※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

過去に考えたネタキャラと、良い感じに被るキャラがリゼロに出ました。これはもうネタにするしかないので、ユリウスには酷い目に遭ってもらいます!

またお暇な時にでもお付き合いください。


この地味な職業に精鋭を

後悔。それは人生における失敗と、それを悔やみ続ける心。人は後悔を繰り返さない為に、成長と進歩を続けるという。そう、彼もまたそうであるように……

 

「嘘……だろ……」

 

「感謝するよ。僕はまた1つ強くなれたようだ……」

 

相対するは世界の英雄。獲物が聖剣では無いといえ、その一族をうち破った騎士。国内最優と言われるその騎士の名は……

 

「やるじゃねぇか……チグリス・ユーフラテス……」

 

「ユリウス・ユークリウスだ!」

 

………キャラ紹介………

 

サトウカズマ

あらゆるスキルを扱う英雄。戦闘中にも料理スキルや医療スキルを多用する。女神エリスの加護(濃いめ)を持つので、ある程度の呪いや魔法に耐性があり、ユリウスを覚えている。筈なのだが、そもそも正しく覚えていない。

 

ナツキ・スバル

最近大変な苦労をしている異世界フレンズ。また血なまぐさい事になってるので、カズマの所に来るのが心の癒やし。そろそろアクアの勧誘も視野に入れてるとか居ないとか。今回はユリウスの為に来た。優しい。

 

チグリス・ユーフラテス

三大文明を築かせた大運河の2つ。黄河は有給。

 

ユリウス・ユークリウス

イケメン噛ませ犬。最近スバル以外の皆に忘れ去られた。こいつは文明を築いてないので忘れられても仕方ない。教科書に載るように頑張れ。更に箸持った相手に負けたので、カズマの所へ特訓に来た。

 

箸の人

ユリウスを倒した「棒振り」を名乗るおっさん。このセンスのなさで人生の色々なものを棒に振ってた事は想像に難くない。なお、「防御に全振り」してる防振り後輩とは無関係。なんか世界の英雄だったとか何とか。

 

防振り後輩

ファンタスティックデイズで遊びに来た後輩。カズマの結婚を聞きお祝いのメッセージを贈るも、女神と聞いてアクアと間違えた。その日から何故かゲームでレアドロップが出ない。

 

エリス

世界の可愛い集合体。魔女の呪い程度ならブレイクスペルで消し飛ばせるが、空気を読んでユリウスを見守っている。アクセル総菜店のコロッケが好きで、もう60年近く贔屓にしている。

 

みちこさん

アクセル惣菜店の初代店長。御年98歳のおばあちゃん。実は彼女も転生者であり、転生特典は料理系スキル。今は息子夫婦に店を任せ、気まぐれにフライヤーの前に立ってはコロッケを揚げている。

 

……………本編……………

 

「どうか僕を鍛えてくれ!」

 

優しい朝日とエリスの寝息。朝の幸福で貴重な時間は、突然の来訪者により終わりを迎えた。確かこの声はスバルの所の……

 

「何だよチグリス、こんな早朝に?」

 

「だからユリウスだと……はっ!まさか君は……カズマは僕を覚えているのかい?!」

 

「覚えてたかは絶妙なラインだけど、ありゃ間違いなく忘れてねぇよ。良かったユリウス!」

 

「そうなのか……カズマが……」

 

俺を差し置いて盛り上がるスバルとチグリスだが、2人は大切な事を忘れている。人の家の前でそれをやるのは、もはや嫌がらせ以外の何物でもない。

 

「取り敢えず玄関で土下座されても困るし、家にあがってくれません?」

 

「「あっ、ごめん」」

 

既にヒソヒソされてるしな?泣かれると余計に印象悪いしな?

 

………………

 

「成程。暴食に名前を食われてしまって、皆がチグリス「ユリウスだ」を忘れてしまったと……そんで今度は箸持ちのおじさんに負けて、負け続けなので特訓する為にうちへ来たのか……俺の家は育て屋じゃないんだが?」

 

ユリウスの苦労は何となく察したが、だからってうちを便利に使い過ぎだ。そういうのは本編の中で成長して、真っ当な勝ち方をして頂きたい。なお、もし育て屋として仕事をする場合、美女達のメタ◯ンになるくらいの約得が欲しい。いやまぁ妊娠率は低めだけども……

 

「強い相手を倒すって話なら、全員の特訓が最高率だと思うが……」

 

「それについては僕のプライドの問題だ。大切な人を護れないのは、僕の信じる騎士ではない。ただ、名前さえ失った今の僕には差し出せる物がなく、こうして頭を下げるしか出来ないんだ。それでもどうか、僕に仲間を護らせて欲しい」

 

こいつがこんな腰が低いのは、多分護りたい相手が大切だからだ。普段は余裕のあるイケメンでいけ好かない奴だが、こういう理由なら手を貸そう。ここで妬みを優先したら、間違いなく俺の好感度が下がる。

 

「……ったく、しょうが「しょうがないですねぇ!」」

 

おいちょっと待てめぐみん!今のは俺が引き受ける所だろ?!

