殆どリゼロネタな気もするのですが、悪ふざけ出来るキャラが悪いのです。と言うことで、カルテットネタでもう1本。
またお暇な時にでもお付き合いください。
魔女教。スバルの世界で暗躍するその組織は、世界を恐怖に陥れている危険な悪の組織である。そんな恐ろしい組織と戦うスバルの事を案じ、アインズとターニャがこんな事を言いだした。
「世界への介入は許されないが、特訓をするなら文句は言われないんじゃないか?」
「確かにスバル達には死んで欲しくないし、私達に出来ることがあるならやるべきか……」
「えっ……いやそこは俺達の意思というか……2人のトレーニングの方が死亡率が高い気が………」
「安心しろスバル。うちの嫁なら細胞一個でも残れば回復出来るから……」
「フォローの仕方が死後なのおかしくない?!」
と言うことで俺達は解散せず、何故かスバルを鍛えることになった。
…………今更過ぎるキャラ紹介…………
ナツキスバル
基本的には普通の高校生。ちょっと闇魔法が使えるが、あんまり戦闘で活躍はしてない。どっちかと言うとトライアンドエラーで頑張る頭脳担当。
鈴……モモ……アインズ・ウール・ゴウン
レベルカンストのプレイヤー。システム的にバランスが取れているゲームキャラで、普段はレベル差でゴリ押して勝利を得ている。本当はもっと戦術的キャラメイクも出来たのだが、ロールプレイを重視して闇属性に尖らせた。廃人のプレイヤースキルには勝てないと理解しているので、常に慎重に動くようにしている。
ターニャちゃん
電撃戦のスペシャリスト。加護という武器は一応あるが、戦術を主に用いるプロの軍人。相手の不意を突くような電撃戦が持ち味で、軍人らしく戦う前から勝利パターンを構築する。
サトウカズマ
搦め手、反則技のスペシャリスト。基本的にステータスが低く真っ向勝負はしたくない。と言っても今ではレベルカンストして、更にレベルリセットによるスキルの大量取得もあり、普通に考えたらアインズよりエグい事になっている筈なのだが……最近は耳掻きのスキルをカンストするなど、戦闘用のスキルを全然取らないことで有名。ただし体力と器用さだけは常軌を逸したステータスをしている。別名夜のラインハルト。ラインハルトは苦笑い。
…………てことで特訓開始………
「さて、先ずは諸君らの適性チェックだ。もし誰かしら時間魔法が使えれば、それは大きな切り札となる。と言うことで『タイムストップ』!」
アインズが右手を大きく掲げると、突然世界から色が無くなる。ゲームでもかなり上級の魔法だが、確かにこれが一人でも出来ればかなり有効な切り札になる。
「成程。これで動ける人は時間魔法の適性がある訳ですか……」
「えっ、そうなの?私普通に動けるんだけど?」
「アクアは女神でしょ?普通の人間に時間概念への干渉は理解できないのよ。出来る人間は才能があるって事ね」
「似たようなスキルでも干渉できるっぽいぞ?俺も動けてるみたいだし」
「えっ、カズマの陣営ちょっとズルくない?どうして4人も動けるんだ?!」
アインズが凄く驚いているが、そう言えば詳しい話はしてなかった気がする。人知を超えた存在って奴も、ずっと一緒だと慣れてしまうものだ。
「この3人は女神で、俺は上級淫魔スキルの『時間よ止まれ』のスキルがあるからな……」
※某大人のビデオジャンル
「なんだって?!しかもその何処か余裕のある立ち振る舞い!ひょっとして停止中にも何か出来るのか?!」
そう言えばアインズの時間魔法は、時間を止めるだけで攻撃とか出来ないんだっけ。そう考えたら俺のスキルは、1つだが凄いことが出来るぞ。
「あぁ、このスキルは……時間停めたままセッ」
……熱弁されましたが、内容が酷いのでカットされました……
「何となく予想はしていたんだが、やはり世界が変わると魔法を教えることは出来ないようだ。ちょっとカズマだけ特殊過ぎるんだが、それはあの世界の適当さ故の副産物だろう」
それからも色々と試してみたのだが、やはり世界を超えて魔法を教えることは出来なかった。なぜか俺の冒険者カードだけが充実していくのは、世界観の違いって奴なのだろう。と言うかアインズの魔法ってメッチャ魔力使うし、教えたとして誰も撃てねぇよ。
「手札を増やすのが不可能だとすると、やはり実戦で鍛えるしかあるまい。ここには魔法戦闘のエキスパートもいるし、我々に使った無駄にハイスペックな再現装置もある。少々手荒い方法にはなるが、その敵を再現して戦ってみるのが1番だろう」
