※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

アニメのクリスとエリスは可愛いですね!余所見してたけどやっぱりエリスがメインヒロインで間違いないと思います!と言う事で久々にクリス出しましょう。例のライバル?も参戦します。

またお暇な時にでもお付き合いください。


この美しい義賊達に決着を

神器。それは神々の力を宿すアイテムの総称。その力は国同士のパワーバランスを崩壊させ、下手をすれば戦争の引き金にさえなる恐ろしい存在である。そんな恐ろしい物を馬鹿みたいに送り付けられたエリスは、クリスの姿で回収作業と言う名の窃盗を繰り返してきた。しかし、アレだけ馬鹿みたいに送られれば、当然回収漏れもあるわけで……

 

「この封印の女神の指輪を使えば、触れた相手の指定した記憶をこのアイテムに封印出来る。これで昨晩の記憶を封印すれば、私の痴態は無かったも同然だ!」

 

「王女の側近が、国の保管してる神器を私情で使うのか……」

 

こういうケースが今でも発生してしまうのだ。本当、この国には常識とか良識は無いのだろうか……

 

「クレア。国庫の魔道具を勝手に持ち出すなど、貴女に常識はないのですか?それと、なんで私まで縛られているんです?イメージの払拭が目的なら、消すのはカズマ様だけで十分では?」

 

「おい待て、俺を見捨てる前提なの辞めろ。本当にそう言う所だからな?!」

 

「全くだ!それと、レインが私に常識を説くな!お前は直ぐに私の事をチョロイとかエロいとか馬鹿にするからな!ここで一緒に忘れて貰うんだ!」

 

クレアがチョロイのは以前からなのに、余程昨晩の「好き好き大好きエッチ」が堪えているらしい。昨晩の記憶だけ消してもレインの認識は何も変わらないと思うが、それについては今は言わないでおこう。この状況で火に油を注ぐなんて、もはや自殺のようなものである。

 

「所でレイン。あの魔道具には危険はないのか?対価に魂を取られるとか、術者に身の危険が迫るとか……」

 

「身の危険はないのですが、アレはそもそも扱い辛い魔道具なんです。本来の所有者なら好きなように封印と解除を行えるらしいのですが、それ以外の者が使うと自分の記憶にも封印を施してしまいます。そして、指輪を外すと全ての記憶が蘇ってしまうので、指輪を付けた理由さえ忘れて外してしまうと……」

 

成程。そりゃ身に覚えのない指輪なんて怪しくて外してしまうだろう。そして記憶が元に戻れば、消した事実がバレて余計に警戒されてしまう訳だ。確かに使い難い魔道具だな。

 

「残念だったなレイン!私は指輪を外さない秘策も用意している!と言う事で、昨夜のプレイは全部忘れろー!!」

 

「「あ〜〜!」」

 

…………………………

 

「と言うことがあってね?だから、今夜はクレアさんの部屋に忍び込もうと思うんだ!」

 

クレアの使った魔道具により、俺は記憶を失っているらしい。客間で目覚めた俺の前にクリスが現れた理由は、あくまで神器の回収だそうだ。これに関しては、正直ヤキモチセックスの為じゃなくて本当に良かった。今の残弾4発では、クリス相手だと下手すりゃ死ぬ。

 

「と言われても、付けっぱなしの指輪なんて盗める物じゃないだろ?子供に名前を継いだんだし、もうエリスとして神器を要求しちゃ駄目なのか?」

 

「そ、それは駄目だよ!女神エリスの発言権は凄いんだから、下手するとクレアさんの立場が危ないよ!それに、あたしが盗賊を引退するなら、決着を付けなきゃならない相手が居るからね!」

 

俺も人の事は言えないのだが、エリスは意外とノリで行動することが多い。しかも素の性格は真面目な為、ノリで始めたことを真面目に続けると言う面倒な一面まで持っている。だから、この国の悪い貴族が全員破産するまで、きっと盗賊を辞めないのだろう。本人は楽しそうだし、俺としては別に良いんだが……

 

「決着をつける相手ってメリッサの事か?メリッサは神器の奪還を失敗してるし、レベル的にもクリスの勝ち越しだと思うんだが……」

 

