※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

夏休みにより親戚やら何やら集まるこのシーズン。食事も家事も増えて大変な時期です。そんな時には家庭の英雄カズマさんの出番ですが、それを一般家庭に普及するとこうなります。

またお暇な時にでもお付き合いください。


この愛らしき傀儡に安らげる場所を

エリスの心と身体が満たされた時、その力は俺にも流れ込む。それは体液を通じて流れ込む事もあれば、ヒールにより過剰に回復される事もある。それらの効果で打ち止めも疲労も無くなった結果、俺達の行為は1週間続いた。

 

「肌艶が良くなるのは聞いたことあるけど、エリスって満たされ過ぎると後光が差すのね……凄い後輩を持ったわ……」

 

「わ、私もこれは想定外です……これじゃあ外を歩けないじゃないですか……」

ペカー

 

「あ、あ〜!」キャッキャッ

 

満たされたエリスが光るなんて想定外だが、クリスが嬉しそうなら良しとしよう。今俺が気にすべき問題は、それよりも家のことである。1週間も不在?にしては、おそらく台所は無事ではない。たまにまな板を切るダクネスとか、変な食材を採ってくるめぐみんとか、無計画にバーゲン品で冷蔵庫を埋めるアクアとか、謎食材を面白がるあるえとか、それらを殆ど使えないウォルバクとか、逆にこだわり食材を買ってくるゆんゆんとか、多少はマシになったのだが、やはりこういう些細な問題は今も残っている。

 

「ってあれ?意外と綺麗に使ってるな?」

 

「そうでしょう?何せ昨日の当番は私だったもの!」

 

普段でも多少の被害が確認出来る筈なのに、今回は何故か被害の痕跡がない。ウォルバクが自信満々に胸を張っているが、そんなに家事スキルは高くない。それにしても胸を張ると凄いな。残弾も直ぐに回復するわけだし、いっそここらでデザートでも……

 

「カズマデス」

 

「あら、買い出し終わったのね。オマケもしっかり貰ってきてるし、やっぱりカズマは出来る男ね」

 

「ハイ、カズマデス」

 

えっ、何あれ?なんか、バニル人形の俺バージョンみたいなのが居るんだけど?と言うか名乗ったよね?いま俺の名前を名乗ってたよね?!

 

「おいウォルバク。その変な人形は一体何だ?」

 

「えっ?カズマはカズマ人形を知らないの?!この1週間でムーブメントを起こした、最先端の便利魔道具じゃない!」

 

へぇ、そうなんだ。モデルになった俺が知らないのにムーブメントが起きたんだ。しかもたったの1週間とか、なんか俺より認められるの早くない?

 

「って、そうじゃない!俺に無許可で何作ってんだ!と言うか、便利魔道具なら俺じゃなくて良かったろ?そこでなんで俺モデルなんだよ?!」

 

「家事と炊事ならカズマかなって……ほら、触媒なら溢れるほどある訳だし……」

 

少しだけ頬を赤らめるウォルバクの手は、自らの下腹部を触れている。触媒と言うのは恐らく精液のことで、多分これは触媒を用いた使い魔生成系の魔法なのだろう。本来なら戦闘力の高いドラゴンを模すとか、城の防衛に剣士型のゴーレムを作るのだが、まさか俺を触媒にする奴が居るとは思わなかった。確かに家事スキルなら話は分からないでもないが、そんなことに使い魔を生成する事がまず稀である。魔力消費が大きい為、家事をこなすだけなら自分で頑張るほうが早いからな。まぁ、女神にとってはそうでもないのかも知れないが……

 

「それで家事が楽になるのは良いが、俺に何かしらのリスクとか無いんだろうな?」

 

「私とレジーナの合作なんだから、魔術的な意味でのリスクは無いと断言できるわ!そう、魔術的なリスクはね!」

 

「そこで魔術的って限定されるの怖いんだが?!」

 

まさか物理的なリスクはあるのか?!コイツラが謀反を起こして、オリジナルを殺そうとするとかじゃないよな?!

