徐々に種族の壁が緩くなっていくこの作品。日常パートを彩るモブ達(改行されないガヤ)もちゃんと息をしています。と言う事で感想から着想を得たモブネタ回。あえてのバニル目線です。
またお暇な時にでもお付き合いください。
この街に住み始めてもう数年。街に女神の居る生活にも慣れた吾輩は、今日も真っ当な労働に勤しんでいた。
「あと1割が無理なら、この商品は1年だけライセンス契約にしようかな〜?2年目には凄いブームが来るみたいだし、自分で作る方が儲かるしな〜?」
「くっ!またあの真っ白シロ魔女の入れ知恵か……今度は何の知識を対価に……」
「ゲップが止まるツボ」
「あの魔女め!またふざけた対価で人の邪魔をしよってからに!」
しかし、最近は小僧が知恵を付け、更に有能な仲間を抱え始めた事で、吾輩のビジネスは少し停滞気味である。元より悪い手段で金を稼げば幸運の女神の加護と言う名の呪いにより利益が何処かへ消える為、今ではすっかりアクセルの優良企業である。毎朝のゴミ捨て場の掃除に、以前の倍の時間をかけてもお釣りがくる程だ。
「最近は小僧の考えたテイマー式カラス活用法で彼奴らも大人しくなってしまったし、吾輩も随分とホワイトな労働をしているな……さて、次は井戸端会議か……」
この街が悪魔を受け入れてからと言うもの、吾輩達の扱いは大きく好転したと言って良い。政治的にも悪魔友好都市になっており、世界的にも注目を受けている。ちなみに実態はと言うと………
「あらバニルさん聞きました?アーネスちゃんの所のクッキー、新しい味が増えたんですって!」
「メイプルシナモンとアーモンドが増えました!お持ち帰りも予約も受け付けていますよ!」
「そ、そうか……吾輩はクッキーを食わんので良く分からんが、汝らが楽しそうで何よりである」
もはや馴染んでいると言う次元ではない。聞けばこの女悪魔、回覧板も回ってくるし地域の清掃イベントやらママさんバレーにも出ているそうだ。間違いなく主の2人より馴染んでいる。
「と、ところでアーネスさん。カズマさんのコースに新しいのは……」
「それでしたら、先日新しく『普段は意地っ張りだけど、ベッドでは好きって言われたい〜夜の女騎士は甘え上手』コースと、『腹黒って言わないで、貴方のでお腹の中まで白くして〜腹黒士官は染まりたい』コースが追加されています。夜の女騎士コースは刺激が強いので、快楽設定はハーフ以下にして……」
「「「すぐに予約を!!」」」
「ありがとうございます」
吾輩がこんな事を言うのも変な話だが、此奴は中々に商魂たくましい。淫魔サービスの女性展開がここまで上手くいったのは、間違いなく此奴とロリーサとか言うやつの功績だろう。まさか手紙や店の外で依頼を受けるとは、良く考えたものである。
「しかし、それは吾輩にも良い情報であるな。折角だ。これから商談に向かうとしよう」
「えっ?!バニルさんそっちだったの?!」「カズバニ……有りだわ!」「バニカズじゃないの?!」「エリス様!このような汚れた私をお許しください!でも好きな物は好きなのです!」
「やかましいわ!吾輩がいくのは、不本意にも晒された者の所だ!」
「「「「「ちぇっ」」」」」
何だその反応?!悪魔との友好都市とはいえ、流石にそこまで遠慮が無いのもどうかと思うぞ!
