相変わらず不定期ですみません。
みんな大好きウィズ回です!
「新しい切り口の商品を仕入れたいと思うのですが、お二人はなにか欲しい物とかありますか?」
「「…睡眠時間」」
「それを仕入れるのは、物理的に無理です…」
俺たちは朝市に来ている。今朝の件は、お互い様と言う事で水に流すことにした。トイレとかで流した。
「今日こそ!ヒット商品を見つけてバニルさんを見返しましょう!」
「「…おー」」
この言葉に一応乗っかる俺とセレナ。全く期待していないが、せめて危険なモノの仕入れだけは阻止したい。
「街の中央市場には活気があって、露店の参加も自由なんです。今日こそ掘り出し物を見つけますよ!」
しかし、その情報を集められるのに、なんで売れる商品に繋がらないのか…冒険者に伝わるアクセルの街七不思議の1つである。ちなみに2位は、あんなに美人なのにアクアを女として欲しくならないこと、3位はルナさんに恋人が居ないことである。え?1位?俺のところに…エリスが嫁に来たこと…ちなみに、半分以上をうちのパーティーが占める独占率!
「それは凄いな〜疲れとか眠気に効く薬があったら欲しいなー」
「あたしも同意だけど…ウィズに言うなよ。下手したら死ぬぞ?」
はい。ですよね。なんてぼーっと街を歩いていたら
「危ない!」
突然目の前に迫る剛速球。マジかよ…道端でそんなに本格的に球技すんのやめろよ。
「『自動回避』……あっ」
ボールは避けたが足がもつれてバランスを崩す。そのまま顔面からウィズの胸へ
ポフッ
「きゃっ、カズマさん、大丈夫ですか?」
軟着陸した。マジで軟だ。いい匂いもする。
[神の気配が!]
おい辞めろレジーナ。今日の俺は厄介事には首を突っ込まないからな…なんなら、このままここに突っ込んで居たい!
「すみません!大丈夫ですか?」
「人が多い所で本格的すぎます!怪我人が出たらどうするのですか!」
流石は猫かぶりのセレナだ。実に大人の対応。ここは任せておこう。俺はウィズの柔らかさを楽しむから…
「あの…カズマさん…カズマさん?!」
はい、カズマです。すはー
「すみません!バレーの大会が近くて…」
「あぁ、あの6人でやるボール落とさないとか言う…」
[あれ?神の気配が途絶えた?]
あぁ、良かった。何事も無くて…
[9人制死ぬな!認知されてなくても死ぬなー!]
……なんか聞こえた気がしたけど…駄目だ。この柔らかさといい匂いにもう眠気が…
______________________
チュン
「はっ?!」
頬に何かが触れて慌てて目を覚ます。あ、目の前にセレナのお腹が…
「おっ、おはよう…ウィズじゃなくて、残念だった?」
「全然残念じゃないよ。セレナも大切な嫁だからさ」サワサワ
「口説きながらなら行けるとでも思ったのかよ…服の隙間に手を入れるな!」ペシッ
残念。結婚してもそう簡単にはいかない。やはりベッドじゃなきゃ駄目か…
「なぁ?所で俺の頬がちょっと濡れてないか?」
「カズマの…ヨダレじゃないか…」
……上側なんですけど?
「じゃあ、これを俺が味見しても何も問題は…」
ガシッ
おっと、手を掴まれた。
「ごめん…頬のはあたしが…した…」
「え?聞こえないけど?キスの辺りが」
「聞こえてるじゃんか!」
なんとなくそう思っただけです。セレナの口元濡れてるし、二人きりだと可愛いやつだし!
「素直にそう言えよ。別に拒まないし、喜ぶだけだぞ?」
「いや分かってたよな?!自分の唾液に味見って言葉は使わないだろ!」
そうだね。バレてたね。あれ?なんか引っかかるな?…まぁいっかそれよりウィズがいない。
「で、ウィズは?」
「カズマをベンチに運んでから、あそこで包丁の実演販売を見てる。話術を磨けば何でも売れるとか言い出してさ…」
「へー、ウィズにそんな話術がついたら、マジでヤバいものが街で流行りそうだな…ちょっと見に行くわ!」
「あたしはパス。魔法使ってない証明に、付近にディスペルなんて張ってるからな…」
こいつ、天啓が切れたら不安だからか…
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人だかりに飛び込むと、ダクネスより少しだけ年上に見えるお姉さんが実演をしている。
「あっ…もう身体は大丈夫ですか?」
おや、一瞬なんか目を伏せなかったか?
