※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

相変わらず不定期更新でごめんなさい。

アイリス。と言うか先にお付きの二人から…


この恋する従者に救済を

「なるほど、そういう事になるのか…」

 

この街で今サイコロを振ると、常に6が出る。街外れで子供達がそれを面白がっていた。ちなみに、城門を出ると効果はなくなる。

 

「え、まさか私のブレッシングが?!」

 

「他にこんなこと出来るやつ居ないって…」

 

アクアがハンスにゴッドレクイエムを放った時、街中の温泉がアクア水になった。それなら、ドラゴン戦前に俺にかけたブレッシングが、街中に広がったとしても何もおかしくはない。

 

「いやー!運が良かったよな!」「そうそう、死ぬ覚悟だったもんな!」「英雄様々だよ!」「飯と酒で歓迎されるなんて、懐の深さが違うな!」

 

そして、女神の幸運はこの街のすべての人に訪れる。だから、死を覚悟した戦いは宴会になり…

 

「徴税で追い回した我々の分までだぞ?」「俺たちは、人から税を取り立てるくせに…誰も龍に立ち向かわなかった…」「あの人は私財で戦って、私財を投げ売って、不安にかられた人達に憩いの場を提供したんだ…」「取れねぇ…あんな人から税なんて取れねぇよ!」「器がデカ過ぎるよ!」「税より…高い出費させちまったんじゃねぇかな…」「…くそっ!俺たちはなんて情けないんだ!」

 

そして、直接ブレッシングを受けた俺は、納税予定額の1割で何となく許され、ついでに名誉も手に入れてしまった。

 

「うん、むしろ5億で良かった!」

 

「え!それ良かったって額じゃないですよ?!」

 

いいのさ。これぞまさしく金持ち喧嘩せずだからな!

______________________

 

「それで、カズマさんはこれから何処へ行くんですか?」

 

「うーん…強いて言うなら、エリスを連れていれば何かしら幸運が舞い込みそうだから?」

 

集まり過ぎた戦士たちのせいで依頼はないし、商品開発したくても商工会も観光対応で忙しい。街中に活気はあるが、代わりに俺がヒマになったのだが…

 

「見つけたぞサトウカズマ!今日の私は運が良いようだな!」

 

「エリス、俺のブレッシング切れてる?」

 

「いえ…残ってますが…」

 

なら、なんでクレアに遭遇するのか…

 

「徴税期間は終わってる筈だぞ?まさか法律を俺の為に変えたなんて事は…」

 

「あー、ちょっとやろうとしたが…衛兵と徴税官にまで止められたんだ。お前を何も支援しなかったこの街が、ただ取り立てるだけなんて恥ずかしくて出来ないって…」

 

あっ、やっぱり5億の価値あったかも!

 

「だから!来年はこの街の衛兵を鍛えあげ、お前が税を収めたくなるような組織にしてやるからな!」

 

「あ、うん…それなら払うかな…」

 

多分だけど…

 

「ところで、用はそれだけか?」

 

それなら、俺はさっさと退散したいんだけど…

 

「あと、暇だからどっか連れて行け」

 

…なんだって?

 

「アイリス様は「羽の生えた人間を捕まえる!」なんて言って、お前のところの紅魔族と出かけてしまってな…公務もなければアイリス様も居ない…何故かレインも連絡もなしに何処かへ行ってしまったし…こっちに、友達いないし…」

 

何コイツ、寂しいやつだな…

 

「『ブレッシング』カズマさん、これで幸運は保つはずです。私はちょっと、自由過ぎる部下を捕まえて反省させてきます」

 

あぁ、羽生えた人ね…アイツだろうからね…

 

「分かったよ。俺も暇だし…クレアの観光案内くらいしてやるよ」

 

「あぁ、感謝する。広告塔に使われた街だ。少し位知っておきたくてな」

 

…うん…その節は、本当にごめん。

___________________

 

「とりあえず、俺の故郷の甘味でも食ってけ」

 

と言う事でウィズのところへ…

 

「おぉ!冷たくて甘いやつだな!」

 

「あ、唐揚げ味はないんだ。ごめんな」

 

「本気で要らん。出されたらお前の口に入れてやる」

 

目がマジなんですけど?!

