※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

タイトルで色々バレてますが、暖かい目でご覧ください。


この愛しき女神と婚姻を

皆様、いかがお過ごしですか。サトウカズマです。

僕は今、勉学の大切さについて考えています。

知識が欲しいとき、その場で身につけるのは困難です。

常に未来を見据え、事前に学ぶことで、避けられた困難もあったのではないでしょうか…主に、今とか…

 

「おいサトウカズマ…早く何か言い訳を考えろ!」

 

クレアに胸ぐらを掴まれ、俺の脳はフル回転している。

 

「なんでこんな時に情事に及んだ!しかも二人同時だと?!アイリス様に何て言えば良い?!」

 

「それは恋人たちの寝室を覗いては駄目だと言う教育を怠ったそっちにも責任があるだろ?」

 

「だから私も一緒に考えているのだ!」

 

はい。お察しの通り、アイリスに色々知られてしまったようです。ついさっき

 

「あの、お兄様はまだ結婚されていませんよね?!それなのに…ダクネスさんとクリスさんにあのような…なぜ私では駄目なのですか?!」

 

と言う反応をされてしまった。いやいや、お兄様は、アイリスの事も大好きですよ?

 

「それだけは許さん!アイリス様とお前のようなハーレム野郎が婚前交渉するくらいなら、私がお前を処刑してやる!」

 

おい!絞まってる絞まってる!

 

「落ち着きなさいクレア、これはカズマ様がクズだと分からせるチャンスです!いっそ関係を持った女性を全員並べてやりましょう!アイリス様も幻滅しますよ!」

 

レインの発想がヤバイ、AVか何かですか?

 

「おい、俺にやったみたいに薬でアイリスの記憶を消せないのか?お・れ・に、やったみたいに!」

 

「あんな薬をアイリス様に使えるわけ無いでしょ!」

 

「へぇ、アイリス様に使えない薬を、アイリスのお兄様には使うんだぁー?アイリスに言おうかな?」

 

「うう、それだけは!それだけは勘弁してください!」

 

レインはこれで黙るので、割と扱いやすい。

 

「その節は散々謝ったではありませんか…何ですか、まさか私を所望なんですか?!」

 

「レインが望むなら、一晩くらい考えなくもないよ?」

 

「なんで貴方が上から目線なんですか?!」

 

意外と新鮮だな。レインのツッコミ。

 

「冗談はさておき、俺は一応結婚をするつもりなんだよ。ちょっと順番とかの問題があって、遅れてるだけで」

 

「よしそれだ!式場の予約が取れなくて婚姻済みだが挙式が遅れた事にする!アイリス様は結婚可能年齢になってないからな!その理由で何としても回避するぞ!」

 

「いっそ、そのまま挙式をしてはどうですか?信憑性も上がりますよ?」

 

「それは良いな!すぐに式場の手配だ!おい、誰でもいいから最初の妻を決めておけ!アイリス様にうたがわれないよう、街を挙げて祝ってやる!」

 

いや、マジかよ……

___________________

 

「はい!じゃあ、私の挙式のプログラムを考えるわよー」

 

「意義あり!なんでアクアの式になっているのですか?!」

 

いつものリビング会議。議題はクレアとレインの発案により、届いてしまった挙式案内について。

 

「新郎がカズマさんで、新婦が空白…これを手にした者が最初の花嫁…と言う訳ですか…」

 

「おいゆんゆん、確認などと言ってずっと持っているじゃないか…まさかそのまま持ち去ろうなどと…」

 

「ち、違いますよ!」

 

策士のゆんゆんと、こう言うときも真面目なダクネス。そして、興味の無さそうなクリス。

 

「今の関係性から考えるなら…恐らくはクリスが一番相応しいと思うのだが…」

 

「えー?アタシもカズマも天涯孤独だし、こう言うのは影響力を加味してダクネスが行くべきじゃない?」

 

「影響力なら、マジものの女神である私こそ相応しくない?カズマさんも私が大好きなんだし!」

 

いや、これ会議で決まるか?

 

「カズマはどう思っているのですか?カズマの決定なら、全員が従いますよ?…たぶん」

 

「小声で多分とか言うなよ…突然こんなの貰って、俺だってどうしていいか…」

 

本音なんて決まってる。でも本人にその気が無いんじゃどうしようもないしな…

 

「あぁもう!少しギルドとウィズの店に行ってくる。こう言うときはいつも通りで居た方が落ち着くからな」

 

「そうですね。浮き足立って失敗するのが私たちですからね」

 

めぐみんの冷静さが、今は凄く頼もしい。

 

「ちょっとめぐみん?!なんで油性ペンなんて持ってるのよ!?」

 

「ちぃ!」

 

いや、アイツも駄目だったわ。

______________________

 

「さぁ張った張った!カズマの正妻は誰だ!一番人気はやっぱりクリス!最近いつも一緒の順当予想!パンツスティールは実はプレイ!ノーパンにされても近くに座るぞ!駄目な男にハマるタイプか?!」

 

ダストは何をしているのか……

 

「あ、カズマさん。新婦非公開とは言え、ご成婚おめでとうございます。ご祝儀不要で全額王族持ちと言うこの招待状は本当ですか?」

 

受付のルナさんの手には、王族の紋章が書かれた謎のビラ。いや、どんだけ盛大にやるんだよクレア。

 

「王族からのプレゼントらしいです。俺も正直驚いてます」

 

「本物なんですね!やはり相手はクリスさんですか?」

 

「いえ、実はまだ…」

 

「そうですか…やはり政治的なからみがあるんですね…」

 

政治と言うか、痴情のもつれと言うか…ある意味では宗教的とも言える問題が山積みなんです。

 

「カズマさん、彼氏のいない私がこんなこと言うのは生意気かもしれませんが…私は、世界一愛してる人を、自分の手で選ぶべきだと思います!権力にも、カズマさんは勝ってきたじゃないですか!」

 

「ルナさん…そうですね!俺、どんな手を使っても一番大切な人を連れていきます!」

 

「はい!その意気です!」

 

意外なところで背中を押してもらった。俺は今までだってどんな手も使ってきたんだ!今さら手段を選ぶような男じゃない。

 

「私も、クリスさんに一万エリス!」

 

え?まさかそれの為に?!

