今年の抱負にアクセルハーツのエーリカとアイリスを掲げたものの、私の作品にエーリカはあまり出ません。なぜってガチャで来てないからです。
と言うことで、そろそろ頑張ってエーリカイベントです。またお暇な時にでもお付き合いください。
恋愛リアリティショー。それは日本で一世を風靡したバラエティの一種。リアリティとは書かれているが、当然それはテレビの企画。金と権力と視聴率により、完全に作られたリアルである。
「で、そんな企画にエーリカが応募しちゃったから、何とかぶち壊せないかと……」
「あぁ、流石に踊り子にこれは不味いと思ってな……」
このテレビのない世界でも、実は同じ様なイベントが存在する。それがこの『有力貴族の婚活イベント』である。あえて大衆に恋愛模様を見せることで、やばい地雷を避け、少しでもマトモな嫁を手にしようという魂胆である。
「こんなの財産目当ての悪女から多少マシなの探すだけのイベントだろ?なんでエーリカが参加してんだよ……」
「この『内面まで可愛いパーフェクト可愛い子を募集』って広告を見て「負けられないよね!」とか張り切りだしちゃって……」
「その広告も頭悪いけど、それ以上にエーリカの頭が心配になるな……」
しかし、どんな理由であれエーリカの参加は不味い。参加したのに貴族を振るとか、そもそも相手を選ぶ気がないと知れてしまえば、悪質な妨害として処刑されかねない。貴族にとって跡取り問題とは、それくらいナイーブな話題なのだ。って少し考えれば分かりそうなものなのだが、可愛いを前にしたらいつもコレだ。本当に、どうして俺の周りは地雷女しか居ないのか……
「私達も参加して、女同士でカップル成立してやろうかと思ったんだが、女性の参加には家事と社交性の能力が必要で……」
「リアちゃんは掃除でレッドカードだされて、ボクは社交ダンスでディスクォリファイング・ファウルしちゃって……」
「女同士もありなのかよ……何気にその判定基準がすげー気になるけど、まずお前らなんで受けたの?それ受かる可能性少しでもあった?」
「「……あったろ(よ)?」」
「いやねぇよ!」
この2人が役に立たない以上、エーリカを止めるのは俺しか居ない。とは言え貴族の社交の場をぶち壊す訳にもいかないので、やるなら目立たない方法でなければならない。
「仕方ない。あんまり気乗りはしないが、俺が直接乗り込んでくるか……」
「流石はカズマだ!頼りになるな!」
「うん!ぶっ壊す事には絶対的な信頼があるよね!」
おい辞めろ。本当に乗り気じゃないんだぞ。
…………………………
「我が国を支える有力貴族の皆様。本日はこちらの催しにご参加頂きありがとうございます。これから3日間は最高の警備が皆様をお守りしますので、ごゆるりと運命の相手をお探しください」
王家に仕えるベテラン執事の挨拶により、3日間のお見合い合宿が始まった。しっかり内容を確認した所、この企画は安全な環境での嫁探しの側面もあるらしい。嫁探しにさえ命懸けとは、有力貴族も大変である。
「それで、なんでお前が居るんだよキサラギ」
「ミツルギだよ!もはや故意なのは分かってるぞ!それに、僕だって魔王討伐に貢献した英雄だからね。それなりの地位はあるんだよ」
そう言えば、王都ではミツルギのほうが英雄みたいに扱われていた。実際にアレだけ活躍していた訳だし、そりゃ一般冒険者とはいかないだろう。だからって貴族なイメージも無いんだが、それはコイツの人柄である。
「それに、君を見てたら羨ましくなってね。エリス様と子連れで歩いている君を見ていたら、僕も家庭に憧れるようになったんだ」
「それで3人目を探しに?」
「僕の事を何だと思ってるのかな君は?!クレメアとフィオはそういう関係じゃないし、別にハーレムに憧れてる訳じゃないからね?!」
あれだけ好意を寄せられてるのにコレに来るって、あの2人も何かしらの地雷系彼女なんだろうか?とは言え、多分ここも地雷の巣窟だと思う。ダクネスにさえ見合いが来るんだから、ここに来るのは余程の訳あり物件くらいで……
