※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

これでこのネタは終わりですが、オチ要員は既にバレているでしょう。いつものあの人です!

ちなみに、カズマさんサイドの話ですが、何名かお気付きの通り、プロモーション詐欺ですよ?


その愛する二人に天望を(後編)

何を、どこで間違ったのか…

 

「この鎧は悪魔の宝具!ここに我が魔力を集めれば、その切り札とて通りはしない!先に砕けるのは、貴様の右手だ!」

 

そうだ。私は王の名を冠する最高位の悪魔。人間など、束になろうと恐るるに足りない…筈なのに…

 

「これで倒せるなんて思ってねぇよ!だから、本命はぁ!」

 

なんで…たった一人の人間相手に…私は恐れを…

 

「馬鹿な左手にも?!いや違う…これは、この技は先程のより更に!」

 

「これは愛と悲しみの鎮魂歌!震えて!眠れ!」

 

そうか…お前は最初から…一人で…戦ってなど…

 

作者不明、魂の記憶より。一部抜粋

______________

 

私の名前は天使 天(あまつかそら)見た目女子高生の美少女天使!上司に魔道具を返そうとしたら「あ、もう要らないからあげる」なんて言われて、売りに行ったら他の上司に見つかってさぁ大変!このままじゃ鏡を取り上げられちゃう!

※偽名で詐称です。

 

「天界の魔道具を、なに人間界で売ろうとしてるんですかぁ!」

 

「要らないって言うから良いじゃないですか!天界だと二束三文なんですよ!それに大した害もないですし!」

 

しかし、この手のアイテムは人間界なら60万円はかたい!そりゃもう全力で逃げますよ!私のボーナスより高くなりますからね!

 

「害の問題じゃありません!天界規定ガン無視してんじゃないですよ!また始末書と減給ですからね!」

 

「ははは!始末書なんて日常業務!減給額よりこの鏡の方が高値なのは間違いありません!だから、今回は全力で…逃げさせて貰います!」バサッ!

 

そう!飛んででもね!

 

「街中で羽を!何を考えているんですか?!」

 

残念!エリス様状態では飛んでる私には追いつけませんよね!人前に出る前にクリス様になっておけば…

 

「なんて、残念でしたね。貴女が飛ぶ瞬間を…待ってたよ!!」ダンッ!

 

しまった!人々の視線が私に釣られて上を向いた瞬間を狙ってクリスに!くっ、この街最速を相手にするのは流石に!

 

「不味い!追い付かれます!」

 

「ほら!捕まえ…けほっ!こほっ!なにこれ重曹?!なんで羽からこんなのが舞ってるの?!」

 

…作戦通りです!

 

______________

 

「と言うことで、この鏡を買いませんか?今ならなんと、たった60万エリスです!」

 

この鏡を売るなら、やはりカズマ様が好きで、なおかつ儲けている人でなくてはなりません!と言うことで、最初のターゲットはセナ様です!

 

「…お帰り願えますか?」

 

おっと、やはり門前払い。予想通りです。彼女の性格はリサーチ済みですからね!

 

「おや、いいんですか?これ、カズマ様との未来を体験出来る魔道具なんですよ?しかも天界の逸品なので再現性抜群!一応仮想世界なので自分の身体に害はありません!」

 

「……アクシズ教の勧誘レベルの謳い文句ですが…嘘は無いようですね…反応しませんし…」ソッ

 

嘘を看破する魔道具?!この人、天使相手になんちゅうもんを?!貴女も変なところでカズマ様に似てきましたね!この背教者め!

 

「まったく…私は天使ですよ?嘘なんてつきませ(チーン)…まぁ、誰かのための優しい嘘なら(チーン)……おい、なんで清純派(チーン)美少女(チーン)天使の私に鳴るんですか!」

 

…私、この道具めっちゃ嫌いです!!

 

「なるほど、天使になら効かない訳では無いと…それで、その魔道具に欠点は?」

 

くっ!なんてドライな対応を…まぁ良いです。素直に話してもこれは売れるでしょうし…

 

「えー、それでは気を取り直して…これは今の関係でカズマ様とお付き合いするとどうなるかを再現する魔道具です。リアリティを追求する仕様なので、失恋、やり捨て、浮気、離婚などの恋愛トラブルでさえ、好感度によっては普通に起こり得ます。なので、いい夢が見られると言うわけではありません」

 

「なるほど…その好感度とやらの信頼性は?」

 

「天界の術式に、カズマ様の遺伝子情報も使用してますから、それは相当な精度をお約束しましょう」

 

「なるほど…頂きましょう!」っ60万エリス ポンッ

 

いや今度は話が早すぎる!それにポンと出す金額ではない!そして持ち歩く金額でもない!

