※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想の垂れ流しにお付き合い頂きありがとうございます。

今回はダクネスさん家へご挨拶…と見せかけたネタ回です。


この最初の街に広告を

先ほどめぐみんと約束した俺は、ラーメンを作っている。さっきまでリビングには誰も居なかったのだが、ラーメンスープの匂いで全員集まってしまった。

 

「アクア先輩、良いのですか?めぐみんさんとカズマさんの時間を邪魔して」

 

「ラーメン食べてたらムードも何も無いわよ!エリスはカズマとの進展を全然話さないし!私もラーメン食べたいし!」

 

「すまないめぐみん。匂いがしたらアクアが狂犬に…」

 

しかし、めぐみんはこの状況を予見していたかのような余裕を見せている。

 

「私はもう大人の女。そんなことで私の余裕は揺らぎませんよ。カズマ、私はゆで方普通でお願いします」

 

「めぐみんが良いなら俺はかまわないけどさ。どうせそうなるかと思ってたから材料は用意してるし」

 

「わかってるじゃない!私はカタでお願いね!」

 

めぐみんとアクアは俺のせいで面倒な知識を付けた。

 

「私は任せる。すまないな、私たちの分まで」

 

「あ、私もカズマさんにお任せします。実は食べてみたかったんです」

 

ダクネスとゆんゆんはラーメンの謎知識には染まっていない。時間の問題だと思うが…

 

「アクア先輩、カタって何ですか?」

 

「ラーメンの好みよ。初心者のエリスは「油多めのカラメマシマシ」で頼むと良いわよ?」

 

「おいこら、エリスの胃袋ぶっ壊すつもりか?最初は普通から始めたら良いだろ?それに、そもそもマシマシするモノがないし、系統も違う」

 

こんなバカな会話が一生続けば良いと思いつつ、この流れだとある懸念が頭をよぎる。

 

「折角だし、クリスも呼びましょう!今日の予定は無かったわよね?」

 

アクアが気付いた。そして、エリスがこっちに助けを求める視線を送ってくる。それは無理だ。すでに麺がお湯の中、俺にはどうすることも…

 

「クリスー!ラーメンがあるんですけどー!」

 

「分かりましたー」

 

誰だ今の?!

 

「エリス様とこうして食卓を囲むことが出来るなんて、とても光栄です」

 

そこに現れたのは、見た目は完全にクリス。しかし微妙に声が違うような?ただ、言葉遣いは完全な別人だった。

 

「アクアは茹で時間短い奴を…」

 

取りあえずクリスの分も出しておく。いや、ほんと誰だよお前…

 

「あとの皆は普通の茹で時間で…」

 

「揃った事だし、水の女神に感し……」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「なんでよー?!」

 

うちで食事の音頭はアクアが取ろうとする。神に感謝だの言おうとしているが、今では慣れたモノで皆に省略されている。

 

「この場合、主神たるエリス様に感謝すべきでしょうか?」

 

「私に食べ物の事を感謝されても困るのですが…カズマさんに感謝して召し上がれば良いのではと…」

 

めぐみんがハッとした顔をする。エリスが言うなら間違いない。

 

「はぁ、空腹に染み渡ります…それにしても、エリス様は箸がお上手ですね?」

 

「え?!い、いつも皆様を見てまして、練習してたんですよ?」

 

ナチュラルな嘘が多少上手くなったな。俺に散々ボロを出してたのに…

 

「ねぇクリス?箸が下手になってない?」

 

「エリス様の前で緊張しているのです。アクア様」

 

あ、こいつ天使だわ。誰もアクアに様なんて付けないもん。

 

「クリスさん、私の前だからと言って、そんなに緊張しなくても良いのですよ?」

 

「いえ、エリス様は私たちの心の拠り所ですから、これくらいの誠意は無くては」

 

熱心な信者としての演技は悪くないと思うのだが、クリスの真似としては絶望的だ。やはりポンコツだな。

 

「あらあら、ありがとうございます。後で二人っきりでお話しましょうか?」

 

これは事情聴取だな。

 

「なんか、クリスってばエリスの前だと変わりすぎじゃない?めぐみんもそう思うわよね?」

 

「アクアは今さらですが、エリス様は信者でない私にも気にかけてくれるマジもんの女神です。これくらいの敬意はやはり必要なのかも知れませんよ?」

 

「私が今さらってなに?!」

 

「あー、私もアクアさんが本物の女神って知った時は、本当に驚きました」

 

「ねぇゆんゆん?それは女神が実在して驚いたのよね?私が女神っぽくないとかじゃないわよね!?」

 

宗教熱心な奴が居なかったお陰で、意外と怪しまれる事は無かった。

 

「いや、クリスか?クリスだよな?しかし…」

 

親友のダクネスを除いて…

___________________

 

「なぜ貴女がここに、しかも何故私の真似をしているのですか?」

 

クリスの部屋で問い詰めると、天使はさっさと自分の姿に戻った。特典のマジックアイテムで姿を変えていたらしい。

 

「エリス様がダクネス様に疑われているようでしたので、私が疑いを晴らそうと思いまして…」

 

「そういうのは事前に言ってください。流石に焦りましたよ…」

 

