※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

キャラが増えると絡みが増え、その結果ネタも増えていく。そんなとんでも理論を聞かされたので、私もそれに乗っかります。

と言うことでアイリスが主役でネタ回を1つ。
またお暇な時にでもお付き合いください


アイリスの花嫁奮闘記、お料理編

家庭の味。それは家族と共に紡がれる歴史。親の手料理を食べて育った子供は、自立して自炊を行い、子を持てば与える側になる。そんな営みの中で受け継がれていく家庭の味に、憧れる人は少なくない。そして、今宵も家庭の味を学ばんと、戦地(キッチン)へ赴く女性がいた。

 

「お兄様、これが私渾身の親子丼です!」

 

「あっうん……美味しいです……」

 

もう既にお察しの事と思うが、この話はただ親子丼を作るだけではない。

 

…………あまり必要ないキャラ紹介………

 

カズマ

本作の主人公。手を抜く為に料理スキルを極めた男。その手腕は常軌を逸しており、発射された弾丸を桂剥きにしてなますに加工できる速さと正確さを併せ持つ。その絶技はラインハルトでさえ目で追うのがやっとで「まな板の上で戦えば、負けるのは僕の方だろう」と語っている。どんな状況だそれ。なお、母親は合理主義である為、彼の家庭の味は基本的にミツカンやキッコーマンの開発者が頑張って作った味である。

 

エリス

カズマの為に料理を頑張るベストオブ女神。元から自炊は出来たのだが、清貧の精神で手の込んだ物や贅沢な物は作れなかった。今ではカズマの好きな食べ物ベスト30までは作れるようになった。決め手は愛情∞である。

 

アイリス

今回の主人公にして、カズマの為に料理を学びたいベストオブ妹。料理は中学生の家庭科レベルだが、愛情はまちがいなく込められている。ずっとプロのシェフや教育係のご飯で育ったので、家庭の味は知らない。なお、カレーとパンケーキは濃すぎるので、家庭の味だと認めたくない模様。

 

……………………

 

「どうか……どうか私に、お料理を教えてください!」

 

お兄様の元へ嫁いで3日目の朝。私はめぐみんさんを捕まえ、料理の教えを請いました。というのも私はまだ、この家の食事当番に入れて貰っていないのです。妻として料理が出来ると言うのは、とても重要な事なのに。

 

「ほほぅ、そこで私に教えを乞うとは、アイリスは見る目がありますね。して、どうして私を?」

 

「はい!めぐみんさんは料理だけは普通なので!」

 

「良い度胸ですね。料理より先に上下関係を解らせてやろうか?!」

 

「しょうがないじゃないですか!他の方は参考にならないんですもの!」

 

私だって、本当ならお兄様に教わりたいのです。でも、卵4個で目玉焼きが10個出来るとか、魚のお腹を開くと内臓どころか骨も入っていないとか、もう何を教わっても出来る気がしません。

 

「まぁ、確かに普通の料理をするメンバーは限られますからね。同じカズマの妻として、その向上心は評価しましょう。では、取り敢えず殻剥きを手伝ってくれますか?今日のお昼は海老フライです」

 

「はい!任せてください!」

 

めぐみんさんはリアルにお姉さんなので、意外にも面倒見が良くて教え上手です。殻剥きと言う下ごしらえを私にさせるのも、先ずは基本からと言う心遣いが見えます。

 

「ここに刃を入れれば身が簡単に剥がせますし、内臓はここから取り出せます。バリエーションを増やす前に、先ずは基本となる下ごしらえを完璧にするのです。下ごしらえを疎かにした料理など、美味しくなるはずがありません」

 

「は、はい!がんばります!」

 

下ごしらえについて語るだけあり、めぐみんさんの手際はかなりの熟練が見て取れます。甲殻類はそれなりに高価な食材の筈ですが、やはりお兄様の為に努力したのでしょう。まるで幼少期から触れてきたようなこの手際は、生半可な努力では身に付きま………

 

「………すみません。なんか凄く小さい個体が紛れて居るんですけど、これまさかザリガニが混ざってたりしませんか?」

 

「いやいや、何を馬鹿なことを……」

 

「そ、そうですよね!そんなザリガニが紛れるなんてこと……」

 

「これは、全部ザリガニです」

 

「…………えっ?」

 

余りにも真っ直ぐなめぐみんさんの言葉に、私は言葉を失いました。年末に叱られていたザリガニの剥き身が、今なお量産されているなんて……

 