………………………
「納品なら勝手口の方からと契約したはずだが、どうして悪魔のお前が謁見の間に居る。返答次第では……ってどうした!何故こめかみを抑えている?!」
「いや気にするな。当たり前の反応にこんなにも安心するのだなと、少しばかり噛み締めているところである」
王女の屋敷を訪ねた吾輩に、この屋敷のメイドはとても親切であった。吾輩を見ても嫌な顔1つせず、明るい挨拶から要件を聞きつけ、そしてこの部屋の前まで付き添ってくれる徹底っぷりは、まさに王族に相応しい女中の動きと言えるだろう。ただ1つだけ気になるのは、悪魔を王女の元へ通していると言う事実である。
「さて、まぁ今更このガバガバのセキュリティはおいておくとして……そこの女騎士よ。どうやら汝は、ここ最近で恥ずかしい失敗をしてしまい、それを何とかしたく奔走した所、結果として傷口を広げてしまったようではないか?」
「なっ、何故それを?!」
ふむ、本来なら風の噂とでも言うのが吾輩なりのプライバシーなのだが、流石に今回はそっちの方が胡散臭く感じてしまう。何せ………
「アレを知られてないって思うのがまた可愛いよな……」「あぁ、箝口令とか無意味だって分かりそうなもんだけどな」「流石に外には広げないが、屋敷じゃ話題の中心だし」「アイリス様が問いただしながら追いかけ回したから、近隣の奴らも知ってるけどな」
「…………これを知らんと言うと、逆に胡散臭いとは思わんか?」
「む、無駄口をたたいでないで仕事にもどれ!それと、箝口令は話すのも駄目だからな!!」
「「「「「「すみません!!」」」」」」
「おぉ、これは良質な羞恥の悪感情。大変に美味である!」
………………………
「それで、悪魔のお前が私に何の用だ?悪感情を食いに来ただけと言うなら……」
「怒りと疑いの悪感情も悪くはないが、今回はあくまで商談である。その恥ずかしい過去を無かったことにしたいと思うなら、悪魔ほどうってつけの相手はおるまい?」
何故だろう。この娘の前はとても落ち着く。この鋭い殺気と疑いと嫌悪、まさに悪魔への対応のお手本ではないか。ここまで解りやすく警戒されると、むしろ悪魔冥利に尽きると言うものだ。
「私の大切なクレアに何をするつもりですか!まさか、あの甘酸っぱくも愛らしい思い出を無かったことに?!それでは、私は誰に愛され方を学べば良いのですか?!」
「ちょっとアイリス様、教えませんよ?!私からそんなレクチャーをする予定は無いですからね?!」
「あちらの2人を待っていると話が進まないので、取り敢えず続けていただけますか?それで、何を差し出せば例の件が無かったことになるんです?」
「吾輩のような存在が言うことではないが、汝には容赦と言うものがないな……話が早いのは助かるのだが……」
小僧の周りに居る連中の中では普通に見えるが、このレインと言う小娘の笑顔の裏に抱えているものは随分とドス黒い。実は同族ではあるまいか……
「汝らも聞いたことがあると思うが、あのアルダープとか言う領主を捕らえているマクスウェルと言う悪魔。アイツなら事の辻褄を無理やり合わせる事が出来る。アルダープが行ったように、汝らも都合の悪い記憶を無かったことに出来ると言うわけだ」
「そ、それは対価として耐え難い苦痛を味わうという地獄の公爵ではないですか!確かに消したい過去はありますが、だからってそんな苦痛は……」
ふむ、やはりこの警戒と疑いの悪感情は必須であるな。まだ商談の最中であるが、既に満たされている気分である。
「対価に関しては気にする必要はない。実は願いを叶えずに対価だけ払った者が居てな?このままでは悪魔として恥を晒すと言うことになり、吾輩がその願いを買い取ったのだ。つまり、汝らはその願いを更に買い取ってくれれば良い」
「成程、ララティーナさんですね」「ダスティネスだな」「ララティーナですね」
この同じ貴族だけど一緒にされたくないと言う悪感情に関してはどうだろう。キャラクターイメージを修正したいからと天使が支払ったと修正すべきだろうか?神々の認識は変えられないと気付くまで、結構な苦痛を受けていたのだが……いや、ここは敢えて何も言うまい。後でもう一度悪感情を頂くとしよう。
「しかし、そう言うことであれば悩む必要はないな。多少は値が張るだろうが、これでも私は名門貴族の出。それなりの財力はある!」
「それは有り難い。では、お値段ピッタリ1億エリスであるぞ」
「「…………………はっ?」」
うむ、素晴らしい裏切りの悪感情。大変に美味である!