なんだ。やはり天使はエリスが大切なんだな。

 

「にしてもなんでこのタイミングで…」

 

「エリス様に追求が及ぶタイミングを見計らっておりました。あと、少々小腹が…」

 

ん?まさか本音は…

 

「天使様、おかわり要ります?」

 

「お願いします。次は普通ではなくカタで、可能ならネギ多めで」

 

「……あなた、ラーメンを食べに来たんですね?」

 

エリスにまでバレた。いや、そりゃそうだろうけど…

 

「女神様に嘘を付いたら何かありましたっけ?」

 

「貴女の場合は査定に響くかも知れませんね?」

 

その言葉を聞いた天使は、それはそれは美しい土下座を慣行した。

 

「カズマ様のラーメンが私を狂わせたんです!美味しそうだったんです!」

 

「はぁ…でも、少しはダクネスの目を逸らせたかも知れませんし?今回は多めに見ても…」

 

「いや、ダクネスはバリバリ疑ってたぞ?」

 

「「え?!」」

 

唖然とする二人、いやそりゃそうだろ。

 

「そこで提案だが、天使がエリスになれば解決だろ?後はさっと居なくなるだけだし?」

 

ダクネスはクリスには詳しいが、エリスには詳しくない。誤魔化すならそちらだろう。

 

「それです!カズマさんの案で行きましょう」

 

「……私がエリス様の役を?よろしいので?」

 

「今だけは許します。さぁ、入れ替わりますよ!」

 

「今ですか?!おかわりは?!」

 

「それは今度です!」

 

と言うことで、入れ替わってテイク2。

 

_______________________

 

「エリス様が普段通りで良いってー。慣れない事はするもんじゃないね?」

 

「良かった…間違いなくクリスだ。心配したぞ?突然司祭のような話し方をするものだから…」

 

ダクネスは即座に見抜く、やはり二人の友情は本物だ。

 

「では、私は天界に帰ります。カズマ様…」

 

「あっはい」

 

「貴方に祝福を」

 

チュッ

「え?」

 

まさかの頬への不意打ち。しかも中身は天使だろ?!

 

「ちょっと!カズマはあたしのだからー!」

 

「エリス!アンタ清純派の女神でしょ!そう言うあざといのはルール違反よ!」

 

「クリスはいつも通りになったが、また随分と極端だな…女神様にその対応は良いのか?」

 

クリスの絶好調ぶりに、ダクネスは少しだけ引いていた。

 

ちなみに後日確認で「エリス様はいつもカズマ様にチュッチュしてるので、やらねば疑われると思いました」と言う理由でやったらしい。その認識が天界に広まっている事を知ったエリスはまた悶絶するのだが、それは別のお話。

________________________

 

「それでは第一回、ダスティネス卿説得に向けた作戦会議を始めようと思う」

 

一夜明け、今度はダクネスが皆の前に立っている。

 

「相手は有力な貴族であり戦士、流石にハーレムの一員となれば、納得はしないでしょう…まだ時期尚早、ダクネスが本格的に行き遅れになるまで待ってはどうでしょうか?」

 

「めぐみん!自分の懸念が無くなったからって冷たくは無いか?!」

 

ダクネスの文句も分かるが、お前の家柄は正直厳しい。

 

「でも、現実的に考えたらこの土地を治める貴族だもんね…しかも王様の懐刀だよ?多妻制なんてそもそも認めるかな?」

 

「早くに奥さんを亡くして、新しい妻も取らずにダクネスを育てたのよね?」

 

クリスとアクアの現状確認は、聞けば聞くほど親父さんの難易度が上がっていくだけのマイナス効果しか生まない。

 

「ないのか!弱点はないのか?!」

 

「親馬鹿って所くらいでは?」

 

「おいめぐみん、それ今回のケースだと難易度が上がるパターンだからな?何1つ有効じゃねぇからな!」

 

テーブルをバンバン叩いて抗議するが、それで何かが変わる訳ではない。これは、マジで無理ゲーかも知れない。

 

「最初のステップとして、カズマさんがダスティネス家に釣り合えば良いと思うんです!まずはカズマさんの強みを挙げて行きましょう!」

 

それは建設的な意見だぞゆんゆん。出来る子は違うな。

 

「主観を入れないで…だよね…魔王を倒したでしょ」

 

クリスの主観の部分が若干気になるが、今は追求しない。

 

「この街をベルディアから守ったのもカズマです」

 

「デストロイヤーもカズマさんが指揮を取ったわよね?」

 

めぐみん、アクア…お前らの事、俺は信じてたよ。

 

「紅魔の里も、カズマさんが助けてくれましたよ!」

 

「バニルもカズマの機転が無ければ退けられなかっただろうな」

 

ゆんゆん、ダクネス…俺、お前たちの仲間で良かったよ。

 

「公的な長所はそれ位として…マイナス点は?」

 

クリスが言いづらそうだ。別に俺は聖人じゃない。冒険者として、生きるために悪事に手を染めた事もある。

 

「街での悪評よね…変態、ロリコン、下着泥棒、ゲス、クズ、ハーレム野郎…」

 

アクアは嘘がつけない奴だから、きっとこれはマジで言われているんだろうな。うん、辛い!

