回想とかカズマの心の声でしか出て来ないキャラを出します。
それでも、いつもと変わらず酷い内容です。
お暇で寛容な方、お付き合いください。
最初に丸い蛍光灯が目に入った。懐かしくて、目覚めるのが少しだけ惜しくなる。そんな日本の、我が家の思い出…
「でも、今更懐かしんでもな…」
埃っぽい自分の部屋を見渡すと、俺が死んだ頃の、引き籠もっていた時の配置。折角なら、まだ学校生活を楽しんでいた時の部屋が良かったが、そんな記憶はきっと俺が閉じ込めてしまったんだろう…
「起きるか…俺が覚えていたら、日本の味が楽しめるかも知れないし…」
……………………………
「おはよう母さん」
「あら、あんたが朝に起きて、しかも挨拶するなんて珍しいわね?あれなの?メンテ日ってやつ?」
あぁ、懐かしい。この感覚はやっぱり母さんだ。夢だけど、それでも少しだけ胸が熱くなる。
「なんだよ。俺だってたまには朝に起きるさ…なんか朝食になるもんある?」
「最高の栄養バランス食が用意してあるから、牛乳かけて食べな!」
あぁ、いつものコーンフレーク…夢の中でくらいできる母でもいいのに…でも、それでこそ母さんだな…
「おはよう和真。今日は早いじゃないか。学校に行く気になったのかい?」
「おはよう父さん。朝からそれかよ…でも、今なら行けるよ。心配かけてごめん…」
いつもなら反抗して来たこの言葉に、今は真っ直ぐに返事が出来る。本当なら日本に生きている時にこうやって返事をしたかったな…
「…あぁ…ありがとうカズマ…お前のその言葉を、俺はずっと聞きたかったんだ…夢の中で、死んだ後で最後の親孝行なんて、お前も天国で立派になったんだなぁ…」グスッ
「やめてよお父さん…夢だって言ったら…カズマが消えちゃうかも知れないでしょ…今だけは、懐かしい夢を見せて…」グスンッ
「おいおい、なんで俺の夢で父さんと母さんがネタばらしするのさ?それは白けるからルール違反じゃ…」
「「……は?」」
あれ?なんだこの何とも言えない微妙な空気…そして、俺の知らない家具と食器に、テレビに流れる最新のファイナ○ファンタジーのCM。夢にオリジナルキャラクターなんて出せる筈がない。つまりこれは……
「「「まさか、夢じゃない?!」」」
_____昨晩※めぐみん目線_____
どうしましょう…これ完全に私達のせいですよね…
「カズマさん!カズマさん!!目を開けてください!」
「駄目です…これは完全に死んでます…」
白いドロドロまみれで泣いてるゆんゆんと、カズマだった…干物。目の前の光景は、完全にサキュバスが若い男を搾り殺したところにしか見えません。
「ねぇ…最後ゆんゆんだったわよね?私悪くないわよね?」
「そんな訳無いでしょう!!アクアだって6回してるじゃないですか!それに、ヒールを怠ったのもアクアですよ!」
「め、めぐみんだって回数は同じようなものでしょ!でも、明らかにゆんゆんにかかってる量がおかしいもん!絶対にこれが死因よ!」
「えぇ?!これ私がコントロール出来る事じゃないですよ?!」
確かにゆんゆんの身体には、一人の人間から出たら死ぬだろうと言う量のアレが付着していますが、面白がって支援魔法かけたアクアにも問題があります。まぁ、全員3周はしてますし、ここに誰一人無罪は居ませんが…
「アクア!はやくリザレクションして!エリスはダウンしてるけど、あんたもう職場復帰して全盛期のスキル使えるんでしょ!天界で事情聞かれる前にさっさと蘇生して!!」
「あっ!そうだった!『開門』!『リザレクション』!」
まったく…管理する世界のない師匠の方がそこら辺を把握してるなんて…やっぱりアクアは…
サラサラサラ-
「えぇ!カズマ消えてますけど!ちょっと何したんですか!アクアは本当に何したんですか?!」
「えぇ!知らないわよ!こんな前例ないもん!!ちょっと起きてよエリス!なんなのこのパターン?!」
______再び現在※カズマ視点______
「うわっ…本当に俺だよ…て言うか、他に写真なかったのかよ…」
ちょっと両親が作戦タイムとか言うので、取り敢えず居間で待たせてもらうと、嫌でも目に入る仏壇…そこに映る、学生証の写真を極限まで引き伸ばした俺の写真…
「思春期だからって写真を避けるんじゃなかったな…画質が酷いことになってるし…」
まぁでも、一応手を合わせておこう。なんか不思議な感覚だけど…
チーン
「確保ォー!!」
「えぇ?!ちょっとなんでぇ!!」
突如、俺の事を取り押さえる両親。抵抗は可能だが、流石にここで拗れたら困るので抵抗は出来ない!
