※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

主人公の覚醒っていうのは、男子なら誰もが好きなシチュエーションです。と言う夢を叶えるべく、カズマさんにもワンチャン!まぁ、オチでしっかりやらかしますけど……

と言うことで、またお暇な時にでもお付き合いください。


この美しき主人公に栄光を

魔王が倒されてからはや2年。この世界は相変わらず魔物が闊歩し、最近は次期魔王を狙う輩が世に出てきた。故に冒険者の仕事に終わりは見えず、世界はまだ英雄を求めている。

 

「リッチーです!アクセルの街を目指す魔物の軍団は、マジックメイルを着たリッチーが率いています!」

 

冒険者ギルドに響くルナの声は、焦りと不安を隠せていない。それも仕方ないのないことだろう。次期魔王を目指す魔物は、大抵はアクセルから狙う傾向にある。転生者を増やさないと言う戦術性と、かの英雄を討てば次期魔王と認められるからだ。つまり相手は強大で、またアクセルの街はピンチと言う訳だ。

 

「人間共、そしてこの地を守護する女神共よ!貴様らの支配は今日で終わりだ!この聖属性を防ぐ鎧があれば、我ら魔族に死角はない!」

 

「くそっ!マジでプリーストの魔法が通らねぇ!」「撤退だ!先遣隊は直ぐに本隊へ合流しろ!」「畜生!ここは駆け出しの街だぞ?!」

 

「ふはははは!逃げるが良い人間共!そして震えて死を待つが良い!」

 

だが、実際にその野望を叶えた者は居ない。膨大な軍を揃えようとも、強力な武具に頼ろうとも、必ずそれを打ち砕く者が現れる。

 

「なぁ?不死のリッチーに死を待つって概念あんの?」

 

「なっ?!貴様どこから?!」

 

それこそが魔物達が目指す英雄。魔王を倒し女神を娶り、神話を体現した男である。

 

「悪いな。タネ明かしを聞く時間は、もうあんたには残ってないんだ……」

 

「ば、馬鹿な……鎧ごと……斬られ……」

ドサッ

 

この世界の魔物はあらゆる手を尽くす。時には人の道具を奪い、時には悪魔と取引をして、また時には群れて軍を作る。だが、それさえ凌駕してこその英雄。万全を期した筈の邪悪は斬られ、その身体は空へと霧散していく。そして、人々はこの光景を見て口を揃えるのだ。

 

「「「「「「「…………えっ、誰この人?!」」」」」」」

 

「いやカズマですけど……」

 

※今回はこんな感じでお送りします。

 

………ちょい久々のキャラ紹介………

 

サトウカズマ

魔王を倒した英雄。数千のスキルを使いこなし、女神と悪魔を従える男。この何も間違ってないのに何もかも間違っている評価が今回は……

 

エリス

この世界の管理者であり、英雄の妻となった麗しき女神。慈悲深く、優しく、何より愛情深い良妻賢母。カズマの異変には本人より敏感。

 

アクア

水の女神。日本の管理者でもある。

 

めぐみん

爆裂魔法を極めた紅魔族のアークウィザード。

 

ダクネス

絶対に貫けない最強の盾。

 

その他大勢

いい感じに脳内で補完して欲しい。

 

…………てことで本編…………

 

「撤退を急いでくれ!私の防御も長くは保たない!」

 

群れのリーダーを討伐した事で、魔物の軍隊は統制を失った。と、ここまでは作戦通りだったのだが、問題は先遣隊の撤退が遅れたことだ。統制を失った魔物の半数は、逃げずに手近な先遣隊に襲いかかった。そうなると俺も逃げる訳に行かず、フォローに向かったと言う訳だ。

 

「良くやったリア!こっちに動けない奴は出てないな?!」

 

「今のところはな!だが余り長くは保ちそうにないぞ!」

 

「軍隊を1人で耐えてりゃ十分だよ!」

 

リアのメロディランスの防壁により、こちらにまだ重傷者はいない。だがこんな魔物の群れに接敵すれば、直ぐに死人が出てしまうだろう。流石にそれは御免なので、やれるだけの事をやるしかない。

 

「『アイシクルランス』!氷の槍を一斉に飛ばす!俺の合図で防壁を解いてくれ!」

 

「だが、カズマの魔法で一掃なんて……」

 