 

「あら、いらっしゃい坊や…え!なに!新しい女連れてんの?!」

 

おっと、今日はシルビアだけなのか…と言うか

 

「ちがうわ!そんなわけないだろ!」

 

「待て!ちがくはないぞ!ちゃんと私は女だ!多少大雑把だがちゃんと女だぞ!」

 

「いやそこじゃねぇよ!見た目は美人だからそこは間違えねぇよ!」

 

「ふぇ?!……うん…ありがと…」

 

あれ?途端に声が小さくなったな…

 

「ふーん…なんかごめんなさいね…坊やのお客さんだから、これは当店からのサービスよ」

 

おや?何故かソフトクリームを2つくれたけど。いいのかな?

 

「あ、ありがとう…カズマはここの従業員なのか?」

 

「…どうなの?一応オーナーなのかしら?」

 

「この一帯の土地を買ったのは俺だから、オーナーか?」

 

ウィズには言ってないが、この土地は買った。色々と実験とかするので、裏の空き地とか右の倉庫とか、誰かが居たら事故になりそうだからだ。と言うか、細菌の研究とかする前に買うべきだった。左にはセレナの診療所(本人的には教会)がある。ちなみに、未だに家賃はバニルから貰っている。別にいいのに…

 

「冒険者しながら小売りと診療所…手広すぎないか?」

 

「まぁ、多才なのが俺の凄さっていうか!」

 

自分の才能が怖いぜ!

 

「坊やが手広いのは、手を出した女の方よね?」

 

「おい辞めろ。真実のほうが人は傷つく」

 

皆が可愛いのが悪い。

 

「ところで、ウィズとバニルは?」

 

「この街にいると継続的にダメージを受けるからって、辺境まで薬草の栽培契約を結びに行ってるわ。ここら辺ね…」

 

シルビアが地図を取り出した。二人とも消えなくて良かったよ…にしても、随分と遠くに行ったな…

 

「おっ、ここはレインの一族の領地だな。そう言えば、観光資源はなにも無いが農業だけは盛んだと聞いたことがある」

 

へぇ、レインって辺境の貴族なんだ。たしかに、庶民的な価値観あるよね…

 

「それはそうとシルビア殿、普段のカズマがどんな奴なのか教えてくれ。主にトラウマとか弱点を中心に!」

 

「え?良いけど…あなた達の関係歪み過ぎじゃない?」

 

うん。俺もそう思う。

______________________

 

「ふふふ、今度カズマに何かされたら、仕返しに使うぞ!」

 

クレアはソフトクリームを食いながら、シルビアに俺の事を色々聞いていた。弱点を知ったからか、こいつはやたらご機嫌だ。嫌なやつだな!人のこと言えないけど!

 

「さて、次は何をして貰おうか…うわ…」

 

「うわ、とはご挨拶じゃないか、クレアさん?」

 

あれ?なんか金持ち貴族って感じのやつが、取り巻きと一緒に道を塞いでいる。こんなステレオタイプ、まだ居たんだ!

 

「行こうカズマ…あいつを相手にする必要はない」

 

「え、いいのか?知り合いに見えるけど…」

 

踵を返すクレアの、冷たい感情のない声。俺のことは嫌いかも知れないけど、こんなに冷たい反応をされたことは無いぞ。

 

「冷たいなぁ…貴方の望む通りに武勇を挙げたのに、見合いの席にも来てくれないではないですか?」

 

「黙れ!人の武勇を金で買った癖に!誰がお前など認めるものか!」

 

あっ、そう言うタイプなの?魔王を金で倒そうとした俺には文句言えないやつじゃん!

 

「ふむ、ではやはり…立ち合う他ありませんね!」

 

「おい!アイツ町中で剣抜いたぞ!実はお前らお似合いなんじゃねぇか?!」

 

いや、だめかな?暴走装置と暴走装置足すと、爆発して終わるか…

 

「ちっ!カズマ、逃げるぞ!」

 

「はっ?!いやいや、お前強いじゃん!戦えよ?!」

 

そっちの方が街への被害が少ないだろうし!

