またちょっと日常回です。
そもそも、何でカズマが人命を助ける活動を初めたのかって話も少し
セレナの可愛さを堪能した翌朝。アルカンレティアはゴーストタウンになっていた。その理由は…
「まさか拘置所に人口の大半が行くなんて、流石に予想して無かった…」
「私もですよ…とんでもない連中ですね」
セナさんも呆れている。拘置所はもはや満員電車だ。
「これでは街の運営も成り行きませんね。それにしても、先輩の信者はほぼこんな感じなのでしょうか…」
エリスまで引いてる。街単位でこれではその気持ちも凄く分かるけど…
「そうですね…残念ながら街の運営は当面停止となるでしょう。アクシズ教には組織犯罪の疑いさえありますし…」
マジかよ。ハンスは破壊活動とかしないでセナさんに悪質な勧誘員が居るって通報したら良かったのか…
「街の運営?!あのね、セナさん。女神の私に免じて、うちの子たちを許してくれたりしないかしら?」
おっと、女神が検察官にすり寄って行く…信者的には良いのだろうか…
「私の一存では無理です」
おぅ、冷徹。
「お願いよぉ!このままだとアルカンレティアが無くなっちゃうからぁ!」
うわっ泣きついた!検察官に泣きついたぞあの女神!
「先輩…信者が可愛い気持ちも分かりますが、教えと司法は別です。私の信徒にお願いして街の運営はなんとかしますから…まずは信徒の方に罪を償わせては…」
でしょうね。当然セナさんは…
「本当に無理です。すべてはセレナさんへの婦女暴行未遂が招いたことです。それを正当化するつもりならアクアさんも犯罪組織のリーダーとして裁きの場に立ってもらう事になりますよ!」
「そんなぁ!」
離れて地面に崩れ落ちた。容赦ねぇ…いや、そりゃそうだけど
「ふむ、あの迷惑な女神も司法の裁きには従うしかないか…いやはや愉快だな!」
俺たちの後ろに、気付けばバニルが立っていた。
「バニル!お前なんでこんな所に?!」
「ふむ、これから大量の悪感情が発生する事が分かったのでな。テレポート便で馳せ参じたと言うわけよ!」
大量のって…アクシズ教なら沢山捕まっているが…
「待ってよ!今の状況的に私の信者たちなの?そんなのあんまりじゃない!ねぇウィズ、なんとか言ってよ!」
「いや、あの…流石にこれは…」
ここにいる全員が目を逸らした。知ってるアクア?それ完全に自業自得なんだぜ?いくら魔王軍幹部でも、勝手に民間人が裁いたら司法が崩壊するわ。
「アクア様、泣かないでください。あの、ピリピリします!涙で消えちゃいますから!」
「おいアクア、ウィズには関係ないだろ?」
と言って間に割り込む。すると今度は…
「セレナさん!お願いだから、もう全部水に流すからうちの子達を許してあげてぇ!」
ついにさん付けしてセレナにしがみついた。いや、これに関しては水に流すも何も…お前加害者側として扱われているんだけど…
「これは貸しですよ?アクアさん」
あ、キレイなセレナだ!これ、ろくなことしない奴だ!
「セナさん…彼らも私同様、狂信に踊らされた方々です。今回の件は、示談としてもよろしいかと…」
「この反省のないアクシズ教徒を野放しにするのですか!また狙われる可能性がありますよ?!」
あ、やっぱり検察官でもその認識なんだ。
「良いのです。だって、私はもう要人であり英雄のカズマのパーティー…当然、法的にもその意味は分かりますよね?」
おい待て?それはつまり…
「なるほど、つまりセレナさんを襲えば国の要人の戦力を削ごうとした事になる。国家転覆罪が適応されますので、アクシズ教もただでは済まないですね…」
俺も思ったけど国家反逆罪って不条理だよな。アクシズ教の皆さん、頼むからこっちは見ないでください。あいつ裏切ると女神を敵に回す事になるんです!
