タイトルからお察しと思いますが、あれを見ました。と言うことで、思い付いたのでやります。私の作品ってそんなもんです。
またお暇な時にでもお付き合いください。
年末企画がお蔵になり、アクセルハーツの3人は酷く落ち込んでいた。リアは必死に仕事を探し回り、シエロは煩悩を消そうと極寒の滝に打たれ、エーリカは胸を触るとゾクゾクするとセレナの元へ通院している。こうなってしまった原因が自分にもあると思った俺は、3人の為に何か出来ないかと考えているわけだ。
「と言うことなんだけど、エリスは何か思い付かないか?」
「取り敢えず、カズマさんが1番反省しなきゃ駄目だと思いますが?」
「ですよね。すみません」
とは言え、今さら自分達で無人島になんて行きたくないし、大寒波の街に繰り出すのも嫌だ。室内で楽しく出来て、尚且つ俺が良い思いをする企画にしたい訳だが、そんな企画は都合良く転がってなど居ない。こうして高級シュワシュワを飲むだけで仕事になるような、そんな素敵な企画はないものだろうか?
「ねぇねぇカズマさん」
「はいカズマです」
「それ高級なシュワシュワよね。私にも1杯頂戴?」
「しょうがねぇな。ほら、ちゃんと味わって飲めよ」
「えへへ〜、カズマさん愛してる〜」
そういえば、アクアは高級シュワシュワに良く反応するが、こいつは味が分かっているのだろうか?料理スキルと鑑定眼を持つ俺には違いが明白でも、アクアやセレナに違いが分かるとは……
「……あっ、そうだアレだ!エリス!大聖堂って今でも使えるか?!」
「えっ?使えるとは思いますが……大した暖房も無いので寒いかと……」
「ウォルバクとウィズの魔法で温めて貰うから大丈夫だ!取り敢えず会場の確保を頼む!お客として孤児達と寒い思いをしてる冒険者も呼んでくれ!」
「ちょっとカズマさん!チャリティーは素晴らしいと思いますが、せめて何するかの説明を!ってもう居ないですし……」
俺は思い付いた企画を遂行すべく、急いで街へと繰り出した。野外プレイ用に取得した防寒スキルを持つ俺にとって、実は寒波なんて大したことはない。このまま急いで準備を進め、アクセルハーツに仕事を………
ドンッ
「おっと、すみません!まさかこんな日に人が居るなんて……」
「シュコ〜」
なんてやる気を出して駆け出してみたら、町中で冬将軍にぶつかってしまった。注意一瞬、怪我一生と言う言葉があるが、皆も雪の中を走る時は気をつけて欲しい。と言うか町中にも出るのかよ!何とか魔法で倒すしか……
「キヲツケロ…アシバモ、シカイモ、ワルイゾ」
「あっはい……すみません。気をつけます……」
なんか普通に怒られてしまった。いや、良かった武器を抜かなくて!