 

「二番人気はやっぱりこの人!アクア!何だかんだ一緒!何かやらかしても見捨てない!あのカズマが絶対に切り捨てない!アクアに惚れてなきゃあり得ねぇ!見た目だけは一級品!」

 

いや、これ考えたのか…え?!30位まで居るの?誰だよ後半!

 

「おいダスト」

 

「お、カズマ!見たぜ招待状!おっとまだ新婦は言うなよ?賭けが成立しねぇからな!」

 

「これ、俺も賭けて良いか?」

 

「いや、ダメだろ…それはお前…反則だし」

 

他の連中に見えないように、エリスと書いた紙と10万エリスを渡す。

 

「…いや、お前マジかよ…流石にこれでかけた奴は居ねぇぞ?!」

 

「俺はこの可能性に賭けたいんだよ。こう言うのって、誰も当てなきゃこっちの総取りだろ?」

 

「…分かったよ。俺も一口乗ってやる!行ってこいよカズマ!他の当選ゼロなら俺らで山分けだ!」

 

「おう!必ず勝ち取ってやるからな!」

 

こうやって、形に残して自分の逃げ道を塞ぐ。正直、魔王に挑むより緊張している。でも本気で望むならやるしかない。今やれることをやりに…

 

「続いて三番人気は赤ちゃん欲しいで話題のゆんゆんだ!今はパーティーの仲間入り!これはもう居るんじゃないか…第一子!」

 

うん、ちょっと全員分聞いてみたくなるわこれ。ゆんゆんってそう言う扱いなんだ。あと、まだ子供は居ないよ?

___________________

 

「おい小僧…いくらなんでも吾輩に結婚の相談は違うだろ…」

 

「それくらい分かるわ!俺が欲しいのは指輪だよ!」

 

そして、結局ここへ来てしまう。もはや習慣だ。

 

「ほぅ…なるほど作るのか?」

 

「あぁ、自分で作りたい」

 

この街にはそんな高級店はない。それに、街中で騒がれているなら、下手な行動で本人にバレる可能性もある。そうなれば、多分エリスは辞退するだろう。

 

「最高の逸品を贈るとなれば、材質は最高峰のミスリルかアダマンタイト、伝説のコロナタイトもありか?」

 

「普通にプラチナとかで良いんだけど…華美な装飾も無しで良い。多分、そんなキャラじゃない」

 

「白金…それなりの高級品ではあるが、材料ならここにあるな…」

 

「え?なんで?」

 

ここ、魔法具店だよな?

 

「こちら、白金を使用した魔法のチョーカーである!」

 

「例の呪いのアイテムじゃねぇか!なんでそこに白金使ってんだよ!」

 

「失敗して死ぬなら、せめて高級品では死にたいと言う要望を叶えた逸品らしい。死ぬなら確かに金を残す必要はないが、そもそも死ぬつもりで買う商品では無いゆえ、返品予定だったのだ」

 

「ほんと、この店はソフトクリーム無かったらどうなってたんだよ…」

 

「吾輩もそれは考えたくない…小僧の商品も、貧乏店主に売らせると微妙な売り上げにしかならんのだ…同じものを別の店舗で売れば5倍は売れるのだが」

 

ウィズ、どういう事だよ…

 

「でも材料が揃ったのはありがたい。いくらだ?」

 

「5本ほどただでくれてやる。いつか、必要な時に借りを返してくれれば良い」

 

「何を頼まれるか考えるのが怖いぞ…今はありがたく受け取っておくけど…」

 

「ふむ、そうするがいい。小僧への貸しは下手な現金より利益を生むからな!」

 

材料は揃った。さて、何処かで鍛冶場を借りないと…

あれ?待て、その前に…

_____________________

 

「それで私に相談ですか?」

 

「すみません。指輪のサイズってどう計るものかも知らなくて…」

 

テレポートで天界に、そして天使に頭を下げる。

 

「仕方ありませんね…カズマ様が女性に指輪を贈る機会など経験したはずもないですし」

 

「すみません。せめてオブラートとか…」

 

ッス(お薬オブラート)

 

「馬鹿にしてんのか?!」

 

「お茶目な天界ジョークです。私よくオブラートが足りないと言われるので常備してみました」

 

もうやだこの天使!

 

「しかし、エリス様の指ですか…実はエリス様はそういった装飾品を一切着けませんので、私も知らないのです」

 

「そうですよね…」

 

「直接聞きますか?」

 

「流石に遠慮されそうで…ほら、地上への降臨もなるべくしないですし…他の女の子に遠慮しますし…」

 

「そうですね。形や物にこだわる方でもありませんし…あ、カズマ様、このチョーカーを1つ貰っても?」

 

「まぁ、2つもあれば指輪は作れるので、どうぞ。それはこう言う類いの呪いのアイテムです」

 

「私が触れて解けない呪いと言うことは、この機能は心からの愛か善意で作られていると言うこと…ヤバイ人が居るのですね…」

 

マジかよ。怖いわひょいざぶろーさん。

 

「いっそ、エリス様の私物から推測できませんか?」

 

「なにか思い当たるものが?」

 

「それは探さねば分かりません」

 

と言うことでエリスの部屋に通されてしまった。

 

「勝手にいいんですか?」

 

「ここは休憩室みたいなものですから」

 

「あ、なんだそう言う部屋なんだ…」

 

女神にプライベートルームは無いのだろうか?

