※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

時にはあるえやゆんゆんが問題の当事者でもいい。そんな私から送る紅魔の3人娘がメインの回です。


割と平和なカズマさんの日常。デンドロメイデン編

中二病。それは妄想と現実が入り交じる若き日の苦い思い出。誰もが現実を知り、その病を卒業して大人になっていく成長の通過点。しかし、もしその妄想を現実にできるとしたら…紅魔族とは、それが可能故に中二病に捕らわれ続ける。悲しき一族なのかもしれない…

 

「おや、カズマではないですか、どうしたんですか?」

 

「どうしたもこうしたもあるかよ…お前らが爆薬持ってデンドロメイデンの所へ向かったって聞いて、爆破でもするのかと思って駆けつけた所だ」

 

俺が到着した所では、今の所問題はない。と言うか、爆薬もない…

 

「あ、カズマさん。どうしたんですか?こんな所に来るなんて…」

 

「…なんだよ、保護者枠の人いるじゃん。俺はこいつ等が何かやらかさないか見に来たんだよ。ウィズは監督役か?」

 

デカい岩の後ろから、ひょっこりとウィズが顔を出した。ウィズは常識人だし基本的には問題は起こさないので、こういう時は居てくれるだけで凄く安心できる。

 

「あるえさんにリッチーのスキルを使って欲しいと頼まれたんですよ」

 

うん、前言撤回…企画発案があるえなら、疑う余地もなくウィズも危険因子だ。人を疑わないし流されやすい。そして、有能故にやらかした際のダメージもでかい。と、そこに岩の後ろからもう一人…

 

「あら?坊やも来たの?」

 

「シルビア!なんでお前まで?!」

 

シルビアが監督役なら、常識人で理性的と、実に理想的なのだが…

 

「え?あるえに呼ばれたからだけど?」

 

「あっ…ですよね…」

 

やっぱり、見に来て良かった…

________________

 

「へぇ…デンドロメイデンに乗りたいと…」

 

「えぇ、デンドロメイデンはそもそも私の為のロボットです。と言うことでアクアに頼んだら、なんか普通にコントロール方法を書いた紙をくれました」

 

めぐみんからアクアの紙を受け取ると、そこには『たくさん魔力を込めてアクシズ教のマークの書かれた石を触ると、込めた人の真似をして動きます。魔力が切れると塔に戻ります。元の場所に帰れなくなるので遠出は禁止ね?』と言うなんとも雑な説明が書いてある。操作方法、簡単すぎません?悪用されません?いや、こいつらが使おうとしてる段階で悪用みたいなもんだけどさ!

 

「しかし、ただ動くだけではつまらないからね。ちゃんと敵役が欲しいだろう?」

 

なるほど、あるえはめぐみんの為に準備を…仲が良いのは、いい事なんだけどなぁ…

 

「言いたいことは分かるけど…それでなんでこの二人が…あと、ゆんゆんは?」

 

「塔の中で着替えてますよ」

 

着替えてる?なんで?

 

「うぅ…ねぇ、あるえ?本当にこんなピチピチなの着なきゃ駄目なの?絶対に必要ないよね…」

 

塔の中から出てきたのは、まさに青少年の憧れ、ピチピチパイロットスーツを着たゆんゆんだった。断言しよう。これは一晩で干物になれると!

 

「か…かか…カズマさん?!違うんです!これはあるえが!あるえが何故か持ってて!ロボットに乗るなら着なきゃだめだって!」

※織物の女神のコスプレ衣装の一つ。実は騎乗スキルが5段階上がる。凄い

 

「良いんだよゆんゆん、えっちで可愛いよ…」

 

「…え?これ、そう言う問題なんですか?!」

 

え?違うの?

 

「こう言うのは雰囲気ですよ。私も内側に着てますよ」

 

「あぁ、私も内側に着ているとも」

 

「これ内側で良かったの?!先に言ってくれない?!」

 

いや、駄目だろ!ちょっと口には出せないけど駄目に決まってるだろ!めぐみんとあるえは男のロマンを知らんのか?!

