クレアがゲームにログインしました。これはカズマのアレがクレアにログインしたからで……いえ、なんでも無いです、ごめんなさい。ただ、流れ的には追求されるしかないですよね。そしてあわよくば、このままレインもゲームにログインしないかなぁ……
と言う事で、またお暇な時にでもお付き合いください。
親愛なる弟へ。念願の彼女はできましたか?これを言うとまた人間を辞めそうで言い難いのですが、兄さんは色々とやらかしまして、いま浮気相手と天使を拷問しています。いや、本当に意味がわからないと思いますが、そういう世界だと割り切ってください……
「安全日でしたから!安全日でクレア様も美味しい思いをしたわけですから!これはむしろ天使的には正解だったと思うわけですよ!だから懲罰はこの辺で……」
「そうですか〜……先ずは乙女心と言うものから理解しましょうねか〜……本当にそういうところですからね!」
俺の暴走を促した天使は、魔拘束の鎖と呼ばれるアイテムで拘束され、聖水をかけられる罰を受けている。これはバニルさえも完全無効化出来る天界の神器らしく、悪しき物に反応して拘束を行うらしい。俺にもちょっぴり反応した気がするが、まぁ気の所為という事にしておこう。今のところ、俺に聖水は効かないし……いや、効いたらエリス抱けないんだが……
じょぼぼぼぼ
「あっつい!ごめんなさい!本当に反省してます!クレア様の実は少女な恋愛観を無視して反省してます!!だから聖水をピッチャーでかけるの辞めてください!」
「わ、私は少女趣味なんてもってません!」
バシャッ
「あぁー!!照れ隠しついでにジョッキでかけるのも辞めてぇー!!」
本当、なんで懲りないかなコイツは……
……………
「本件は全面的に天使の責任ですし、クレアさんが望むなら身体を再生成することも視野に入れます!どうか、それで本件を許していただけないでしょうか!」
「いや怖いですよそれ!身体の再生成ってなんですか?!」
天使が桜餅のようになったところで、次はエリスによるクレアへの賠償の話が始まる。再生成ってのは、多分俺たち転生者の身体を作るのと同じことだろう。肉体を作り直して別人にすれば、物理的にはなかった事になる訳だ。すごい力技だけどな。
「清い身体を取り戻し、なんなら少しくらい胸のサイズを大きくしたり、持病を無かった事にしたり、ムダ毛が一切生えないようにすることも可能です!それで更に記憶処置もしますから!どうかそれで手を打って頂けたらと!」
ガンッ!
今言う事ではないのだろうが、エリスの土下座もとても美しい。やはり先輩から教わったのだろうか?ちなみに、急がないので俺の身長を10センチ伸ばすのも可能か、ぜひ検討いただきたい。いや、8センチでも良いです。
「いや本当に良いですから!別に私はそこまで傷付いては……」
「あと、アイリスさんの大好きなすき焼きの匂いがする身体にするのも可能ですから!」
「えっ、それはちょっと詳しくお聞きしても?!」
「いや本当にお前はブレないな!アイリスがいくらすき焼きが好きでも、すき焼き臭のするクレアが好きかは別だろ?!と言うか普通に嫌だと思うぞ!」
「はっ?!それは確かに!」
いやそれは普通に気付けよ?!エリスも提案しちゃ不味いって!