 

「そうだ。これ、知ってますよね」

 

「これは…ドラクエじゃないか!うちにもあったぞ」

 

「エリス様はカズマ様と「死んでしまうとは情けない」って楽しくお喋り出来た思い出を忘れないように、このソフトを日本で買ったのです」

 

「そんな…」

 

「エリス様は悠久を生きる女神。貴方は短命の人…エリス様はカズマ様を絶対に忘れない為、こうやって思い出を形で残しているのです」

 

「俺の指輪も、残るかな…」

 

「それは、カズマ様次第ですよ。私はきっと残ると思っています…」

 

俺は絶対にエリスを幸せにしよう。たとえ天使になれなくても、俺の魂が消えるとしても、悠久の時に楽しかった思い出として記憶に残ってやる。

 

「カズマ様、こちらはご存じですか?」

 

「これは…本棚と、え?パソコン?!」

 

「エリス様はカズマ様との話題に困らないよう、現世に触れて居るのです」

 

「俺の使ってたのと同じだ!マジかよ…エリスはそんなに俺を…ん?ちょっと待て?傷も何もかも同じなのはおかしくないか?!」

 

「え?!カズマさん?!」

 

あ、エリスが来た。

 

「貴女が私室に通したのですね!なんでこんなことを!」

 

おい、やっぱり私室じゃねぇか!あれか?お前にとっての休憩室ってことか?!さっきのドラクエの良い話も作りやがったな!

 

「カズマ様の遺品に使い方が分からない物があったので、お尋ねしようと…」

 

「これ、やっぱり俺の遺品なんですか?」

 

エリスは気まずい顔で答える。

 

「その、カズマさんのご家族が、カズマさんの本やパソコンを捨てようとしたんです。愛する家族が死んだのに…思い出をこんな…だから私が回収したんです…」

 

「そうですか…」

 

「すみません…黙っているつもりでした。つらいですよね…」

 

エリスは勘違いをしている。このパソコンと本棚を捨てたのは親父が情けをかけたのだ。だってこの中身って…

 

「で、エリスはこの中身を見たのか?」

 

「………あの、カズマさんに嘘をついたら何かありましたっけ?」

 

「エリスが信じられなくなるかも知れないです」

 

「…………ちょっとだけ」

 

そっか、見られたのか…

 

「エリス様…俺はもう充分生きました。貴女と出会えて、充分幸福な人生でした。……死なせてください!」

 

「だ、駄目です!私と一緒に生きてください!」

 

「その一緒に居たい女の子に全性癖が晒されたんだ!殺せぇ!」

 

この本棚とパソコンには、俺のお宝がたくさん眠っている。だから親父もこれを棄てたんだ。確かダブルフ○ラも精液の口移しもこの中に入っている。

 

「なるほど、カズマ様の性癖の集合体でしたか…さて、私も一冊…」

 

「うおぉ!やめろぉ!」

 

「ん?電気工学?」

 

セーフ!その本棚にはブラフで貰い物の真面目な本も適当に入っている。

 

「カズマ様は電撃攻めで女性を苛める上級者なのですね…ヤバいですね…」

 

「え?私も痛いのは嫌ですよ…」

 

「違う!そうじゃない!」

 

駄目だ。こんなものここに置いておけない!

 

「エリス…この本棚は俺が持って帰って良いよな?!」

 

「えっと…誰かに譲渡しないなら…」

 

俺と一緒に居るときなら見せても良いかも知れないが、勝手に晒されるのは勘弁して欲しい。

 

「エリス様これなど普通で面白いですよ」

 

天使はそう言うと、エリスの左手におもちゃのマジックハンドで握手をした。俺の本棚は実質物置とされていた段もあるので、こう言うのも入っている。

 

「ふむ、指の太さもエリス様とほぼ同じです。今後、性欲魔人のカズマ様が汚らわしいと思ったらお使いください」

 

「私はそんな嫌味なことしません!」

 

この天使は…しかし、確かにエリスの指はこのロボットハンドの指とほぼ同じ太さだ。それに関しては良くやった。

 

「ところで、エリス様はカズマ様と挙式しないのですか?招待状を頂いたのでしょう?」

 

「…結婚とは愛し合う二人が、私に愛を誓うこと。私が出れば人界を乱してしまいますし、もっと相応しい相手が居ます」

 

やっぱ積極的では無いか。

 

「カズマ様、やはり難しいですよ…」

 

「だから言ったじゃないですか…」

 

本棚の前で屈み、小声での会話。天使が駄目だと他に手が思い付いてない。何か無いのか?何か!

 

「しかし私も一流の天使!暗躍はお任せください!」

 

「天使に暗躍って、一番組み合わせちゃ駄目だろ!」

 

エリスは半ば呆れ顔で天使を見ている。いきなり暗躍とか言い出した同僚が居たら、俺も同じ顔をするだろうけど。

 

「ほら、ここのモノはカズマさんにお返しするのですから、もう貴女の玩具ではありませんよ?諦めてください」

 

そう言ってパソコンに手をかけ…

 

「ただ…コンセントはそちらの世界にはありませんし…これはそのままでも…」

 

「わかりました。では…」

 

手早く電源を入れてパスワードを設定した。

 

「これで開けませんから…安心ですね」

 

「…そ、そうですね…安心ですね…」

 

なんで残念そうなんだよ。えっちな動画をもっと見たかったのか?!ダブルフ○ラと口移しを知ってた段階で結構奥底まで見たのはバレてるからな!