「と言うか、冬将軍って喋るんだな……今度アイリスに教えてやろ……」
……………………
「てな感じで第一回!1流冒険者格付けチェック〜!」
「「「「「「わ〜!」」」」」」
聖堂に集まった冒険者と子供達、そして参加者の親族一同に向かって、俺は出来るだけ明るい声で企画を盛り上げる。暖かい部屋と暖かい食事。そして皆が楽しく過ごす温かい空間。こんな場所で働いていたら、きっとリアのご両親も鼻が高い事だろう。思い付きではあるものの、実に良い企画を考えたと思う。
「はい、お兄様!」
「はいはいお兄様ですよ。どうしたアイリス?」
「この企画の趣旨を教えてください。一見ディナーショーの様にも見えますが、何故私達だけがこちら側にいるのですか?」
日本人なら知っているだろうが、確かにこの世界では見たことが無いだろう。こういうのは第一印象が大切なので、なるべく良い感じにお伝えしようと思う。アクアは嫌そうな顔をしているが、他の奴なら騙せるだろうし。
「今回の企画は、街に住む子供達や新米冒険者の皆さんに1流冒険者について知って貰うって企画だ。冒険者は人知れず皆の生活を支えているのに、ただの荒くれ者だと思われたら淋しいだろ?」
「さ、流石はお兄様です!教会の孤児と寒さに震える新米冒険者に温かな食事を与え、更に未来への希望も与えるだなんて、まさしく1流の冒険者です!」
「ははは、褒め過ぎだぞ」
ただ、余り褒められるとちょっと困る。俺は何人か出るであろう馬鹿を一緒に笑うために、このギャラリー集めた訳だし……
「ちなみに、今回もアクセル冒険者ギルドが全面協力と言うことで、司会進行は私ルナが務めます!」
「はい。今年も沢山お世話になりました。最後の大仕事もお願いします」
年末年始とクリスマスに予定が無く、軽い気持ちで頼んだら凄く食い付いてきたルナさん。今年も年末年始は仕事でしたって言い訳して、お酒が入ったら泣くんだろう。報酬ちょっと多めに入れとこ……
「と言うことで、先ずはチーム紹介から参りましょう!1流筆頭、アイリス王女と側付きチーム!」
「きゃ〜!アイリス様可愛い〜!」「アイリス様結婚して!」「レインさん可愛い!」「クレアさん喘ぎ声おっき〜!」
「御三方の人気が伺える声援が聞こえます。このチームは皆さんの人気もあり、最も1流に近いチームだと思います」
「いや待て?私だけなんかおかしかったろ?!」
「可愛いってことだから気にすんな」
「なっ?!」
普段なら少し付き合う所だが、今日は子供達も見ている。そんな流血沙汰になりそうなネタに、首を突っ込むはずが無い。
「続きまして、踊り子としては超一流!更に冒険者としても1流を見せつけられるか?アクセルハーツの皆さんです!」
「「「リアちゃ〜ん!」」」「「シエロ様〜!」」「「「「「「エーリカちゃ〜ん!」」」」」」
「相変わらず凄い人気です!特に子供達に人気なのはエーリカさん!今日は良い所を見せて欲しいですね!」
「そうですね。子供人気高いとイメージ良いですからね!」
「はい、カズマさんは今日もイメージダウンです」
えっ、なんで?!
「そしてこちらも大本命!信仰と権力の合わせ技、エリス様、天使様、ダクネスさんのチームエリス教です!」
「「「「「「「エリス様〜!」」」」」」」「ララティーナ〜!」「砂肝〜!」
「ララティーナ言うな!」「せめて手羽先にしてください!」
いやそのツッコミはなんか違うだろ。砂肝はないと思うけど。
「このチームはちょっとズルいかなってくらいハイレベルですね。運だけで勝てそうです」
選択問題でエリスが外すとかあり得ないし、妥当にいけば1位はここだろう。
「そして、アクアさん、セシリーさん、ゼスタさんのチームアクシズ教。めぐみんさん、ゆんゆんさん、あるえさんのチーム紅魔族。ウォルバクさん、セレナさん、ウィズさんのチーム元同僚が続きます。でも尺が勿体ないのでそこは割愛です」
「「「「「なんで?!」」」」」
敢えて言うなら、君達は直ぐに画面から消えそうだからかな!