 

「なんですかその切り替えの早さは!高い買い物ですよ?!もう少しくらい悩んでも…」

 

「…貴女は、私の恋がなにも前進していない事実を分かってて来たのではありませんか?」

 

…えっと…あれ?嘘はつけないんだっけ?

 

「そ、そうです…なんか、すみません…」

 

「いえ、最後に買うのはあくまで消費者である私の決断、このやり方には文句など言いません。しかし、私を調べたのなら分かるはずです!私には、恋愛経験など無いと言うことが!そして、このままでは行き遅れると言うことが!」

 

一応危機感とか、結婚願望とかはあったんですね…

 

「しかし、あくまでこれは予想ですよ?カズマ様の好みなどは分かれど、自分から行動しなければこの未来に辿り着けるかは…」

 

「調査も捜査もまずは予測からです。恋愛に不慣れな私でも、調べることだけは得意です。ですから、これは大きな前進を生み出すアイテムなのです!」バンッ!

 

つまり、調査対象が犯人から意中の人に変わったと…えっと…それってつまりストーカーでは…まぁ、相手は色々な事件の犯人なんで…調査といえば調査ですけど…

 

「分かりました。それなら納得してお売りできます。でも、流石に60万エリスですし、一回くらい試しませんか?後味が悪い取引は嫌なので…」

 

「それはありがたいです。では、早速お願いします!」

 

「はい!頑張ってくださいね!」ペカー

 

……………………………

 

「なるほど、これは本当に現実としか思えません。しかし、だからこそこれは…嬉しいですね…」テレテレ

 

長いソファーに座るセナ様と、その膝を枕に寝ているカズマ様。なるほど、これは完全にカップルです。まぁ、あれだけ信頼関係を築いていたのですから、この結果は当然でしょう。ハレルヤ!

※60万エリスを前にとても穏やかですが、例の天使と同一人物です。

 

「はぁ、でもこれは現実ではないんですよね…」ションボリ

 

そうですね。でも、貴女は望めばこれを手に入れられるんです!頑張ってください!

 

「……現実じゃ…無いんですよね…」チラッ

 

ん?今なんかカズマ様の下半身の方を…

 

「現実ではないのですし、法律には抵触はしませんよね?それに、男の子はこう言うのが好きだって聞いてますし、これも社会勉強ですし…」ジー

 

え?セナ様?カズマ様のチャックをおろして一体何を?!貴女検察官でしょ?!そんなのお口に入れたら駄目ですよ?!

 

『見せられないよ』

 

やりやがったぁ!それ社会じゃなくて保健体育ですよ!

 

………………………

 

「え?付き合い方が分かった?!」

 

帰還したセナ様からの予想外の第一声。あれ、付き合ってたんじゃないんですか?!

 

「えっと…はい…詳しくは言えませんが、男女の関係になるきっかけを知ったと言いますか…カズマさんをその気にさせる方法を知ったと言いますか…」モジモジ

 

いや、そりゃあんな事すりゃその気にはなるでしょうよ…あれ?そう言えば、私これが見えてるって言ってませんでしたね。黙っておこう…

 

「カズマさん…自分に前科がある事を気にしてたみたいで…その…私の事を意識してはくれてたんですが…私の為にって一定の距離を置いていたみたいなんです。今回は、その距離を詰める事に成功したと言いますか…」

 

「まぁ、あの人らしいと言えばらしいですね…それで、どうやって関係を?」

 

「そ、それは……言えません!」ポッ

 

いやまぁ、成功した理由が性交したと言われても困るんですが…やっぱりアレがきっかけなんですね…まぁ、むしろカズマ様のガードを破る方法がわかっただけ収穫ですよ。えぇ…それ、実現できるかは別ですけど…

 

「まぁ、納得して購入いただけるなら、それが何よりです」

 

しかし、その用途がスケベな用途でも、お互いが納得すれば商売とは成立するのです。つまり、これは性交、じゃなくて成功と言えます!

 

「ありがとうございます。この魔道具で練しゅ…んんっ!女を磨きたいと思います!」

 

はは…この人が磨くのは、女じゃなくて多分竿でしょうけど…まぁ、お客様の用途を深く追求はしませんよ。えぇ、それより今は現ナマを…スカッ

 

「『スティール』!ちっ!お金の方だったか!」

 

「えっ!なんでクリス様がここに!」

 

そして私の現金が奪われた!

