セナ回であり、アイリス回です。
前回のオチはこちらになります。
「さぁ!お銀!いざ世直しです!」
私を先導して歩くのは王女のアイリス様。そのお銀とか言うのは、コードネームみたいなものらしいです。私は検察官として、既にその名前と顔が知れ渡っているので、完全に無意味なあだ名となって居ますが…
「アイリス様、流石に一国の王女をこのような事にお付き合わせる訳には…」
「私はチリメンドンヤの孫娘のイリスです。よく居るソードマスターの町娘なので問題ありません」
「そんなのよく居る訳ありませんから!上級職を何だと思ってるんですか!…いえ、すみません!無礼な物言いを…」
「いえ!チリメンドンヤなので大丈夫です!」
この不思議な関係の始まりは、ほんの数時間前に遡ります。
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「カズマさん?お留守ですか?」
貴族の裏取引の情報を見つけた私は、カズマさんの屋敷を訪ねていた。兼業を許されたとは言え、私の立場はあくまでカズマさんに雇われている身。組織に囚われない自由な捜査が可能といえば聞こえは良いが、誰が敵なのか分からない。協力者が検察にいる可能性もあるので、信頼できる護衛が必要不可欠となる。
「取引は今日ですのに、不在では…どうしましょう…」
「お兄様ー♪あれ?留守なのですか?」
「え、えぇ。そのようです…」
突然現れたローブを被った少女は、私の返事を聞くと玄関の扉に手をかけた。
「お兄様ですからね。ただ惰眠を貪っているだけの可能性もあります」
そう言って家の中に入ってしまった。私としても、何度も突撃した家ではある。それに…私はカズマさんの所有物…つまり、カズマさんの女と言っても差し支え無いわけで…
※差し支えます
「わ、私も行きます!」
そんな突然現れた少女に負けたくなかった私は、急いで後を追いかけた。
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普通なら住居不法侵入。でも、私はカズマさんのもの。私とカズマさんの関係なら笑って許してくれる。きっと、温かく迎えてくれる。怒られたとしても、ちゃんと謝れば「しょうがねぇな」と直ぐに関係は改善できる。そんな信頼感を信じて、カズマさんの部屋のドアに手をかけ…
「あぁ!見ながらしないでぇ!」
一連の行動と思考、その全てを心から後悔した。
「…うわぁ…あんなにトロトロになっちゃうんですね…」
「こ、子供がそんなの見ちゃ駄目です!」(小声)
「来年には結婚できるんです!結婚相手の事は全て把握しないと!」(小声)
来年結婚できる。カズマさんを兄として慕う人物。私の中で嫌なパズルが組み上がる。いやいや、彼女は一国の王女ですよ?それが男の家に転がり込んで情事を覗いていたら…
「んー、ローブが邪魔ですね…」
パサッ
少女はローブのフードを外す、その姿は正しく…
「…アイリス様、何をなさってるんですか…あの、本当に…」
「何事も勉強です。うわぁ…あんな抱き方があるんですね…」
「え?ちょっとどんな…あ、あんな奥まで…」
扉の隙間に上下に並ぶ。カズマさんの情事は私が知るようなものでは無かった。だって、あんなに激しいのに…凄く甘くて…トロけそうで…
「凄いです…お兄様に抱かれたら…私もあんな風に…」
そ…それは条例が許さないのでは…
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「検察官が一緒でしたので、これは潜入捜査ですね!」
二人が寝てしまった所で、アイリス様と一緒に外に出た。結局最後まで見てしまいました…しかし、先に突撃したのはアイリス様ですよね?
