※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

昨年は尻をしばいた特別版でしたが、流石に可哀想との声を多数頂きましたので、痛くない特番にしようと思います。
まぁ、痛くはないけど酷いです。

またお暇な時にでもお付き合いください。



この新たな年に祝福を 前編

エリスの出産予定が近付き、俺達はその準備に奔走していた。出産は女神にとっても重労働であり、状況によってはその命を落とす事もあるそうだ。故に神々は多くの祝福を得て、その行為に臨むというが………

 

「と言うことで第一回!神々に笑いを奉納せよ!カルテット新春クイズ大会ー!!」

 

「「「「いや流石にそれは聞いてないんだが?!」」」」

 

回答席に座らされた俺達は、新年から見事なシンクロを見せた。エリスの為だと連れてこられた場所がクイズ大会の会場では、そりゃ文句の1つも言いたくなる。と言うか、なんでスバル達までここにいるのか………

 

「ち、ちなみになんだが、どうして皆ここに?」

 

「こたつと一緒に例のボタンとテレビが置いてあって……」

 

「押し釦に『新春イベント、コラボ開催中』って書いてあったからつい……」

 

「新年早々に極寒地の任務を任され、ヒーターの側面にこれ見よがしに……」

 

天使のやつ、どんどん俺達の扱い方が上手くなってきている気がするな。スバルとアインズなんて、完全に性質を読まれて誘導されているし……

 

「おっと?皆様まだ乗り気でないご様子!笑いの奉納でエリス様が安産になるのは喜ばしいですが、それでは異世界の皆さんのやる気に繋がらないのもまた事実!と言うことで、1位になったチームには神々からのお年玉をご用意していますよ!」

 

「おー!……ってアレ?!これ盛り上げるとこじゃないの?!」

 

「そんな事を言われてもな……」

 

「あぁ、まだ企画内容も何も分からないしな……」

 

スバルは空気を読んで盛り上げようとしてくれているが、アインズとターニャはそんなテンションにはなれない。と言うか、突然こんなものに巻き込まれて乗れる奴なんて、スバル以外に居るんだろうか……

 

「ご安心ください。前回はコンプライアンス的に叱られたりもしたみたいなので、今回はとても楽しいテレビ的な企画です。なので皆様は安心して強制参加してくださいね?」

 

「強制参加の段階で安心要素1つもねぇよ!まぁ、前回の尻をしばかれるイベントよりはマシみたいだけどさ……」

 

「お、お前アレをやらされたのか?!存在Xは随分と狂ったやつだと思っていたのだが、他の神々も大概だな……」

 

「昨年でなくて本当に良かった……いや、可能なら今年も参加したくないのだが……」

 

「くっ!俺はむしろ出たかった……あんなの大御所しか呼ばれない奴じゃん……」

 

大御所しか呼ばれないとか以前の問題として、ただ尻を叩かれるだけで何も楽しくないけどな……

 

「しかし、どうせやらねば帰れないのだろう?部下を預かる身としては、ここで責任を放棄する訳にもいかん。早いところ始めてくれ」

 

「そうだな。友人の妻が安産になると言われては、断るわけにもいかないしな」

 

「だな。ご都合主義のイベントだけど、カズマの嫁さんの助けにはなるみたいだしな」

 

「みんな……」

 

渋々といった始まり方ではあるが、皆の申し出は素直に嬉しい。これでエリスが安産になるって言うのも不条理な気がするが、それも仲間からの贈り物と思えば有り難いことだ。と言うか、もうそう思わなきゃやってられないし……

 

「決心が固まったようなので第一のゲーム!最初のパートナーはこちら!」

ガコンッ

 

突如として開いた地面の中から、各陣営の仲間が1人ずつ現れた。無駄に凝ったセットを用意したみたいだが、むしろこの金をエリスの為に使って欲しい。といっても、安産は金で買えるものでもないのだろうけど……

 

「この企画、問題を解くにはパートナーの協力が必要不可欠です!お題をクリアする度に仲間が増えていきますので、華麗なスタートダッシュを決めちゃってください!」

 