 

「玄関に白い粉が付いてたからね!悪いけどセナさん!それは天界に返さないといけないアイテムなんだ!この取引は中止だよ!」

 

「…え?天使様、それは本当ですか?」

 

「え?いや、別に私のですし?欲しい方に譲っても何も問題は…」チーン

 

しまった!あれ出しっぱなしでした!

 

「…禁制品の取引は、国家を超えて犯罪者を引き渡す法律になっています。本当に惜しいのですが、すみません!」ガバッ

 

「おっと危ない!やはり法の番人は揺るぎませんか?!」

 

「はい!カズマさんが、そんな私に憧れるって言ってくれたんです!これは絶対に揺るぎません!」

 

ふっ…いい顔しちゃって…さっき何してたか知らなきゃ最高にかっこいいんですけどね…

 

「やれやれ、残念です。しかし、私の顧客はセナ様だけにあらず!現ナマの為、まだ捕まる訳にはいかないのです!『エンジェルダスト』!」バサッ!

 

「こら!人んちに重曹ばらまくなぁ!けほけほっ!」

 

ははは!華麗に窓から脱出!

______________

 

「大丈夫です!入信すればアクア様のスタイルに近付けますよ!えぇ!エリス様よりナイスバディですから!むしろエリス様に近付くと小さくなるのでは?ほら、乗り替えるなら今ですよ!今ならトイレットペーパーついてますから!」

 

「は、離して!入らないから!絶対にアクシズ教には入らないから!それにエリス様は別に小さくないから!育ってるから!それに延々と入信書を書いたトイレットペーパーとか、使いづらいし、もはや背教的でしょ!」

 

ふむ、いくら盗賊でも、女性と子供4人に捕まえられては動けませんか…まぁ怪我をさせる訳にはいきませんし、妥当でしょう。

 

「安心してください!立場?権力?そんなもの関係なく愛を認めるのがアクシズ教です!入りましょう!ここは入っておきましょう!そして、愛らしい笑顔も身に付きますから!」

 

「やめてください!別に立場違いとか私は気にしてませんから!絶対に入信しませんから!それにアクア様って愛らしく笑うイメージありませんよ!ちょっと本当に辞めて!」

 

そして、セナ様は屈強過ぎるアクシズ教徒達には手も足も出ません。ふふふ、世間では恐れられているこの集団が、今は実に頼もしい!

 

「あの、天使様…本当にあのクリスさんの魂がアクシズ教を求めているのですか?あの方、かなり熱心なエリス教徒だとばかり…」

 

熱心というか、本人ですからね。絶対に求めてはいません。しかし、私の口八丁でなんとでもしましょう!

 

「勿論ですよセシリー様。クリス様は信仰深き故に、胸までもエリス教の節制の対象としているのです。しかし、そんなのエリス様もクリス様もお喜びにはなりません。それを優しく解き放ってあげるのが、後輩思いのアクア様のご意思なのです…」

 

「な、なるほど!!そこまで思慮深いなんて…流石はアクア様付きの天使様!そしてアクア様です!」

 

ふふふ、これでも元はアクア様付きの天使。皆様の信仰心は把握済みです。そして、実はセシリー様も顧客候補!アクア様が喜ぶアイテムになら、この人達は生活費さえ削りますからね!

 

「では、そろそろ私の降臨した本題と行きましょう。今回は滅多にその腕を振るわない天界の職人が作った魔導具を持ってまいりました。少し値は張りますがアクア様へ贈り物としていかがでしょう?」

 

まぁ、愛の女神様って基本的には傍観者ですから、嘘ではないのです!

 

「鏡ですか?これでアクア様がお喜びに?」

 

「ただの鏡ではありません。これは愛する者との未来を映す鏡。つまり、アクア様が覗けば、カズマ様との幸せな未来が見える鏡なのです!ちなみに、60万エリスです!」

 

「え?あの…天使様を疑う訳では無いのですが…高くないですか?幸福な夢を見られるマジックアイテムなら、割と世間に流通してますよね?」

 

あぁ、あの妄想を夢に見られる枕ですか。あれは催眠スキルの魔法陣を裏地に入れただけですから、本人の想像力がないと再現性がクソなんですよ。私が使うとエリス様とカズマ様以外棒人間ですもん。

 

「疑いたくなる気持ちは理解しますよ。高い買い物ですからね。それならば!現実と区別が出来ない程のリアリティをその身をもって証明なさい!リアルゆえに手酷くフラレる可能性が高いですが、その時は慰めてあげます!」

 

「え?!これフラレることあるんですか!ちょっと待ってください!それはなんか嫌なんですけど?!リアルに傷付くだけなのですけど?!」

 

「リアルなのですから仕方ないでしょう!さぁ、精密に再現された世界に飛び込むのです!」

 

「私も人の事言えませんが、人の話を聞いてくだ…」ペカー

 

よし、ついでに負け犬仲間も確保です!