 

「しっかしお前ら楽しそうだな。今回はあれか?ロボットで戦う系の正義の味方か?」

 

「その通り!今回の私達は巨大な敵に巨大な兵器で立ち向かう!その名も…」

 

「「チームクリムゾン!」」ビシッ!

 

ドーン!

「ひゃう?!」

 

あ、爆薬あった!そして、戦隊ポーズがぴったりと決まるめぐみんとあるえ、爆発にビビるゆんゆん。多分本来なら右側はゆんゆんの予定だったのだろう。にしても赤色好きだなこいつ等…

 

「ふ、二人はいつ練習したの?!なんかチーム名も決まってるし、私だけ置いていかないでよ?!」

 

「チーム名なんて今決めたんですよ?」

 

「あぁ、それに我々紅魔族のポーズに、会議なんて不要だろう?」

 

「そういうものなの?!私全然分かんないよ!」

 

大丈夫、俺も分かんないよ…

 

「まぁ、ゆんゆんのノリの悪さはいつも通りだからさて置き、まずはコードネームが必要だよね。今回のリーダーはデンドロメイデン担当のめぐみんだから…クリムゾンレッドだ!」

 

「拝命します!やはりリーダーは赤ですよね!」

 

「もうクリムゾンの段階で赤だけどな?」

 

完全に色被ってるし。

 

「そして、ゆんゆんはセクシー担当のクリムゾンヴァーミリオン!」

 

「あ、ピンクじゃないんだ…あれ?それも赤に赤なんじゃ…」

 

まぁ、赤系の色だよね。ヴァーミリオン。そして、セクシー担当に異論はないんだな…

 

「そして私はダークなクリムゾンスカーレット!」

 

うん。少し暗いけどやっぱり赤系色。もう全員レッドだこれ!

 

「さらに!普段から赤のワンピースが似合うシルビアさんは本部の人役でクリムゾンルージュ!」

 

「え、私含むの?しかも私のコードネームも真っ赤じゃない?!」

 

多分、これ赤がチームカラーなんだろうな。なんで更にメンバーカラーなんて決めたんだろう…赤しか居ないけど…

 

「あ、ちなみに私は何色なんですか?」

 

「ウィズさんは悪の女幹部セクシーデビルでお願いします」

 

「えぇ!私だけ敵キャラなんですか?!」

 

と、ここでまさかの裏切り。色さえ無い。まぁ、一人くらいは悪役が必要だろうけど…ちょっと可愛そうな気も…

 

「はい!セクシーデビルのコスチュームはこれね!」

 

そして、問答無用で出てきたのは、ウサ耳の代わりに角と尻尾と羽が付いた。網タイツのバニー服。いや、これは確かにウィズだわ。仕方ない!

 

「これ、サキュバスさんたちが着るようなやつじゃないですか?!」

 

「大丈夫。絶対に似合うよ!」サムズアップ

 

「ちょっとあるえさん?!もう似合うとか似合わないの話ではなくて!これは流石に恥ずかし過ぎますよ!」

 

本人は乗り気では無いようだが、これは俺としても着ているところを是非見たい!なので、今回はあるえにつこうと思う!

 

「いや、待てウィズ!恥ずかしいって言うけど…ウィズの抜群のプロポーションなら着こなせるよ!絶対に可愛いって俺が保証するから、自信持っていいと思う!」

 

「へ?!カズマさんまで何言ってるんですか?!可愛いだなんて…自信なんて…」

 

うん、もう少し押せば行けそう!

 

「ウィズの身体を、一番知ってるのは誰かな?」(イケボ)

 

「それは、カズマさんですけど…」

 

「ウィズには、まだまだ隠された魅力があると思うんだ…これを着てくれたら、もっと新しい魅力が見つかると思うな…」

 

「か、カズマさんも着て欲しいんですか?」

 

くっ!恥じらい上目遣い!ちょっと良心が痛む!しかし、今は罪悪感よりエロいウィズが見たい!