 

「ではカズマ様、ご足労頂きありがとうございます。用が済んだので帰ってください」

 

「えぇ、冷たい…天使なのに冷たいこの人」

 

なんて普段のやり取りの中、天使が少しだけ小声で話す。

 

「武神様ならば、人望もあります。外堀を埋めるならそこからですよ」

 

「…了解」

 

今はこの天使を信じておこう。

 

「ところでエリスは休暇中だよな?なんでここへ?」

 

「…カズマさんの遺品を整理しに…」

 

はい、エッチなお勉強お疲れ様です。

 

「よし、俺は戻るよ。エリスは?」

 

「わ、私はカズマさんの決めたパスワードが万全かを確認してから戻ります」

 

開けようとしてるじゃん…

 

「取りあえず、本棚は自室の場所を確保したらテレポートで取りに来るから」

 

そう言ってエリスの私室を出る。そして死者の間へ

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「女神を策にはめようってお前…魔王かよ…いや魔王もやらねぇよ…」

 

武神のおっちゃんは俺の相談に驚いている。

 

「強引かもしれないけど、一番最初はエリスじゃないと嫌なんです」

 

「…分かったよ。もしエリスの嬢ちゃんが新婦になるんだったら、俺が父親代わりにアイツの手を引いてやる。他の神達にも手伝うように頼んでやるよ。まぁ駄目でも人界の飯がタダなんだ…他の奴らも文句は言わねぇだろ」

 

「ありがとうございます。この恩は生涯忘れません」

 

「でもよ、そっちにはアクアが居るんだろ?アイツも説得しないと、割り込んで来ないか?」

 

「割り込みそうな奴は何人も居るので…こちらで手をうちます…」

 

「何人も?!お前の周りの女ってすげぇな…」

 

これで頼れる相手は全部だろうか…天使が何をするかは不安だが…

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「別にエリスがちゃんと来るなら私は次でも良いわよ?」

 

アクアに相談したところ。思いもよらないほど簡単に承諾されてしまった。

 

「え?良いのか?一番に拘ってなかったか?」

 

「そりゃ、カズマさんの一番は私よ!でも、王室が用意したのってエリス教会なのよね…」

 

「あ、そういう…」

 

「私の時はアルカンレティアで、盛大にやりたいじゃない?」

 

そういう話なら断る理由はない。俺も混浴楽しめなかったしな…

 

「それなら高い宿に泊まって、最高の食事と最高の酒があっても良いよな。観光も出来るもんな!」

 

「話が分かるじゃない!それなら今回はエリスに譲るわ!それに女神に人間の神父なんて付けられないから、私が神父役をやってあげる!」

 

「大盤振る舞いだな。良いのか?いつもライバル視してるのに」

 

「別に…後輩の個人的な幸せくらい。私だって祝福してあげるわよ」

 

なんだよ。アクアってこう言うときは良い女じゃないか。

 

「あのね?それでも一番最初を我慢するわけだし…カズマさんのお願いとして聞いてあげてる訳じゃない?」

 

「そうだな。何か要求があるなら聞くぞ?」

 

と言っても、多分酒の要求だと思うが

 

「カズマさんの手料理でお酒が飲みたい」

 

ニアピンではあったが、手料理と付くと可愛い要望に思えるのは何故だろう。

 

「つまみか?そう言えばレシピだけ色々貯まっていたしな…たまには家で飲むか?」

 

「そうね。今日はうちで飲みましょうよ!ついでに話もしてあげるわ!」

 

アクアのこう言う所、この関係を保つ上で結構重要なように感じるのだが、本人は意識してやっているのだろうか?いや、無意識なのが、アクアの魅力なんだろう。きっと…

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「カズマさんに相談して決めたの!この新婦はカズマさんに選んで貰いましょう!」

 

「なんでそれをここで言わないのですか?手っ取り早いでしょうに」

 

晩酌の席、アクアは早速この件を全員に伝えた。エリスの事は伏せている。多分、バレると辞退されて念押しされそうなので…ちなみに、めぐみんの反応も想定内。

 

「今回の式は王族が主催。つまり、格式張ったモノだと思うのよ。確かにカズマさんと結婚はしたいけど、キャンセル不可で向こうの決めたやり方を見て、気にくわないって人も居ると思うわ」

 

確かに、その可能性もある。

 

「なるほど、この条件で挙式に挑めるか、カズマが確認して問題なかった人が今回の相手と言うわけですか…」

 

「急な話だしな。生涯一度の挙式で妥協を許せないのであれば、ちゃんと二人で考えて個別で式をあげようと思ってる」

 

「ちなみに、私はアルカンレティアの大聖堂を使って、最高のホテルで会食を希望するわ!」

 

いや大聖堂?!金額やばくない?

 

「紅魔の里で挙式でも良いですか?!」

 

アクアの話に、即座に反応するゆんゆん。

 

「そりゃそうだろ。俺に身内は居ないんだ。ゆんゆんの故郷でやりたいって言うならそれも構わないぞ?」

 

「そこにアクセルの友人を招待しても良いですか?!」

 

「お、おう。全然構わない」

 

なるほど、少ない友人は招待して、式は里で開催する。ぼっちじゃなくなったアピールが出来るって訳か…

 

「私は紅魔の里でやりたいので、今回はお譲りします!」

 

という事でゆんゆんは納得した。

 

「では、どうせクリスだと思いますが、ちゃんと計画を立てるんですよ?私も爆裂魔法が撃てる式場を探します!」

 

そもそも式場で撃つもんじゃねぇだろ…それ

 

「えぇ?!アタシは湖畔とかの静かなチャペルで結婚したいのに…」

 

何それ可愛い。盗賊なのに乙女だ。女神の方の願望かな?

 

「……え?意外と具体性ある乙女なのねクリス」

 

「意外なギャップに、不覚にもきゅんとしました…」

 

中身がエリスと知らなかったら、俺もアクアとめぐみんに同意だったと思う。

 

「うぅ、乙女でも良いじゃん…そんなことギルドでも言われたし…」

 

例の賭けだろうな…それ。

 

「もうこの街ではカズマさんの最初のお嫁さんを賭けて凄い金額が動いているらしいですからね…私が3番の理由がまた…嫌な過去を掘り起こされてて…」

 

そう言えば、皆は自分の謳い文句を聞いたのだろうか?俺も聞けてないな。

 

「あぁ、私の事をドスケベボディ代表とか、権力代表とか言っていたので、ダストは締め上げておいた。全く…」

 

ダクネスの評価そんな感じだったんだ…

 

「めぐみんが異様に低かったのよね…なんでかしら?」

 

「まだ婚姻可能年齢前だと思われてました…何ですか合法ロリって!」

 

確かに見た目はロリッ娘だけど…

 

「セナ検察官も入ってたよ?大穴で…」

 

