感想にも頂いたんですが、ウォルバクって挙式しないの?ってツッコミをチラチラと受け取っています。ポンコツクールビューティーなので、デレ回にしてもネタ回にしても美味しいって事で先延ばしにしてました。
今回でちゃんと挙式するので、またお暇な時にでもお付き合いください。
相手の愛を確かめたい時、何をするのが正解だろう。妻が複数居る俺にとって、これはとても重要な課題だ。俺が利用されているならまだ良いのだが、もし負い目や義務感で側に居られたらイチャラブ派の俺には精神的にキツい。相手を愛しているからこそ、幸せの為に側に居て欲しい。
「と言うのでウォルバク様を連れてきましたが、これでもまだ不安ですか?」
「ありがとうアーネス。もう不安は払拭されたよ」
だから、ウェディングドレスに見惚れるウォルバクの姿に、俺は心から救われた気がした。そして……
「ねぇプランナーさん!やっぱりサプライズプランが良いわ!カズマにはお世話になりっぱなしだし、こういう時くらい私がリードして良いところを見せたいの!」
「そ、それはとても素敵ですね……では、旦那様にはプランは秘密の方向で……」
変装なんてしてウォルバクの気持ちを確かめた事を、割と本気で後悔した。
…………簡単なキャラ紹介…………
サトウカズマ
本作の主人公。ハーレム野郎なのに純愛派の為、皆の好感度が凄く気になる。ウォルバクが理想の挙式について話さないので、不安になってウェディングプランナーに扮して調査を開始。不安は払拭されたが、別の面倒事に頭を突っ込む事になる。
ウォルバク
今回のヒロイン。数少ない良識人でおっぱい女神。ちょむすけと一体化してる頃にたくさん撫でられ、更に命を救われた事をきっかけにその身を捧げた。一見義理にも見える関係だが、ウォルバクにはカズマが白馬の王子様のように見えているのでちゃんとガチ恋。男の趣味だけが相当悪いとの噂だが、女神には良い男なのかも知れない。
アーネス
今回のサブヒロインであり、ウォルバクに尽くすおっぱい悪魔。カズマとウォルバクを敬愛しており、2人が結ばれるのは望むところ。ウォルバクの本心に気付いていた為、背中を押すべくカズマに手を貸している。
エリス
本作のメインヒロイン。カズマの幸福を最優先とする愛が深い正妻。ウォルバクの性格は嫌いじゃないし、何なら貴重な常識人だと思っているのだが、何故か好きにはなれない様子。一説には身長差のせいで目の前にメロンが来るからだと言われているが、その説を唱えた天使はローストチキンになったので真意は不明。
セナさん
カズマのスーパー秘書でエリート検察官で専属会計士。あらゆる業務を完璧にこなすスーパーキャリアウーマンであり、プランナー業務もお手の物。ただし他人の結婚をプランニングすると、その日の酒の量が増える。相席するのはギルドのルナさん。
ホースト
青くて大きくて強い悪魔。本当は肉が好き。
……………てことで本編…………
「だから言ったじゃないですか。ウォルバク様は本気でカズマ様に惚れ込んでますって……」
「反省してる……それを信じて終わりにしとけば、こんなことにはなってなかったよな……」
俺はアーネスをオフィスへ呼び、今後の対応について相談している。ウォルバクが義理で俺の元に居ると疑ったばっかりに、俺は自分に向けたサプライズ挙式を自ら用意することになった訳だ。我ながら馬鹿な事を言ってるとは思うが、これがマジなので始末に負えない。
「知らない振りをするだけなら、別に難しい事ではないと思いますが……」
「分かってねぇなセナ。相手は智将と名高いウォルバク様だぞ?結婚式に浮足立ってるから騙せちゃ居るが、冷静になりゃ付け髭と眼鏡だけの変装なんざ直ぐにバレる。それで変な気を遣わせたなんて思っちまったら、挙式そのものを遠慮しかねない」
「それなのにゼク◯ィを真顔で読み込んだり、お料理教室に通ったりするから、こっちが悪いことしてる気になるんだよな……」
「完全無欠の女魔王みたいなイメージでしたけど、性格は思ったより可愛い方なんですね……」
普段はクールで知的なのだが、想定外の事態には異様に弱いのがウォルバクだ。感情的になるとアクアと同レベルな口論をするし、焦ると魔法の威力を間違えて近隣に大破壊をもたらすし、絶頂後に逆効果だと分かっていてもキスを求めてメス堕ちするし、それらも可愛いと言えば可愛いのだが、流石に挙式の取り止めは困る。
「と言うことなので、明日はセナさんも一緒にお願いします。騙したと思われたら爆裂されるかもですが、セナさんが居れば百人力なんで!」
「仕方な……えっ、後半ちょっとおかしかったですよ?プランニングは頑張りますけど、爆裂されたら即死ですよね?!ちょっと聞こえないフリしないで貰えます?!ちょカズマさん?!」
言葉では不満を言っていますが、セナさんは律儀なので多分大丈夫だと信じています!