………………………
「成程。カズマの悪名を消してしまえば、カズマに辱めを受けた人間が全員救われる訳か……それならまだ払う余地はあるな!」
「だとしても相当な金額ですけど、私達で賄うよりは随分とマシですね」
マクスウェルの対価の価値は、本来この程度ではない。あれは下手をすれば歴史さえ書き換えることが出来る能力であり、上手く使えば政府さえ転覆させられる事が可能だ。とはいえ女神に効く訳ではなく、更にこの街にはマクスウェルを狩れる存在が複数いる。目を付けられればマクスウェルが危ないので、残念ながらこの程度の用途でしか使えないのである。何とも歯痒い話であるな。
「しかし、それでまた宝物庫の魔道具を持ち出すのでは、前回の繰り返しになるような気が……」
「宝物庫をテレポート先に登録しているレインがそれを言うな!それに、このピアスは周囲の声を拾うだけのアイテムで危険はない。そもそも、カズマの被害者を聞いて回るのは駄目だと、レインが言ったんだろう?」
「当たり前です!クレアは「カズマ様にトロトロになるまで抱かれてましたけど、その記憶を消したくないですか?」なんて聞かれて快く対応できますか?」
「た、確かにそれは……剣を抜くかも……」
あくまで商談中と言うことで同席しているが、吾輩のメインディッシュはむしろこれからである。この音を集める魔道具こそ、吾輩の見通した理想の展開。残機が増えるほどの悪感情が、これより吾輩に訪れるのである。
「おや、使用人達の声が聞こえますね?どうやらこれは、有効範囲にいたら全員に効果があるようで……」
「ねぇねぇ、クレア様って正直どう思う?」「やっぱり高圧的な所がちょっと怖いわよね」「名家の令嬢で女騎士だもの。やっぱり舐められたら終わりとか思ってるんじゃない?」「それなのに銀髪盗賊団にもカズマ様にも負けたんですっけ?」「それなのにカズマ様にキツく当たるなんて、そりゃ嫁の貰い手も無いわよね〜」
「く、クレア?なにか聞こえたかも知れませんが、気にすることはありませんよ?やっぱり高い身分だと煙たがられたりしますから……」
「ふんっ、言わせておけば良い。女の身で騎士として生きると決めたんだ。その覚悟はとうに出来ている」
「さ、流石はクレアですね……」
ふむ、どうやらこの娘、主への愛が飛び抜けているだけで、根は普通の乙女のようだ。それなのにこの気丈な振る舞い、これが此奴の言う騎士としての覚悟ということか……まぁ、とはいえ悪感情は美味しく頂くが……
「しかし、これで魔道具の効果は確認できた。早速アクセルに戻り、私達と同じ悩みを持つ同士を探すとしよう。そして皆で金を出し合い、『カズマから受けた辱めを無かったことに』と悪魔に願うんだ。それで私達の悩みは解決する!」
「何となく嫌な予感がしなくも無いですが……他に方法も無いですから、やれるだけの事はやりましょうか!」
何となく不仲だと思っていたのだが、案外この2人は良いコンビのようだ。これならばきっと上手くいくだろう。これから待ち受ける困難な旅路も、汝らならきっと乗り越えられる筈だ。そう、それまでにどれだけの悪感情を出すかは別として……
……………………
「あの、どうしてお二人が私の所へ?私はそんなに迷惑をかけてないと思うんですけど……」
悪感情を食す旅。1品目は紅魔族のゆんゆんである。出会い頭から困惑の悪感情を垂れ流すとは、実に良くわかっているではないか。直接会話すると面倒だが、悪感情だけ頂くなら大歓迎である。ちなみに今でもギルドでぼっちしているのは、この娘なりの構ってアピールだったりするそうな。面倒くさい女である。
「ふふふ、我々の情報網を舐めてもらっては困るな。なんでも、貴女は大勢の前で子作り宣言をさせられたらしいじゃないか!」
「いきなり何の話ですか?!」
盗み聞きした話を情報網とドヤるのはどうなのだろう。それに汝は王族の側近なのに、こんなにもデリカシーが無くて大丈夫であるか?