クリスも興味あったんだな。それとも、エロ動画を見られず諦めてそっちに行ったのか…

 

「赤ちゃんおねだりのゆんゆんが番狂わせって盛り上がってたわね。そりゃ出来ちゃったら確定だもんね」

 

「あれはあるえのせいなのに……その…今は本気で欲しいですけど…最初はお、女の子でも…良いですし…」

 

アクアにいじられ、回避と見せかけた見事なアピール。積極的になったなゆんゆん。知能の高さは伊達ではない。

 

「あざといですね…ぼっちが遺伝する可能性を加味するなら、男の子の方が良いのでは?行き遅れの心配が無いですよ?」

 

「私は行き遅れてないもん!それに、ぼっちは遺伝しないわよ!」

 

ぼっち体質の自覚はあるらしい。

 

「まぁ、私の子供には、ゆんゆんの子供と仲良くするように教育してあげますよ」

 

「…めぐみん」

 

「ですから、私の子供が先ですね。ゆんゆんの子供が孤独な幼少期を過ごさないためにも!」

 

「あぁ!最初からそれを狙ってたのね!ズルい!やっぱりめぐみんはズルい!」

 

やっぱり、俺はこのメンバーでこうしている時が幸せなんだろうな。神様!既にハーレムなのにエリスの派遣。ありがとうございます。エリスの意思を無視したとか勘違いしてすみませんでした!天使も頑張ってくれているし、天界って良いところなんですね!

_______________________

 

そして挙式当日…先日の天界への感謝の気持ちは、完全に後悔に切り替わっていた。

 

「やべぇよ…結局天使を信じてエリスに何も言い出せてねぇんだけど?天使の暗躍って一体なんだよ!結局なんの連絡もないぞ?!」

 

「カズマさん…駄目だったら、私がそのまま結婚してあげるわ。だから、あの天使を…いえ、その周りの神様を信じて待ちなさい」

 

俺とアクアは待合室で慌てていた。そこに一筋の光と共に

 

「そうです。私を信じて待っててください」

 

期待してない方が来てしまった。

 

「ねぇアンタ!そもそも天使としての職務も雑なのに、こう言うサプライズとか出来るわけ?この指輪、よく見たらちゃんとカズマとエリスの名前が掘られているの!これを私がつけるなんて嫌よ?!」

 

アクアの当たりが強い。俺も自分で何とかするべきだったと少しだけ後悔している。

 

「ご安心くださいアクア様。私の根回しは万全です。ほら、カズマ様は途中まで成功している事が分かりますよね?」

 

「…なるほど、確かに途中までは成功してる」

 

誰と挙式するとしても、クリスが来ない筈はないが、関係者席で見かけていない。

 

「まぁ、ご安心ください。命がけの作戦は既に遂行され…」

 

「どういう事ですかぁ!」

 

あ、来た。降臨の光って1秒未満でも良いんだ。

 

「やってくれましたね!このチョーカー、もう既に絞まってきてるじゃないですか!」

 

あの呪いのチョーカーをエリスに!命がけってエリスの命なのか?!

 

「ゼクシィを読んでるときにそれを付けられた以上、エリス様の未来は決まりました。そして、内側に布を縫い付けてあります。絞まるのに4日も不要です」

 

「私の机にあの本があった時から、そんな事だろうと思いましたよ!他の神々はどうしたと言うのですか?!貴方が全員を不在に出来る筈がありません!」

 

このチョーカーだって、神様探せば取れそうだしな。

 

「分かりませんか?私では確かに神々を動かす事は出来ません……しかし、エリス様ならどうです?」

 

「まさか変装を?神々を騙したと言うのですか?!」

 

だとしたら大事件だろ…それにしても、この天使は本当に暗躍が似合うな…実は悪魔側の人材なのでは?

 

「いいえ、そんなものバレて然るべきです。では答え合わせと行きましょう?」

 

「えっ?はっ?!」

 

ガシッ!

突如現れた人とは思えない動きをする人達、そもそも彼女たちは人なのか?

 

「本日は当式場のご予約ありがとうございます!そして、ご成婚おめでとうございます!」

 

「ちょっと!あなた美の女神様ですよね?!」

 

「はい、美の女神と呼ばれたメイク担当です」

 

「ご本人ですよねぇ?!」

 

なるほど…抱き込んだのか…エリスの為と言うことにして

 

「エリス、大人しくして、採寸が…地味に育ってきた胸が採寸できない」

 

「貴女も織物の女神ですよね?!」

 

「いえ、私はしがないウェディングドレス職人です」

 

「人は挙式当日にウェディングドレスを仕上げたり出来ません!あと、胸は順調に育ってますからぁ!」

 

これは凄い面子が揃っている。ちなみに、胸は俺が育ててます。

 

「ごめんなさい!私もこんな方法はどうかと思ったのよ?」

 

「封印の女神様?!ちょっと、まさか私の力を封印してませんか?!」

 

「え?じゃないと逃げるでしょ?今日だけなら…私の封印は万全よ!もう封印は時間稼ぎなんて言わせないんだから!」

 

「ご免なさい!もう封印だけじゃ不安なんて言いませんからぁ!」

 

天使ってスゲーな…こいつ下手したらクビだろ…

 

「契約の神も巻き込もうと思ったのですが…今回はエリスの先輩であるアクアがやると言うので、神父はお任せしますよ」

 

美の女神からしたら、アクアも後輩なんだな…

 

「よ、良かったわねカズマさん…私が居て」

 

「契約の神様かぁ、それはそれで凄いご利益ありそうだな」

 

アクア的には苦手な人なのだろうか?

 

「ちなみに、エリス教の誓いの言葉を契約の神に誓った場合、エリス以外に反応したらアレがもげるわ…」

 

「加減を知らねぇのか?!」

 

嫌すぎるだろ。不貞への対応それか?!