「あんなの勝ったうちに入らないよ。だって、あたしはすれ違う度にこんなにも敗北感を感じているんだよ?本気で凹ませて、この体脂肪がなきゃ勝てたかもって思わせないと、あたしが勝利したとは言えないよ……」

 

あっ、どうしよう地雷踏んだ。凄腕盗賊のペッタンコの方とか言われてるの、やっぱり気にしていたんだな……

 

「まったく、クリスは胸を気にし過ぎだぞ。少なくとも、俺はクリスの胸も大好きだし、巨乳に負けてるなんて思ってないからな」

 

「もう、カズマってば……」

 

唯でさえ大変な相手から神器の回収をしようって言うのに、メリッサの介入なんて手間が増えるだけだ。と言う事で、クリスのちっパイの良さは俺が保証してやろう。そうすれば、メリッサとの因縁も気にならなく……

 

「ってクリスさん?どうして貴女は服を脱いでベッドの中に?そろそろ朝食に呼ばれる時間かなって思うんですけど?!」

 

「大丈夫だよ。あたし達はお互いの身体を知り尽くしてるんだから、4回くらいなら朝飯前でしょ?ほら、もうガチガチだもん……あっ!」

じゅぷっ

 

あっ!これは知り尽くされている!弱い所から残弾まで、全部クリスに知り尽くされてりぅ〜!

 

……………………

 

「へぇ、カズマが私に依頼だなんて珍しいと思ったら、中々にヤバい品物って訳ね……」

 

クリスのおねだりに骨抜きにされ、俺はメリッサに依頼を出す事となった。まさかクリス相手だと7戦出来るとは、惚れた弱みとは恐ろしいものだ。あの3発は何処から出たんだろう……

 

「前金で20万エリス、成功報酬で1000万エリスだ。やり方は任せるが、捕まっても俺の支援は期待しないでくれ。それと、魔道具の行き先は……」

 

「お金が貰えるなら先の話はどうでもいいわ。恥の多い人生だったでしょうし、使い道も深くは聞かないでおいてあげる」

 

「おい変な勘違いするな。そもそも触れなきゃ使えないんだぞ?その魔道具1つで俺への認識を変えるなんて、到底無理な話だからな?!」

 

「えっ、じゃあ夜の生活の挽回とかかしら……嫁は多いけど早そうだし……」

 

こいつ!またヘソでアヘ顔にしてやろうか……

 

「それで、今回の件は引き受けてもらえるんだな?そのアイテムは銀髪盗賊団も狙ってるって話だから、そう簡単な依頼じゃ……」

 

「銀髪盗賊団ですって?!むしろ好都合だわ!あの時の屈辱、今度こそ晴らしてやるんだから!」

 

えっ、なにこれ?なんか予想に反してメリッサの方もやる気なんだけど……やっぱりヘソプレイが恨まれてんのかな……

 

…………………

 

「と言う事で、今夜は銀髪盗賊団がくるぞ。今回は事前に話をしたから、アイアンクローは無しだからな?」

 

「事前にと言うのは、普通盗む前じゃなくて計画前だろう……全く、母親になってもエリスは相変わらずか……」

 

宿命の対決を見届けるため、そして愛する妹に愛娘を愛でさせるため。俺はアイリスの屋敷へ連泊する事となった。本来なら2人揃って銀髪盗賊団なのだが、エリスの言う宿命の対決に水を差すなんてナンセンスだ。そして何より、ダクネスのアイアンクローは食らいたくない。

 

「お兄様お兄様!クリスちゃんが私の指をにぎにぎしています!とても、とても可愛いらしいです!」

 

「そうかそうか、お兄ちゃんは可愛い2人が仲良しでとても嬉しいぞ。沢山遊んでやってくれ」

 

「はい!」

 

それにしても、アイリスが居るだけでその場の空気が全然違う。あのツンツンしたクレアだって、アイリスの隣なら可愛らしく見えて……

 

「な、なんだカズマ……私に何か用があるのか……」

モジモジ

 

「えっ、なにその反応……」

 

いや何これおかしい。お互いに記憶が無いって言うなら、クレアとの関係は先日のままの筈だ。それなのにこのキュンとくる可愛さは何なのだろう?いくらアイリスの前だからって、こんな可愛い顔をするだろうか?