「無理だから直ぐに再展開してくれ!」

 

「一瞬期待した私に謝れ!」

 

「ごめん!」

 

今回の作戦は電撃戦の為、機動力のないメンバーは前線には居ない。つまり群れをなぎ倒すウィザードは居らず、俺に出来るのは時間稼ぎだ。時間を稼げさえすれば、後方のウィザードから援護を受けられる。

 

「掃射開始!」

 

「音壁解除!」

 

俺が魔法を放つと同時に、リアはメロディランスの鍵盤を叩いた。俺の放つ氷は粒が小さく、威力は短弓から放つ矢と同等しかない。だが的確に急所に当てさえすれば、これでも魔物は殺せなくもない。魔力が少ない俺に出来るのは、この地味な迎撃くらい。の筈だった。

 

「がっ!」「ごふっ!」「ぐっ!」「ごふぁ!」

 

「す、凄いぞカズマ!魔法陣の展開数が、今まで見たことない数だ!」

 

おい待て?確かにこれは嬉しい誤算だが、だからって上手く行き過ぎている。空中の氷弾は同時に15発生成され、狙った相手の眉間を射抜き続けている。普段なら10秒で集中力も尽きてしまい、下手すると当たらない弾丸の方が多い。それなのに今の俺は百発百中。目に映る魔物が次々と倒れ、間合いに入ることさえ出来ていない。

 

「頭に乗るなよ冒険者!」

 

「なっ?!死角から不意打ちだと?!」

 

だが状況を見て動くのは魔物も同じだ。俺の迎撃が苛烈であるなら、横っ腹を抉るのは常套手段。危機を察知した獣型の魔物が、死角からリアの命を狙う。

 

「おっと!この距離じゃ死角にならねぇよ!『ストーンエッジ』!」

 

「ぎゃん!」

 

俺は地面から岩の棘を呼び出し、獣の腹部を貫いた。敵感知と千里眼持つ俺に、死角なんてものは基本的に無い。魔法の探知範囲であるなら、更にこれだけ集中が出来るなら、即時迎撃だって容易いものだ。

 

「本当に今日はどうしたんだ?!まぁ、私なら肉弾戦でも負けたりしないが……」

 

「知ってるよ。ただ、何故か自然と手が動くんだ!」

 

射程に捕らえたら氷の矢を作り、それを眉間に向かって射出。ただシンプルな反復動作を、複数同時に延々と繰り返す。展開される魔法陣は徐々に増えていき、気付けば魔物の群れは消えていた。

 

……………

 

「単騎で敵の大将を討ち取り、更に殆どの魔物を単体で討伐……本当に勲章物の活躍ですね……」

 

討伐作戦は大成功を収め、俺はギルドで報酬を受け取った。だが、その空気は英雄を称えると言うより、未知の存在に怯えているように見える。

 

「………何か言いたげですね?」

 

「いやその……この人はカズマさんご本人なのかなって……」

 

「本人を前にそれ言います?!」

 

そりゃ今回の活躍は異様であるし、自分でも絶好調過ぎて違和感がある。しかし、だからって偽物説は違うと思う。俺はこれでも英雄なのだし、真の力だと期待されても良い筈だ。

 

「大丈夫よルナ。このカズマは間違いなく本物で、ちょっとコツを掴んだだけだから……」

 

「コツって……そんな簡単な話なのか?」

 

ウォルバクは冷静に解説するが、こんな力は初めて見る。自分でも理解出来ないと言うのに、そんな簡単な話であるはずがない。

 

「話せば長くなるだろうから、取り敢えず全員のグラスに水と氷を入れてくれる?証言は幅広く欲しいし、皆の意見も欲しいから」

 

「まぁ、ウォルバクが言うなら……」

 

俺は全員のコップにクリエイトウォーターを流し込み、ついでにフリーズで氷を入れる。話が長くなると言うことは、きっと今までも何かしらの前兆が……

 

「………つまりコレか?」

 

「そうよ。あなた30人前なら一瞬で配膳するじゃない?要はそれを加速させれば攻撃魔法よ」

 

「いつも通り過ぎて気にしてなかったですが、そう言えばこれって広範囲展開された精密魔法ですよね。お料理の時にしか使わないので、てっきり料理スキルなのかと……」

 

「料理スキルでも異常だけどね。でも、料理スキルと攻撃スキルを同時発動する条件は、まだ調べる必要があるけどね?」

 

