※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

いい加減アクアをどうにかしたい…そんな回です。


女神補完計画

アクアのやらかしによる6億は、例の如くセナさんに任せた。俺達としては、この根本原因を何とかする必要がある。そこで…

 

「話は分かりました。でも、ここに連れて来られても…」

 

「ごめん。アクシズ教会には俺が行きたくないし、エリス教会はエリスに拒否されて、他に教会ってここしか無いし…」

 

セレナに深く頭を下げ、教会の使用について交渉する。アクアが言うには、教会でなら普通に働くことは可能だと言う。だからセレナの様に自分にも教会を用意しろと言ってきた。確かにポテンシャルは高いはずなのだ。キールの時とか、ハンスの時とか…ちなみに今あるアクシズ教会は駄目らしい。セシリーが無職になってしまうから…

 

「でも、ここでおかしな集会をされていると噂されても困りますし…」

 

「検証のため、この教会にはまだ無かった告解室の取り付けを行いたいと思っているんだけど…どうかな?」

 

「…告解室!実質220万エリスのリフォームを?!………こ、今回だけですよ?」

 

流石はセレナ、話が分かる。告解室って言うのはあれ、懺悔する小部屋みたいなやつ。

 

「あら、私の当馬にして悪いわね!悪いけど、今回は本気も本気よ!駄目なら塔の修繕の仕事に送られちゃうから!ところで、これどうやって採点するのかしら?」

 

「そこは公平を期す為、エリス教会からエリス、アクシズ教会からゼスタ、そして無信仰代表のシルビアに採点して貰います。あ、司会は暇そうな天使を連れてきてるから…」

 

「サボってたら連れてこられました!」

 

うん。人前でサボってたとか言うな。と言うか上司いるぞ。

 

「なら、後でお仕置きですからね?」

 

「じょ、冗談ですよエリス様…」

 

そりゃそうなるよ。

 

「シルビア様。良ければこの後アクア様について語りながら食事でも…」

 

「え?話題も食事も本気で嫌だけど?て言うか私の尻を撫でようとしないでくれる!これ本当に司教なの?!アクシズ教どうなってんの!」

 

はい。愉快なメンバーでお送りします。ちょっと人選、間違えたかな…

________________

 

「告解室とは、迷える魂の叫びを受け止める場…誠実に、そして真摯に、決して狼狽えず穏やかに受け止める必要があります。それには寛大で寛容な心が必要であり、それがプリースト、ひいては女神に求められる能力の1つと言えますね」

 

なるほど、流石はマジ女神のエリスだ。この場で唯一の常識人の意見はとても参考になる。

 

「じゃあ、俺が精神を揺さぶる懺悔するから、それを正しく受け止めて貰う感じで…比較対象が欲しいからセレナも参加です。異論は?」

 

「当然ないわ!水の女神の凄さを見せてあげる!」

 

「あの…カズマさん?私は懺悔なんて聞くのは初めてなんですが…と言うか相手がカズマさんなのが怖いのですが…」

 

こう言うのは場数が物を言う可能性もある。そう考えると、付き合わされているセレナは少し可哀想だ。でも、手加減はしない。俺は真の平等主義だから!

 

「セレナの初めて…くっ!カズマさんに奪われてしまった儚い夢が!」

 

「…なぁカズマ、ゼスタは摘み出さないか?」

 

「公平を期すから駄目だ。手を出されそうになったら助けるから…」

 

意外な形で冷静になった。地味にゼスタが敵に塩を送る形になっている。

 

「えっと…なんか大喜利みたいになってますが、セレナさんも初めてと言うことで、参考にアクシズ教のプリースト、セシリー様にお手本を見せていただきます。ではセシリー様、カズマ様、お願いします」

 

大喜利と言いつつ、天使の司会も円楽師匠みたいだ。じゃあ、告解室に入りますか…

 

……………

 

「ようこそ迷える子羊よ。ここで貴方が話した事は誰の心にも残りません。貴方の心の内を、私が全て受け入れましょう…」

 

