本当に思いつきだけで書いてるので、夢と希望と食べ放題みたいなとんでもないノリになる時があります。そんな時は「あぁ、やっぱりここの作者イカれてんだな」って思って流してください。
ということでちょい真面目なリア回です。またお暇な時にでもお付き合いください。
告解。もはやネタの様に扱われているそれは、本来なら人々を正しき道へと導くもの。だが、告解も決して万能ではない。特にアクセルの住人の多くが悩み、それでいて告解では解決出来ない悩みと言うのが……
「どうしよう……いったいどこの告解室に相談すれば良い?!」
こちらの根本的かつ元も子もない悩みである。
………いらないって思われてない?キャラ紹介………
リア
今回の主人公。日本からの転生者であり、アクセルハーツのリーダーで汚部屋アイドル。歌って踊れてビジュアル良し。しかも甘え上手で床上手と、部屋が致命的に汚い事を除けば理想の彼女。恋の悩みを抱えているが、その相談相手を決め兼ねている。
エリス
今回の選択肢の1人。幸運を司るスーパー可愛いヤッター女神。歌と踊りは人並みだが、部屋も綺麗でビジュアルはチート。甘えて良し、甘えさせて良し、更に努力するタイプの床上手と、理想を超えたチート彼女。あらゆる相談に答えを示すが、基本的に倫理的で誠実な解決策しか出てこない。旦那が絡むと冷静さを欠く。
アクア
今回の選択肢の1人。水を司る駄女神。女神としては駄目駄目なのに、歌って踊れてビジュアル良し。しかも芸達者で器用な床上手と、馬鹿で欲深くて短絡的でアル中な所を除けば理想の彼女。あらゆる相談を受け付けるが、阿呆なので変な回答も出てくる。最後は酒の力で忘れさせようとする。
セレナ
今回の選択肢の1人。レジーナ教の元ダークプリースト。歌も踊りは苦手だが、ビジュアルと外面はパーフェクトな聖女。残念ながら床上手とまでは言えないが、割とエグいエッチも受け入れてくれるメス堕ちのプロ。背徳プレイの好きなドSのドスケベには理想の彼女。変態の扱いもお手の物だが、相談への回答は損得と自分のイメージに依存する。
レジーナ
今回の選択肢の1人。復讐と傀儡の女神。舞踊を舞えて楽器もこなし、更には美声でビジュアルも良い。ただ覇気も野心もなく甘やかされたい系なので、尽くしたいタイプには理想の彼女。相談事は自分の事のように考えてくれるが、答えも自分ベースなので微妙な回答が出ることもしばしば。処女なので床上手かは不明。
ウォルバク
今回の選択肢の1人。怠惰と暴虐のおっぱい。歌は上手だが踊れる体力がないポンコツ。でも爆乳美人とビジュアルはチートで、感度が良くて名器な天然床上手なので、おっぱい好きには理想の彼女。一生懸命悩みを聞いてくれるのだが、空気が読めないのでエグい一刀両断をする事も多々ある。
…………てことで本編………
「まさか王様から直々の指名だなんて……ボク達、本当にここまで来れたんだね……」
シエロの持つ招待状に書かれているのは、国王の書いた直筆のサイン。この国一番の踊り子は、常に王族主催のイベントで選ばれる。つまり私達は今、夢を叶えるまであと一歩の所まで来たことになる。
「私達の夢……あと少しで叶うんだ……ねぇリア!これ夢じゃないんだよね?!」
「あぁ、遂に私達は夢のステージに……この国の代表候補として舞台に立つんだ。絶対に成功させよう。そして、この国で一番の踊り子になろう!」
「「うん!」」
そう言って力強く頷くシエロとエーリカから、強い決意と覚悟を感じる。式典まであと半月あるが、それまでにやれる事を全部やろう。私達を信じてくれたカズマの為にも、私達はトップを取る!
