※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

50 / 226
いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

カズマ不在ですが、アクセルの街は賑やかです。

あるえ目線です。


それぞれの戦い(徴税編)

「えぇー?!」

 

早朝、ゆんゆんの悲鳴で目が覚めた。空はまだ薄暗い。カズマさんにでも襲われたのかな?…混ざろうかな?

 

バタン!

「あるえぇぇー!!」

 

あっ、違った。

 

「なんだい…朝から騒々しい…」

 

カズマさんが作ってくれたカーラーとか言うものを外す。うん、良い感じに巻けている。あの人、本当にどこからこんな知識を得ているのだろうね。

 

「み、みてよ…これ」

 

「はぁ…一体何を…は?」

 

それは誰もが眼を見張るだろう。ゆんゆんの手には紙幣。多分10000エリス札が…いや…え?!

 

「朝起きたら…こんなのがあって…」

 

「ま、待つんだ…それ、何枚あるんだい?」

 

「束を止めてる紙に100って書いてあって……それが30束…」

 

3000万エリス?!

 

「ほ、他には!他には何かなかったのかい?!」

 

「えっと…置き手紙が…」

 

『あげる。カズマ』

 

雑すぎる!カズマさん何考えてんの?!

 

「ねぇ…あるえ…テーブルの…あれって…」

 

「なにあれ…なんか私も…嫌な予感がしてきたよ…」

 

何あの黒い箱…怖いんだけど…

 

パカッ

「うん…正解…」

 

『どうぞ。カズマ』

 

手紙と、札束…多分…同じくらい入ってる!

 

「これどうしたら良いの?!困るよ!」

 

「お、落ち着くんだゆんゆん!カズマさんは?!」

 

「そ、そうよね!本人に聞けば……」

 

……………………………………………

 

二人で訪れた無人の部屋、そこには紙切れが一枚置いてあって…

 

『脱税のため、街を出ます。カズマ』

 

あぁ、なるほど…そう言うことか…

 

「こっちは、納税していいのかな?」

 

「そんなわけ無いだろう。多分、持ち逃げるにはお金が多すぎたんだ。それを、私達に託したんだと思う。もし、カズマさんが捕まっても、これが見つからなきゃ手持ちの額の半分しか取られないからね…」

 

「そうなると…私達はこれを隠しておけば良いのかな?」

 

「隠すのはちょっと…この家には…あ!隠してゆんゆん!」

 

バタンッ

「カズマ!今日という今日は税金を……あれ?」

 

ダクネスさん居るから…

 

「か、カズマさんなら…脱税する為に街を出るって…」

 

ゆんゆんが置き手紙をダクネスさんに見せる。

 

「くっ!アイツの口座は空っぽだった!大量の現金を持ち歩くとは考えにくい!隠し口座とか知ってたら教えてくれ!」

 

「「はい!分かりました!」」

 

そして、他の部屋に向かうダクネスさん。

 

………………………………………

 

「確定したね…」

 

「うん…どうしよう…」

 

部屋に戻り現状確認をする。箱の底にもう一つ入っていたのは魔道具、圧縮袋。魔力で空間ごと圧縮するアイテム。重さは変わらないが、荷物を小さくまとめる事が出来る。これが一緒に入っていたと言うことは、つまり持ち運ぶ事を想定していて…

 

「取り敢えず…詰めておこうか」

 

「うん…何事もなく、徴税が終わって欲しいけど…」

 

まぁ、私達にそんな平穏があるなんてこと…

 

「あるえ!ゆんゆん!カズマが!」

 

そこに飛び込んできたのはめぐみん。手には同じ袋が握られていて…

 

「「…うん、一応聞くよ?」」

 

私達は全てを察した。

…………………………………………………………

 

「なるほど…いっそ使い切ってやりますか?」

 

めぐみん、豪気が過ぎるよ…

 

「いや…こんな額を何に…」

 

「爆裂魔法が撃てるマナタイトとか?」

 

「そんなマナタイトって、この街にあるかな?」

 