 

「向こうの方が爵位が上なんだ!正式な立ち合いで無ければ、勝てば立ち合い!負ければ闇討ちにされる!」

 

なにそれずるい!貴族ずるい!

 

「さぁ!堂々と戦いましょう!私が勝てば認めてもらいます!」

 

「あいつ足速!なんだこの無駄なポテンシャル!」

 

「あぁ、昔から自分だけ逃げるのは得意だからな」

 

駄目じゃん!その努力を強くなる方に使えよ!

 

……………………………………………

 

「で?なんだよ。アイツ…」

 

何とか路地裏に逃げ込み、追手を巻いた。いやいや、今日は幸運じゃねぇのか…

 

「金稼ぎだけが得意な貴族の跡取りだ。王族とのパイプと、騎士としての評判を同時に得る為に私を欲している。普段なら、アイリス様が居るので手出しは出来ないのだが、まさかこんな所まで来るとは…」

 

偉い人達にも、権力の鎖は絡みつくんだな…

 

「私の両親からすれば、お転婆な私など貰い手がないからな。相手の方が爵位が上ならば、なにも不満はないのさ…」

 

お転婆じゃない。お前は軽く見繕っても破天荒だ。俺が決めるならクレイジーだ。

 

「で?クレアはどうしたいんだよ?」

 

「私は最後までアイリス様の側にいる。戦えなくなれば女中でもいいから、死ぬまでお仕えしたい…あと、アイツは思い切り殴って負かせたい!」

 

アイリスが本気で好きなのは知っていたが、そこまでだったか…あと、やはりバイオレンスだなコイツ…

 

「あ、カズマ様。どうしたんですか?」

 

路地裏で突然名前を呼ばれた。振り返ると、めちゃくちゃエッチな格好をした……

 

「うわ?!なんだ痴女かお前?!」

 

「違います!サキュバスです!」

 

あ、この路地は店の前のところか。ん?これならひょっとして…

________________

 

「はぁはぁ…見つけましたよクレアさん…そこは袋小路です…もう逃げ場は…はっ!そいつはまさか?!」

 

クレアの後ろに、男装した新人サキュバスちゃんを配置する。尻尾と羽と角があれば、なんとなく察しもつくだろう。俺は、その更に後ろで潜伏している。

 

「助けて!インキュバスに操られているの!」

 

いやいや、クレアさん?あなたそんなキャラでしたっけ?操られたら乙女にでもなんの?

 

「ふふふ、これはいい女だ…か弱い男の子の姿で簡単に騙せるのだから、人間の女とは実に扱いやすい!」

 

流石はどんなシチュエーションもイケるサキュバス…演技がプロだ。

 

「これはチャンスです!貴女を救えば、私の武勇は揺るがな…ぶふぅ!」ゴリッ

 

瞬時に距離を詰めたクレアの膝蹴り、きれいに顔面に入りました。

 

「お、お前ら取り押さえろ!操られていても相当な強さだ!」

 

即座に取り巻きの連中に助けを求めた。うんうん、正しい判断だよ…明らかにその人数じゃ足りねぇって事を除けば…

 

「ぐふっ!」「がはっ!」「ぎゃぁ!」

 

剣で殴り、蹴り、次々と一回り大きい相手をなぎ倒す。冷静に考えて、王女の直属なんだから弱いわけないんだよな…アイツ…

 

「早く助けて!このままではインキュバスに完全に支配されてしまいますわ!」ボカッ!ドスッ!グシャッ!

 

いやー馬乗りになって顔面を殴る殴る…お前が支配されてんのは多分破壊衝動だよ…ついでに恨みを発散しすぎだって…

 

「くそっ!ならこっちだ!」

 

取り巻きの一人がサキュバスに向かって剣を投げる。不味い、サキュバスに物理戦闘能力は…

 

ガッ

「ぐはっ!」

 

その投げた剣の前にクレアが飛び出す。俺が妨害出来たのに、なんて律儀なやつだ!