 

「…嘘とも言い切れないのが辛いな…」

 

「ちょっとアクア?カズマがロリコンとか言われている理由を聞こうじゃないか?!」

 

俺ならそんな奴は結婚相手には選びたくない…そしてダクネスも否定できない以上、これを誤魔化すのは無理だろう。

 

「良し!これ以上考えても仕方ない。乗り込もう!」

 

「「は?!」」

 

クリスの大胆すぎる作戦に、俺とダクネスは揃って声を上げる。しかし、行動しないと何も変わらないので、結局ダスティネス家に乗り込む事となってしまった。

_______________________

 

「ようこそ皆様、お嬢様がお世話になっております」

 

アポは取り付けた。そして何故か「全員で来るように」との返信を受けて、俺達はダスティネス家の客室に通されている。

 

「お茶と軽食を用意しております。主人の用事が長引いておりますので、少々お待ちください」

 

「ご丁寧にどうも…」

 

全員集合となったこの場で、俺達は最後の作戦会議を行うこととなった。

 

「割と歓迎されているし、大丈夫なんじゃないの?」

 

「まだ分かりませんよ。貴族としての立ち振舞いをしているだけで、実はカズマの処刑の準備をしているかも知れません」

 

「嫌なこと言うなよ!俺が処刑とか嫌だろ?」

 

「嫌よ」「嫌ですよ」「嫌に決まってるだろ」「嫌だよ」「嫌です」

 

あれ?本音で来られると凄く照れる。

 

「最悪逃げる方向でも…私は」

 

若干だが、ダクネスが逃げ腰だ。

 

「それじゃあダクネスが本当に幸せになれないでしょ!」

 

「そうですよ!ここまで来て何言ってるんですか?」

 

「アタシ達も頭を下げるからさ」

 

「最悪の場合、何度でも来ましょう!」

 

なんだろう。美しい友情が見える。ダクネスって俺より信頼勝ち取ってない?

 

「待たせてしまって済まないね」

 

「いえ!そんな事は全然!」

 

少しだけ遅れてダスティネス卿が部屋に入ってきた。

 

「さて、ララティーナを妻に迎えるとの話で良かったかな?」

 

「え?ご存知だったんですか?!」

 

これはすんなり行く流れかも知れないぞ。

 

「大切な一人娘に水をかけて透け透けにし、更にドレインタッチであられもない姿にした挙げ句、子供が居るなどぬか喜びさせておいて…よもや逃げようと言うなら処刑しようかと思ってな?」

 

「……責任取らせてください!」

 

これが本家本元の日本人の土下座だ!もう駄目かもこれ!

 

「冗談だ。責任なんかで側に居ようとしないでくれ。側にいる理由など、愛しているからだけで良い」

 

「ダスティネス卿…」

 

愛する人を亡くし、それでも一途に思い続けた人の、この言葉はあまりにも重い。

 

「俺にやれる限りの事をします。冒険者の俺に、何が出来るか分かりませんが…」

 

「娘は君でないと駄目らしい。娘を幸せにしてくれ。そしてもう1つ。君は死ぬな。愛する人を亡くす痛みなど、娘には知らないで欲しい」

 

「はい。心に刻みます。ところで、妻が複数と言う部分は伝わっていたりするのでしょうか…」

 

「あぁ、我々貴族では良く有ることだ。それに、先ほど聞こえた会話から察するに、君らの関係はとても良い」

 

凄く良い流れだ。やはり常識ある人の対応は違う。まぁ実は俺、何度も死んでますが…

 

「さて、ここまでは私の本音だ…表向きの話をしようか?」

 

「……え?」

 

凄く嫌な予感がする。

 

「魔王を倒したとはいえ、冒険者でクズでハーレム野郎とか言われてる君がララティーナと結ばれてみたまえ?多くの権力者が面白くないだろう?」

 

そりゃそうだろう。デストロイヤーを止めても妬みが先に来るやつらだ。

 

「そこで丁度、来週王族が来るんだが」

 

「あの、もうなんか凄く嫌な予感が…」

 

「御前試合に出てくれないかな?君の力を広く示すために」

 

押し込まれる形で、死亡フラグが立ちました。

______________________

 

「第一回!カズマに御前試合で活躍して貰おう会議を始めます!」

 

「無理よ」「無理ですよ」「無理だろうな」「無理じゃないですか?」

 

「お前ら容赦ねえな!」

 

しかし、真っ向勝負の強さでは俺に勝ち目なんてない。そんなことは分かっている。

 

「賄賂か…いや相手は王族関係だし…やはり仕込み武器か…闇討ちか」

 

「やめろ!私の家に色々と疑いがかかるだろうが!」

 

ちなみに真剣を使うらしい。提案者が白スーツ(クレア)らしいので、これは完全に俺への嫌がらせだと思う。

 

「ちなみに、相手は?」

 

「まだ知らされていない。魔王を倒したカズマの相手となれば、魔剣の勇者か、アイリス様か…」

 

「そこら辺ならエリスの加護でなんとかなりそうだな…武器の性能を無効化して、不意打ちすれば何とか…」

 

「そう言えば、お姫様の剣って返したの?」

 

「……あ!」

 

完全に失念してた!なんならアイツらにもお礼してない!