しかし、いっそ何か買ってしまった方が楽なのかも…

 

「でも、納税期日は明後日なんだし…今日中になんか考えたら…」

 

『緊急放送です。予定を早め、本日が納税日となります。冒険者の皆様。オーク、アンデッドの件でお金が無いとは言わせません。また、貴族の皆様、既にテレポート便は結界で封鎖済みです。また、馬車乗り場は徴税官が配備され、身分証の提示が必要です。本件、アイリス王女のアクセル転居に際し、納税率を上げるためクレア様よりご提案頂きました』

 

え?この声、セナさんだよね?これ本気?!

 

『サトウカズマ!お前の武勇は評価するが、大金を持たせればろくな事に使わないだろうからな!ここでたっぷり払って貰うぞ!絶対に逃さないからな!』

 

うわぁ、これクレアさんだよね…

 

「カズマ…これで逃走してたらプロじゃないですか…悪い意味で…」

 

「まぁでも、カズマさんだから…」

 

でも、これは私達も本腰を…

 

バタン!

なんて考えていたら、玄関が開く音がした。そしてその音に続くのは…

 

「待てアクア!それはなんだ?!」

 

ダクネスさんの声。

 

「違うの!これはお布施だから!非課税だからぁ!」

 

そして、逃げるアクアさんの叫び。

 

「やはり現金なのか!カズマの財産はアクアが持っていたのか!」

 

あ、始まったね…徴税が…

 

「『パワード』!『スピードゲイン』!『花鳥風月』!」

 

強化ついでにダクネスさんに水を…

 

「ぶふっ!あ、こら逃げるな!納税は義務だぞ!」

 

「私はこのお布施で高級シュワシュワを買うの!邪魔はさせないんだから!」

 

「待て!って速い?!女神だと判明してからのあの強化性能は何なんだ!」

 

うん。チャンスだ!ダクネスさんも追いかけて出ていった!

 

「家を出るよ!箱と手紙は…よし、みんな!手紙は残して、箱にエッチな下着を入れるんだ!カズマさんのプレゼントっぽく偽装して!」

 

「ちょっと!そんなのもってませんよ?!ねぇゆんゆん…」

 

「…え?」

 

いやこっちが「え?」だよ!なにそれ?!パンツとブラに穴が開いてるじゃないか!

 

「え…それ下着の意味が…うそ…すごいこれ!」

 

「穴以外の部分も布が透けてます!これじゃ何も隠れませんよ?!」

 

私の幼馴染は、気付けば遠くに行ってしまったんだね…

 

「やめて!セクシーなのくださいって言ったらこれを出されたの!押し切られて買っちゃっただけで、こんなのが来るなんて思わなかったの!」

 

ホントかな…カズマさんに頼まれたら着そうだけど…

 

「あ、あるえのこれは…紐?!え、これ下着ですか?水着ですか?!」

 

「あ、それは引っ越しのときに荷物を縛ってた布紐だよ?」

 

服でさえないね。

 

「…なんか、私がいやらしい女みたいじゃないですか」

 

「…めぐみんって、そんな下着や水着を着たことあるの?」

 

「ありませんよ!そもそも、こんなの着てるゆんゆんには言われたくありませんよ!」

 

「こ、これは一応下着だもん!そ、それに着てないもん!」

 

どうしよう。紐水着持ってるなんて言えない…あの女神様のくれた服に入ってたんだけど…黙っとこ…

 

「でもダクネスさんなら、騙されると思わないかな?」

 

「あぁ…ダクネスですからね…騙されそうです…」

 

「ダクネスさんって、もっと凄いの持ってそうだよね…」

 

まぁ、あの色気と体だし、有り得そうだね。

 

「じゃあ私は、ステーキ屋の紙エプロンを入れておきます。ダクネスなら何か妄想してくれるでしょうから…」

 

いや、それで妄想始めたら本当にプロだよ…

 

「よし!脱出しますよ!」

__________________

 

「で、どこに行くんですか?」

 

「え…そこはこの街に馴れてない私に聞かないでよ…」

 

なんとなく出てきたものの、街中に徴税官がいる。そして、身分証と納税証明の提示を求められている。

 

「これ…普通に生活するにも困るレベルの厳戒態勢だよね…この街の治安って良いって聞いてたけど…」

 

「治安は良いですよ?だから、貴族も衛兵も必要なくて、税金を払いたくない人が多いのです」

 

それ、居なくなったら治安悪化するとは考えないのかな?