 

「これを着たウィズは、きっと最高にキレイだと思うんだ…」

 

「…じゃあ…着ます…」

 

やったぜ!

_______________

 

「で?チームクリムゾンのあるえとゆんゆんは何に乗るんだ?3人でデンドロメイデンに乗るのか?」

 

「あの…その前に…私がここにいる理由は…」

 

礼拝堂の椅子を借りてきて、膝にコスプレウィズを乗せて座る。そう、悪の女幹部とは、悪の親玉に色目を使ってなんぼだ。今回はあるえ達の台本に付き合い、英雄の俺も悪役に徹しようと思う。うん、いい匂いする。

※これも織物の女神の衣装。性欲が増す。

 

「嫌かな?」(イケボ)

 

「嫌ではないんですが…恥ずかしいです…」

 

「じゃあ良いだろ?俺は、ここにウィズが居たら嬉しいよ」(誘うようなイケボ)

 

「……もう、ずるいんですから…」

 

可愛い!もう可能なら椅子じゃなくてベッドに連れ込みたい!

 

「良いムードのところを邪魔して悪いけど、私達の返事を聞いて貰うよ……私達が乗るのは…これさ!」

 

ゴゴゴゴ

突然の地響きに揺れる水面。そして、気付けばゆんゆんが居ない。まさか、乗って登場するのか?!

 

ザパーン

「おい…これ…まさか?!」

 

波立つ水面から、特徴的な紫の装甲をまとった大型の人型兵器。これはまさか!日本を代表するアイツでは?!

 

「そうこれが!汎用人型決戦兵器…·シンセイキさ!!」

 

「うわっ惜しい!汎用人型決戦兵器までは完璧なのに惜しい!」

 

なんでそっちを取ってしまったのか!

 

「あ、ちなみにこの本の背景にあったロボットだよ!私も詳しくは知らないけどね!」

 

『新世紀シ○ジ✕○ヲル』

 

あっ、参考文献が既にオリジナルじゃ無い…薄い本だ…しかもBL…確かにエ○ァの名前は一切出てない…

 

「さぁ、役者も揃ったし開幕と行こう!ウィズさん、ギガントサイクロプスをアンデッド化して!」

 

「分かりました!」

 

と、ウィズがデカい岩の…あ、これ死体だ!なんか細工してあるけど間違いなく死体だこれ!

 

「おいめぐみん。これは一体なんだ?」

 

「本当は強い魔力を持つサイクロプスがアンデッド化しないように処理するクエストを受けたのですが、せっかくですし、その死体もデンドロメイデンの為に有効活用しようと思いまして!」

 

こいつ…それでサイクロプスが化けて出ても、俺は一緒にトイレ行かないからな?部屋で漏らすまで見てるからな?漏らすまでな!

 

「なぁウィズ…これ大丈夫なんだよな?」

 

「任せてください。ネクロマンサースキルで作られたゾンビであれば私の命令は絶対です。それに、ちゃんと魔力回復ポーションも用意してます。今回はデンドロメイデングッズを私のお店で限定販売する事になってるので、準備は万全ですよ!」

 

まぁ、それなら今回は大丈夫だろう…安全が確保されているなら、俺もこのロボットバトルを安心して見ていられる。

 

「いきますよ!『カースド・ネクロマンシー』!」

 

巨大な死体を魔法陣が包み、目に見える黒い魔力がその死体に入っていく。すると、死体はゆっくりとその巨体を起こして…

 

「いやいやでかいって!これ体積サイクロプスの5倍くらいあるよ?!て言うか目も5個ある!」

 

「ええ、私があるえに頼まれて作ったキメラよ?サイクロプス5体をくっつけてデンドロメイデンと同じサイズにしたわ!」

 

シルビアが居るのはそういうことかよ!大丈夫?これフラグじゃなの?!今までも馬鹿な研究者には散々苦しめられたよ?!