「はっ!何を白々しい!うちの和真になりきったつもりかも知れないけどね!和真が自分の仏壇に拝むわけないでしょ!」
「そうだそうだ!それに、あの引きこもりで運動嫌いの和真にしては筋肉が付きすぎている!そして何より!」
「「和真は死んだ!なりすましなら生きた人にしな!」」
あ、どうしよう。これ全く反論出来ねぇ奴だ…
__________
「いやー、まさか実の両親に簀巻きにされるとは思わなかったなぁ…」
抵抗して怪我をさせるのも不味いので、取り敢えず今はされるがままだ。まぁ、その結果が椅子への簀巻きなんだけど…
「お父さん!早く110番に電話よ!」
「えっと…110番って何番だっけ?!」
あ、駄目だ。すげー取り乱してるわこれ…
「通報前にさ…少しくらい俺の話を聞いてくれません?ほら、二人共完全にスルーする程のそっくりさんとか、普通ならありえないでしょ?」
「そ…それは確かにそうだが…はっ!まさかクローン?!」
おぉ、そうきたか…確かにこっちの世界にはそう言うのもあるしな…
「お父さん、それは無いわ。うちのカズマを量産してなんの役に立つの?」
「おい!自分の息子にそれはあんまりだろ!と言うか、死者を冒涜って最低だろ!」
「うるさいわね!その死者になりすましてるバカに言われたくないわよ!」
うわぁ…腹立つけど俺でもそう言う…流石親子だわ…
「…母さん、なんかこのやり取り…すごく懐かしくないか?」
「えぇ…なんか、私もそんな気がして来たんだけど…でも人が生き返るってあるの?」
まぁ、そりゃ生き返るなんて思わないだろうな。俺だって何度も経験してやっと慣れたし…いや、慣れちゃ駄目なんだけど…
「実は…死んだ和真が偽物だった可能性ってないか…」
「ま、まさか!そんなこと…」
おっ?予想外な方向ではあるが、これは俺が本物と認めて貰える方向に進むんじゃないか?
「確かに…トラクターとトラックを間違えて、変な正義感で動いた癖に心臓麻痺っておかしいわ!いくら和真でもそこまでダサい筈無いわ!」
「ぐふっ!」グサッ
「そうだろう母さん!あんな「ぎょえー!」とか言いそうな変顔で、しかもあんなダッサイポーズで死後硬直ってありえないだろ?!」
「ガハッ!」グサグサッ
くそぅ!他人事なら俺だってそう言うけど……言うけど!!
「す、すみません…そのダッサイ心臓麻痺は真実です…だからもう、止めてください…」
心も死んじゃう…
「…嘘でしょ?」
あぁ…自ら白状してしまった…でも、心が死ぬより警察でDNA鑑定された方がまだ…
「母さん…カズマの死因を誰かに話したのか?」
「いいえ…病院の皆さんも誰も信じてくれないから誰にも言えないって笑ってたし…」
あれ?なんか話の方向性が変わってる…
「……Dドライブの極秘フォルダの名前は?」
「…ゲーム攻略情報」
そう、それが俺のエロフォルダの偽名。しかし、それを父さんが知っているのは…
「あっ!見たんだな!父さん俺のパソコンの中を見たんだな?!」
「思い詰めた自殺かもって思って調べたんだよ!その時、テキストと音声とビデオを検索して…」
あっ…それいっそ殺して欲しいやつじゃ…
「タイトルも偽装で分からなかったから、全部目を通してしまって…」
「畜生!殺せ!いっそ殺せよ!父親に全性癖暴露とか生きていけねぇよ!」
「お前だって俺の秘蔵本をこっそり読んでただろうが!並び順変わってたの知ってるぞ!」
「馬鹿な!ちゃんと同じ順番で…はっ?!」
「マヌケは釣れたな!」
くっ!なんて汚い親父だ!