 

「俺とクリスでウィズの店にお礼してくるから!ダクネスはアイリスへの面会を取り付けてくれ!頼む!」

 

「わかった。移動はテレポートで良いな?即日でも可能と言うことで連絡するぞ?」

 

「あぁ、それでいい!」

 

と言うことでまずは奴らの所へ

 

_____________________

 

「良く来たな広告塔!」

 

「なんだよそれ…」

 

店に入ると同時に、バニルがそんな事を口にした。

 

「小僧、お前は今吾輩たちに恩がある。違うか?」

 

「そのお礼を言いに来たんだ。ありがとう」

 

「うむ、感謝は素直に受け取ろう。しかし言葉だけで済ませられるとは、思っていないだろう?」

 

「まぁ正直言えば、あれはバニルの代名詞とも言えるスキルだし、何かしらの要求はあると思っていたけど…」

 

だって悪魔だしな。

 

「分かっているでは無いか小僧。ちなみに、シルビアは礼など不要だそうだ。「仲間」だからとな」

 

マジかよ。チ○コ無かったら惚れてたわ。

 

「いつかシルビアにも借りを返すよ。仲間だからな…でバニルの要求を聞かせてくれよ」

 

「さっきも言っただろう?小僧には広告塔になって貰うとな…」

 

そして、バニルの計画した華麗なる広告プランを聴かされた…いやマジかよ。

_____________________

 

「ようこそクズマ殿」

 

「ハハハ、上手にお留守番は出来たかな白スーツ」

 

「よし、ぶっ殺す!」

 

「おやめなさい!」

 

翌日、謁見の間に通された直後からクレアが凄い敵意を向けてくる。レインが止めるが、残念ながら間に合わなかった。

 

「カズマ!」

 

カキーン

「な?!」

 

前に出て腕を出したダクネスを見て、前回の苦い思い出がフラッシュバックしたが、今回はクレアの剣が弾かれた。

 

「クレア殿、この場は納めてくださりませんか?カズマも余計な挑発はするな!」

 

「いや…え?…割とマジで斬りかかったぞ?!しかも鎧無かったぞ?!」

 

「ほら、クレア。ちゃんと謝罪しなさい。今回の件は、そもそもアイリス様がカズマ様に挑戦した所から始まっているのですよ?」

 

レインが謝罪を促すが、レインもダクネスの腕を見て話している。俺もダクネスの材質がなんなのか気になる。

 

「す、済まなかった。今回は私たちに落ち度があるのだったな…」

 

「そうです!クレアは短気が過ぎます!お兄様がお怪我をしたら私が付きっきりですからね!」

 

アイリスが止めなかったのはそう言う理由らしい。

 

「くぅ、いつも女の陰に隠れおって…やはり貴様はアイリス様に相応しくない!帰れ帰れ!」

 

「お前に認めてもらう必要はないが、さて聖剣を渡さずに帰らされたがどうするかな?」

 

「くっ!お前って奴は!」

 

「私は、お兄様の剣を代わりに貰っても全然大丈夫ですよ!」

 

いや駄目だろ。王家の宝の価値低いな。

 

「ほらアイリス。今度から俺に向けるなよ?」

 

エリスに教えて貰った方法で、特典の紙を聖剣に戻す。

 

「なんだその出し方?!それは本物だろうな!」

 

アイリスが聖剣を持ち、軽く振る

 

「本物です…お兄様、今のはいったい…」

 

「エリス様のご加護だよ。残念だけど、二本目以降は別料金です」

 

これには全員が唖然としている。

 

「まぁ良い!お前の御前試合の相手は私だ!小細工が使えない御前試合で、お前の本性を晒してやるからな!」

 

「おいカズマ、本気のクレア殿は相当な実力者だぞ?!しかも普通の武器はどうこうする事も出来ないのではないか?!」

 

「あぁ、そう言えばそうだな。エリス様に関係ないものは無理だ」

 

「そうか!なら当日を楽しみにしておくがいい!」

 

俺なら相手が弱点を晒したら疑うけど、意外とポンコツだよなクレアって。

 

「じゃあなアイリス、次はアクセルの街で会おうぜ」

 

「はい、お兄様もお元気で」

 

これで前準備は終わりだ。何もかも見えているんだろうな…あの悪魔は……

_________________

 

そして当日。俺は勝負服に身を包んだ。

 

「ねぇ、本当にそれで出るの?」

 

「アクセルを背負って立つんだ。仕方ないだろ?」

 

「それは背負っているのか?!」

 

アクアとダクネスの突っ込みは分かる。俺だってバニルとの契約が無ければこんなの御免だ。

 

『アクセル商工会』

 

この服である。さらに背中には物干し竿に付けられた『ウィズ魔法具店』ののぼり。

 

………………………

「小僧の戦うクレアと言う女だが、小僧よりは強い。しかし、奴は怒りで冷静さを欠きやすく、突っ込みどころを全部拾うと言う最大の弱点にして、ビジネスチャンスがある。今回は利用させて貰おう」