 

「はっはっはー!相手にとって不足なし!さぁ、デンドロメイデン…起動!!うぉー!」

 

塔に魔力を込めためぐみんは、全力疾走で塔に上る。あ、そう言えば最上階が頭になるんだっけ?

 

ガショーン…ガショーン…

「あれ…長くない?変形長すぎない?!おいウィズ!アイツ一時停止できない?!」

 

「安心してください。私が命令すれば止まります。先にちゃんと魔力も回復しておきますから…ほえぇ!」ブフッ!

 

魔力ポーションらしきものを飲んだウィズが、突然何かを吹き出し、口元が少し透明になった。え?なにこれ聖水飲んだの?!

 

「…なんれぇ…ひたが…やけまふぅ…」

 

力なく倒れ込むウィズを抱き止め、薬品の瓶を拾い上げる。リッチーのウィズの舌を焼くなんて、そこら辺のアイテムじゃ到底無理なハズで……

 

『アルカンレティアの温泉で発見された奇跡のエリクサー。魔力も体力もフル回復します!※数量限定販売』あれ?なんだろう。これってまさか…

 

「『鑑定眼』」

 

主成分『温泉水』『水の女神の✗✗✗』

 

お楽しみしちゃった風呂の残り湯だこれ!女神の不思議パワーで具体的な成分は伏せられているけど、なんてものを売りに出してんだアルカンレティア!そりゃウィズも焼けるわ!特濃だよこれ!

 

「くそっ!ウィズ!ちょっと強引だけど舌を回復させるぞ!せめて喋れて、あいつを止められるレベルまで!」

 

「ふぇ?…ここふぇれすふぁ?!…んんっ!」ちゅぷっ

 

屋外だけど仕方ない!キスして舌を絡め取り、ドレインタッチで粘膜から直接魔力を流し込む!この方法なら舌も元に…

 

「んっ…ふぁ…ひゃぅ…んんっ!!」ビクンビクンッ!!…クテッ

 

「ん?あれ?ウィズ?!」

 

まだ回復が終わっていないのに、ウィズの口から唾液が溢れ、そのまま身体から力が抜けた。これ…まさか……

 

「きゅー…」

 

「駄目、マジ逝きしてるわ…これでは当分目覚めないわね…にしても、いくら溜まってるからってキスだけでこんなにするなんて…」ジュルリ

 

シルビアが脈を測り、とんでもないことを告げてきた。診断内容はともかく、つまりあのゾンビを止める手は無くなったのだ。そして、俺の身の危険が一つ増えた気もする。

 

「違うんだって!魔力を流し込んで治そうとしたんだって!」

 

ちょっとだけ楽しんでたけども!

 

「そんなこと言ってる場合じゃありません!サイクロプスが来てます!」

 

「そんな…まさか暴走?!最高じゃないか!分かってるね!」

 

「分かってるじゃねぇよ!あと、お前実は原作知ってるだろ?!」

 

ゆんゆんの声で視線を上へ戻すと、もうサイクロプスがこっちに向かって手を伸ばしていた。あ、すごい絶望感。これ握られた段階で死ぬやつだ。ちなみに、あるえは後で叱る!

 

「おいシルビア!アレはウィズの支配下にあるんじゃないのか?!」

 

「何も命令が無かったらただのゾンビよ!普通に私達を食べようとするに決まってるじゃない!」

 

「くそっ!ゴーレムみたいに止まっておけよ!」

 

ゆんゆんは良く分からない発進装置から急いであのロボットを外している。そして、目の前に迫ってくる大型ゾンビの手。このままだと、俺はマジであいつの昼食にされてしまう!

 

「あぁもう!また死ぬのか俺は!」

 

「させないさ!」

 

ドゴッ!