「えっと、めぐみんさん?これは確かお兄様に禁止されていた筈では……」

 

「そんなことは100も承知です。ですが、アイリスの家臣にお給金を払うには、こうした節約がどうしても必要で……」

 

「そ、それを言われると弱いですけど……」

 

お兄様の家に引っ越した今も、元の家にはレインとクレアを含めて家臣の皆さんが住んでいます。そのお給金は基本的には私のお小遣いから捻出していますが、それで足りない分はお兄様に補填して貰っているのです。それを引き合いに出されてしまうと………

 

「って待ってください。昨日までめぐみんさんは拘置者に居ましたよね?何度も繰り返すからお兄様も呆れ果て、当面は反省させるって言ってたような……」

 

「いやその、その時は丁度手持ちがあって……」

 

「食費で保釈金を払ったんですね?」

 

「………はい」

 

何となく予想はしていましたが、やはりめぐみんさんってアレなのでは?私は良い子なので単語は出しませんが、間違いなくアレな人だと思います。

 

「分かりました。深く反省してるようなので、今回は共犯になってあげます。その代わり、ちゃんと料理を教えてくださいね?」

 

「アイリス……良いでしょう!物分かりの良い後輩の為に、我が技を全て叩き込んであげます!!」

 

…………………

 

「それで頑張って身に付いたのが、セミとザリガニの捌き方だったと……」

 

「………はい」

 

めぐみんさんの掲げた本気の料理は、まさかのセミとザリガニのフルコース。手元にお金が無いのだから、そうなるのは当然と言えば当然なのです。でも、だからってあの流れでザリガニ+セミいきますか?愛する人の為に料理を覚えたいと言ったのに、更にセミを選ぶのはどうかと思います。結局お兄様が作り直していましたから、食事当番としても失格です。

 

「しかし、それで私の所へ来たのは何故ですか?私もそこまで料理が得意と言う訳ではないのですが……」

 

「セレナさんは薬草や香草を使いこなして料理をして居るじゃないですか!あれは料理上級者がやることですよ!」

 

工程が多くて複雑な料理は、確かに憧れるし凄いと思います。ですが、シンプルなのに奥深い料理もまた、料理上級者のなせる技なのです。というかザリガニ剥けても役に立ちませんし、香草や薬草の方が実用的だと思います。

 

「えぇっと……確かに香草や薬草は取り扱っていますが、料理に使うのは香草くらいで……」

 

「でもこの詰め合わせの赤い瓶は、食卓で見たことがありますよ?」

 

「あっ、いやその……それは食べられなくもないと言うか、どっちかと言うと薬と言いますか……」

 

香草なら私も食べますが、このセレナさんの反応は何処かおかしいです。この赤い瓶は頻繁に見掛けますし、結構な頻度で使っている筈。と言うことは、まさか家族の中に病気の方が?!

 

「そ、それはどんな薬なのですか?!まさかあの中に重病患者がいるのですか?!」

 

「じゅ、重病な方は居ませんよ?!重症な方は居ますけど……」

 

「それは私も存じてます」

 

ですが、この瓶を度々見かけると言うことは、恐らくそれは完治していない病なのでしょう。女神と聖女が揃って治らないなんて、それこそ国を脅かしかねない脅威です。

 

「だとしても不治の病を放置は出来ません!せめてその薬の効能を教えてください!いえ、私より王国の医師団に直接……」

 

「大丈夫です!これただの強壮薬ですから!ちょっと元気になるだけですから!!」

 

「へっ?!」

 

私の慌て振りに隠すのを諦めたセレナさんは、私の前に大量の薬品を並べていきます。その中には食卓に並んでいる物とか、お兄様の部屋に常設されている物もあり、本当に多様な知識を持っている事が伺えます。

 

「こ、これは滋養強壮に効く薬で、決して危険な成分は含まれていません。むしろ、男女のアレを元気にする為の薬で……」

 

「えっと……それではその隣のものは……」

 

「………き、筋肉を緩めて、感度を上げる潤滑油です」

 

何と言う事でしょう。お兄様に抱かれて大人の世界を知ったつもりでしたが、私はまだまだお子様だったようです。今度から性に理解のある聖女、略して性女とお呼びさせていただきます!

 

「むしろやる気が出てきました!セレナさん、私に薬草の効能を教えてください!私ももっと勉強して、性の探究をしたいです!」

 

「変な動機をでっち上げられてる?!分かりました教えます!教えるから私のイメージを壊さないでください!」

 

やりました!今日から新たな探求の始まりです!