「なぁエリス、俺が言うのも何だけどさ。今回の件ってそんなに重いのか?一応合意だった訳だし、浮気した俺が叱られるのは分かるんだが、それを天界まで巻き込むとか……」
「何を言うんですカズマさん?!死んだら蘇生すれば済みますが、望まぬ形で産まれた者がどれだけ苦しい思いをするか……そして、そういう時に限って大抵厄介な存在が生まれるんです!魔王とか闇の眷属とか!」
「えぇ……蘇生でオッケーが共通認識とか、神の倫理観ヤバすぎるだろ……まぁ、確かに愛されない子は不幸だとは思うけど……」
俺も神話とかで聞いたことはあるしな。悲惨な生まれのヤバイ存在は……
「だからこそ、こう言う事態には慎重に対応する必要があるんです。さぁ、神々に望みがあるならなんでも!天使の力の9割を奪うでも構いません!」
「ちょっとエリス様!それ私の羽しか残りませんよ?!」
あ、お前のメイン部分羽なんだ……
「ほ、本当に大丈夫です!カズマのことは嫌ってませんし、嫌な思い出とも思ってません!それにその……この件なくして結ばれることも無かったと思うので、記憶から消すなんてしたくないですし……」
「クレア……お前……」
クレアがそこまで本気で俺のことを思ってくれてたなんて、なんか感動さえ覚えるな……
「………ちぇっ、これじゃまた独占率が下がるじゃないですか……ただでさえ愛して貰えないのに……くっ!」
うん、エリスがここまで本気で俺のこと思ってくれてるのは、ちょっと恐怖を覚えるかな……もっと頻繁に添い寝しよ…
「あの、もし願いを聞き入れてくださるなら、本件は秘密にして貰えないでしょうか?私は今後もアイリス様の側近でありたいんです。カズマとの関係は秘匿して、それこそ家臣として寵愛を受けるくらいの関係が理想なのです。それを主より先に愛されたなど、アイリス様に申し訳が立ちませんから……」
「そうですか、分かりました。死ねないように天使の脳の記憶域を吹き飛ばして、記憶は完全消去しておきます」
いや、やり方!なにその悪魔でも思い付かない方法?!確かにコイツは喋りそうだし、記憶から消す方が確実だとは思うけどさ?いくらなんでも殺意が強すぎるだろ?!
「いやちょっとエリス様?!そこは封印とか催眠とか色々あると思いますよ?!なぜ一番物理的かつエグい方法を選んだんですか?!流石に女神のやることじゃないですよね?!」
「そうですよ!流石にそれは気の毒と申しますか……他の方法があればそっちの方が……と言うか秘密にしてくれれば良いのですが……」
「冗談ですよ。クレアさんとカズマさんの事を話そうとしたり記録に残そうとしたら、自分だけ愛されなかった記憶を何度もフラッシュバックするように加護を与えておきます。後は、お二人が漏らさないように気を付けてください」
「いやそれもう呪いですよね?!漏らしませんって!二人の甘々な1夜とか……すみません!今の無しで!」
流石に可哀想だから止めようかと思ったが、それくらいしないとコイツは漏らしそうだ。すまん天使、俺たちの平穏のため、お前は犠牲になってくれ!と言うか、先にヤバい案を出したの、こっちを拒否させない為だろうな……
「それと、カズマさんはあっちでゆっくりお話しましょうね?」
「あっはい……」
あっ、やっぱり無罪じゃないですよね……
…………………………
「えっと……随分と疲れて見えるが、カズマは大丈夫なのか?」
「あぁ、これくらいの事は多々あるからな……」
エリスの部屋に呼び出された俺は、本気のお口で10発ほど絞られた。浮気への制裁……と言うか今日一日の浮気の予防策なのだろうが、逝った直後に『セイクリッド・ハイネス・ヒール』して敏感なまま連続で搾るのは辞めて欲しい。1回目の元気さで出すものがなくなると、マジで赤い玉が出てきそうで怖い。
「しかし、クレアは俺と二人でも普段通りだな。あんなことした後なんだから、少しは照れるとか悶えるとかすると思ったぞ?」
「可愛げがなくて残念か?私はアイリス様の可愛さに常に悶え続けて来たんだ。変態だと思われ職務を外されないよう、喜びを隠すことに関しては途方もない修練を重ねたものさ」
「割と頻繁に悶えてるけどな……いや、それでも相当耐えてるのか…」
クレアはアイリスが何しても悶えそうだしなぁ。でも、それでも所々バレてるし、何だかんだアイリスもクレアが好きなんだと思うけど……
「まぁ、私のポーカーフェイスとカズマの余裕っぷりを見れば、アイリス様とレインは疑う気も起きないだろう。これからも、いつも通り頼むぞ?」
「あぁ、それに関しては安心しろよ。そういう誤魔化しは大得意だからな!」
まぁ、それを誇っていいものかは別として!