「ごめんな。寝不足でさ…」
「…良いな」ボソッ
随分と小さい声で何か言われたようだが、寝起きの頭では聞き取れなかった。少しだけ
「あっそうだ。見てくださいカズマさん!アレは絶対に売れますよ!」
「まぁ…あぁいう人はその道のプロだからな」
「…あれ?私のお店は道楽と思われてますか?」
「まだ…見習いかな…」
「うぅ、それには何も言い返せません…」
包丁の実演なんて初めて見たが…成程、これは売れそうだ。出てくる野菜は芋にカボチャ…非力な奥様では苦労する野菜が、あっという間に真っ二つだ。これは確かに良い品に見える。ただ…
ズダンッ!ズバンッ!
「…うるさいな」
「あはは、すみません…私は料理スキルとか持って無くて…でも、料理できない人間でも使えるって方が説得力ありませんか?」
それは確かにそうだが…力任せに切っているようにしか見えないだろ…それ。
「力任せに見える方も居るでしょうから、こんなのはどうでしょう!」
大根の上に包丁を置いて、指2本で摘むと…
ストンッ
切れた?!
「「「おぉ!!」」」
これには観客から歓声が揚がる。
「凄いな…ただ、切り口が凄く真っ直ぐだけど…お姉さん今までは何を?」
「すみません。それはちょっと…」
「あ、すみません…人に言えない仕事ってありますよね…いいんです!僕はそんな偏見はもってませんから!」
そこはかとなく、エッチな体してるもんな……
「ち、違います!前はソードマスターやってました!別に恥ずかしくなんて…あっ…」
それは…刃物を取り扱うの、ずるくない?
「何だよ…」「そりゃなまくらでも切れるだろ…」「スキル補正ズルいわ」「指一本でもいけるわな…」
「あぁ!お客さん待って!本当にこれ切れますから!確かに私は片手剣スキルカンストしてますけど!」
自爆して更にお客さんが去っていく…なんか、すみません!
「うぅ…酷いですお客さん…このままじゃクビに…折角まな板とテーブルを切らなくなったのに…」
それでクビになってないのなら、こんな事でクビにはならないと思うが、流石にちょっと心が痛むな…
「しょうがねぇな…ちょっと貸してくれ…」
「…はい…」
トトトトトトト
「何だよ、普通に切れるじゃん…」
まぁ、料理スキルカンストしてますけど…
「え?うそ?」「本物だったのか?!」「いや、あの人もヤラセかも…」
「ほら、ウィズも」
「えっと…」
タンタンタンタンタン
「お、手際良いな!……あ」
胸がリズミカルに揺れてる!
「こ、これでもお嫁さん候補ですから…」
そして可愛い。これにはお客も、そしてスケベそうなおっさんも集まってくる。
「おいこらぁ!見せもんじゃねぇぞ!」
「カズマさん?!見せ物ですよ!」
はい。そうでした。すみません!ウィズの手が止まると、おっさんも散っていきました。良かった!
