元魔王軍の回になります。
良い子のみんなの為に、ちょこっと良いこともします。
数日ぶりにやってきたウィズ魔法具店。すぐ来なかった理由?ウィズが紅魔の里から色々仕入れて持ち帰ったからだよ。修羅場に飛び込む訳ないだろ?
「え?ウォルバク!アンタ無事だったの?!」
「久しぶりねシルビア、あなたこそ死んだことになってるじゃない」
一応ウォルバクを連れて行った。あとエリスは変わらず隣りにいる。ちなみに感動の再会?と言う空気でもない。結構サバサバしている。いや、片方そもそも男だしな…
「いい男は見付かったかしら?周りに良い男が居ないって言ってたじゃない?」
「えぇ、まぁね…あんたは男なんて興味なさそうにしてたのに…変わったようね?」
鋭い!さすが鋭い!すげーわシルビア!
「魔王軍でも女の人の会話って変わりませんね…」
「女子の恋バナは鉄板なんだな…まぁ、シルビア男だけど…」
蚊帳の外から突っ込んでいる俺たち。平和だな元魔王軍の皆様。
「え…分かるの?」
「ふふ、乙女心も男心も分かるのが私よ?隠せると思わないことね?」
得意げな顔で勝ち誇るシルビア。やはり出来るおと…めは違う…
「女の幸せを、教えて貰ったから…」
おっとこっちにいい笑顔を…ちょっと待とう?その視線は不味いよね?
「は?」
ほら!シルビアの顔がヤバい!
「私の勘違いかしら?それとも、参入条件は女なら誰でも良いのかしら?!私もまだそんな関係になってないのに?!」
荒れてる!めっちゃ荒れてる!魔王軍時代の威圧感が復活してる!平和よ戻ってきて!
「待って!そういう訳ではないのよ?!あくまでペットからの派生と言うか…」
「おいこらぁ!なにしれっと上級プレイヤーになってんだお前!仮にも女神でしょうが!」
うん。その言い方だとそうなるよね。ペットプレイには興味あります!
「違うから!そう言う意味じゃないから!」
「じゃあなに?!坊やをペットにしたの?!その嫌らしい身体使って?!このクソビッチが!」
「違うから!ビッチじゃないから!カズマに抱かれるまで処女だったし…」
「ウォルバクは、うちのペットの猫に封印されてたんだって!」
端的に伝えよう。詳しく話すと面倒だし…
「あ…あぁ…そう言う話?あんたの半身が坊やのペットだった訳ね…あれ?さっき抱かれるとか何とか…」
「うん!そうなんだ!めぐみんが半身を拾ってきたんだ!」
抱かれるの部分は掘り返すな!
「もう、シルビアってば…私はそんな変態じゃないわ」
「そ、そうよね?女神だもんね!ごめんね早とちりしたわぁ…じゃあ惚れただけのプラトニックな感じなのね?」
いやー良かった。平和的に解決した。
「カズマさん?私にも抱いたとか聞こえたような気がしたんですが?」
「……気のせいだよ」
エリスも、笑顔で追及しないで!
「そうですよね。カズマさんは最後まで優しかったってウォルバクさん言ってましたもんね。ペット扱いなんてしませんよね!」
「「…ん?」」
もうウィズさんってば余計なことしか言わない…シルビアとエリスがこっち見てますけど?
「…ウォルバク…やっぱり詳しく教えてくれる?最後までって何をしたの?ナニをしたの?坊やのナニをどうしたの?!」
「お、落ち着いてシルビア!違うのよ?!そんな関係じゃないのよ?!」
「えっ?私には「あんなに幸せな時間があるのね」なんて言ってたじゃないですか。てっきりもう抱かれたのかと…」
「ちょっとウィズ!本当に黙って!あんたの初体験を赤裸々に語るわよ!」
うわぁ泥仕合だこれ…ついでにウィズの件もカミングアウトしやがった!
「や、やめてください!幸せな時間でしたけど、内容の話は恥ずかしいじゃないですか!」
「その前段階から恥じらいなさいよ!」
シルビアの目が光ってますけど?!完全にボスキャラなんですけど?!