「あら?坊やも参加してるなんて、これは楽しくなりそうね?」
「えっ……シルビア……さん?」
「は〜いシルビアです♪」
「えっと……本日は一体何の御用で?」
「む こ さ が し ♫」
「………ですよね」
なんてフラグを立てた矢先。ガチの地雷が現れた。もはや性別どころか生物としても怪しいラインだが、この企画は無事に終わることが出来るのだろうか。取り敢えず、俺はさっさとエーリカ連れて帰ろうと思う。
………………
「冒険者でソードマスターをやっています。ミツルギキョウヤです。どうぞ仲良くしてください」
「「「「「ミツルギ様〜!」」」」」
最初は自己紹介が必要だろうと、誰からともなく自己紹介が始まった。何となく予想はしていたが、やはりミツルギはメッチャモテる。いっそミツルギに落ちれば後から何とでも誤魔化せるのだが、当のエーリカはと言うと……
「カワイエリカです!皆に可愛いって思われたら嬉しいです!」キャピッ
「可愛い」「可愛い〜」「結婚したい」「結婚しよ」「と言うかアクセルハーツに居た気が……」
可愛いエーリカを日本語っぽくしてカワイエリカ。名前は勿論、眼鏡とウィッグだけで他人のフリをするなんて、いくら何でも無茶が過ぎる。と言うか普通にモテるのも駄目だろ。下手すりゃ引退コース真っしぐらじゃねぇか。
「会場の隅を陣取る変わり者が居ると思えば、まさかカズマが来ているとは……まだハーレムを増やすつもりか?」
「そうだな。ドレス姿の可愛いシンフォニア家の令嬢なら、今直ぐにでも貰ってやるよ?」
そして、やはり王家が開催するイベントである以上、半ば強制参加の連中も居る。ここでクレアに出会えた事は、ある意味では幸運だ。完全アウェイで動くよりは、明らかに動きやすくなる。
「か、からかうな!これは親と国王の顔を立てているだけだ!それにその……私はもう……お前のモノだろう?」
「よ〜し、分かったから可愛い反応は辞めろ。俺にはやるべき使命があるんだ。ここでカップル成立して退場になったら、ここに来た意味がなくなっちまう」
「ほぉ、それは中々に興味深い話だ。折角だから私も噛ませてくれ。正直お飾り令嬢には、飽き飽きしてきた所だからな」
…………………………
「お待たせしました。前菜のサラダでございます」
貴族のお見合いともなれば、当然のように教養が求められる。品格が無いと判断されたら、それだけで実質リタイアだ。恥を晒した相手を選べば、その家柄に傷がつく。と言うことで初日の夕食はコース料理。第1テストの始まりである。
「そして、エリカ様にはバナナでございます」
「なんで私だけバナナ?!」
しかし、それが今では好都合。エーリカがテーブルマナーを間違えてくれれば、それだけで嫁候補から外される。まぁ、普通に考えれば怪しさしか無いが、そこはやっぱりエーリカなので………
「エリカ様はその健康的な美しさを保つ為に、食事にも人一倍気を遣うと聞き及んでおります。そこで、肌艶が良くなり可愛い笑顔を作れるようになるこちらのバナナを…」
「ありがとう!いただきます!」
可愛いとか言っときゃなんとかなる。これはこれでとても不安だが、これでこそエーリカだと思う。ちなみに俺が給仕をしているのは、クレアの紹介のお陰である。
「私も同じ物を!」「私にも!」「肌艶が良くなるなら私も!」
「かしこまりました」
そして1人が誘いに乗ってしまえば、後はもう美容などのワードで芋づる式だ。これでエーリカと本物の貴族の差が歴然になるので、エーリカは品格不足でリタイア。アクセルハーツは安泰というわけだ
「えっと、バナナだったらフォークとナイフは要らない気が……って熱っ?!なんでバナナがこんな高温なの?!」
「こちらは身体に優しく笑顔に嬉しい蒸しバナナとなっております」
「そうなんだ?笑顔に嬉しいなら仕方ないよね。笑顔は可愛いの基本だし……」
いや仕方なくは無いだろう。というか笑顔に嬉しいって何だよ。自分で考えてなんだけど、エーリカって可愛いって付いたら脳の機能停止してない?