 

「カズマ様カズマ様、ちょっとこちらに……」

 

「はいカズマです。って、どうしたんだよレイン?」

 

そして明るいクレアと対象的に、何故かレインは表情が暗い。俺の手を引いて部屋の隅へ来たかと思えば、遂には涙まで溢れてきた。これはまるで、何かを恐れているような……

 

「さ、昨晩の記憶が無いのですが……ただ、私のお腹に殿方のアレが溢れていて……それでその、相手がカズマ様じゃ無かったらと思うと怖くて……」

 

「あぁ成程。神器で消えるのは記憶だけだもんな……」

 

言われてみれば、性交の痕跡があるのに記憶がないなんて女の子からしたら恐怖でしか無い。あの計算高く腹黒のレインが、泣きそうな顔で俺の袖を掴んでいるくらいだ。きっとアイリスの手前耐えていたのだろうが、俺を見て遂に限界を迎えたのだろう。しかしこれは……

 

「ど、どうなのですか?私はその……ちゃんとカズマ様だけしか知らないままなのですか?」

 

可愛い!泣きそうな顔で俺に縋り付くレインはめっちゃ可愛い!なにこれ抱き締めたい!抱き締めついでに上書きしたい!でも、流石に今はタイミングが悪いよな。

 

「ふっ、安心しろよレイン。俺も記憶は曖昧だけど、俺の身体にはたっぷりとレインの残り香が付いていたぜ?特に、下半身にたっぷりとな?」

 

「そ、そそそそういうフォローの仕方は最低だと思います?!カズマ様のだって分かって、凄く安心はしましたけど……」

 

あっ、どうしよう。もしあの指輪が手元にあったら、俺はきっと今のネタバラシを無かったことにする。そして、このままベッドに連れ込んでから「ほら、レインの残り香が付いてるだろ?これから、俺もレインに残り香をたっぷり付けてやるからな?」って言いながら抱いていたに違いない。なんて恐ろしいアイテムなんだ。被害者の俺さえ加害者になりかねないなんて、早く封印しないと理性が危うい……

 

「でも、次からは抱き締めたまま朝を迎えさせてくださいね?私だって、大切にされたい女の子なんですから……」

 

「あぁ、覚えておくよ」

 

何だこれ良い!家では一緒に寝たい奴が勝手にベッドに入って来ていたが、こうして初々しく頼まれると凄く可愛らしく見える!これはもう、クリス対メリッサの観戦前にレインと前哨戦を……

 

「緊急連絡!賊が敷地内に侵入!各隊は警戒態勢を取れ!繰り返す!賊が敷地内に侵入!各隊は警戒態勢を取れ!!」

 

「こ、このタイミングで賊?!くっ!すみませんカズマ様、直ぐに仕留めて戻りますので!」

 

「いやそこはせめて捕らえてあげて?!」

 

なんて、うちのヤキモチ女神様がそんなの許してくれる訳が無い。狙った訳じゃないのだろうが、このタイミングは流石である。

 

…………本当に、見てたとかじゃないよね?

 

………………………

 

「くっ!この女盗賊は相当な手練れだ!総員守りを固めろ!アイリス様の元へ通すな!」

 

衛兵の集まる中庭の一角。そこではクレアとメリッサが直接対峙していた。普段のメリッサならば、バレないように忍び込むとか、衛兵に色仕掛けをする等の手段を取るだろうが、今回の狙いはあくまでクレアの身に着けた指輪だ。目標が自ら前に出てくることを見越して、敢えて姿を晒したのだろう。流石は出来るトレジャーハンター。顔を隠す為のマスクから何まで、事前準備から違う。

 

「やっぱり、女騎士様は自分よりお姫様なのね?私の狙いがそちらに行かないように、ずっと間に割って入るなんて……解りやすくて助かるわ!」

 

「くっ!投擲武器だと?!」

 

扉から覗くアイリスに向け、メリッサが突然何かを投げる。それはアイリスの身体能力なら難なく回避できる速度だが、それでもクレアの判断に迷いはない。

 

「ごほっ!これは……睡眠…薬……」

どさっ

 

「クレア?!」

 

粉末の入った袋を身体で受け止め、クレアの身体が力なく倒れ込む。襲撃でクレアをここに誘導し、更にはアイリスを利用しての搦め手まで披露するとは、何処かに優秀な協力者でも居るのだろうか?