………………
「それで、お二人はどこまで進んだんですか?」
「いや、レインが思うことは何も……」
残念ながら、俺達の行動は常にフラグが付いて回るらしい。バレる要素は無いなんて余裕を見せた俺達は、実は致命的なミスを犯していたのだ。それは………
「それなら、クレアからカズマ様の匂いがするのは何故なんですか?!密着してあれこれしなきゃ、そんな事にはなりませんよ!そうですよねアイリス様!」
「そうです!これは間違いなくお兄様の匂いです!スンスンスン!お兄様の汗とか、ベッドに染み付いた諸々の匂いがします!」スリスリ
「あっ…アイリス様……そんなスリスリされたら……くぅ!」
まさかそんな事でバレるなんて予想してなかったが、アイリスは嗅覚さえ高ステータスらしい。まさか香水を付けているクレアから俺の匂いだけ嗅ぎ分けるとは、どこまでチート性能なのか。そして、やっぱり悶えてるぞクレア。お前の鍛錬は何だったんだ?
「そ、それはあれだ。俺達が犯罪組織を逮捕した時にカップルを装った時に付いた匂いだと思うぞ。別に密着する理由が、エロい理由だけとは限らないだろ?」
「そう言われると、そうなのですが………」
だがアイリスに手を出さない理由を婚姻と言っている以上、俺とクレアの関係はバレる訳にはいかない。バレたらアイリスに大義名分を与えてしまい、また強引に迫られてしまうだろう。別に嫌という訳では無いが、するならなんの憂いもなく、尚且つ俺が主導権を握ってアイリスを抱きたい。妹のロストバージンで兄が押し倒されるとか、そんなの俺が認めない!
「カズマの言ったとおりです。私とカズマの信頼は仲間としてであり、決していかがわしいものではありません!」
「フライドポテトみたいなノリで嫁ごうとしたのにですか?!」
「すみません!それは忘れてください!」
素直で良い子のアイリスは、基本的に俺の話を疑わない。だから、ちゃんとそれなりの理由があれば納得してくれる。くれるのだが……
「へぇ〜……」
「な、なんだよレイン……」
しかし、それでもレインは納得してくれない。そりゃ今までの俺達の関係を見ていれば、どんな理由でも密着するなんて考えつかないだろう。正直、俺だって予想外でドキドキしたし……
「絶対にドキドキしないと?」
「ふっ…当たり前だろう?私はお前と違って、そんな邪な考えは持っていない!疑うなら試してみるが良い!」
あっそれフラグ……
「言いましたね?!どうせ直ぐにチョロく堕ちるのが目に見えていますが、そこまで言うなら試してあげようじゃないですか!アイリス様、カズマ様、夕食はデリバリーでよろしいですね!」
「勿論です!クレアがお兄様に堕ちてしまえば、私達を止める者は居なくなりますからね!」
いや居るぞ?法律って言うもの凄い強敵と、その番人のセナさんがいるぞ?
「まぁ、俺はデリバリーでも良いんだが……具体的に何すんの?」
「それはもう……カズマ様で試してみるしかないですよね!」
「あぁ、私達も望むところだ!」
クレアさん、俺は望んでないですけど?!
……………………
「こ、これはまさか……」
壁際にクレアを立たせ、そしてその前に陣取る俺。これは伝説のアレではないのか?!イケメンにしか許されないアレではないのか?!
「そうです。これぞ異世界より伝わりし乙女を堕とす伝説の儀式……壁ダァンです!」
「俺の知ってるのとちょっと違う?!」
いや翻訳の誤差レベルだけども!と言うか伝説にされてんの?!
「こんな伝説の儀式を持ち出すなんて、レインも本気のようだな……」
「えぇ、この儀式を難なく越えれば、お二人の言い分を信じましょう……しかし、これを乗り越えられないとなれば、カズマ様の性処理担当は私に代わってもらいます!」
「おい待て!前提がおかしいだろ!俺の性処理役とか募集してないぞ?!」
いや、確かに今回はそれに纏わるミスをしたんだけども!