「あ、それと示談金は一人50万エリス、支払いはエリス教会へお願いします。私は何度も彼らに助けられたので…」
国家権力でぶん殴った後、目の敵にしている相手に大金を支払えという精神攻撃…いい性格してるよ。アイツ…
「ふむ、素晴らしく満足いく量を楽しめた!牢屋の中から反撃も許されず、御神体が軽くあしらわれ、自分達の価値を元同士に否定された狂信者と言うのは大変良い悪感情を生んでくれるな!」
「そりゃそうだろ…流石に同情するわ…」
一番はセナさんにだけど…
「おっと、そうだ。手当たり次第の小僧よ」
「おいやめろ。マジでどこまで見えてんだ…」
バニルはニヤニヤと笑っている。多分、昨晩のことだよな…
「例の商談に進捗があった。街に戻ったら店に来い。それとこれを渡しておく。小僧の商品が国を渡る可能性もあるのでな?」
「お、おう」
手渡されたのは司法関係者との契約書類。法律的な顧問でも雇えと言うのだろうか…知り合いにはセナさんしか居ないけど、やってくれるかな…
「示談になった以上、彼らの身柄をいつまでも確保しておく訳には行きませんね…」
「えぇ、許してあげてください。示談金の支払いまでは、1つ貸しと言う事で…」
ん?何か引っ掛かる…セレナが貸しを作るのはいつも通りだが…
「なぁカズマ…私の記憶通りなら、セレナはアクアを狙うと言っただけであんなことになったよな?」
ダクネスのヤバイセンサーも反応したらしい。
「では、アクアを犯罪者のリーダー扱いした検察官殿は…」
「…あ」
ヤバイ!
「駄目だ!開けるな衛兵!」
「え?」
ダクネスの指示は少しだけ遅かった。既に衛兵は鍵を外してしまったおり…
「おらぁ!アクア様を犯罪者扱いしやがって!」「セレナの代わりはお前だぁ!!」「うぉー!ツンデレ眼鏡!!」「お前は別に国家転覆罪にはならねぇからなぁ!」
もうヤダこいつら!無法者だよ!あいつら無法者だよ!
「…焼いていい?」「手伝おうか?」
「それは却下だ」
ウォルバクとあるえは、アクシズ教には一切容赦がない。気持ちはわかるけど…
『ボトムレススワンプ』
「ウィズ!流石だよ穏便派!」
ゆんゆんも行けるかと思ったが、駄目だビビりまくってる…きっと宿で怖い思いしたんだろう。
「でも、これでは時間稼ぎにしかなりません!」
いや、良いんだこれで、ついでに最高の顧問を手に入れられそうだ。
「セナさん!コレにサインを!」
「この契約書は…私と契約を?!」
流石はセナさん!この小難しい紙を良く即座に理解できるな。
「どうしても、貴女が必要なんです!」
この世界でビジネスを広げるために!
「た、確かに…カズマさんと契約すれば私も庇護下に入りますが…これは…」
「確かに…俺がしたい事が分からない気持ちは分かる!でも、人命がかかってるんだ!」
※多くの疫病感染者の
「人命が?!…私、このままでは殺されるのですか!」
あれ?なんか違くない?