「お前ら二人共かあぁ!!」
あ、シルビアの周りに何かのオーラが?!駄目だこれ逃げよう!
バンッ!
「やかましいわ!何事だ!」
「バニル!これは退けない女の戦いなのよ!」
「やれやれ、では集まった少年達はウィズに相手をして貰うとしようか」
少年と言う単語に反応するシルビア。
「……し、仕方ないわね。行ってくるわ…」
オーラが消えた?!バニルの機転でなんとかなったが、あのメス顔で子供に接客してんのアイツ?ヤバくない?子供の性癖歪めない?!
「カズマさん?私とはちゃんとお話しましょうね?」
「……はい」
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「さて、小僧よ。お前の次の商品案だが…乗ろうと思う」
全員が席に座り、会議をしようと言うところで見通す悪魔に先手を打たれた。
「いや早い早い!せめて話をさせてくれ!失敗したら結構損失が出るぞ?!」
「シルビアの生物を取り込み支配する力と、ウォルバクの強力なデバフを組み合わせた疫病の病原菌の事前接種と抗体の確立…何を躊躇う必要がある?むしろ英雄の如き評価を得られよう?」
「俺より的確に説明したな…」
「ふはは、自信満々のアイデアを他人に取られた悪感情、大変美味であるぞ!」
先手を打たれたが、要は予防接種。中世だったらまだ無いと思ってエリスに言ったら、めちゃくちゃ食い付いた。
「私も英雄になれると伝えたんですが…カズマさんの目的はそこではないそうです」
エリスとしては、俺の名声を上げたいらしい。まぁ、分かるよ?でも、パンツの件が消える訳ではないから無駄な気がするよ?
「この一件はシルビアとウォルバクが要の仕事で、二人が人の世に貢献した事実の方が重要なんだよ」
俺の周りには、立場的なトラブルメーカーが居る。つまり元魔王軍関係者だ。ただ、アレは戦争中の話であり、首謀者の魔王は死んだ。司法取引出来る材料が用意できれば、こいつらを守れる可能性は高い。最悪、人命が救われるチャンスを天秤にかけさせる。
「治癒魔法も病気は治せず、病死は天命の全うとされていて蘇生も出来ん。…それ故に疫病では多くの死者が出ている。それこそ、幹部一人で殺せるような数では収まらない程だ…小僧、これは吾輩と貧乏店主に利益を、恋愛脳とチョロ邪神には保身を与えるための計画であろう?」
「チョロ邪神ってなによ?!でも、私は女神だし病気にならないから分からないけれど、それを定期的に?そんなお金がある人達はそもそも手厚い治療で死なないと思うのだけど…」
ウォルバクの意見も分かる。だから俺の考える予防接種が成立するかもついでに確認に来た。
「ウィズ、その疫病が治った人は何度も感染したか?」
「たしか、一度感染した疫病に二回感染するというケースは聞いたことがありません。それが可能なら、多くの命が救われる事になります!」
ウィズのその情報が確かなら、俺の発案はかなり現実的なものになる。現代医療って凄い。インフルエンザみたいに毎年打つのも、売り物としては優秀かもしれないけど…
「だとしたら、カズマ…あなた天才だわ!私のデバフは生物なら細菌にでも効く!弱体化された菌になら、感染しても死なないし、一度感染すればもうそれに怯える必要もなくなるのね!」
「もし、多数の人の命を救ったのが元魔王軍とあれば、人と魔物の共存も望めるかも知れません!まさか、カズマさんはそこまで狙ってこの案を?」
ウィズの期待は正解だ。そうなれば、この店も安泰。俺の身辺の憂いもなくなる。
「ここには近所付き合いを重んじる悪魔、愛を知るグロウキメラ、人の心を持ったリッチー、人間の弟子の為に死ねる邪神がいるんだぜ?魔物がどうとか、俺からすれば知ったこっちゃないね!それに、エリスだってそんな甘い平和が良いだろ?」
「私は可能なら誰も泣かない。誰も傷つかない世界を目指したいです。理想論でも、望まないと叶いませんからね?」
うん。そんなエリスのワガママは嫌いじゃない!