「「「異議なし!」」」
流石にちょっとズルすぎる気もするが、スバル達の為には仕方がない。
…………………
「最近出番が少ないとは思っていたが……どうしてこんな時ばかり私なんだ?!」
「最前線はダクネスの仕事だろ!相手の能力が分からないんだ!カッチカチのお前が適任なんだよ!」
「出来れば相手の手の内が分かるように、なるべく長引かせてくれ!」
「カズマもスバルも覚えておけよ!」
神様の装置で用意したのは、暴食の大罪司教ライ・バテンカイトス。なんでも純粋な戦闘力は魔女教でトップらしく、訓練の相手としては理想だろう。ちなみにコイツの情報の出処は……
「ふふっ、ボクはとても役に立つだろうカズマ?契約してくれたら、権能と攻略法も教えてあげるよ?」
「なんか距離が近いんですけど……契約はしないって言ってんだろ……」
ちょっと距離感のおかしいエキドナである。最初から物凄い強敵をぶつけておいて、攻略法をエサに契約を迫るつもりらしい。
「俺達の前で名前を呼ぶなんて……それは流石に悪手じゃないかなァ?!」
「なっ?!なんだこの身のこなしは?!細身の少年ではないのか?!」
ダクネスを標的として見定めると同時に、暴食は一瞬でその距離を詰める。そして手の甲に取り付けた刃物を、ダクネスの肩口へと振り下ろした。
「くっ!まさに達人のような身のこなし……鎧が無ければ腕が持っていかれていた……」
「どうやらギリギリで避けたようだなァ……でも、それじゃ無駄に苦しむだけだよォ!」
再びの高速の突撃と、あまりにも的確な短剣の突き。今回の攻撃は鎧を避け、確実にダクネスの首を狙う。ダクネスも咄嗟に反応するが、既に間に合うタイミングではない。
「くっ!」
ブシャッ!
真っ赤な鮮血が激しく飛び散り、ダクネスの鎧を真っ赤に染めた。ちなみにその血はダクネスのでは無く……
「あぁぁぁ!!なんで……なんで俺の手首がグチャグチャなんだよォ?!」
「き、きっとその刃物が傷んでいたんだ!そしてお前は私の鎧を殴った!つまりそういう事なんだろう!」
暴食の砕けた手首から出たものである。ちなみに俺の目にはハッキリ見えたが、刃物はしっかり首にヒットしていた。人だと思って振り抜いた相手が鉄骨だったら、そりゃ手首も無事では済まないだろう。
「くそっ!トロそうに見えて相当な手練か!なら魔法だ!肉弾戦の達人であろうと、魔法攻撃なら耐えられないだろ!」
「くっ!なんて激しい魔法攻撃なんだ!これを三日三晩続けられたら、いくら私でも耐えられない!!」
「これ耐えんの?!お前本当に人間なのか?!」
それについては俺も同じ意見ですが、自認は人間なので人間ってことにしています。
「成程。あれは恐らく、人の記憶を食べることでその人の技をトレースしているんだ。戦闘方法がかなり多彩で、それでいて複数の癖が見える。暴食とはそういう意味だったんだね」
「流石はラインハルト!一目見てそれが解るのか?」
「うん、さっき解説者の加護を授かってね?」
「…………俺、実はラインハルトもカズマ側の人間じゃねぇかって思うことあるよ?」
だが、あらゆる達人の生き写しとなると、それに勝つにはそれ以上の達人、または達人を狩れるだけの連携が取れるチームが必要になる。なんて、本当ならシリアスな流れになる筈なのだが……
「畜生!何なんだよこの女ァ?!どうして傷一つ付かないんだよォ!主食に鉄でも食ってんのォ?!」
「食べてない!私はれっきとした人だ!!」
鋼の武器程度じゃ傷付かない女なんて、多分あらゆる達人でも未経験なんだと思う。そもそも鋼を破壊できるなら、武装に頼る必要なんてない。
「こんな食事は望んでないが……ダクネスって名前を出した事がお前の敗因だァ!!」
「なっ!まさかこれは魔法攻撃?!流石にそれは対策が……」
暴食が突然ダクネスの頭を掴むと、舌を伸ばして掴んだ手を舐める。この状況でそんな事をする理由なんて、権能か儀式か魔法くらいだ。いくら物理防御最強のダクネスでも、魔法による攻撃だと……
「うぉぇぇぇぇ!!」
「あれ、吐いてる?!」
ちょっとヤバい展開かと思ったのだが、苦しみだしたのはむしろ暴食の方だった。ひょっとして肉がカッチカチ過ぎて、暴食的にもNGだったとか……
「………おい」
ガッ!