「わ、分かりました!まだ恋愛もしてないのに死にたくありません!契約します!」
セナさんは急いでペンを走らせた。そして、名前を書き終えた時…
「良し!契約はなされたな!」
何故かバニルが割り込んできた。
「え?カズマさんとの契約では無いのですか?!」
「契約内容は小僧の考えたものだ…吾輩は立会人のバニルである。まぁ、つまるところ悪魔であるな!」
「そ、そんな!!」
「うむ、良い悪感情だ!咄嗟のことで気でも動転していたか?お前は今、悪魔とその協力者と契約をしたのだ!ちゃんとここに書いてあるだろう?」
うわー、やめてくれませんかバニルさん?凄いんですけど、周りの目が凄いんですけど…でも、思ったよりしっかり書いてあるね…『これは悪魔の監督で契約します。気をつけてサインしてね』って、親切だなおい。
「マジかよ…」「俺達よりヤベェだろ…」「クズだ…しかも俺たちを利用しやがった…」「こっわ!マジであの人は敵に回せねぇよ…」「悪魔を使って契約するなんて…」「アクシズ教よりあの人捕まえろよ…」「悪魔倒すべしって…流石に国家転覆罪になってまではヤバイよな…」「アクシズ教が無くなるかも知れないからな…」
うん!アクシズ教が引いてる。もう事態が穏便に収まったから良しとしようぜ!(ヤケクソ)
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「うぅ、殺すなら殺しなさい。私は契約にサインをしました。法を司るものとして、それを反故にするならば潔く魂を渡します!」
ちょっと場所を移しての事情説明。アクシズ教は凄い勢いで逃げていきました。そして、くっころ状態のセナさん…やだ、なんかごめん。
「ふむ、いい覚悟だ。汝には小僧の決めたこの条件を元に働いて貰うぞ。死ぬのはそれを反故にした場合であるな!」
高圧的なバニルは少し楽しそうだ。しかし、条件は俺のやつなんだ。そりゃそうか契約相手が俺なんだし…
「カズマさんの決めた条件…お父さん、お母さん…全然帰らなくてごめんなさい。孫の顔は見せられそうにありません…」
…なんだろう。俺は自分の生き方を見直さないと駄目な気がして来た。
「先ず!週休完全2日、祝日は原則休みとする!そして労働時間は一日8時間までとし、自由休暇は年20日を原則として…結婚と出産、葬儀などでは別途休暇を…おい小僧…なんだこれは?」
「え?労働条件だけど…」
多分、親戚のお兄さんとかこんなだった気がする。
「あの、むしろ良いんですか?基本年収500万エリスで諸経費全額会社負担ですと…責任のない地方貴族のような生活なのですが…」
この世界では…法律の専門家でもそんなに貰えないらしい。その条件はそもそもバニルの助手を求めた時の話で、商工会ギルドで人を募る予定の金額だったが、高過ぎたようだ。
「ふむ、まぁ見通した所、相当出来る女のようだ。色々な…」
「まぁ、セナさんには期待しているし?」
実力は間違いないだろう。
「ならば吾輩にも異論はない。処刑されかけた相手を信じるというなら、吾輩も小僧を信じよう」
「き、期待ですか…分かりました。契約した以上は私も全力で応えます」
うん、素晴らしい戦力が加わった。
「さぁ、ど…どうぞ!金額に見合うだけ…私を好きにするのでしょう!」
あ、ちょっとすれ違っている。正座して俺の前で固まるセナさん。しかし、折角だし…
「そ、それなら…」
俺はセナさんの長い黒髪をゆっくりと手櫛で梳いた。
「おお!すげーサラサラだ!もう1回良いですか?!」
「は、はぁ…あの?それだけですか?」
「セナさんに触れるだけでもありがたいのでこれで良いです。何もしないと裏があると疑うでしょ?」
「まぁ、それは確かに…そこまで読まれていれば疑う余地もないですね…」
それにしても、俺の評価はどこまで低いのだろうか…
「俺は、セナさんの力を借りられればそれで良いんです。お願いしますね?」
「はい…分かりました」
信じられないような顔をしているが、これが本音だ。面倒な書類から開放されるなら、それ位の価値はあるだろう。
「では、私の仕事と、髪に好きに触れる権利で500万エリスでお願いします」
髪の件は別にいいんですが…
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「いやー、旅の感動ないなぁ」
「大丈夫ですよセレスディナさん。直ぐ馴れますから」
うちのパーティーはテレポートが使える人数が多いのでウィズが参加している時はテレポート帰宅。今日はウィズの店に行く。もちろん理由は
「予防接種の開発ですね!」
エリスがワクワクしているこの件である。
「感染する可能性があるから最低限の人数で行く予定だ。俺とエリス、魔法解析にウォルバク、治療にセレナ。他に希望者が居るなら聞くけど…」
「この感動を後世に伝える為、そして歴史を残すために…私は必要ではないかな?」
「まぁ確かに、あるえが居たら記録が楽だな…感染したら超苦しいけど…」
「構わないよ…それも書いてやるさ!」
頼もしいのか…ただやべぇやつなのか…
「ちなみに、ダクネスは却下だ」
「そんな!味わってみたいのに!」
「ふざけんな!物理防御は関係ないんだよ!お前が死んだら俺は泣くからな!」
「ぅ…じゃあ辞める」
うちのお嬢様は、時々素直で可愛い。
「はい!」
「よし、アクア。お前の役に立つポイントを言ってみろ!」
こいつは感染はしないだろうが、そもそも余計なことしかしないだろ…
「私、地上○星をカラオケで98点出せるわ。こんな一大プロジェクトには必要じゃないかしら?」
そんなのズルい!俺だってそんなカッコイイ感じで取り上げられたい!
