メルが人々のイメージで生まれたなら、他にも変なのが生まれて良い筈です。
ってことで、精霊でクソみたいな展開を1つ。
またお暇な時にでもお付き合いください。
精霊。それは万物に宿るイメージの形。魔法が当たり前にある世界では、案外身近な存在である。しかし、それがイメージの化身であるが故………
「くそっ!普段なら何の脅威にもならないと言うのに……」
「まさかここまでの脅威になるとは……」
その存在は、決して人に友好的であるとは限らない。
……………やりたくてやる人物紹介……………
サトウカズマ
皆さんご存知の主人公。富、名声、力、健康、妻、子供と海賊王より色々手に入れた筈なのに、人気と平穏だけ得られないでいる英雄。焼肉には炊き立てご飯が欲しいタイプ。
エリス
もはや義務教育で皆が知ってるヒロイン。神界のキングオブキュート。世界の平和と愛する人を手に入れ、既に結構満足している。生の牛タンに乗せられたネギを、どう焼けば良いのか今も分からないでいる。
アクア
これでも水の女神。何も得られてないように見えて、実は一番欲しいものはずっと近くにある。焼肉にはビール。トングを渡せば完璧な奉行っぷりを発揮する。
めぐみん
紅魔族の選ばれし貧乳。最強という名声と力を追い求める少年漫画の主人公みたいな娘。タレどころか焼肉の匂いだけでご飯3杯食えるが、カズマが気不味そうにするので肉も一緒に食べるように気を使っている。
ダクネス
領主の娘で変態ドM。富も名声も力もあるが、欲しいのは領民と家族の平和という根底は良い子。焼肉は上手に焼けないので、カズマが焼いた物を食べさせて貰っている。本人は甘えているつもりなのだが、カズマには気付いて貰えない。
スコール
メルの保護者わんわん。賢者と呼ばれるだけの名声はあるが、金も力もほどほど。焼肉は動物的本能でホルモンばっかり食べてしまう。
メル
電気属性とおっぱいくらいしか持ってない。焼肉なんて滅多に食べられないので、食べてる時は悪戯をしない。
…………………以下本編………………
「メルはとても良い子なんですって、無理矢理広めたらどうだろう?」
「ほぅ……また面白いことを言い出すじゃないか……」
ベッドに横たわるクールなモフモフは、メルの保護者兼友達のスコール。胃の穴は無事に修復できたが、消耗した身体の回復の為、まだ数日は入院らしい。そんな馬鹿な精霊問題を解決すべく、俺は保護者に相談に来たのだ。
「つまり、カズマも治療が必要になったと……それほどメルの悪戯は堪えるか……」
「いやそうじゃねぇよ!メルの悪戯はイメージから来るものだろ?だから、良いイメージを広めてやれば、アイツの性格も変わるんじゃないかと思ってな?」
この世界の精霊はイメージにより性質が決まる。それが原因で冬将軍やらメルが産まれたのだから、イメージを変えれば性格も変わるのでないか。そんな仮説を考え付いたので、実行前に保護者に相談に来たわけだ。
「確かにそれは一理あるし、実現可能なら反対はしない。だが精霊のイメージとは民衆のイメージだ。それを容易に変えられるなら、冬将軍なんて危険モンスターはそもそも生まれないんじゃないか?」
「おいおい。俺は冴え渡る頭脳で魔王を倒した英雄だぞ?群衆のイメージを変えるくらい、俺なら造作も無い」
「それは凄いな。それがもし本当に叶うのなら、メルも少しは生きやすくなるだろうさ」
うん、取り敢えずこれで言質は取ったので、早速作業に取り掛かろう。思い付きで考えたことだが、結構良い線ついてると思うし!