 

「君たち、冒険者では…」

 

しまった!見つかって…

 

クルッ

「あーそこの貴方!冒険者ですよね!」

 

「おい!なんで私の顔を見たら顔を背けたのか聞こうじゃないか!」

 

むしろめぐみんから行った!

 

「す、すみません!結構です!どうせお金持ってないんでしょ!それで爆裂道の話で2時間拘束して300エリスとかもう嫌なんです!」

 

「なんだ昨年の貴方でしたか!遠慮することはありませんよ!まだまだお話することは沢山!それはもう朝まで語りますから!」

 

「勘弁して〜〜!」

 

徴税官が逃げていった…周りの徴税官も顔を伏せてる!

 

「ふふん!そう、私から税を取ろうなど100年早いのです!」

 

なんだろう。めぐみんから、少しだけアクシズ教の匂いがした気がするな。

 

「友達として、そんなアクシズ教みたいな方法は辞めて欲しいな」

 

「私は、めぐみんがアクシズ教になっても友達だよ…うん」

 

「なりませんよ!師匠を裏切るわけが…あ、その方法がありました!」

 

え?もう嫌な予感しかしない!

____________________

 

「あらあら!めぐみんさんいらっしゃい。お友達も…ひぃ!」

 

私、怖がられているね。

 

「セシリーお姉ちゃん。大丈夫です。あるえはカズマに迷惑さえかけなきゃ温厚ですから…」

 

「そ、そうなの?そ、それなら歓迎しますよ。えっと、取り敢えずこちらへどうぞ?」シュン

 

めぐみんの言葉を信じたセシリーさんが私達を教会の奥へと案内してくれる。なんでだろう。私とゆんゆんの胸元を見て、なんかがっかりされた気がする…

 

「で、なんでここなんだい?」(小声)

 

「お布施って非課税なんです。つまり、ここは税金とは最も縁遠い場所です」(小声)

 

「確かに…関わらなくて良いなら、可能な限り関わりたくないかも」(小声)

 

そして通されたのは彼女の私室。質素な部屋に不釣り合いなお洒落な茶器とテーブルと椅子が置いてある。

 

「いつもお金に困っているのに、ちゃんとした椅子とテーブル、茶器があるのですね?」

 

「えぇ、自分の食べるものを削ってでも、アクア様にゆっくりして頂く空間は用意しなくてはなりませんから…」

 

あれ?この人ってそういうところは熱心な…

 

「まぁ、全部エリス教会から拝借してきたんですが!私の食事も含め!」

 

あ、見直したら駄目な人だこれ。

 

「ところで、皆さんはどうして徴税官から逃げているのですか?」

 

お茶を淹れながら身の上話を始めたセシリーさん。こうしていると普通の人だ。

 

「我々は紅魔族です。出せと言われて差し出すような真似はしません!どんな形でも戦うのです!」

 

「まぁ!抑圧に負けない姿勢ですね!アクシズ教の教えに近いものを感じます!」

 

うん。入信書を出したら燃やそう…

 

「しかし、ここはそろそろ戦場になります。逃げ場としては微妙かと…」

 

優雅にお茶を並べながら、とても正気とは思えない発言を…

 

「え?教会へのお布施は非課税なので、今日は一番平和では?」

 

うん、むしろそれが覆るとエリス教と国の戦争になりそう。

 

「えっと、お布施の成立方法は知ってますか?」

 

「お布施と言って渡したらではないのですか?」

 