…………
「なんて決心した直後にこんな事になるなんて……早くも前途多難じゃないか……」
皆で気合を入れ直した筈なのに、今日のレッスンは酷い出来だった。まさに心此処にあらずと言った状況で、何をやったかさえ良く覚えて居ない。と言っても、これの原因は式典への緊張ではない。私の心を惑わせているのは……
「あぁもう!なんで国1番になったら嫁に貰うとか言うんだカズマは!終わった後の方が気になり過ぎて、全然練習に身が入らないじゃないか!」
あのカズマに言われた1言だ。本当に国一番が目前に迫っている訳だが、その場合私はどうすれば良い?私から告白する方がロマンチックだが、カズマが準備していたら申し訳ない。あとやっぱり優勝直後に告白されるのか、その夜に忘れられない時間が来ちゃうのか、そこら辺の準備も考えなきゃだし………
「駄目だ駄目だ!こんな状態じゃ優勝なんて出来る筈がない!取り敢えず、誰かに相談すれば気も楽に……」
「そんな悩める貴方に天使降臨!こんな所に相談しやすい天使がいたら、これはもう相談するしかありません!さぁ、そのしかめっ面の原因を聞かせてください!私でも気付く位の悩みですから、さぞ分かりやすい悩みですよね?」
「あっはい。そうですね……」
出来れば他の人が良いんだけど、この人にチェンジとか通じないよね。
……………………
「成程。国一番になったら嫁にと約束した人がいるが、いざ1番が見えたらそれが気になって国一番になれそうに無いと……何でしょうその贅沢な悩み。二兎追うものは一兎も得ずって展開になって欲しいですね!」
「えっ、何この人……ねたみを隠そうともしない……」
正直こうなる気はしていたけど、やはり私は相談する相手を間違えた。相談と言うかもはや雑談だし、この人に期待した私が馬鹿だった。
「なんて冗談ですよ。今の私は女神を目指して奮闘するスーパー天使!別連載で活躍しても良いレベルのスーパーっぷりを発揮しています!妬みで人が殺せそうな相談だって、しっかり最適解を提案してから、影でその彼氏がモテまくる祝福をかけるだけです!」
「それ状況的に呪いですよね?!というか、そんな精神で最適解なんて出ます?!」
色々とヤバい人なのは解っていたけれど、ここまで来ると天使かも怪しい。スーパーになってんのヤバい面ばかりだし、本当に女神を目指しているんだろうか。
「ズバリ言えば、愛する人にその悩みを打ち明けるべきです。その人もリアさんの負担にはなりたくないでしょうから、結婚の条件について考え直してくれるかと……」
「えっ、意外にも普通な回答が……」
まぁ、だとしてもあまりに普通だから、全然凄い感じはしないんだけど……
「まぁ、それできっかけを失って先延ばしになり、結局うやむやになる可能性もある訳ですが……多分大丈夫だと思います!それで駄目ならその程度の愛だったと言うことで!」
「少し見直してからの急転直下?!評価マイナスになる呪いでも受けてるのか?!」
いつもカズマが嘆いていたけど、この人やっぱりアクアの部下だ。良し逃げよう!変な祝福される前に逃げよう!正直良い方向に転びそうに無いし、傷が浅い内に逃げよう!
「あ、ありがとうございます!大変参考になったので、私なりに噛み砕いて答えを出します!本当にありがとうございました!!」
「あっ!ちょっとリアさん?!最後まで責任持って仕事をさせてくださいよ!」
いやもう本当に結構ですから!
…………………
「成程。それで変なのから逃げて来たから、息を切らしていると言うわけですか……」
「えぇ。告解室なら見えないからと、逃げ場に使ってしまってすみません……」
あのヤバい天使を振り切るべく、私は咄嗟にレジーナ教会の告解室へと逃げ込んだ。セレナさんなら話は解るし、相談するにも丁度よいと思った訳だ。だが、そんな期待さえも上手く行かないのがこの世界。どうやらこの暗幕の向こうには……
「では、今日の貴方はとてもラッキーです!なにせ今日はこの私、レジーナが直々に悩みを聞いて差し上げるのですから!」
「わ、わぁー。嬉しいなぁ……」
あの変な女神様がスタンバイしている。どうしよう。これチェンジとか言ったら天罰くるかな?というか何で今居るかな……
「ちなみに、レジーナ様はどうしてこちらに?あまりこちらに来る事は無いみたいですし、お忙しいなら私なんて後回しでも……」
「殊勝な心がけですが、気に病む必要はありません。またバル◯ンを炊いて部屋に居られないだけですから、まだ数時間は猶予があります」
この女神様は他の理由で降臨しないのか?というかGなんて日常に居るし、何なら時には添い寝とかするだろ?