……………………………
「では、本日より本格的なプランニングを始めさせて頂きます。経理担当のセナです。よろしくお願いします」
「プラン担当のミツルギです。旦那様へのサプライズ挙式、最高のプランに致しましょう」
「ウォルバクです。セナさんまで来てくれるなんて心強いわ。今日からよろしくお願いします」
と言うことで翌日の朝。俺は偽名を使って他人を演出し、セナさんは敢えてそのままで行く事にした。セナさんが嘘を苦手とするのも理由の一つだが、セナさんが嘘を付くと思われていない事が何より大きい。嘘に真実を混ぜる事で、リアリティを持たせる作戦である。
「ではミツルギさん、最初に決めるべき事を教えてくれますか?」
「………ミツルギさん?呼ばれてますよミツルギさん!」
「あっ、ミツルギです?」
「何で自分の名前に疑問符が?!」
不味い。咄嗟に使い慣れた偽名を名乗ってしまったが、呼ばれる側になるとイマイチ反応が出来ない。これではプランに差し支えるし、何より嘘がバレてしまう。誤魔化そう。ウォルバクは日本に詳しくないから、それっぽい嘘で誤魔化すしかない。
「すみません。実は私も転生者なのですが、日本でミツルギなんてそこら辺に転がってる犬の糞みたいな名前なのです。なのでミツルギと呼ばれる機会など無く、名字で呼ばれたら反応出来なくて……」
「そ、そうなんだ……ミツルギキョウヤは返事をするから、てっきり普通に呼ばれるものだと……」
いやコレを信じるんだから本当にチョロいわ。滅茶苦茶強いから心配はしてないが、ウォルバクもちょっと危うい性格してるよな。滅茶苦茶強いから大丈夫だろうけど。
「名前もそこら辺に転がってますので、私のことはプランナーとでもお呼びください」
「分かったわ。今日からよろしく、プランナーさん」
「はい。こちらこそお願いしますウォルバク様」
ちなみに付き添いにアーネスも居るが、嘘が付けないのでずっと黙っている。確かにこっちも心配なのだが、お前も大丈夫なんだろうな?