「うっさい!今はそんなくだらない口論するな!」
「「はい!ごめんなさい!」」
あ、でも、なんかこう言うやり取り懐かしい…
「…まぁでも…私はあんたが本物だって信じることにしたよ」シュルッ
「…縄を解いていいのかよ?マジでなりすましだったらどうするつもりだ?」
「そうね…それなら一生騙されてやるわよ…うちの息子って、きっとこんな感じで成長していくんだって思える限りね…」
母さん…
「それ、せめてエロ動画とエロ本の件が入る前に言って欲しかったなぁ…」
「仕方ないでしょ!死人が生き返るなんて普通ならありえないんだから!」
まぁ、その気持ちは分かるけど…
「あっ…そうだ和真候補!」
「候補って…なんだよ父さん?」
「じゃんけんしよう。15連続で!」
「は?なんでここで…まぁ良いけど…」
…………………………
「ほ、本物だわ…」
「あぁ間違いない…この馬鹿みたいな強さは和真だ!」
なんでじゃんけんで証明されんの?!二人には息子との愛とか絆とかないの?!他に色々と信じるべき物があるでしょ?!
「お、落ち着くんだ母さん…蘇生なのか、死の偽装なのか、はたまたクローンなのか、まだそこら辺をだな…」プルプル
と言いつつ、タバコを取り出した父さんの右手は震えている。まず落ち着くべきは父さんだろうに…
「あっ、ライターのガス切らしてた…」
「あっ火ならあるよ?『ティンダー』」シュボッ
「あぁ…すまな…今何した?!」
あっ、しまったつい癖で…
「な、なるほど…和真はイリュージョニストになったのね…それで、お墓から脱出を…」
「いやそれ火葬段階で逃げなきゃ骨じゃん俺…それ実質蘇生じゃん…」
「あ、火葬のときに何か別の骨と入れ替わっていたのか?」
「それは間違いなく俺の遺骨なんだけど…魔法があるって言ったら…信じる?」
………………………………
「信じられないが…これは確かに魔法としか思えない…」
「えぇ、なんかイメージと違うけど…しょぼいし…」
取り敢えずスキルを色々実演して見せた所。うちの両親は意外なほど簡単に異世界と魔法の存在を信じてくれた。それはもう、なんで実の息子を信じないのか不思議なくらいにあっさりと…
「実は父さんは信じていたよ!」
「おい、候補とか呼んでたの誰だ?」
「母さん最初からそうだと思ってたわ。念の為に捕縛したけど!」
「ドヤ顔で仏壇に拝む訳ないとかいったの誰だっけ?!」
なんて調子の良い親だ!間違いなく俺の親だわ!
「にしても良かったわねぇ。誰でも勇者候補になれる時代で…アンタを選ぶなんて余程余裕がない時期じゃなきゃありえないでしょ?」
「おいやめろ。倒したから!俺が魔王倒したから!」
「見栄なんて張らなくていいんだ和真。和真にそんな凄い要素なにもないだろ?」
「その何も無い俺はあんたらのDNAから生まれてるって知ってる?!もう少し息子のこと信じよう?せめて愛だけは持って接して!」
まぁ、俺だって倒せるとは思ってなかったけどさ!
「でも、父さん魔王よりカズマが奥さんを貰った事の方が驚きだな…いくらしたの?」
「父さん?!今の話聞いてたよね?!俺英雄だからね?!息子を信じて!もっと自分の息子に誇りを持って!お金は出してないよ!」
「え?だって全然パッとしないままだしなぁ…」
「でも、カズマがイケてる感じになってたら、初見の段階で通報してたわよね?」
うわぁ…なんでだろう。感動の再会に全くならねぇ…逆に凄くない?死んだ息子だよ?死んだ息子と数年ぶりに再会してこの反応ある?薬指のリングまで疑われるなんてある?
「あのさ…多分、俺はいつまでもここに居る訳にも行かなくてさ…こんな話じゃなくて…もっと話すべき事があると思うんだけど…」
「そ、そんな…」
「そ、それなら確かに…他に大切なことが…」
あ、流石にこの言い方は不味かったかな…ちょっとお通夜みたいな空気に……
「…母さん…話題ある?」
「えっと…死に顔でお通夜の空気をぶち壊した事位しか…」
「そうですよね!すみません引き籠もりで友達いなくて!話題が存在しなくてすみませんね!」
俺もゲームの話題しかなかったけどさ!
「あっ…いいともが終わったわよ?」
「そこでなんでテレビの話題を……おい嘘だろ?!!」
あれ終わんの?!タモさんの身に一体何が?!