残り2mまでゾンビの手が迫ったとき、その手を蹴り飛ばした巨影。それは黄色の…あ、もう一機あったんだ…多分ゼロ号的な奴…

 

「カズマさんは死なないよ。私が守るからね!」

 

こいつ、本当に元ネタ知らないんだよな?

 

「シルビア、ちなみにロボットみたいなあれはゴーレムか何かなのか?!」

 

「あれ?魔力で無理やりコントロールしてるだけで、アレもサイクロプスのゾンビを飾ったものだけど?」

 

あれ?じゃあこれ、実質死体を使った人形遊びか…こいつらには倫理観とかないのか?!

 

「おい、まさか…あのサイクロプス…ビーム撃ちそうじゃないか?!」

 

サイクロプスの目が青く光っている。この遊びにこんな機能、絶対に不要だろ!

 

「なんでそんな余計な機能まで復活させたんだよ!それならせめて対抗策とか用意しとけ!」

 

「いやー自分の才能が怖いわ!本来ゾンビって魔法撃てないのよ?あ、対抗策はあるから大丈夫よ!ほら、あるえを見てて?」

 

先程の言葉を体現するかのように、あるえが俺達の前に出る。そして、サイクロプスの目があるえの…黄色い奴の胸に狙いを定めた。名前はまぁ…あえて聞かない!

 

「さぁ、折角付けて貰った機能を有効活用しようじゃないか!『AIフィールド』展開!」

 

ビーッ、バリバリバリ!!

放たれた光線は、黄色い奴の目の前に現れたバリアーに阻まれる。あれ、この光景を日本で見た気もするし、なんかこの世界でも見たような…

 

「この色々とギリギリな機能はなんなんだよ…シルビアは原作知ってんのか?!」

 

「原作?あれは私が紅魔の里で使ったやつよ?折角だから搭載したの!」

※紅伝説参照

 

あぁ、愛!って言いながら張ってたからAIフィールドなのか…別の意味でヒヤヒヤするなそれ…

 

「さぁ!お得意のビームは効かないよ!ここから先は、巨体同士の肉弾戦と行こうじゃないか!」

 

ダンダンダン!!

速い!中身が元々生物だからなのか、俺の知るロボットやゴーレムでは有り得ないスピード感で走るあるえの機体!この勢いで攻撃可能なら、あんなゾンビ瞬殺ではないか?!

 

「いけぇ!あるえ!問題が起こる前にそんな奴ぶっ飛ばせ!!」

 

「あぁそんな!デンドロメイデンがやっと起動したのに!」

 

めぐみんの不満なんて知ったことではない。流石にこれが街へ行ったら大惨事になる!あとでゆんゆんの乗ってる奴と戦っとけ!

 

ダンダン…ピタッ

「あら?なんか黄色いの止まったわね?」

 

「は?なんでそんな…あぁ?!」

 

バコーン!

あるえの乗っていた黄色いのがギガントサイクロプスの前で急停止した。相手はゾンビだ。それで待ってくれるなんて優しさはない。無情に殴り飛ばされ、こちらに黄色いのが倒れ込んでくる。

 

「どうしたあるえ!まさかシンクロ率的ななにかが…」

 

「…うぅ…酔った…吐きそう…」

 

あぁ、そりゃあんなに激しく動けば、乗ってるやつはヤベェよな…

 

「坊や下がって!追撃が来るわ!」

 

ドーン!!

「うぉ?!」

 

あるえの乗った黄色い奴に容赦なく踏みつけ、追撃を加えるギガントサイクロプス。やはり驚異として先に認識したのはこっちらしい。そして、潰された黄色の機体から、丸い人工物が飛び出すと、ゆんゆんの乗った機体が間に割り込んで来た。

 

ガシャーン!