「決まりだ!小僧、本件には吾輩も全力で手を貸そう!これで我々は少なくとも幸運の女神に狙われる心配は無くなった訳だ!」
「狙ってませんよ!カズマさんの取引相手を狙ったりしませんよ!?」
いまここに、女神と元魔王軍幹部を中心とした。人類を救う会が結成された。いや本当にすげーメンツ。俺は変わらず冒険者なんですけど?
「盛り上がってるところ悪いんだけど…実は予防接種は俺のアイデアじゃないんだ…なんか期待させて悪いんだけど…」
「安心しろ!小僧がそれほど賢いとは誰も思っていない!」
「うん!それはそれで凹む!」
あ、でもウォルバクは目を逸らした!信じてくれてた!
「でも、疫病の時期は秋から冬よ?なぜ春先にこの話を?」
「準備がいるだろ?設備とか」
「吾輩も本気で見通せなかった…あの小僧がここまで周到だというのか?」
そりゃそうだろう。設備や施設を作るのは大変だ。石を砕いてレンガ積むだけでも大変なのだから!(経験談)
「細菌相手だからな!設備は本気も本気で作るぞ!俺の世界では改造した細菌が漏れて、街の人をアンデッドに変えて地獄を作った例もあるんだ!そんなフラグは必要ないからな!」
アクアは立入禁止にしよう。バイオハザード起こりそうだもん。
「とんでもないわね…坊やが魔王軍に寝返ってたら、それ作って戦争勝てた気がするわ…」
「確かに…殺すための細菌改造も可能となれば…疫病を故意に拡大もできてしまう…本当に魔王向きの人格と知識よね…」
おいやめろ。お前らが言うとマジで俺が魔王軍扱いされかねない!
「ところで坊やは…私が施設を持って研究をする意味を分かってるのかしら?」
何を今更?
「知ってるよ。シルビアは凄いもんが作れるってな!」
「…本当に何も疑わないのね」
「え?なんで顔赤いの?俺なんかした?!」
あれ?なんかウォルバクとバニルも呆れてない?!
「こう言う人なんですよ…でも、私も貴方達を信じます。シルビアさん、ウォルバクさん。この世界を…病から救ってください」
俺が信じたから…と言う理由だけでは無さそうだ。エリスは迷いなく、真っ直ぐに頭を下げた。
「はぁ…ウォルバク、足引っ張らないでよ?」
「誰に言ってるのかしら?そもそも私達魔王軍はなるべく関係ない人を死なせないのがモットーでしょ?」
「うむ、吾輩の食事が困るからな!」
「人を守るため…それなら、私も元魔王軍としてお力添えを…」
「「「じゃあ余計なことはしないで!」」」
「えぇぇー?!」
ウィズって魔王軍ではこんな扱いなんだ…分かるけど…。
「じゃあ、俺の安寧とエリスの願い、この店の利益の為に、頼むぜ皆!」
「「「おぉー!」」」
本当、魔王が人との共存さえ望んでくれれば、この世界は素晴らしい世界になったのに…
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「春先に疫病を気にしなくて良いなら…この時期の死因って何が多いんだ?」
帰り道、エリスとウォルバクとこんな話をする。この世界に統計なんてあるのか知らないが…
「危険という意味では桜前線よね?」
ねぇウォルバク、なにそれ危険なの?アルコール中毒が沢山出るの?
「いえ、そこはほぼ歴戦の戦士ですから戦死者は少ないです…やはりカエルですね…」
歴戦の戦士が桜前線?どう言うこと?