「そうですよレイン!お兄様の寵愛は、法の改正という正式な手順を経て私が受けるものです!処理なんて勿体ないことは許しません!」
「いやそれもそれで不味い!!」
力技で法的にオッケーは色々と問題起こるだろ?!
「何となく察していると思うが、二人は私が抱かれたと知れたら本気で行動に出ると思うぞ……」
「くそっ…それじゃマジで負けられない戦いじゃねぇかよ……壁ドンするならもっと嬉しい展開でしたかったぞ……」
いや、こっちじゃ壁ダァンなんだけども……
「安心しろ。アイリス様にさえ悶えない訓練を重ねてきたんだ。お前の壁ダァンなど、いとも容易く打ち破ってやるさ!」
心強いこと言われてるのに、なんだろうこの敗北感……これで本当に完璧なスルーされたら、一番照れ屋のウィズに今度壁ドンしてやろ……
…………
「さぁ……カズマ様、お願いします!」
正式な儀式と言われる壁ダァンは、結局のところただの壁ドンだった。だが、一応判定基準となるものがあり、審判も付けるらしい。俺の青春モテムーブは、もはや罰ゲームのような扱いである。泣いていい?
「本気でやんなきゃ駄目なんだよな?」
「あぁ、手を抜けばやましいことがあると言っているようなモノだ。審判の目もあるし、ここは真剣に来い!」
審判って言うか、あれは完全に飯付きの野次馬だろ……
「あぁ、吾輩の事は気にするでない。ちゃんと正式なルールブックに基づき、チョロ騎士がチョロ騎士らしく堕ちたか判定するだけであるからな!」
「不正が疑われた場合には、バニル様が二人にあった出来事を面白おかしくお話するそうなので、ちゃんと真面目にやってくださいね!」
くそっ!あいつ、どっちに転んでも悪感情が食えるから来やがったな!マジでそういうところ悪魔だよな!
「しかし、壁ダァンの決め手はダァン後の台詞です。お兄様に詩人の才能など無いので、これをどう乗り切るかですね?」
「まぁ、くっそ真面目にやってクレアが爆笑すれば、二人には何もなかった事が証明されるわけですが……」
その流れだと俺がモテないって事も証明されるじゃん?!こんな所で俺だけ大怪我なんてしてたまるか!ここは、母の買ってた花○めコミックの力を借りるしかない!!
「どうしたカズマ?どうせ恥をかくのは変わらないんだ。さっさと……」
ダァン!
「ひゃぅ?!」
完全に油断しているクレアに向かって、俺は思い切り右手を突き出した。確かにこんなのキャラじゃないが、それでもお前よりは良く知っている。食らえ、これが日本のマンガの力だ!
「早く俺のものになれよ」(イケボ)
……………あれ?
「おい小僧。お前に吾輩のおすすめ商品を譲ってやろう。鏡と言うんだが……」
「おいやめろ!この空気で外したのは分かるから!俺のキャラにあってないのも分かるから!クレアもいっそ笑ってくれたほうが気が楽で………あれ?」
完全にやらかしたと思われた空気の中、俯き気味のクレアの顔を覗き込む。笑いでも堪えているのだろうが、流石に無言は空気が悪い。だから、文句の一つでも聞くつもりだったのに……
「み、見るな……いま顔は……見ないでくれ…」
覗き込んだクレアの顔は、耳まで真っ赤に染まっていた。そこに笑いなんて欠片もなく、勝手に緩んでしまう頬を必死に取り繕うとしている。えっ、何これ可愛い!クレアが今までになく可愛いんだが?!