※彼女は特別な訓練を受けています。皆は部屋を掃除しましょう。
「ではその……相手が相談するに値する人か見極めたい時には、どんな質問をすれば良いでしょうか?」
「ちょっと貴女は何を?!」
「ほぅ、中々に強気な質問ですね……」
セレナさんが凄く焦っているが、危険な橋なのは百も承知だ。でも、生半可な気持ちで女神に関わるとろくな事にならないし、何よりレジーナの信頼度がこれで分かる。少なくとも感情的にはならなかったし、アクアよりはまともな女神だと思うが……
「では、食べ放題の攻略方法を聞きなさい」
「……えっ?そんな質問なんですか?!」
覚悟をしていた私に告げられたのは、予想を超える不可解な回答。既にちょっとふざけているようにも感じるのだが、やっぱりこの人も駄目な女神なのだろうか……
「引っ掛かるのも分かりますが、人の悩みとは千差万別。それを下らないと一蹴するような者は、人の痛みに寄り添えない者です。そして、正解のない問いかけにこそ、その方の熱意が伝わると言うものです」
「な、なるほど……」
「流石ですレジーナ様……まさかそんな深いお考えだとは……」
そう言われると、答えがなく面倒なのは恋愛も一緒だ。相手が他人である以上、その問答には正解がない。それをこんな風に炙り出すなんて、意外とデキる人なんだろうか……
「ちなみに私はしゃぶしゃぶの食べ放題が好きです。最近のお店にはワッフルとかクレープがありますし、あの沢山の薬味が飽きを防止して、更にドリンクバーでお酒も確かめるのですから、もう毎食アレで良いと思っています。まぁ、私の給料では無理なので、限られた時間でフルに楽しむ方法を色々と考案した結果が……」
あっ、この人ただ語りたいだけだ!そもそもそれ私の相談じゃないし、別にちょっとしか気になってないし!
…………翌日…………
「うぅ、やっぱり練習に身が入らなかった……」
しゃぶしゃぶの楽しみ方を長々と語られ、昨日はろくな相談も出来ずに帰路に着いた。仮に収穫があったとするなら、レジーナの言い分はとても正しく、あの人に相談しなかったのは正解と言うことだろう。あと、紅葉おろしと塩だけタレ皿に取って、季節の出汁で割るって食べ方は今度真似しようと思った。
「でもこんな事じゃ駄目だ!私はプロのアイドルとして、常に最高のパフォーマンスを見せなくちゃ駄目なんだ!その為にはこの悩みを解消して、いつもの私に戻らないと!」
と決意も新たにやって来たのは、ウォルバクさんの教会。本来ならエリス様が間違いないとは思うんだが、正妻に後妻が相談に行くのはちょっと気不味い。もう一人はまぁ、アクアだし……
「それじゃ、お邪魔しま〜す」
取り敢えず扉を優しく開けて、慎重に中の様子を伺う。女神であることは知っているが、彼女が女神として活動している所は見たことが無い。と言っても根っからの常識人だし、相談相手には相応しいと……
「おぅ、よく来たな小娘。取り敢えず座れ」
「………すみません。間違えました」
と期待してくぐったドアの先には、教会に最も似つかわしくない存在が待ち構えていた。というか教会に悪魔って良いのか?ここは神聖な場所なんじゃないのか?!
「待て待て!帰んなって!折角だから話くらいしてけって!」
「結構です!というかなんで悪魔が教会に?!この教会まともに機能してるんですか?!」
「当然だろ!俺様が日頃から手入れしてるんだぞ!」
「じゃあまともに機能してないだろ?!」
そう言えばウォルバクさんは街で見かけるし、この教会の存在も、カズマに一度聞いたきりだ。ここが悪魔の巣窟に変わっていたとするなら、私は知ってはならない事を知った可能性もある。
「おっと待ちな!話があるから尋ねて来たんだろ?なら、先ずは話し合いだよなぁ、リア?」
「あ、アーネス……」
どうやら悪い予感は当たっていたようだ。まさか教会で悪魔に取り囲まれるとは、本当に質の悪い冗談だと思う。
………
「ごめんなさいね。うちの眷属が強引だったみたいで……」
「いえ、もう害はないと分かったので大丈夫です……」
そんな危機的状況から2分後、私は女神の手で安息を得た。ウォルバクさんが来た途端に悪魔2人が大人しくなるなんて、やはり凄い女神様には違いないんだろう。普段ののんびりとした立ち振る舞いも、強者の余裕なのかも知れない。