………………………
「では、早速第一問と参りましょう。第一問は味覚問題。皆様のテーブルには3種類のエビフライが用意されていますが、1つは最高級のエビを使ったエビフライ、1つは安いエビのエビフライで、最後の1つはザリガニフライです」
「1流の冒険者なら、分かって当然と思います。と言うことで、先陣はアイリスチームのクレアから!」
「ふっ、こんなの悩む事もない。何なら、最初に正解を引いたら他を食べる必要もないな」
自信満々にテーブルに座ったクレアに、俺はそっとフォークを差し出した。こいつは本当に名家の産まれだし、下手するとザリガニを食わせただけでキレるかも知れない。まぁ、それはそれで面白いので、ネタとしては最高なのだが……
サクッ
「ふっ、もう残りは結構だ。私は答えに辿り着いたからな!」
「「「おぉ〜!」」」
「早い!そして何と言う自信!流石はシンフォニアの令嬢です!」
「ははは!まぁ当然だな!」
大変盛り上がっているところ申し訳ないが、こいつはまだザリガニしか食べていない。この段階で答えに辿り着くなんて物理的に不可能な訳だが、こいつは一体何を言っているのだろう。
「先ず、カットされたのに肉厚な身、これはしっかりと栄養を受けて育ったと言う証だ。そして臭みが無くプリッとした食感は、育った場所の水質の良さが伺える」
そうだな。紅魔の川で育ったから、無駄にハイレベルな餌を食ってるだろうな。綺麗な川だったから、水質もとても良かったしな。
「そして、良質な飼育環境で無ければ成し得ない自然な甘み。これがエビの質を見分けるポイントと言う訳だ。分かるな?」
いや全然分からねぇよ。それ下味に砂糖振ってあるだけだよ。お前これ親に叱られない?シンフォニア家として大丈夫?
「つまり!この最初に食べたのが最高級のエビだ!そうだろうカズマ!」
「ザリガニです」
「…………へっ?」
「「「「………えっ?」」」」
「これ、ザリガニです」
あまりに自信満々のクレアの姿に、俺も何度も確認をした。しかし、それでも真実は覆ることはなく、その結果がこのお通夜みたいな空気である。
「えっと……ドッキリ?」
「いやマジでザリガニ。クレアはずっと、饒舌にザリガニの事を褒めていただけだ」
「なん……だと……」
本当なら笑ってやるべき所なのだが、ここまで盛大にやらかしたら何も言えない。シンフォニア家の令嬢を笑い飛ばせる人間など、この国には何人と居ないのだ。まぁ、チームメイトなら笑えるだろうけど、流石にそれは……
「………ザリガニ」
「くっ!笑いませんよレイン!私は家臣を笑うなんてこと……」
「分かるな?」キリッ
「ぶふっ!」
「くぅ……」プルプル
いや身内の奴が真っ先に笑うのかよ。レインは本当に容赦ねぇな……
「えぇ〜続きまして、エクセルハーツよりリアさんの挑戦です。今日は遠い所から親御さんも応援に来ているそうなので、是非良いところを見せて頂きたいですね」
「リアは大丈夫でしょう。あいつにとって、エビフライはちょっと特別なんで……」
「あぁ、これは絶対に外せないからな……」
特番にはしゃぐと思われたリアが、とても静かに席に付いた。随分と前の話になるのだが、俺はリアにエビフライを作ってた事がある。全てを思い出して辛くなったリアを、少しでも元気付けようとして……
「思い出すな。私がこちらに来て心細かった時に、カズマが日本の食事を……エビフライやハンバーグを作ってくれたことを、今でも時折思い出すよ……」
「あぁ、俺もちゃんと覚えてる。俺達の思い出の味だもんな……」
ゆっくりとエビフライを噛み締めながら、リアの頬が少しだけ緩んだ。きっとリアは思い出しているのだろう。あの時に用意したエビフライも、奮発してお高い海老を使ったんだっけ……
「分かったぞカズマ。答えは、この皿だ」
そう言って俺を見つめるリアの目は、とても真っ直ぐで澄み切っていた。リアに差し出された皿を受け取り、俺も真っ直ぐにリアを見て、ゆっくりと答えを返した。
「リア………これもザリガニ……」
「……………………へっ?」
いやそれについてはこっちが驚いてんだよ。お前は全く同じものを食ってる筈だろ?なんなら噛み締めていた筈だろ?それで自信満々にザリガニ引き当てるかね?!