 

「基本的にはゴーレムだから、言われたことをこなすだけよ。ただ、思考パターンと行動パターンをカズマにしてる訳だから、悪い意味でもカズマと同じ行動を取るわ。それで評判が落ちるとか、そういうリスクが無いとは言えないかなって……」

 

「また知らない所で俺の評判が落ちるのか?!市民権を得たとか言ってたけど、そこはちゃんとリスクとして考慮してくれよ!流石にこれは巻き込み事故だぞ?!」

 

「だ、大丈夫よ!今のカズマは立派に英雄だし、ゴーレムならスキルは使えないから……ねっ?!エリスも大丈夫だと思うわよね?!」

 

そこでエリスに話を振る辺り、ウォルバクは検証とかしてないんだろうな。女神達は色々ハイスペックだか、ハイスペック過ぎてやらかした時のダメージがエグい。もしこれでリスクがあると判断されたら、俺はどうやって偽物を止めれば良いのか……

 

「悪さをするリスクですか……[さっ]…多分大丈夫だと思いますよ?」

 

「あっ、やっぱり判断基準そこなんだ。大丈夫よ!そこはリスクを加味して、あえて付けてないわ!」

 

「なんでズボンの中を確認したんだよ?!あと、ウォルバクもやっぱりとか言うな。俺だって人並みに傷付く」

 

ウォルバクの話を聞いたエリスは、カズマ人形のズボンを引っ張り中を覗いた。どうやらカズマ人形に息子は存在しないらしく、それなら大丈夫という判定らしい。自業自得ではあるのだが、流石にちょっと切なくなる。

 

「そんなに心配なら、いっそ街を見てきたらどうかしら?この1週間は試験運用だけど、それなりに作ったからきっと町中でも見かけると思うわ。それを見て危険って判断になったら、商品化は止めて回収しましょ?」

 

「見かけるって……お前は俺の人形を何体作ったんだよ……」

 

「そうね。荷物持ちから料理に掃除にマッサージ、洗濯とかアイテムの買い付けまで出来るからって需要が広がって……最終的に20体くらい?」

 

「いや流石にそれは多過ぎる!どんだけ安売りされてんの俺?!」

 

お前怠惰の女神だろ!なんでこういう時だけ頑張っちゃうかな?!

 

「大丈夫よカズマさん。私が導いた英雄は、決して街に不利益な事なんて起こさないわ。だから、あなたの分身を信じてあげましょ?廃棄なんてされたら良心が痛むし、何より私の部屋が片付かないから……」

 

「アクアも利用してんのか?!と言うか、自分部屋くらい自分で片付けろ!そいつは没収だ!」

 

コイツを甘やかしてるのも俺の思考パターンなんだろうが、だからって専用のゴーレムなんて居たら、マジでコイツは何もしなくなる。そこは心を鬼にしてやらなきゃ、この駄女神は何処までも堕落する。

 

「ちゃんとお世話してるから許して!それに、夜は一緒に寝たりしてるの!もう私の家族なんだから、取り上げるなんて言わないで!」

 

「拾ってきた猫かよ!でもまぁ、そこまで大切にしてるならちょっと様子を見てやるか………」

 

「本当に?!私だけのカズマさんを取り上げたりしない?!」

 

「くっ!その言い方はちょっとズルいだろ……」

 

我ながら甘いとは思うが、自分の分身がここまで愛されて悪い気はしない。実際に市民権を得ていると言うなら、きっと街でもこんな感じなのだろう。そういうことなら、少し街を見て回ろう。自分の分身が愛される姿は、見ていて気分が良いからな!

 

………………………

 

「うわ、何これ辛い……自分が集まって朽ちてるとか、軽くトラウマになる光景だぞ……」

 

前向きな気分で街へ繰り出した俺は、ゴミ捨て場の惨状に直ぐさま心をへし折られた。自分の分身が愛されていたら気分が良いが、ボロボロになって棄てられたカズマ人形を見ると精神的に辛い。と言うか、ムーブメントは何処行った?流行ってこんなに早く捨てられるのかよ……

 

「使い魔には相当な魔力が必要であるからな。いくら便利な道具とは言え、そのリソースを支払い続けられる者は限られる。しかし、それでもなお求める者が居るのだ。決して悪いことばかりでもあるまい?」

 

「それをバニルが言うってことは、こいつの流通元はお前だな?ついでに、今更商品化の許可を取りに来たってところか?」

 

「ふはははは!察しが良くなったな小僧!この商品は魔力の供給が必要ゆえ、魔導クーラーのようにマナタイト鉱石が一緒に売れるのだ。継続的に商品が売れるのだから、手放すなんてとんでもないとは思わんか?」

 

そりゃウィズやらシルビアやらウォルバクが居る以上、魔力ほど有り余る資源はない。それが売れ行きに繋がるのだから、俺としても損はない訳だ。そう、決して損はないのだが、やはり気持ち的には複雑である。俺の思考を持って動くなんて、言わば分身のようなものだしな……