「あぁ、一瞬なんか違うのも集まりましたが、お客さんが戻ってきました…ありがとうございます!」
結論。タユンタユン集客は最強。
__________________
「やっぱり実演って難しいんですね…あの状況からお客さんを呼び戻すなんて、やっぱりカズマさんは凄いです」
あの後、包丁は馬鹿売れした。当然、俺は買ってない。
「おろしたての包丁が切れないわけないだろ?ただ、俺達が後から切った事で、あの人の腕力プレイが包丁のお陰に見えただけだよ」
つまり、本当を交えて嘘を誤魔化しただけだ。それと、集客の大半はウィズのお陰だとも言える。
「え?…それはなんか騙したような…」
「俺がやらかしたから、罪滅ぼしだ。でも、嘘じゃないだろ?あの包丁は欠けてないし上手く使えばちゃんと切れる」
「そ、それは確かにそうですが…」
ウィズはお人好し過ぎてこう言う戦略には向いていない。いや、むしろ…今のウィズの仕入れた物を話術で売りつけたら、街から追い出されかねないのだから、これでいいのだろう。
「やっぱり私は、お互いが笑顔になれる商品が良いです…」
そうだよな。俺もウィズには、胸を張って笑顔で商売して欲しい。
「それなら、あっちにクレープ屋があるんだけどさ。美味いものって、お互いに笑顔になると思わないか?勿論、それもちゃんと確認が必要だと思うけど!」
セレナめ…食いたいだけだろそれ…
「はいはい、買ってやるよ。ウィズはどれにする?」
「私もいいんですか?ごちそうさまです!」
二人はもう笑顔だ。セレナの意見も実は馬鹿には出来ないな。
………………………………………………
左右に美女をはべらせてクレープ…あれ?なんだろう。昔の俺なら石を、いや、犯人が分かりにくいようにカナブンとか投げてた!
「あぁ、レジーナ様。今日を生きる糧をありがとうございます」
「それ、どう考えても今日を生きるのに必要な量の数倍の糖質と脂質だぞ?」
生クリーム増したから上の方がソフトクリームみたいだもん。粗食なプリーストの食うもんじゃないもん。
「いいんだよ。その分はこの後で粗食にすれば…」
「…なら、この後のすき焼きは延期か…」
「あ、明日からにする!」
なんだコイツ、ダイエットを延期し続ける女子か?
[サトウカズマ。貴方に祝福を与えましょう。そのいちごチョコカスタード生クリームの生クリームマシと交換で良いですよ?]
なにこれ、信者も信者なら、神も神だぞ。欲望丸出し過ぎるだろ。
「えっと、どうやってですか?持って行けばいいですか?」
[えっ!……まだカズマに会う勇気は…あ!そこの暇そうな…今から使いを送ります!]
おや、もう嫌な予感するぞ…
ガチャ
「どうも使いのものです!」
天使来ちゃった…羽は隠してるけど…こいつ本当に普段何してんの?!
「どっから来たんだよ…」
「そこの倉庫の中に降臨して、ドアからです。下手に目立つのは本意ではありませんからね」
「なぁ、カズマ…レジーナ様の使いってことは…」
「え?!この人が神様の使いなんですか?確かに降臨って言いましたよね?!」
うわぁ、めんどくせぇ。
「ふふ、人の子らよ。私は神の御使い。天使です!お布施を収めれば、良い事があるかも知れませんよ?」
いや、声でかいよ。隠れてきた意味よ…そもそもお前になんの力があるんだよ…
「なんか、イメージと違うけど…」
「アクア様の前例がありますし…」
嫌な前例だな…アレが前例になると、紅魔族も大概神様だよ…
「「お収めください」」
100エリス✕2
「……え?」チラッ
こっち見んな。お布施をせしめて、安いとでも言いたげな顔すんな!二人とも自由に使える金が無いんだよ!
「ったく…ほら、天使の分も買ったから…クレープ」
「ありがとうございます。流石はカズマ様。私の好感度もそろそろカンストしそうです。養ってくれるなら、もう抱けますよ?」
「…お布施にケチつけてるけど、あんたも相当安いからな?!」
適当に餌付けしただけだぞ?200エリスもちょっと積もれば墜ちそうじゃんか…
「ふむ、ではさっそく!」ハグハグ
ここでかよ…がっつき過ぎだろ。
「んっ…んむ…店主!」
「はい?!」
「鉄板に若干の歪みがあります!部分的に厚みが違う!更にいちごのカットは中央にもう1つ置きなさい!最後の一口が印象に残りません!他は大変良い!特に生クリームは天使の羽の如きふわふわ感と甘さ!揚げたパンにでも詰めれば売れること間違いなし!」
「は、はぁ…」
店の人困ってるな…今からでも他人のふりを…
「片手が空いたので、お二人の200エリスでグレープジュースのMを!」
「ま、まいどあり…」
どこまでもテンション高いな…俺は慣れたけど、店主は引いてるよ…
「では皆様、御機嫌よう!これは必ずレジーナ様へ届けます」
バサッ!
羽だしちゃったよ!