「ぐっ!お前その名前は偽め……」
「レディの味で吐くとはどういう事だぁ!!」
「あァァァ!!!割れる割れる割れるゥ!!!!」
だが汚物のように扱われたダクネスからしたら、そんな都合など知ったことじゃない。暴食の頭を鷲掴みにし、そのまま万力のように締め上げ始めた。
「私にセクハラするだけならまだしも、それで嘔吐するとはどういう了見だ!言ってみろ!どうして嘔吐したか言ってみろ!!」
「あが……あがががが……」
「成程!あらゆる達人の技をもってしても、皮膚で鉄を砕くなんて芸当は出来ない!つまり、自身が鋼鉄以上の強度を持てば、暴食は攻略可能と言うことだね!」
「辞めてラインハルト!お前どんどんカズマ側にいってる!あとそれが出来たら苦労しねぇの!魔女教の攻撃がノーダメージの化け物が居たら、そもそも俺達は苦労して……あがががが!!」
「誰が化け物だ!!」
「「あぁぁぁぁ!!!!」」
ゴキッ
ダクネスの手に掴まれた暴食と、スバルの声がシンクロする。スバルの世界も大変だと思うが、これのお守りをする俺の苦労も、少しは解って貰えただろうか……
…………………………
「つーことで一応の暴食攻略法を見付けた訳なんだが……ユリウスいけそう?」
「どうして僕にそれを振る?!出来るわけ無いだろうあんな化k……コホン…常軌を逸した防御術など!」
ギリギリでNGワードを避けたユリウスだったが、とは言えこれでは参考にならない。そうなると真っ向勝負で勝てる奴が必要になるのだが……
「………コキュートスなら正面から屠れると思うぞ?暴食がどんな達人を真似ても、達人の技を複数同時には出せないだろう?」
「僕に人間を辞めろと?!せめて腕の数を合わせてくれないかな?!」
流石にこれも参考にならない。何ならコキュートスの外骨格も、短剣程度なら防げそうだし………
「うちのアイリスでも何とか出来そうだが、流石にこれも真似は無理だよな……」
「おい待てカズマ!一瞬同意しそうになったが、流石にそれは心外だ!これでも僕は……」
「『セイクリッド・エクスプロード』!!あっ、倒せましたお兄様!聖剣なら出落ちで蒸発させられます!」
「…………生意気言ってすみません……ちょっと頑張ってる騎士です……」
うん、ユリウスは凄く頑張ってると思うんだけど、世界には伝説級のチートが居る。チートにはチートをぶつけるのが確実とも言えるが、そんな人材はそう簡単には集まらない。
「いや駄目だろ!爆裂魔法とか聖剣の一撃とか、俺達は都市部で戦うんだぞ?!街の住人が巻き込まれる事になるし、もっと他の方法は無いのかよ?!」
「「まとめて死なせてから蘇生すれば?」」
「カズマとアインズはもっと常識を持って?!」
…………………
「それで各自の能力を引き上げるのは理解するけどよ。俺達の相手はカズマで良いのか?」
「搦手対策なら俺だってよ。エキドナは他の連中の権能を教えてくれないし、俺もサボれないならスバル達が良い」
結局必勝法の習得は出来ず、特訓は個人の能力を上げることにシフトした。特にエミリアとスバルは魔女教のメインターゲットの為、権能対策と言うことで俺が特訓の相手に選ばれたと言う訳だ。
「カズマさんってそんなに戦闘は得意じゃなかった気がするんだけど……本気で魔法を撃っても大丈夫なの?」
「エリスの補助魔法があるから死にはしないだろうけど、出来たら手加減して欲しいです!」
「で、出来るだけ頑張るね!」
多分手加減なんて出来ないのだろうが、こんな優しい娘が死ぬなんて惜しい。少しでも2人の生存率を高める為に、今日はクズと呼ばれるのを覚悟して2人に搦手について教えてやるとしよう。
「いくよカズマさん!『アイシクルライン』!」
「いや手加減の話何処行った?!」
突然エミリアの魔法が発動し、大量の氷の武器が俺の元へと振り注ぐ。それにしてもこれ手加減なの?手加減してこれだとしたら、あの子結構ヤバい子じゃない?