 

「その愛する人を護らんとする心意気!気に入りました!貴方は爆裂魔法を得るに相応しい人間です!」

 

「いやそれ仲間ごと殺る技だろ!今回の相手は室内戦なんだよ!そもそも、ユリウスが欲しいのは護るための力でだな?!」

 

「ならば私が力を貸そう!相手の腕がへし折れようとも、膝をつかない強度と力を……」

 

「現実的に可能な方法でお願いします!」

 

「「むぅ」」

 

そりゃめぐみんとダクネスは例外としても、真っ向勝負で勝つのは難しい気がする。だって箸で無双するなんて、どちらかと言うとこっち世界のヤバい奴だ。硬派な騎士と魔法の世界に、箸で張り合うのは流石におかしい。

 

「対策を考えるのもアリですが、そもそも武器が箸というのもイメージ出来ないですよね?」

 

「一流の箸の使い手が居るとしたら、惣菜屋の奥さんか?あの人の油避けのスキルって、高速の連撃も止められるよな?」

 

「そうですね。視界にさえ収まっていれば、大抵のものは撃ち落とせた筈です」

 

「惣菜屋がそれはおかしくない?って今更すぎるか……カズマのいる世界だし……」

 

「おいスバル。俺を代表みたいに言うのは辞めろ。俺だっておかしいって思ってるんだ。それと天使?どうせ見てるんだろうから、その棒振りとか言う奴について調べといてくれ」

 

「はーい」

 

えっ?いま鉢植えの裏から返事した?!いや取り敢えずツッコむのは辞めよう。それじゃあいつまでも話が終わらない。

 

…………………

 

「こ、これは確かに奴の動き!御婦人、その技を一体何処で?!」

 

「これかい?これは先代に教わって、日々の揚げ物で磨いて来たものさ。騎士様の素振りと同じだよ」

 

アクセル惣菜店の入口は、調理スペースと隣り合っている。カラッと揚がった揚げ物の匂いが、街の住民を引き付けるからだ。ちなみに客に油は飛ばない。跳ねても奥様が全部撃ち落とすからである。

 

「悩んでいるようだね若いの?もし答えが出ない悩みなら、後悔しない方法を探すと良い。それと、しっかりご飯を食べるんだ。空腹じゃ全力は出せないからね」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「ご馳走様です……」

 

スバルとユリウスにコロッケを渡したのは、先代と呼ばれるみちこさん。実は彼女も転生者であり、一日に10万個のコロッケを揚げた伝説がある。それらはテレポート便で国中に送られ、この国にコロッケを根付かせた。何を馬鹿なと思うだろうが、本当にやるのが転生者である。

 

「誰かに聞いて欲しいなら聞くよ?これでも長く生きてるから、少しは役立てるかも知れない」

 

「いえ、もう大切な事は教えていただきました。身体に染み付くまでが鍛錬だと……視線も送らずこんな美食を生み出せるのは、本気で挑み続けた結果でしょう。どうやら僕は、基本的な何かを見落としていたようです。さぁ帰ろうカズマ。そして、良ければ剣の相手をしてくれないか?」

 

「結局地道な特訓かよ……そりゃ基礎に忠実なのは良いことだろうけど、俺じゃ剣の相手にならないだろ……」

 

だが、ユリウスが答えを見付けた以上、それにとやかく言うべきじゃない。強くなる理由が見つかったのだから、俺はただそれを支えてやろう。正面切って言うつもりはないが、一応友達とは思っているしな。

 

「よぉ!探したぜ子分。オレに用があるんだってなぁ?」

 

「なっ?!どうしてあなたがここに?!」

 

声のする方へ振り返ると、デカい風貌の和服の男が立っていた。その目には眼帯を着けているので、多分めぐみんと同じ人種だろう。だがその屈強な肉体からして、実力者であることは疑いようもない。

 

「皆逃げてくれ!コイツが棒振りだ!戦いに巻き込まれたら死ぬぞ!」

 

「マジかよ?!ダクネス!取り押さえて移動しろ!引き摺ってでも街から出せ!商店街に被害を出すな!」

 

「任せろ!」

 

「ほう、アンタみたいなエロい姉ちゃんに、そんな事が出来るかねぇ!」

 

男が突然箸を取り出すと、そのままダクネスの身体を突いた。そのスピードは余りにも速く、それだけで実力が見て取れる。だが、それについては何も心配していない。

 

ガキンッ!