「良いですね。ちゃんと予めフォローを入れることで、人に話して良いか悩むような内容でも話しやすくなります」

 

なるほど、こうして機密保持を示して、何を話しても良いと誘導するのか、エリスが言うならそうなのだろうが、相手がアクシズ教だから警戒してしまうな…

 

「ふふふ、エリス様。アクシズ教を馬鹿にしてもらっては困りますな。我々は多くの人に理解されぬからこそ、その懐はより深く!そして慈愛に満ちて居るのですよ!」

 

モノは言いようだなゼスタめ。ようは何でもアリの無法地帯だろ…さて、動揺させれば良いんだっけ…

 

「あぁ、プリースト様…私は禁じられた愛に溺れてしまったのです…」

 

「あらあら、愛に禁じられたなどありません。例え関係を持てば犯罪でも、愛するその気持ちに罪は無いのですから…」

 

なるほど、それは確かにそうだろう。だって、まずコイツがロリコンだけど塀の外に居るし…

 

「恋愛や性愛の話は定番ですね。誰かに相談し難いですし、人生において重要な分岐とも言えます」

 

「そう言えば、エリス様はなぜ部下の私に相談もなくカズマさんの元へ?」

 

「え?信頼してないからですが?」

 

「うぅ辛辣ぅ!」

 

聞くなよ天使…わかるだろ?

 

「シルビア殿は恋などしていないのですか?私と上手い行く方法をアクア様に相談しませんか?」

 

「しててもアクシズ教には絶対に言わないし、あんたはゴメンよ!そして、相談する相手もアクアは嫌!」

 

うん、向こうは向こうで自由!

 

「しかし、もし貴方の気持ちが抑えきれないのであれば、私がお話を聞きましょう…さぁ、話してください‥」

 

そして、ちゃんとしてるセシリーはなんか調子が狂う。だが、俺もちゃんとやらないとな…

 

「はい…彼女は聖職についた女性なのです。その時点で許されることではありません。ですが彼女はあまりに美しく、その可憐な姿と博愛に満ちた姿勢に、私は深く惹かれていきまして…」

 

「それは仕方ありません。聖職者とは清らかで尊い物…そこに惹かれるのは自然なことです。そう、私のように!」

 

うわぁ、セシリーに言われると殴りてぇ…今は我慢だけど…

 

「しかし、その尊い存在を私は穢してしまいました。彼女は子供好きで、よく子供たちにセシリーお姉ちゃんと呼ばれて親しまれているのですが…」

 

「え?…えっと…そ、そうなのですか…子供に愛されるなんて、素晴らしい方で…私なんてありですか?!」

 

うん。自分がネタにされて慌てている。ちなみに、実際はそんなに愛されてないですよ?こらっ、見ちゃいけません!とか言われてますよ?

 

「ただ私は、彼女が子供達に囲まれる姿を見て想像してしまうのです。可憐な彼女の子供はきっと凄く可愛いのだろうと…あの一夜の関係が、もし実を付けたらと…」

 

「しかし…相手は聖職者ですよね?!それは叶わぬ願いで…あれ?いま一夜って言いましたか?!」

 

良し良し、馬鹿が食いついた。

 

「…その…彼女はお酒が入ると少し大胆になるようでして、「この熟れた身体に…我慢できなくなったんですね…」と迫られ…つい関係を…」

 

と言う普通に聞けば有り得ないブラフ。でも、アクアに付き合わされて飲酒し、酔ったところを何度も介抱した俺に言われれば、この言葉は現実味を帯びる。と言うか、たまに記憶が飛んでいるのだから、嘘だと言い切れないはずだ。

 

「た、確かに私の熟れた身体は殿方を魅了してやまないですが…カズマさんには相手にされた事ないハズですよね?!」

 

うん、スゲー動揺してる。いつも振る舞わされてたけど、振り回す側って楽しい!