……………………
「では、先ずは会場の内見から始めましょう。と言っても国の英雄と偉大な女神の挙式ですから、一番大きな会場かと思いますが……」
「こ、こんなに広いの?!私ってそんなに友達居ないのだけど……」
取り敢えず会場を見せてみた所。早速ウォルバクがマリッジブルーに陥り掛けている。冷静になると変装がバレそうなので、取り敢えずここはアーネスに頼ろう。ウォルバクの心配を取り去るのなら、嘘が付けないアーネス以上の適任はいない。
「大丈夫ですウォルバク様!みな恐れ多くて言えないだけで、この街の住民はウォルバク様を慕うものばかりです!その麗しの花嫁姿を拝む為なら、私財を売り払ってでも御祝儀を用意して駆け付けることでしょう!」
「そ、それはそれで凄く困るのだけど、アーネスが言うならそうなのかしら……えへへ、慕われてるって嬉しいものね……」
「「くっ、かわ…」」
※アーネスとカズマは露骨にリアクションしていますが、ウォルバクは浮かれているので見えて居ません。
「こんな露骨なのにバレないなんて、本当に浮かれているんですね……」
こうして直ぐに浮き足立つのも、ある意味ではウォルバクの魅力なのだろう。ちょっとチョロすぎる気がしなくもないが、素直と言うのはやはり美徳だ。しっかり女性人気も獲得しているので、決しておっぱいだけの人気ではない。なお、男児の母親にはアンチが多いが、男児はファンなのでプラマイゼロとする。
「身分を問わず参加できるようにするなら、やはり立食形式がお勧めです。料理のメニューはこちらになりまして……」
「あら、どれも美味しそう。それなら魚中心のこっちが……あっ……生玉ねぎが…」
しまった!この式場の食事はハイレベルだからと油断した!生タマネギが苦手なウォルバクにとって、このカルパッチョは間違いなくキツい!でも魚のほうは大好物だから、肉メインのメニューには変えたくないのだ!流石に下らな過ぎるマリッジブルーの原因だが、今はそれさえ見逃せない!
「もし好き嫌いがありましたら、言ってくだされば対応しますよ?」
「そ、そう?」
さ、流石はセナさん!ウォルバクの表情を見てからの完璧なフォロー!これならウォルバクが生タマネギを抜いてと頼めば、それだけで話は決着する!
「でも大丈夫。皆に美味しいもの食べて欲しいものね……」
「「なんて健気……かわよ……」」
「すみません。貴方達の為にフォローしてるんで、お二人も何か考えて貰えます?」
おっと危ない。可愛いポンコツウォルバクに萌えて居たが、気遣いと遠慮を防ぐにはそもそも気落ちさせてはいけない。となれば、やるべき事は1つである。
「はっ!そう言えばウォルバク様!ホーストはタマネギが好きだと公言して居ました!魚はそれほど好きでは無いので、タマネギはホーストに与えてやりましょう!」
「そうなの?!ホーストの好物はお肉だと思っていたけれど、タマネギなんだ……」
これはアーネスが最近覚えたテクニックだが、今のアーネスの発言に嘘はない。何故なら、ホーストは牛丼のタマネギを美味いと公言していたし、肉派なので魚はそれなりである。まるでタマネギが一番好きなように聞こえるかも知れないが、嘘を付かずともミスリードを誘うことは可能なのだ。
「じゃあ、料理はこのコースでお願いするわ。あとは……」
「次はお待ちかねのウェディングドレスです。ドレスはこちらからお選びください」
尊いホーストの犠牲を払い、遂にドレスを選ぶウォルバク。元より結婚には憧れていたし、ここまでくれば気分が落ち込む事は無いだろう。あのスタイルなら似合わないドレスなど無いだろうし、何を選んでも安心して………
「どうしよう……私の入るドレスあるかしら……」
「こ、このサイズは確かに……難しいかも知れませんね……」
うん。確かに何でも似合いそうだが、それはドレスに胸が収まればである。あのたわわな果実が収まるドレスなど、間違いなく一般向けではない。
「と、当店にはサイズ直しの出来る裁縫師が居ますので、ドレスのサイズ直しも承ります!ですので、どうか一番気に入ったドレスを選んでください!」
「そうなの?じゃあ、この白い清純そうなデザインと、カラードレスは……」
「……ドレスの直しなんてやってましたっけ?」
「買い取ってやるから、その金額は俺に付けてくれ……」
半分は俺が楽しむ為の出費だし、それくらいは許容するから!