 

「さて、悪いけど今日のターゲットは貴方よ女騎士さん。悪いけどそのお宝は私が……」

 

「させないよ!『バインド』!」

 

「ちっ!まさかこのタイミングで来るなんて……随分と小狡いこと考えるじゃない!」

 

勝利を確信したメリッサの元へ、突然飛んできたバインドスキル。見事な身のこなしでギリギリ躱したが、残念ながら勝利はまだ先になるようだ。そりゃ決着を着けると息巻いて居たのだから、クリスが来ない筈がない。ただ、事前に話をしていたというのに、メリッサは何処か落ち着かない様子だ。

 

「……ねぇ、仮面の男は一緒じゃないの?」

 

「今日はあたしだけなんだけど……えっ、なんで?」

 

「べ、別に他意はないわ!ただ、ちょっとアイツに用があっただけよ……」

 

「んなっ?!む〜!」

 

クリスさんこっち見ないで!それ多分クリスの思ってる事と違うから!セクハラして恨まれてるだけだと思うから!

 

「彼とは後々よ〜く話をするとして……今回のお宝はあたしが貰うよ!」

 

「ふっ!奪えるものなら奪ってみなさい!もう指輪は私の手中に……ってちょっとぉ?!」

ヒュッ!

 

「ちっ!外したか!」

 

メリッサがクリスに気を取られた直後、メリッサの前髪を掠めたクレアの一閃。間違いなく薬は吸い込んでいたし、確かに眠ったのを確認した筈だ。それなのに、クレアは何も無かったかのように活動を再開している。一体どんなカラクリだよ。

 

「ふっ、賊にまで甘く見られた物だな。私はアイリス様の近衛、毒見の仕事は勿論のこと、毒や薬に耐性を付けるべく、自らも進んで毒を取り込んでいるのだ!こんなに薄い睡眠薬など、数秒あれば直ぐに抜ける!」

 

「いやそれ全然薄くないからね?!」

 

平和過ぎてたまに忘れそうになってしまうが、確かにこの2人は近衛兵も兼任している。ソードマスターに毒耐性はないのだが、まさか自前で鍛えているとは、その忠誠心は大したものだ。鑑定眼だと、初心者殺しも秒で寝る濃さだったのに……

 

「あれ?近衛って理由なら、レインもそうなのか?」

 

「いえ、私は盛る側なので………しかし、まさかここまで強くなるとは、今度からもっと強めの薬も実験できそうですね……ふふふ」

 

あっ、違うこれ騙されてる。完全に新薬の実験台にされてるぞクレア!

 

「さて賊ども……私だけにかまけてしまったのが運の尽きだ。さぁ、この布陣から逃げられるか!」

 

「なにこれいつの間に?!」「なんでこんな時ばっかり?!」

 

クレアが視線を誘導している間に、中庭には最強の包囲網が築かれていた。正門側にはウォルバクとダクネス、そして援軍として集まった衛兵がひしめき、裏門には傀儡可された鎧の軍勢、東はあるえとゆんゆんのインフェルノで火の海と化していて、西はウィズとアクアの氷の要塞だ。何これ凄く格好いい。普段からは想像できない程に英雄してるよお前達。普段からそれやってくれない?

 

「スキルバインドの対象は1名。貴女達が力を合わせたら、何処か一点は突破できるかも知れません。しかし、こちらには爆裂魔法持ちが3名居ます。人里から離れて逃げるつもりなら、相応の覚悟が必要ですよ?」

 

「くっ!つまり逃げるなら正面突破以外に無いってことじゃない……やってくれるわね側近の黒い方!」

 

「黒くないです」

 

「本当に、良くこんなの思いつくよね黒い人!」

 

「黒くないです!」

 

いや結構黒いとは思うけど……その対策も俺とクリスのせいだろうし、俺達に文句は言えないよな。

 

「残念だったな賊共!この指輪は私の覚悟だ。カズマからの求婚を記憶から消し去り、アイリス様に尽くすと決めた決心の証!覚えて無くとも、その覚悟を私は貫く!奪えるものなら奪ってみるが良い!!」

 

「「「「「「「「「「………はっ?」」」」」」」」」」

 

えっ、なにそれ知らない!と言うか、皆の標的がこっちになってない?!お前らもっと俺を信じ……いやごめん、この嫁の数を前にそれは無理だよな!