「素晴らしきクレープ屋の店主に幸あれー!」
人々の視線は、その美しい光のゲートと2枚の羽に釘付けになった。なんで帰るときにやらかすんだろう…
「…て、鉄板を直ぐに直すんだ!甘いパンも作らないと!」
その後、このクレープ屋は天使が認めた名店として、国中に名を馳せる事になる。そして、天使の言葉から彼の考案したクリームを入れた揚げパン。通称エンジェルクリームは、この街の名物となったのだった。うん、なんかそれ聞いたことある。
______________________
「カズマさん…あの天使様の事なのですが…」
どうしよう。今からでも知らない人って言いたい…
「すごい味覚でしたね!」
「あ、そっち?!ヤバいやつだとか、俺の知り合いなのかーとかは?」
「アクア様とエリス様の前例があるので…」
あぁ、そうだね…
「あたしも死んだらレジーナ様の御使いになれるかな…」モクモク
[長生きして、沢山幸せになってから死んだら、採用してあげてもいいよ?]モチャモチャ
「レジーナ様…そんなにあたしのことを…」モキュモキュ
いい話なんだから、食いながらしゃべんな…似た者同士め…
「思い付きましたよカズマさん!私もカズマさんに習い、美味しいものを作って売れば良いんです!」
ソフトクリームに生肉ぶっこんだ人がなんか言ってる。
「私、こう見えても料理そのものは上手いと思うんですよ!」
決められたレシピはちゃんと作れるのだし、それは間違いないのだろう。問題は…
「「センスだよなぁ…」」
セレナと意見が被る。うちのパーティーが揃っていたら、もっと被っただろうけど
「それは分かってますよ…でも、目利きと違って、味なら調整が出来ます!いつかは美味しいにたどり着けるんです!」
なるほど。アイテムの仕入れはありとあらゆるハズレが存在する。そのハズレを無くせば売れるアイテムが出来るが、作っているのが自分ではないので不可能だ。しかし料理ならどうだろうか?自分が作る側なら、その方法は可能。ただし…
「腹ごなしで歩きつつ、すき焼き行くか…舌を磨く為にも」
「お、昼からって気前いいな!」
「ありがとうございます。カズマさん」
そこで現実を知ることになるんだけどな…
________________________
「セレナ、目を瞑って口開けて?」
そこに肉を放り込む
「っん…美味しい」
あ、美味いって言うタイプだと思った。別にそこは良いんだけど…
「何肉?」
「え?…えっと…牛肉?」
「あの、流石にそれは…」
「豚肉だけど?」
「なんですき焼き屋に豚があんだよ?!」
知らないけど、セレナが食べたのは豚肉です。
「たしか、牛の獣人の方が牛を避ける為だとか…」
「あぁ、なるほど…魔王軍ではそう言う感性は無いな…」
「そうですね。魔物は、死んだ仲間も食べてましたからね…」
「おいやめろ。肉が不味くなる」
たまに出る魔王軍トークが度々地雷だ。
「はい、ウィズも」
「はむっ…これは…肩肉です!」
「残念サーロインです!次、セレナ!」
ちょっと楽しくなってきた。
「あむっ…今度こそ牛肉!」
「あの、それはすき焼き屋の答えとしてはちょっと…」
「残念だったな。羊だよ」
「「なんで?!」」
本当にね。
「ほら、味覚で戦うって難しいんだよ…分かったら、普通に食おうぜ?」
「本当ですね…あ、折角ですから、カズマさんも…あ~ん」
「え?あ~んだなんて…ウィズも大胆だな…」
「えぇ!カズマさんのさっきのは?!」
「遊ばれてるだけだぞ…カズマに…」
ははは!楽しい!
……………………………………
「んんっ!カズマに嫌がらせされた時にこの味を知ってたら…マジで魔王城に送ってたわ…」
「いや、マジで悪かったって…」
反省してる。きっかけはセレナだけど!
「ところで、ウィズはなんでお肉を下げちゃったの?まだあ~んしてないよ?」
「か、カズマさんが…あ~んとか言うからですよ。そんなに意識させられたら…恥ずかしいじゃないですか…」
あらあら、真っ赤になっちゃって…可愛い。
「そっか…俺、ウィズにあ~んして欲しかったな…」
「…ほ、本当ですか?」
良し、押せばいける!あ、セレナさん?その冷ややかな視線やめて?