………………
「ねぇカズマ!明後日は本当に大丈夫なのよね?」
「あぁ、予定は空けてあるから、1日ウォルバクに付き合うよ。何なら翌朝までもな?」
何とか挙式のプランも決まり、街の連中は既にお祭りムードだ。こんな大規模なサプライズなんてバレそうなものだが、やはりウォルバクの人徳なのか、俺へのネタバレは一回もない。まぁ、男共には恨めしそうな目で見られたりしたが、それくらいなら許容範囲だろう。
「さて、問題はどちらかと言うとこっちだな……」
しかし、実はまだ挙式をするのに課題がある。ウォルバク用にサイズ変更しているウェディングドレスだが、仕事量が多くてまだ完成に至っていない。だからって裁縫スキル持ちは俺くらいだし、アクアに頼るとバラされそうだし、自分で頑張る他にない。
「カズマ、機織り職人から布が届きましたよ。そのウェディングドレス作り、まだ終わらないのですか?」
「そりゃサイズ直しって言うより大幅拡張だからな。直した部分がダサくても困るし、刺繍やら構造に気を遣うんだよ」
なお、めぐみんは挙式の件に気付いており、陰ながら俺のサポートをしてくれている。やはり長い付き合いは伊達では無いようで、俺とウォルバクを見て察したそうだ。アクアとダクネスも長い筈だが、あいつらはまぁ色々とアレだし……
「だとしても、せめて睡眠はちゃんと取ってください。これでカズマが倒れたなんて事になれば、余計に師匠が気を遣いますよ?」
「そんな気の遣い方するなら、もっと体力を付けて欲しいよな。ウォルバクを背負って走るのも大変だぞ?」
「誰かさんは胸の感触を楽しんでいるので、そこはWin-Winだと思われてるのでは?」
「……なんのこと?」
仕方ない。あれはもうマシュマロが柔らかいのが悪いんだ。男子に抗える筈が無い。
「今更誤魔化す意味は無いと思いますが、くれぐれも後ろめたくなるような行動はしないでください。優しく生真面目な人ですから、今なお刃を向けた事を悔やんでいるんです。それこそ、愛されるほど痛烈に……」
「分かってるよ。直接手を下しためぐみんほどじゃ無いだろうけど、俺だって色々考えたからな……」
俺達の関係に重くのしかかる、殺し合ったという残酷な過去。お互いがお互いを想い合う程、その過去が心を蝕んでいく。しょうがなかったと理解していても、心っていうのは簡単ではない。何より巨乳美人を屠ったなんて、男子として許されない愚行だと思う。
「ちなみに、チョーカーの件で俺はお前らに殺された訳なんだが、それについては……」
「おぉっと!今日の爆裂がまだでした!カズマの邪魔をしても申し訳ないので、私はこれで失礼します!!」
いや、流石にそれは無責任が過ぎない?別に怒ってるとかじゃないんだけども、俺の命が軽過ぎる!
「まっ、そっちの方が気が楽だし、取り敢えず今はドレスの直しを……」
そう思って作業台へ向き直した時、目の前が突然暗くなった。流石に徹夜をし過ぎたようで、ちょっとばかし睡眠が必要らしい。まぁ、それならそれで仕方がない。休めば元気になるだろうし、今は少しだけ休ませて貰おう。
…………………………
「で、39℃の熱を出したと……お前本当に何やってんだよ……」
俺の顔を覗き込むセレナの顔が、これが冗談でないことを表している。とは言え治療は施されたようで、既に息苦しさ等の苦痛は感じない。
「助かったよセレナ。それで、倒れてからどれくらい経ってるんだ?」
「まだ動くな馬鹿!あれから2日経過してるが、まだ体力は戻ってないんだ!」
「ふ、2日って……それじゃウォルバクとの約束は?!」
「隣だよ。心配だからってずっと離れなくて、あたしは飯まで運ばされたぞ?」
既に太陽は高く昇り、既に式は始まっている時間。そして、肝心の花嫁は、俺の手を握って隣で眠っている。なお、普通はベッドにもたれかかるとかが普通だと思うが、ガッツリベッドに入っての添い寝なのは何故だろう。ちょっと珍しいパターンである。