 

………………………………

 

「んっ…あれ?普通に動けますね?素肌にシーツが触れる感触もリアルで…凄い!これって本当に仮想のって裸?!」

 

くっ!なんて美しいプロポーションしてるんですかこの人!必死にシーツで隠してもわかる程のメリハリ!神はなんでセシリー様にそんなもの与えたんですか?無駄でしょ!あ、その神が一番無駄にしてるタイプでした…

 

「まったく、朝から元気過ぎるだろ…まぁ…セシリーが元気ないのは考えられねぇけどさ…」

 

ちょ?!なんで裸のカズマ様が隣に居るんですか!あなた聖職者でしょ?!そしてカズマ様もアクシズ教嫌いでしょ?!

 

「え…そんな…か、カズマ様に犯されたー!」ビエーン

 

「おい辞めろ。それ何度目だ。お前が俺に一服盛ったの、知らないやつの方がもう少ないぞ…」

 

え?セシリー様こじらせてんの?事後に見せかけるとか最低ですよ?

※こいつは3日土下座して抱いてもらいました。

 

「え?…えっとその…ちょっと状況を説明して貰えますか…その、可能なら最初から…」

 

「まだ酔ってんのか?お前が酔った勢いで色仕掛け勧誘したんだろ?「アクシズ教に入ってくれたら、カズマ様はここにも自由に入っていいですよ…今日は体験入信です…」って言って…」

 

色仕掛けだそれ!聖職者が一番やっちゃ駄目なやつですよ!アクシズ教も地に堕ち…いや最初から地底でした!色仕掛け自体は普通にやってたこの人!

 

「わ、私そんなビッチじゃないです!アクシズ教もそんな爛れた宗教では…ない…はずで…」

 

いや、ゼスタ様がセレナ様に何をしようとしたかお忘れなのでしょうか…割と爛れてますよ?

 

「セシリーはまぁ、俺以外は知らないみたいだし…別にビッチとは思ってないけどさ…」

 

「え?あの…それじゃまるで…しちゃったみたいな…」

 

「待て待て!自分から跨って何言ってんだ?!俺だって最初は駄目だって言ってただろ!…ただ、ちょっと俺たちの相性が良過ぎて…今は俺も拒めないっていうか…関係に溺れてるって言うか…」

 

それ完全に爛れた関係ですよ!もうカズマ様もギルティですよ!

 

「わ、私が?アクア様を心から信仰する私がそんなこと…」

 

「……ほら」

 

カズマ様の首筋に大量のキスマーク!これはもう言い逃れできない!

 

「まったく…後で自分でヒールして隠すくせにさ…」グイッ

 

「えっ?あの…ちょっと?!」ポフッ

 

押し倒した?!拒むのですセシリー様!この魔導具は行けるところまでは強制的に持っていきます!直ぐに拒んで信仰を取り戻すのです!

 

「あの…今日だけは…その…」

 

そうです!拒むのです!貴女は強い娘です!信仰心を取り戻して!

 

「優しくお願いします…」

 

乗っかってんじゃねぇー!!

 

「あぁ、それでも思い出すだろうからな…」

 

「あっ…嘘…身体が勝手に…欲しがっちゃ…あっ!」

 

『見せられないよ』

 

またですか!貴女も仮想現実だからって欲望に忠実過ぎるでしょう!どんだけチョロいんですかこの人達は!

※繰り返しになりますが、こいつは3日土下座した天使です。

 

………………………………

 

「ま、間違いなく…凄い魔道具でした…」プルプル

 

あぁ、そんな真っ赤になって震えちゃって…凄いのされちゃったんですね。ポテンシャルを完全再現している訳ですから、カズマ様の性技はもはや淫魔級…そりゃ始めちゃえば凄いでしょう。処女にそんなの…抗えるはずも無いのです。

 

「では、金額の価値を証明したという事で、後はお金の話を…」

 

ばたんっ!

「そこまでです!」

 

くっ!セナ様が追いついて来ましたか…アクシズ教は一体なにを…

 

「天使様!その羽、実は白い粉で白く染めているとの疑惑がかけられております!もしそれが真実ならば、貴女は汚らわしき堕天使、ここに置いておくわけにはいきません!」

 

くっ!堕天使より汚らわしい奴らがそれを言いますか!まぁ良いです!方法はどうあれ、私は堕天とは無縁ですからね!