「カエルって、扱いとしては雑魚モンスターだよな?」
「そうです。だから衛兵も出ない…警告も出ない…死者の間に来るのは戦えない子供と商人です」
あ、これマジのやつだ!エリスの顔がマジだもん。
「何とか出来るなら、私はそれも助けたいです。でも、私の両手では…」
うん、疫病よりは簡単そうだ。多分だけど試す価値はある策がいくつかある。
「良し!それも何とかするか!」
「…カズマさん…私の為に?」
「エリスが悲しそうにするなら、そのために頑張るのが俺だろ?」
「カズマさぁん!」ギュッ
エリスの愛情表現もどんどん大胆になってきた。でも、このアイデアには少し自信がある。この世界のやばい生物には、この世界のやばい生物をぶつけてみよう。
「やっぱり…カズマさんは私の英雄です!」
「エリスの英雄で居られれば、それだけで十分だよ」
やはり神格だろうか?アクアの為に働く気には全然ならないのに…
「えぇ…こんなところで今週2回目が…道端でも発生するのこれ?」
冷静なツッコミやめて?実は恥ずかしくなるから。
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「と言うことでカエルです」
今日のメンバーはあるえ、ダクネス、エリス、ヤギです。めぐみんは、真っ先に群れに撃ち込んだので、ゆんゆんが背負って帰りました。ウォルバクは2日目の筋肉痛でダウン。アクアは家でゴロゴロしてます。メンバー増えてもこの有様だよ畜生!
「クエストとしての必要数はめぐみんの一撃で満たされた。この先は追加報酬の為かい?」
「この先は、戦えない人を救うための戦いだ」
「…ふふ、凄くいいフレーズじゃないか」カリカリ
うん。琴線に触れると面倒だからあんまりカッコつけるの止めよう…
「行くぞ、ヤギ」
コイツが今日の要だからな。
「カズマ…私も反省している。だからその…ヤギに信頼を寄せるのは辞めてくれ…流石の私も、ヤギ以下だと思われると辛い…」
「違うって…お前らだと強過ぎて戦えない立場にならないだろ?本当に弱い立場でカエルに食われない方法を探してるんだよ」
「なら私を縛れば良い!なにも出来ないように、ヤギに負けるくらいに!!」
うん。やっぱりヤギの方が信頼できるかも知れない。
「用意したのはカエルの主食。つまり、カズマさんの狙いは捕食されても死なない。または捕食されない方法の検証だね?」
「あるえ…俺、もっと早くお前と出会いたかった…」
「私も…あっ、過去とは変わらないモノ…過去を後悔するより未来を見るべきではないかな?」
コイツ…たまに素が出るな。
「ほら、ダクネスもあるえを見習え。領主として、カエルのせいで行方不明になる子供が居るのは知ってるだろ?」
「か、カズマがそれを気にしているのか!正気か?エリス、直ぐにヒールを!」
「私の要望ですから、カズマさんの脳に異常はありませんよ?」
「なんだそうか…安心したよ…」
俺への評価低いな…
「このヤギに、この小袋を付ける…そして、地面の杭に繋いでおくと…」
「後はカエルを待つだけですね!」
さて、待ち時間中に昼食を済ませてしまおう。
……………………………
ペロッ!
「よし食った!」
「ほんふぉうでふか?!」
「うん、エリスはサンドイッチ飲み込んでからで良いよ?」
咄嗟に詰め込んだから、リスみたいになってる…アクアだと腹立つのに、エリスだと可愛い…不思議だ。
「うぅ、カズマさんのサンドイッチ美味しい…女子としてカズマさんの妻候補としてこれは…」
「あるえは味わい過ぎじゃない?少しくらいあっちに興味持って?」
「おい、カズマ!カエルがヤギを吐き出したぞ!」
ダクネスは食うの早いな…カエルが悶絶しているので、第一段階はオッケー。
「あの小袋には何が入っていたんだ?」
「ブルータルアリゲーターの鱗を粉末にしたもの」
「なるほど、ブルータルアリゲーターは子供だろうとカエルの腹を食い破る…小袋から匂いか味が染み出せば、カエルは咄嗟に吐き出すと言う訳か…これはネタにしよう」サラサラ
紅魔族って、やっぱり学校行ってるだけあって賢いな。名前は牢獄だけど…なんだよレッドプリズンって…
「あ、カエルが逃げましたよ!」
エリスの口元にパン屑ついてる。やはりアクアとは違って可愛い…なぜだろう?