 

「そこで吾輩から提案である。汝も吾輩の定期メンテナンスに同席し、この人形がどう扱われているか知ると良い。顧客の生の声を知る事で、汝も納得出来る事があるだろうからな?」

 

「許可取る前にそこまでサービス展開してんのかよ……それで商品化を認めるとは限らないが、一応同席はさせてもらうか……」

 

「ふむ、その判断が賢明である」

 

ただバニルが俺を呼ぶとなると、なんかありそうで怖いんだが……

 

…………………………………

 

「か、カズマさん?!なんで貴方が点検に?!」

 

最初に点検で立ち寄ったのは、意外にもセナさんのアパートだった。この人は何でも卒なくこなすし、俺の人形なんて不要と思っていた。意外とズボラなのだろうか?

 

「モデルとなった人物への要望は、それすなわち使い魔への改善にも繋がる。汝の要望を小僧へ詳細に伝えれば、きっと使い魔も劇的な改善が望めること請け合い!さぁ、要望を詳しく話してみるが良い!」

 

「そ、そんなの本人に言えるわけないじゃないですか?!」

 

「えっ、そんな必死に否定すること?!」

 

点検と改善は必要だと思うが、何故かセナさんは頑なだ。これもきっと雇用主に対する気遣いだろうが、こういう時には遠慮しないで欲しい。俺の人形が愛される為にも、日々の改善は必須である。もし商品化を許可するなら、愛されている方が気分は良い。

 

「セナさん。俺はセナさんの為にもコイツをより良い商品にしたいと思ってます。だから、欲しい改善案があれば教えて貰えませんか?」

 

「そ、それは凄く嬉しいですけど……でも、流石に用途が……」

 

成程。どうやらセナさんは家事が苦手なのが後ろめたいようだ。それでこいつに頼り切りだと思われたくないのだろう。全く、本当に真面目な人だなセナさんは。

 

「大丈夫ですよ。マッサージからお掃除に至るまで、セナさんの好みを教えてください。セナさんの為にも、要望にはなるべく応えたいんです」

 

「そ、それでしたらその……多少なりとも会話が出来ると嬉しいのですが……」

 

そう言えば、コイツはカズマデスとしか言わない。こちらの命令は聞き取れるようだが、流石にそれでは不便だろう。と言うかなんでそれ選んだんだ?俺のイメージそれなのか?

 

「そ、そうですよね。カズマデスだけだと、命令が伝わっているか不安ですよね?」

 

「あっいえ……間違いなく要望は伝わって居るんです。むしろ隅々まで知られてしまっていて、もうこの子なしでは……」

 

「カズマデスヨ!」

 

どうやら察知能力は高いらしく、コイツはセナさんにとっても必需品になったらしい。しかし、伝わってるなら会話は不要な気がするが、一体いつ必要になるのだろう?

 

「セナさんってコイツを何に使ってるんですか?意思の疎通は取れてるなら、会話はあまり必要ないような……」

 

「それはその……片付けと言うかお掃除と言うか……溜まった時のマッサージと言いますか……会話が出来ると、精神的にも満たされると言いますか……」

 

成程。心優しいセナさんにとっては、こいつも家族の一員と言うことだろう。しっかりとセナさんの匂いがついているし、きっと我が子のように一緒に寝るとかしているのだ。さみしい女性の一人暮らしだ。それくらいの癒しはあっても良い。

 

「分かりました。セナさんのお願いですから、なるべく要望にはお応えできるように頑張ります。引き続き、俺の事を大切にしてやってくださいね?」

 

「は、はい……大切に……します…」

 

俺はセナさんの要望を書き留め、次の顧客の元を目指した。何故か満足気なバニルの笑顔と、真っ赤になって泣きそうなセナさんの表情については、あえて触れないでおこうと思う。

 

……………………………

 

「そ、それで今日はカズマさんも一緒なんだ……」

 

「あぁ、シエロも遠慮なく要望を伝えてくれて良いからな?」

 

本日2人目のお客さんは、俺も良く知るアクセルハーツ。確かにこいつらには必要だろう。特に部屋の片付け要員として……

 

「やっぱり魔力消費が大きいのが課題だな。そこまで散らかってない部屋を軽く片付けただけなのに、直ぐに魔力切れを起こすぞ。しかも、何故か私のことを定期的に監視するんだ」

 