 

「なにを馬鹿な!私の羽は間違いなく純白!この粉はちょっと付着しているだけの話で、水で洗おうとその白さは健在です!ほらセシリー様、見せてやりなさい」

 

「では、聖水を…」バチャ…ジュ~

 

「あっつ!馬鹿なんですか?!その聖水熱湯じゃ…ない?!」

 

しまった!芯まではまだ白くなかった!やはり重曹を溶かした45度のぬるま湯に30分浸さないと、完全浄化は無理ですか!

 

「やはり…欲望と嫉妬により堕天して居たんですね…」

 

「え、エリス様?!えっと…そのフルチャージされた魔力は…」

 

何か、目視できるレベルで魔力がフルチャージされてるんですけど?!あと、目がすんごい怒ってるんですけど?!

 

「天使を騙り、女性の胸のサイズを信仰の理由にする不届き者には、やはり浄化の魔法がふさわしいですよね?『セイクリッド・ハイネス』」

 

あ、それは浄化の余波だけで死ぬやつ!くぅ、胸をイジるべきでは無かった!!

 

「くっ!緊急脱…」

 

「『エクソシズム』!」カッ!!

 

______________

 

「はっ?!私…生きてる?」

 

見覚えのない天井に手当された身体。そして…

 

ぺちぺち

「あっ!お母さん!手羽先起きた!」

 

私の頬を叩くちっさいめぐみん様…これがこめっこ様ですか…ところで、手羽先って私ですか?

 

…………………

 

「本当に無事で良かった。手羽先の生えた人の治療法なんて分からなかったから、取り敢えずポーションを飲ませたんですが、効いてよかったです」

 

あぁ、私の目の前に女神が!て言うか、可愛すぎませんかこの人妻!胸が無い以外はパーフェクト美人!これはめぐみん様の未来が楽しみです!

 

「この度は、助けて頂きありがとうございます。私はエリス様に使える天使。貴女のことも存じております。めぐみん様のお母様、ゆいゆい様ですよね?」

 

「はい。娘がいつもお世話になっています。ところで、天使様はなんであんなことに?」

 

「えっと…その話をする前に…こめっこ様、私の羽を噛じるのをやめてください…そろそろ血が出ます」

 

「え?これ手羽先じゃないの?!」ハグハグ

 

「違います!天使の羽です!今は訳あって剥げてきつね色で、どう見ても手羽先にみえますけど、回復したら羽ですから!」

 

………………………………

 

「なるほど…エリス様がお金稼ぎの邪魔を…」

 

「そうなんですよ!あの人はお金持ちのカズマ様に養われていて、天界でも確固たる地位を持つお方!私にとって、このビジネスが如何に大切なのか分かってくれないのです!お金持ちに貧乏人の気持ちなんて分からないのです!」

 

がしっ!

「天使さん!お金のない辛さは私にもわかります!その魔導具販売、私がお手伝いします!少しだけ仲介料は頂きますが、私が持っていけばエリス様には分かりません!お金は売れ次第取りに来ていただければ結構ですので!」

 

な、なんと!ここに救いの女神が!魔道具を卸している以上、それなりに流通ルートは把握しているはず!そして何より、この人は貧乏人の味方です!

 

「ありがとうございます!商品はこれなのですが…」

 

「なるほど…未来予測の魔導具ですか…鏡面の裏に誰かの遺伝子情報を入れてあるのは、使用者とその誰かの相性を判断するため…つまり、二人の将来を見通すアイテムといったところですね…」

 

なんですかこの人!女神のアイテムを即座に見抜きましたよ?!これがプロの魔道具職人!なんで売れないクソ商品を作るのか分からない程に優秀ですよ!

 

「そして…この擬似空間を作り出す術式があまりに複雑で高精度なのが気になります。まるで、痛みまで感じるような世界構築をするような…」

 

「えぇ、それがこの魔道具の真骨頂です。まるで現実のような仮想空間で、使用者はある程度自由に動けます。なんなら試しますか?残念ながら対象は義理の息子さんなので、甘酸っぱい未来は無理だと思いますが、リアルな世界を体感するには良いと思いますので…」

 

「…ゴクッ…えぇ、それでは…少しだけ…」ペカー

 

あれ?なんか一瞬、ゆいゆい様が、獣のような目をしたような…

 

……………………………

 

あれ?何も映らないですね?まさか失敗なんて…

 

「……」

 

ん?わずかに声が…『エンジェル・イヤー』※地獄耳

 

「ねぇ…一回だけ…おねがい…」

 

「だ、駄目ですって…お義母さんには、お義父さんが…あぅ!」

 

この人義理の息子に迫ってる?!とんでもない背徳プレイしてますよ!その為に魔道具内から外部監視の術式に干渉するなんて、なんて才能の無駄遣いをしてるんですか!