…………………………
「と言うことで、この内容を広めて貰えません?」
「ドヤ顔をかましておいて人任せなんて、それが英雄の振る舞いで大丈夫ですか?っとミサカは素直な疑問を口にします」
俺に冷たい目を向けるこのお嬢さんは、以前お仕事をした御坂のとこの妹。俺がここまで自信満々だったのは、1人で一万人分の認識を変えられる彼女の存在があったからである。
「そりゃ俺だって色々考えたよ?でも、メルがメルのまま愛されるには、勝手なイメージから解き放ってやるのが1番だと思ってさ……」(イケボ)
「それをカズマが言うと胡散臭くて、結果的に詐欺師に加担してるような気分になります。とミサカはカズマの資料に目を通しつつ、その不義を改めるように警告します」
うん、流石は御坂の妹だ。人助けとなりゃ手を貸してくれるし、それで居て馬鹿な要求はしない。やはり愛されるヒロインってのはこう言うのだよな。
「取り敢えず全ての資料に目を通しました。そして、丁度昼時なのでお腹が空きました。とミサカは見返りに異世界の美食を要求します」
「あぁ、飯くらいお礼にいくらでも奢るよ。何でも食べたいもの言ってくれ!」
流石は良識あるコラボ相手だ。ついでに細かな要望も入れ込んでおいたし、これでメルの子守も楽になる。
…………
「それで人の認識が変わって、メルさんの悪戯がこんな事に……」
「肩を叩いてからの〜………ほっぺツンですの!」
「もう、メルったら〜」
肩を叩いてほっぺをつつき、そして笑顔で笑い合う。屋敷ではしゃぐメルとゆんゆんの姿には、もはや可愛いの4文字しか浮かばない。流石は一万近く居るシスターズ、転生者の認識をここまで見事に書き換えるとは、予想以上の成果である。
「ボッチを狙って寂しさを紛らわせてあげるとは、悪戯する側にも配慮が見えますね」
「そうだろ?俺の作戦は良かっただろ?」
「確かにこれなら害はないけど……なんか悪戯があざとくない?」
「そりゃ友達が欲しいって本人も言ってたし、愛されるキャラの方が良いに決まってるだろ?」
「えぇ……女子には割とウザがられそうなんですけど……」
ミサカ妹に渡したメルの説明書には、皆に愛される悪戯っ子と書いてあった。つまり、このあざとい悪戯こそ、愛され精霊への第一歩なのだ。もし違ったらミサカ妹に修正を依頼すれば良いし、少なくとも以前よりはマシである。
「でも、事実として暴走は収まっているんだ。取り敢えず数日は様子をみようぜ。これが上手く行ってくれれば、メルに苦労する事もなくなるしな!」
………………それから3日後……………
「ねぇ、流石にこれは納得できないんですけど……」
「おいおい……女神が妬みなんて情けないぞ?」
俺の作戦は予想以上に上手くいき、今じゃメルはアクア以上に愛される存在となった。子供達からは悪戯の師として慕われているし、危険な悪戯もなくなり大人達も優しく見守っている。そして、これは本作戦の副産物なのだが……
「風の精霊、ちょっとテーブルの葡萄を取ってくれるか?」
「はい、カズマさん」
「あ、水の精霊と火の精霊はクリスのミルク用にお湯を沸かしてくれ」
「「は〜い」」
あらゆる精霊と呼ばれる存在が、俺の事を慕っているのだ。これはもうユリウス同様に精霊騎士を名乗っても良い。なんなら冬将軍も味方につけて、アインズみたいに軍隊を使役するのも夢ではない。
「私が気になるのはそっちよ!他の精霊ならまだ分かるけど、水の精霊は私の眷属よね?!それが何でカズマさんに懐いてるの?!」
「……人徳かな?」
「………何言ってるの?」
「マジのトーンは辞めろよ。これでも英雄だぞ?」
と言っても、実際には単純な仕掛けが絡んでいる。ミサカ妹に見せた資料には、可愛い属性の精霊のイラストと共に、「カズマが好き」と言う一文が添えてあった。ミサカ妹はそれを鼻で笑っていたが、それでもイメージせずには居られない。後は誕生した精霊を可愛がってやれば、最初から従順な使い魔の完成である。ありがとうアインズ。アルベドの件を参考にしました。
「ですが、精霊と良い関係を築けているのは良い事です。以前は人も精霊と共生して居たのですが、人が魔法を操るようになってからは疎遠でしたから……」
「へぇ、前はそうやって魔法を使っていたんだな」
そりゃ冒険者カード無しに魔法は使えない訳だし、科学がない世界じゃ精霊に頼るしか無かったのだろう。それが自分達の手で魔法が使えるようになって疎遠になるとは、ちょっぴり寂しい歴史である。
「エリス……それは歴史の教科書の最初の方に出てくる太古の話だぞ……」
「……そ、そんな前でしたっけ?」
「ギリギリ人は服を着てたような気が……」
「師匠、だとしてもそれも古代です」
女神の時間間隔ってやっぱり当てにはならないんだな。流石にそこまで昔の話じゃ、なんの参考にもなりそうにない。
「しかし、どうして今は疎遠なのでしょう?人間が魔法を使えるとしても、別に仲違いをする理由にはならないと思います。むしろ、精霊の強大な力を手放すなんて、昔の人はそんなに無欲なのですか?」
「無欲と言う訳ではないのですが………過ぎた力は身を滅ぼすと言いますか、上手く抑止力が働くと言いますか……」
めぐみんの至極当然の疑問に、エリスの言葉が少し濁る。そりゃ何事にも抑止力は必要かも知れないが、それを言い淀むのは何かがおかしい。もしその抑止力が危険なものなら、下手すると俺の身も危ないのだが……
「な、なぁエリス?一応参考に教えてくれ。精霊を囲い過ぎると一体何が……」
バァン!