エリスとウォルバクは平和そうだが、問題はイキナリこれが出来るようになったことだ。この圧倒的な集中状態は、スポーツ等で言われるゾーンって奴だろうか?死にかける事は多々あったが、と言うか何度も死んできたが、こんな状態は初めてだ。

 

「あの〜、常にその状態で居てくれたら、ギルドとしても高レベルな上級職と同等に扱っても良いのかなと……」

 

「すみません。まだ全容が分からないので、それについては保留でお願いします」

 

「……分かりました」

 

なんかそういう事らしいので、ちょっと調査をする事になりました。

 

……………………

 

「謎の絶好調と言われても、私には普段通りにしか見えないが……」

 

些細な変化に気付く為には、やはり付き合いの長さは重要だろう。普段の俺を良く知る皆なら、当然変化にも気付き安い。なんて期待して集まってみたが、そう上手く行かないのがこの世界である。

 

「しょうがねぇよ。自分でも気が付かないレベルだし、ダクネスじゃ気付かなくても無理はないさ」

 

「あぁ、すまな……っておい待て!今馬鹿にしたろ?!さらっと私のことを馬鹿にしたろ?!」

 

実際にダクネスは察しが悪いし、そこまでの期待はしていない。こういう時に頼りになるのは、やはりめぐみんの方だと思う。

 

「ふふっ、これは少々難しい問題ですからね。ダクネスでは分からないのも仕方ありませんよ」

 

「なっ?!めぐみんはもう分かったと言うのか?!」

 

やはりこういう時に頼りになるのは、高い知能を持つ紅魔族。その中でも天才と名高いめぐみんにかかれば、この程度の問題は造作もないようだ。ありがとうめぐみん。もし簡単な条件だったら、良い感じに難しそうな説明を考えるよ。

 

「当然です!これはまさにお約束の展開では無いですか!愛する人のピンチに目覚める力………そう、これこそが勇者の持つ愛の力です!」

 

「愛するって……私のことをか?!」

 

めぐみんのそれっぽい仮説を聞いて、真っ先にリアが声を上げる。確かにあの状況を考えれば、リアの為に覚醒したと思うのが自然だ。ちょっとエリスの圧が怖いが、その説は説得力がある。

 

「違います。リアの為に覚醒するなら、カズマはとっくに最強の勇者ですよ」

 

「………むぅ、それはそうかも知れないが……」

 

おい辞めろ。リアと俺は一応禁断の関係だから、そんな露骨に不機嫌になるんじゃない。可愛いけどリアクションに困る!

 

「成程。つまり原因は更に後ろ……この街を守る為に覚醒したと言うことか。守る者が後ろに居たら、下がれない私と同じだな……」

 

「お前は誰も居なくても下がらないだろ……むしろ後ろにお前らが控えてるんだぞ?それで極限状態になると思うか?」

 

「「「「「「ならないと思います」」」」」」

 

そこは少しくらい考えてみてくれない?俺もならないと思うけどさぁ!

 

………………………

 

「で、結局原因は分からずか……」

 

思ったより議論は白熱したものの、結局原因は分からず仕舞い。取り敢えず今も強化は続いているので、そのまま経過観察になった。

 

「いっそ普段からこれでいるなら、そっちの方が便利だと思いますが……」

 

「そんな事になったら緊急招集を受けるだろ?!」

 

「いつも呼ばれてる気がしますけどね……」

 

そりゃアクセルには高レベルな冒険者が居ないし、最終的に呼ばれるなら諦めもつく。だが、呼び出す大義名分が出来たら、間違いなく俺達が真っ先に呼ばれる。勝率の高いパーティを頼れば、報酬をなるべく減らせるからだ。

 

「助けてぇー!!」

 

「はっ!カズマさん!近くで助けを求める子供が!」

 

「もう見付けた!貴族の子供を拐おうとしてる!」

 

「索敵能力まで上がるんですか?!」

 

子供の声が聞こえた瞬間、盗聴スキルのエコーロケーションで方向を特定。更に千里眼と読唇術を並行することで、状況の迅速な把握が出来た。まさかここまで能力が上がるとは、流石に予想を超え過ぎだ。

 

「エリス!ちょっと髪の毛5本だけ貰う!」

 