 

「ほらカズマさん、あとはプロに任せて。私達は聖堂に行くわよ。エリスの着替えも必要なんだから」

 

「お、おう…なんか大事になったな…」

 

「分かりました!もう参列しますからぁ!」

 

エリスの叫びを背中に、俺は素直に聖堂へ向かった。

__________________

 

聖堂に並べられた大量の椅子と、そこに座る街の人達。一番先頭の椅子にはパーティーメンバーが座っているハズなのだが…やたらと背もたれが高い。

 

「なんだよこの椅子」

 

「カズマさんの嫁当てイベントのために、花嫁のベールを外すまでは答えが分からないようにしてるんですって」

 

「こら、小声で話すんですよ。ゆんゆんに賭けた人が先に敗北とか、白けるじゃないですか…」

 

「え?どんな大事になってんの?!」

 

これ、いくらの金が動いたんだよ…

 

「あぁ!アクアは神父じゃねえか!」「くそぅ!ふざけんなよ!」「いや、待て!キスまで分からねぇぞ?アクアが横から奪う演出かも?」「あぁ、アイツならやるかもな…」

 

この賭けの判定は誓いのキスで決まるのか?!流石に不謹慎過ぎないか?!

 

「合図が来たわね……新婦入場!皆、拍手で出迎えなさい!」

 

アクアが威勢の良い掛け声をあげる。冒険者達はその声に盛り上がり、後方のドアに視線が注がれた。

 

「こいよ!ダクネス!」「大穴のセナ検察官!」「私はここに居ますからね?!」「バカクリスだろ!」

 

もはや結婚式のノリではない…ドアが開き、人間とは思えない大男、武神が先に皆の目に止まる。その後ろ、純白のウェディングドレスに包まれているのは、きっとエリスだ。

 

「父親は…いや誰だ?!」「ダスティネス卿じゃねぇよな?」「紅魔でもないぞ?」「クリスにもアクアにも似てねぇ!」「意外とイケメンだわ!」「ナイスミドル!」「たくましくて素敵!」「仕上がってるよ!」

 

武神様、女子の反応に顔真っ赤じゃないですか…ピュアなんですね…でも、約束通り俺の隣にエリスを連れてきてくれた。

 

「あとは、しっかりな…」

 

「ありがとうございます」

 

武神様が席に付くと、アクアが真面目な女神の顔になった。

 

「汝サトウカズマ、貴方はここに居る女性に、心からの愛を誓い。健やかなる時も、病めるときも、決して離れず、愛し続ける事を誓いますか?」

 

「ちがっ…誓います」

 

噛んだぁ!!

「ちょっと、なんでそこで噛むのよ!ぷーくすくす、私を笑わせないでよ!」

 

「絞まらねぇな…」「カズマだしな!」「が、頑張ってカズマさん…」

 

アクアが1番ウケてるじゃねぇか…後ろから聞こえる笑い声は、一応声を抑えてるぞ…そこは女神モードで耐えてくれよ!

 

「ふぅ…汝、この者の伴侶となるものよ。貴女は心からの愛を誓い。健やかなる時も、病めるときも、決して離れず、愛し続ける事を誓いますか?」

 

「ち、誓います…」

 

スゲー緊張してるじゃねぇか…いきなり連れてこられたもんな…でも、ちゃんとエリスの声だ。

 

「本当に?私に譲らない?」

 

おいこらアクア。お前は本当に……

 

「絶対譲りません!」

 

「声は誰だ?!」「駄目だベールで籠って分からねぇ」「落ち着け、そろそろ分かる!」「こい!俺の臨時収入!」

 

あいつら、結婚がメインイベントだって忘れているだろ…

 

「では、指輪の交換を…」

 

アクアが俺の作った指輪を差し出す。エリスの手を取り、指輪を通すと、ぴったりと薬指に収まった。

 

「カズマさんは…私の指のサイズを知ってたんですか?」

 

「天使が手伝ってくれました」

 

「…そんなの…彼女を怒れないじゃないですか…」

 

天使が全力をつくし、ここのスタッフも親身になってくれた。神様だって協力してくれた。だから今、俺達の指にはお揃いのリングが光っている。

 

「さぁ、皆さんお待ちかね…ベールを外して、誓いのキスを!」

 

アクアがノリノリ過ぎる。お前はもっとムードを考えろよ…

 

「あの、カズマさん…本当に私で…後悔は…」

 

「ありません」

 

ベールに手をかけると、涙目のエリスが不安そうにこっちを見ている。

 

「女神に何かしたって…またカズマさんに迷惑を…」

 

「何を今さら…俺のパーティー、迷惑かけるやつばっかりでしょう…よっ!」

 

ベールを後ろに放り投げる。全ての来客の視線がエリスに向かい。10秒ほど、誰もが声を失った。

 

「だからエリス。俺の妻になってくれ」

 

「…はい!」

 

そのまま唇を重ねる。俺の人生で、最も祝福されると同時に、最も反感を買った瞬間だった。

 

「くっそぉ!ずるいぞ!」「女神なんて当たらねぇよ!」「マジでやったよアイツ!」「本物だよな?!マジだよな?!」「俺の5万エリスがぁ!」「これだからカズマは!」

 

聞こえるのは賭けの外れた文句ばかり。でも、二言目には祝福の声が混ざっていく。素直じゃないよな、お互いにさ。

 

「ほらカズマさん…皆さんには悪いですけど…祝福の紙吹雪みたいですよ」

 

「まったく、破いたハズレ券で紙吹雪って…なんとも冒険者らしいよな…」

 

破り捨てられた色とりどりのハズレ券が、宙を舞っている。最愛の女性を妻に迎えたことで、これが祝福の紙吹雪に見えるんだから、俺も意外と単純なのかも知れない。エリスは足元に落ちた呪いのチョーカーを感慨深そうに見つめ、そっと懐にしまっていた。

_____________________

 

披露宴、それは俺とエリスが皆から祝福を受ける場所。主神ともなれば、相応の歓迎を受ける。と思っていたのだが…

 