「あ、あくまでそんな噂を聞いただけです!ちょっとクレア!本当だったら凄く恥ずかしい事を公に訪ねてどうするのです!これで心の傷が増えたら大問題ですよ!」
「だ、大丈夫です……それについては真実ですし、なんならここで大声で宣言した話なので……」
「す、すみません!嫌なこと思い出させてすみません!本当に悪気は無かったんです!」
仲間の無作法への呆れの悪感情、そして思い出して恥ずかしくなる羞恥の悪感情。軽めの悪感情を少しずつ頂くと言うのは、中々乙な前菜であるな。
………
「成程。悪魔の力でそれを無かったことにしようと……」
「あぁ、箝口令を敷いたのだが、我々の事も街に広まっていてな。人の口に戸は立てられぬと言うが、ここまで広がると流石に手を打たねば不味い。私達の悪名は、下手をすればアイリス様の評価にも繋がるからな」
その心掛けは殊勝であるが、なんならその扉を開いているのは汝である。ほれ、早速女冒険者が……
「ねえ、クレアさんって何かしたの?」「知らないの?!トロトロになるまでカズマに抱かれて、それを魔道具で公開されたって話!」「しかも、喘ぎながら子供をおねだりしたとか……」「えっ、何それ恥ずかし!ゆんゆんと同じじゃん!!」
「「ぐふっ!」」
ほぅ、同じ悪感情でも味に個人差があるのか……これは興味深い発見であるな。
「でも、私もそんな大金は……」
「大丈夫です。カズマ様はなんだかんだで奥様方に甘い方。エリス様の為にエリス教会を全部屋冷暖房完備にリフォームした事を考えれば、ゆんゆんさんの泣き落としで一億くらいポンと出しますよ」
「それ出なかったら私はどうしたら?!」
吾輩の見通しではその十倍は出るが、今はあえて傍観しよう。まだまだ悪感情は止まらんからな!
「うわっ、やっぱ腹黒い……」「レインさんって友達居るのかしら?」「さぁ?カズマの腕の中で可愛く鳴いてたらしいから、身体の関係があるフレンドなら居るんじゃない?」
「………ぐすんっ」
「いや、そんな泣きそうな顔されても、今のは流石に仕方ないと思うが……」
「わ、私で良かったらその、お友達になりますから……」
この腹黒娘。腹黒い割には意外と繊細なのだな。うむ、吾輩にはなんと甘美なことか!
……………………………
「その流れで私に来るのは、もはや嫌がらせでは無いですか……一緒にされたくないのですが……」
本日の2品目は、頭のおかしい爆裂娘。しかし、実はこの娘は小僧のセクハラ被害が少なく、悪感情もあまり期待できない。まぁ、薄味や箸休めもコース料理の醍醐味である故、あえて文句は言わないでおく。
「めぐみんは町中でぬるぬるプレイをしてたって聞いたわよ!いくらめぐみんでも、その特殊プレイは流石に恥ずかしいでしょ!」
「ちょっと待って貰おうか。それでは私が結構な恥知らずみたいでは無いですか!私はカズマに粘液を塗りたくり、私から離れられなくしただけですよ!」
その説明ではまんま変態ではないか?実際には仲間に加わるための妄言だったと見通せる吾輩には通じるが、それで近隣の住民は………
「うわ引くわぁ……」「男に捨てられたくないからって変態プレイとか……」「流石にプライド捨て過ぎじゃない……」「マジで頭おかしい子じゃない……」
「じ、自分からしちゃったんだ……それは完全に変態なんじゃ……」
「いや違うんです!実際には塗りたくっただけであって、いかがわしいプレイとかは……」
「そうなのか?出会って間もないのに、一緒に風呂に入った事もあると聞いたが……」
「今このタイミングでそれ言います?!」
クレアとやらは狙っているのだろうか?もはや吾輩でも感動するレベルの間の悪い話の振り方である。どのようなジャンルにも、天才は居るということか……
「ぬるぬるローションからのお風呂……」「アフターケアまで万全とか……」「絶対に常習犯よアレ…」
「辞めろー!これ以上言うなら、私がどれだけ頭がおかしいのか、今この場で証明することになりますよ!」
「「「「しかも地獄耳!」」」」
至福!まさか小娘の悪感情をコンボで増幅させるとは!このクレアという女、是非とも当店に雇い入れたい!