「しかし、流石に危険だし…」
「プロジェ○ト✗」(例の発音)
「…お願いします!」
「任せて!」
俺はロマンに屈した。
______プロジェ○ト✗(例の発音)_______
「風の中のス〜バル〜♪砂の中の銀河〜♪」
「なんであの女神は店の入口で歌ってんのよ…」
シルビアがシャーレに黄緑の何かを入れて持ってきた。ぶっちゃけ邪魔なので、アクアは店の外で歌っている。しかし、上手いな…吟遊詩人になれば良いのに、ちなみにウィズもやらかしそうなため、外でソフトクリームを販売中だ。
「無視してくれ。うちの国の風習だ」
「機密の盗み聞き防止かなにかなの?取り敢えず、これが原因の細菌よ」
素人には見せられても分からない。しかし、そこにスポイトで血液を入れると
「黄緑色が広がってる…」
「ええ、人の体液を破壊して食い荒らして増えるの。ここまで増えたらもう駄目よ。残念だけど、彼は救えそうに無いわ」
シルビアの視線の先、店の奥には少年が寝かせてある。うん、シルビアが好きそうな見た目だ。
「私の持てる全てを使ったけど、生物的な治療ではあの子を救えない…本当に人間は無力よね…」
シルビア…その涙は人の為なのか、好みの男の子だからなのかで随分意味が変わってくるぞ?…まぁ、今日は先生が来てるので、治ると思いますが…
「それなら、この先はあたしの領分だな!」
遅れて店に入ってきたセレナは、自信満々の顔で子供に近付いた。ちなみに、外でソフトクリーム食ってただけで別に満を持してとかそう言うのではない。むしろ、レジーナ経由で呼ばないと、二個目食ってた可能性もある。やる気あるのかな?
「うそ!あんた無事だったの?!」
「話は後。助けたいんでしょ?あたしならきっと助けられる」
少なくとも、人命より食い気を優先していたヤツのセリフではない。
「意識は無いか…でも、生きてるなら希望はあるよな…」
セレナは子供の手を握り、祈っている。その姿はまさに
「あのセレスディナが、まるで聖女じゃない…」
「いや、あいつはもう…」
ほんの10秒たったそれだけの時間で
「本物の聖女だよ」
少年は目を覚ました。
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「セレスディナ…ありがとう…あんた、マジで聖女になったの?」
シルビアは両手を組んでセレナに祈っている。さっきの感動は俺も祈りたい位だ。
「なんだよシルビア。似合わないことして、それならお布施でも入れてくれ。いま金欠なんだ」
軽口を叩いているがさっきのセレナは本当に聖女に見えた。治療した子供も、喋れるまでに回復して…
「声が聞こえたよ…あーあーって声と、ねぇねぇ?助かりたい?入信する?って声が…」
…やっぱり勘違いかも知れない。
「…ねぇ、私の感動とか、その1000エリスとか色々返してくれない?」
「助かったんだから大目に見ろよそれくらい!」
いや、でもなんかねぇ?