 

「なら、カズマくんはどうしてこんなに硬くしてるの?こんなおばさんでも良いの?」

 

「だって…お義母さんは凄く美人で…2人も産んだなんて思えなくて…」

 

「あら嬉しい…そんなこと言われたら…本気で欲しくなっちゃう…ねぇ、しよ?カズマさん…」

 

とんでもねぇです!あの人妻とんでもねぇ闇を抱えてますよ!ある意味ラスボスですよ!

 

「あっ!駄目ですお義母さん!そんなの舐めちゃ…うっ!」

 

あかん!これ映像基準でプロテクトがかかるから、サウンドオンリーだと全部聞こえちゃいます!こめっこ様にも聞かれてしまいます!

 

「あれ?お母さん、中で何してんの?」

 

盛り上がって来て段々声が大きくなってる!仕方ない!今回ばかりは!

 

「『ヘブンズ・ゲート』!」

※天界への門を開けるスキル。天使は自室に繋いで、私物を取り出すのに使う。

 

「こめっこ様!特別に私のカップ麺を差し上げます!作り方はこの世界の文字でも書いてますので、宿の食堂で食べてきてください!」

 

「いいの?!ありがとう天使様!!」スタタタ

 

よし!取り敢えず幼児のトラウマは去った!そして二人は…

 

「めぐみんと同じ所が良いんですね…お義母さん可愛い…」

 

「あぁん!カズマさんの凄い!お願い!今だけはゆいゆいって呼んで!一人の女にしてぇ!」

 

「ゆいゆい!あぁ、ごめん!もう限界だ!」

 

「あっ!義母の膣内にだしちゃうの?私も玉の輿にしてくれるの?」

 

「くっ!やっぱりゆいゆいは悪い女だ!身体でわからせてやるからな!!」

 

「あぁん!すごい!カズマくんに分からされちゃうー!!」

 

あっ…駄目だこれ…親として、と言うか人として駄目だこの人…

 

……………………………

 

「えっと…これ、音も聞こえちゃうのね…」

 

ツヤツヤ顔で戻ったゆいゆい様は、私の顔を見るなり鏡を確認しました。やはり、確信犯でしたか…

 

「はぁ…今回は助けて頂いた恩もありますし、こめっこ様も引き離せたので不問にしますが、娘さんの旦那ですよ?何考えているんですか…」

 

と言うか、せめて少し躊躇しなさいよ。お互いの合意で行けるところまでは行く魔道具なのに、あなた露骨に行き過ぎですよ!

 

「だって…旦那がずっとしてくれなくて…むしろ避けられるようになって…カズマさんだけは、こんな私に凄く優しいんだもん…ちょっと魔が差しちゃったの…」グスンッ

 

「え?あんな仲良さげなのにですか?!」

 

やはり、人には言えない夫婦の悩みってあるんですね…こんな美人な奥様を避けるなんて、やはり倦怠期は避けられないんですね。それで優しいカズマさんに心惹かれたとなれば、少し位は同情を感じます。

 

「そうなの!前は一晩で4回はしてくれたのに…今は露骨に避けて寝てしまうし…思い切り甘えても頭を撫でて終わり…もう女として見られて無いの…」シクシク

 

いや違いますね。枯れただけですね。そんで理由はこの人ですね。ろくなもん食ってないのに4回って…

 

「それで…その…これを売ったら娘のライバルが増えそうだし…私が買って、封印しても良いかしら?」

 

「は?そりゃ買った後のことはとやかく言いませんが…これ一応60万エリスしますよ?勝手にそんな大金なんて出せますか?」

 

「大丈夫!ここならなんとでもなるから!」

 

…ここなら?

 

…………………………………………

 

「嘘…でしょ……」

 

ニコニコ顔でギルドに向かったゆいゆい様は、手当たり次第に危険モンスターの討伐クエストを受注。そのまま、ものの3時間で60万エリスを稼ぎだしました。いや、グリフォンとマンティコアの喧嘩に割って入って瞬殺って…化け物ですか?爆発魔法で眼球と呼吸器官を焼くなんて、どこぞの指パッチン大佐しか見たことないですよ!

 

「やっぱり討伐クエストが余ってる地域は良いですねぇ。ほら、これで良いかしら?」

 

「まぁ、めぐみん様の恋のライバルを未然に防ぐ為と言いますし、お金がちゃんと貰えるなら、私は何も…」

 

「えぇ!責任持って封印するわね!」ハァハァ

 

あ、違う。この目はまだ飢えてる。いや、でも…この野獣が本人を襲って修羅場になる位なら…渡した方が…

 

「ひっ?!」ゾクッ

 

背筋が凍るような冷たい殺気!まさか、1日に2回もこれを感じることになろうとは!流石にもう死んだかも!