「カズマさん!貴方の偽物が……カズマさんの偽物がアクセルの街に!!」
「あぁやっぱり……」「出るのね……この時代にも……」
「おい変なフラグ立てんな!まだ大事になるとは決まって無いだろ?!」
酷く焦っているセナさんと、どこか諦めるようなエリスとウォルバク。この女神2人の反応からして、恐らくこれは精霊絡みなのだろう。正直嫌な予感しかしないが、俺達は街へと繰り出した。
…………………………
「はぁはぁ……くそっ!偽物の癖に手こずらせてくれる!」
「無理しないでクレア!あれはかなりの難敵です!」
中央の広間に駆け付けてみれば、息を切らせたクレアとアイリスが居る。この2人で倒し切れない難敵など、それこそ魔王軍の幹部クラスだ。その難敵の姿が黒い俺とは、マジで質の悪い冗談だな。
「アイリス、クレア!悪いがそのまま引き付けてくれ!突破口は俺が開く!ウォルバク、あれが闇と光の精霊なのか?」
「えぇ、あれが世界最初の精霊である闇と光の精霊よ。多くの精霊を従える者が現れると、その者の闇として現れて、その種族に対して牙を剥く……まさに自然の抑止力ってところね……」
「そりゃ精霊魔法が廃れる訳だ。こんなヤバいのが全自動で現れるんじゃ、怖くて精霊は使えねぇよな……」
自身が魔法を使えない古代人にとって、精霊との敵対は相当なリスクだ。繁栄の裏に滅亡のリスクがあるのなら、そんな便利に精霊は使えないだろう。
「そうだ……許さん……許さんぞ人間……許さんぞクソハーレム野郎!!」
「…………へっ?」
許さんって言葉は何となく分かる。多くの精霊を行使すると言うのは、世界の理を侵す行為だ。それには俺も反論は無いが、ハーレムって表現は違うような……
「ちなみに闇と光の精霊にそんな使命は無いわ。ただ存在が身近過ぎて誰にも感謝されず、コンプレックスを抱えたまま長い時間を過ごし、感謝や畏怖を受ける他の精霊に「我は原初の精霊だから!」ってマウントを取ってる内に管理者を自称するようになったの。ただそれでカリスマが手に入る訳じゃ無いから、今は僻みで精霊にモテる人間を襲ってるのよ!」
「ただクソ迷惑な構ってちゃんじゃねぇか!!」
「黙れ人間!『カースド・ライトニング』!」
「これ絶対図星だろ?!」
足元に着弾した闇魔法の威力は、ふざけた見た目に反してえげつない破壊力だ。俺の姿を模しては居るが、その中身はやっぱり高位な精霊なのだろう。そんな厄介な奴が原初の精霊だなんて、任命した責任者は何やっているのか。
「ちなみに、闇だけに病み属性ってギャグが神々の中で流行ったの!まだ人の居ない世界で神々には流行れば、嫌でもその属性が引き継がれることになるわ!」
「そんな馬鹿みたいな理由でこんなことに?!誰だよそんなの考えた奴!!」
「…………アクアだけど」
「そ、そうだった……かしら……」
なんか大人しいと思っていたが、蓋を開ければこれである。お前本当に女神なの?魔王討伐してもこれ続くの?
「ち、違うの!あれは何も決まらない会議に嫌気が差したって言うか!潤滑なコミュニケーションにはアルコールがあった方が良いって言うか!」
「仕事中に飲んでんじゃねぇよ?!それであんなの生み出したなんて、お前どんだけやらかすんだよ!」
「流石にもう時効でしょ?!」
こいつ!せめて反省するか対策案を出すとかしろよ!マジで女神の人選どうなってんだよ!!