「カズマさん!あれは搭乗装置です!中に居るあるえを助けてください!」

 

「マジかよ!そこら辺の安全確保はちゃんとしとけよ!」

 

飛び出した衝撃で歪み、傷だらけになった搭乗装置に駆け寄る。中の構造なんて知らないが、こんなの下手をすればあるえは……

 

「くそっ!あるえぇぇ!!」

 

あるえの名前を叫びながら、ハッチのハンドルを思い切り回す。自分もなんかギリギリな事してる気もするが、今はあるえの身が最優先だ。こんな馬鹿な理由で、大切な嫁に死なれてたまるか!

 

「ふむっ…愛する人が我が身を案じて必死になる様は、見ていて中々にときめく…まぁ、テレポート脱出してた私としては、こんな時どんな顔をすれば良いのか分からないのだけど…」カリカリカリ

 

「……笑えばいいと思うよ!なんでメモ帳持ってんだお前は!」

 

あと、やっぱり原作知ってるよね?!

 

「ふふっ…ボスの前には散っていく仲間が必須だろう?遅かれ早かれ、私のプロトタイプも死体処理の予定だったのさ!」

 

はぁ…シナリオ通りですか…そうですか…

 

「でも…大好きな人に名前を叫ばれるのは、予定外だったけど凄くドキドキしたよ…心配してくれて、ありがと…」

 

「お前、ほんとそういう所ズルいよな…」

 

普段中2の奴に、普通の口調で素直にデレられると怒りにくい。これではついつい甘やかしてしまう…

 

「うぅ…よくも…よくもあるえを!!」

 

「おっと、ときめいている場合じゃなかったね。ゆんゆんにはシナリオ言って無かったから…」

 

「道理であのゆんゆんがすげー迫真の演技だと思ったよ…可哀想に…本気で心を痛めてるじゃん…」

 

「大丈夫さ。あんな走ったらゆんゆんも直ぐに降りてくるよ!そしたら謝ろ!」

 

ガシャーン!!「AIフィールド全開!!」ガシャーン!!「負けないんだからぁ」ガシャーン!!

 

……………………………

 

「いやぁ、なかなか降りてきませんね?」

 

不思議なことに、ゆんゆんは激しい肉弾戦でも全く酔う気配を感じない。隣に居るめぐみんは1分で嘔吐して降りてきたのに既に10分はぶっ続けだろうか?3分の制限時間が無くて良かった。……にしたって、言い出しっぺのめぐみんはもう少し頑張ろう?

 

「ところでシルビアさん、映像はどうかな?」

 

「えぇ、記録水晶はばっちりだけど…結局デンドロメイデンは良いの?」

 

「あ、もうちょっと吐き気が落ち着いたら…乗らないで頑張ります…」

 

嫌な現実に直面しためぐみんは、ちょっとだけ熱が冷めたらしい。そう言えば、デストロイヤーの作者も同じことしてたな…

※二期OVA

 

「ちょっとシルビアさん!このサイクロプス全然倒れないんですけど!あれ?!て言うかあるえピンピンしてるじゃない!」

 

「案ずるなかれ!私がそう簡単に死ぬわけ無いだろう?」

 

確かに絶えず殴り合いをしているのに、ギガントサイクロプスは膝さえ付かない。ゆんゆんも体格差による不利を例の怪しいバリアーで耐えて居るが、これは確かに気の長い戦いになりそうだ。

 

「そりゃ、強化個体に通常個体で勝つのは無謀よ。元々デンドロメイデンで倒す予定だったでしょ?そのおまけのサイクロプスは見た目だけかっこよくしたけど、ステータスはただのサイクロプスよ?」

 

「ゆんゆん!そういう事らしいので、私の吐き気が収まるまであと3分くらいそのまま頑張ってください!」

 

「嘘でしょ?!ねぇ、あるえも手伝ってよ!」

 

「ふむ…この圧倒的なサイズ感と迫力を文章にするのは難しいね…なにか新しい表現を…」カリカリ

 

「せめて聞いて?!私の魔力もそろそろ限界なんだけど!」

 