「えっ、カズマさんってリアさんに海老と偽ってザリガニを……」
「そ、そうだったのかカズマ?!あんな空気でザリガニを食べさせるなんて、お前には常識というものがないのか!」
「待て誤解だ!俺は確かに海老を使ったから!あんな空気でザリガニ食わせないから!」
「でもカズマだし……」「クズマならやりそう」「鬼畜すぎるな……」
「俺の信用低すぎない?!」
こいつらを笑い者にしてやる筈が、何故か俺の好感度が下がっていく。そりゃ邪な考えから始めた企画だが、流石にこれは納得いかない。
「おいダクネス!頼むからお前はきっちり当ててくれ!このままだと全部ザリガニだとか言われかねない!」
「任せておけ。これでも私は貴族令嬢だ。ザリガニとエビの違いなど、一口食べれば直ぐに当ててやる!」
……サクッ……
「わ、私は……ダスティネスの名に泥を塗った……海老とザリガニの違いが分からない女です……くふぅ!」
即落ち2コマと言うジャンルがあるが、ここまで見事な敗北は見たことがない。全種類食べて最初の発言が、まさかの「ひ、ヒントをください……」だったのは俺も想定していなかった。適当に3択に答えていれば、エリスが当ててくれただろうに……
「こ、ここまで正解しないとは思ってなかったのですが……というか、このままでは冒険者の主食がザリガニと思われてしまいそうで、次こそは当てて欲しい所です……」
「安心してください。私ならこの問題は確実です」
そう言って俺達の前に歩み出たのは、チーム紅魔族のめぐみん。本当にザリガニが主食だっためぐみんなら、間違いなく当ててくれそうだ。全然1流の当て方じゃないけどな!
「頼むぞめぐみん!このままじゃ、俺の家は海老と偽ってザリガニを食わせる家庭だと思われてしまうからな!」
「そうですね。せっかく私が定期的にザリガニを剥き身にして冷蔵庫に入れているのですから、ザリガニの味は分かってほしいところです」
……………んっ?コイツ今なんて言った?
「……………おい待て。冷蔵庫に剥き身のザリガニって何だ?俺はその話を知らないんだが?」
「私の食事当番はカズマの翌日なので、またカズマの番になるころには残ってません。多めに仕入れているので、大抵はダクネスが使っているんだと………」
あぁ、だからダクネスはエビフライとかエビチリとかが多かったんだな。ダクネスは甲殻類が好きだし、冷蔵庫にあれば使うのも分かる。分かるが……
「って、全部お前のせいじゃねぇか!そりゃ全員勘違いするわ!日頃からザリガニ食わされてんだから、その味を海老だと勘違いもするわ!!」
「頬を引っ張らないでください!良いじゃないですか!ザリガニだって美味しいですよ!と言うか、カズマだって気付いてないじゃないですか!」
「それはほら、調理してるのダクネスだし……」
「ひゃうん!」
そこで興奮するのもどうかと思うが、ダクネスの料理は発展途上だ。練習中なので仕方ないとしているが、時折変な風味や味がする。それを毎回ダメ出しするなんて、流石に気の毒で出来ていない。
「ダクネスの海老がザリガニなら、この中でザリガニは間違いなくこれ……つまりはそういうことじゃないかしら?」
「まぁ、言いたいことは理解出来るが……」
俺とめぐみんが揉めている間に、アクアが順番に割って入った。ドヤ顔でフォークをこちらに向けているが、それが高級な海老である。
「アクアは2択に絞ったようですが、その領域は私とて同じ事です。さぁ、どっちが神の舌か決着を付けましょうか!」
「えぇ、望むところよ!!」
二人共、しっかり安い海老を選びましたとさ。
…………………………
「ええっと……冒険者の皆様はザリガニを食べ慣れているようですので、次は皆様の大好きなこちらです!」
「「「「「おぉ〜!」」」」」
ちょっぴり会場が冷えてしまったので、ここで問題を差し替える。目の前に並んだジョッキを見れば、嫌でも会場は盛り上がるだろう。そう、次は酒の問題である。