 

「くっ!逃げろ…もう十分だ。私も、もう一度逃げ…」

 

ドサッ

受け身も取らずにクレアが倒れる。やばい。助けに入らないと…

 

「まずそのインキュバスを殺せ!袋小路だ!逃げ場はない!」

 

くそっ!ごめんクレア!お前でもそうするだろうから俺は…

 

「新人ちゃん、俺の手を掴め『テレポート』」

 

今は巻き込んだこの娘を優先する!後で必ず助けるから!

__________________

 

クレア視点

 

連れて来られたのは何処だろうか…まだ背中が痛むが、血は流れていない。刃は深く刺さらなかったようだ。そして私は…椅子に縛られているのか?

 

「くそっ!あのインキュバスめ…しかし、これはこれで良いものが手に入った…」

 

手に持っているのは血に濡れた私の剣と手袋…なるほど…インキュバスが見つからなければ、私から暴行を受けた事にできる訳だ…

 

「さぁ、クレアさん…そろそろ私のモノになっては如何ですか?婚姻届まで用意してあるんですが?」

 

「お断りだ…私は生涯アイリス様に仕えるんだ。それに、操られた小娘1人にこれだけやられる奴が、武勇などと笑わせるな!」

 

「はぁ…辺境に飛ばされたアイリス様でも良いのですか?野心のない人ですね。それに、武勇なんて結局金で買えるんですよ。拘る意味などありますか?」

 

あぁ、これだからこいつは嫌いだ。

 

「それなら、辺境に着いてきた私も同等だろう?さっさと他の女を見繕え!」

 

「いえいえ、シンフォニア家の名前は、おてんば娘1人位では揺るぎませんよ…それに、この辺境は近年栄えているようですから私のビジネスに使えます!まぁ、吸い尽くしたら捨てますがね!」

 

あぁ、嫌になる…これが貴族か…権力か…私がアイリス様の名のもとに振り回したモノが、自分に返ればこれほど不快だとは…

 

「もう、うんざりなんです。嫁の貰い手が居ない有力な貴族令嬢を見つけたと思ったら、まさかこれほどの問題児だとは…」

 

「はっ!人の事を金銭としか見ない男よりマシだ。人は人だ!それを分かっているから、私はアイリス様に仕えている!」

 

「えぇ、その甘っちょろくお人好しの王女を利用するつもりだったのですが…貴方が拒むなら…こんな方法もありますよ?」

 

取り巻きが誰かを連れてくる。それは…

 

「ごめん、クレア…私だけで事が済めば良かったのに…」

 

「レイン?!貴様!なんでこんな事を!」

 

「王女に近付くなら、どちらも同じです。クレアさんの方が好条件でしたが、レインさんの家の方が支配は容易ですから…」

 

こいつ!金の力でレインの家を?!

 

「貧乏貴族とは大変ですね?疫病が流行っても、街に医者や設備がない。魔物の群れが居ても私兵が居ない。周りの貴族が助けてくれなくなったら、本当におしまいです」

 

「そうやって…レインの親を脅したのか?」

 

「いえいえ、ご両親はレインさんの事を優先しました。家を取り潰されても娘の邪魔はしないそうです…しかし、御本人はどうでしょうね?」

 

こいつ!なんて下劣なことを!

 

「私は領民を見捨てません。貴方は貴族なのにその誇りがないのですか!」

 

「ふふ、生意気ですが…逆らえないと理解しているだけ可愛げがありますね?」

 

そう言って乱暴にレインの顎を掴んだ。レインの顔には恐怖と不快感が見える。

 

「やめろ!お前の目的は私だろう!レインは関係ない!」

 

「猛犬には首輪が必要なんですよ?それなら、二人とも手元に置いたほうが良いでしょう?」

 

こいつは!!