成程。良くある仲間との絆を試すタイプの企画か、それなら最初の仲間が優秀なら、それだけでかなりの好スタートを切れるだろう。何せ回答者に即戦力がずっと居てくれるのだ。下手すりゃ俺達が不要になる。だから、最初の仲間はとても大切なのだが……

 

「……なぁ、何で最初がダクネスなんだ?こういうのはクイズに強いやつを先に出すだろ?めぐみんとかあるえとかさ?」

 

「わ、私だって高い教養をもった貴族令嬢なんだぞ?!まぁ、私が1番に指名された理由は、何が来ても耐えられるから何だが……」

 

「そ、その選び方だと何も言えないな……」

 

裏方で待機しているあいつらだって、きっと昨年の件があって警戒しているに違いない。そうなればダクネスが出るのは仕方ないのだが、しかしクイズでダクネスか……

 

「ふっ、悪いなカズマ。私のパートナーはデミウルゴスだ!ここで一気に戦力差を広げさせて貰うぞ!」

 

「お任せくださいアインズ様!私が来たからには勝利は確実です!」

 

「ほぅ、普段ならデミウルゴスの知性は羨ましい限りだが、今回はレルゲン大佐が来てくれているからな!悪いが私も負ける気はせん!」

 

「くっ……何故か嫌な予感しかしないが……来てしまったからにはやるしかないか……」

 

アインズとターニャの布陣は盤石。まさに理想的なスタートダッシュと言っていいだろう。正直そいつらに対応するなら、ウォルバクとかシルビア、バニルが欲しい所ではある。ちなみにスバルはと言うと……

 

「来たぜ大将!やっぱり一番槍は俺しか居ねぇからな!!」

 

「お、おう!多分押し切って来たんだろうけど……取り敢えず頑張れガーフィール!」

 

なんか俺と近いことになっている。そこで駄目と言えないのがスバルの優しさか……

 

「ということで第一問!パートナーの皆様は……走って!!」

 

ガコッ……ウィ〜〜…

 

「はっ?!」「ほぅ」「んなっ?!」「任せなぁ!!」

 

せり上がってきたステージの足場が、突然ルームランナーのように進み出す。それはマラソンとかのレベルではなく、もはや短距離走の速さで4人を走らせ始めた。これはまさか……

 

「こちらの問題、解答権はパートナーが走ってる間のみ得られます。そして、5問先取で先抜けです!ちなみに間違えると次の問題に解答権はありません。なにか質問は?」

 

「よし分かった!解ったから早く正解したまえデグレチャフ少佐!私は長く持たないぞ!!」

 

「了解であります!」

 

「くっ!申し訳ありませんアインズ様!私も長くは……」

 

「耐えろデミウルゴス!なるべく急ぐ!」

 

「「…………」」

グッ!

 

ちょっとピンチな頭脳派二人を見て、俺とスバルはお互いに親指を立てて頷き合った。この勝負はもう頭脳なんて関係ない。ある意味で俺達は、大正解のパートナーを引いたのだ。

 

「では第一問!日本を代表するゲーム会社の任天堂。元々はなんの企業……[ピコン]はい早かったターニャ様!」

 

「花札!」

 

「正解!」

 

「良くやったデグレチャフ少佐!私には皆目見当も付かなかったが、そのまま頼む!」

 

やはり知識量で言えばターニャが強い。見た目は幼女だが元はサラリーマンなのだから、そこは予想通りと言えるだろう。さて、となると気になるのは問題の傾向だが……

 

「第2問!自転車競技、ロードレースで脚質と呼ばれるスタイルの中で、短距離のトップスピー[ピコン]おっと意外にも引き籠もりのカズマ様!」

 

「スプリンター!って引き籠もり言うなや!」

 

「正解!そして謎に関西弁が出ました!そのうちオールラウンダーになりそうな回答です!」

 

あっ、なんか声が勝手に……でも、これは傾向が全く読めないタイプのクイズだ。となれば、早いうちにあの手を使うべきだろうか……

 