「あ、ところでお兄様の何を調査してたんですか?性癖ですか?」
「違います!捜査協力をお願いに来たんですが…」
ただ出歯亀して終わってしまいました。性癖は…多分何でも食べますよね?あの人。
「へぇ、なにかあったんですか?」
「貴族の違法品取引を知ったのですが…カズマさんとウォルバクさんは寝てしまいましたし…他の皆様は不在でしたし…」
これでは取り逃がしてしまう。いっそ、ルナさんに相談して信用できる冒険者を指名するしか…しかし、その信用を悪用する人間が多いし…
「セナさん。この街の武器屋は何処ですか?」
「あ、案内します!と言うかですね、そろそろ顔を隠してください!」
そして、武器を買った王女はミトコウモンなるものになぞらえ、私の仕事に着いてきたのだ。
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貴族の館の庭。私達はローブを纏って紛れ込んでいる。最初は潜入を目論んでいたが、思ったより人が多くて容易に紛れ込めた。と言うか、魔法使いの方はローブの人が多いですけど、これ普通に不審者なのでは?
「しかし、貴族の館で堂々と取引するんですね?」
取引アイテムは薬物。本来は快楽増幅の効果のある安いポーション。しかし、結晶化させて成分を抽出、鼻から吸わせると高い効果を発揮する。その状態では、強い依存性をもっていると判明してから、ポーションも粉末も、違法品として指定された。
「違法化されたのは最近です。販売元としても、在庫を捌かないと損失になりますから、知らなかったと言い張るつもりでしょう。それに、運送会社は薬品としか知りません」
「なるほど、庶民は法律の変更の事など知らないでしょうし…ここに居る人は知らずに利用されている訳ですね」
話が早いですね。13歳なのに馬鹿な冒険者を相手にするより全然楽です。
「…お兄様は買ってたりしませんよね?」
「必要に見えましたか?」
「…いえ…なんでもないです」
全く、男と言うのは快楽ばかり求める。確かに気持ち良い方が良いとは思いますが、こう、甘く愛された結果に快楽があると言うのが…私としては…
「そこまでです悪徳貴族!」
「えっ?!」
私がちょっと考え事をしているスキに、アイリス様が飛び出した。確かに容疑者の貴族が出てきましたが、いきなりそれですか?!
「なんだこの小娘!」「剣なんて持って、それはガキの玩具じゃねぇぞ?」「今なら無礼には目を瞑ってやるから帰んな!」
あぁ…取り巻きに囲まれてます。そりゃそうなりますよね。身分は明かさないのでしょうか…
「私はちょっと世話焼きのチリメンドンヤの孫娘のイリス!違法薬物の取引に関わる傭兵たち!自首をするなら今のうちです!」
「何言ってんだこのガキ!つまみ出せ!」
あぁもう!なんでこう私の周りは問題児ばかり!
「おい嬢ちゃん!邪魔になるぞ!」
「あっ!私は…ちょっと!」
商人たちが私を掴んでアイリス様から遠ざける。不味いです。このままではアイリス様が…
ドーン
あれ?なんかアイリス様を捕まえようとした傭兵が空中に…
「この国に!」
ガンッ!
「わー!」
うわっ!鞘で殴ってる!
「悪が蔓延るなど!」
ゴン!
「ひぇー!」
「私が、許しません!」
ドーン
「ぐふぅ!」
安物の直剣一本で傭兵達が次々と倒されていく…アイリス様って聖剣なしでも普通に強いんですね…
「くそっ!先生!先生!!これはただの幼女じゃねぇ!」
貴族が一目散に逃げていき、奥から傭兵の隊長らしき男が現れました。武器は直剣。装備は中装備。かなり戦いになれているように見えます。
「むー!誰が幼女ですか!私はもう、13歳ですっ!」
速い踏み込み。身軽な体に強靭なバネ。逃げようとした貴族への距離、約15メートルを一瞬で詰め…
「おら!」
ガンッ
「きゃっ!」
あと一歩の所で迎撃されました。アイリス様の防御が間に合ったのは、恐らくあの男に殺す気がなかったからでしょう。現に、相手も剣を抜いていません。鞘のままで殴り飛ばしました。
「やるじゃねぇか嬢ちゃん!騎士の娘か?素振りとステータスだけなら一流だが、実戦はまだまだ二流だな!」
「くっ!やはりリーダー格は違うようですね!」
私には戦闘は分かりません。ただ、身近に居るから分かります。人を殺すのに、高いステータスなんて必要ない。刃物を用いた実戦と言う世界において、ステータスなど要素の1つでしかないと…
「体型でも経験値でも不利ですか…良いでしょう。ならば我が兄、サトウカズマ直伝の一撃!これを使うときが来たようですね!」
「あの英雄の妹だと?!なら、それは御前試合で剣を容易にへし折ったとか言うアレか?!」
私も話なら知っている。クレア殿の剣を容易にへし折った一撃、冒険者の彼がソードマスターさえ超えた。人類の到達点と言われた奇跡の一閃…エリスの加護…あれをアイリス様が?!