………………………

そう言われて色々教え込まれたアクセル商工会の話。いや、まさかそれで勝利の道が見えるとか…バニルじゃなかったら俺も信じない。

 

「逃げずに良く来たな。そこは誉めてやる……しかし、その格好はなんだ!ふざけているのか?!」

 

「俺はいたって真面目だ。この街を背負ってお前に勝つ!」

 

「背負い方が間違ってるだろうが!」

 

ふむ、既に冷静さの欠片もない。確かにこれは上手くいきそうだ。

 

「本日の御前試合、冒険者ギルドより私ルナ。会場設営と特別スポンサーのアクセル商工会より、今年の商工会長バニルさんがお送りします。」

 

あぁ、そう言うこと…

 

「カズマ君は私達商工会にも多大な貢献をしてくれています。是非彼には頑張って欲しいですね」

 

アイツ、俺の名前を呼ぶの初めてじゃないか?こんな時に…

 

「さぁ試合開始です!」

 

最初が肝心。まずは相手の出方を見る。

 

「さて、お前の相手はこちらの剣でいかせてもらうぞ?剣に何かするような仕掛けがあると困るからな!」

 

腰に差したいつもの剣は使わないらしい。いや、実は狙ってました。バレてたかー。でも良いんだ。俺の作戦は変わらない。

 

「悪いな!こっちから先制する!食らえ!」

 

「馬鹿め!お前の投擲など!」

 

流石は王国騎士、俺の投げたものを的確に剣で切り落とす。ただ、これに関しては切っても無駄だが

 

ベチャ

「ぶふっ!なんだこれ冷たっ!唐揚げの味がする!」

 

「こちらはウィズ魔法具店限定販売!カズマ印のソフトクリームだ!甘くて冷たい良い子のおやつ!コーヒーや紅茶にも相性バッチリ!」

 

※バニルに言わされています。

 

「ほぅ、この状況で宣伝とは…余裕だなこいつ!ぶはっ!」

 

「こちらが売れ行きのバニラ味です!」

 

「甘、あ、美味しい…じゃないわ!ぶっ殺す!」

 

それ、御前試合で絶対に出してはいけない言葉だと思うんだが…まずはサークルシールドで受ける。

 

ガッ!

「ほう!冒険者のお前でも盾で受ける位できるか!」

 

「いや、俺は防御術も無いし、普段なら腕も折れてたよ」

 

「なに?」

 

「アクセル武具店のショックアブソーバー付きサークルシールドだ!初心者でも簡単に使えて確かな品質!ショックアブソーバーで衝撃も緩和します!」

 

※バニルに言わされています。

 

「結局宣伝じゃないか!こらぁ!」

 

重さを乗せた二擊目、サークルシールドが割れた。

 

「くっ!一番安いタイプじゃ駄目か!」

 

「そうじゃない!」

 

三擊目はバレバレの大振りなので余裕で回避。そしてあえて背中を晒す。

 

「そこだぁ!」

 

カチーン

「おっと!」

 

背中の物干し竿で受ける。

 

「なんだこの硬い物干し竿!」

 

「物干し竿を作り続けて6代目、アクセル物干し店の逸品だ!」

 

※バニルに以下略

大きく物干し竿を振りカウンターをするが、距離をとり回避される。

 

「ほう、確かに棒術、槍術なら剣には有利、少しは考えたようだな!」

 

「いや、物干し竿を振り回しちゃ駄目だろ。良い子が真似したらどうするんだ?常識ないのか?」

 

物干し竿をそっと立て掛ける。

 

「お前が言うなぁ!!」

 

完全にキレている。太刀筋もハッキリと見えるが、ここであえて脇腹をかすらせる。

 

「手応えあった!命乞いをするならいまのうちだぞ!」

 

「ふぅ、一流剣士も騙すほど、人肌のようなモチモチ感、これがアクセルベーカリーのパンか……」

 

脇腹からアクセルパンを取り出し、一口噛る。ちなみに形はフランスパンにしか見えない。まぁフランスなんて知らねぇよな。

 

「冷めても旨い!」

 

「黙れ!貴様舐めるのも大概にしろ!」

 

ここらでちょっと難易度高いやつ行くか…

 

「おい、クレア!冷静さを欠いているぞ」

 

「なっ!お前がそれを言うのか?!」

 

「きっとカルシウムが足りないんだ。ほら、アクセル農場の牛乳をやる。旨いから!風呂上がりの必需品だから!そしてウィズ魔法具店のソフトクリームもこちらの牛乳を使用しています!」

 

※以下略

先に俺が飲む。実はこの時間に呼吸を整え、体力を回復しているのだが、クレアは不意打ちなどしない。全く律儀な奴だ。

 

「……よし、やっぱりお前は殺す!」

 

更に怒りで単調になる攻撃、今ならいける!

 

パシッ!

「な?!それはなんだ!」

 

「これはアクセルの街に伝わる食器…箸だ!しかもアクセル民芸品店が作った逸品!」

 

何故か知らんが宴会芸スキルに箸キャッチと言う馬鹿スキルがあった。こんなもの俺とアクアしか使わないだろう。でも、これが地味に強い。箸が折れたら終わりだけど

 

「そんなもので!」

 

咄嗟に剣を引き、突きの構えになる。このタイミングなら使えるスキルがある!