 

………………………

 

「それで出来たのがこれなんですが……」

 

新たな知見を手にした私は、その足でゆんゆんさんのもとを訪れました。セレナさんの教えはとても為になりましたが、それだけでは足りないものがあったのです。そう、それは……

 

「苦くて青臭い……これ、動物の餌じゃないんですよね?」

 

「一応、人の為の料理です。薬草と香草を使ったのですが、上手く行かなくて……」

 

効能を優先すると味が伴わないと言うことです。と言うか、セレナさんってどうやってあのエグみとか隠してるんでしょう。料理の腕前は普通だと言うのに、一体どんな経験したらそんな技能が身につくんですか?

※人の食事に毒を仕込む仕事をすると身に付く技能です。

 

「ある意味身体には良さそうですけど、これにはどんな効能が?」

 

「じ、滋養強壮と媚薬成分と感度上昇だったかなと……」

 

「えっ、それ食べる前に言ってくれませんか?!割としっかり食べちゃったんですけど?!」

 

「それは大丈夫です。セレナさんがゆんゆんさんとララティーナにはこの程度の濃さじゃ効かないって言ってましたから」

 

「あっ、それじゃ割と薄めなんですね。良かった〜」

 

一般人は三日三晩発情するとも言ってましたけど、そこは敢えて黙っておきます。

 

「ゆんゆんさんのご飯はとても美味しいので、私にも出来るテクニックなどあればご教示頂きたいと思いまして……」

 

「大したことは出来ないけど、友達の頼みは断れないものね。基礎中の基礎から教えてあげるから、一緒に美味しいものを作りましょう!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

ゆんゆんさんは人付き合い以外は常識人ですし、きっと教えるのだって上手な筈です。あのハイレベルな料理は作れなくとも、せめて美味しいと言えるレベルまでは、追いつきたいと思います!

 

……………

 

「ゆんゆんさん。私達はなんでこんなに高い山の上に?」

 

常識人を期待した私を嘲笑うかのように、テレポートで連れて来られたのは雲海を見下ろす山の上。私は料理の話をしていた気がするのですが、なんでこんな大冒険が待っているのでしょう。

 

「この時期は海洋間弾道トビウオがこの山の近くを越えていくでしょ?とっても美味しい出汁が取れるから、定期的に捕まえに来てるの」

 

ゆんゆんさんは凄く得意げな顔をしていますが、そのトビウオはワイバーンと同じくらいの価格で取引されるレアモンスターです。それを出汁の為だけに、しかも山の山頂をテレポートエリアに登録するなんて、ちょっと拘りが強過ぎる気がします。

 

「さぁ来たわよ!『クリエイト・クレイゴーレム』!」

 

「そ、そこは攻撃魔法じゃないんですか?!っ危ない!こんなの何秒も耐えられませんよ?!」

 

ゆんゆんさんが唱えた魔法は、何故か泥のゴーレムを呼び出す魔法。音の速さで飛んでくるトビウオが、その泥の身体にクレーターを作って足元に落ちていきます。大抵は硬いものに打ち付けるか、火炎魔法で壁を作るのですが、何故こんな危険なことをするのでしょう。まぁ、大抵は泳いでいるのを釣り上げるので、その捕らえ方も特殊なんですけど……

 

「そんな捕まえ方したら、やっぱり味が落ちちゃうから……」

 

「ま、まさかその味の違いの為に、1番危険な捕らえ方を?!」

 

クレイゴーレムの受ける衝撃は、まさに大砲の砲撃と同等。付近には泥が激しく飛び散り、ゆんゆんさんの魔力を激しく消耗させていきます。これが料理に挑む姿勢なんて、私とは覚悟が違い過ぎます。

 

「ちゃんとしないと美味しくないから……美味しくないと、おかず交換の輪に入れて貰えないから……」

 

あっ、これ思ったより後ろ暗い理由がありそうです。きっと深く聞いちゃ駄目な奴なので、私は聞こえなかった事にします。

 

「これが終わったら、次は新鮮な昆布を取りに行きましょうね!」

 

「えっ、これまだ終わらない感じなんですか?!」

 

「合わせ出汁だから、あと3つくらい集めに行きます!」

 

あと、出来ればこっちの言葉も聞こえなきゃ良かったと思います。

 

…………………

 

「で、その成果がこれなんだ?」

 