「いいだろう!見せてみろ!英雄の真似事をな!」
アイリス様は低く構えた。元々身長がかなり低いのに、これでは下段しか狙えない。
「あんな技は私には使えませんよ。でも、貴方にはこれで十分です!カズマ流『頭蓋抜き』!」
技名言っちゃいましたよ!それもう完全に上段の技ですよね!あぁ、敵もニヤッてしてる!
「スキル名を言ったな!そう言うのは相手を崩してからやるもんだ!」
「はぁー!」
既にスキルを発動したのか、真っ直ぐに突っ込んでいくアイリス様。しかし、切り上げ攻撃は完全に対策されてます!
「ここです!」
振り上げが早い!それではまだ届かな…
スポッ
「あぶねぇ!」
鞘が抜けて飛んでいった!咄嗟に鞘を迎撃し、相手の姿勢は崩れて…
「貰った!」
鞘の後、本命の剣?!なんて姑息!
「ふざけんな!」
身体を仰け反らせてそれもかわされた!やはり実戦経験値の差が!
「はっ!もうちょい実戦経験があれば、お嬢ちゃんが勝ってても…んんん!!」
え?蹴り上げました?!男のアレを?!
「頭蓋抜きはスキルでも何でも無いタダの技名です。お兄様ならば、更にエグい技を重ねる事が出来ますが、どうやらコレで十分でしたね」
まさか剣の突きもフェイント、何重にも用意されたブラフに、人として使っちゃ駄目な技が本命だなんて…カズマさんなら確かにやりそう。しかも直伝の一撃って言ってましたよね?3撃ありましたよ!
「…それは…マジで人として…やっちゃ…駄目だろ…」プルプル
「まだ立ちますか!」
ガッ
「んんん!!」
2つの意味で立てなくなっちゃいます!
「ふう、正義は勝つのです!」
うわぁ…泡吹いてる。流石にこれは…私も同情します。
「アイリス様…その技は…」
「お兄様が教えてくれました。実践ではあらゆる物が武器となると、ソードマスターが剣のスキルしか使えないことも、裏を返せば武器に出来ると!そして、ここは万能の弱点であると!」
カズマさんの影響がほぼ悪影響じゃないですか!
「待ってくれ!金なら払う!誰に雇われた?!俺なら倍出すから!」
命乞いをする貴族。何てお約束な展開…あ、アイリス様がこっち見てる。本当にやるんですね…
「し、静まれー!静まれー!」
うぅ、恥ずかしい…これ必要ですか?戦闘員全滅してるんで誰も暴れてませんし、その貴族以外は既に静かなんですが…
「こちらにおわすお方をどなたと…」
ここで私もローブを外す。流石にもう身分を偽る意味など無いし、変質者っぽいのは勘弁願いたい。
「鬼の検察官だ!」「何事だ?!俺達から罰金をむしり取るのか?!」「なにも悪いことしてないのに!」
私って有名人ですね。アイリス様がムスッとして不満そうです。
「私のことは良いんです!こちらにおわすのはベルゼルグ王家の第1王女、アイリス様です!図が高いです!控えなさい!」
ここでアイリス様がローブを外す。流石は有名人。誰も疑いの言葉など述べない。
「「「理由は分かりませんがすみませんでしたー!」」」
全員が土下座した。あ、アイリス様が満足そう…いいんですかそれで…
「そこの不埒な貴族!自分がモテないからって違法な薬物に手を出すとは不届き千万です!そんなもので女性の気持ちは手に入らないと知りなさい!」
凄いドヤ顔してますが…性の悩みの暴露みたいになってますよ。そもそも、使用方法に関してはまだ確認が必要で…
「ち、違うんです!妻が、妻の性欲が凄くて!これが無いと干乾びて死ぬんです!」
……あー、そう言うパターンですか、アイリス様は予想が外れて真っ赤になってプルプルしてます。
「い、違法なのは駄目なのです!ちゃんと技術を磨き、自分の力で頑張りなさい!」
途端に威厳がなくなりましたね。
「は、ハハー!精進いたします!」
いや、その返答もどうなんですか?土下座してる所に、ロリに夜のテクニック学べって、これもう絵面が犯罪なんですけど…
「では、セナさん!後はお願いします!」
「え?アイリス様?!」
逃げましたよあの王女!この空気をどうして私に!