 

「お前は、正真正銘のクズだ!」

 

「はっ!玉座でふんぞり返るだけの王族と、それにペコペコしてる貴族に言われても…」

 

くそっ!なんでこんな我儘が許されるんだ!権力ってなんだ!こんな身勝手に誰かを自由にして良いはずが…

 

「クレアさんも一緒でしょう?私達は、権力という不条理で人から巻き上げた金で生活しているんですからね!」

 

「そ、それは…」

 

この言葉にハッとした。私は、この国は、カズマに沢山助けられたのに…貴族たちがやってる脱税を、あいつにだけ叱りつけて財産を奪おうとした。その理由は、権力構造じゃないのか!こいつが偉そうにしてるのと、なにが違うんだ!

 

「ごめん…ごめんね…カズマ…」

 

後悔と自己嫌悪に、涙が自然と流れてしまう。カズマが側に居たのは…私の権力に屈していただけなんじゅないか…

 

「いやいや、この場合はありがとうだろ?」

 

振り返ると扉の前にアイツが立っている。なんだよ…なんでお前は…こんなに私に優しくするんだよ!こんなの…期待したってお前のせいだからな!

 

「…あぁ、ありがとう…早く助けろ!」

 

「あぁ!それでこそクレアだよ!」

 

私達の方へカズマが走る。それに反応する取り巻き達がカズマを襲うが、お前らじゃは無理だ。そいつは王家の兵でも止まらないんだから…

 

「『バインド』『スリープ』『一本背負い』『クリエイトアース』『ウィンドブレス』」

 

縛り、寝かせ、投げ、目を潰し…多彩で自由。こいつは本当に、何にも捕らわれない。ほんの数秒で、全ての取り巻き共は制圧された。

 

「よぉ金持ち貴族…悪いな。そこの二人は、近々俺のもんになる予定だ!」

 

小太刀を抜いて構える。私は知ってる…この飄々とした軽い男は、仲間の為ならなんだってする!そして、手段を問わずに必ず勝つんだ!

 

「調子に乗るな!私が平民になど負けるか!」

 

無理だよ。お前じゃ勝てない。カズマは…

 

ズバッ

「ぎゃぁ~!」

 

あれ?カズマ切られた?!

 

「ははは!見ろ!平民が俺に楯突くからだ!これで邪魔者はいない!」

 

ドタドタドタ

衛兵?!こいつ、そこまで用意を!

 

「良いところに来たな!この不法侵入者を捕らえろ!」

 

こいつ、私達を椅子に縛り付けた状態で堂々とこんなことを?!

 

「あの、そちらの二人は?」

 

「おいおい、つまらない事を聞くなよ?お前は公爵家に楯突くのか?」

 

「あ、いえ、その…」

 

くそっ!これだから権力者は!

 

「なるほど、貴方は公爵であり王族ではない…なら貴方は立派な国家の反逆者ですね」

 

あ、カズマのところの検察官?!

 

「ど、どういうことだ?!」

 

「ここにいるのは魔王討伐の英雄、サトウカズマです。国教の女神と婚姻関係にあり、アイリス王女の婚約者です。あなたは国の重鎮に手を出した。国家反逆罪は、王族で無ければ身分に関係なく適用されます!」

 

あっ、カズマか!この衛兵はカズマが用意したのか!アイツ、そこまで周到に?!

 

「あぁ!俺たちはもう権力には屈しない!」「あぁ、カズマさんに教えられたんだ!」「俺たちが従うのは正義だ!」

「権力で犯罪が無罪になるわけねぇだろ!」

 

「そうだそうだ!犯罪者め!国家反逆罪は死刑もあるんだぞ!」

 

いやいやカズマ!なんでそっちで参加してるんだお前!さっき切られてただろ?!

 

「さぁ、現行犯です!全員捕らえろ!」

 

検察官の合図で衛兵が制圧を開始する。金で買った武勇を誇るような奴では、衛兵に抵抗など出来るはずもない。地面に頭を押し付けられ、何も出来ずにカズマを見上げている。

 

「ま、待ってくれ!知らなかったんだ!金なら払う!今回は見逃してくれ!」

 

ここにきてなんて往生際の悪い…

 

「なら頑張って説得するんだな。あの検察官を…」

 

「えぇ、時間はたっぷり用意します。その不正なお金の出処も、たっぷり聞かせて頂きます!」

 

なんか、あの検察官の迫力やばくないか?!