「じゃあ再挑戦してくれる?」
「わ、分かりました…あ、あ~ん…」
あぁ!この初々しい感じ!良い!
「はむっ…うん、ウィズの照れた顔が最高のスパイス!」
…すき焼きのスパイスってなんだろうな?
「うぅ、もうやめてください…恥ずかしいですから…」
そのテレ顔も好き!
「ねぇ、カズマ…あたしのも…」
なんだよセレナ…ヤキモチか?新妻のヤキモチなのか?可愛い奴め!
「仕方ないな……ってあっつぅ!」
馬鹿なの!芸人か?!
「あら、私達新婚だからかしら?」
「笑えねぇよ?!」
口の中ヤバいわ!
「大丈夫!あたしは楽しいし、ウィズも笑ってるぞ?」
「うふふ、カズマさんも、怒ってるのに楽しそうですよ?」
「くそっ、なんか、手玉に取られてる!」
まぁ、楽しかったけどね。
_____________________
「あ、あたし急用を思い出したわ!」
すき焼きを終え、突然セレナがそんな事を言い出した。初めて来た街で急用ってなんだよ…
「…その心は?」
「観光に満足したから、ちょっと布教活動してくる!レジーナ様の祝福も得たし、今ならなんでも治せそうだしな!」
「そう言えば、私の身体も魔力が満ちていますね…」
200エリスでも祝福くれるんだ…にしても、レジーナの祝福って凄いな。万能な強化型だ。
[本人の特性を引き出す基本的なもの、才能が無い人間には無意味]
…俺に祝福は?
[……まだ、かけてないよ?]
間があったよ?!
「それなら私は、素直に商業ギルドに行きます!やはり基本を疎かには出来ませんから!」
「安定して売れる品を上手く交渉してちゃんと売れる分だけ、なるべく安く、沢山仕入れる。確かに、それも立派な商売だもんな」
「あたしは適当に布教しつつ、病院に殴り込んだりして、夕方には馬車を取ってくるよ。あ、カズマ。お小遣い頂戴」
えぇ、なにそれ…旅費を持つって言ったけどそこまでなの?
「全く…3万で良い?」
「たっ…いいよ?」
一瞬高いって言いそうになったな。素直なやつ。
「使わなかったら返せよ?」
「分かってるよ。2人がデートしてる間に暇潰しに使うだけだって…」
「こ、これは仕入れなので…デートでは…」
「でも二人っきりだし、傍から見たらデートだろ?」
「そ、それは…その…はうぅ…」
可愛いなウィズ。可愛いのは知ってけど、照れ顔は更にヤバイ。
「じゃ、またな!病院で「その言葉が聞きたかった!」ってやってくるわ」
教えた俺が言うのもなんだけど、そいつは奇跡を起こすが外科医だ…レジーナは内科だろ。
「はい。馬車をお願いしますね」
しかし、ウィズと2人きりか、意外と少ないんだよな。この組み合わせ。
「では!明るい将来のため、仕入れです!」
「明るい将来?2人の?」
「お、お店のです!2人の将来は…一緒に居られただけで、もう明るいですから…」
なにこれ?キャンキュンする!
「折角だし、手とか、繋いでみる?」
「えっ、それは…その…」
チョンッ
控えめに小指を絡めてきた!可愛い!
「人前なので…これで…商業ギルドまで…だったら…」
あぁ!人前だけど、抱き締めたい!
____________________
「近い!隣町まで行こう!」
「さ、流石にそれは遠すぎますよ…私も、思ったより近くて残念ですが…」
徒歩10分、甘酸っぱい時間は一瞬でした。て言うか…お互いに照れて何も話してない!
