクさんにでも任せて……」ボソボソ
いやこれ本当にあかんやつ!エリスが女神やめちゃう!誰でもいいからこの状況を何とかして!
「落ち着くのです皆さん!!」
「あ、アルカンレティアの司教!」「今回のカズエリの件で最大派閥になりかねないアルカンレティアの司教だ!」「ここで何を言うんだ?!」「まさか遂に大司教の座を?!」
いや貴方じゃない!誰でもに貴方は入ってない!これ以上状況を複雑にしないで!エリスの心が病んじゃうから!!
「大司教様!本当にエリス様とカズマ様の関係を大切に思うのなら、我々は出しゃばるべきではありません。今までのようにエリス様を讃え、その個人の幸福をカズマ様に託す……我らが本当にやるべきは、ただ信じて祈るのみです。推し活も信仰もそこは同じ、勘違いすべきではありません!」
「な、なんと力強く響く言葉?!どうやら、私は出過ぎたことをしていたようです……先程の教示差し替えは忘れてください……」
「そんな?!」
どこら辺が力強いのか一切分からないが、同志には通じ合うものがあるらしい。残念だったな天使、俺達への覗きをカズエリ崇拝とか言って正当化するつもりだったんだろうが、その計画は中止だ。
「嘘だろ……予想外の人から凄い正論が出た……何この親衛隊みたいな安心感……」
「結果としては助かったけどね……辞職は許されなかったから……」
何そのブラック企業、許されないってあるんだ……いや神様だからそりゃそうか……
「失礼しました。我らがエリス教徒一同、これからもエリス様を讃え、陰ながらお二人の幸福を祈らせて頂きます。要らぬ混乱とお節介など、お二人が望むことではありますまい?」
「いや正直助かりました……推し活って言うのはどうかと思いますけど……」
「エリス様とカズマ様の幸福が我らが幸福です。お二人の理想の生活の為、我らが邪魔になっては元も子もないですからな。我らがあり方と信仰に付いても、ぜひ欲張ってくだされ」
「………助かります。うちの夫婦は、どこまでも欲張りなんで!」
「えぇ、エリス様を幸福にして頂くのです。それくらいでなくては!」
俺、この人のこと勘違いしてたな。自分の欲望を優先するアクシズ教に染められた人だと思ってけど、人の気持ちを最優先にする、思いやりのある人だったんだ。
「さて、天使様。このようなタイミングでしか尋ねられないので、私からも問い掛けをしてもよろしいですかな?」
「どうぞ?」
「エリス様は、心の底からカズマ様を愛して夫婦になった……これは紛れもない事実なのでしょう?」
「えぇ、勿論です!」
おぉ!まさか、最後に俺達の関係にフォローまで?!これが親衛隊か?!マナーの良いファンってこういう人を………
「そ、それはつまり………カズマ様がお相手なら、夜のエリス様はエチエチ女神と言うことで?」(小声)
「えぇ、なんなら朝まででも応じる心構えです」(小声)
はい違った!小声での追加質問が欲まみれだった!感心して損したわ!やっぱりこの世界にはろくなやつ居ないわ!
「ありがとうございます!この件は私の胸に仕舞っておきます!そして一生忘れません!」
グッ!
「おい待て!ちゃんと仕舞うよな?!どこにも出しちゃ駄目な奴だからな?!」
「勿論です!さぁアルカンレティアに帰りますよ皆のもの!そして、またカズエリについて話をしましょう·……いいえ、今日のところはエリカズの話を!!」
「「「なんだってーー?!」」」
いやこれ絶対に仕舞っておかないやつだろ?!このままじゃ全国にエチエチ女神エリスの名が!
「ねぇカズマさん……もし巻き込んだら、ごめんなさい……」
「えっ?いやエリス?!流石にここで女神になるのは不味いんじゃ……」
「大丈夫ですよ……どうせ、誰も覚えてませんから……」
スッ
両手を組んで天に祈るエリスの顔は、何かを悟ったように晴れやかだった。その汚れのない女神の顔を、俺はきっと忘れないだろう。いや、忘れたくても忘れられないだろう。こんなのセットで見てしまったら……
ドドドドドド!
「は、走りタカトビが街に入ってきたぞ!」「この時期に活動する群れなんてありえるのか?!」「可能性は0じゃないが!本当に何百年ぶりで……ごふっ!」
いやそれどんな可能性?!
「あ、暴れ牛がこっちに!」「馬鹿な?!アクセル農場の牛が暴れるなんて何十年ぶりだぞ?!」「あの温厚な品種に一体何が?!」「こんな運のないタイミングで集まることになるなんて!」
運って、いやまさかな……
ガコッ!