「第3問!徳川5代……[ピコン]いやいやいや!流石に早過ぎますよスバル様!」

 

「犬将軍!」

 

「まさかの正解?!これは間違いなくクイズ馴れです!友達居ないけど周りに乗り遅れたくなくて見てたクイズ番組への反射神経が勝利を掴みました!」

 

「流石は大将だ!俺様はまだまだ余裕だが、このまま勝ってくれても構わねぇぜ!」

 

「なんか傷口えぐられた気もするけど任せとけ!こういうのは俺の得意分野だ!」

 

そうだな。スバルは多分そういうの得意だよな。披露する相手も居ないのに、無駄知識とか貯めてそうだもんな。俺もそうだったし……

 

「はぁはぁ……アインズ様が動かないと言うのは、きっと何か深い意味がある……そう、例えばフィジカルの弱い私をここで鍛え上げようとしているとか……」

 

「いや、決してそんなつもりでは無いんだが……」

 

それにしても、やはりデミウルゴスは辛そうだ。アインズの期待を裏切らない為に脱落などあり得ず、そもそもあんなオシャレスーツが走りやすいとは思えない。レルゲンさんも知性派ではあるが、根底は軍人だから鍛えているのだろう。あまり頑張りすぎは良くないので、そろそろ心を折ってあげよう。

 

「では第4問!春はあけ…[ピコン]おっと!流石はカズマ様!行ってないけど現役高校生には余裕の問題か?!」

 

「行ってないは余計だろ?!あっ、ちなみに分からないです」

 

「「「「なっ?!」」」」

 

俺の斜め上の解答に対し、知性派の数名が嫌な声を挙げた。そう、これは走らなきゃ解答権が貰えないクイズなのだが、逆を返すと走り続けられる限り負けないクイズなのだ。つまり、敵が走れなくなるまで時間を潰せば、それでも勝ちは勝ちである。

 

「こ、これは先走り過ぎたのでしょうか?答えは枕草子でした。カズマ様は次の問題に解答権が無くなります。というわけで第5問!国から箱に切り替わっ……[ピコン]はい!こちらも登校してないけど現役高校生のスバル様!」

 

「分からないです!」

 

「なら何故押したのですか?!」

 

どうやら俺とスバルの考えることは同じらしい。この状況でデミウルゴスを落とすことが出来れば、正直アインズの戦力は半減する筈だ。さぁ落ちろデミウルゴス!お前は「アレ」だけで正解しそうだから先に落ちろ!

 

「くっ!嫌な手を思い付く!デグレチャフ少佐!多少のリスクは構わない!危険でも勝負に出るんだ!」

 

「了解しました!」

 

それにしても、何だかんだで走れている辺り、レルゲンさんって実は凄い人なんだな……

 

「デミウルゴス!こ、こういう時はアレだ!」

 

「はっ?!アインズ様の真意が解りました!この問題の正解は……これですね!」

フワッ

 

「あっ!飛ぶのはズルいだろ?!」

 

「卑怯だぞこの悪魔!」

 

「時間稼ぎで私を落とそうとした君達には言われたくないのですが?!」

 

落下でリタイア、走らなきゃ解答権無しだとしたら、確かにこの方法は万能この上ない。何せ問題を読んでる時は休み、アインズが解ったら走れば良いのだから、こんなの実質反則である。と言うか、このルームランナー早くなってない?なんか、だんだん加速しているような……

 

「大将の頭脳プレイが駄目だっていうなら、俺様が真っ向勝負で落としてやるよ!飛べねぇやつはこれで終わりだ!おらぁーー!」

 

「くっ!負けるかぁー!!」

 

「な、なんとガーフィール様とダクネス様の強靭な脚力により、設定された速度よりランナーが速くなっています!いやそんなのアリなんですか?!」

 

天使も困惑する馬鹿2人の脚力により、もはやルームランナーの速度は車か馬の領域に達している。これは俺が言えることじゃあないんだが、お前らマジでクイズしろ。

 

「あっ、本部から飛ぶのは反則との指摘がありましたので、デミウルゴス様はレーンに戻れとの事です」

 

「くっ、それでは仕方が……あっ」

ガッ!ガリガリガリガリ!