「『エンチャント・ダークネス』!あいつは黒い姿だとカズマの持つ無属性のスキルと闇魔法しか使えないわ!さぁダクネス、闇を纏った今の貴方なら、アイツの攻撃も怖くな……ってどうしたの?!」
「闇属性魔法にダクネスって……やっぱり闇属性みたいな名前だったのか……」
ガクッ
「どういうことなの?それ今更凹むこと?!」
「今更とか言うなぁ!」
そうだな。出会った頃からずっと闇属性みたいな名前だったもんな。OVAでやっと突っ込まれてたけど、皆ずっと思ってたぞ。
「ウォルバク殿!闇属性付与を私に!」
「『エンチャント・ダークネス』!頼んだわクレア!ほら、ダクネスも早く立ちなさいよ!」
膝から崩れ落ちたダクネスを飛び越え、闇を纏ったクレアが闇と光の精霊へと斬りかかる。流石はロリコン以外はエリートな騎士。こういう時の安定感は本当に頼りになる。そして、うちで最も頑張るべき前衛は……
「うぅ闇属性……」
「そんなに引っ張る話それ?!」
思いの外深いダメージに沈んでいる。まったく、なんでこういう時には興奮してくれないんだろう。都合の悪い性癖だな。
「お兄様!私達2人では余り長くは持ちません!何か突破口を開けませんか?!」
「何か考えてるから、あと少し頑張ってくれ!」
クレアとアイリスも善戦しているが、やはり高位な精霊はステータスが高い。そして、何より気になるのが俺のスキルだ。無駄に沢山取得しているので、下手するとマジで強敵かも知れない。
「闇と光の精霊とやら!こんな街中ではお互いに思い切り戦えない筈です。どうでしょう?ここは街の外に出て、全力で雌雄を決しようではないですか!」
「ほう……中々気概のある娘だな……」
めぐみんのこの堂々とした態度は、恐らく戦略的な面が大きい。街中に現れた難敵には、爆裂魔法が使えないのだ。だが街の外へと誘導できれば、アイリスやめぐみんのフル火力で倒せるかも知れない。流石は知能の高い紅魔族。中々良い作戦だ。
「原初の精霊を打ち倒した英雄……これはもはや魔王討伐以上の実績だと思いませんか?!」
「そう言われると凄そうだな……見た目にはDV旦那をぶっとばしてるようにしか見えないけど……」
違った。だが、理由はどうあれやる気のあるめぐみんは心強い。あのチート地味た威力の前には、細々したスキルの数など些末な問題だ。後は上手く誘導してやれば……
「だが断る!この男のスキルは乱戦でこそ生きるのだ!そして、人間が2度と精霊ハーレムを築かないよう、この姿で悪行の限りを尽くしてやるのが真の目的だしなぁ!!」
「思ったよりクソみたいな理由で躱された!あいつ本当に原初の精霊か?!そんなんだから支持率低いんだぞ!!」
「黙れ!どうせ0なら怖いものなんて無い!!」
「ある意味無敵だぞコイツ!」
駄目だ!予想以上に拗らせている!だが、俺のスキルを知っての行動だとしたら、この状況はかなり不味い!