「お客様にも振る舞われているこちらは、ギルドの名物と言っても良いシュワシュワです。今回はギルドで出している普通のシュワシュワと高級シュワシュワ、そして子供用シュワシュワをご用意してますので、この中から高級シュワシュワを当ててください。では、最初はレインさんから!」
「お酒はあまり飲まないのですが、アイリス様には飲ませられませんからね……」
名前を呼ばれたレインは、少し渋々といった感じで前に出る。普段はジョッキで飲むのだが、今回は小さなカップ1杯。それでも普通は分かると思うが、こいつらはマジでやりかねない。
「成程。何かしらの魔術でアルコールを抜いているのですか……では、飲んでみるしかないですね……くぴっ」
まるで紅茶を嗜むかのように、レインがゆっくりとカップを傾ける。この動きだけでちょっと1流っぽいが、結果はどうなるものやら……
「高級シュワシュワはこのカップです。それと、こちらが子供用のシュワシュワですね」
「ここで見事に当てましたレインさん!実は貴族はバカ舌なのではと言う空気が流れる中、しっかり貴族の意地を見せました!」
そこまで褒めることでも無い筈だが、正直これは助かった。俺は真っ当な企画を運営しているというのに、連中がポンコツだと俺が悪いような扱いになる。これで潔白が証明されることで、やっと普通に企画が進行するわけだ。本当に、なんでこんなに苦戦してんだか……
「あっ、それとギルドのシュワシュワが薄かったような気がして……」
「はい!ありがとうございます!次はエーリカさんの挑戦です!」
「いや、だから薄く……」
「レインさんはお席にお戻りくださいねー!」
あっ、これギルドやってんな。駆け出しばかりだから分からないと思って、露骨に薄めて売ってるな。
「ふっふ〜ん!カズマに何度か奢ってもらってるから、高級シュワシュワの味も知ってるよ!私の凄さをみせてあげるね!」
「おっと!それは本当に高級シュワシュワなのでしょうか?!カズマさんの好感度がかかった大一番です!」
「安酒さえ薄めてる奴らに言われたくないんだけど?!」
「う、薄めてません!本当に薄めてませんから!」
「それよりエーリカちゃんをみて!!」
「あっ、ごめん」
俺達の好感度はさて置き、先ずはこの企画を盛り上げよう。アクセルハーツが活躍しなきゃ、そもそも企画した意味がない。と言っても挑戦者はエーリカだし、酒の味が分かるとは………
「高いお酒は、このカップだよね。カズマ」
「あっ、あぁ……正解だ……」
本来なら派手に盛り上げる筈だったのに、エーリカは余りにもあっさりと正解のカップを選んでみせた。その至極当然と言わんばかりの態度に、俺も少し困惑している。
「覚えてるよ。私がこの前のツアーで失敗して凹んでた時、カズマがこれで慰めてくれたよね?失敗しない奴なんて居ないから、そんなの飲んで忘れちまえって……」
「そ、そんな事が……それじゃあ私のザリガニも……」
「いや、ザリガニは本当に食わせてねぇよ?」
にしても、まさかそんな理由でエーリカ高級シュワシュワを当てるとは……なんかちょっと感動だな。
「ねぇちょっと待って?この前のツアーって先月よね?私の高級シュワシュワが無くなった時よね?」
「………それじゃあ次の挑戦者!」
「ちょっと?!それやっぱり私のじゃない!カズマさんが盗ったんじゃないの!!」
「あっ、私盗品で慰められてたんだ……なにこれ凄く微妙な気持ち……」
ごめん。丁度手元にあったんでつい……
………………………
「えぇ〜、何故かカズマさんだけ好感度を下げ続けて居ますが、次の問題に参りましょう」
「それについてはメチャクチャ不本意ですけどね……」
シュワシュワの問題は全員が正解し、何とか企画の健全さは証明できた。と言ってもこれはサービス問題であり、真の戦いはこれからである。
「次は聴覚を試す問題です。冒険者なら、あらゆる危険を過敏に察知して対応して欲しいところ。と言うことで、危険な音を聞き分けろ!危険シグナル聞き分けクイズ〜!」