そう話すウォルバクさんが持っているボトルには、私とゆんゆんが作った出汁が入っています。結局あの後もレア素材を集めて周り、この出汁を作るのに1週間もかかっています。

 

「間違いなく美味しいんですが、このままだと一品作るのに1月くらいかかりそうで……」

 

「あの子って基本的に加減を知らないから……それで、どうして私の元を訪ねて来たのかしら?」

 

「食材に拘るスタンスなら、ウォルバクさんが一番かと思って……」

 

ゆんゆんさんに付き合って解ったのですが、良い食材はそれだけで十分に美味しいのです。つまり、出汁とか調味料を苦労して集めるより、メインとなる食材を手に入れる方が圧倒的に効率的です。料理初心者の私であっても、良いお肉を焼いたステーキなら、得意料理に出来ると思います。

 

「確かに美味しい食材は焼くだけでも美味しいものね。そういう事なら、特別に私の料理を教えてあげるわ!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

ついでにウォルバクさんはズボラらしいので、難しい調理もないでしょう!私は出汁を持っているので、むしろ一歩先に行けます!

 

……………

 

「流石にこれはおかしいですって!なんでワイバーンの群れを誘い出すんですか?!」

 

ウォルバクさんに連れられて来た平原で、私はワイバーンの群れと対峙しています。ちなみに『フォルスファイア』でワイバーンを誘いだしたウォルバクさんは、何故か一切狙われて居ません。野生動物としての勘が、多分何かを感じているのでしょう。この作戦、もはや私ありきなのでは?

 

「私達がここで時間を稼げば、その分ホーストとアーネスが卵を沢山持ち帰られるでしょ?また巣を探すのも面倒だし、殲滅しないように時間を稼ぐわよ!」

 

「倒さず駕ぐって一番無茶な要求ですよね?!」

 

ワイバーンの卵はとても貴重で、王家でも滅多に食べられません。その理由はワイバーンの危険性が高いことと、その巣が巧妙に隠されていることに起因します。それを解決すべくウォルバクさんが考えた方法が、このワイバーンを呼び出して空き巣をする方法だそうです。

 

「ワイバーンは強めのモンスターだけど、だからって生態系の頂点ではないわ。自分の巣が強敵にバレたと判断したら、当然住処を移動する。だから、これくらい遠めで足止めするのがポイントよ!」

 

「言いたいことは分かりますけど!これ下手したら国が滅ぶ数ですよ?!」

 

確かに卵を取るだけなら、ワイバーンの数は減らすべきでは有りません。卵を産むワイバーンが減れば、それだけ卵の数は減ってしまいます。まぁ、だからってワイバーンに手加減するなんて発想は、多分この人しかしないでしょうけど……

 

「ウォルバク様!卵の確保できました!」

 

「良くやったわホースト!さぁアイリス、美味しそうなのを一匹狩ったら、残りを追い払って逃げるわよ。〆方は把握してるかしら?」

 

「すみません!〆方も美味しい個体の違いも分からないので、ウォルバクさんお願いします!」

 

「しょうがないわね!任せなさい!」

 

それ多分把握してる人なんて居ないと思うので、出来たら最初に教えてください。取り敢えず、今から頑張って覚えます。

 

「まずは翼を氷結して、相手を自分の近くに落とす!『カースド・クリスタルプリズン』!」

 

「ぐぎゃー!」

 

すみません。もうスタートから躓きました。

※彼女は特別な訓練を受けた特別な種族です。

 

「そして、首の動脈だけをピンポイントで切断!『ワインドカッター』!」

 

「ごふっ!」

 

あっ、それは頑張ればいけそうな気がします。

※彼女も特別な訓練を受けた特別な存在です。

 

「後は爆裂魔法で死なない程度に群れを散らして、ゴーレムで一匹持ち帰るだけ!『エクスプロージョン』!!」

 

「「「「「「ぎゃー!!」」」」」」

 

それも聖剣と近隣貴族の協力があれば何とかなる気がしてきました!今度から私もワイバーンのお肉が採れそうです!