「…えーと、運送業者の皆様。分かったと思いますが、この薬は違法品です。届け先は詰め所へ変更してください。貴族の貴方は出頭。実際は一方的に殴られただけですし、傭兵の皆様は事実関係を把握してなかった事と、明らかにアイリス様が楽しんでいたので、罪には問わない事とします」
「「「は、ハハー!仰せのままに!」」」
「私にそれは辞めてください!私はそんなプレイは求めていません!」
なんか、無駄に疲れました…
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「流石ですねセナさん。それと…」
「イリスです」
「…はい。イリス様…」
冒険者カードは偽装できないので、ルナさんがとても困っています。見た目がもう完全にアイリス様なのに…下手に突っ込む訳にもいかないし…
「あの、その問題の薬ですが、先日製作クエストで納品されてまして…依頼主も受け取ると犯罪だから受け取れないとの事で、こちらも処理をお願いしてもいいですか?」
「分かりました。責任持ってお預かりします」
うわ…何でしょうこの甘い匂い。瓶の外に漏れた匂いでもクラクラします。しかし、変なごっこ遊びには付き合わされましたが、アイリス様は実に優秀でした。
「それにしても、不可解です」
「何がですか?あ、唐揚げください!」
「はいぃ!今すぐに!席でお待ちください!」
もう、バレバレじゃないですか…周りからヒソヒソ言われてますよ。席は影のところが良いですね。
「それで、なにが不可解なのですか?」
目立たない席で小言で確認するアイリス様。私が影の席を選んだ意味を察してくれます。ありがとう…そこのアホ(ダスト)とは違いますね…
「この薬ですよ。粉末化されれば効果が高まるのは確かにそうなんですが、熱を加えたり、時間が経つと成分が劣化するんです。あの貴族の館には、この粉末が大量にありました。熱も使わず、一体どうやって大量の液体を粉に?」
「お兄様が言ってましたが、密閉された場所でクリエイトウォーターを使い。その水を捨てると、部屋の中がどんどん乾いて洗濯物が乾くらしいです。専用の装置があれば可能なのでは?」
「なるほど、先に空気を乾燥させる訳ですか…」
そう、私が疑っているのは、特殊な知識を勇者候補から得られる人物の犯行、または勇者候補そのものによる犯行…どちらにしても黒幕が相当恐ろしい相手と言うことになる。
「アイリス様、貴方はあらゆる武器…つまり神々の神器さえ扱える王の血族、戦闘力はかなりのものです。しかし、勇者候補が敵に回ったとき…同じ力を持つ相手が複数居たとき…勝てますか?」
「…勝ちます。…勝てますなんて言えません…それでも、民が平穏に暮らす為なら、私は必ず勝ってみせます!」
あぁ、なんて真っ直ぐで力強い。これが国を背負う者。少しだけ悪ふざけに付き合わされましたが、間違いなく彼女の生き様は王のものです。
「分かりました。この犯罪の黒幕を、きっと挙げてみせます!アイリス様、次も手を貸してくれますか?」
「はい!一緒に戦います!あ、私はチリメンドンヤのイリスです!」
それはもう良いです
「唐揚げ、お待たせしました」
「セナさん。今は食べて、英気を養う時ですよ。きっと犯人だって、あれ程の量を失えば尻尾を見せるでしょうし」
まったく、犯罪組織を敵に回したのに、強い女王様ですね…
「あ、こちらはスパイスなんですが、お子様には辛いので、お好みで…」
「私はもう13歳です!子供じゃないのでかけてください!」
「…分かりました」
おや、この甘い香り…どこかで…
「駄目です!それは!」
咄嗟にアイリス様を突き飛ばす。その甘い香りは、例の薬品の粉末!