「ち、ちなみにこれはどうやって食べれば……」
「シルバーは外側からお使いください」
「やっぱりフォークとナイフなんだ……」
一応手前側に箸もあるんだが、とは言え加熱されたバナナなんて中々食うことはない筈だ。読者の皆さんもネットで「テーブルマナー、バナナ」とか調べているかも知れないが、絶対に人生の役に立たないので、無駄な事は止めたほうが良い。
「先ずは端っこを落として、皮は剥けるから……後は中身を……」
カチンッ
「………はっ?」
上手く対応していると思われたエーリカのナイフが、バナナの果肉に弾かれる。特殊メニューを出すだけでは、周りを見てのカンニングが可能。そこで更なる一手となるのが、このカッチカチのバナナである。
「内側はシャーベット状になっておりまして、よく噛む事で小顔効果が望めます」
「外側アッツアツなのに?!」
それについては俺も不思議だと思う。アイスの表面を焦がす感覚でやってみたんだが、ここまで高温になるとは思わなかった。魔法のあるこの世界において、実は料理スキルが一番の奇跡な気がしている。
「こちら、氷炎纏う禁断の果実(バナナ)でございますので……」
「なにその伝説級のモンスターを倒すクエストみたいな名前?!」
ちなみに他の貴族令嬢には、しっかりシャーベット状のバナナが出ている。じゃないと普通に無理ってなっちゃうからな。
「エリカ殿、食事の場で少々はしゃぎ過ぎですよ。こんなバナナなど、ナイフで容易に………はっ!」
スパァン!
「流石はシンファニアのご令嬢。マナーも卓越していらっしゃる」
「ソードマスターの太刀筋だったよ?!これ卓越してるのマナーじゃないよね?!明らかに戦闘スキルだよね?!」
「ふふっ、真のマナーを身に着けた者なら、コレくらいは朝飯前で……[ガッ]…あっ」
「がふっ!」
ガンッ!
「「「「「「ミツルギ様?!」」」」」」
と、ここでクレアの冷凍バナナがフォークに刺さらず、そのままミツルギの顔面を強打した。これではバナナが硬いとバレてしまうので、取り敢えず何か言い訳を……
「そ、そう言えば、ミツルギ殿はバナナアレルギーだったような気が……」
「えっ、物理的に当たってたよね?そんな弱点属性みたいなアレルギーある?」
「……ないですね」
あっ、そういうのはクレアに期待しちゃ駄目だな。こいつ根が素直過ぎるから……
……………
「ねぇ、やっぱりこの食事おかしいよね?最初がカチカチのバナナで、メインディッシュがラーメンなのおかしいよね?」
「異なる国の文化に触れるのも、貴族には必要ですから」
「テーブルの上まで異文化コミュニケーションなの?!」
エーリカに第1の罠を突破されてしまったので、そこで俺は反則的な裏技に出た。そう、最近では音を立てて啜るとヌーハラとか言われるラーメンである。
「僕は前菜から記憶がないんだけど、ここのコースは中華だったのかな……」
ズルズル
「流石はミツルギ殿。豪快にすすりますね」
「あっ、これ啜るのが正解なんだっけ……」
エーリカはラーメンを上手に啜れず、そもそも啜ると言う行為を可愛いと思っていない。となればマナーを守れず恥をかくのは確実であり、エーリカの計画もこれで終了。そして、万が一上手く啜れたとしても、「そんな音を立てて、はしたない……」って小姑クレアが追撃するので、もはや完全に積みである。
「ふーふー……はむっ!」
「エリカ様、女性がその様な……へっ?」
などと完全勝利を確信していたクレアの表情が、ここまで来て露骨に曇る。勢い良く麺の端っこを咥えた以上、噛み千切るのもマナー違反。もはや啜る以外ないはずだったのに………
「ん〜〜!」
ちるちるちるちる
「まさか、ラーメンを啜る姿まで可愛いだと……」
まさかのここでエーリカの可愛いが発動。顔を真っ赤にして必死にラーメンを啜るエーリカだが、不慣れ故にちょっとずつしか啜れて居ない。だが、それ故に啜る音は小さく、それでいて所作は問題ない。まさかこんな逃げ道があるとは、流石は可愛い万能説信者。変なところでレベルが高い。
「あの〜クレアさん?食べないと麺が伸びてしまいますが……」
「そ、そうですね。私もいただく事にします……んっ……あつっ…」
ちゅぴっ……ちゅるっ……ちゅ〜……
クレアも啜るのヘタクソじゃねぇか!それで良く文句言う役を引き受けたな?!