※繰り返しになりますが、彼女らは特別な力を持ち、特別な訓練を受け、かなり特別な立場にいます。絶対に真似しようとしないでください。

 

……………………………

 

「あの親子丼って、そんなに凄いものだったんですね……」

 

約一週間もの苦労を経て、私は遂に自ら作った夕飯を皆さんに提供できました。めぐみんさんに習った下処理の技術、ウォルバクさんと手にした食材、そしてゆんゆんさんと一緒に作った出汁と、セレナさんに教わった香草の使い方(三つ葉)。そのすべてを集約した結果、完成したのは親子丼でした。えぇ、驚くほど普通の親子丼が出来たので、何のリアクションもありませんでした。

 

「まぁ、我が家ではワイバーンのお肉が珍しくないので、特別感は無かったですよね……」

 

「そうですよね……ウォルバクさんの日課ですもんね……」

 

とは言え1週間かけて1食分なんて、それでは食事当番など務まりません。本当は一番の強敵に手の内を明かしたく無かったのですが、もはや背に腹は代えられません。エリス様は育児と女神業をやりつつ、ハイレベルな料理をしているのです。

 

「エリス様、どうか私に料理を教えてください。私も妻の一人として、日々の食事を作りたいんです!」

 

「そうですか……アイリスさんは、その覚悟があるのですね?」

 

私の決心を聞いたエリス様は、静かに私を見て問い掛けました。その重苦しい雰囲気からして、きっとエリス様の指導はかなり厳しいのでしょう。その覚悟を問われているのなら、私の答えは決まっています。

 

「覚悟は出来ています!お兄様への献身は、エリス様にだって負けません!」

 

「分かりました。では今からお味噌汁と肉じゃがを用意します。アイリスさんも手伝ってください」

 

「は、はい!」

 

夕食まであと1時間もないのに、エリス様の提案は困難を極めるものでした。味の染みた煮物を作るには、相応の時間がかかります。しかも熱の通り難い肉じゃがだなんて、余程のベテランか料理人で無ければ、難しい調理になりそうです。

 

「じゃあ、この乾燥みそ汁の具を使ってください。お味噌は出汁入りなので、お鍋にいれるのはこの2つでいいですよ」

 

「…………えっ?」

 

覚悟を決めた私の前に、次々と出てくる日本語の書かれた商品の数々。魔導式発電機なるものが現れたかと思えば、SHA◯Pと書かれた魔導具まで出てきました。なぜでしょう。何故かお兄様たちの絵が書かれています。

 

「エリス様?その大きな釜のようなアイテムは……」

 

「これはS◯ARPの自動調理器です。コラボした時に頂いたものですが、材料をいれてボタンを押せば料理が完成する優れものです。圧力調理も可能なので20分あれば味の染みた肉じゃがだって作れるんですよ」

※本当にコラボして販売しており、しかもメインの4人が喋ります。

 

えっ、なんですかそのチートアイテム。と言うか材料がもう全部チートアイテムです。このあご出汁粉末とか、ゆんゆんさんの苦労を全否定するお手軽さです!

 

「で、ですが味付けは必要ですよね?!調理時間が短縮できても、味付けは本人のセンス次第で……」

 

「必要な調味料はここに表示されるので、日本の食材から選んで入れるだけですよ?」

 

「なんですかそのチートアイテム?!」

 

こんな事が許されるんですか?!ただ言われるがままに便利な調味料と具材を入れるだけなんて、それで後は器具任せなんて……

 

「あっ、出来たので味見してみてください」

 

「わ、分かりました……」

 

そしてこの余りにも手軽で手早い調理。部屋中に香る甘じょっぱい香りは、まさに理想的な美味しい肉じゃがの匂い。これがもし本当に美味しかったら、私達のやってきたことは………

 

「くっ!この国の美食は、全てSHA◯P様の手のひらの上だったのですね……」

 

「そんな支配者的な思想は持ってないと思いますけどね」

 

なんですかこの美味しい肉じゃがは?!こんなに美味しいものがお手軽に作れるなんて、こんなの最高過ぎるじゃないですか!!

 

…………………

 

「で、皆にメッチャ叩かれたと……」

 

「まぁ、あれを使うのは反則ですよね……私だってそう思いますもん……」

 

ちなみに肉じゃがは大好評でしたが、美味し過ぎて即チートアイテム頼りだとバレました。エリス様の言ってた覚悟とは、反則を咎められる事への覚悟だったようです。

 

「でも、今日からアイリスさんもこっち側ですから、安心して手抜きが出来ますね!」

 

「今手抜きって言いました?!私別にそっち側にはなってませんからね?!」

 

取り敢えず、明日から真面目に料理教室に通いましょう。手段を問わないのも時には必要ですが、エリス様側に行くのはちょっと嫌なので……




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

SHARPのコラボ家電買う奴居るんですかね?私は買いましたけど!

また不定期ではございますが、またお暇な時にでもお付き合いください。
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