「そんな……かすり傷1つないなんて……」
「嘘だろおい。魔王を倒した英雄って、本当にカズマのことだったのかよ……」
「ずっと信じてなかったのかよ!つうか、俺は別に何もしてねぇぞ?」
冷気と土埃が晴れた瞬間、2人は驚愕の声を上げた。そりゃ氷の武器が1つも当たっていないのだから、真面目な良い子は凄いと思うだろう。その発想が既に間違っているんだが……
「なら接近戦しかないよね!『アイスブランドアーツ』!」
「氷の武器で肉弾戦って!それ魔法使いの攻撃か?!」
突然エミリアが距離を詰め、生み出した氷の剣を真っ直ぐ振るう。ちょっとお転婆だなとは思っていたが、ここまでくるとじゃじゃ馬に近い。こりゃ結婚したらスバルも大変だ。
「でも、素人の接近戦はハイリスクだからお勧めしないぞ?」
「へっ……きゃっ!」
「何だよ今の動き!今一瞬2人に見えたぞ?!」
俺は武器を振るエミリアの手首を掴むと、そのままスバルの方へと投げ飛ばした。2人は随分と素直に戦っているが、これは搦め手への対策である。それを宣言しているのにこれとは、どんだけ素直な良い子だお前ら。
「そんなに強いなら加減は要らないな『ダブルアタック』」
ビシャッ
「はっ?!」
「えっ?!」
俺は2人の首筋を目掛け、2連攻撃のスキルを放つ。と言ってもそれは刃物では無く、ただ液体の入った瓶を掛けただけ。2人に敗北を認めさせるだけなら、これだけやれば十分だ。
「今のが刃物だったら……俺達……」
「確実に殺されて……えっ……なんで……こんな……」
「いや、そんな重く受け止めんなよ……俺は光の屈折魔法で5メートルずれた位置に虚像を出して、後は不意打ちしかしてないぞ?」
「「…………えっ?」」
シリアスなムードのところ申し訳ないが、こんなのは搦手で言えば初歩の初歩。居ない所に居ると錯覚させるなんて、手品でも良く使うベタなトリックだ。それにこんな容易く引っ掛かるとは、こりゃ教える事は多そうだ。
「そんな事で簡単に……くそっ!次こそ絶対に引っ掛からないからな!」
「なら次いくぞ。『フラッシュ』!そして『煙幕』!」
続いては搦め手あるある代表技。視界を封じるパターンである。これは土煙でも有効である為、出題頻度がまぁまぁ高い。これにも対応できないようでは、流石にちょっと不安が大きい。
「くそっ!閃光の後に煙幕って、どんだけ周到に視界を奪うんだよ!」
「スバルこっち!こっちに両手を伸ばして、カズマさんを捕まえて!」
「おぉ!任せろエミリアたん!」
「あっ、それは私じゃ………あっ!」
「えっ!なにこの柔らかいもの?!」
俺はエミリアとスバルの間へ入り、エミリアの声で捕縛を促す。スバルはエミリアを信じて手を伸ばすが、そこにいるのは俺ではない。千里眼とヴァーサタイルエンターテイナーだけでも、陽動だけなら容易に可能と言う訳だ。
「す、スバルそれ……私の胸なんだけど……」
「なっ?!カズマのやつなんて事を!後で1杯奢れって事か?!」
「それはちょっとおかしいと思うな?!」
「俺もそこまでは狙ってねぇよ?!」
だが、お互いが見えてない状況なんて戦場ではよくある事で、何なら自らの攻撃でも視界が途切れる事がある。それなのに煙幕に慌てるようでは、いくらなんでも備えが足りない。
「攻撃後の土煙ってのは、逃げるにも隠れるにも有効な目眩ましだ。それを有効に使わないなんて、折角あるのに勿体ないだろ?」
「流石は魔王を倒した英雄だ。俺達の戦いがどんだけ未熟だったか痛感するぜ……でも、だからって油断し過ぎだ!足音で場所が丸分かりだぜ!」
「あっ、駄目スバル!」
カーン!