 

「いやだ!この地位を捨てるのは!私はまだ上に行くんだ!」

 

「ご安心を、絞首台は高いですし、天国はもっと高いですよ。良かったですね。まぁ、天国に行けるとは思えませんが…」

 

こわっ!あの検察官、カズマの事になるとなんか怖い!冷徹!

 

「くそぅ!くそぉーー!」

 

悲痛な叫びは誰にも聞き入れて貰えず、アイツに手錠がかけられた。きっと、もうアイツに会うことはもう無いのだろう。それだけで心が凄く軽くなった気がする。

______________________

 

「…本当に、カズマは手段を問わない奴だな」

 

私達はエリス教会で治療を受けている。背中の傷は殆ど切れていなかった。武器に麻痺属性がついていたらしい。まったく、どこまでも姑息なやつだ…

 

「しかし、これは本当なのか…まだ数時間なのに…」

 

近衛兵達の話では、セレナと言うプリーストが来た途端、アイツは懺悔して過去の余罪まで全てを話した。まだ裁判が残っているが、間違いなく一生牢から出ることは無いそうだ。

 

「ねぇ、クレア…カズマ様って…本当に何者なのでしょうね…」

 

そして、レインの領地は、カズマの店と取引をする事になり、援助の約束まで取り付けた。その収益があれば、他の貴族に頼る必要もない。実家は貧乏貴族も卒業出来るそうだ。

 

「今度こそ、ちゃんと何か礼をしないとな…しかし、あいつが喜ぶものなど、私は持ち合わせては居ないし…」

 

しかし、何もしないのは流石に耐えられない。私達は貴族だ。恩知らずに落ちぶれるつもりはない。

 

「あのねクレア…私達は女だから…一応1つだけ持ち合わせているって言うか…捧げられるものがあるって言うか…」

 

「そ、それは、その…一生に1度だけしか使えないモノじゃ…」

 

真っ赤になったレインが頷く。私は別に…捧げる相手が居る訳ではないし…カズマなら、アイリス様の前に居続けることを認めてくれるだろうし…別に嫌ではないのだけど…

 

「私は、カズマ様に何度も救われたから…捧げても良いかなって…ううん、今はもう、彼にだったら…抱かれたいなって…」

 

「れ、レインがそこまで言うのか?!」

 

奥手で弱腰のレインはどこへ?!

 

「クレアは…違うの?」

 

「わ、私は…望まれたら…応じてしまう…きっと、初めてしまえば…求めてしまうと思う…」

 

「じゃあ、一緒にいかない?彼の元へ…」

 

「…いく」

 

あんな状況で助けられて、私達の感情は止まらなくなっていた…

_____________________

 

二人でカズマの部屋で待つ。この屋敷には温泉好きのウォルバクさんしか居なかったので、温泉宿のチケットを渡して気を回して貰った。なんか、申し訳ないことをしたな…

 

「ねぇ…これは大胆すぎるでしょうか?」

 

レインは顔に似合わず積極的だ。紺色の下着に、つける意味のないような透過率のベビードール。完全にただ男を誘う服だと伝わってくるが、相手が相手だ。丁度いいかも知れない。

 

「カズマが相手だ…その…多少強引じゃないと…あいつがヘタれるかも知れないし…」

 

私は普通の白い下着姿。ヘタれるのは私かもしれないから…ベッドに入ったら即座に脱いで、逃げ道を塞ぐつもりでいる。

 

「私達、後悔しませんよね?」

 

「私に聞くな…私は、きっと後悔なんてしない…」

 

「そうですね…彼は後悔させない為に頑張ってくれますよね…」

 

初体験が友人と一緒と言うのは、なんと言うか落ち着かない。でも、相手はカズマだし…これくらいしないと落とせないだろうし…

 

ガチャ

そして、玄関の戸が開く音がした。私達はベッドから降りて、カズマの部屋の扉の前に立つ。あと数分で、私達はカズマのモノになるんだ…

 

カチャッ

「うわっ!二人ともその格好は?!」

 

「ごめん!カズマ!」

 

「ごめんなさい!」

 