「と、取り敢えずポーションから見ていきますね!」
「そうだな!基本だもんな!」
しかし、俺たちには予熱が残っている。このギルドでも何か…
「半額?!…使用期限が迫ったものは、やはり安いですね」
冷めた…いやね。仕事に真剣な姿勢は凄くいいよ。でも男としてはさ…
「カズマさん!春先でカエルのシーズンです!そろそろアクセルの街にポーションが!」
「ヌルヌルにはなるけど、怪我はあんまりしないだろ…」
「…ですよね」
そもそも、アクセルの街でちゃんとポーションまで買って冒険するやつが稀なんだよ。やる気はないし、レベルは低いし…
「やはり魔道具ですね!あくまでウィズ魔道具店ですから!」
最近は、ソフトクリーム屋って呼ばれてるけどね…
「カズマさん、これなんてどうですか?フレイムエンチャントのスクロールです!これを武器に使えば炎をまとえますよ!」
「そこまでする相手が居ないだろ。そもそも、エンチャントは中級魔法だぞ?それを使う戦術を前提とする奴は殆どアクセルに居ない。もし強敵が出たとしても、どうせ俺達に回ってくる…売れるとしたら、貴族がバーベキューの鉄板にエンチャントする位だな…」
「それは、確かに…でも他の売れ行き商品なんて…絶対に私のお店に探しに来ませんよ…」
なにそれ辛い…そもそも、あのチョーカーも奥様に人気だったもんな…既に冒険者向けの店では無いのかも…
「いっそ、もっと奥さんとかを狙ってさ…これとか?」
「監視用の水晶とレンズですか?確かに安いですが、流石に距離が10mでは使い道なんて…割れ物ですから持ち運ぶには…」
「台所に水晶を置いて、ベビーベッドにレンズを置いたらどうだ?」
「……あっ!赤ちゃんが見えます!」
「家の中で使うなら、これで良いだろ?庭で草むしりも出来るし、あって損はない筈…と思う。10万のチョーカーが売れるなら2万のこれは売れそうだろ?」
「カズマさん!仕入れましょう!早速仕入れましょう!すみません!これ10箱…」
「多い多い!ベビーラッシュか?!様子見で2箱だ。売れたら買い足せば良いだろ?」
「すみません…でも、これはきっと売れます!」
平和になり、人口が増え始めたこの世界。その需要に合わせて、色々と新しく始めても良い筈だ。売れなかったら、土下座しよう!
____________________
「よぉ、いいもんあった?」
仕入れを終えて外に出ると、セレナが馬車で待っていた。馬車のクッションを買ってきたらしい。
「カズマさんのお陰で!」
他にも程々に買い漁り、気が付けば夕方。ウィズが仕入れた濡れたら音がなる魔道具は、おむつに入れて使うそうだ。マタニティ商品は、まだまだ発展途上なので、チャンスが広がるかも知れない。
「へぇ、育児用品か…確かにあれば便利だな」
「新しいビジネスの幅が生まれますよ!セレナさんはどうでした?」
「15人は救えた。でも、感染症の隔離病棟には流石に入れなかったよ…だから、今夜忍び込む」グッ
聖女とは思えない事言ってる。それ、信仰と一緒に罪も重ねてない?
「入れなかったなら、その言葉とやらは貰えなかったんだな…」
「いいや、貰ったよ。病棟の外で、弟を元気付ける5歳の女の子からさ…救わないなんて、ありえないだろ?」
やだ、セレナさんカッコイイ!
「ま、それはそれとして、ちょっと寄り道していいか?」
「えぇ、私は構いませんよ?」
「俺も構わないけど…どうしたんだよ?」
「良いから…あたしだけなんて、なんか悪いし…」
少しだけセンチメンタルな顔をしたセレナは、馬車の行き先を変えた。あれ?こっちって……
______________________
「いやいや…連日だぞ?良いのか!こんな贅沢していいのか?!」
「カズマの中では、嫁を貰うのは贅沢なのか?」
「なんか違うかな?幸せ過ぎてやばいじゃん?」
辿り着いたのは昨日の教会。そして目の前には二人目の純白の花嫁。例のドレスに少しだけ手を加えて、ウィズの身体に合わせてある。その為か、セレナの時より少しだけ胸元がエロい。
「その服、あたしにピッタリだったからさ。ウィズの胸は大きくて収まらないだろ?手直しに金が必要で…」
だから小遣いをせしめたのか…よく即日でやれたな。
[知り合いの仕立て屋が5分でやってくれた]
それ絶対に神様だろ!ウィズ消えたりしない?!