俺に向かって木刀を振り下ろしたつもりだろうが、スバルの一撃が俺に届く事はない。視覚が駄目なら聴覚なんて、そんなの誰だって予想出来る。
「ゴーレム?!くっそ!どんだけ手札があるんだカズマは?!」
「こう言うズルい人の言葉に乗っちゃ駄目!大抵は足元を掬われるか、壺を買わされるって昔習ったもん!」
「流石はエミリアたん!俺は壺を買う金もないけどね!」
流石に壺を売るつもりはないが、エミリアの方が修羅場慣れしているようだ。確かに相手のペースに乗れば、危険な状況になるのは間違いない。でも、そう言うのは最初から心掛けないと、途中で始めても手遅れだったりする。
「と、所でスバル……なんかちょっと熱くない?これもカズマさんの攻撃なのかな…………あっ」
「エミリアたん?!」
冷静に警戒をしていた筈のエミリアが、突然の不調に膝を着く。と言ってもそれも俺の攻撃で、煙幕の中に薬を混ぜておいたからだ。そもそも相手が使った煙幕なんて、それこそ何が入ってるか分かったものではない。
「冷静に警戒するのは悪くなかったけど、それなら煙幕の中身にも警戒すべきだ。匂いや毒で人を惑わすってのは、そこら辺の植物だって普通にやるぞ?」
「カズマさんの世界って凄く意地悪なんだ……でも、油断大敵なのはお互い様!……じゃないの?!」
ズボッ
煙幕が薄くなったのをチャンスと見たか、エミリアが最後の力を振り絞った。だが優位な相手が姿を見せるのは、罠って可能性も当然ある。現にエミリアの足はボトムレススワンプにハマり、完全に身動きが取れなくなってしまう。
「相手には謎の権能がある。何があるのか分からないが、何かを持ってんのは確実だ。だったら常に警戒を解くな。魔物だろうと市民だろうと、下手すりゃ野菜さえ殺しに来ると思って身構えろ!俺はもうそれで何度死んだか分からないぞ!」
「くっ!ふざけた単語なのにマジなのが伝わってくる……」
「カズマさん……すっごく大変な世界で生きてるんだ……」
それを分かってくれただけで、特訓に付き合った甲斐があったかな!