「おめでとうカズマ!」「女神様となんて羨ましいぜ!」「マジで神がかってるってやつだな!」「あの賭けズルいだろ!」「エリス様超可愛いじゃねぇか!」「胸はねぇけどな…」「馬鹿!小さい方が可愛いだろ!」「エリス様!次の宝くじが当たりますように!」

 

冒険者たちにはこんな扱い。おい、胸の話はやめろ。

 

「エリス…やったじゃない!」「あと半世紀はかかると思ってたわ」「まさかエリスが結婚するなんてね!」「マジで英雄への報酬になったの?!」「本人が幸せそうだから良いじゃない!」

 

神様からはこんな感じ。エリス以外の神様は、そもそも神様だってバレてない。顔バレとかしないのだろうか。

 

「神様って、この世界だと割と扱い軽いんだな…もっと騒がれるかと思ってた。他の神様は神様だと思われてないし…」

 

「え!カズマさんはアクア先輩を凄く軽く扱ってますよね?!」

 

はい。ごめんなさい。ぐうの音も出ません。そう言えばアクアは?女神たちに何か言われたりしないのか?

 

「あんた、マジでそろそろ査定ヤバイわよ…」「早く職場復帰しなさいよ…」「カズマくん、魔王討伐後の特典にエリス選んでたじゃない」

 

同僚に囲まれて、残念なことになってる。やっぱりそう言う評価なんだアクア…

 

「嫌よ!カズマさんが世界のついでに私も幸せにしてくれるって約束してくれたの!この世界のいく末を一緒に見るのよ!」

 

そんな事を誓った記憶はないんだが…

 

「大体ね!祈るとか願うとか…違うのよ!私みたいに、世界を幸せに出来る人を導くとか、具体的な対応が必要なのよ!」

 

「それ!カズマさんに丸投げじゃない!」

 

うん。多分そういうことだと思う。

 

「違いますー!私が育てたカズマさんが世界を良くしてるんですー!私の指導の賜物なんですー!」

 

「あんたが何を指導したのよ!」

 

「まぁほら?結果で比較しないと、指導力って比較できないじゃない?皆が育てた魔王討伐の英雄を見せて貰ってー?あれ?!居ないんですかぁ?!」

 

「こいつ腹立つ!ばら蒔き対策でやらかしてる癖に!」

 

……あれは本当に女神の会話だろうか?

 

「女神でもこう言う馬鹿なマウントの取り合いがあるんですね…」

 

めぐみんとゆんゆんがグラスを持ってこちらに来た。

 

「お見苦しいものを…まぁ職業を除けば私達も女ですので…その、悪い意味でも…」

 

「はぁ、カズマが選んだのがエリス様で良かったですよ。何度かお会いしてますが、今後は家族ですので正式に挨拶に来ました」

 

めぐみんはこう言うところしっかりしている。

 

「あの…その事なのですが…」

 

エリスは右の頬を隠し、前髪を押さえた。あ、これ完全にクリスだわ。意外とそんなに変わってないんだな。

 

「んな?!」

 

めぐみんの表情筋が偉いことに…

 

「……」

 

ゆんゆんは言葉を失っている。

 

「その、一応秘密にしてくださると…」

 

「も、勿論です…で、あのエリス様…今までのご無礼はこれでどうか!!」

 

めぐみんの美しき土下座。そして隣で魂が抜けているゆんゆん。

 

「わたし、カズマさんに、エリス様と一緒に?痴態を晒して…え?あれぇ?」

 

ゆんゆんはバグってるな。

 

「その、付き合い方も今まで通りでお願いします!もう家族じゃないですか?」

 

「「ハイ!ゼンショシマス」」

 

二人ともガッチガチじゃねぇか…これはもう時間が解決するのを待とう…

 

「カズマ、エリス様。おめでとうございます。本当ならクリスと一緒に挨拶に来るつもりだったのですが…」

 

めぐみんたちと入れ替わる形で、ダクネスがこちらにきた。今度は俺が、エリスの頬と髪を押さえる。

 

「あ、た、確かに良く似ているとは思ったんだが…そこまでそっくりだとは…」

 

認めないらしい。

 

「ダクネスー」

 

いつもの呼び掛けでエリスが呼んでみる。

 

「宴会芸だよな?!アクアが使えるんだ!エリス様も使えるんだよな?!」

 

あぁ、必死に現実から目を剃らしている。

 

「親友にそんな風に言われたら…悲しいな…」

 

あ、もうふざけてないと確信したな。ダクネスの表情筋が仕事してない。

 

「カズマ…」

 

「あっはい」

 

「帰ったら、凄く真面目な話があるんだ。主にどうやって死んで詫びるかどうか…」

 

「いや死ぬなよ。誰も望んでないから…」

 

これは目がマジだ。

 

「じゃあ…ことの発端になったカズマをどう殺すかの話でも…」

 

「あの、私を即日未亡人にするのは辞めて貰えませんか?」

 

優しいなエリス。クリスの時はすぐ俺を切り捨てた癖に…

 

「……じゃあ私はどうしたら良い?!」

 

「仲良くしたら?親友がジョブチェンジしただけだろ?」

 

という強引な誘導。

 

「はい、これからも仲良くしてください」

 

「うぅ、どうして私に最初に教えてくれなかったんですか?」

 

「その…ダクネスが「女神と友達!」なんて自慢したら痛い子じゃないですか?それに、私も気兼ねのない友達が欲しかったんです…」

 

ほら、見ろよこの空気。2人の友情はそんな簡単には壊れないだろ?

 

「色々と…話したいことは沢山ありますが、親友を辞めるつもりはありません。クリスもエリス様も、どちらも大切なのは揺るぎませんから…」

 

ダクネスの発言に、嬉しそうなエリス。でも、少しだけ不満そうな顔で

 

「…敬語もやめてよね?」

 

可愛らしい要求を入れた。

 

「善処しますから!今は許してください!」

 

全速力での逃走。根が真面目な奴って大変だな。俺も敬語を取った理由がベッドの中の話だったので、人の事は全く言えないのだけど…

 

「はいはい、カズマ様、エリス様、寄ってください。笑ってください」

 

「せめて笑顔になるテンションで言いませんか?!」

 

天使が俺達の正面に回り込む。写真でも撮るのか?そもそも、そんなものあるのか?