「私のデコイを無視して逃げている!効果は間違いないぞ!」
ダクネスのデコイをスルーとなれば、被害者がもう一度食べられることも無いだろう。実験は成功だ。
「地上での移動速度はカエルが勝る。戦って勝てないなら逃げるのが定石…生物的にもこれは正しいアイテムだね。ふふ、書き留めておこう」サラサラ
「なぁ、カズマはそこまで考えて作ったのか?なんかもう、あるえの作った商品に思えてきたのだが…」
やめろダクネス。俺もそんな気持ちになりつつある。
「自然界の摂理は、肌で感じてきただろ?」
という負け惜しみ。いや買い取りで売れないって残ってたんだよね…この鱗。それにさ?水中生物の中でもワニって超強いじゃん?イケる!ってなるよね?イケたんだから結果オーライだけど…
「そんな感覚で作ったのか?!よくそれで策なんて言えたな…」
「駄目なら他の素材も考えてあったんだよ!1つ目で上手くいったのは幸運だったけど…」
ちなみに、最終兵器はワイバーンの爪と牙です。
「これで多くの人が救われます…子供たちが、私の元に来なくても良くなります」
この優しい笑顔が見られたので、俺は割と満足だ。
「しかし、なんで誰もやろうとしなかったんだ?」
「カエル避けの為にワニを倒そうという発想が有り得ないからな…ワニを倒せる人間には、カエルなど驚異にもならない。そして、他人の為に危険を犯す人間も殆ど居ない…」
ダクネスは切なそうな顔をしているが、そうだよな…俺も生き残るのに必死だったもんな…
「ありがとうヤギ…お前が身体を張ってくれたから…今年の春は死人が減るよ…」
「メェ~」
うん。こいつの事は新しい家族としてうちに迎えよう…
「ウィズに教えよう。知的財産権の登録はバニルにお願いしてな!」
今日の俺は百点満点だ!
ゲコッ
うん、後ろから減点対象の嫌な鳴き声が…
「おい、ダクネス…デコイは?!」
「済まない…発動してた…」
ばくっ
「あるえぇー!!」
「いやぁー!」
ここでダクネスじゃないだと?!そして悲鳴は普通の女子だ。可愛い!
「おい、なんで私では無いんだ?!」
「多分…固くて不味そうだからかと…」
あ、エリスが容赦ない。
「くぅ!カエルにまでこの扱い!」
「もだえんな!良いから倒すぞ!」
優秀な筈のあるえも、バカの足手まといがあればこの有様である。今日は原稿書いてないのに…メモはしてたけど…
________________
「うぅ、ぬるぬるする…生臭い…メモが読めない…」
あるえもこの制裁を受けてしまったか…
「カズマさんのコレ…カエルに食べられないと効果を発しないのが少し不満だよ…」
「今後も改良します…」
それにしても、あるえの発育にヌルヌルが加わるとヤバいな…胸に張り付いた服とか凶器だもん。そりゃ俺がカエルでもこっちが美味しそうだと思うわ。
「おいカズマ、あるえをいやらしい目でみるな!見るなら私にしろ!」
「ちげーよ!心配してんだよ!」
と言うことにしてください。
「見ないでくれないかな…」
「ごめん!決して嫌らしい意味じゃないんだ!」
「あんな雑魚モンスターにやられた無様な私を…」
あぁ、あるえの羞恥はそこなんだ…
「違うぞあるえ!カズマはそのぬるぬるでえっちになった身体を見たいだけだ!完全にスケベな目的だ!」
俺の言い分は聞いて貰えない。しかし、これが正解である以上、強く言い返せない。
「…そんなに、見たいのかい?」
上目遣い?!コイツが普通に可愛い反応するとヤバい!めっちゃ可愛く感じる!
「それは、ほら!大切な身体に傷があったらって不安で…」
「じゃあ、カズマさんが確認してくれるかな?お風呂でなら良いから…」
「え?マジで?」
良いのか?!本人が良いと言うのだから良いんだよな?やましくないぞ?これは医療行為だ!
「『ピュリフィケーション』『ハイネス・ヒール』」
あ、エリスが先手を…
「はい!もう、大丈夫です。女神のハイネスヒールで傷なんて残りません!カズマさんも、安心しましたか?」
「あ、はい…それはもう…」
くそぅ!最近エリスが俺の先手を!