…………………………
「まぁ、その流れで私のところへ来るのは分かるけど……出来れば巻き込んで欲しくなかったかな……」
本日の3品目は、最近売れっ子作家として名を馳せているあるえ。この娘は何にでもネタを見出すため、実は悪感情を得るのが難しい。しかし、今回は凄腕の悪感情シェフが居る。これは紅魔の3人娘セットにも期待出来よう。
「すまないなあるえ。君は街で話題になることもなかったのだが、ゆんゆんがまともに話せる相手が君くらいしか居ないからと……」
「そんな消去法で?!私だって人並み以上には活躍している筈だよね?!この前だってジャイアントトードの群れから子供達を守ったりしたよ?!」
「それじゃ地味だし、やっぱりオチがないからじゃないか?」
「美談は求められてないの?!」
今この街で名を売るには、実質やらかすしか方法はない。高い能力やら可愛いやらでは、3人もいる本物の女神に勝てる筈もない。それを分かっていてこの言い草。やはりプロの悪感情シェフ、実に有能である。
「でも、あるえが一緒にカズマさんを説得してくれたら心強いよね?ほら、めぐみんは「またなんか壊したのか?!」って言われるのが目に見えてるし……」
「そうですね。ゆんゆんでは「誰に騙された?!」って言われるのが目に見えてますから、あるえがいたら心強いですね」
「2人にはそう言われないように頑張って欲しいなぁ……」
あの中ではまともな方なのだが、それ故に悩むとは皮肉なものである。小僧は心労のないこの娘を好ましく思っているが、悪感情を食すため、吾輩はあえて何も言うまい。
……………………
「珍しい組み合わせだと思ったら、成程そういう繋がりか……」
思ったより早かったが、4品目にしてダスティネスの娘が登場である。といっても、吾輩はあの苦痛を受けたのが此奴とは言っていない。故にそんな目で見られても困るが、まぁ悪感情は頂いておこう。
「しかし、それなら私が対価を払えば解決だな。さぁ来い!1番凄いやつをもってこい!!」
「貴様は喜ぶから駄目だ。それは悪感情ではない」
「くっ!お預け……だと……これはこれでたまらん!」
こやつ、ここまで来たらもはや無敵では?
「安心しろダスティネス。貴殿はカズマにアレだけの大金を出させた実績がある。自身には似合わない程に可愛いララティーナって名前を広められて、恥ずかしかったと言えば、カズマはきっと金を出すぞ!」
「ララティーナ連呼しながら言うことですか?!」
「もうクレアは本当に……」
仲間の無神経さに疲れ果てた腹黒娘は、もはやストッパーとして機能していない。この心労と呆れの悪感情をソースのように絡めながら、脳筋クルセイダーの悪感情を味わう……実に甘美なメインディッシュである!
「さて、ずっと後ろを付いて来ている残念な方の女神よ。良い加減気付かぬフリをするのも面倒である。仲間に入れて欲しいなら言うが良い」
「別に悪魔の仲間になんてなりたくないわよ!ただ、完璧である筈の私にだって、ちょっぴり消したい過去もあるっていうか……」
ふむ、女神故に見通せないが顔からでも分かる。こやつ、中々に恥ずかしい過去を抱えているようだ。とはいえ小僧関連の話。どうせ情事を晒されたのであろう。
「あっ、すみませんアクア様。今回はカズマ様に辱めを受けた記憶を消そうって話ですので、勝手に恥をかいているのはちょっと……」
「えっ、ちょっと待って?なんで私が恥をかいてる前提で話をするの?!私女神なんですけど?!愛されてて人気者の筈の女神なんですけど?!」
愛されてて人気者?そんな筈がないだろう愚か者め。お前は鏡を見たことないのか?
「そ、そうですよね!あの恥ずかしい行動は全部ネタですもんね!芸人スキルでわざとですもんね!」
「別に日頃からそんなスキル使ってないんですけど?!」
気を遣ってフォローしようと頑張れば頑張るほど、ドンドン大きくなる女神の悪感情。気を使われれば使われるほど惨めになると言う高度な責め苦に、流石の無神経女神も悪感情が抑え切れない様子。これはフルコースに相応しいデザートであるな!