[大丈夫。あの人は気分が乗れば悪魔の服でも仕立てる]
それはそれでやばい!
「良いんですか?その…セレナさんは昨日カズマさんと結ばれたばかりで…しかもエリス様に隠れてこっそり…」
「あたしら何人目だと思ってんだ?早くしないと、エリス様に独走されるぞ?…それに、こっそりじゃないと女神に祝われたら、ウィズ消えちゃうだろ?」
「そ、それは確かにそうですが…」
「少なくともあたしは本気で二人を祝福するし、カズマは本気でウィズを愛してる。結婚するのに、他に何が必要なんだよ?」
セレナ…今日はなんてプリーストっぽいんだ。
「でも、私はリッチーです…人の身でない私が…」
[結婚は形式でしかない。大切なのは、お互いがそこに至った事実と、その先の、変わらぬ愛を誓うこと]
いや、レジーナが答えてもウィズには…
「結婚は形式でしかないんだ。大切なのは、お互いがそこに至った事実と、その先の変わらぬ愛を誓うことなんだよ」キリッ
こいつ!露骨にレジーナのカンニングしてやがる!
「ありがとう…セレナさん。そして、カズマさんも…私なんかを愛してくれて…」
「なんかじゃないだろ?種族がリッチーなんてどうでも良くなる位には、ウィズは魅力的な花嫁だぞ?」
「うぅ、カズマさん…」
うん。泣くのはまだ早いかな…ちなみに、花嫁に不満はないが、プリーストがカンニングなのはどうかと思うけど…チラチラ
「うん、カズマ。言いたいことは後で聞くから、今は見逃せ…」
「あぁ、お互いのためにそうしよう…」
「はぇ?!お二人の間に何が?!」
正しくは3人の間です。
__________________
「えっと…実はあたし初めてで…」
「セレナさん?!なんで花嫁の私より先に可愛いこと言うんですか?!」
「えぇ…今のは違うだろ…」
一応配置についたものの、セレナの手際が悪いし、ウィズもちょっと空回りしてる。
「そうだぞウィズ…セレナの本気の可愛い事はウィズもキュンキュンしちゃうからな!今度教えてもらえ?」
「そ、そうなんですか?!是非お願いします!」
(ふ・ざ・け・ん・な)(口パク)
…見なかったフリしとこ!
「はぁー、よし!」
セレナの目が真剣なモノに変わる。ダークプリーストの頃はこんなの想定して無かっただろう。それでも今は、ウィズの為に牧師を努めようと真剣だ。
[「サトウカズマ。あなたは今、ウィズを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」]
「誓います」
二人の声が被って聞こえる。なんか、神と聖女に同時に誓わされた感じがする…
「ウィズ。あなたは今、サトウカズマを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、普段のときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その魂ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
あ、2度目はセレナだけだ。ちょっと内容違うけど…
「では、誓いの口づけを…」
一歩だけ歩み寄って、そのベールに手をかける。白いベールの奥、人より白い肌をした花嫁は、不安げな瞳で俺に訪ねた。
「これは、夢じゃないんですよね?」
「もし夢だったら、目が覚め次第プロポーズしに行く。それでも不安か?」
「ふふっ…それならむしろ夢が良いです。もう一回、カズマさんの花嫁になれますから…んっ」
残念ながら、もう1度は無さそうだ。唇に触れた、少し冷たく柔らかい感触は、俺の夢では再現できないのだから。
「この二人の新たな旅立ちに…心からの祝福を!」
俺達の周りに光が差す。それは木漏れ日のような優しい光…ウィズが眩しそうに、そして心から嬉しそうに浴びる。初めての祝福。
「温かい…ありがとうございます。セレナさん…レジーナ様…私、今世界一幸せです!」
リッチーは悪しきモノだなんて誰が言ったのか。言い出したやつを連れて来い。教えてやろう。うちのリッチーは、可愛くて、寂しがり屋で、俺の自慢の花嫁だってな!
最後までお付き合いくださりありがとうございます。
実はウィズの祝福要員と言うことで、先にセレナを持ってきました。
ウィズは過去のオチに変なプレイは書いてませんので、ノーマルです。ご安心ください。
セレナ推しの皆様。本当にごめんなさい!(土下座)