例の企画に乗っかるとしても、我々は芸能人ではない。冒険者として必要な力もテストしないと、これが悪ノリだとバレてしまう。身内は既に気付いて居そうだが、周りにバレなきゃそれで良い。俺の本命の企画だって、バレないからこそ楽しめる。
「冒険者の皆さんは、危険なモンスターと戦闘することが多々あると思います。そんな時、モンスターの遠吠えや威嚇音を知らないと、生存率は大きく下がるわけです。なので、皆様には恐ろしいモンスターの鳴き声と、人の鳴き真似を区別して頂きます。良い子の皆も、一緒に考えて下さいねー!」
「「「「「「はーい!」」」」」」
更に、こうして子供が加われば、間違いなくあいつらは抗議できない。
「では、最初はホワイトウルフの遠吠えからです。こちらはパネルを上げて応えてください。では、Aから!」
『おおぉ〜ん!』
「なんか思ったより野太い?」「遠吠えならもっと響く声じゃないか?」「比べなきゃ分からないかも……」
「いや、流石にそんな馬鹿なこと……」
魔道具から流れる声を聞き、子供達は自由に答えを予想する。普通に見れば微笑ましい光景だが、ダクネスだけがその問題に何かを感じているようだ。きっと聞き覚えがあるのだろう。その予想は当たりである。
「ては、続いてB!」
『アオ〜〜ン!』
「犬っぽい!」「でも、さっきのほうが強そうだったよ?」「真似するならこんな感じにする?」
「こ、これが本物だとするなら……やっぱりさっきのは……」
2つの鳴き声を聞き比べ、ダクネスの顔がどんどん朱に染まる。先ほど流れたAの遠吠えは、実は誰かが真似をしているものでは無く、偶発的に撮れたものなのだ。ちょっと激しめに愛してしまい、感極まった貴族令嬢から……
「獣っぽいのはAの方だと思うので、ボクはAにします!」
「獣と言うより、飢えたケダモノって感じでしたけど、私もAです」
「Aは流石に飢え過ぎじゃないかな?リアリティを感じたのはBだね」
「人がAの声を出せるとは思えないので、Bで!」
「ケダモノって……ケダモノってぇ…」プルプル
「えっ、ダクネスどうかしたのですか?!なんか顔色が凄いことになってますよ?!」
周りの反応を聞いたダクネスは、どんどん顔が赤くなっていく。アクセルハーツの為の企画ではあるが、俺が楽しまないとは言ってない。自腹を切って企画した以上、それなりに楽しませて貰うつもりだ。
「回答が出揃いました。正解は………Bがホワイトウルフの声です!」
「「「「えぇ〜!!」」」」
殆どがAを選んだ為か、この解答には不満の声が漏れる。だが
、ここにAの声を出した本人が居るわけなので、その回答は揺るがない。そして、これからのお楽しみを配慮するなら、ここらで軽くジャブを入れておこう。せっかく入念に準備したのだし、じっくり楽しませて貰おう。
「あっ、ちなみにこの声を演じたのはダクネスです」
「お、おいカズマ?!」
「ダクネスさんが演じたって……」「そんな器用だっけ?」「そもそも、ダクネスがこんな茶番に付き合うか?」「と言うより、ダクネスが叫ぶ状況なんて……」
「「「「「「あっ」」」」」」
その会話の流れで察したのか、うちの連中が一斉に俺の方を向く。その嫌な予感は大正解だが、今となっては逃げる事は出来ない。子供と後輩の見ている前で、そしてこの猛吹雪の中で逃げるなんて、残念ながら不可能である。
「さぁ、次の問題にいきましょう。、何処かのチームが10点取れば決着ですので、皆さん頑張ってくださいね!」
と言ったルナさんのルールの説明を受け、全員の表情が真剣になる。お楽しみはまだ始まったばかり、まだまだじっくり楽しませて貰おう。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
新年早々にこんな話ですみません。今年もこんな感じで参りますので、またお付き合い頂けたらと思います。
また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。