「それはリアの部屋が汚いからだ。こいつに警戒されないように、自分で定期的に片付けろ」

 

「でもでも〜私の為にサイリウム振らせても、結構直ぐに魔力切れるよ?」

 

「エーリカも何させてんだよ?!家事に使え家事に」

 

こいつら思ったより酷使してるな。共有だから魔力は自分達で補填できるだろうけど、それ以上に使ってちゃ意味がないだろうに…

 

「い、一応普通にも使ってるよ?家でご飯を食べるって伝えておくと、ご飯を作って待っててくれるのが助かるよね。カズマさんには勝てないけど、ボクより料理上手だし、ボク達の健康を配慮したメニューになってるのは嬉しいかな」

 

「成程。思考パターンが俺だから、そう言うところに気を遣うのか……意外と有能だなお前……」

 

「カズマデス」

 

結構な量の魔力を支払う必要はあるが、意外とサービスは良いらしい。これなら市民権を得たのも納得だし、それなりに良いビジネスになりそうだ。まぁ、維持費が高いのは課題だが……

 

「でも、シエロが大切にしてくれてるのは意外だったな。コイツからシエロの香水の匂いがするって事は、基本的にはシエロが面倒を見てるってことだろ?」

 

「へっ?!いやそれは……その……」

 

「たまに添い寝してるくらいだし、シエロはその子がお気に入りみたいよ。ほら、本物と違って殴ろうとは思わないみたいだし?」

 

「それは言わないでよエーリカちゃん!それもあくまで訓練だから!なるべく傍に居て、カズマさんに慣れようとしてるだけだから!」

 

シエロは必死に弁明しているが、真っ赤になった顔が真実を物語っている。人形か小動物扱いかも知れないが、どうあれ俺が愛されているのは気分が良い。本物の男だとぶん殴るが、カズマ人形なら大丈夫らしい。まさか判定はち◯こなのだろうか?

 

「なら、シエロも要望があれば言ってくれ。これからも大切に使って貰いたいから、改善できる部分は改善するぞ」

 

「ならその……首と頭の強度を………もう少し増してくれると嬉しいです……」

 

「…………はい」

 

それは抱き着いて寝るからだよね?裏で殴ってストレス発散とかして無いよね?!なんて事を聞く勇気もなく、俺はアクセルハーツの家を後にした。ライブやツアーの時には世話をしにいくが、たまにはレッスンの時にも顔を出そう。俺への不満があるのなら、八つ当たりしないで直接聞きたい。そして、やっぱりシエロの顔が赤いのだが、怖いのでこれも触れないでおこう………

 

…………………………

 

「ほぅ、それは良い心掛けだ。本人と違って勤勉だが、やはり気になる点はいくつかあるしな?」

 

何となく持っていると思っていたが、やはりアイリスの家にもカズマ人形はあるそうだ。これだけ使用人が居たら必要性は無いと思うが、金持ちの道楽か何かだろうか?

 

「ここじゃそんなに出番は無いと思うが、お前らはなんの為にこいつを買ったんだ?アイリスの添い寝用か?」

 

「そんな訳があるか!こいつはあくまで家庭料理専門の使用人だ。雨天時の買い出しにも文句は言わんし、使用人達も重宝している。こいつ用のレインコートも作ったくらいだ」

 

意外にも大切にされているようで、確かにこの個体は状態が良い。ほんのりとレインの匂いが着いているので、きっと魔術的な手入れはレインがしているのだろう。そこまで万全のサポートがあれば、俺達のサポートは不要な気がする。

 

「それで、クレアの要望は……」

 

「朝からカツカレーが食べたくても作ってくれな……」

 

「他のお客様の迷惑になるので対応致しかねます!」

 

「そんなっ?!」

 

朝からカツカレーは流石に駄目だろ?!と言うかちゃんと止めてくれんだな!すげぇ優秀じゃんコイツ!