 

「デミウルゴス?!」

 

超加速したルームランナーを踏み外したデミウルゴスは、そのまま顔面をルームランナーに削られている。飛行魔法を解いて落ちれば楽になれるのに、そうしないのはきっとアインズへの忠誠心からなのだろう。俺達の妨害でも同じ結末を迎えていたであろう事を考えると、流石に少し良心が痛む。

 

「は、早く次の問題を!このままでは死人が出るぞ!」

 

「は、はい!第6問はえっと……」

 

この凄い剣幕のレルゲンさんも、きっとこの速度は限界なのだろう。流石にこれ以上は申し訳ないし、後は普通にクイズで勝負しよう。何と言うか後が怖いし……

 

「第6問!その数と1以外で割り切れない数を……[ピコン]はいターニャ様!」

 

「素数!」

 

「正解!」

 

「見事だデグレチャフ君!よし次!」

 

なんか、もうレルゲンさんが仕切り始めたな……

 

………………

 

「ターニャ様、カズマ様、スバル様が4問取って横並び!レルゲン様は限界近いようですが、ここで抜けられるか?!」

 

「い、良いから早くしてくれ……私はもう……限界なんだ…」

 

この鬼気迫るレルゲンさんに、俺とスバルは卑怯な手を使うに使えないでいた。しかし、娯楽を楽しまないターニャには弱点も多く、予想外にここまで拮抗していると言うわけだ。ここまで来たら勝ちたい所ではあるが、さて次の問題は……

 

「芽の出たじゃがいもに発生する毒性……[ピコン]早い!ここで上官を救えるか!ターニャ様!」

 

「ソラニン!」

 

「よ、良くやってくれたデグレチャフ少佐!これで私は……」

 

「……ソラニンと何?ですので、答えはチャコニン!ターニャ様不正解!」

 

「なん……だと……あっ」

カクンッ

 

ほんの一瞬気が緩んだ為か、それともここで限界が来たのか……脚がもつれたレルゲンさんは、そのままゆっくりとルームランナーへと倒れ込んでいく。だが、その表情は何処か穏やかであり、危機的な状況にも関わらずその右手は敬礼を作っていた。

 

「自分を責めるなデグレチャフ少佐……君は良くやった……」

 

「大佐……申し訳……ございません……」

ビッ!

 

ターニャの敬礼を目にした俺達は、何故か自然と敬礼をしていた。きっと戦い抜いた男への敬意が自然と出たのだろう。感動をありがとうレルゲン大佐。少将にならないことを心から祈ります。

 

「あぁ〜〜!」

スポーン!……ドボーン!

 

「あっ、下は水なんだな……」

 

「まぁ、クイズ番組で人は死なんだろうからな。さて、私は脱落のようだし、この勝負の行くすえを見守るとしよう。何気にポイントは貰えるようだしな」

 

そう言って回答席の椅子に座ったターニャの顔は、何となく寂しそうな顔をしている。やはり仲の良い上官を落としてしまった事が気がかりなのだろうか……

 

「ちっ、ここで作戦部に移転できればと思っていたのだが、こんな呆気なく落ちるとは……」

 

あっ、違ったわ。この幼女マジで怖い。ちなみにデミウルゴスは……

 

「くっ!落ちてなるものか!私がアインズ様を裏切るわけには!!」

 

「もういいから落ちろデミウルゴス!その削れてる状態では解答権は無い!と言うか頭皮が偉いことになっているぞ?!」

 

「良いのです!このまま削れて足だけになれば、そこからは走ってる判定になるやも知れませんので!!」

 

「先に死ぬだろう?!」

 

あっ、あっちはあっちで色々と怖い……

 

………………………………

 

「第1ステージ突破はスバル様とカズマ様でした!両名には正答した5ポイントが与えられ、回答者にチームメイトが加入します!」

 