「ちょっ!なんだこの女硬ぇ!鉄の塊か?!」

 

「誰が鉄の塊だ!私は誇り高きクルセイダー!民を守る聖騎士だ!」

ぽいっ、ガッ!

 

「いや騎士は剣を捨てて組み付かねぇだろ?!って、なんだこの怪力女?!全然振り切れる気が……いだだだだ!!」

メキメキ

 

いくら物凄い実力者だろうと、ダクネスを貫くのは無理だと分かっていた。もしダクネスに有効な攻撃が可能なら、間違いなくユリウスは原型を留めていないからだ。良くて四肢が欠損し、悪ければ身体が爆散する。何言ってんだと思うだろうが、それが鉄を凌駕する女。ちなみに……

 

「ダクネスを殴って手が無事なんて、きっと相当な使い手ですね……」

 

「えぇ、間違いなく伝説級の人物です……」

 

エリスとめぐみんの反応もこれである。マジでどうなってんだアイツの硬度。

 

「良くやったダクネス!そのまま街の外へ運びだせ!で天使、何あの人?」

 

「カズマ様のご要望の棒振りさんです。女性に対して美人とかエロいとか言うらしいので、蘇生して連れてきました!」

 

「へぇ、アレが……あっ、ちなみに天使はなんて言われたんだ?」

 

「ぜっぴんさんでした。まぁ、べっぴんさんを言い間違えたのだと思います!」

 

多分、普通に美味そうって事だと思うな……

 

「コントしてる場合じゃねぇよ!今は大人しいから運べちゃいるが、戦うとなったらマジでヤバいんだぞ!」

 

「なら爆裂魔法の出番ですね!光で蒸発、熱で焼死、最悪付近の酸素がなくなり窒息死するので確実です!」

 

「私のインフェルノで蒸発でもいいよ?相手が炎を斬れる剣士でも、放熱で蒸発させる温度まで上げれば接近も出来ないよ?」

 

「それは人としてやっちゃ駄目だろぉ?!オメェらクソみてぇな倫理観してんな!」

 

それは確かにその通りだが、本当にヤバいならそれくらいしか方法がないし………

 

「そもそも人を無差別殺人犯みてぇに言うんじゃねぇよ!俺は試練に挑まれたから相手してんだ!」

 

「そうなのか?」

 

「好き放題してたけど極刑にはなってないらしいし、そこまでの悪人じゃないのかも……」

 

なら割と安全だと思うんだよな。直ぐに爆裂使う馬鹿よりは間違いなく……

 

「すまないカズマ。彼を葬るなら魔法の方が確実だろうが、僕は騎士として彼に勝ちたい。どうか騎士の誇りを守る為に、この勝負は僕に託してくれないだろうか?」

 

「それは別に良いけど……大丈夫なんだろうな?」

 

「駄目だったら、容赦なく僕ごと消し炭に変えてくれ」

 

「おい待てぇ!俺が納得してねぇぞオメェ!」

 

ユリウスの真剣な提案を聞き、あるえとめぐみんが一歩下がった。どうやら紅魔族の琴線的には、ユリウスの決意を尊重したいらしい。まぁ、駄目なら焼いていいらしいので、今回はユリウスに託すとしよう。

 

「だとよダクネス!ユリウスの覚悟、受け取ってやれ!」

 

「分かった!ほっ!」

 

「ぶっ!もう少し丁寧に降ろせオメェ!」

 

俺達の会話を聞いて、ダクネスが棒振りをユリウスの方へ投げた。棒振りは既にグロッキーに見えるが、気の所為ってことにしておくとしよう。ただでさえクソ真面目なユリウスの事だ。仕切り直しとか言い出しかねない。

 

「ったく、そんで結局オメェとか……つうかオメェ、まだオレに勝つ気でいんのかよ?」

 

「無論だ。異世界の友まで背負った状態で負けては、2度と騎士だなんて名乗れない。僕は今、強くなる為にここにいる!」

 

「やってみなぁ!!」

 

勢い良く駆け出すユリウスだが、相手は随分と余裕顔だ。恐らくは一度の敗北により、既に実力が割れているのだろう。対等に戦えると思っているなら、先ず間違いなく箸は握らない。

 

「しかし、中々に良い箸使いだ。粗削りだけど芯を捕らえてる」

 

「何処を評価してんだよカズマ?!アレは箸を使っての舐めプで!それなのにあんなに強いんだぞ?!」

 

「マジで?!あれ箸使いじゃないの?!」

 

「まず箸使いって何?!」

 

「君達は少し緊張感を持ってくれないか?!」

カカカカカカ!!