 

「ふむ。水気による多少の劣化はあるが、今のところ丁寧に使っているようである。これなら、あと1月は使い続けられるだろう」

 

「やっぱりコイツにも寿命があるんだな。大抵のクリエイト系の使い魔は使い捨てだし、当たり前っちゃ当たり前なんだろうけど……」

 

でもよく考えたら使い魔系の魔法って勿体ないよな。結構な魔力を使って使い捨てなんて、せめて1週間くらい使えればいいのに。

 

「材料は土塊に変わりない故、延命出来ても2ヶ月が限度であろう。それでもこの系統の魔法で言えば、かなりの延命には変わりない。まぁ、その延命はあくまでも、故意に濡らすことが無ければだがな……」

 

「いや故意に濡らすってなんでだよ。普通はそんな使い方しないだろ?」

 

ゴーレムやバニル人形は、基本的には土を用いて作り出す。それは使い魔系魔法の基本といっても良く、魔法使いなら知ってて当然だ。にもかかわらず水を掛けるとか、流石に正気を疑ってしまう。

 

「そう思うのが自然であろうが、そこで覗いている娘はそれで一度壊しているぞ?なぁ、アークウィザードの側近よ?」

 

「あ、あれは本当に事故なんです!別に、狙って濡らした訳じゃないですし……」

 

魔道具の話なのにクレアが出てきて驚いたが、どうやらレインは何かしらの事故をやらかしているらしい。案外そそっかしい所があるし、きっと何かを零したのだろう。きっとそうに違いない。何故か内ももをモジモジしているが、きっとこれは関係ない。ちなみに誤解のないように弁明しておくと、「もらして」ではない。「ぬらして」である。

 

「ち、ちなみにレインの要望は……」

 

「ぼ、防水性能をもう少し強化していただけると……」

 

そっか〜。また事故で濡らしたら困るもんな?そうだよなレイン?お願いだからそうだと言って!怖くて聞けないけどそうだと言って!俺にムカついて便器代わりにしたとか、あれを飲ませるプレイをしたかったとか言われたら、ちょっと付き合い方を考えなきゃならないから!

 

……………………………

 

「さて、これで一通り回った訳だが、モデルとしてはどうであった?」

 

あれから何軒かの顧客を回り、俺はある規則性に気付いた。と言うか、バニルはこれを教える為に、俺を連れ歩いたとしか思えない。人形から香る独特の匂いとか、話をしている時の女性陣の反応とか、と言うか愛用者の殆どが女性とか……早い話があの人形の用途は、家事手伝いだけではないようだ。

 

「……あの人形、なんかいやらしい用途で使われてない?」

 

「おぉっと!本製品はジョーク玩具を目的として製造された商品ゆえ、その他の目的で使用された場合の責任は負えないのである!」

 

「その説明文は確信犯だろ?!さっきは家事用の便利魔道具って言ってたよな?!」

 

と言うか、その説明文だと完全にアレじゃん!如何わしい用途専用のグッズじゃん!

 

「勘違いされては困るが、元よりこの商品にそんな広告は載せて居ない。如何わしい商品となれば規制がかかり売り難くなる故、猫神が汝のエクスカ◯バーを取り外したくらいだ」

 

「エクス◯リバーは辞めろ。でも、だったらなんで皆がそんな使い方してるんだよ……偶然でそんな事になるとは思えないんだが……」

 

そもそもなんでそんな機能が?手がドラ◯もんみたいで油断してたが、唇と舌もそんな複雑に動かなくて良いだろうに……

 

「元はあらゆる料理を味見をする為の機構なのだが、それをアクシズ教のプリーストが一人遊びに使ってな。そのあまりの良さに絶叫失神、助けに来た連中から噂が広まり、気が付けば間違った使い方が広まっていたと言うわけである」

 

「あいつら欲望に忠実過ぎるだろ!なんでそんなの試したんだよ?!」

 

そう言うのはサキュバス店へ行け!夢の中ならセーフだから!夢の中で満足してくれ!

 

「ふむ……以前鈍感系とは違うと豪語していた癖に、当事者になるとこれであるか……これもあの女神の権能やも知れんな……」

 

「一体なんの話だ?」

 

「いやなに、この街の欲望の支配者に惹かれると、中々に厄介な定めを背負うのだなと考えていただけである。それで、汝は商品化の許可をくれるのか?もし交渉に応じるなら、3割ずつ汝と猫神に支払うぞ?」

 

「許可って言われてもな……」

 

ちょっと歪んだ形もあるが、こいつらにはちゃんと需要がある。そりゃ出来ることなら商売にしたい。だが、これが正式に商品化されアダルトグッズだと認知されようものなら、アクセルハーツやセナさんには謂れのない風評被害が発生する。レインはちょっとやってそうなので、今度ベッドで問い詰めるが、この状況はどうしたら……

 

「おや、カズマ様ではありませんか?まさか本人が手渡ししてくれるなんて、中々粋なサービスですね?」

 