「お前ら何騒いでんだ!またなんかやりそうだって通報があったぞ!人が珍しく真面目に仕事してる時に邪魔すんなよ!」
「か、カズマさん?!いや、えっと……騒いでたのは悪かったんだけど……今回はその……」
問題児共が集まってこれだけ騒げば、流石の飼い主も来ると言うもの。とはいえもう十分であろう。吾輩の残機も無事増えたことだし、最後にディジェスティフ……つまり食後酒を味わうとしよう。そこで見ている汝!お店でディジェスティフなんて言えたらお洒落である故、是非とも覚えて帰るが吉!まぁ、注文の時には言わないので、口に出す機会は殆どないがな!
「ほ、ほらあるえ!出番ですよ!」
「い、いや流石になんて言えばいいのか…」
「ではゆんゆんは?」
「私がアドリブなんて出来るはずないでしょ!ダクネスさんなら……」
「さ、流石に私でもそんな大金をくれなんて言うのは………」
うむ、程よくツマミになる悪感情が揃ったところで、最後に悪感情のカクテルを頂こう。
「おい小僧。今夜だけこの者たちに再び初めての反応をさせるイヤらしい契約書があるのだが、これを一億で買わな……」
「買った!」
「「「「「「えっ?」」」」」」
実に良い!実に良いぞ!その裏切られたと言う悪感情!だがこれで契約はなった!なったのだが、事態は何も改善しないと知るが良い!
「えっ?あれ?なんで私達はここに集まって……」
「それはなレイン。今から俺の物になる為だぜ?」(イケボ)
「待つのですカズマ!何故そこでレインが?!あれ、でも私もここに来た理由を覚えて……んんっ?!」
チュッ
「馬鹿だなめぐみん。お前もに決まってるだろ?その為に集まったんだから、全員漏れ無く俺のものだ!」(イケボ)
「ははははは!夜の営み実に結構!人が増えるのは吾輩にも喜ばしい!と言う事で、この宿のチケットはサービスである!好きにお楽しむが良い」
「おう!サンキューバニル!!」
いやいや、こちらこそありがとうである!フルコースの後にお土産付きとは、流石に貰い過ぎであるからな!
……………………………………
「ね、ねぇ聞いた?」「聞いたって言うか聞こえたよ…」「クレアさん凄い絶叫だったし……」「レインさんは甘々プレイから泣き叫んで失禁したんでしょ……」「流石に今回のは少し考えて欲しいよね……」
「「「あの宿の壁、メッチャ薄いんだからさぁ………」」」
「図ったなこの悪魔め!私達の認識を狂わせ、無防備なままカズマに抱かせるなんて………以前より酷い事になったぞ!どうしてくれるんだこの悪魔!」
「おっと、吾輩は傷心の汝らに、何故こうなったのかを教えただけではないか?つまり吾輩を叱るのはお門違い!全ては自分の望んだことであろうに!」
マクスウェルの力を使ったことで、以前の失敗は人々の記憶から消えた。と言えば聞こえは良いのだろうが、人とは失敗から学ぶ生き物である。全てを忘れて同じ状況を迎えれば、その結果は自ずと見えてこよう。後は吾輩の手でこうなった経緯を思い出させれば、極上の悪感情は吾輩の物である。ちなみに小僧は覚えているはずだが、どうやら欲望が優先されたらしい。まぁ、それも想定内であるが!
「分かっててやったよな?!分かってたよな見通す悪魔!!これなら前回の方がマシだったぞ!今度は街中に喘ぎ声まで………やっぱりぶっ殺してやるぅ!!」
「あはは……雨漏りのレインって……私もう実家帰ります……」
「ふははは!しかしこんな暴れて良いのか?騒げば騒ぐだけまた広まるぞ!」
「「く、くっころぉ!!」」
最後までお付き合いありがとうございます。
人のコメントからネタを見つけるという盗作まがいなパクリネタ。反省してます。でも思いつき作品なので許してください。
また不定期&酷いのが続きますが、お暇な時にでもお付き合いください。