 

「『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』!」カッ!

 

「『アイスプリズン』」ジュッ!

 

散らせた?!すげぇ!ゆいゆい様すげぇ!実は半端ないぞこの人!

 

「すみませんが、その羽が付いた生物と鏡を、こちらに頂けませんか?」

 

「あらあら、エリス様どうしたんですか?いきなりそんな危ない魔法を撃つなんて。温厚な貴女らしくないですよ?」

 

あれ?!今この二人が激突すれば、私は逃げられるんじゃ…そして、ゆいゆい様が勝利すれば、私は即時お金も得ることが可能!負けても逃げて、後でゆいゆい様に鏡をお渡しすれば良い。つまり、この状況は私にとって最高の勝ちパターン!

 

「そ、そうですよエリス様!貧乏な部下のなけなしの副業を、どうして邪魔するんですか!」

 

おらこい!こっちには化け物母ちゃんが付いてるんですよ!もう負けパターンはありえませんよ!

 

「あらあら、貴女はゆいゆいさんを味方にしたつもりですか?」

 

「ふっ!このアイテムは既にゆいゆい様にお売りしようとしているところでしてね!残念ですが、エリス様の味方につくなど…」

 

あれ?私は何かを見落としている?なんですかこの居心地の悪さは…どこですか?!どこで何を見落としたんですか?!

 

「……私の貧相な胸は、節制の証なんですって?」

 

あっ…

 

「…あらあら天使さん?女性の胸に、その言い草はあんまりなのじゃないかしら?誰も好きで小さくなんて無いのよ?」

 

ま、不味い…この二人は…地雷が同じところに埋まってる…

 

「そ、そんなこと私が言うわけ…」チーン

 

「残念ですが…私の前で嘘は通じませんよ?」

 

セナ様!この人が敵にいるのに、目立つ行動はすべきでは無かった!

 

「き、緊急だっしゅ!え?!」ガクッ

 

私の靴が氷の靴に?!地面から離れない?!ゆいゆい様の笑顔も凍ってる?!

 

「大丈夫…これからするのは浄化ですからね…清らかになりましょうね?」

 

残りませんよ!その浄化は身体が残りませんよ!ゆいゆい様、流石にそれはやり過ぎだと庇ってくれますよね?!あの魔力量はおかしいって、貴女なら分かりますよね?!

 

「それなら安心ですね…二度と人の胸をバカにしない、清らかな心になれるんですね…」

 

あっ…知ってる。これって駄目なやつ…

 

「い、いやぁぁぉ!!」

 

カッ!ドーン!

______________

 

「それでこんな焦げてんの?なんなの?馬鹿なの?」

 

「酷い?!アクア様は、もっと部下への優しさを持つべきです!」

 

エリス様の浄化で天界にES※した私は、手羽先と化した羽を直してもらうべく、今度はアクア様の元を訪れました。流石にこれでは、天使と言われても信じてもらえません。

※ES=エクストリーム里帰りの略。別名強制送還。またはデスルーラ。

 

「ちゃんとヒールしてあげたでしょ?そもそも、私の事を準備もなしに人間界に送った子にヒールするなんて、私すごく慈悲深いと思うんですけど?」

 

「……はい…そうですね…すみません」

 

それに関してはなんもいえないです。半分寝てて、愛の女神様のゴーサインに焦ってボタン押しちゃいましたし…

 

「て事で、私にもそれ貸しなさいよ。どうせ隠し持ってるでしょ?あんたが金目の物を盾にして壊すなんて、普通に考えて有り得ないし」

 

「…流石です…本物はこっちです」コトッ

 

流石はアクア様、逃走時に似たデザインの鏡を買い、焼かれる時に咄嗟に盾にしたことを見抜いているとは…この人は本当に良くわからない所で侮れません…

 

「ふふふ、私と二人だったら、カズマさんはどんな反応するのかしら?この美しい女神に毎日劣情を?それとも、平伏してアクシズ教に?」

 

多分、それなら劣情ですよ…アクシズ教はありえないってセシリー様が証明したんで…怖いから言いませんけど…

 

「よし!じゃあちょっと行ってくるわ!真に愛されてるってどういうものか、鏡の向こうで見てなさいよ!」ペカー

 

「あ、はい…いってらっしゃーい」

 

………………………………

 

「ふむ、悪くないわ…この美しい私を完全再現するなんて、なかなかの魔道具ね!」

 

アクア様は、鏡の世界で鏡を見ています。あの自意識が凄いアクア様に完全再現と言わせるなんて、よほど作り込まれているのですね。

 

「なんだアクア、鏡なんて見て?お前、女神だから美しさは揺らがないんだろ?」

 

あれ?普段どおりですね?やっぱり既に幸せを掴んでいると、ふたりきりでも何も変わらないんですかね?