その後の展開は予想通り、俺とスバルがステージを突破した。そして、削れまくったデミウルゴスはと言うと……

 

「あのガーフィールと言う男のように、自らアインズ様の勝利の為に動こうとは思えないのかしら?」

 

「醜く頭皮を禿げ上がらせただけで返ってくるとは、階層守護者の恥でありんすね」

 

「何も言い返せません……私が未熟なばっかりに……」

 

頭頂部を削り取られたにも関わらず、まさかのこの扱いである。いくら何でも可哀想だと思うが、本人も同じ気持ちでは何も言えない。ナザリック、どんだけブラック企業なのだろう。

 

「サトウカズマ!貴方を祝福する気はあるけれど、それでも勝負に勝つのはアインズ様よ!悪いけど、次の勝負はこうはいかないわ!」

 

「勝敗は安産には関係ないみたいだし、ここで譲れなんて言わねぇよ。受けて立つぜアルベド。チームワークなら、俺達だって負けねぇからな!」

 

「えぇ、望むところよ!」

 

…………………………

 

「なんて、さっきまでは良い感じだったのになぁ……」

 

「熱っ!あっついわよ!ちょっとシャルティア!貴女は何をしているの?!」

 

最初の競技がアレだったので、何となく想像はしていたのだが、この企画はクイズとは名ばかりのバラエティである。正直二人羽織で目隠しした回答者に飯を食わせて何か当てるなんて、一体誰が考えたのだろう……

 

「良いから早くフーフーするでありんす!手元に感じる感覚的に、これは相当に高温な食べ物でありんすよ!」

 

「だから!その高温な汁が谷間に……あっつい!!」

 

「おっと!メニューのヒントになるワードは発言禁止ですよ!」

 

まぁ、熱々の汁に悶える美女(アルベド)っていうのは悪くないとは思うが、それでもちょっと詰め込み過ぎな気がする。こんなハチャメチャな企画を用意するなんて、神様ってのはどんだけ娯楽に餓えているのだろう

 

「落ち着いてくれ二人共!俺は今人間の身体だから、熱々な物に触れたら火傷するんだ。だからなるべく慎重に……」

 

「大丈夫ですアインズ様!零したら私が舐めとりますわ!ですので、熱かったら容赦なく股の間に吐き出してくださ……あっつい!今のわざと顔に当てたでしょ?!」

 

「馬鹿なこと言ってるからでありんす!早く冷ますでありんすよ!」

 

「ふーふー!そ、そろそろ大丈夫だと思うわ!さぁアインズ様……あ〜ん」

 

「あ〜〜」

 

ふーふーされたおでんの大根を、シャルティアがゆっくりと前に差し出す。一見ふざけた企画のこのゲームではあるが、実際には3人の息が合わなきゃ相当難しい。それをあんな簡単な指示で成立するって言うのは、相当なチームワークがあるってことだ。やはりアインズは侮れない。

 

「あっ、おでんの大根だ……」

 

「正解!鈴木悟様に5ポイント差し上げます!」

 

あっ、本名はそんな名前なんだ。

 

……………………

 

「しかし、神々も馬鹿なこと考えるものだ。これの何がそんなに楽しいのか……」

 

「まぁまぁ、こういうのもたまには楽しいですよ。グランツ中尉、射角2度上へ」

 

「了解!」

 

チームワークを競うとなれば、軍隊などまさにその道のプロと言える。連携ミスが命取りになる彼らにとって、この程度の指示は朝飯前だ。なにせ、開始たったの数分なのに、ターニャの前に冷ましたフランクフルトが用意されているのだから、番組ならダイジェストでお送りされてしまう。

 

「隊長殿、目標物はかなりの大きさです。恐らくはグランツ中尉のものくらい立派なので、もう少し大きく口を開けてください」

 

「ちょっ!ヴィーシャ中尉?!」

 

「例えがイヤ過ぎるだろう……と言うか、それではまるで見たことがあるかのような……んんっ!!」

ズボッ!