「ひょ、雹だ!いきなり拳大の雹が空から……ゴフッ!」「こんな異常気象初めてだぞ?!」「まさか魔王軍の攻撃では?!」「それにしては範囲が局所的で……がはっ!」
眼の前で繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄を見ても、眉一つ動かさないエリス。そんなエリスの姿を見て、俺はとある魔女の言葉を思い出していた。
「幸運の権能とは因果律の操作だよ。君の愛する女神様は、願うだけで世界を都合よく動かせるんだ……間違いなく、何より身勝手で恐ろしい存在だよ……」
あの時は適当に流してゴメンなエキドナ。いやうちの嫁怖いわ。これが本気の天罰とか怖すぎるわ。絶対に本気の夫婦喧嘩とかしない!
………………………………
「愚かにもお二人の関係を疑った我々エリス教会の為に、これほど手厚い治療を施して下さった事を感謝いたします。我らが集うことで敵対する組織や団体に襲われるであろうことを、しっかりと予想するべきでありました!」
「いえいえ……俺にも責任はあるんで……」
「そんな!魔王討伐だけで十分な貢献です!カズマ様に落ち度などありませぬ!」
「いやそうではなく……」
阿鼻叫喚の地獄から一夜明け、俺は教会の前でイグニスさんと大司教から感謝を受けている。あの厄災の原因は、魔王軍残党によるものと言う事で調査が進んでいるそうだ。まぁ、普通に考えればそうとしか思えないし、取り敢えず俺も否定はしない。だが、あの場にいた全員の記憶が飛んでいるのに、何故か天使以外の死人と重症者が0という被害報告を見るに、真犯人は隣りにいると思う。なんと言うか、本当の意味でのチートってこういうのを言うんだな……
「結局クイズ大会は中止になっちゃいましたけど、これから再戦でもします?」
「必要ありませんよ。貴方ほどエリス様に相応しい方は居ないでしょうからね。あぁ、こんな事を思わされたのは初めてです。それだけの何かが、きっと貴方にはあるのでしょう……」
「そ、それは…どうもありがとうございます…」
普段なら素直に喜ぶんだが、これは洗脳だけ上手くいってるみたいで喜び難い……エリスのやつ、実は魔王も自力で倒せたんじゃないかな…
「しかし、エリス様の大切な御身体に何事もなくて良かった。本日の会見は、問題なく行えそうですね?」
「ほう?本日は何か報告ごとが?」
「そうなのです!エリス様のお腹に、カズマくんの第一子が宿りまして……」
「あっ!それはその人に言うと……」
また記憶を消し飛ばすことになるんじゃ……
「それは実に喜ばしい話ですね。カズマ様、どうかエリス様とお幸せに……」
「あ、ありがとう……ございます……」
初対面で出会った時からは考えられない程、大司教はあっさりと俺とエリスの事を祝福した。本当なら喜ぶべきなのだろうが、記憶がないのに人格を書き換えたとなると、もはや洗脳のような気も……
「………本当に、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
いや、どうやら洗脳なんかじゃないようだ。幸せそうなエリスを見る大司教の笑顔は、心の底からそれを祝っているように見える。自分の気持ちや信仰より、やっぱりエリスが最優先なんだな……
「なんですと?!アクア様を差し置いて暗黒神が第一子を?!」「それはなりませんよカズマ様!裏切り行為です!」「生まれた子を直ぐにアクシズ教に入信させねば!」
「『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』!」
カッ!
「「「「「ひぎゃ〜!」」」」」
あれ?いま大司教、アクシズ教の連中にビームを?!
「エリス様を暗黒神ですか……どうやら教育が必要なようですね!」
ダッ!
「ちょっ?!エリス!大司教の目がヤバい!あれ殺しかねない目をしてるぞ?!」
「あれ?私が来る前に襲われませんでした?だとしたら、カズマさんの事は相当気に入ってたようですね!」
えぇー!あれがデフォルトなの?!自分の頭殴ってくれたのは、相当譲歩されてたってこと?!
「大丈夫です。彼は攻撃力と同じだけ癒やしの力もありますから、死人は出ないと思います。どうせ止められる人は居ませんし……」
「あぁ…あの人エリスでも止まらないんだ……」
俺達の日常に関わる人々は、何処かに癖がなきゃ死ぬらしい。昨日からバニルとウィズを見かけないが、きっとこの危機感を察知したに違いない。それに関しては本当に良かった……
「ところでエリス……昨日のあれって……」
「うふふ、その件は……内緒です」
うん可愛い。やっぱりエリスは可愛い。だから昨日のは魔王軍のせい、そう言う事にしておこう!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ゼスタという裏ボスがいるのに、エリス教会にはボスが居ない。そんな寂しい?状況を打開すべく、対抗馬を用意しました。いや、本当にすまんかったです……
相変わらずの不定期ですが、またお暇な時にでもお付き合いください。