「悩みがあるって話だったわね?ここには告解室がないから、お茶でもしながら話しましょう。アーネス、ホースト、客人にお茶とお茶菓子を……」
「「はっ!」」
予定とは異なる形だったけど、ウォルバクさんに相談できる状況にはなった。だが、先ほどの流れで1つの疑問が生じてしまう。この人は本当に良識人なのか、それとも強者の余裕がそう見せて居るだけなのか……そもそも告解室がないなんて、相談を受ける気があるのかも怪しい。
「そ、それじゃその……しゃぶしゃぶ食べ放題の楽しみ方を……」
「へぇ、しゃぶしゃぶの……」
だからって沈黙を貫く訳にもいかず、私は咄嗟にレジーナの言葉に従った。彼女のような美人の女神にとっては、恐らく恋愛だって下らない悩みのはず。相手に寄り添う気がないのであれば、相談したって仕方がない。とは言え確認方法がしゃぶしゃぶなのは自分でもどうかとは思う。
「汝、箸という形に囚われるなかれ。あく抜きの網は肉も通さぬ……」
「………えっ?」
ちょっと考え込んだウォルバクさんの口から、何故か格言のような言葉が飛び出した。多分答えをもらったのだろうけど、正直何を言ってるのか分からない。なんて頭を悩ませていたら、ウォルバクさんが勝手に語り出した。
「まさかリアも同志だなんて意外だったけど、やっぱりしゃぶしゃぶって難しいわよね!」
「…えっと……難しい?」
楽しみ方は人それぞれだし、正解を導くのは難しいと思う。楽しんだ者勝ちって言う人も居れば、元を取りたいって人も居る。でも、なんかウォルバクさんの楽しむって話は、もっと根本的な話な気が……
「でも大丈夫!あのアク抜き用の網を使えば、逃げたお肉も捕まえられるわ!だから楽しむ事を諦めちゃ駄目よ!どうせ食べ放題なのだから、失敗を恐れずトライなさい!」
「えっと、ウォルバクさんってしゃぶしゃぶのお肉に逃げられるんですか?」
「………えっ、リアの悩みもこれじゃないの?!」
あっ、どうしよう思ってたのと違う。下らない悩みに親身になるのか確かめる筈だったのに、この人の方が下らない事に本気で悩んでる!しゃぶしゃぶのお肉に逃げられてる!
「あっ…いやその……これはその……忘れてくれる?」
「…………はい」
どうしよう可愛い。この街最強の魔法使いとか言われてる人が、しゃぶしゃぶ肉に逃げられるとかすごく可愛い。話も真面目に聞いてくれたし、やっぱり凄く良い人だ。
「今度一緒に食べに行きましょう。私も元日本人なので、しゃぶしゃぶの食べ方は教えられますよ?」
「本当に?!それじゃ次の連休とか……」
…………また翌日…………
「なんでしゃぶしゃぶの話してんだ私は!!」
ウォルバクさんは信用できる。それについては確証を得たのだが、ここにきて対面方式が仇となった。変な質問をして試したなんて、あの状況下で言えるはずがない。その後も結局相談など出来ず、今も悩みを抱えたままだ。
「あと告解出来るのはアクアかエリス様だけ……普通に考えればエリス様だが、正妻にこれを相談するのは違う気もするし……」
本当ならもう本番に向けて調整に入るタイミングなのに、私はまだカズマの事を引きずったままだ。このままじゃ皆に迷惑なのも理解しているし、今は目の前のステージを優先すべきなのも解ってる。だが、カズマはそんなのお構い無しに、私の心を掻き乱していく。
「エリス様はカズマの正妻だし、不倫相手から相談されても困るよな……でも、他に相談できるのはアクアしか居ないし、ウォルバクさんは偶にしか教会に居ないって言うし………」
「あっ!やっと見付けた!」
「えっ、アクア?」
そうして悩んでいる私の前に、何故かアクアが駆け寄って来た。私が悩んでいるなんて知らない筈だから、これは恐らくは別件で……
「ずっと何か悩んでるんでしょ?そんな顔してたらお見通しなんだから、ご飯でも食べながら話さない?」
「えっ……あぁ……」
ずっと鈍感だと思っていたアクアの口から出てきたのは、私の違和感を見抜き心配する言葉だった。いつもポンコツな姿ばかり見てきたけれど、その根底はやはり女神だったらしい。悩める子羊を自ら見つけ出すなんて、疑ってしまって本当にごめん!