「ちぃっ!」
ぶち撒けられた粉末、咄嗟に息を止めて、吸引を防げば…
「あらお客様、どうなされました?その皮膚からも浸透する新薬に、何か違和感が?」
「馬鹿なっ!もうそんな改良を…しまった!」
「あら、吸っちゃった?その子の真似をしただけなのに、貴女も大概素直なのね?」
やられた!身体が火照る…なんだこの効果は!本当に少ししか吸ってないのに!
「あの!すごい音がしましたが!」
「いえ、大丈夫です。検察官様がお疲れでよろめいてしまいまして…」
私とアイリス様に手投げ瓶を見せ付けている。あの量の薬をばら撒かれたら、この店の中は大変な事になる。これでは、下手に手が出せない。
「そ、それなら良いのですが…」
職員が離れた事を確認すると、首謀者の女はまた話し始める。
「あの飲み薬、本当に効果があるのは結晶の中の白い粒だけ…でも、邪魔な毒性と水分がその効果を弱めていたの…」
製法を知っている?!主犯はこの女性なのか!
「くっ!私が捕縛を!この距離なら瓶を投げる暇も!」
「おっと!動かないで…剣を置きなさい。嫌なら、解毒方法は教えない。やり手検察官が男を漁る姿が見たいなら私は止めないけど?もう回ってきてるでしょ?」
「くっ!卑怯ですよ!」
アイリス様を封じるのがあちらの目的…それなら私は、
「私に構うことはありません!アイリス様はヤツの捕獲を…」
「しかし!」
「大丈夫。こちらの要求はシンプルだから…この薬をアイリス様に使って欲しいだけ…」
なんて馬鹿なことを!
「コレは素晴らしいわ。女の悦びを思い出させてくれるもの…それを禁制品にするなんておかしいでしょ?王族が使っていれば、権力に屈する検察達は、コレを否定なんて出来ないわよね?」
やり口が強引すぎる!薬で理性が消し飛んでいるのでは?
「そこのテーブルにおいてあるのが、私の依頼品よね?」
迂闊だった…ルナさんから受け取る段階で、依頼主の特徴を聞いておけば…
「それを飲みなさい。全部飲み干したら、解毒方法を教えてあげる…」
「…分かりました。その約束を違えたら、私は貴方に剣を抜きます」
「アイリス様!駄目です!少量でも効果があるのに!過剰摂取で何が起こるか!」
危機的状況。それでも、アイリス様は堂々としている。これが王たる所以、これが民を背負うもの。
「大丈夫です。そんな必要はありませんから」
笑った?!
「「『スティール』!」」
「お兄様!」「カズマさん!」
「あれ?アタシは?!」
カズマさんの手には首謀者の手投げ瓶、そしてクリスさんの手にはアイリス様の持っていた薬。カズマさん、パンツ以外も盗れたんですね!
「薬が?!馬鹿な!なぜ気付いた!」
「そりゃ、ここに座ってたゆんゆんが教えに来てくれたからな!」
え?居ましたっけ?!
「そこに居れば気付くはずだ!どうして!」
「光の屈折魔法だよ。ゆんゆんは光の屈折魔法で透明化してここに居た。そして、状況的にアタシ達が適任と判断して、今にいたるってわけ!」
「ありえない!そんな事が、私のことを調べていたとでも言うの!」
確かに、ゆんゆんさんがここに潜む理由がわかりません。
「あぁ、あんたには関係ない。ゆんゆんは、ただセナさんが怖くて透明化してただけだからな!」
え、なんかそれ…地味に傷付くんですけど…
「いえ!傷付くのは後…今は確保です!」
「はい!」
アイリス様が飛びかかる。戦闘面において、アイリス様に勝てる人間はそうは居ないはず!