「それも正解です!あと、お布施箱に入れても良いし、お布施の証明に拇印やサインでも受け付けられます。だからそろそろ…」

 

セシリーさんの視線を追い、カーテンの隙間から外を確認する。そこには何名かの徴税官が居て…

 

「よし、一度本部に持ち帰ろう。この箱に入れてくれ。会計部に回してくる」

 

「あぁ、頼むよ。アクシズ教徒の奴らが小銭ばっかり入れてきやがる…」

 

「そうなんだよな。嫌がらせなのか?重くて敵わないよな…」

 

疲れ切った徴税官が搬送用の箱に…あれ?!アクシズ教のマークが書いてある!

 

「馬鹿野郎!そいつはハイエナだ!アクシズ教のスパイだ!!」

 

「ちっ!バレたか!」

 

お布施箱だ!多分あれがお布施箱なんだ!あの税金を、お布施として奪うつもりだ!

 

「皆さん下がって!行ってきます!」

 

そして、税金泥棒を追いかける徴税官に突撃するセシリーさん。両手には入信書をもって…

 

「あぁ!高額な寄付をありがとうございます!」

 

「違う!あれは奪われただけで!」

 

「もう!ツンデレさんですね!分かってますよ。ほら、入信書です…権力より尊い物が見つかったんですよね?」

 

「話を聞けよ!」

 

「貴方の心の声は聞いてますとも!さぁ!入りたいんですよね?!ねぇ?!」

 

うわぁ、これはキツい!実質強盗だよ…

 

「ねぇ…向こうからも来てるんだけど…」

 

「あれは、相当怒ってますよね…」

 

いや武装してるじゃないか!徴税官じゃないよ!衛兵だよ!

 

「くそっ!何がお布施箱だ!喫茶店の足元の荷物入れに紛れ込ませやがって!ふざけんじゃねぇ!」

 

うん、それは普通に詐欺じゃ……

 

「だめだ!こっちからも来たぞ!制圧部隊だ!」

 

うわ!色んな方向から武装した人がなだれ込んできた!

 

「くそっ!逃げ込むところを間違えたね!」

 

「すみません!教会は非課税だと思ったのですが…」

 

「まぁ、アクシズ教だから…」

 

光の屈折魔法を張り、すれ違うように路地裏へ。権力相手にそんなことするの?アクシズ教って怖いものとかないのかい?!

____________________

 

「やはり…ここは例年通りですね…」

 

「例年これなのかい?立て籠もりみたいになってるけど…」

 

今度はギルドへ。今は路地裏から状況を観察している。建物の中には冒険者、外には役人。ギルドには正面玄関しかないから、分かりやすい対立図になっている。

 

「おっと、そこ行くネタ種族の諸君!少し待たれよ!」

 

うわ、仮面の悪魔が露店を開いてる…と言うか誰がネタさ!カッコいい仮面が本体の人には言われたくないよ!

 

「おい、意識下で吾輩の仮面を褒めるな。反応に困る」

 

「あぁ、そっか…悪魔だから褒められても微妙なんだっけ…それでなにか?」

 

「うむ、役人共の主な狙いは汝らパーティー!先程は上手く切り抜けたようだが、そろそろあやつらはディスペルを使用する頃だ」

 

「でしょうね。向こうにはダクネスが居ますから…ディスペル使用時には私達を最大の脅威と認識し、最優先で狙うはずです」

 

めぐみんは含まれるのかな?お金無いって思われてるんだよね?