「いたっ!ってカズマさん!どうして反対方向に?!」

 

「説明してる時間が惜しい!おばちゃん!この布団叩きを貰ってくよ!」

 

「はっ?!そんなもん一体何に使うんだい?!」

 

誘拐犯の懐には、魔法を封じ込めたスクロールがあった。人攫いはテレポートのスクロールを良く使うが、使わせたら追跡が困難だ。そして主犯は恐らく盗賊、接近したら敵感知にかかるので、隠密による救出は難しい。なら、取るべき手段はこれしかない。

 

「近付くんじゃねぇ!俺は敵感知のスキル持ちだ!もし魔法で接近する奴が居たら、子供の命は無いものと思え!」

 

「くっ!子供を盾にされては手が出せない……」

 

犯人の目の前には衛兵とクレアがいるが、人質のせいで手が出せないでいる。危険を犯して救う手もあるが、下手すると子供の身が危ない。蘇生が可能な世界であっても、子供の心が壊れては困る。そこまで理解しての手口なのだから、何処までも卑劣な犯行だ。

 

「『アイシクルランス』『エンチャント:パラライズ』『ウィンドブレス』……『狙撃』!!」

 

「悪いな!子供の命は金で買ってくれ!身代金は…[ドスッ]…なっ……どこ……から……」

 

「氷の矢?!と、とにかく犯人の確保だ!!」

 

敵意さえ検出できない距離から、風を使って人の目では捉えられない速度まで加速させた、透明で細い氷の矢。布団叩きとエリスの髪で作り上げた弓の一矢は、犯人を射抜き麻痺させた。ここまでお膳立てをすれば、後はクレアに任せておける。

 

「ま、まさかこれ程の力を得ているなんて……もう名実共に勇者なのでは……」

 

「その状態の俺に子供抱いて追い付いてんだから、エリスも相当だと思うけどな……」

 

しかし、本当にこれはどういう事だろう?今まで感じたことのない集中は、身体を巡る魔力さえ捉え、その力を無駄無く行使できる。これこそまさに俺の理想形。スキルの数がそのまま戦略になる冒険者の目指す最強の形だ。

 

「よし!折角だから色んなクエストも受けてみるか!この力が自在に使えるとなれば、マジで英雄としての日々が始まるぞ!」

 

「今までも英雄の筈ですけど……」

 

それは都合の良い時だけだから!

 

……………………

 

「それで何をしても上手く行くので、この調子になっていると……」

 

「なんとでも言うが良いさ……強者の余裕で流してやるよ……」

 

「なっ?!私を格下扱いしましたね?!」

 

それから何個かのクエストをこなしたが、何処へ行こうとも敵無しだった。身体がイメージのままに動くのだから、予想を上回らなきゃ敗北はない。今の俺の実力なら、魔王の娘も5秒アへ顔ダブルピース出来るだろう。

 

「それで、結局そうなった原因は分かったの?随分と絶好調みたいだけど、それで油断して死ぬのがいつものパターンじゃない?」

 

「余計なフラグを立てるな!実際使えなくなる予兆もないし、マジで新たな力じゃないかと期待してるんだ。ほら、こんな事も出来るしな?」

 

俺はテーブルのグラスを風魔法で浮かべ、そのまま円を描いて空中で回す。指先から発する風魔法を、細く精密にコントロールしなきゃ出来ない芸当だ。アクアも皿回しなら可能だろうが、水入りのコップを魔法で回すのは不可能だろう。

 

「くっ!なんて高度な宴会芸!カズマさんにそんな芸当が出来るなんて!」

 

「宴会芸より先にビビる所が沢山あったけどな?!」

 

だが、この状況は実に気分が良い。素のステータスでは負けてる俺が、今だけは完全な勝利状態。やはりハーレムを持つ男としては、時には甲斐性を見せてやりたい。

 

「へぇ、これはまた随分と高精度な魔法ね?」

 

「そうだろ?って、なんでバスタオルで出歩いてるんだよ?!」

 

俺の魔法を覗き込むウォルバクの姿は、まさかの巻いたバスタオル1枚。ベッドで散々楽しんだとはいえ、やはりこの身体の破壊力はヤバい。不意打ちでこんな物を見せられたら、嫌でも息子が急成長を……

 

ゴトッ!