ゴーレムを作るだけでも凄く魔力を消費するんだし、あんな頻度で、しかもあんな巨体を魔力でコントロールしていたら、流石に魔力も限界が来るだろう。むしろ、ここまで戦っていたゆんゆんってやっぱり凄い。

 

「あぁ!もう魔力が!テレポートも難しくなっちゃう!」

 

あ、それはマジでヤバイやつじゃ…

 

「仕方ありませんね…さぁ!行きますよデンドロメイデン!」

 

ズシーン、ズシーン

吐き気から蘇っためぐみんがデンドロメイデンを操る。さっきまで嘔吐したり、俺の膝枕に甘えたりするめぐみんのアクションを滅茶苦茶完璧にコピーしていたデンドロメイデンを何故かゆっくりと歩かせて……

 

「ちょっとめぐみん!早く来てよぉ!!」

 

「何を言うんです!こう言うごっつい系ロボットは走らないのです!イメージを考えて!」

 

「知らないよそんなの!」

 

しかし、こんだけ好き放題やって、いい加減誰かにバレたりしないのだろうか…

 

「あら?街の方から衛兵が来てるわね…流石に派手にやり過ぎてバレたかしら?」

 

「マジかよ?!こんな規模の騒ぎなんて絶対に怒られるじゃねぇか!めぐみん、さっさと決めろ!」

 

「ちぇ…分かりましたよ。それなら…デンドロメイデン必殺!」

 

ダンダンダン!!

うわ早っ!人と同じ動きが出来る大型ストーンゴーレムってやべぇな!アクシズ教がこれを量産したら世界を支配できるんじゃないか?!

 

「「クリムゾンブラッドキック!」」

 

ズドーン!!

見事な飛び蹴りに、ついに背中を地面についたギガントサイクロプス。そして、やっぱりピッタリと息が会うあるえとめぐみん。お前らすげーな…憧れないけど…

 

「でも、それだけで倒せるような相手じゃ…」

 

「はいっポチッと」

 

ドォーン!!

 

「「「はぁ?!」」」

 

俺とシルビア、ゆんゆんの声が被る。強敵と思われたギガントサイクロプスは、何故か内側からの爆発で爆散した。

 

「やはり大型の敵の最後は爆発だよね!」

 

「えぇ!この散り際あってこその巨大タイプの敵です!」

 

ルナさんが言ってた爆薬ってこの為かよ!

 

「ねぇあるえ…それじゃ私が乗ってるこれはなんの為に…」

 

「え?そりゃ盛り上げ要員だよ。引き立て役は必須だろう?」

 

「あ、うん…そうだよね…やっぱりそうなるんだよね…」

 

このゆんゆんの切なそうな声。爆破が可能で、あるえの負傷も嘘となれば、ゆんゆんの頑張りって本当に何だったのか…

 

「あ…じゃあ、そいつも焼くから降りてくれるかな?」

 

「あ、うん…そう、なるよね…」

 

「悔しい気持ちは分かりますよゆんゆん…もっと爆薬があれば、ちゃんと自爆で死なせてあげたんですが…悔やまれますね!」

 

「えっと…そこは別にいいんだけど…私の頑張りって…あはは…」

 

そして、少年の夢はあるえのインフェルノで即座に灰へと変わっていった。この世界は魔法があるが故に夢が生まれ、そして魔法があるからこそ散る夢もある。確かにこんなの、紅魔族の火力から見ればデカい的でしかないのだ。

 

「さて、証拠も全部灰になったし!衛兵が来る前に帰ろうか!」

 

そして、あるえへの認識も改めなければならない。こいつはただ計算高いと言うだけで、馬鹿騒ぎをする奴であることに変わりはないのだから…

 

「よーし!次は汎用人型決戦兵器を主題にスピンオフだ!次は自爆スイッチとか付けよう!」

 

うん、やっぱり近々解らせよう…そろそろ怪我人が出そうだから…




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

不定期更新ですが、今後もお暇なときにお付き合いください。
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