 

「『連続突き』!」

 

「『油回避』!」

 

高速の連続突き。そしてそれを打ち落とす箸の動き。

 

「なんだそのスキルは?!」

 

「コロッケ、唐揚げ…みんな大好きアクセル惣菜店の奥さんのスキルだ!」

 

「そんなもの!私が戦ってきた年月が負けるかぁ!」

 

「揚げ続けて30年だ!街のみんなの胃袋を満たすために戦ってきた奥さんが、たまに戦ってるお前に負けるかぁ!」

 

「油跳ねと一緒にすんなぁ!!」

 

カチーン

「くっ!これが塗り箸なら!」

 

箸が折れる。この台詞も完全に煽り文句だ。

 

「そう言う問題じゃないわぁ!」

 

大振りの追撃頂きました!

 

「唯一覚えた武術スキル!一本背負い!」

 

潜り込んで剣を振った腕を掴んで投げる!ついでに腰にスプレー1吹き。

 

「くっ!武術スキルだと!」

 

受け身に失敗してダメージが入った。よし!初の有効打。

 

「まだだぁ!」

 

クレアの闘志は折れてないが、そろそろこっちを折る。

 

「ここだぁ!」

 

クレアの力任せの凪ぎ払いに、背中からコイツを取り出す。

 

パキーン

「な?!剣が折られただと!」

 

「これが!アクセル鉄工所の技術力の結晶!ソードブレイカー!剣をへし折る為だけの剣。基本的に用途が無いって理由で作ったことは無かったが、作ってみたら流石の職人技!」

 

「まさか普段使いの剣を抜くことになるとはな……もう重傷じゃ済まさんぞ!!」

 

それ殺す気じゃねぇか!しかし激高して更に熱くなるクレア。これがお前の敗因になるとは考えないのか…

 

「そうかよ!抜いてみな!」

 

「はっ!貴様なにをした!剣が抜けない!」

 

「これがアクセル文具店の接着剤だ!一本背負いの時に軽く1吹き!これが確かな品質!」

 

「くそがぁ!」

 

剣を地面に叩きつけ、鞘を砕いて剣を取り出した。やべぇわコイツ。

 

「さぁ、そろそろネタ切れか?死ぬか?」

 

「ふ、その剣で切れるなら切ってみな!」

 

「なに?!貴様、他にも何か細工をしたのか?!」

 

めっちゃ剣見てる。良し、今のうちに息を整えよう。

 

「剣にはしてないが、俺のハッピが意味のない一枚だと思うか?」

 

「いくら職人とは言え、ハッピごときで私の剣が止められるかぁ!」

 

青筋ヤバい!殺意もヤバい!でも、一番ヤバいのはコイツの頭だ。

 

スルッ

「あ」

 

凪ぎ払う一撃はハッピの表面を掠める。いや、なんでハッピ狙っちゃうかな。馬鹿なのかな?

 

「このサラサラの肌触りと軽さ!まるで羽を得たようだ!オーダーメイドもなんのその!アクセル呉服店の品質の高さよ!いかつい親父が目印だ!」

 

「……死ね」

 

俺の宣伝の途中でも構わない連擊!ヤバい、ついに完全にキレた!今は良いけど後が怖い!

 

「おーい、小僧!そろそろ十分であるぞ!」

 

「らしいんでな。クレア、悪いが終わらせて貰うぜ?」

 

「お前に私を倒せる技などあるかぁ!」

 

正解、無いです!実は反撃できる余裕もないです!でも、俺の作戦はもう決まっている。

 

「せい!」

 

モフッ

「煙幕だと!下らん!」

 

剣の1振りで煙幕が晴れる。やっぱり実力では到底勝てないな。

 

ゴソゴソ

「まぁ、別に煙幕が主な目的じゃないんだけど」

 

「なんだ?次はどんな武器だ?!」

 

「いや、針だ」

 

「は?なんで針を…んぐ?!」

 

ついに来たか……

 

「粉末でも効果抜群!即効性も高い便通改善!飲みやすい子供シロップもあるよ!アクセル薬局!効果には個人差があります!」

 

「貴様!さっきの煙幕は毒か?!いや、私には毒耐性があるはずだ!」

 

残念もう遅い!

 

「おい、町の人を助ける存在のアクセル薬局にそんなもん置いてるわけねぇだろ!」

 

「くぅ!では、何をしたと言うのだ!」

 

「安心しろ…それ下痢だから」

 

小声で教えてやる。実は唐揚げソフトがこの戦いの本命。いや勿体なかったし?毒耐性があっても食あたりは病気扱いで効くってバニルが言ってたし?