 

「え…なんでセシリーなの…私、最近は全然手を出されないんですけど…て言うかまだ増えるの…」

 

あ、アクアも動揺してる…むしろこっちの方が重い…

 

「一度だけですが…お互いに酔いが深かった時に…つい彼女の望むがままに…」

 

「…え?は?!しかも私からですか?!いつもあんなに素っ気無いじゃないですか?!」

 

良いぞ。すぐ色仕掛けするくせに、真剣に迫られたことが無いポンコツには、この方法で正解だったようだな。

 

「その…セシリーさんはベッドでは凄く可愛いくて…あ、そういえば脱がせたときに襟を破いてしまいましたよね…直しましたか?」

 

俺の迫真の演技に、セシリーの顔が引き攣る。そして、ゆっくりと襟に指を這わせて、破けた部分に指が触れた。ちなみにそれ、前から破れて気になってました。

 

「あぁっーー!!ちょっとカズマさん!責任取ってくださいよ!私初めてだったんですからね?!あなた総資産いくらなんですかぁー?!」

 

ピピーっ!

 

「セシリーさん、熱くなり過ぎです。今のはブラフに決まっているでしょう…しかも、あなたは聖職者でありながら思い当たる節があるのですか?と言うか、総資産を聞くのはどうなんですか?」

 

天使のホイッスルで競技が終わる。既に真っ赤になったセシリーと、なんかホクホクしているゼスタ、そしてブラフと見抜いたエリス、セレナ、シルビアは完全に呆れ顔だ。あ、俺に向けての呆れ顔です。

 

「セシリー、アクア様のお酒に付き合うのは結構ですが、我らは聖職者です。常に理性は保ちなさい。まぁ、私はそう言うのも嫌いではありませんが…」

 

ゼスタ、お前はありとあらゆるプレイ全部好きだろ…

 

「す、すみません!アクア様とのお酒が楽しくて…あとその…酔って倒れた時だけは…カズマさんが凄く優しく介抱してくれるので…つい甘えてしまうこともあってですね…」

 

いや、アルコールでぶっ倒れた奴にキツく当たらねぇよ…て言うか、普通の対応なのに普段が雑だからそう思うだけだぞ?

 

「であれば尚更です!1度しかない初体験、もし記憶が無いなど勿体無いにも程がある!酔った振りをして誘いなさい!そして、次からは私もちゃんと誘いなさい!」

 

「は、はい!心に刻みます!」

 

刻むな刻むな!

 

「ま、まぁ!私は全然見抜いてたけどね!」

 

アクア、スゲー笑顔じゃん。紛らわしいことしてごめんな?でも、少しくらい俺を信じよう?

 

「では、アクア様が完璧にこなしてはセレナ様が緊張しますので…次はセレナ様でよろしいですか?」

 

「え、えぇ…私なら騙されることはないと思いますし、不本意ながら慣れてますし…」

 

あ、それはそれで…ごめん!

 

…………………………………………

 

「コホンッ…ではカズマさん、悩める貴方の心の闇を私が全て受け止めましょう!」

 

最初から闇扱いなのが少し腹立つが、まぁ良い。手加減しては不平等だし、セレナも本気でやらせて貰おう。

 

「あぁセレナ様…私は許されざる罪を犯しました…私は、禁じられた関係に溺れてしまったのです…」

 

「でしょうね…続けてください…」

 

あ、呆れ顔してる!セクハラなのは読まれていたか…流石は俺からセクハラを一番受けた女だけはあるな。しかし見てろよ…

 

「その女性は、捨てられた子犬のような顔で私を頼ってきました。周りの人間達からひどい仕打ちを受け、精神的に追い詰められた彼女は、私以外に頼る相手が居なかったのだと思います…」

 

「なるほど、あなたは…その弱った女性に手を出したのですね…」

 

まぁ、流れ的にそうだね。他にないよね?