驚くカズマの腕を二人で掴み、無理やりベッドへ連れて行く。抵抗らしい抵抗はない。ただ驚かせてしまったんだとは思う。

 

「う、受け取ってくれ!私達は、これくらいしかお前に返せるモノがない!」

 

「はい!カズマ様にならば、私達は後悔を致しません!」

 

自分たちもベッドに乗り、思いの丈を伝えた。私達は一世一代の告白をちゃんと言い切った。でも、カズマはやっぱり乗り気にはならない。

 

「お礼とかで抱かれるのは違うだろ!そう言うのはちゃんと好きな奴と!」

 

あぁ、こんな時でも、お前は優しいんだ…だったらなおさら、後悔なんてするはずが無い。

 

「違わない!お礼もしたいが、私はちゃんとお前が好きなんだ!女として、愛してほしいんだ!」

 

「私もクレアと同じ気持ちです!ここまで来て、逃げるなんて残酷すぎます!」

 

私達はもう止まれない。拒まれたら、無理矢理にでも…

 

「な、なるほど…これが2人の殿方に迫る作法なのですね!」

 

「「あ、アイリス様?!」」

 

扉から声が聞こえた。そこには、ワクワクした顔でこちらをみるアイリス様の姿があった。

 

「えっと!ち、違うんです!いまのはちょっと!」

 

「え?ついさっき、自分で違わないって言ってたでは無いですか?」

 

「そ、それはそうなんですが!て言うか、なんでここにいるんですか?!」

 

「カズマ様!まさかアイリス様に手を出すために?!」

 

なに?!それは流石に許せんぞ!

 

「えーと…アイリス、説明してくれ」

 

「お兄様と一緒に、天使を捉えるのに使う餌、バリカタなる物を用意すべく、こちらに来たんですが…私としては、天使と同じくらい興味があるので!続けてくれても全然良いです!」

 

違った!むしろ私達が完全に悪影響側じゃないか!

 

「無理だ!こんな教育に良くない状況では色々と無理だ!レイン、何とか…」

 

「違うんですよアイリス様…く、クレアが…カズマ様への愛が止められなくなって…仕方なく初めてのクレアのお手伝いとして一緒に…」

 

「おい!裏切ろうとするな!お前だって処女だろ?!なにを手伝えるんだよ!」

 

どうすればいい!この状況どうしたら良い?!カズマは?!

 

「いいかいアイリス…これが俺の秘伝のバリカタのレシピだ」

 

「お兄様…この状況でお料理のレシピなんて全然頭に入らないのですが…」

 

「なんで無かった事にしようとしてんだお前は!」

 

いや、私も無かった事にしたいけど!

 

「お前らの謎の暴走が悪いんだろうが!なんだよその格好は!襲われたいのか?!」

 

「…いや…その…い、今は駄目だ!」

 

「クレア…語るに落ちてますよ…」

 

あぁー!やってしまったぁ!

 

「と言うか!それならレインも服でバレバレだからな?!」

 

「はぅ?!見ないでくださいカズマ様!」

 

いや、今更隠しても駄目だろ…

 

「やはり二人はお兄様の事を本気で!大好きな2人がそこまで決心しているのであれば!私はここで見届ける所存です!お兄様の器なら、私とこの2人くらい余裕ですよね?!」

 

「アイリス様!枕元を陣取らないでください!見せられませんから!」

 

「あーもう!俺の部屋で騒ぐな!!まずは落ち着いて…」

 

バタンッ

「うるさいぞカズマ!さっきから何を……」

 

部屋にララティーナ嬢が入ってくる。いや…彼女から見れば、これはあまりにもアイリス様に悪影響な…

 

「お、お前ら…全員そこに正座しろぉ!!」

 

この後、私達はこの恥ずかしい格好で1時間説教をされた。私とレインの気持ちがカズマに伝わったのか…それは結局わかっていない。




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

お付きの二人を、仲良し喧嘩仲間から男女の関係まで発展させる…と見せかけて、悪い性教育で終わらせるのが私のクオリティ。期待した方ごめんなさい!次回のタイトルにも夜は付かないです!ごめんね!
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