「ふふふ……本人もギャラリーも集まったな……では、そろそろ本気で蹂躙を始めようか!『スティール』!」
「なっ?!」
「「「「めぐみん!」」」」
自衛手段のないめぐみんは、常にウォルバクやセレナ、ダクネスの後ろに控えている。それは状況としては庇護下であり、スティールの解釈により盗難対象に出来る。それを分かっていて温存するとは、本当に俺の
「は、離せ偽物!この真っ黒ク◯スケ!」
「さらっとジ◯リに喧嘩を売るのはやめろ!しかしどうだ?か弱いアークウィザードを盾にされては、貴様らも攻撃など……って痛い痛い!抵抗の頭突きと肘打ちが異様に痛い!なんだこの無駄に高いフィジカルは?!」
思いの外激しいめぐみんの抵抗に、精霊の拘束が不安定になる。とは言え人質の効果は抜群で、クレアとアイリスが攻めあぐねているのは確かだ。だが……
「痛っ!くっ!なんだこの的確な後ろへの攻撃は?!お前本当に魔法職か?!」
「なんか、めぐみんを人質してからの方がダメージ通ってないか?」
「お兄様は技量特化のステータス構成なので、あぁいう泥臭い戦いが苦手だからかと……」
なんだろう。自分じゃないけど、自分の姿のボスキャラが女の子に物理で負けてるのを見るのは少し切ないな。
「ひ、人質交換だ!『バインド』!そして、『高速リール』!(釣りスキル)」
「こ、今度はセレナさんが?!」
「くっ!謎スキルが多くては迂闊に接近できん!セレナ殿!何とか無事に……へっ?」
人質交換による新たな危機に、クレアとアイリスが咄嗟に手を伸ばす。しかし、その心配は徒労というか、こっち側に心配する人間は居ない。
「ぐふっ!拘束しようとしたら刺されただと?!しかもなんかヤバそうな薬が塗られているし!」
「さ、攫われそうになった勢いで懐のダガーと薬品が勝手に……」
「白々しいにも程があるだろ?!」
うちで1番ヤバい女を人質にするなんて、俺達から見れば酷い悪手である。
「良くやったセレナ!取り敢えずお前は『スティール』!」
「ちっ!同じ技で取り返したか!」
「いやなんか下着だけ取り残されてるんですが?!私の下着だけ人質のままなのですが?!」
「それは後で買ってやるから!」
にしたってこの状況はどうすれば良い?何度もダメージは与えているのに、アイツはまるで倒れる気配がない。と言うか、決定打を与えている感覚さえない。
「駄目ですのカズマ!光と闇を司る精霊は、これでも世界の根源を司る精霊!まともに戦っても、人間に勝ち目はありませんの!」
「ははは!流石は雷の精霊だな!我らの存在と言うものを良く知っている!そうだ、お前もどうせこちら側なのだ。いっそ私の方へ付け!」
「なっ!なにを馬k……」
「馬鹿な事言ってんじゃねぇ!」
「へっ?カズマ?!」
ただでさえ厄介な奴だって言うのに、更にメルを抱き込むだと!これ以上状況を厄介にされてたまるか!メルは絶対にこっち側に居て貰わなきゃ困るぞ!
「ほぅ?精霊を利用するだけの人間が、この状況でもその娘を手放したくないと言うのか?」
「当然だ!俺達は、利用する為にメルと一緒にいるんじゃないんだよ!」
「か、カズマ……」
だって利用したくても出来ないじゃん!そもそも俺の言う事なんて聞かねぇし!
「まさか、カズマがそこまでの男気を見せるとは……なら、私も負けていられないな!」
「ぐっ!離せこの脳筋が!!」
別に男気からの発言ではないのだが、これがダクネスに火をつけたらしい。ダクネスの剛腕タックルの前に、精霊の身体が拘束される。それが出来るなら最初からそれで良いと思うが、この間の悪さもいつもの事だ。で、そうなりゃやるべき事は1つである。
「『スキルバインド』!それじゃ、このまま街の外で爆裂処理してくれ。俺をベースにしてるって言うなら、防御系スキルはそれなり程度だ。アクアの支援を貰ったダクネスなら、間違いなく強度じゃ負けないからな」
「「「は〜い」」」
「いや待て待て待て!そこは自身の多様なスキルの恐ろしさとか、偉大な精霊への畏怖だとか、もっと話を引っ張る所じゃないのか?!」
「いや、別に俺のスキルは全部把握してるし、うちには女神が3人も居るしで、お前に畏怖を感じる理由とか無いし……」
「ちょっ!これだから人類はクソなんだ!我は原初の精霊だぞ!もっと扱い方をだな!おい待てマジでこれで終わりなのか?!いやいやナレ死は流石に違うって!」
ダクネスに引き摺られていく精霊を見送りながら、俺は手帳に文章を書き込んだ。「精霊は自分の意思を持ち、自分の意思で人と共に歩むこともある。そして、一応先輩にはある程度の敬意を払う」。この文面をミサカ妹に渡してやれば、精霊と人の関係も少しはマシになるだろう。それに、汚い手で人望を得るようでは、俺もあいつと同じだしな。
「さて、後はあいつらに任せて帰ろうぜ?俺達の家にさ」
「はぁいですの♫」
ちなみに、何故かメルがご機嫌な理由を、この時の俺はまだ知らない。この一件が俺達の関係を変えた事に気付くのは、まだもう少しだけ先である。
「『エクスプロージョン』!」
「ぎゃーー!!」
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
リアルが忙しくて更新頻度が落ちてますが、ネタは余ってるのでエタる予定はありません。また今後ともお付き合いください。