 

「なる程…弱った女性に付け込むという、あえて軽蔑されるような話をすることで、セレナさんの感情を煽るのですね…」

 

「しかし、この手の話はフィクションだと分かっていては、あまり効果はないのでは?被害者が存在しないと分かればセレナも熱くなる必要ありませんからね…」サワサワ

 

「真面目に解説しながら尻を撫でるな!あんた本当に司祭か?!」ギチギチ

 

ゼスタの指摘通り、それでは効果は薄いだろう。だが、そんなこと分かりきっている!て言うか、シルビアがそろそろキレそうだ。

 

「はい…提案は彼女からでしたが、私が付け込んだ事に変わりはありません。しかし、彼女の拙くも懸命な奉仕に愛しさを感じ、気が付けば欲望のままに肌を重ねていました…」

 

同意である事を一応補足する。これで俺がクズだから謝れと言う選択肢は無くす。そもそも、俺にはそんな度胸はありません。

 

「なるほど…愛欲に溺れたケースですと、それを今後どうすべきなのかの助言も必要です。ただ受け止めるだけではなく、後悔のない選択を導くことも、またプリーストの素質ですね…」

 

「えぇ、我々アクシズ教としても、望まぬ形や犯罪となる行為に関しては禁忌です。これは、セレナには少しレベルが高いかも知れませんね…」

 

「ちょっと!この私の尻に触れてるアンタの手は犯罪じゃないの?!」

 

予期せず中々の高難易度になったらしい。そしてゼスタ、お前はいい加減にしとかないと…

 

「…その女性と今は?」

 

「関係は続いています。彼女は献身的で、夜の奉仕もどんどん積極的になっています。あんな女の悦びに溺れた顔を見せられては私も我慢など出来ず、禁断と分かっているのに何度も関係を…」

 

「うぅ、生々しい…貴方はそれに罪の意識を持っているのですよね?」

 

「えぇ、罪深いとは思っているのです…しかし、抱かれる度により甘い声で鳴く彼女に欲望が抑えきれず…先日、ついには不浄の穴にまで手を…」

 

「えっ?…それ…まさか…」カアァ

 

お?自分の話だと勘付いたか?それにしても、セレナにセクハラすると真っ赤になるから可愛い。そして楽しい!

 

「しかも彼女はプリーストなのです!本来ならこの関係は許されません!しかし、心から私を求めてくれる彼女を、私は神職だからと突き放せばならないのか!あんなドスケベプリーストにしてしまった事をどう償えばいいのか!」

 

「だ、大丈夫です!プリーストは性欲になんて負けません!ドスケベにもなりません!と言うか、なってねぇから変な呼び名は辞めろぉ!」

 

セレナさん?それ、自分だと白状しているようなモノですよね?

 

「あの…カズマさん…今の話まさか…」

 

「もしセレナの話だとしたら…くっ!なんてNTR!いだぁ!」ベキッ

 

「…ふん!」

 

ゼスタ、ついにシルビアに手首を折られたか…セクハラ続けるから…あれ?それは俺もか?うん、セレナの目が怖いし、そろそろ終わるか…

 

「そ、それで…私は彼女にどう償えば良いんでしょうか?」

 

「まず土下座です。なんなら死んで詫なさい」

 

「あっはい」

 

当然ですが、怒られました。

 

…………………………………

 

「カズマさんに言いたい事は沢山ありますが…セレナさん…良く耐えましたね…もう深くは聴きませんから…」『7点』

 

「坊やの攻撃がエグすぎて、身内の私からみてもセレナは頑張ったと思うわ。内容に関しては、どこまで本当かは追求しないでおくわね…」『8点』

 

「えぇ、素晴らしい頑張りですセレナ。ツンツンしてた貴女がそんな献身的な奉仕をするなんて…あ、私はそこら編を追求しても?」『10点』

 

おい、なんか一人だけ採点基準違うぞ…

 

「これは中々の高得点ですが…アクア様、大丈夫ですか?」

 

「ふふ、私は絶対に満点だから、残念だけどセレナの負けよ!見てなさい!」

 

それ、本当かな…

 

…………………………………………

 

「ようこそ迷える子羊よ…私が貴方の悩みを受け止めましょう…」

 

「あ、チェンジで」

 

と軽くジャブを……

 

「なんでよぉー!こんなに可愛い女神が聞いてあげるのよ!ノーチェンジでしょ!むしろ指名料を払う大当たりじゃない!」ガシャン!