 

「お前!んぐっ?!」

 

「おいどうした?内股だぞ?腹に力入れて立てよ。まだ戦いは終わってないぜ?」

 

そう。下痢で戦闘不能にはならない。まだ我慢可能なレベルである以上、俺の身の危険は変わっていない。

 

「あーでも?王女様の近衛兵が、大衆の前で漏らしたりなんかしたら、王女様の威厳とかどうなるのかな?冒険者も見てるなぁ?」

 

煽れ、冷静さを取り戻させるな。

 

「おま、おまえぇ!!」

 

クレアは涙目になりつつ、必死に剣を振るう。しかし、ヘロヘロで感情任せでは当たらない。

 

チクチク

「おらぁ!」

 

回避しつつ縫い針の連擊。

 

「そんなものが効くか!」

 

ガクッ

「は?私が膝を?!」

 

「これが!アクセル手芸店の針とアクセル鍼灸院の力だ!腰が悪い!肩が凝っている皆様!おすすめですよ!ちなみに、医療系のスキルはレベル差があっても有効だって知らないのか?」

 

「筋弛緩だと…確かに医療スキルは高レベルの人間にも効くが…お前この状態でそれを使うか…クズめぇ!」

 

「選べよ。このまま続けて漏らすか…負けを認めてトイレに行くか」

 

「くぅ!そんな負け方認められるか!」

 

「…アクセル鮮魚店の、『神経締め』スキルで気絶させてもいいんだぞ?垂れ流しになるかもな?」

 

あ、絶望の表情だ。これは勝ちだわ。

 

「しかし、私の剣は折れていない!ここで負けを認めても…アイリス様の名が…」

 

良し、なら譲歩案だ。

 

「その剣を正面に構えて止まれ、剣をへし折って直ぐにトイレに連れていってやる」

 

「うぅ…分かった…ここで恥を晒すくらいなら…その方がアイリス様の名誉は守られる」

 

クレアはもう泣きそうだ。なんかすまん。でも、俺も色々背負わされているんだ。物理的に。

 

「よし、ちゃんと持っとけよ?」

 

ちゅんちゅん丸を抜き、構える。偶然発見したこの方法、これが魔剣を越える方法だと知ったとき、俺は凄く微妙な気持ちになった。

 

「エリスの加護!」

 

と言う名のただ剣を横に振るだけの技。しかし、今のちゅんちゅん丸はまさしく聖剣の如し速さを体現する。理由がちょっと、あんまりだが…

 

パキーン

「…冒険者のお前がそんな技を」

 

目の前で剣が折られ、倒れ込むクレアを抱き止める。そして、直ぐに会場のトイレに向かう。

 

「やり過ぎた!直ぐに治療をする!勝利宣言も称賛も、後にしてくれ!」

 

そして、ついでに対戦相手を気遣う事で名誉も貰っておく。

________________________

「ほら、後は自分で出来るな?」

 

間一髪トイレに駆け込んだ。俺のバフもそろそろ終わるので、ちゅんちゅん丸を鞘に戻す。

 

「待て!……筋弛緩は解けないのか?」

 

もう手に力が入らないらしい。

 

「すまん。戻すのは時間でしか…レイン呼ぶか?」

 

「もう間に合わん!…頼む」

 

「お、おう…」

 

ベルトとファスナーを外してやる。ヤバい!コイツに倒錯的な興奮を覚えるなんて!

 

「見ないで…でも早くしろぉ!もう、もう!」

 

見ないように顔を背けてパンツに手をかけるが、汗と内股のせいで脱がせられない。

 

「あぁもう!失敗したらすまん!『スティール』」

 

やはり安定のパンツ。俺のスティールはパンツ専用なんだろうか…汗が凄いが、大変良質な物を使っているようだ。この柄は…アイリスかな?

 

「早く出てけ!!」

 

個室から蹴り出され、逃げるように退避。パンツどうしよう?取りあえず預かるしかないか…

____________________

 

多分クレアの第2ラウンドは長くなるので先に会場に戻った。バニルが何かを配っている。

 

「アクセル商店マップはこちらである!スタンプラリーも開催中であるぞ!ほら、押さない押さない!」

 

商魂たくましいな、あの悪魔

 

「御前試合の勝者、カズマさんが戻りました。皆さんに何か一言ありますか?」

 

「俺は何時だって勝って帰ってきます。冒険者を信じて待っててくれる…ギルドの皆がいる限り」

 

ちゃんと最後にギルドもフォローする。頼まれてたし

 

「はい!ありがとうございます。そんなカズマさんも所属するアクセル冒険者ギルド、今なら登録料半額です。一緒に英雄を目指しましょう!」

 

さて、最後の仕上げだ。

 

「えぇ、御前試合という名目で皆様お集まり頂きましたが、今回はアクセル商工会宣伝の為、クレア近衛兵にはご協力を頂きました。急な話で深夜まで台本を確認していたクレア様は、先ほど疲労で倒れただけですので、ご心配なく!」

 

これで完全には許してくれないだろうが、まぁ貸しくらいには思ってくれることだろう。

______________________

 

「まったく、とんでもない詐欺師だな君は」

 

ダスティネス卿には直ぐにバレました。ダクネスと一緒に呼び出されました。

 

「度重なる挑発による冷静さの欠如、単調な攻撃となれば捌けると踏んだか…恐ろしいな冒険者とは…」

 

「ここまで姑息なのはカズマだけです」

 

「おいダクネス?お前はどっちの味方だ?!」

 

でも、一応ダスティネス卿には実力を示せた。これで認めて貰えるだろうか。

 