……………
「くっ、まさかこんな恥を晒すとは……またレインにポンコツだと笑われてしまう……」
エーリカの食事マナーを指摘する作戦は失敗に終わり、今は午後のティータイム。他の参加者が優雅にお茶を楽しむ中、俺とクレアは少し離れた席で作戦会議の真っ最中である。
「悪いがこっちは笑えないんだよ。クレアがエーリカを負かせてくれたら話は早いってのに、バナナでミツルギをKOするし、ラーメンも上手に啜れないし、シンフォニア家はそれで大丈夫なのか?」
「ば、馬鹿にするな!あれは状況が特殊だっただけで、私はとても高度な教育を受けているんだ!こんなカズマが適当に淹れたお茶なんて、私の手にかかれば………」
ゴクッ
「………………何でもない」
「俺、クレアのそういう素直な所は嫌いじゃないぞ」
ちゃんと美味しいと負けを認めるの可愛いな。まぁ、それで役立たずなのは困るんだが……
「随分と愉快な事をされているようでしたが、一体何をなさっているのですか?」
「レイン!お前も居たのか?!」
肩を落としたクレアの隣の席へ、突然レインが腰を下ろした。家柄は弱小貴族ではあるが、それでもレインは王女の教育係。有力貴族を集めた場に居ても、何ら不思議は無い。
「申し訳ございません。クレアが空回る所を見たくて、ちょっと身を潜めておりました」
「それを笑顔で言うな!」
「まぁ、相変わらずみたいでむしろ安心したよ……」
クレアへの態度は相変わらずだが、それでもレインが居るのは有り難い。こういう計略を巡らせる時は、クレアよりレインの方が向いている。
「アクセルハーツ解散の危機でな。良ければレインも手を貸してくれ」
「あら、それはアイリス様が悲しみますね。では、詳しい話を聞かせてください」
………………………
「ミツルギ様、是非私の淹れたお茶を飲んでください!」「私の方が美味しいですよ!」「私のお茶は元気になります!」
「えっ、変なの入ってたりしないよね?!」
茶会と言っても根底は婚活パーティー。細かな所へ注目すれば、女の戦いがそこかしこで起きている。これも理想の旦那を手にする為なのだが、1人だけ戦いの方が目的となっていて……
「皆も私のお茶をどうぞ〜」
「あら、貴方中々に気が利くわね?」「ふふっ、ミツルギ様を早々に諦めるなんて、身の程を弁えて居るじゃない」「どこの令嬢か知らないけれど、貴方とは仲良く出来そうね」「えぇ、実に殊勝な心掛けで……」
「「「「「何これ美味っ?!」」」」」
「やった〜♪」
「「「「可愛いっ!」」」」
結果的に首位を独走している。そりゃこんな飢えた獣の中に可愛いだけの子猫が居たら、人気が出るのも納得である。
「成程。これで告白を全て断ろうものなら、完全に冷やかしか嫌がらせ。身分のない彼女がそんな真似をすれば、最悪処刑もありえますね……」
「本当になんで参加したんだか……」
そりゃ一番可愛いを譲りたくないからなんだけど、説明出来る自信がないからあえて説明はしません。察してください。
「それで、レインには何か妙案はあるか?エーリカは可愛いの探求者だから、生半可な手で勝てる相手じゃないぞ」
「その職業は聞いたことがありませんが、確かに今の私達ではエーリカさんに可愛さで勝つ手段はありません。ですが、この企画は全部で3日。万全の準備をして挑めば、絶対に勝てない相手ではないかと……」
流石はレイン。この冷静沈着な状況分析は、何処ぞのポンコツ貴族と違って心強い。
「じ、実に残念ではあるが、レインが居たら私は不要だな。私は大人しく裏方に回って……」
「あらあら、クレアは何を言い出すのですか?私のような弱小貴族が色目を使うなど、それこそ身の程知らずにも程があります。なので、頑張るのはクレアですよ」
「「…………えっ?」」
俺、まだこのポンコツに頼らなきゃ駄目?
…………………
「とは言え、ガサツなカレーの妖精さんが料理も出来る大人気踊り子に勝てる筈もありません。そこで、我々の秘策は事前の準備です」
「おい誰がカレーの妖精だ。最近はシチューも作るだろ」
※ルーを変えただけ
レインの考えた策を実行すべく、俺達は台所の一角を借りている。何でも2日目は食事が出ないらしく、ここぞとばかりに女性陣の家庭的アピールが始まるそうだ。ちなみに女性人気がない貴族には、朝からクレアのカツカレーが待っている。そりゃクレアも結婚できねぇわ。
「と言うか、それなら貴族令嬢が沢山居なきゃおかしいよな?キッチンを借りた時も俺達だけだし、何処からも調理音がしないんだが……」
「それはそうでしょう。先に料理人に作らせておいて、それをあたかも自分が作ったかのように出す。貴族の考える家庭的とは、結局のところ見てくれだけの話です。当日の朝にコンロだけとか、大抵はそのレベルですよ」
「つまり、私の出来立てカツカレーはとても女子力が高い訳だ。分かるなカズマ?」
「女子力以上に胃への攻撃力が高いのがなぁ……」
とは言え相手は作り置きの食事。それ程のハンデがあると言うなら、確かに勝算はありそうだ。何よりエーリカはそこら辺の都合を知らないので、ここで決着を付けることも出来るはずだ。
「というか、俺達が仕込みをしているのに、それでもクレアはカレーを作るんだな……」
「当たり前だろ?食べた気のしない気取った料理より、美味しくて腹を満たしてくれる料理の方が嬉しいに決まっているからな!」
うん、それについては反論はないんだ。ただ朝からカツカレーが重すぎるだけで………
「はっ?!カズマ様困りました!この厨房には、パンケーキを作るうえで大切な物が足りません!」
「あっそう。オチ読めたから先に言うけど、生クリームはリットルでは要らないぞ」
「そんな?!それがパンケーキと呼べますか?!」
それ、むしろ生クリームとパンくずの関係だぞ。
「さっきからふざけてるが、お前ら真面目にやる気あんのか?」
「「でも、これは自分の食事ですし?」」
「実質全部俺頼りじゃねぇか!」
まぁ、ある意味安心したけどな!