………………
「って見直したらこれだ!私の感動を返してくれ!」
「こればっかりは期待したリアが悪いだろ。それと、時間制限あるんだから、どんどん食えよ?」
アクアに手を引かれたしゃぶしゃぶ店で、待ち構えていたのはカズマだった。どうやら私を連れてきたら奢ると約束していたらしく、お酒とアルコールを持ってくると言ってアクアは早々に席を立ってしまった。以前から度々話題にされるが、アクアは上がった評価をマイナスにしなきゃいられないらしい。
「ところでどうしてしゃぶしゃぶなんだ?話題にだした覚えはないぞ?」
「店の看板をじっと見てたろ?これが悩みの原因とも思えないが、話すきっかけにはなると思ってな?」
「……よく見てるんだな」
誰のせいで悩んでいると思っているのか……なんて言えたら苦労は無い。あの約束だって抱かれた後の会話だったし、カズマが本気で考えているかも定かではない。それなのにこんなに思い悩んで、自分でもどうかしてると思う。
「じゃあ、カズマはどうやってしゃぶしゃぶ食べ放題を攻略する?」
「攻略って……まぁそうだな。胡麻だれ2杯に豆板醤マヨ1、食べるラー油1とニンニク少々入れて特製ダレを……」
私のこの馬鹿な問い掛けにも、カズマは全力で応えようとしてくれる。もう、それだけで私には十分だ。だってカズマは国の英雄で、その妻には本物の女神を娶っている。変な期待をして傷付くくらいなら、最初から期待なんてしないほうが……
「って、なんでこの流れで泣くんだよ?!ま、まさかアイドルにニンニク入れた俺の不出来に泣いてるのか?!それとも辛いの苦手だったのか?!」
「違うんだカズマ……これはその……私の未熟に泣いてるんだ……」
あぁ駄目だ。やっぱり私はカズマを諦めたくない。本気で愛してしまったから、何度も愛されてしまったから、その優しさに触れてしまったから、もう、カズマ以外を考えられない。
「いやお前が未熟なはず無いだろ!国一番の踊り子が未熟だったら、誰が1人前になれるんだよ?!」
「ば、馬鹿を言うな!私達はまだ入口に立っただけで、一番になれるかはこれからだ!それに、今の私じゃ勝てる見込みは……」
カズマの評価は素直に嬉しいが、だからってそれで一番とは言えない。私達の目指した夢は、カズマの信じてくれた夢は、そんな叶え方をして良いものじゃない。
「リアこそ何いってんだ?!あの招待状を受け取ったのはアクセルハーツだけだ!アクセルハーツに並べるグループは無いって、お前たちが証明したんだよ!」
「うそ……だって王国主催のイベントなのに、私達しか居ないなんてこと……」
でも、確かにありえない話ではない。国王に誰かを推薦するには、相応のレベルで無いと不敬に当たる。だから国一番が選ばれるのは、決まって王族主催のイベントだった。でも、だからってこんなの聞いたことがない。トップを決めるステージで不戦勝なんて、今まで一度もなかった筈だ。
「お前らは前代未聞をやり遂げたんだよ!だから、悩んでないで胸張って踊ってこいよ!それでリアが満足出来たら、あの日の約束を果たす約束だろ?」
「カズマ……私……うっ…ぐすっ……うわぁぁん!」
「おいリアどうした?!今泣いたら俺が悪者みたいだろ?!ちょっ、違うんです!俺が泣かしたんじゃないです!」
気付けば夢は叶っていて、大好きな人が私を待っている。その事実を噛みしめた私は、カズマの胸で思い切り泣いた。そのせいで食べ放題の時間は殆ど残って居なかったけど、カズマの作ったピリ辛ダレの味は、多分一生忘れないと思う。
……………そして、約束の日…………
「じゃあ、行くよ?」
「うん。皆の待ってるステージへ……」
「私達の……」
「「「夢のステージへ!!」」」
……
「えぇー、サトウカズマ氏と国王が投石を受けて負傷した為、本式典は中止となります。既に暴徒は鎮圧されましたが、皆様は避難誘導に従ってご退場ください。この後のステージも全て中止です。会場に留まらずご退場ください。繰り返しお知らせ致します。本式典は……」
「いや待て待て待て!これについては俺は悪くないだろ!悪いのは暴徒の連中であって……」
「カズマの日頃の行いのせいだろ?!この馬鹿プロデューサー!」
パァン!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
思い付いた勢いでいくと、オチが大抵力技です。
なおピリ辛ダレは美味しいので、食べ放題の店に行ったら皆も試してみてください。
また不定期ではございますが、お暇な時にでもお付き合いください。