 

「はっ、チャンス!『スティール』!」

 

「なっ?!しまっ……しまったぁぁぁ!!」

 

俺へと標的が変わった瞬間、クリスの手から放たれたまばゆい閃光。幸運の女神の放ったスティールは、今回も見事に標的を掠め盗ったらしい。手の平に収まる指輪は見えないが、それでも俺に記憶が戻ったのが分かる。ただ、分かるのは当事者だけで良かったのだが……

 

「かずま、かずまぁ!もっと!もっとぉ!」

 

「随分と欲しがるじゃないかクレア!もう溢れるくらい出してるだろ!」

 

「だって、たまにしか相手して貰えないから……んんっ!」

 

「えっ、クレア様があんな声を……」「クレア様があんな顔を?!」「従順だとやっぱり可愛いな……」「くっ!なんでまたカズマ様なんだ!」

 

クレアの頭上3m。そこに鮮明に映し出される失われていた記憶の映像。いやなんで消し去られた記憶をわざわざ投影するんだよ?!そのまま素直に記憶に戻れよ!こんな答え合わせ要らないから!

 

「あっ、成程。それであの魔道具を外さない為にカズマ様から求婚されたと嘘の情報を残した訳ですか……そうでもしなきゃ、身に覚えのない指輪なんて外してしまいますもんね?」

 

「レイン、今はそんなこと言ってるタイミングじゃないと思うぞ?これ、このままだと続きはレインが……」

 

「………あっ……あーー!!全員今すぐ下を見て耳を塞ぎなさい!と言うか今日のことは忘れなさ……あー!あーー!」

 

記憶が戻ったレインの第一声は、自らの痴態を隠すための指示。しかし、クレアの痴態を楽しむ健全な男子に、そんな言葉が届く訳もない。頭と息子は変わらず上を向き、衛兵たちはその映像に釘付けである。

 

「カズマ様、今夜はちゃんと優しいのですね……あっ!」

 

「そうしなきゃ泣くって言ったのはレインだろ?でも、優しいだけじゃ終わらないぞ?」

 

「あぁん!もう、意地悪なのも素敵です……」

 

「こ、今度はレイン様が!」「可愛い!なんて可愛く甘えるんだレイン様!」「くそぅ!やっぱりカズマ様に盗られるのか?!」「陰ながら憧れていたのに!」

 

「も、もう駄目だ……こんな映像公開されて、シンフォニア家はもう終わりだ……」

 

「私も領地に帰ります……そして、名前を変えて農民になります……側近のレインは今日死にました……」

 

膝から崩れ落ちていく2人に、俺はなんて声をかければ良いのだろう。記憶が戻って自業自得だと分かっているからこそ、俺から出来るフォローは正直ない。ちなみに完全被害者の俺だが、こういうのもう慣れました。なのでダメージ少なめです。

 

「な、なんかごめんね?まさかこんな風に解除されるなんて知らなくて……でもほら!これ本当は使っちゃ駄目な魔道具だし?」

 

「わ、私は全く悪くないわよね?この公開処刑は銀髪盗賊団のせいだものね?!でもその……なんかごめんね……」

 

流石に気の毒が過ぎたからなのか、遂には窃盗犯にまで謝られている。確認の為もう一度言うが、その二人は完全に自業自得です。

 

「………いや殺す。お前達だけは絶対に殺す!」

 

「えぇ、合法的に目撃者を減らせるのはそこの2人だけですから、今直ぐに減らせるだけ減らしましょう……総員、攻撃準備!!」

 

「「いやそれ逆恨みでしょ!!」」

 

羞恥心から暴走した2人は、遂に自分を棚にあげて攻撃の準備を始めた。いくら恥ずかしくても窃盗犯を即斬り捨ては不味いと思うが、今そんな正論聞いてもらえないだろう。と言うか、俺の言葉でさえ届く気がしない。あれはもう完全に狂戦士だ。

 

「おいダクネス。俺はクリスちゃんを連れてここを離れる。皆にはそう伝えてくれ」

 

「そ、そうだな。この状況は流石に不味い。すまないが後は頼む……」

 

うん、本当は関わりたくないけどな!