 

おぉい!開始3秒だぞ!金網に手をかけるな!

 

ピピーッ!

 

「アクア様…流石にこれは…アウトです…」

 

うん。やっぱりね!

 

………

 

「あの…せめて採点出来る会話を…」『2点』

 

「ある意味、予想を超えてきたわね…」『1点』

 

「いやー!やはりアクア様はほっておけないですな!」『10点』

 

うん。ゼスタはこういう場には2度と呼ばない。いや、2度目は絶対に無いけど…

 

「あのね?今回はちょっと調子がね……」

 

「アクア…ゼスタとセシリーも居るし、今回の件はアクシズ教の支払いで解決する方法もあるんだけど?」

 

「…あ…はい、すみません…私が左官を頑張ります…」

 

うん。よろしい!

_____________________

 

「アクアー調子はどうだー?」

 

「心配しなくても、ちゃんとやってるわよー!」

 

セナさんの活躍により、支払いは賠償金の2千万エリスのみとなった。その代わり、塔の修復は全額俺の負担となったのだが、むしろアクアを働かせるには好都合だ。割り増し請求される心配もないし!

 

「アイツが言うと心配だな…親方、進捗どうですか?」

 

「いやすげーよ。もう順調通り越して怖いくらいだ。石材を剣で加工するソードマスターに、石材をゴーレムにして運ぶアークウィザード、アルカンレティアの宮大工に、炊き出しを用意するプリーストたち。本当に、アクアの嬢ちゃんは女神だったんだな…」

 

それは確かに凄いメンツが揃っている。問題は、全員が熱心なアクシズ教だと言う所だが…今は大人しいので良しとしよう。

 

「人望…で良いんですかね?」

 

「ちょっと違うらしいぞ?ほっとけねぇんだとよ。アクアの嬢ちゃんを…」

 

俺の天啓にも流れ込んできたが「このままじゃカズマさんに嫌われちゃう!」ってお告げがアクシズ教徒に流れたらしい。その声があまりに悲しそうだからと、集まった有志が200人。現場の近くに仮設の集落が作られる規模だ。ちなみに、その集落も自分達で作っていた。流石はデストロイヤーが通った後に唯一残ると言われたアクシズ教徒。どこでもしぶとく生きていけるだけの事はある。

 

「最初は焦ったよなぁ…街でも警報流れたし…」

 

「俺にも緊急招集かかりましたよ…アクシズ教徒が押し寄せたなんて、下手をすると魔王軍幹部より危険な状態だってギルドも大慌てでしたし…」

 

ちなみに、押し寄せたアクシズ教徒全員が街から出てここに来たので、警戒令は1時間で解除された。まぁ、そんなこんなでアクアの壊した塔はあと数日で直る。アクアの左官技と、これだけの規模で作業したらそりゃそうだろう。

 

「もう心配は無いようなので、俺は街でアクアを待ちます。親方、アクアと塔のことお願いします」

 

「おう、任せとけ!前のより立派な塔を建ててやるよ!」

 

そんな会話がフラグになったのか、それとも女神がやらかしたからなのか、二日後の夜に事件は起こった。

___________________

 

「セレナ!馬車の速度はもう上げられないか?!」

 

「無理だ!定員オーバーで既に最高速度なんだ!これ以上は馬が潰れる!」

 

時刻は夕刻。ギルドの緊急招集により、俺達パーティーは馬車でアクアの居る現場に向かっていた。

 

「くそっ!まさか塔の完成間近に魔物の軍隊が攻めてくるなんて…」

 

「それは多分逆だろう。新しい防衛塔なんて人に敵対する魔物には驚異でしかない筈だ。恐らく、兵の配備前に壊すつもりで攻めてきたんだ」

 

本来ならアクシズ教の戦闘力とヤバさに、俺たちが心配する必要なんてない。しかし、今回は目撃されたモンスターが本気でヤバかった。

 

「サイクロプスは不味いね。私達紅魔族でもサイクロプスには攻撃を集中するほどの強敵だ。昼間に仕事で魔力を使い切った魔法使いが何とか出来るほどヤワな敵じゃない…下手をすれば…もう…」

 

サイクロプス。1つ目の巨人。その体躯は屈強でありながら、高レベル個体はなんか目からビームも出るらしい。そして、魔力も耐久も高く、紅魔族の上級魔法でも一撃とはいかないそうだ。

 

「くそ!全員戦闘準備!そろそろ塔が見えて……」

 

ズウゥン

遥か遠くに見える…白い塔…ではなく、何あれロボット?!右手の光はゴッドブローに見えるけど!