「最後の一閃。あれだけが異質だった。私でもあんな容易に剣を折るなど出来ない。エリス様の寵愛を受けた君にだけ使える技だと思って良いのかね?」

 

「そうですね。そんな所です…」

 

「あの技を見せただけでも収穫だ。あれほどの技を持つ相手に、嫌がらせなどしないだろう」

 

この技の全容だけは絶対に明かせないので、あまり多用も出来ないんだけどな…

 

「それに、国王と王女は満足げだったよ。差し入れられたソフトクリームとか言う菓子にも…あれも君の差し金だね?」

 

「……はい」

 

正しくはめぐみんが「下っ端に甘味くらい奢ってやります」って言って持っていったのだが、知らないとも言えないし。

 

「裏での気配り、領地の経済活性。領主としての才能もあるようだし、私は君を認めようと思う。でも、最後にこの誓約をお願いできるかな?」

 

その誓約書には、孫には週一で合わせる。跡取り問題についてなどの細かな注記が書かれていた。

 

「やっぱり、組織の長ってこう言うの得意だよな…」

 

「まぁ、基本と言えば基本だしな…」

 

こうして、俺達はダスティネス卿のお許しを貰うことが出来た。にしても誓約書が長い!

_____________________

 

「おい、サトウカズマ…」

 

ダクネスがダスティネス卿と誓約書について話すと言うので、俺もギルドの打ち上げに行こうかと歩いていると、クレアに捕まった。

 

「なんだよ?リベンジマッチならお断りだぞ?」

 

「…その…ありがとう」

 

「いや、感謝される覚えがないんだが…」

 

割と酷いことしたよな?

 

「嫌みか?お前、最後に本気を出したろ?あれを食らったら私は剣ごと真っ二つだ。それを笑い話にして、怪我もさせずに勝ってみせた…完敗だよ。アイリス様の名誉も守ってくれたしな」

 

「あれだって、エリスの力だ。俺には負けてないだろ?」

 

「そうだな、お前には商工会の力も加わってた…お前が背負うものの為に強くなれるなら、アイリス様と共に国を背負うつもりはないか?」

 

「国は無理だろ…俺には重すぎる。アイリスだけなら良いんだけどなぁ…」

 

「それはアイリス様が王権を投げ出すから止めろ!」

 

なんだろう。こうやって話すとクレアも悪い奴ではない。

 

「今回の件で私はお前を認めた。アイリス様に悪影響な所は変わらんが、個人的には…友人くらいにはなってやる」

 

デレた。こいつデレるってコマンドあるんだ…

 

「じゃあ、ギルドで一緒に飲もうぜ?お前には商工会も感謝してるんだ」

 

「お前の嘘が発端なのはどうかと思うが…嘘がバレたら困るので、一応付き合ってやる」

 

なんだよ。話せるじゃないか、俺もこんなクレアなら仲良くなれそうだ。

 

「お、立役者二人のご登場だぞ!」

 

こう言うときにキースは絶対に参加しているな…

 

「おう、楽しんでるか?」

 

今日は商工会の皆さんも参加している。特別席にアイリスが居るが、これは良いのか?

 

「カズマさんのお陰で店は大繁盛さ!近衛兵のお姉さんも、ありがとうね!」

 

「私は…コイツに乗せられただけなので…」

 

「カズマのハーレム、遂に王国の近衛兵まで入るのか?」

 

「私は入らん!」

 

アイリスの前だからなのか、失礼なダストにも珍しく高圧的な態度がない。

 

「アイリス様、私が油と30年戦って作った唐揚げとコロッケです」

 

サクッ

「レイン!これはお持ち帰りです!父と兄にも食べさせます!」

 

「アイリス様、揚げ物は持ち帰ったらシナシナになって美味しくありませんよ?私も可能なら持ち帰りたいですが」

 

馴染み過ぎだろアイツら…俺の影響だと思うけど…

 

「そう言えば、カズマが落としたコレ。クリスに渡したら違うって言われたんだよ」

 

ダストが何か渡してくる。これは……

 

「パンツだよな?」

 

「あぁ、この柄はクレアのですね……お兄様に履いてたパンツを送ったのですか?!」

 

アイリスが気付いてしまった。余計なことを

 

「え?じゃあクレアさん今ノーパン?」

 

「痴女なの?」

 

「近衛兵って可愛いパンツ掃いてるのね」

 

「カズマのハーレム要員が増えたな」

 

あぁ、クレアが怒りと羞恥でプルプルしてる。

 

「サトウカズマ……やはり貴様は殺す!」

 

「俺悪くないだろうが!」

 

「うるさい!お前がちゃんと持っていれば!」

 

「やっぱりプレゼントだったのですか?!」

 

「ちがぁう!」

 

剣がないので殴りかかってくる。いや、クレアと分かり合える日は来るのだろうか。うん、多分来ないと思う。

 




お付き合い頂きありがとうございます。

唐揚げソフトクリームは伏線でした。(嘘)

クレアはカズマと喧嘩してる時が一番輝いていると勝手に思っている作者の都合でこんな話です。

垂れ流しなので、実は結末は考えているけど、何話まで続けるかは全く考えていません。

またお暇な時に、お付き合いお願いします。
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