 

「ほう、話が早いではないか…では、こちら!本日のおすすめはディスペルの魔道具を一時無効化するポーションである!結界は破れぬのでテレポートは使えんが、戦うための魔法は使えるぞ。3万エリスのお値打ち品である!」

 

それ、シルビアさんが攻めてきた時に欲しかったな…

 

「確かに、衛兵は数が多いですが、ディスペルして突入のケースが多いので魔法使いはほとんど居ません。魔法が使えるとかなり有利ですね…」

 

「ここにある在庫は残り1本であるが、どうする?」

 

この悪魔は、本当に色々見えているんだね…

 

「あの…魔法が使えたら本気の戦闘になりませんか?小競り合いでは済まないような…」

 

まぁ、確かにゆんゆんの話もわかる。下手な抵抗はむしろ危険とも言えるし…

 

「ふむ、既にアレを3度は使っているのに、あたかも使ったことが無いかのように語った娘よ。怪我人は出るが、むしろ女神の魔法が使えれば被害は少なく済むぞ?」

 

「あ、あれはカズマさんが望んだから着ただけです!」

 

「ははは!見せ付けて「着て欲しいですか?」なんて迫った女がそれを言うのか!おっと!悪感情大変美味である!そっちのアレが絶対に似合わない方からも頂いてしまったな!」

 

「べ、別に悔しく無いですから!友達が痴女になって悲しいだけです!」

 

「痴女?!」

 

あぁ、話が進まない…て言うか、着てるじゃないか…こんど借りよう

 

「分かった。私が買うよ。他に見通して必要なものはあるかな?」

 

「ふむ、他人の命と天秤にかけてでも小僧の金を守りたいなら、爆発するポーションがあるが?」

 

「そこまでは不要だよ。カズマさんも望まない」

 

「ふむ、英断である。それから、疲れたときに必要になるであろう?一人一本、この水はサービスだ!」

 

「え?本当に?良いんですかバニルさん?」

 

「あぁ…どうせ疫病神の信者が配っていたモノだからな…吾輩は生理的に受け付けん…と言うか…もう見たくない…」

 

まぁ、それは確かに…

 

「では!行くがいい!小娘たち!今日の争いは吾輩には得しかないので、せいぜい盛り上げてくれ!」

 

「ちょっと、声が大きいよ!」

 

誰か来ちゃう!

 

「こっちだ!誰か潜んでやがった!」

 

「あぁもう!見つかったじゃないか!」

 

不味い!3人も来てる!

 

「ふむ!その悪感情、実に美味である!」

 

「この悪魔!確信犯だね!ゆんゆん、足止めを!」

 

「『ボトムレス・スワンプ』!」

 

「なに?!」「これ上級魔法だろ!」「くそ!サトウカズマの所のボッチウィザードか!」

 

「ちょっと!ボッチじゃないです!3人で居るじゃないですか!!」

 

うん。有名人だね…悪い意味で…

 

「ナイスだゆんゆん!さぁ走って!めぐみん…」

 

スタタタタター!

もう居ない!

 

「ははは!衛兵諸君!まだディスペルの魔石はあるかね?」

 

「あ!あいつらを相手にするんで、3つください!」

 

「まいどあり!」

 

ディスペルの出所もあの悪魔じゃないか!マッチポンプで稼いでるんじゃないか!

 

「『光の屈折魔法』!『ウィンドブレス』!このままギルドに入るから!捕まって!」

 

身体に風をまとっての跳躍!上の通気窓からギルドへ入る!

 

「いくよ!着地は紅魔式滑空で!」

 

「え!なにそれ?!」

 

ローブをパラシュートのように広げる。風にかっこ良くなびかせる為に通気性0になっているこのローブは、掲げて使えばこんな使い方も出来る!

 

ドスッ

「痛い!なにそれ!二人共そんなのなんで知ってるの?!」

 

「「流行ってたから?」」

 

「え…知らないんだけど…」

 

ゆんゆん…なんか…ごめん…見てる方が辛いから…目のハイライト消すの辞めて?

 

「あら、遅かったじゃない?」

 

アクアさん…ここに居たんだ…

 

「アクア、今の状況は?」

 

「ふふ、女神の支援魔法でギルドの仲間たちは最高の状態よ!衛兵と殴り合っても圧勝できるわ!」

 

「それは普通に傷害で捕まるんじゃないのかい?」

 

「え?拘置所なら絶対に徴税できないわよ?どうせ捕まるなら、衛兵1人くらいノックアウトしないと!」シュッシュ!