 

俺とスバルは気楽なもんだが、ユリウスは今も激戦の最中だ。そろそろ停めるべきだろうか?ダクネスが凄くウズウズしてるし……

 

「駄目だなオメェ、やっぱりオメェは落第だ!」

がっ!

 

「くっ!」

 

「「ユリウス!」」

 

ダクネスが止めるより早いタイミングで、棒振りが箸を握り込んだ。それと同時に来たプレッシャーからして、恐らくはアレがアイツの本気だ。あんな一撃をまともに食らえば、いくらユリウスでも命が危ない!

 

カーン!

「まったく、箸をそんな持ち方するんじゃないよ。それとね若いの。店の前に財布を忘れてったよ」

 

「なっ?!誰だこのババァは?!」

 

「なっ?!どうして私への斬撃を止めるんだ?!」

 

「惣菜屋のおばあちゃん!と言うか、貴女も箸で戦えるのですか?!あと、ダクネスさんは何故尻を向けて待っているのですか?」

 

「……失礼した」

 

「いや何なんだよオメェ……」

 

あのエグいプレッシャーから放たれた一撃は、みちこさんの箸で受け止められた。何を言ってるのかよく分からないだろうが、それが目の前で起きた事実である。ちなみに尻を向けたダクネスも隣にいるが、あえて触れないで頂きたい。

 

「みちこさんは料理スキルの始祖と呼ばれ、リヴァイアサンを天ぷらにする人です。あの人の箸を押し退けられるのは、恐らく神話級のドラゴンくらいだと……」

 

「何それ丸ごと?リヴァイアサンを丸ごといくの?!と言うかエリス様は知ってたのかよ?!」

 

「こればかりは僕も気になるけど、スバルは少し静かにしてくれないかな?!」

 

「ごめん!」

 

エリスの解説を聞いたスバルが、普段のテンションでツッコミを入れる。そう言えばエリス祭で食べた気がする。リヴァイアサンの姿揚げを……

 

「オメェ、ババァの癖に中々やるじゃねぇか。興が乗ったぜ!ちっとばかし遊んでやるよ!」

 

「やれやれ……箸で遊ぶのは、幼少期の練習以来だね……」

 

「遊びで済むと良いなババァ!……がっ?!」

カッ!

 

「「………はっ?」」

 

棒振りがみちこさんに飛びかかると同時に、棒振りの身体が宙を舞った。さっきまで頭のあった場所には、代わりにみちこさんの箸が構えられていた。

 

「は、速すぎる!棒振りの連撃を受け止めるどころか、押し込んで更に弾き飛ばすなんて?!」

 

「おやおや、これが早業に見えたんだったら、もっと目を凝らしてご覧?これはそんなもんじゃないよ…」

 

「くっ!随分と舐めた真似をしてくれるじゃねぇか!!」

カカカカカカ!!

 

余裕を見せるみちこさんに憤った棒振りが、再び箸の連撃を放つ。だがそれはみちこさんの箸に阻まれ、軽快なリズムで撃ち落とされていった。流石は伝説の料理人。箸で魚の鱗を秒で剥がす彼女には、あの程度の速さは問題にならない。

 

「さて、早業と言うにはちと遅いが、あんたがイメージしたのはこれだろう?」

カカカカカカ!

 

「ちっ!手を振り始めた瞬間に撃ち落としやがる!良い感じに振り抜けねぇ!!」

 

ユリウス相手には棒振りが押し込んでいたが、みちこさんの箸は加速前を叩く。それ故に棒振りの攻撃は成立せず、筋力もリーチも意味を成さない。流石は馬鹿でかいフライヤーを支配する料理人。殆ど未来予知みたいな動きをする。

 

「なら、これはどう見える?」

カッ!

 

「ぐふっ!」

 

ちみこさんが箸を突き出すと同時に、また棒振りの身体が宙へ浮く。ユリウスの顔が引き攣っているので、恐らくは気付いたのだろう。彼女の桁外れのスキルについて……

 

「そ、そんな馬鹿な……今のは早いなんて次元じゃなかった……今の攻撃は、完全同時の複数箇所への攻撃だ!」

 

「惣菜屋のおばあちゃんが?!」

 