 

「あれはアクアの技ですよね?アクアは育ち盛りだったんでしょうか…」

 

「めぐみん、育ち盛りで20mまで育つなら、アクアは巨人の末裔だ。エリス、女神にそんな技あるのか?」

 

「聞いたことありません…そう言う血筋の神なら話は分かりますが…」

 

と、取り敢えず!助けに向かおう!何があったかマジで分からねぇけど!

 

…………………………………

 

「『ゴッドブロー』!!」

 

ズウゥン

あ、アクア居た。なんかアクアが攻撃すると、後ろのデカいのも攻撃してる!サイクロプスがペシャンコだ!

 

「あ、カズマさん…援軍ですか?」

 

あ、セシリー居た!

 

「そうなんだけどさ…まずアレを説明してくれ!あれなんだ?!」

 

「え?防衛塔は人を守るモノですよね?それなら、防衛塔が変形合体デンドロメイデンになって人々を守っても、結果的には何も問題は無いですよね?」

 

…はい?

 

「それもう塔じゃねぇじゃん!何やっちゃってんの?!」

 

「アクア様監修で企画され、親方さんが悪乗りし、材料はゴーレム化の魔法をかけた石材ですよ?これくらい余裕です!」

 

いや、そもそもなんでやろうとしたの?!親方も乗っちゃ駄目だろ!しかしまぁ、ロマンは分かるけどさ?

 

「アクア様素敵!」「まさに人類の守護者だ!」「もう怖いもんはねぇぜ!」「今のアクア様なら魔王も倒せるぜ!」

 

「こ、これは筆が乗る!その変形シーンをもう一度お願い!」

 

「アクア!私を…私をそのロボットに乗せてください!」

 

盛り上がるアクシズ教と、ついでに紅魔の琴線に触れたらしい。次々と敵をなぎ倒す変形合体デンドロメイデンは俺から見ても格好いいし、確かにこれがあればここら一帯の安全は間違いないような気がする。

 

「来なさい魔族共!私のデンドロメイデンは誰にも負けないんだから!」ズドーン!

 

轟く地響きと女神の雄叫び。街の危機は、謎のスーパーロボットによって守られた。ありがとうデンドロメイデン!ありがとうアクア!今はそういう事にしておこう!

____________________

 

「嘘!私がこれ払えるの?!」

 

「はい!サイクロプスは高額賞金の危険モンスターです!その群れを単独で殲滅したのですから、これくらい当然ですよ!」

 

変形合体デンドロメイデンの大活躍により、アクアは破格の討伐報酬を手にした。笑顔で報告するルナさんの手元には、結構な厚みのお札がある。ちなみに、デンドロメイデンはまた防衛塔に戻った。ちゃんと塔としても使える設計なのだ。凄いぞアクア、今回はマジで凄い!全然女神っぽい活躍ではないけど!

 

「では、塔の修繕費を差し引きまして、アクアさんには残りの討伐報酬150万エリスを進呈します!」

 

「やったわカズマさん!良いのよね!これは私のお金でいいのよね?!」

 

「今回は間違いなくアクアの活躍だし、それは好きに使っていいと思うぞ」

 

「じゃあ、親方たちとアクシズ教の皆で打ち上げする!たまには私が奢ってあげるの!」

 

と、はしゃいで皆を呼びに行くアクア。うん。多分規模が規模だから全然足りねぇと思うけど…

 

「と、言う訳らしいんで、足りない分は俺につけておいてくれますか?」

 

「あら、カズマさんは参加しないんですか?」

 

「今回は女神アクアが主役の場です。おじゃま虫は居ないほうが良いでしょう…」

 

と言う事で退散…

 

「カズマさん…」

 

ガシッ!