 

シャドーボクシングしながら、何言ってるんだろう…この女神様…

 

「で、高級シュワシュワは買えたんですか?」

 

「えぇ!カズマさんが残した5万エリスは有効活用させて貰ったわ!」

 

「「「え?5万エリス?!」」」

 

それだけ?!

 

「あ…ごめんね?あなた達には無かったのかしら。ほら、私って、ずっと一緒だし、愛されてるから…ふふっ!」

 

これ、金額がどうこう言わないけど…言ったら泣くんだろうな…

 

「えっと…凄い!羨ましいな!」

 

「ほ、本当ですね!やはり長年培った信頼ってあるんですね!」

 

慣れてる!ゆんゆんとめぐみんは、アクアさんの扱いに慣れている!

 

「おい!なんかヤバイのが来てるぞ!」「あれ…王女の側近だろ!」

 

あ、ギルドの外に…

 

『あー、あぁー!聞こえるか冒険者諸君!納税前の最後の食事は終わったか?これから突入するが、悔いはないな!』

 

クレアさんが直接来ちゃってる!近衛兵がいる!

 

『サトウカズマを差し出せば、そこにいる連中の徴税くらい見逃すつもりだったが…どうする?!あと2分で決断しろ!』

 

うわ…それ完全に個人的な恨みだよね…

 

「タイム!それ本当?嘘はない?!」

 

アクアさんが飛び出した!さっき愛されてるとか信頼とか言ってたよね?!

 

「あ、あぁ…それは約束するが…貴女がそれを言っていいのか?」

 

「カズマさんは私達に全然お金を使ってくれないの!私達の財産だけが私達の自由になるお金…それなら、カズマさんの財産がいくらでも関係ないじゃない?」

 

「いや…まぁ、そちらがそれで良いなら…えっと…この魔法封じの札を貼って簀巻きにしてくれれば、受け取ろう…」

 

「任せて!」

 

アクアさん?本当にあなたそれでいいの?!

 

…………………………

 

「さて、ダスト。成功報酬20万エリスあげるからカズマさんの影武者しなさい!」

 

「え?マジで!やるやる!…って言いたいけどよ。俺がカズマのマネとか無理だぞ?」

 

うん。背格好が似てるくらいかな?

 

「『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!これで貴方は芸達者よ!カズマさんの声を出してみて?」

 

「えっと…おいこの駄女神!」

 

おぉ!似ている!凄いスキルだ!あ、アクアさんに胸ぐら捕まれてる。

 

「…ねぇ?なんでそれをチョイスしたのかしら?」

 

「あ、すみません…なんかイメージで…」

 

どうしよう、私もそれと、しょうがねぇな!しか浮かばないや…

 

「あとは、宴会芸の道具に絵の具があるから…シュパパパ!」

 

髪を茶色にして、顔に傷を書いてる!ボコボコに殴られたみたいになってる!これなら顔も誤魔化せる!

 

「あとは、縛って身体を隠して…ハイ完成!」

 

すごい!本物にしか…えっと、ボコボコにされた本物にしか見えないよ!

 

「じゃ、これをぶん投げといて!」

 

ワッショーイ!…イデッ!

あ、本当に怪我した…

 

「いや…でも中身がダストさんだと…直ぐにバレるんじゃないですか?」

 

「甘いわねゆんゆん!確かにダストがカズマさんの真似は無理よ。でも、カズマさんが他人の真似をするとしたら?」

 

「はっ?!やりそうです!」

 

つまり、これは?!

 

「よう、サトウカズマ!今回は逃さないからな!」

 

「こわ!何この人!不機嫌ってだけで真剣で人に切りかかる人じゃん!すみません俺は違うんです!偽物なんです!」

 

うん、なるほど…それなら多少誤魔化せる!だって、カズマさんってシルビアさんに御剣って言ったりするもん!すぐ身元を詐称するもん!