「あっ!起きたのねカズマ!本当に心配したんだからね!」
「その割にはぐっすり眠ってた気がするけど……」
「したんだからね!!」
「あっはい」
俺の顔を見て安堵したのか、ウォルバクの目には涙が浮かんでいる。ちょっと寝付きが良いってだけで、心配してくれたのは本当なのだろう。クマの出来たセレナの方が心配してくれた感はあるが、比較するような事でもない。
「馬鹿……本当は全部知ってたのに、どうして無茶な要求を呑んだのよ……サプライズなんて出来なくても、結ばれるだけでも十分なのに……」
「ウォルバクは俺に遠慮するだろ?一生に一度の事なんだし、我慢させたく無かったんだよ……まぁ、残念ながらドレスの仕立ては間に合わなかったけどさ……」
「それでカズマが倒れたんじゃ、元も子もないじゃない!」
俺に泣き付くウォルバクを見ると、酷く後悔が押し寄せる。騙すような事をしないでおけば、最初から素直に話しておけば、もっと上手くやれたのだと思う。日程も何もかもをウォルバクの希望に合わせた結果が、この状況を生んだのだ。
「私は中止の連絡をしてくるから、カズマはゆっくり休んでいて……新郎がそんな状態じゃ、挙式なんて言ってられないもの……」
「ウォルバク待っ……くっ!」
「馬鹿!回復魔法でも体力は戻らねぇんだぞ!今はウォルバクの言う通り、素直に回復に勤めるんだ!」
「駄目だ!ウォルバクはいま中止だって言った!今を逃したら、アイツはもう……」
だけど俺はどうしたら良い?ドレスは完成していなくて、立ち上がる体力さえ残っていない。このまま俺が駆け付けた所で、結局挙式なんて……
「ねぇカズマさん?作りかけのドレスがあったから仕上げたんだけど、流石におっぱいに夢を持ち過ぎじゃない?こんなの惰女神かダクネスくらいしか……」
「アクア!お前本当に女神だったんだな?!今まで疑ってごめんな!」
「へ?なんでそんなにテンション高いの?と言うか、私はずっと女神なんですけど?!」
ドレスを持ったアクアの登場は、まさに女神の降臨だった。欠けていたドレスと新郎の体力。その2つを同時に解決出来る。多少の罪悪感はあるが、後でちゃんと埋め合わせはします。
「じゃ、ついでに『ドレインタッチ』!」
「あぁ〜!!いや流石にこれはおかしいってば!私感謝されてた筈でしょ?!女神だと再認識した筈でしょ?!」
「あぁ、やっぱり女神の力は凄いな!これなら直ぐに万全になれるぞ!」
「歪み過ぎでしょその感謝!あぁー!どんだけ吸えば気が済むのよぉ!」
取り敢えず挙式を万全に迎えて、ついでに初夜を楽しめるくらいかな!
……………………
「成程。それで中止の連絡をする為に、ウォルバクさんは走ってきたんですね?」
「あぁ、なんかフルマラソン直後みたいで話せそうに無いが、多分中止を伝えたいんだと思う」
ドレスを持って式場に入ると、ウォルバクに酸素を吸わせるエリスが居た。今日は牧師役として来ていた筈だが、主役がこれでは出番はない。中止になって無くて好都合とも言えるが、これはこれで不安になる。
「でも、カズマさんにそんな気はないんですよね?」
「あぁ、エリスが牧師役を引き受けてくれたし、アクアのお陰でドレスも仕上がってるんだ。ここで辞める理由はないよな」
新婦が病欠って理由だったら、マジで中止になりそうだけどな。なんか緊急搬送されそうな顔してるし……
「話せないみたいだから勝手に話すけど、もう遠慮なんてする関係じゃないだろ?それに、愛した女の子の我侭くらい、聞くだけの甲斐性は持ってるつもりだぞ?」
「でも、元魔王軍の私にそんな資格は……ただでさえ命を救われてるのに……」
やはり俺の予想は正しく、過去の関係が足を引っ張っていたようだ。殺そうとした相手に救われたのだから、そりゃ相当な貸しとも言える状況だ。俺への愛が本物だとしても、それで後ろめたさは消えたりしない。義理堅く真面目なウォルバクなら、きっとそう考える筈だ。