 

ターニャの口に突っ込まれたフランクフルトは、その小さな口には間違いなく大きい。でも、だからってグランツさんに例えるのは流石にどうだろう。そんなの食べにくくなるだけな気が……

 

「ふんっ!」

ブチィ!

 

「「「「ひっ!」」」」

 

何こいつ怖っ!それ言われてあえて食いちぎるの辞めてくれない?!

 

「フランクフルトか……そう言えばこんなもんか、昨日の祝宴でも脱いでいたしな…」

 

「こんなもの……くっ!」

 

「そ、それで通じちゃうのも問題だけど、悔しがるのもどうだかなぁ……」

 

どんだけ恥を重ねてんのグランツさん。前もそんなの言われてたよね?

 

「クイズは正解なのですが、男性のモノを喩えたのはヒントとして減点1です。ターニャ様チームには4ポイント入ります!」

 

「だそうだセレブリャコーフ中尉。今後はこんな馬鹿なヒントを出さないように」

 

「も、申し訳ございません。おしりに度々実物が当たっていたので、つい分かりやすいかと……」

 

「「「「なっ?!」」」」

 

あ、これはグランツさん死んだんじゃ……

 

「………どうなのかねグランツ中尉?」

 

 

「………セレブリャコーフ中尉のいい匂いと、目隠しで肉棒を咥える隊長殿の想像に身体が反応しました!何も言い訳はいたしません!」

 

「よし!その潔さは認めよう……しかし粛清だ!!」

ゲシッ!

 

「あぁ〜!!」

ドボーン!

 

あっ、貴重な戦力がまた水の中へ………

 

………………………

 

「で、次は俺か……」

 

キツく締められたアイマスクは、スキルによる透視も無効化するマジックアイテム。これでヤバいのが来ると死を覚悟するが、さて相棒は……

 

「あるえとめぐみんがやろうとしてたけど、嫌な予感がしたから代わりに来たわ!」

 

「魔王軍時代からのチームワークがありますから、安心して身を委ねてくださいね!」

 

俺の前に座ったのは、声からしてウィズとウォルバクだ。あまりこんな言い方は良くないのだが、魔王軍の2人って凄い安心感がある。特に話に出てた2人は凄く嫌だ。仲間だからこそ何かするって分かるもん。

 

「ウォルバクとウィズなら安心だな。それじゃ、よろしく頼むよ」

 

「では、お題オープン!」

パカッ

 

「………んっ?」

 

こういう時、俺はどんなリアクションをすれば良いのだろう。目隠しで遮断されているにも関わらず、俺はこの料理の致命的な問題に気がついてしまった。そう、先ずは聞こえる音なのだが……

 

グツグツグツグツグツグツ……

 

なんか煮えたぎっているんだけど?!そして強烈に香る味噌と小麦の香りは間違いなく味噌煮込みうどん!こんなの食べなくても分かってしまうのだが……

 

「頑張るわよウィズ!」

 

「はい!カズマさんの信頼に答えましょう!」

 

この2人のやる気を前に、俺はそんなこと言えないです。

 

…………………………

 

「二人羽織が羽織れてないって……」「2人共障害物が凄過ぎるだろ……」「とんでもないボリュームだな……」

 

「も、もう少し離してくださいウォルバクさん……これ、凄く熱くて……ふ〜ふ〜!」

 

「分かってるけど、ちょっと距離が……あっ……」

 

「あぁん!汁が熱いです!」

 

男共とウィズの熱っぽい声に、俺は今の状況を理解した。恐らくはウィズがふーふー役で、ウォルバクはレンゲと箸で麺をすくっているのだろう。それがこの2人になるとこんなにもエッチだなんて、本当に魔王軍は悪い奴らだ。

 

「ふ〜ふ〜!そ、そろそろ良いと思います!」

 

「って言われても、これ以上は腕が……ん〜!」

 

「あっ!ウォルバクさん、あまり胸を押し付けないで……」

 

「だって、ここからだとカズマに届かなくて……ん〜〜!」

 

「「「おぉ!」」」

 