 

……………………

 

「はぁはぁ……なんなのよこれ!これが本当にカズマのパーティーなの?!」

 

「ステータスだけは全員優秀だからね……ほら、足を止めると撃ち抜かれるよ!」

 

保育士資格(赤ちゃんプレイ用)を持つロリーサに愛娘を預けて舞い戻った俺は、そこで追い詰められたクリスとメリッサを見ることになる。まさかあのポンコツ達が実力派の2人を追い詰めるとは、本当に普段からそれで頑張って貰えないだろうか……

 

「なんて愚痴っても仕方ないか……では、仮面の男のショータイムだ!!」

 

「も、物見櫓の上に人影!あ、あれは………銀髪盗賊団の仮面の男です!」

 

俺が声高らかに叫んだ事で、衛兵の視線が再び上を向く。本日は残念ながら満月ではないし、何なら準備も不十分だが、2人を逃がすだけならやりようはある。

 

「ご紹介どうもありがとう!では、先ずは挨拶代わりにコレを差し上げよう!お近付きの印にな!」

 

「な、謎のアイテムが多数飛来!こ、これは……仮面です!仮面の男の仮面が多数ばら撒かれたようです!」

 

「そ、総員触れるな!これは何かしらの罠で……」

 

「似合いますか?」

 

「早速付けるな!めぐみんは話を聞いていたのか?!」

 

「ごめん。聞いてたけど抗えなかったよ……」

 

「あるえまで?!紅魔族はアホしかいないのか?!」

 

まぁ、そいつらは存在がアホな種族だからな。クレアの気持ちは凄く分かるぞ。

 

「はっ?!しまった外せません!これはもしや罠なのでは?!」

 

「くっ!なんて恐ろしい罠なんだ!我々の琴線を理解し尽くしている!と言うか魔法も使えないじゃないか!」

 

「ほら見ろ!だから駄目だって言ったろ!一体どんな恐ろしい魔法が込められているか分かったものではないぞ?!」

 

「ふははは!ならば急いで解析するしか無いな!この複雑な魔法を前に、『ブレイクスペル』なんて力技を使えば、装備者がどうなるか分からんぞ?下手をすれば、高まった魔力がボンッ!っていくかも知れんしな?」

 

「なんて卑劣な!ウィズ、貴女はあるえの方をお願い!めぐみんは私が診るわ!最悪魔力を奪って無効化よ!」

 

「は、はい!」

 

いくらエリスを助けるためとは言え、それで他の仲間を傷付けるなんてしたくない。と言うことで取り出したこちらのバニル特製マスクだが、着けると装備者の魔力を使ってお肌をツヤツヤにしてくれる素敵美容製品である。施術中は魔法が使えないことと、施術が終わるまで外せないこと、そしてどうしても視界が悪くなると言う欠点はあるが、パックしながら戦うアホは居ないので、本来そこは大したマイナスではない。発売予定は来週だったが、ほとぼりが冷めるまで延期しよう。

 

「さて、残るアークウィザードは2人だけ……数の理が無ければ、上を取っているこちらが圧倒的に有利と言うわけだ!」

シュバッ!

 

「また投擲武器だと?!この数は流石に……」

 

「皆さん私の後ろに!『インフェルノ』!」

 

高レベルウィザードが軒並み動けなくなった事で、仲間を守れるのはゆんゆんしか居ない。責任感が強く、仲間をとても大切にするゆんゆんなら、きっとそう思うことだろう。なんて張り切りまくったゆんゆんは、大抵周りが見えなくなるのだ。その必死に迎撃しているものが、ただの丸めたチラシやカタログだなんて、気付く様子さえない程に……

 

「包囲網が崩れた!今のうちに逃げるよ!」

 

「また助けられたわね仮面の男……次こそは私を認めさせるわ!」

 