「なに、そんな大した芸じゃないよ。一度に沢山の揚げ物を作ろうとして、気付けば身に着いただけさ。一対しかない私の箸じゃ、2を超えた揚げ物は捉えられない。でも、その箸も2往復、3往復させれば話は違う。だけど、揚げ物ってのは奥深くてね。最高のタイミングは常に一瞬、最高の逸品を生み続けるには一呼吸の内にも重ねなきゃならない。でも生憎と他にやる事が無くてね。気が付けばこうなっていたって訳さ」

 

「何言ってんのあの人?!なんか伝説の武人みたいな事言ってるんだけど?!」

 

「武人?揚げ物にこだわる料理人だぞ?」

 

「あれ料理人が出来る技なの?!」

 

だって実際にやっているし、その道のプロならおかしくはない。しかも彼女はこの世界における料理の始祖。並の料理人とは格が違う。

 

「やれやれ。あんたら騎士が戦いに挑む姿勢と、料理人が油に挑む姿勢……もし騎士が勝ってるだなんて思ってんなら、そんな思い上がりは捨てることさ。私らはこれしか生き方を知らない。つまり調理場こそ私の………」

 

「良いぜ気に入ったぁ!!オメェには全力を出しても……ごふっ!」

 

「………戦場だよ。覚えときな若いの」

ドサッ

 

棒振りが腕を振り上げるより早く、鳩尾を貫くみちこさんの箸。その一撃は皮膚を貫かず、それなのにあの巨体を一撃で沈めた。攻撃の当たった衝撃からして、同一個所に複数の攻撃を当てたのだ。それも10や20ではなく、数百の攻撃を同一個所に……

 

「先ずは握り方から学び直すんだね。じゃなきゃ、利き手を使う前にお迎えが来ちまうよ……」

 

「このババァ……バケモン……かよ……」

 

「「「「それについては全面同意」」」」

 

こうして真の強さとは何かを知ったユリウスは、アクセルに留まり修業を始めた。その顔は何処か晴れやかでありながら、ちょっとだけ納得いかない顔をしていたと言う。

 

……………それからしばらくして…………

 

「嘘……だろ……オメェ……」

 

「感謝するよ。僕はまた1つ強くなれたようだ……」

 

みちこさんの元で修行をしたユリウスは、遂に棒振りを倒すに至った。右手に剣、左手に箸を持つ精霊騎士は、遂に研鑽により剣聖を超えたのだ。ちなみにアクセル惣菜店も、ユリウスの尽力で国一番の惣菜屋になった。まぁ、そこまでは良かったのだが……

 

「ねぇ、なんかスバルとユリウス老け込んでない?たった数日でおじいちゃんになってるよね?」

 

「そんな事はないぞエミリアたん!人生まだまだこれからじゃよ!」

 

「それ若い人は言わないと思う!」

 

ただ1つ問題があったとするなら、そこに至るのにかかった時間だ。クソ真面目なユリウスは「恩人の残した店を捨て置ける筈がない!」と、結局50年も足止めを食らった。時間さえ超える天使であっても、若返りはサービス外だったのだ。本来なら数年で良かったと思う。2年目には全く同時の三連撃を習得していたし、そもそも箸にこだわる必要も無かった。まぁ、俺も冒険者として冒険の日々を楽しんだりしたので、ユリウスだけを責めることは出来ないが……

 

「さぁ、今は何より先に進みましょう。友人たちを救えるのは、今ここにいる我々だけです!」

 

「それはそうやけど……この問題は無視できないような気が……」

 

「今は先に進んで考えるぞい!必要な知識が見付かれば、目的は果たした様なものじゃ!」

 

「やっぱりおじいちゃんだよスバル……」

 

スバルは皆の不安を拭い去るように、誰よりも早く歩みを進めた。スバルが知識さえ得てしまえば、死に戻ろうとその知識が扱える。つまりどんなに時間をかけても、正解へ到達すればスバルの勝ちだ。しかし、その足取りは余りにも重く、階段は少々急だったようで。

 

「あっ……あぁー!!」

 

「「「「スバルー!!」」」」

 

足を踏み外したスバルは勢い良く転落し、そのまま頭を打ち付けて死んだ。そして、そんなループを繰り返して……

 

「今度は喜び過ぎて心臓麻痺ですか……また50年頑張ります?」

 

「すみません。流石にもう正攻法でいきます……なんかその先にも試練あるみたいなんで……」

 

色んな攻略法を試してみるものの、ズルはイケないと分からされて終わった。なお、何度もループして分かった事だが、ユリウスは何させても50年くらい修行する。適当なものは勧めちゃいけないと覚えておこう。

 

 

 

 

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

箸使うおっさんはまた復活したりする訳ですが、アニメ勢にとって箸マスターの段階でネタにするべく書きました。ツッコミどころ満載のキャラにツッコミさせるの楽しいですね。

また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。
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