「痛っ!」

 

「あっ、コップがカズマさんの足に……はい『ヒール』」

 

ウォルバクの色香に惑わされ、俺の魔法は途切れてしまった。流石は歩く広域殲滅型性癖破壊装置だ。完璧と思われた俺の集中も、このフェロモンの前ではキープ出来ないらしい。

 

「ごめんね!もう見慣れたものだと思ってて……」

 

「その破壊力に慣れるのは無理だって……」

 

大変魅力的なのは良いことなんだが、それで俺の集中が崩されるとは思ってなかった。どうやら俺の最強伝説は、エッチの前には役に立たないらしい。

 

「カズマさん!近隣にホワイトウルフが見付かったとの事で、ギルドから協力要請が来ています!」

 

「おっと、それは無視出来ないな。アクア!めぐみん!ダクネス!迎撃に出るぞ!ウォルバクとエリスとゆんゆんとあるえは、心を乱されるからお留守番で!!」

 

「「「「「「いやどういうこと?!」」」」」」

 

各自言いたいことはあるだろうけど、言うと揉めるから今日は黙秘します!

 

………………………

 

「ざっと見て相手の数は200ほどか……こりゃ真正面からやったら死人が出るな……」

 

ギルドに呼び出されて集まったのは、レベルが高めの冒険者30人。相手の強さを考えれば、そりゃ生半可なメンバーを呼ぶことは出来ない。とは言えこの戦力差は、流石にちょっと無謀が過ぎる。

 

「カズマのパーティが居りゃ楽勝だと思ったんだが、どうして今日に限ってコレなんだ?」

 

「おい、私に不満があるなら聞こうじゃないか?私の魔力が満ちていれば、こんなの子犬の群れですよ!」

 

「朝っぱらに騒音問題起こしてただろ!せめて魔力が満ちてる時に大口を叩けよ!」

 

コレについてはダストが正しく、めぐみんは既に爆裂済み。つまり爆裂による一掃は出来ず、ここに来た意味はあまり無い。では何故連れてきたのか?そりゃ俺の活躍を見せるためさ!

 

「まぁ見とけよ冒険者諸君!たまには英雄の本気を見せてやるから!」

 

「な、何だこの大量の魔法陣は?!」「こんなのウォルバクさんと貧乏店主さんしか使えねぇだろ?!」「まさかカズマがこんな力を?!」

 

冒険者達からあがる歓声は、まさしく畏怖と尊敬の声。これこれ!これこそ英雄に向けられるべき感情だろ!今まで馬鹿にされてきたが、今日のこれで水に流そう!

 

「喰らえ!『アイシクルランス』!」

 

「「「「「「おぉ!!」」」」」」

 

湧き上がる歓声に包まれながら、俺は次々と魔法を放つ。氷の矢は正確に標的を貫き、ホワイトウルフは接近さえ出来ない。これこそ俺の理想の戦い。後ろにいるギャラリー含め、理想的なシチュエーションと言える。

 

「小さな氷塊を鋭利に尖らせ、的確にモンスターの急所を射抜く。狩人の技術を魔法に応用して、最低限の力で獲物を狩るとは………やはり俺の目は間違ってなかったな……」

 

「機織り職人なのにどうしてこう的確な解説を……まぁ、今に始まったことじゃないですけど……」

 

どうしよう凄く気持ちが良い!こうして凄さの解説も加われば、マジで英雄の活躍そのもの。コレこそが俺の新たな伝説!あるえの小説が厚くなって、新章として語り継がれる!

 

「変わらず絶好調のようだなカズマ!だが、そろそろ向こうの魔法射程だ。優秀な盾役が必要だろ?」

 

「よぉリア!そういう事なら魔法は任せたぜ!」

 

今の俺の唯一の弱点は、やはり冒険者ゆえの打たれ弱さだ。ホワイトウルフの魔法を食らえば、間違いなく大怪我をしてしまう。別に回避も不可能ではないのだが、そうなると攻撃に集中が出来ない。それを察して側に来るとは、リアは俺のことを良く分かっている。

 

「任せておけ。例えカズマが本当に英雄になろうとも、私は対等に隣を歩みたいからな……」

 

「お、おい馬鹿辞めろ!あっ?!」

 

リアのこの可愛らしい発言を聞き、俺の魔法が明らかに乱れる。リアのクーデレには多少慣れたが、不意打ちだとやはり破壊力が高い。取り敢えずここは深呼吸して、集中力を取り戻し……