 

「ねぇねぇ!その美しい女神と結ばれた幸福なカズマさん!ちょっとたまには私への愛を言葉にしてみない?」

 

あ、物足りなかったんだ…そういうところですよ?ウザがらせるの…

 

「え?愛ってなんのこと?」

 

「……え?」

 

……え?

 

「や、やだもー!カズマさんってば冗談キツすぎークスクスー、こんな二人で新婚みたいな生活して、愛がないなんてそんな…」

 

「は?二人なのはこっち来てからずっとだろ?何を今更言ってるんだよ?」

 

「……は?」

 

え?魔王倒したのにそんな義務感みたいな話なんですか?

 

「お前が5年前に「魔王倒したのに帰り方が分からないのー!」って騒ぐからずっと一緒にいるだけで、俺達そう言う関係じゃないだろ?」

 

あ、これ…まさか?!

 

「う、嘘でしょ?!え?この色んな所に行ったっぽいご当地お土産は?一緒に行ったのよね?!」

 

「行ったけど?」

 

「ベッド一つよ!一緒に寝てるのよね?!」

 

「寝てるけど?お前が寝室なんて沢山いらないって言うから」

 

「う、嘘でしょ!これで付き合ってないの?!」

 

「付き合ってねぇよ…お前が「土下座したら考えてあげようかなー?」とか言うけど、俺はそのつもりはねぇし…」

 

「そ、そんなことあるの?!キスくらい!ほっぺにキスくらいしたんじゃ…」

 

「ないけど?」

 

すげーーー!!!男女が同じ屋根の下、同じ布団で寝てなんも起こらないってむしろ凄い!

 

「え?なんなの?アクアは俺のこと好きなの?お付き合いしたいの?」

 

お!アクア様、今です!貴女から関係を変えるのです!

 

「はぁ?!調子乗らないで貰えます?何で私がカズマに?釣り合うと思ってるんですかぁ?それなら、少しくらいは英雄の貫禄でも身につけたらどうなんですかぁ?」

 

あぁ!またそうやって余計なことを!

 

「はぁ?!それならお前も女神の威厳くらい見せてみろよ!この駄女神が!」

 

「あぁ!!カズマさんがまた言っちゃ駄目なこと言ったぁ!」

 

キャー!ワー!

あぁ…なるほど…あの二人の関係は、誰かに取られそうにならないと、失いそうにならないと、自力では前に進まないんですね…

 

「見てなさいよ!ちゃんと私が理想の奥さんだって教えてやるんだから!後で土下座しても結婚してやらないからね!」

 

「言ったな!土下座させてみろよ!俺が生きてる間にな!」

 

「ふざけんじゃないわよ!そんなにかかんないから!カズマさんなんて数日でイチコロなんだからね!」

 

もう、一生やっててください。なんだかんだで、あなた達はずっと離れないんでしょ?

 

「あ、アクアを見直す方法あるわ!エリス様とチェンジで!」

 

「なぁんでよぉ!!」

 

あぁ…なんでしょう。駄目だけど…お付きとしては本当は駄目なんですけど…爆発してください。アクア様。

 

……………………………

 

「なによこのクソ魔道具!!」バキッ!

 

「あぁ!私の臨時収入が…」

 

うぅ、悪いことって…出来ないもんですね…

 

 

 

 

 

____________

 

オマケ

 

「ねぇお母さん?それなぁに?」

 

「ん?すっぽんと鰻よ。臨時収入があったから、美味しい物を買ったの!」

 

「これは?」

 

「牡蠣とアサリと、ニンニクと山芋!お父さんが帰ってきたら、元気になるご飯。いっぱい作ろうね!」

 

「うん!今から楽しみだね!」

 

_____________

 

「うっ!悪寒がする…」

 

「え?お義父さん…大丈夫ですか?もう戦いは終わりましたよ?俺達の勝ちですよ?」

 

「いや、なんだろう…私の戦いは、多分まだ終わってないんだと思う…」

 

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

最後だけ、と言うかゆいゆいさんだけどうしようか悩んだのですが、私の作品に修羅場はありません。子供は産ませません。代わりに、ひょいざぶろーさんには死んで貰います。

次回も不定期更新です。
またお暇な時にお付き合いください。
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