 

「ほう!そんなベタな事を抜かすか!声色を変えたくらいで私を騙せると思うなよ!もう街中探してヘトヘトなんだよ!詰所でじっくり言い訳を聞いてやる!」

 

「ちがうんだ!俺の!俺の冒険者カードを見てくれ!」

 

「…誰から盗んだ?お前ならそれくらいやるだろうからな!」

 

「マジかよ!信用ねぇなカズマ!!ほ、本当にちがうんですー!!」

 

うん。連れて行かれたね…

 

「うん!じゃあ、ダストの尊い犠牲を無駄にしない為にも、バレる前に逃げるわよ!どうせバレるだろうから20万エリスは無しよね?」

 

「アクアさんは…それで良いんですか?」

 

「え?私のお金は私のもので、カズマさんのお金もいずれ私のものになるんだから、これが1番の方法じゃない?」

 

あれ?この人って、女神なんだよね?悪魔じゃないんだよね?!

____________________

 

徴税期日、残り2時間。私達は城壁の上にいる。

 

「うぅ、気持ち悪いです…」

 

「でも流石に…ここまで…くれば…はぁはぁ…」ゴクゴク

 

めぐみんはもう走れそうにない。私も、これで水を飲みきっちゃった…

 

「でも、誰も追ってきてないみたい…」

 

ギルドを出て30分後

『良くも騙したな!こちらも切り札を出させて貰うからな!』って放送が流れてから、追手の配置にスキが無くなり、正直ギリギリで逃げてきた。

 

「アクアは、無事でしょうか…」

 

「バインドされて泣いてたけど…流石に女神だから丁重に扱われるんじゃないかな?」

 

でも、バインドでアクアさんを狙ったのは何でだろう。ゆんゆんか私を狙ったほうが効率的だし、可能性があるとしたら…

 

「あぁ…誘い込まれたんだね…私達が…」

 

明らかにディスペルの範囲がこっちに来てる…脱出するルートを…塞ぐ経路で…

 

「ふむ、やはり素晴らしい洞察力です。スキは本当にわずか、そこを的確に移動できたのは、高い洞察力あってこそですね。しかし、そのスキを正確についてしまったからこそ…追い詰めましたよ」

 

セナさんと…その人達はクレアさんの部隊だよね。そりゃ切り札だよ…カズマさんを追いかけ慣れている人だもん…

 

「『ディスペル』動かないように!既に魔法を封じた貴方達に打つ手はありません!強制的な拘束は本意ではありませんから…」

 

なるほど、アクアさんは『ゴッドブロー』や『ゴッドレクイエム』っていう武闘派の技が使える。私達は、ディスペルされたらそれまでだと…

 

「あぁ、降参だよ…と言うかもう無理だね。私達は魔法使いだから…走るのは専門外さ…水とか持ってないかな?」

 

でも、これでさっきのポーションを飲めば、まだチャンスは残る!さぁ、めぐみんこっちへ!

 

「もうありません」

 

あれ?空だ!……さっき飲んだのそれ?!

 

「見てください。この美しい夕焼けを…捕まったら夜まで拘束されるのは目に見えてますし、今日の爆裂はまだ撃ってません。これがラストチャンスかなと…」

 

「え?待ってよ?!今撃つの?!」

 

やばい!魔力練ってる!!

 

「え?ハッタリですよね?ディスペルしましたし、ここが崩れたら全員死にますよ?!」

 

「大丈夫です。空に向かって撃ちますから。では、今日という日の締めくくりに…『エクスプロージョン』!」

 

真っ赤な夕焼けを背景に、真っ赤な爆炎が大空に輝く。その美しい光景を見ながら

 

「カズマさん…私達には無理だったよ…」

 

なんて呟いて、私達は拘束された。

___________________

 

「舐めてんのか!あいつ舐めてんのか?!」

 

「クレア様!落ち着いて!」「我々も街中を探しておりますゆえ!」「これが揺動なら、ある程度の位置は絞れるかも知れませんから!」

 

ここは税務署。私達は捕まってそのまま連行されてきた。

 