………………
「僕は魔女教大罪司教、『強欲』担当。──レグルス・コルニアス。君に個人的な恨みはないが……」
「煙幕!」
「『アルミーニャ』!」
「ちょっ?!」
あれから何度も特訓を繰り返し、遂にスバル達の闘いの日が訪れた。だが相手の権能は未だに不明であり、特訓の成果が出るのはこれからだ。
「全く、君達には常識ってものが無いのかい?これって僕の話す権利の侵害で……」
「しゃべってるって事は呼吸はある。服が汚れてないって事は不干渉タイプの魔法。更に攻撃の瞬間に服がなびかなかった事を考えたら……」
「あのバインバイン女神の使ってた時間固定魔法なのよ。ベティも初めてお目にかかるかしら……」
確かに時間を固定されれば、あらゆる攻撃はその意味を成さない。ウォルバクはラーメンの麺伸び防止にしか使ってないが、使い方を変えるとここまで厄介なのかあの魔法。
「へぇ、初見で僕の権能を看破するなんて、君達意外とやるじゃないか?でもだからって対策なんて不可能だろう?」
「それはこれから考える!食らえ煙幕!」
「何処までも無様だね君?しかも不発の物まであるし、準備さえまともに出来ないんじゃ、これ以上は期待なんて……はっ?」
どさっ
スバルのメチャクチャな投擲を軽くあしらっていた強欲が、突然力なく地面へと倒れる。もう少し時間がかかると思っていたが、スバルの投擲術は思ったより優秀だったようだ。
「俺はお前以外にも時間固定魔法を使える人を見たことがある。その人は本当に化け物みたいに強かったんだが、ラーメンが上手く啜れなくて、良くむせてたんだ……」
「そ、それがどうしたって言うのさ?!それで僕の権能が敗れるなんて事ある訳が……」
「あぁ、俺は最後までお前の権能に勝っちゃ居ない。ただお前が自分から負けたんだ。無意識にコレを吸い込んでな!」
スバルの持つ煙幕は、火をつけて投げる古いタイプだ。実戦では着火の手間が命取りになるからと、あんまり主流とは言えない。だがこの着火こそ、本命を隠すために重要な工程だ。
「そ、そんな筈はない!僕の細胞は時間を止めてある!例えどんな毒を用いたとしても、僕が毒に侵されるなんて有り得ない!!」
「あぁ、どんな毒も効き難い生物が居るって、黒髪プリーストのねえちゃんに教わったよ。これは酸素を奪う為の毒、一酸化炭素の爆弾だ!」
「…………なんだいそれ?」
スバルは凄いドヤ顔してるけど、そりゃ異世界人には伝わらねぇよ。ちなみにこっち側だと……
「成程。あの不発に見えた煙玉こそ本命か……」
「あれは火を不完全燃焼させる為の武器で、それを投げ付けて割ってた訳だ」
「…………そ、そうなのか?」
俺とターニャには通じるけど、どうやらアインズには伝わってないようだ。一酸化炭素ってストーブで事故を起こしたりするけど、武器にしようって発想はないよな。扱いきれなきゃ自分が死ぬし……
「あのヤバそうな目のプリーストが言ってたのよ。人は動くだけで色んな物を必要として、その最たるものが酸素だって。だから心臓か肺の機能を止めてやれば、後はゆっくりと死ぬしか無いって……」
「一酸化炭素は酸素より優先的に身体に巡る。これは毒でも何でもない。お前の身体が勝手にやる生命活動だ。だけど、それでお前は死ぬ。お前はどんなに息をしても、このまま窒息して死ぬんだ」
「嘘だ……こんな……こんな終わり方……何1つ分からないまま……不条理な力で……」
「「いや、それについてはお前が言うな」なのよ」
なんか俺よりセレナとウォルバクの方が役立ってた気がするが、だとしても強欲相手に被害者0での勝利は大きい。ちなみにエミリアと嫉妬の方は……
「ズルくてごめんね。ウィズさんって人が教えてくれたの。私の力を上手く使えば、貴方の肺も凍らせられるって……」
「か……はっ……こん……な……」
ウィズの指導により圧勝である。本当に俺の特訓必要だったあれ?あっ、ちなみに問題の暴食については……
「チグリス・ユーフラテスさん頑張って!貴方以外は魔防式のフルアーマーですから!絶対負けないけど暴食を捕らえられません!」
「その不名誉なあだ名は本当に辞めてくれるかな?!あと、こんなの作戦とは呼ばないだろ?!実質僕だけしか戦ってないじゃないか!」
「「「「「「盾にはなれるんで!!」」」」」」
「それ以外の用途は?!」
「イタダキマース」
まぁ、ちょっとばかし犠牲はあったようですが、取り敢えず死人は0らしいので良しとしました。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
なんか最新シリーズで真面目に戦ってたんですけど、なんかイジらなきゃって思ったのでやりました。反省はしています。
ごめんね!チグリス・ユーフラテス!