「はいはい。後はあの2人なら何とかするだろ。と言うことで、俺は一足先に『テレポート』!」

 

「負けません!私が皆を……守るんだからぁ!!」

 

いや、流石にそろそろ気付けよゆんゆん。俺もう何も投げてないぞ……

 

………………

 

「頼む!今回の件は私が全面的に悪かった!だが、どうしてもあの指輪がないと困るんだ!」

 

あの騒動から一夜明け、俺は何故かクレアに詰め寄られていた。既に何度かやり合っている仲なので、恐らくは手口から仮面の男が俺だと勘付いたのだろう。と言っても証拠がある訳じゃないので、俺が認めなきゃ逮捕はない。ありがとう中世の文化レベル。そしてありがとう絶対的権力。

 

「悪いが身に覚えがないな。それに、アレは本来なら封印指定の神器なんだろ?仮に俺が持ってたとしても、使っちゃ駄目なんじゃ無いのかよ?」

 

「駄目だと言うのは分かっている!だがそれでも……男に熱烈に愛される方法など説明出来ない!そんな話をアイリス様にするくらいなら、私は禁忌を破ってやる!」

 

俺とクレアの熱い夜を見てからと言うもの、アイリスはクレアに赤裸々な質問を繰り返しているらしい。側近という立場から無下に出来ないクレアにとって、これは中々に難しい問題だ。だからって神器は天界にあるし、俺には助ける方法など無いのだが……

 

「クレア!クレアは何処ですか!またお兄様の元へ来て愛されようとしているのですか?はっ!まさか今お楽しみ中なのでは?!」

 

「くっ、アイリス様に勘付かれたか!また近い内に話に来るからなカズマ!神器じゃなくても構わないから、ちゃんと対策を考えておくんだぞ!良いな!!」

 

「あっおい!ここは三階で……うわっ、飛び降りたよアイツ……」

 

「あっ、見付けましたよクレア!まだ話は終わってませんよ!」

 

「そ、その話はまた今度で!!」

 

アイリスまで飛び降りてるし……本当に側近のお仕事って大変だな。でも、アイリスのそれはとても健全な欲求なので、何とかするのは無理だと思うぞ。

 

「それで、今回こそ満足いく対決は………その様子だと出来なかったみたいだな……」

 

「二手に別れるまでは良い感じの接戦だったんだよ?指輪を奪い合って戦ったりしてさ?でも、少し二手に別れたら衛兵の殆どがメリッサの方へ行くんだもん!あんな平たいの捕まえても楽しくないとか言ってさぁ!こんなの納得出来ないよ!!」

 

と言うことらしいので、銀髪盗賊団は当面解散しそうにない。これに関しちゃ俺の財布は痛まないし、エリスの好きにさせてやろう。たまにはこうして発散しないと、理想の女神でいるのも大変だろうしな。

 

「ほう?つまりメリッサの介入はクリスの我儘で、カズマはそれに乗っかった訳だ……」

ガッ!

 

「えっ、なんでここにダクネスが?!今回の件は事前連絡をして……あがががが!」

 

「ちょっと待ってダクネス!今回の主犯はクレアさんだよ!彼女がお咎め無しで許されたんだから、あたし達の活躍は正当な……いだだだだ!」

 

今回は平穏に終わると確信した直後、ダクネスの両手が俺達を捕らえた。最近は完全犯罪ばかりで失念していたが、銀髪盗賊団のオチはダクネスのアイアンクローに落ち着くらしい。これには断固として講義したい。

 

「今回ばかりは労ってやろうと部屋を訪れてみれば、結局騒ぎを大きくしたのもお前達じゃないか!今日という今日は許さないからな!」

 

「「ごめんってダクネス!割れる割れる割れるぅ〜!」」

ミシッ

 

「こっち来いよ♪」

 

あ、なんか視えちゃ駄目なの見えてきた!!

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

クリスの可愛い回をやろうとしたのに、ただ側近2人を辱めて終わっていた。何を言ってるか(以下略
私はどうやって甘酸っぱい話を書いていたのか、なんて読み返したらそんな話は無かったです。ごめ〜んね(可愛くない)

また不定期更新ではありますが、またお暇な時にでもお付き合いください。
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