「甘いわね!もう一つあるのよ!」
まさか隠し持っていた?!少量ですが、1人狂わせる位なら十分な量!アイリス様も空中では回避は無理、カズマさんとクリスさんのスティールも即座には…
「アイリス様!危ない!」
瓶が空中で割れ、アイリス様が止まる。そこに現れたのは…
「ゆんゆんさん?!」
「うわぁ…甘ったるい匂いがする…」
ゆんゆんさんがアイリス様を庇った。光の屈折魔法でまた来てたんですね!私は怖くないですよ!
「不味い!流石にもう手が…」
「だろうな!『バインド』!」
流石はカズマさん!女性にも容赦のないバインド!
「くそ!ここまでなの?!」
「ついでに、身体検査もさせてもらうよ?」
徹底した鎮圧、やはりカズマさんのパーティーは実戦慣れしている。
「うわ…この人パンツ履いてない…」
なるほど、道理でカズマさんのスティールで…
「セナさん、大丈夫ですか?」
「はい、少しだけ薬を吸い込みましたが…少量なので…私より…ゆんゆんさんを…あと、私は怖くないですから…」
本当はすごく辛い…というか、カズマさんが近いと余計に辛くて、力が…
「すみません…私を家まで…もう意識が…」
情けない…薬1つで、こんな無様な姿を…
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カズマ視点
「カズマさん!アイリス様とセナさんが…あの、何してるんですか?」
俺がウォルバクを猫扱いして遊んでいたら、ゆんゆんがテレポートでやってきた。
「なー♪…どうしたの、ゆんゆん!」キリッ
「えぇ…いま完全にちょむすけちゃんの真似をして、カズマさんにスリスリしてたような…」
「ちょむすけが弱ってたから、一時的に私の身体に入れてたのよ。ほら、一応半身だか…」
「なーう?」
あぁ、これは無理だ。ゆんゆんの後ろにいるもん御本人…
「ウォルバクさんって…意外とお茶目なんですね…」
「違うから!カズマがどうしてもって言うから!」
「えぇ、甘えちゃうぞ?なんてノリノリだったろ?」
「恥を上塗りしないでよ!ていうかカズマは恥ずかしくないの?!」
俺は普通にスリスリされてただけですし?
「ほら、じゃあ次はゆんゆん、おいで?」
「え…そ、それじゃあ…にゃーん」
恥じらい可愛いなぁ…
「よしよーし…羞恥に染まったゆんゆんは可愛いなぁ」
顔から火が出そうって言うのは多分これだよね。
「うぅ、カズマさんのナデナデ気持ちいい…って、そんなこと今は良いんです!アイリス様とセナさんが!」
そして、皆に合流して今に至る。
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「セナさんは無事…と言うか、元気過ぎるんだよ。薬の効果で…」
エリスにも確認してもらったが、これはどちらかと言うとステータスアップのポーションだ。若き日の性欲を蘇らせ、初体験の如し快楽を再び味わえるように色々元気にする。知ってる。だって……出元がアクアだもん!
「毒性を抜く為の触媒が勿体ないとか、液体だと運ぶのが重いだとか…そんな下らねぇ理由でヤバい薬作ってんじゃねぇよ!駄女神が!」
「だって…液体って重いんだもん…ガラス瓶は割れるし…材料費の7割は触媒だし…私がやんなくても誰かやったわよ…」
「いや出来ねぇよ!水だけ抜くって、神業か?!」
「神業だけど…」
そうでした!
「で、ゆんゆんは大丈夫か?」
「はい、今の所なんとも…」
ゆんゆんは、元々若くて元気だから効かないのだろうか?