…………………………
「それで、なぜ俺の寝室に集まるんだ?ゴールインしたら脱落なんだから、流石に今は不味いと思うが……」
2人の強烈な料理に囲まれつつ、俺は何とか簡単な弁当を仕上げた。その疲れを癒すべく用意された客室に来たのだが、風呂上がりの2人が居たらそれどころでは無い。
「明日の作戦会議がまだでしたから、まだ眠ってもらっては困ります。取り敢えず、クレアは何があっても物理で解決しないこと。カズマ様はクレアの力仕事を変わりにこなし、常にクレアの後ろに控えることです」
「それは作戦か?淑やかにしておけってだけなら、当日の朝でも良さそうだが……」
確かにクレアの言う通り、それだけなら部屋に来る必要がない。簡単に口頭で言ってくれれば……
「んっ?クレア、お前朝飯はどうするつもりだ?」
「決まっている。さっき作って仕込んだカレーの寸胴を食堂に担いで……」
あっ、成程これはダメそうだわ。
「淑やかなら寸胴は担ぎません。それと、朝からカレーも論外です」
「そ、そんな……」
そんなじゃねぇよ。自分で淑やかにって言ってたろ。
「やっぱりクレアには荷が重くないか?こいつに淑やかな所作が出来るとは思えないぞ」
「ば、馬鹿にするな!お題の紙とか指示があれば、どれも完璧にこなせるんだぞ!」
「覚えてるだけで身についてねぇの?!」
逆に凄いぞそれ!パーフェクトなマニュアルお嬢様じゃん!
「えぇ、最初から素のクレアでは無理だと分かっていました。直ぐに粗雑な態度が出て、何なら他の貴族に暴行を加える可能性もあります。ですが、それなら力を奪ってしまえば良いのです」
「力を奪うって、ドレインタッチでもするのか?そんな繊細なコントロールは出来ないぞ?」
「それは私も普通にイヤなんだが……」
そりゃクレアが消耗すれば危険性は下がると思うが、それは実質ダメージによるもの。不調になってドクターストップになっては元も子も………
「カズマ様なら、朝には立てて、それでも昼までは走れなくなる程度に加減して抱けますよね?」
「い、いきなり何を言い出すんだレイン?!そんな都合のいい話なんて……」
「誤差2時間で構わないか?」
「イケるのか?!」
確かに抱いての再起不能なら、不調にもならず紳士的。そして何より俺が楽しいのでこれを拒む理由はない。
「待て待て!この企画はゴールしたらリタイアなのだから、その方法だって不味い気が……」
「任せろ。声を出させないで明日の正午まで走れない程度の腰砕けになるまで抱くだけだから……」
「ちょっ!カズ……んっ……」
俺は可愛く抵抗するクレアの唇を奪って、そのままベッドへと横たえた。手荒な真似をせず問題の解決も出来ると言うなら、そんなのヤるしか無いだろう。それに、ドレス姿の新鮮なクレアなんて、このチャンスを逃したら何時抱けるか分かったものではない。
「あっ、折角なので腕力の減衰もして貰って、ついでに気性も沈静化、出来れば少し甘えん坊にしてくれると……」
「そこまで来るともはや洗脳だろ?!いくらカズマでもそんな技は……」
「了解、誤差1時間で仕上げる」
「出来るのか?!いやちょっと待て!私にも心の準備が………あっ……んん〜!」
はい可愛い〜!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ええっと、あれを買ってしまってハンターライフで更新が遅れました。本当にすみません。
ちゃんとここからは普段のペースに戻すつもりなので、またお暇な時にでもお付き合いください。