「大丈夫ですか?辛いところはありませんか?」
「……僕やっぱり死んだの?!エリス様が居るよ!」
あ、そうだよね。そうなるよね。
「私はカズマさん達と一緒に、皆が安心して暮らせる世界を作るために、こっちの世界に来ているんですよ」
「魔王討伐のカズマさん?」
「はいカズマです」
しまった。普段の軽いノリで答えてしまった。子供の夢が…
「本物だ…本物はプロのアサシンだから一切のオーラを出さないって…」
「いや、そもそもカズマにオーラってあるの?」
セレナ、無いのはお前が一番詳しいだろ?どっちかと言えばお前側の人間だぞ?
「お姉さん知らないの?!魔剣の勇者を剣で倒し、弓の腕も百発百中!未知の武器まで使いこなすウエポンマスター!武器を警戒した魔王には爆裂魔法でとどめを刺す。底が見えない人類の到達点。それが勇者カズマだよ!」
一つも嘘が無いのに、何一つ合っていないってどういう事だろうか…
「最新刊では邪神の真の姿が女神だって気付いて、命がけで助けてたよね!」
…最新刊?
「ちょっとあるえ?」
「うん…ごめん」
やっぱりこいつか!
「いやね。英雄譚の前に子供向けに書いてみたんだよ?そしたらもう印税がね?」
「うん…もうそれは良い。作家としての成功は素直に喜ぶよ。……内容に嘘は無いよな?」
「それは誓うよ…誇張はしたけど」
なら仕方ないか、別に悪い気はしないし、ちょっと申し訳ないけど…
「お姉さんが助けられた女神なの?」
「そうよー。助けられたから仲間になったの」
「こんな美人が沢山居ても、やっぱりエリス様が1番好きなの?」
「あ、うん。それは間違いない」
それは嘘を書かれると困る…マジで下手したらカズエリ派のエリス教徒に処刑される。
「ねぇ、いい感じに話は進んだ?ナレーションいる?」
アクアも歌うのに飽きて入ってきた。3回ループしただけですが…
「お前、そのバケツなんだよ…」
硬貨がギッシリ詰まっている。
「なんか、歌ってたら通行人が入れていったのよ」
「お前もう吟遊詩人になれよ…食っていけるよ…」
本当に、女神が一番向いてないと思うわ。
「駄目よ!私女神だもん!そんなことより、歌ったから喉乾いたんですけどー」
「はい、アクア様。紅茶をどうぞ」
ウィズも戻って休憩らしい。紅茶を持ってきた。
「ちょっと!これはやばい菌なんだから!近くに紅茶を置くんじゃ…」
おや?シャーレの横にポッドを置いたら、何故か血液への浸食が…
「ねぇ?これまさか熱に弱いの?」
こういう時、ウォルバクは反応が早い。知力の高さって大切だ。
「いや、でもこの温度に晒したら人が死ぬわよ…」
「ん?熱して弱らせた菌を人に入れるんでしょ?」
シルビアとウォルバクの話は理想だが…いや、そんな簡単に行ったら…
「うむ、見通したら…それで行けるらしい…」
……マジかよ。バニルさん有能過ぎませんか?
「運搬は?」
「逆に冷やすとか?」
なんだよ!ウォルバクとシルビアはもう子供の理科の実験かよ!
「おいやめろ!これで確定してみろ?!この世界の医療従事者の立場が……」
「うむ、いけるようだ…」
…うそでしょ?