 

「っ……おいリア。ちょっと汗の匂いがするんだが?!」

 

「し、仕方ないだろ!カズマが1人で最前線に出たと聞いて、全力で走ってここまで来たんだ!多少不快でも我慢しろ!」

 

「我慢できるか!こんなエロくて良い匂いさせやがって!魔法に集中出来なくなるだろ!」

 

「え、エロいって……いまそんな事言ってる場合か!!」

 

どんなに危機的な状況だろうと、いやむしろ危機的な状況だからこそ、リアの汗臭は危険な毒だ。この甘酸っぱい女の子の匂いは、野生の繁殖欲求を物凄い勢いで刺激してくる。こんな良い匂いを間近で嗅いで、冷静で居られる思春期は居ない。

 

「おいカズマ!魔法が全然当たってないぞ!私の匂いなんて無視して、ちゃんと魔法に集中しろ!」

 

「出来るなら言ってねぇよ!汗と一緒にフェロモン出しやがって!どんだけイヤらしい女だリアは!」

 

「イヤらしくない!フェロモンなんて出してないし!私はカズマのしか知らない!」

 

「余計に興奮させんな馬鹿!」

 

必死に魔法陣を再構築するが、氷塊の生成が上手くいかない。高度な集中を要する魔法は、雑念があると上手く働かない。リアの汗の匂いと告白により、完全に雑念が晴れなくなってしまった。

 

「来てる来てる!早く魔法を放ってくれ!囲まれたらバリアも時間稼ぎにしかならないぞ!」

 

「身体を寄せるな!リアの声も顔も匂いも、今はマジで劇物なんだよ!」

 

焦るリアの身体がすり寄ることで、俺のピンチは更に加速する。このままだとマジで2人とも死んで、最悪死体を食われてしまう。そうなれば蘇生は不可能になるので、この状況は何としてでも回避しないと……

 

「仕方ない!ここで雑念を晴らす為に、リアはショーツを脱いでくれ!」

 

「なっ?!何を馬鹿な事を言っているんだ?!戦場の最前線で下着を脱げって……ここで何をする気なんだ?!」

 

「リアを抱くに決まってんだろ!お前の魅力で惑わされたんだ!リア以外の身体で満足出来るか!」

 

「馬鹿!そういう事はベッドでだけ言え!今夜だったらその……朝まででも良いから……」

 

「あっ馬鹿!!」

 

リアの大胆過ぎる告白を聞き、次々と瓦解する魔法陣。エリスに飲み干されて枯れていた性欲が、リアの言葉で戻って来たようだ。必死に再展開をしようとするものの、展開出来たのは僅か4つ。この火力でこの戦力は、いくらなんでも無謀が過ぎる。

 

「あぁもう!分かったよ!私もまだ死にたくないし、ちゃんと見えない状況なら許すから!」

 

「よしっ!『クリエイトゴーレム』!抱いてる間は頼むぞゴーレム!そんで目眩ましに……『ストーンエッジ』!!」

 

「んっ!そ、そんながっつくな……濡れてるけど……出来るだけ優しく……あっ」

 

俺は手早くリアの服をはだけさせ、濡れた割れ目に息子をあてがう。これだけ興奮した状態なら、本気ですれば30秒でイケるだろう。そのまま全部出し切ってしまえば、再び賢者モードに……

ドォン!

 

「カズマ!まだ生きてるわよね!」

 

「カズマさん!苦戦している様子だったので、女神の降臨スキルで……は?」

 

俺とリアが繋がる直前、天から舞い降りた2人の女神。同時に放たれた眩い閃光は、一瞬で目の前の魔物を薙ぎ払った。だが、それより鋭い眼光が今、俺とリアの繋ぎ目を見ていた。

 

「お話は……この件が片付いたらお部屋でしましょうか?」

 

「「……はい」」

 

この後エリスにメチャクチャ搾られ、再び俺は賢者となった。しかし、リアの照れ顔、めぐみんの太もも、ダクネスのうなじでも無効化されると判明した為、この力に頼るのは辞めた。




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

GWで親戚の子を預かっていた為、更新が遅れてしまいました。子供の成長って早いですね。もう文字が読めるのでサイトを開くことも出来ません!

また不定期ではございますが、お暇な時にでもお付き合いください。
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