 

「カズマ様が気になる娘と使いたくて買ったのに、全く使えないまま眠ってたポラロイドカメラがありました」

 

「おい!余計な説明やめろ!俺も消し去ってた過去だぞ!」

 

そう言われるとそんな事したわ!流行ってたから、それをきっかけにお近づきになろうとしたわ!

 

「今後は、私と使ってくださいね?」

 

エリスが俺の腕に抱きつく。これにニヤけるのは不可抗力だろう。

 

パシャッ

「はい!デレ顔のお二人頂きました!焼き増しして天界中に配りま…」

 

「「『スティール』!」」

 

俺とエリスの同時使用。エリスは写真排出中のカメラを奪い取った。俺は……

 

「なぁ、エリスは…これが事故だって、信じてくれるよな?」

 

手の中には暖かい布の感触…

 

「あの、カズマ様…私はカメラと、いったい何を盗られたのでしょうか?」

 

天使の顔は何が起こったか分かっていない。あれ?じゃあこの下着は…隣で真っ赤に震えているエリスの目がどんどん涙目になっていく…

 

「カズマさん…パンツ返してー!!」

 

エリスのでした!

 

「女神にもやった?!」「クズよ!本物のクズだわ!」「流石カズマだぜ!」「最低!」「背教者め!」

 

あっ、もう俺のイメージは駄目だ…完全にクズが定着したわ。神様達のほうは…

 

「まぁ、あの二人だしな…」「いつも壁薄いからねぇ…」「パンツで今さら驚かねぇよな」「あげちゃえば良いのに」「今夜は自室じゃ辞めてよ?」

 

あ、こっちもキツい!

 

「カズマさん、私もう駄目です……私、清純派の女神なのにぃ!」

 

新郎新婦が揃って心に傷を負った所で、披露宴は御開きになった。なんでって?飲み尽くされたからですよ!

______________________

「そう言えば、もう女神の力は使えないのか?」

 

二次会と言うことで、俺達はギルドの酒場に来ている。最初はご近所さん達に質問攻めにされ、拝まれ、感謝され…色々と忙しかったのだが、今となってはただ酒の魅力に負けている。軽いよな女神の立場…あ、ただ酒の料金は、例の賭けで儲けた所から出してます。

 

「結婚しちゃいましたからね。ちょっと強いプリースト位だと思います…後悔してますか?」

 

「女神の力なんかに頼らなくても、俺達は大丈夫だよ。でも、ちょっとだけ気になるな」

 

「じゃあ、封印も解いて貰いましたし…『ブレッシング』…どうですか?」

 

「それ、幸運が上がったからって直ぐに分かるハズ無いだろ?」

 

「うふふ、そうですよね」

 

和やかな雰囲気、こうやってアクセルの街でエリスと笑いあえる。これだけで俺は充分過ぎる幸運だろう。

 

「あ、カズマさん、私にも唐揚げください」

 

「ほら、あーん」

 

「ちょっと恥ずかしいんですけど…あーん」

 

なにこれ!凄く楽しい!

 

「おいカズマ!イチャイチャしてないで、お前もやろうぜ?」

 

「何だよ…今幸せの絶頂なんだけど?」

 

空気を読まないキースがトランプを差し出してくる。

 

「まさか、幸運の女神様の前で逃げんのか?」

 

ほう、いい度胸だ。俺はそもそも運が良いんだぞ?

 

「カズマさん、私がついてますからねー」

 

愛する妻がこう言っては、逃げることは出来ない。

 

「よし、後悔させてやらぁ!」

 

「あら?カズマさんも参戦?ブレッシング使った私に勝てると思ってるのかしら!」

 

いや、アクアが自分にブレッシングかけるのはどうなんだろ?大人げないよな?女神なのに…

_________________

 

「嘘だろ……」

 

1巡目、ロイヤルストレートフラッシュ

 

「なんでよー!私のカードに細工してない?!」

 

2順目、フォーカード

 

「チェンジ無しだぞ!さっきからレイズしかしてねぇじゃねぇか?!」

 

3順目、ストレートフラッシュ

 

「何でだよ!カズマは配ってねぇのに?!」

 

4順目、フルハウス(他全員、ブタ)

 

「もう、掛け金がねぇよ!」

 

ふっ、これがエリスのブレッシングか……いや、封印しよう。駄目だろこれ、色々と。

 

「なぁエリス…女神の力が上がってないか?」

 

「えっと、信仰心が増したのでしょうか……」

 

本人も困惑してる。

 

「少なくとも…俺らは信仰心が増したぜ?」

 

「おぅ、神様なんてなんもしねぇ偉そうなヤツだと思ってたからな!」

 

「こうして顔を合わせて、飯と酒を奢られたら、信仰心も芽生えるってもんだろ?」

 

奢ったのは王家と俺だが…成る程、確かに一理ある。

 

「カズマさんと結婚しても、街の人はエリス様に感謝してたじゃないですか!きっと、旦那なんて関係ないんですよ!」

 

ルナさん?俺だと何が不満なんですか?これでも英雄なんですけど?!

 

「皆さん…こんなに信者に恵まれて…私は世界一幸せな女神です」

 

笑顔で皆に答えるエリス、それはまさしく女神の体現だった。

 

「こんなに素直で可愛い女神様だもんな!」

 

「俺も入信するぜ!」

 

「やっぱカズマには勿体ねぇよな…」

 

「旦那には恵まれなかったのね」

 

「カズマに泣かされたら何時でも頼ってよね!」

 

「皆さん…ありがとうございます」

 

エリスがこんなに幸せそうなんだ。今日くらい、俺への評価には目をつぶろう。………明日から覚えとけよ?




今回もお付き合い頂きありがとうございます。

ここで何となく一段落ですが、ネタは沢山あるのでダラダラ続きます。

今度とも、お暇な時にお付き合いください。

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