成程、この男共の反応からするに、どうやらウォルバクπ+ウィズπ≧ウォルバクの腕と言うことらしい。あぁ、これはなんて素敵な問題だろう。全くポイントにはならないけれど、とても人生が豊かになる問題だ。

 

「しょうがねぇな。届かないってんなら、俺から迎えに行ってやるよ……」(イケボ)

 

「あっ、でもそれは……」

 

多少ズレて熱い思いをするかも知れないが、その先にはウィズのひんやりおっぱいが待っている。ウォルバクとウィズが困っているのなら、そしてアフターケアに期待が持てるなら、そんなの何を躊躇うことが……

 

ベチャッ……グツグツ……

「……あっつぅ!!いやなんで味噌煮込みうどんがこんな位置に?!」

 

「おっと!顔面から鍋に突っ込んでまさかの正解です!これがプロの芸人か?!」

 

いやおかしい!声の位置的に今のはウィズの胸があったはずだろ!なんてグツグツの土鍋がそこに?!と言うか芸人扱いは辞めて!

 

「テーブルに置くと手が届かないので、鍋敷きごと私の胸の上に置いてまして……」

 

「何だよそれ……またとんでもないチャレンジをしたな……」

 

胸の上に土鍋置くとか、タピオカとか比較じゃないぞ。まぁ、その凄さは体感しているんですけどさ。主にベッドで!

 

……………………

 

「よっしゃー!全員正解してるみたいだし、俺もこの流れに続くか!」

 

一組づつ行われた第二の企画も、遂に最後の挑戦者となった。今のところ俺はパーフェクトであり、ここでスバルがミスると一気に優勝が近付くことになる。なんて、普通に考えたらスバル達にもチームワークはあるんだろうが……

 

「任せてスバル!私達くらい仲良しなら余裕だよ!」

 

「任せなさいバルス。ラムはエミリア様の命令を確実にこなすプロフェッショナルよ。アツアツおでんでも確実に口に放り込むわ!」

 

「ちょっとお姉様には不安しかないけど、取り敢えずお願いします!」

 

なんか、ちょっと勝てそうだなって思っている自分がいる。だってラムだもん。何かやらかしてくれそうじゃん。

 

「次のお題は〜これです!」

パカッ

 

と言って天使が差し出したのは、熱々の定番たこ焼き。口に入れたら直ぐに分かるアイテムだと思うが、さてラムがこれをどうするか……

 

「じゃあラム、まずは少し前にお皿が……」

 

「ここですねエミリア様。そして、添えられた物で何となく察しました。この食品はこう!」

プスッ

 

「「「おぉ!」」」

 

てっきりやらかすと思っていたラムの二人羽織は、意外にも無駄なくたこ焼きを捉えた。流石はロズワールのメイド。必要な事をよくわかっている。

 

「からの……こう!」

じゅっ!

 

「あっつい!!」

 

うん、これはもはや分かり過ぎている。ノーモーションでスバルの頬にたこ焼きをぶつけるなんて、お約束にも程がある。

 

「ちょっとお姉様?!目茶苦茶熱いものが頬に触れたんですが?!」

 

「良いリアクションねバルス。エミリア様の騎士に相応しいわ」

 

「そんな認められ方嬉しくねぇよ?!」

 

何となく気になっては居たのだが、どうしてスバルがトリなのか分かった気がする。これは素人の高校生が出来る身体の張り方じゃない。心得たプロのやり方だ。

 

「駄目でしょラム!流石にコレは熱すぎるよ!」

 

「申し訳ございませんエミリア様。カズマが見事に身体を張ってみせたので、負けてはいられないと焦りました」

 

「そこ張り合わなくて良いと思うけど?!」

 

そうだな。あるえとかめぐみん辺りが張り合い返すから、そこで張り合うのは辞めて欲しいな。

 

「私がふ〜ふ〜して冷ましてあげるから、ラムはそのまま少し待ってて」

 

「解りました。ちょっと大人しくしておきます」

 

「うん、そこら辺で……ふ〜…ふ〜」

 

「エミリアたんのふ〜ふ〜可愛いなぁ……ラムが暴れる前提じゃなきゃ最高のシチュエーションなのになぁ……」

 

エミリアの献身的なふ〜ふ〜を聞き、スバルのテンションが再び盛り上がってきた。それにしても、ラムの二人羽織は見事と言う他にない。まるで何もかもが見えているかのように両手をコントロールし、的確にエミリアにたこ焼きを差し出している。やはり、身体に給仕の仕事が染み付いて居るからなのだろうか?