「おっと!これは大番狂わせである!真っ直ぐ手を伸ばすと身長が足りない小僧の、仕方なくちょっと高めに腕を伸ばしているダッサい壁ダァンで陥落する女が居ようとは!」
「何を言ったかは分かりませんが、この雰囲気はなにかあったのは確実です!さぁカズマ様!クレアとどこまで進んだか知りませんが、私とも深い仲になりましょう!その溢れんばかりの欲望を、どうか私に注いでください!」
くっ!クレアが可愛いので見惚れてしまったが、今はそれじゃ不味いんだった!レインが薬とか使って本気で来たら、今度こそ子供が出来かねない!そんなことになれば、マジで国の法律が変わるぞ!仕方ない……これはもう恥など言っていられない!
「待てレイン!俺の壁ダァンが凄かった可能性を見落としているぞ!もうマジで誰でも堕ちるくらい凄い壁ダァンだったら、何もないクレアが墜ちても不思議はないだろう!」
「……くっ!た、確かにそれは…そのとおりであるな!小僧が…ぶふっ!もの凄いモテムーブを……ぐふっ!……持っている可能性も……ぶははは!」
くそっ!背に腹は代えられないと思っていだが、俺は咄嗟に何を言ってるんだ!と言うかバニル笑い過ぎ!
「お、おい!そんなこと言って大丈夫なのか?!お前にそんなモテムーブが発揮できると思っているのか?!」
「うるさい!そもそもクレアがチョロイからだろ!なんでそこで耐えられないんだよ?!」
「お、お前が……俺のものになれなんて言うからだろ……お前のモノにされた時のこと……感触とか色々と思い出してしまって……」
「くっ、その理由は怒れない……」
なんでこんな時に限って可愛いのコイツ!そのせいでこっちは苦労してんのに、怒るに怒れないじゃんか!
「それなら、いっそレインも参加すれば良いのです!レインがお兄様に堕ちないようであれば、堕ちるまで愛していただく……と言う事なら、私も問題ないと思います!」
「あ、アイリス様?!まさか私にまで壁ダァンをしろと言うのですか?と言うか、この件はクレアの追求をするって話では?!」
「そうだぞアイリス!と言うかなんだよそのルール?!その後付けのルールは反則じゃないか?!」
というか、俺はもう有耶無耶にして逃げたいんだが?!
「いえ、レインとクレアは同じ役職で私に仕えていますから、そこの扱いに差を生むのはコンプライアンス的に駄目なのです!お兄様はホワイトな経営を志す方ですから、そこに不平等があるのは見過ごせない筈です!」
「あっ、理由は割とちゃんとしてた!」
でも、そこはお○んちんじゃなくて、お賃金の話をして欲しかったな。というか、俺の息子は福利厚生では無いんだが……
「し、仕方ありませんね……そう言う事なら、お付き合いします……」
アイリスに強引に壁際に立たされたレインは、半ば諦めの表情で俺の方を見ている。恐らく本気でモテるであろうレインにとって、俺の壁ダァンなんて羞恥プレイでしか無いはずだ。それでも、やらないわけにはいかないし……
「はぁ〜……しょうがねぇな!」
ダァン!
「ひゃうっ?!」
あれ、なんか予想外に効いてる?!まさか意表を突かれて心拍数が上がったのか?だとしても、このチャンスを逃す手はない!このまま吊り橋効果で押し切ってやる!
「ほら、レインはどうやって愛されたい?」(イケボ)
クイッ
「か、カズマ様?!」
俺も漫画でしか知らないが、壁ドンの次によく出るのがこの顎クイ!俺の身長ではすることなんてほぼないが、もうやるならトコトンやってやろうじゃないか!どうせ恥はかくんだからな!
「おおっと!まさかのここで顎グイである!やはり鏡が必要であったか?!それとも自己評価がぶっ壊れているのか?!」
バニルは本当に辞めて!俺だって恥ずかしくて死にそうだから辞めて!でも、口頭で何を言っても受け流せそうなレイン相手だと、もう行動で堕とすしか思いつかなかったんだよ!と言うかこっちも少しだけ名前違うのな!