「凄いな。ぬるぬるが完全になくなった。なんなら慢性化してた肩こりもない」
あぁ、胸が重いからかな?
「それは、良かったですね…」
肩こりのワードにエリスがしょんぼりしてる。せっかく育っているのに、過敏すぎでは無かろうか?
「でも、カズマさんは一緒にお風呂に入れなくて残念かな?」
「良いんだよ。あるえの無事が最優先だ…」
嘘ではない。悔しくないと言えば嘘だけど、あるえの無事が一番なのは本当だ。
「ぬるぬるエッチ…したいなら良いよ…」
おっと、耳元で凄いこと言いましたよこの娘!
「カズマ、あるえ、ヤギが居るんだ早くしてくれ。こら!暴れるな!」
「ごめん!俺はウィズの店に寄るから、後は頼む!」
結果報告と材料納品に向かう。今はちょっと、あるえの隣は歩けそうにない。
「ん?あるえ?顔が真っ赤だぞ?」
「こ、紅魔族だからね!」
「そんな特性があるのか?!」
そんなに恥ずかしいなら無理すんなよ…て言うか言い訳下手くそか!
________________
俺がウィズにレシピを伝えて屋敷に帰ると、ヤギは焼かれていた。なんか上手に焼けました的なやつで…
「あるえとダクネスがヤギを綺麗にしてって言うから、洗って血抜き、解体まで済ませたわ!お肉は夕飯用に焼いてるけど…内蔵どうしましょう?」
アクア…お前のマルチな才能はすげーけど…まさかそんな綺麗に精肉されるとは…
「アクア…そいつは、一応俺達の為に身体を張ってくれたんだけど…」
「そうなの?そんなドラマを微塵も感じないくらい。すごい敵意むき出しでダクネスが取り押さえながら連れて帰ってきたから…てっきり食用なのかと…」
「…うん。じゃあ仕方ないか…」
繋がれてカエルの餌にされたのだし、冷静に考えたら懐くわけがない。多分、逃げるチャンスを伺っていたのだろう…
「でも、ヤギ一頭なんて、まるでお祝いね!」
「まぁ、新しく売れそうな製品もあるし、今日は前祝いって事にしよう。俺の取り置きの酒も出すよ」
「やった!私もとっておきを出すわよー!」
なぜだろう?何か大切なことを忘れているような気がするが…まぁ、良いか。それは明日にでも考えよう。
「ねぇねぇカズマさん!その新商品は高く売れそうなの?」
「あ!」
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「すまん小僧…失敗した…」
翌日の早朝、バニルが頭を下げに来た。あのカエル避け…販売価格とか何も決めてなかった。
「うん…ウィズが…だよな」
「あぁ、あやつが…例のカエル避けを200エリスで販売してしまい朝イチで完売した。子供に持たせるのだから、子供でも買えたほうが良いと、直ぐにでも売ったほうが良いと徹夜で作ってな…」
安い…ブルータルアリゲーターの素材を使って作っているのにあまりにも安い。まぁ、子供の為に頑張ったのは、ウィズらしいけど…
「それだけならまだ良い…それの大半が金儲けの為に転売され、値段が釣り上げられているのだ…これでは必要とする者に行き渡らず…女神との誓約も果たせん」
マジか…この世界にも転売ヤーっていんのかよ…
「うん、そっちの方がやばい…素材回収して増産するか?」
「近隣のブルータルアリゲーターはお前達が全滅してしまった。他の街の依頼を受けに行くほか無いが…」
「宛はあるのか?」
「あるが、地獄だぞ?」
バニルがここまで言うのか…
「それでも、子供が死ねばエリスは泣く…教えてくれ!」
今の俺達はレベルも上がっているんだ。きっとどんな激戦区でも生き残れる。新しい仲間も居るからな!
「ブルータルアリゲーター多発地域の担当ギルドは…」
バニルは一呼吸おいて、何かを決心して俺に告げた。
「アルカンレティアだ…」
これが…絶望か…
最後までお付き合いありがとうございます。
子供のために、ウィズは良いことしました!…石は投げないでください。
次回はアルカンレティア(地獄)です!