 

「そろそろ良いから、スバルに食べさせてあげて?」

 

「解りました。ほらバルス、ラムのあ〜んを有り難く受け取りなさい。今回は手は滑らせないわ」

 

「あれで手が滑った扱いなのも納得できねぇけど、取り敢えずいただきます。あ〜…あっ」

カツン

 

指示の不足したあ〜んにより、たこ焼きはスバルの下唇に当たって落ちていく。どうやらエミリアには仕え馴れているようだが、スバルには仕えるつもりさえないらしい。スバルには少し同情するが、これで点差が開くのなら競技的には美味しい訳だし。

 

「くそっ!まさかここで……」

 

「まだよ!ラムは食べ物を粗末にはしないわ!」

シュバッ!

 

落下したことを手の感覚から察したラムは、咄嗟に爪楊枝をたこ焼き目掛けて振り下ろした。それは真っ直ぐにたこ焼きへと向かい。そして床に落ちる瞬間……

ずぷっ

 

「はぅ!!」

 

近くにあったスバルのフランクフルトを捉えた。

 

「捉えましたエミリア様!さぁ、もう一度持ち上げれば……」

 

「あっ……あのねラム!それはちょっと持ち上げられないと言うか……持ち上げたら駄目と言うか…」

 

「大丈夫ですエミリア様。この感触は間違いなく捉えました。一度抜けた穴を通した感触があったので、恐らくは間違いありません!」

 

違います。それは間違いなくスバル君のフランクフルトです。と言うか穴を通したってアレ?ジャージ通り抜けて尿道に爪楊枝差し込まれたってこと?!

 

「お、お姉様……お願いだから、ゆっくりそれを引き抜いてですね……」

 

「引き抜いて指し直す必要はないわ。一切ブレずに真っ直ぐに突き刺せば、より奥まで通す事が可能よ!」

ズンッ

 

「はぅん?!」

 

「スバル?!だ、駄目よラム!良いからそれを優しく抜いてあげて!と言うか手を離してあげて!」

 

「なぜですか?ゆっくりと持ち上がってきましたから、次こそはバルスの口に突っ込めると思うんですが……」

 

「それ突っ込んじゃ絶対に駄目だからね?!」

 

ジャージの中で尿道を責められ、スバルのテントが少しずつサイズを増している。深い場所への尿道攻めは未知の世界だが、エリスに舌先を挿れられるとゾクゾク来るので、きっとスバルも目覚めつつあるのだろう。その危険な快楽に……

 

「お、お姉様!お願いですから手を離してください!これ以上は本当に……」

 

「ここで正解しなきゃカズマに敗北する可能性が高くなるわ。ラムは勝負事に手を抜くのは嫌いなの。と言うかカズマに負けるのが絶対に嫌!」

 

「な、ならたこ焼き!多分ソースの香りがしたから答えはたこ焼き!どうですか天使様?!」

「せ、正解です……」

 

危機的な状況で答えを導き出したスバルの手腕は、まさに主人公の強みそのものと言えるだろう。しかし、その危機が仲間により引き起こされている辺り、アイツも俺と同類だな。

 

「それならラムも納得だわ。取り敢えず爪楊枝を抜いて……」

 

「そ、それは本当に辞め……あぁー!!………あっ」

ずるっ……とくん…

 

散々辱められたスバルの口から、苦悶とはまた違う声が漏れ、数秒後には磯の香りが広がった。これはきっとタコの匂い。その匂いに気付いた俺達は、あえて何も言わずそういう事にした。




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

すみません。こんなクソネタですが前編です。
まだやるので覚悟をお願いします。

また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。
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