「あの…その……んっ」プルプル
えっ、何それキス待ち?!そんな力いっぱい目を閉じてキス待ちしてんの?!かわっ!いや、これは演技の可能性も……
「いやレイン?流石にこの場でキスはしないけど……」
「はっ?!いえ、その……これは…えっと…だから…そのぉ…」
えっ?何この可愛い生き物?!あのレインが真っ赤になってモジモジしてる!流石にこれは素だよな?!これ演技だったら俺もう女の子信じられなくなるぞ?!
「よもや小僧におちるクソ雑魚女がもう一人居るとは……王家の側近とは、ちょろい女しか居ないのではないか?」
「ち、違います!今のは不意打ちに混乱しただけです!私はそんなチョロくありません!」
いやどうかな……俺の壁ダァンで堕ちるのは、相当チョロい気がするけど……
「くっ!まさか二人共やられるなんて……ここは私が出るしかないようですね!」
「いや、別に無理に出てくる必要は無いと思うんだが……」
もはやクレアの潔白を証明すると言う話は何処へ行ったのか、何故かアイリスまでもが壁際に立った。これはどう考えても意味なんて無いが、多分アイリスも壁ダァンして欲しかったのだろう。そんな可愛い妹の為なら、お兄ちゃんはもう一回恥をかこう。
ダァン!
「きゃっ」
いや露骨に喜んでる!これもうセリフの追撃とか居る?!なんかもうこれだけで良くない?いや、望んでくれてる以上はやるけどさ!
「……好きだよアイリス」(イケボ)
クイッ!
「あっ……」
あぁ、本当に可愛い!アイリスはもう何してても可愛い!こんなに近くで見つめあったら、未成年なんてもうどうでも良くなりそうな……
ガシッ!
「……ちゅっ」
…………あれ、なんか唇当たってない?!
「あ、アイリス様!いきなり何をしているのですか?!」
「おいカズマ離れろ!アイリス様の唇から離れろ!!ぶっ殺すぞ!」
いや無理!アイリスの唇が柔らかいとか、良い匂いがするからとかの精神的な理由ではなく、ただアイリスの腕力でホールドされたら普通に無理!まぁ、あえて抵抗はしてないんだけど!
「んっ…ちゅっ…ちゅぷっ……ぷはぁ……やっとキス、出来ましたね?」
「あ、アイリス…なんで、そんないきなり…」
何度も啄むようなキスを繰り返すと、アイリスは満足げに俺の唇を解放した。その顔は歳不相応に大人びていて、空っぽでなければ直ぐにでも押し倒したくなる色香を放っている。危なかった。もし残弾が残っていたら、俺はこのままアイリスを抱いていただろう……
「今回はこれで許してあげます。でも、次はクレアじゃなくて私と……ですよ?」
なっ?!何という魔性!これが第一王女の色気なのか!と言うか、アイリス分かっててこれやらせたな!可愛いから許しちゃうけど、俺のメンタルは相当やばかったんだが?!
「さてクレア、レイン。そろそろ帰りますよ。お兄様はこれから忙しくなりますから!」
「ちょっとアイリス様?!話は終わってませんよ!」
「と言うか次ってなんなのです?!なんか私だけ置いてかれてませんか?!あっ、すみませんお邪魔しました!」
いつも通りに戻った3人が、騒がしくも楽しげに俺の元を去っていく。きっとクレアと俺がどうなろうと、あの3人の関係は変わらないのだろう。そんな些末な問題は、あの信頼の前には無いも同然なのだから……
「まっ!俺達の信頼も負けてないけどな。そうだろ、ダクネス?」
「あぁ、そうだな………てなるかぁ!!」
ダァン!
俺の元に駆け寄ったダクネスの右拳が、そのまま俺に顔ダァンする。いや、そりゃ何度も壁を叩きまくれば壁の向こうのダクネスは起きるだろう。煩くしてすまんダクネス。ついでに一応言い訳しておくと、アイリスのキスは俺のせいじゃないんです……
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
壁ダァンは私が考えました。壁ドンが先にあったとしても、これは完全オリジナルと言う事で許してください。
ちょっと同時連載側がクライマックスで遅くなってすみません。また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。