あれ?ルナさん?!

 

「いい話風にしたら見逃すと思ってるんですか?この街に200人のアクシズ教徒が来るんですよ?!逃がすわけ無いでしょう!責任取ってください!」

 

「くっそ!ルナさんの何処にこんな握力が!今回は俺関係ないでしょ!て言うか責任ってなんですか?!」

 

「監督責任です!意地でも離しませんからね!」「そ、そうです!カズマさんは居てください!」「アクシズ教に対抗できるのは、カズマさんかエリス様くらいですから!」「冒険者の俺達だって、外を歩けなくなるだろ!」「この街の為に戦ってくださいよ!」「これアクセル史上最大のピンチですから!」「あなた英雄じゃないですかぁ!」

 

「お前ら!こんな時ばかり俺を当てにしやがって!『テレポ…』」

 

「皆捕まえて!5人以上で捕まえれば逃げられません!」

 

くそっ!ギルドの女性陣がしがみついてくる!うぅ!やわらかくて良い匂いする!くそ!惑わされるな俺!ここで折れると無駄な出費が…

 

「くそ!頼るならエリスは…」

 

「あ、エリス様は天界の仕事があるんだってよ?」

 

うわ、クリスが居る!コイツいつの間に…

 

「カズマさん!」「カズマさぁーん!」「お願いします!」

 

「あぁもう!分かった!分かったよ!しょうがねぇなぁ!」

 

俺は、ギルドの女性スタッフ達に屈した。いやね、このまましがみつかれてたら…ちょっと元気になっちゃうからね!

____________________

 

「ありがとう皆!私、皆の女神で良かった!これからもよろしくねー!」

 

「アクア様ー!」「これからも信仰し続けます!」「愛してますー!」

 

アルカンレティアの大聖堂、並べられた豪華な料理と高級な酒。そして、デカデカと掲げられた垂れ幕には『変形合体デンドロメイデン。完成記念パーティー』と書かれている。

 

「でも、本当に良かったの?こんなに豪華にして、カズマさんが全額負担なんて…」

 

「今回のアクアの大活躍は、これくらいしても良いと思ってな?」

 

と言う事にしているが、実際はアクセルの冒険者ギルドに泣き付かれたからだ。あのままでは住民が避難したり引きこもったりで、危うくアクセルの街がゴーストタウンになるところだった。流石にそれはウキウキ気分で仲間を呼びに行ったアクアが可哀想なので、俺は自腹を切ることにしたのだ。

 

「それで…浮いた150万エリスは何に使うんだ?酒か?」

 

「そ、そりゃ欲しいお酒はあるけど…今回はちょっとだけ使ったら貯金する…」

 

「ふーん…そりゃまたどうして?アクシズ教と一緒なら、ちゃんと稼げるって証明したじゃん?」

 

アクアが貯金だってよ?もっと高い物が欲しいのかな?

 

「…こ、この方法だと…寂しいんだもん…」

 

「信者に囲まれてたのに?」

 

「だって…カズマさんは居ないから…だから…次なにかしちゃったら…貯金で払う…」

 

あれ?なんか胸が苦しい?!

 

「…でもそれ、アクアの前科から考えたら全然足りないけどな?」

 

「い、言わないでよ!今度からちょっとずつ貯めるから!あ、ちょっと、笑わないでよ!私は本気だからね!」

 

「おー、期待しとく」

 

俺が笑った理由は、アクアがそんなに俺の側に居たいと言ったのが嬉しかったからなのだが…なんか悔しいから、教えてやらない事にした。




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

変形合体デンドロメイデンとは、アクアが牛乳パックでめぐみんの為に作ったロボットです。二期OVAで出てきます。

アクアファンも居るかも知れないので、たまには良いところ見せるのです!

あと、実は告解室のネタ、各キャラあったりするのですがそれはその内!
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