「あーこほんっ……語り次ぐ♫人も無く♪」
「おい辞めろアクア!これ放送事故だから!感動も何もねぇから!」
「吾輩も流石に悪感情に喜んでいいか悩む所であるな…」
俺のプロジェ○ト✗は所要時間40分、感動0で幕を閉じた。
______プロジェ○ト✗(例の声)_______
「素晴らしいです。カズマさんのこと、やっぱり見直しました!」
「あ、はい…ありがとうございます」
セナさんに今日の件を報告し、特許申請と国への認可申請を行うことになった。流石に医療行為を無断でやると怒られるそうだ。ちなみに、カエル避けに関しては「食べられてからですか…」と言う不満を頂きました。
「これなら10億エリスはくだらないでしょう。カズマさんは本当に立派なことを…良かった…私の再就職先まともでした…」
と言う事で、感動はないけど利益にはなるらしいので、今日はお祝いです。
___________________
「今更ですが…なんでカズマは医療行為に手を出したんですか?面倒なのは分かりそうですが?」
宴会前にめぐみんからの疑問。分かるよ?面倒だと思ったよ?でも、それ答えたくないんだよ…
「そう言えば…カズマさんならもっと簡単にお金になりそうなネタがありそうですし、推したのは私ですが提案に含まれたのは不思議ですね…」
「ほら、エリスが悲しむから?」
「何でも私の為だと言えば良いと思ってませんか?」
責めてんのにご機嫌なの可愛いな…
「頑張ったのはエリスの為だけど…思い付いたのはアクアの言葉からだな…」
「ん?私そんなこと言ったかしら?」
こいつ…忘れてんのかよ…
「魔王の恐怖で転生したくない人が増えて、人が減ってるって言ったろ?だから、少しでも人の減る理由を無くしてんだろ?」
「えっと?いつの話?」
うわぁ、マジでこいつは…
「…この世界に来たときだよ!」
「え?…カズマさん、そんな前の私の言葉をずっと心にとどめていたの?」
ほら、「なによカズマさんってば!ツンデレなの?私の事大好きじゃない!」とか言うんだろ…
「…悪いかよ」
しかし、意外にもアクアは大人しく俺の方を見つめて、少しだけ目を伏せた。
「……えっとね…私、やっぱりカズマさんを好きになって良かったなって…」
え!どうしたコイツ?!
「私の信者がたくさん迷惑かけたし…カズマさんが私のこと嫌いにならないか心配だったけど…えへへ、ちゃんと愛されてた」
「今さらだな…俺はアクアを見捨てない。ずっとそうだったろ?」
「カズマさん…」
おっと?!これはまさかエリスとたまに発動するあれなのか?!アクアと二人の世界に…
「プフッ」
「おいこら!なんで笑った?!」
震えてる!クスクスしてる!
「無理よ!カズマさんの真面目顔を正面からとか無理よ!こんなの笑いがもう……」
「くそぅ!やっぱり返品してやる!」
「駄目ですー!特典の選び直しも私を選んだから駄目ですー!クーリングオフも出来ませーん!」
「え!あれ選び直せたの?!」
「そうよ?天界から許可もらったもん?」
マジかよ……
「くそぅ!無限の魔力とか憧れたのに!」
「ちょっとカズマさん?!待ってよ!私が居るじゃない!」
当然、他を選べたとしても俺はアクアを選んだ。でも、少しくらい反撃しても良い筈だ。
「あぁ!伝説の剣や最強の弓もあったなぁ!」
「私が好きなのよね?大切だって言ったわよね!もう、なんでよぉーー!」
平和になりつつあるこの世界。チート武器もヤバイ武力も、きっともう必要ない。それなら、人々を豊かにする何かを与えるべきだろう。メインヒロインだったり、いつも周りを笑顔にする青い髪のマスコットだったり
「私をもっと愛しなさいよーー!」
「なら、愛されることするんだな!」
だから、お前はちゃんと笑ってろよ。アクア。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
実はこれで最終回にたどり着く為のネタが終わりました。
あとは全然エンディングに関係ない恋愛とか、ネタを垂れ流します。
今後も暇つぶし感覚でお付き合い頂けたらと思います。