「自分は何でも与えようとして、俺からはなるべく受け取らない。恩人との接し方としちゃ理解出来るが、俺達の関係はそうじゃないだろ?ほら、ちゃんと一緒に幸せになろうぜ?魔王軍幹部なんて称号より、新妻の方が俺好みだ」
「うん……うん!カズマがそれを望んでくれるなら、私も妻として一緒に居たい!魔王軍とか女神じゃなくて、ただ愛する相手として一緒に居たい!」
俺からドレスを受け取ったウォルバクは、荒い息使いのまま更衣室へと走っていった。多少のトラブルは起こったものの、結果的には良かったと思う。俺達は本当の意味で夫婦となり、ついでに誰も傷付いて居ない。そんな理想の結末が……
「ちょっと遅いじゃないサトウカズマ!ウォルバクとアンタが何時までも来ないから、何故か友人代表の私が延々と挨拶させられたのよ?!しかも次期魔王の癖に話が詰まらないとか言われるし、マジでなんなのこの街の住人?!」
「すみません。まさか魔王の娘まで来てたとは露知らず、迷惑かけて本当にすみません!!」
呼んだのも迷惑かけたのもウォルバクですけど、戦争だけは勘弁してください!
「私の前であんな告白するなんて……私も欲しくなっちゃいますね……」
「エリスにも近い内に埋め合わせします!」
だからその狩人のような目は辞めて!新婚初夜に寝取ろうとしないで!
………………………
「はぁ、挙式をするのも大変なのね……」
挙式を終えた俺とウォルバクは、その疲れを癒すべく近所のホテルの一室にいる。挙式は思ったよりいつも通りで、酔った魔王の娘が号泣したり、ウォルバクが辛いタマネギに号泣したり、アクアのヤケ酒に付き合って何人か医務室送りが出たり、アーネスのお祝いメッセージが1時間くらい続いたりしたが、俺達からすればいつも通りだ。
「期待外れだったか?」
「いいえ、自分でも驚くくらい満足してるわ。何なら挙式前の言葉で、もう満足していた気がするもの」
そう言って俺を見つめるウォルバクの目は、優しくも何処か熱っぽい。そりゃ折角挙式までしたのだから、この後に期待するなと言う方がおかしな話だ。ウェディングドレスのまま連れてきたのも、俺が楽しむ為である。
「なら、次は俺が満足させて貰わないとな!」
「あっ……へっ?!」
俺はウォルバクをベッドに押し倒し、ついでに腰のリボンを外す。するとウェディングドレスの布がはだけ、たわわな果実が顔を出す。清純の証がこんなにエロくなるなんて、我ながら素晴らしい改造である。
「な、何このエッチなドレス……まさかこれって……」
「良いだろ?作り直すついでに俺が仕込んだんだ。お陰で仕事量は倍以上になったが、頑張っただけの価値はあるよな!」
ウォルバクは顔を真っ赤にして震えているが、男子とはそう言うのにそそられるものだ。ちょっとだけ目つきが怖い気もするが、それもきっと羞恥によるもので……
「……心配したのに」
「へっ?」
そんな軽い気持ちで伸ばした手が、ウォルバクにより掴まれてしまう。普段ならベッドで抵抗などしないのだが、本気で怒っていると話は別だ。心を持つ生き物であるなら、愛よりも感情が優先することもある。そして、何度も説明している通り感情が高ぶるとやらかすのがウォルバクである。
「心配したのに……カズマの馬鹿ぁ!」
「ぐふっ!」
感情のままに振り上げたウォルバクの足が、柔らかな袋へ深々と刺さる。聖剣が上へと伸びている事で、下からの攻撃には無防備だったのだ。俺は白く柔らかな太腿へと着地して、そのまま意識を手放した。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
最近リアルが忙しくて、ちょっと更新頻度が落ちてます。
まだ消滅するつもりはありません!だから見捨てないで!
って事でまた不定期更新ではございますが、お暇な時にでもお付き合いください。