「でも…カズマさんが私の身体を確認してくれても…」
違うわ。元からエッチなんだわ。
「で?解毒方法は?」
「そんなものないよ!調べる必要なんてないだろう?」
だよなぁ。俺もデバフ位しか思いつかない。しかし、ウォルバクはダウンしてるしな…
「ダクネス、こいつは頼む」
「あぁ、任せておけ。しかし、まさか例の貴族の妻が主犯とは…自らの快楽欲しさにそんなものに…卑しい女だ…」
お前が言うな。
「アイリス様、今日はダスティネス家にお越しください。事件の話も聞きたいです」
「分かりました。このチリメンドンヤのイリスが語ってあげます!」
あ、それまだやってんだ…
「では、お兄様、後はお願いします」
「おう。アイリスも、良くやったな」
「えへへ」
軽く頭を撫でてやると、実に愛らしい反応を返してくれる。
「さて、そうすると、問題はこの二人か…」
「じゃあ、ゆんゆんはアタシと一緒にお家に帰ろうねー。カズマ、セナさんは頼んでいい?」
「セナさんの家に連れて行けば良いんだよな?」
「うん、他に手段もないしさ…万が一、抱かれる以外の手が無いなら…好きな人以外は嫌だろうし…」
後半は小声で聞こえなかったが、まぁアレだ。痴態を晒すかも知れないから、さっさと運んで帰って来いって事だろう。
「クリスさん…その…確かに一緒にしましたけど…私もできたらカズマさんが…」
やだ!クリスってばそっちも良いの?!混ぜて!…いや、3人ではしたな…
「違うからね?!私にはそんな趣味はないから!」
「ちょっとゆんゆん、後で詳しく!」
「あるえも辞めて!」
まぁ、あっちは平気そうだな。
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「んん…ここは…」
「セナさんの部屋です」
高熱にうなされていたセナさんをベッドに寝かせて数分。おでこをくっつけて熱を測っていたら、丁度よく目を覚ました。タイミング良すぎない?
「…は?!」
咄嗟に後ろに飛び退くセナさん。うん。疑うよね、そりゃね!
「け、契約違反です!私、まだ経験ないんですから!」
普通に喋るくらいは出来るようだ。少量だって言ってたし、そんなに酷い症状でも無いのだろう。まだって付けるあたり、願望はあるらしい
「熱を測ってただけですよ。誤解です」
「えっ?あ…グロスが乱れてませんし…本当のようですね…すみません」
赤面して唇を撫でてる!エロい!誘ってんのそっちじゃないの?!
「…シャワーとか浴びられますか?キレイにしないと…」
その薬、髪に沢山付いてるし…
「…えっ…あっ!はい!…先にシャワーですよね…」
「えぇ、寝る前に浴びたほうが良いですよ?」
「寝る前?!…い、いってきまひゅ!」
駆け足で部屋から出て行った。話が早いなセナさんは…さて、この汗と薬まみれのシーツも替えてしまおう……はいっ!(3秒)
「我ながら手慣れ過ぎたな…それにしても、いい匂いがした…」
おっと!変な薬で俺の理性も削れているようだ。危ない危ない。あれだけ出しても反応するなんて、マジで性獣だな俺は…
「よし!ついでにベッドメイクしてタオルも置いておこう。涙とか鼻水とかも出たら困るし、ティッシュも近くにあった方がいいよな?」
こうやって別のことしてないと駄目だ。セナさんって美人だし、以前の俺なら薬の力で手を出してた。そして多分死ぬほど後悔するんだ。
「カズマさん…その…お待たせしました…」
「あぁ、すみません。勝手にベッドメイクをしてました」
湯上がり美人!落ち着け俺、薬で女に手を出したら最低だぞ。流石に人としてどうかと思うぞ!
「あ、いえ…ありがとう…ございます…」
うん。辛そうだし、無理をさせるのは良くないな。とでも言い聞かせないと我慢が…
「セナさん…力を抜いて、こっちです…」
「はい…カズマさん…」
目が潤んで、辛そうなのが伝わってくる。早く楽にしてあげないと…
「んっ…」
セナさんが顔を寄せてくる。ありがとう、わかってくれて…
「『スリープ』」
「えぇ…それは…流石に…」スヤァ
ふぅ、今日の俺は百点満点だな!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
できる女が弱ると可愛い。そんな性癖の作者です。
セナをどうするかは未定なので、とりあえず手は出さない!
次回は番外編、天界の話です。