「なんでゼスタがここに来てんだよ。この店はお前にとっちゃ敵対組織の巣窟だろ?」

 

真面目な話をしているというのに、何故か訪ねてきたゼスタ。普段なら近寄りもしないと言うのに、どうしてこんな時ばかり……

 

「いえね?カズマ様の素敵な一人遊びグッズが試験運用中と聞きまして、これはもう協力せねばならぬとアルカンレティアより馳せ参じました。こちら、抽選券になります」

 

「ふむ、まさか此奴に商品を渡す日が来ようとは……まぁ、金さえ払うなら吾輩は構わん。持って行くが良い」

 

「いや本人を前にしてそのやり取りする?!と言うか、それ間違った使い方で……ってなんでもうちんこ出してんだお前?!」

 

なんて俺のツッコミを聞く筈もなく、臨戦態勢を取る変態プリーストのゼスタ。取り出されたカズマ人形は無垢な瞳(ガラス玉)でゼスタを見ているが、この変態にはそんなの関係ないのだろう。ギラギラとした両の目は、もはや獣のそれである。

 

「ふふふ……遂にカズマ様が私のモノに……感謝します……深く感謝しますよアクアさまぁ!!」

 

「おい馬鹿!辞めろぉ!!」

ずぶっ

「カズッ?!」

 

何も知らない。と言うか知るはずもない無垢な人形に、容赦なく突き立てられる汚い欲棒。俺の分身がこんな扱いを受けるなんて、いくらなんでも絵面的にキツイ!

 

「んんっ!なんと甘美な感触!これが買えるのなら、私は複数体購入して……あっ」

ゴリッ

 

悦びに震えていたゼスタの身体が、何故か突然動きを止めた。ちょっぴり嫌な音がしたような気もするが、あえて今は深く考えないでおこう。深く考えてしまったら、なんか凄く痛いイメージをすることになりそうだ。

 

「す、すみませんカズマ様……ちょっと病院に連絡を……」

 

「………精神科医ですか?」

 

「いえ違います!多分泌尿器科か外科です!いや叶うならセレナの所が……」

 

「……衛兵詰所の付属病院に連絡しますね」

 

「いや違うんです!今のはちょっとお茶目なジョークで!ちょっとカズ………ひぎぃ!」

ぐちゃ

 

あっ、これは別の意味で逝ったな………

 

…………………………

 

数日後。ゼスタの流血沙汰が話題となり、カズマ人形を間違った用途で使おうとする客は居なくなった。これで安心して売れると思っていたのだが、そう上手くいかないのがビジネスである。

 

「マジかよ全然売れねぇ……ウィズが売れるって言ったからか?」

 

「わ、私のせいにしないでくださいよ……来るお客の殆どが「エッチな用途に使えるタイプは……」と聞いてくるので、やっぱりそっちの需要だったんですよ……」

 

カズマ人形を正しい用途で求めた人など、残念ながらほとんど居なかった。俺の料理を食べたいなら、此処にある激安のレトルトを買う方がコスパが良い。料理目当てで買う必要など、そもそも最初から無かったわけだ。

 

「元気を出してください。サキュバス店の今月の売上は、カズマさんのコースだけで先月比1.5倍の絶好調ですので……」

 

「ロリーサのそのフォローが売れない原因を確定させてる訳だけど……大損じゃないだけまだマシか……」

 

本来雑貨は在庫にしておけるが、この使い魔には寿命がある。作って直ぐ売れないのであれば、残念ながらワゴンセールだ。それでは採算が取れないので、恐らくもう作らないだろう。耐久性を増す為とはいえ、使っている素材がお高いのだ。

 

「プロデューサー、ちょっと良いですか?」

 

「おっ、よく来たなシエロ。ひょっとしてカズマ人形の購入か?」

 

そんな閑古鳥の泣くウィズの店へ、まともなユーザーであるシエロが訪ねてきた。となれば購入を期待する訳だが、どうにも様子がおかしい。

 

「そうじゃなくて……その……一緒に来てください!」

ガッ!

 

「えっ!ちょっ!ウィズすまん!店番は任せた!」

 

「は、はい!」

 

5枚重ねの手袋に手を引かれ、俺はウィズの店を後にした。この時はまだ、シエロとあんなことになるなんて、全く予想していなかった。

 

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

アクセルでムラムラしちゃった時、サキュバス店に知り合いが居る方はどうするのか?そんな疑問を感じた時、あえて欲情させるのが私です。と言うことで次回はあの娘です。

また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください
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