「魔道具も鳴りませんし…本当に紅魔の皆様は何も知らずに巻き込まれたようです」

 

「さっきからそう言ってるではありませんか!いきなり寝室に置いてあったんですよ!」

 

あの札束、実は1番上だけしかお金じゃなかった。お金と同じサイズにカットされた紙を札束に見せていただけ…だから、私とゆんゆんの手持ちは30万エリス。ちなみにめぐみんは、1000万に見える10万エリスだった。全部徴税しても35万エリスのみ、カズマさんからすれば痛くも痒くもない金額でしかない。

 

「やはり、エリス様に納税をお願いするしか無いのでは?カズマさんの念書では、財産はエリス様へ渡すとの記載です。口座への送金ならそこしかありません」

 

「出来るはずがないだろう!相手は女神だぞ?!王家に反旗を翻すものが出てしまう!」

 

これは、カズマさんの完全勝利かな…

 

「クレア殿!間に合ったか?!」

 

ダクネスさんと…あれ?エリス様?!

 

「あの…私も冒険者登録がありますし、そこはちゃんと納税を…」

 

あれ?クレアさん泣いてない?!

 

「か、勝った!最後の最後で女神様は私を見捨てなかった!あぁエリス様!感謝します!ざまぁみろカズマ!」

 

「あの…ざまぁみろって言われてるの、一応私の旦那なんですが…」

 

カズマさん…貴方は、エリス様の帰宅がちょっと早まってしまったから負けたんだ。勝負には勝ってたんだよ……

 

「では、私のギルドの口座と冒険者カードです」

 

セナさんがそれを受け取ると、読み取り用の魔道具に入れる。あと5分で…カズマさんの勝ちだったのに…

 

「はい、では口座総額200万エリスから…え?」

 

セナさんの表情が凍りつく。200万?!単位が少なくとも2つは足りないよね?!

 

「そんな!しかし、これを偽装など出来ないし…あいつどこにどうやって現金を隠してるんだ?!」

 

「エリスの部屋には家具さえ最低限だ!隠すところなんて……」

 

『納税期日が終了しました。皆様、お疲れさまでした。徴税官は記録用紙を税務署に提出してから帰宅してください』

 

無情に告げられた終了宣言。そして、膝から崩れ落ちるクレアさんと、ダクネスさん…

 

「宝検知でも引っかからず…カズマのテレポート先のポイントも調べた…あんな大金を持ち歩けば絶対にバレるだろ!どうなっているんだ!」

 

「あぁ!またアイリス様に「クレア、どんまいです!お兄様はやっぱり凄いのです!」なんて言われてしまう!レインに鼻で笑われてしまう!あの野郎…次会ったらぶっ殺してやる!」

 

結局、彼の財産の場所は誰にも分からなかった。私達の陽動はなんの為だったのか、これは今世紀最大のミステリーなのかも知れない。

____________________

カズマ視点

 

徴税は終わった。だから俺は隠したお金を取りに来た。

 

「我ながら天才だわ。ここに隠すなんて…」

 

隠し場所は天界のエリスの部屋。最初から人間なんて敵ではない。小細工の大半は……

 

「あれ?あるえさんでも無いですね。あの袋が怪しかったんですが…じゃあ、めぐみんさん?」

 

あの天使の目を欺くためのものだ。

 

「むぅ…カズマさんの財産を拾って、1割貰うつもりでしたのに…やはり色仕掛の方が早いでしょうか…」

 

あいつ、本当に天使かな?

 

「やはり屋敷の中…宝感知スキルを無効化する魔法陣を使っているのでは…あれ?そんな魔法の反応もないです…」

 

ふふふ、残念だったな。思い付いたけど、ウォルバクはめぐみんとかにポロッと言っちゃいそうだから辞めたんだ!

 

「よし!帰ろう!エリスの所へ!」

 

来年も、この部屋にはお世話になります!

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

脱税は恒例行事。次回は女神のネタで1つ。

またよろしくお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。