「タモさんは!タモさんは無事だよな?!」
「大丈夫!タモリ倶楽部はやってるわ!」
なんで?!
「あとあれだ…NARUT○も終わったぞ?」
「嘘だろ?!なんで俺が死んでから?!」
と言うか、父さんも漫画の話?!
「なんか今息子の漫画やってる」
「息子居んのかよ!誰だよ嫁!」
「白目の娘だけど?」
「ここでネタバレするの?!ってそうじゃねぇよ!そう言う話題は今じゃないだろ!」
もう駄目だ!俺の思ってた感動の再会は叶いそうにない!
「私達はそれより、和真が送られたって言う世界の話が聞きたいんだけど?」
「そうだな!和真が魔王を倒すまでの経緯とか、どうやってここまで来たかの話とか、まだ聞かせて貰ってないもんな!」
「あっ…そう言えば、俺どうやって戻って来たんだろう…」
帰ってきたという事実が大き過ぎて、そこに至る経緯が完全に無視されていたが、思えば行き来する方法なんて知らない。と言うか日本に戻ることなんて考えたことも無かった。こう言う恥をかくって分かってたし…
「あんた…本当に結婚したならその相手を置いてきちゃ駄目でしょ!せめて連れて来なさいよ!」
「俺だって予想外なんだよ!狙って帰って来られるなら連れてきてるって!」
しかし、マジでどうしよう…今や喜びや感動より、焦りがヤバいことに…
キラキラ
「開いた!カズマさん!そこに居る?!」
おぉ!突如空中に現れた謎の魔法陣からアクアの声が?!
「アクア!そこに居るのか?!」
「やった!流石はエリスね!幸運だけで一発接続だわ!」
あ…本当に良かった!嫁がチート幸運で良かった!!
「先輩!そのまま開門を保ってください!私がカズマさんを引っ張りあげます!」ひょっこり
あ、エリス出てきた。でもなんかゲートの位置が地味に高いから…これ俺をひっぱり上げるの辛くないかな?
「…そこはダクネスの方が良いんじゃないか?」
「駄目です!天界規定で異世界の不法渡航は禁止です!」
へぇ、あれ結構細かいところも決まってるんだ。簡単に破るイメージがあるけど…主に天使のせいで…
「父さん母さん、ごめん!俺、向こうの世界で元気にやってるから!死んだら天国で絶対に詳しく話すから!」
「待ってるから俺達より先に死ぬなよ!」
「あんたが幸せなら、私達はそれで十分だから、達者でね!」
なんだよ…最後の最後で、ちょっと両親らしい別れ方するじゃんか…
「えっ!カズマさんのご両親がいるの?!ちょっと挨拶くらいしといた方がいいかしら?!」
「あっ!先輩駄目です!魔法陣から出たら!」
パッ
「きゃぅっ!」ドサッ
「あっ…ゲート消えた…」
アクアのやらかしによりゲートが消えてしまい。そのまま床に落下するエリス。良かった!ゲートの場所で切断とかじゃなくて良かった!あれ?でも、これどうなるんだろう…
____________
「お義父様、お義母様。はじめまして…えっと、カズマさんと結婚させて頂きました。エリスと申します。向こうでは女神をやっております…」
結局エリスも帰れなくなったので、とりあえず結婚後になったが両親の顔合わせを行っている。それにしても、俺以外が全員ガチガチなのがちょっと面白い。
「こ、これはどうもご丁寧に…和真の父です…」
「は、母です…ねぇ、和真?ちょっとこっち来て?」
「ん?なんだよ。結婚が本当で驚いて…痛い!」パァン!
なんで?!なんで俺今ビンタされたの?!
「何したの!こんな可愛い奥さんを貰うって…どんな手段で脅したの!!」
「その俺への認識どうにかならない?!そんな酷いことしてないから!」
「母さん、流石にそれは酷いぞ。エリスさんも女神とか言ってるし、実はちょっと頭のアレな子かも知れないだろ?」
「父さんも父さんで酷いだろ!本物だから!なんで異世界と魔法を信じて女神を信じないんだよ!」
「女神は居ても可笑しくないけど…だって和真の奥さんってなぁ?」
俺だって不釣り合いなのは分かってるけど!それでもその認識おかしくない?!
「えっと…カズマさん。一応自由恋愛の結果であることを証明したほうが良いですか?」
「女神の件と合わせて、出来るならお願いしたいけどさ…この面倒で頑なな両親は…あれ?エリスさん?なんかお顔が近く…」
「愛を証明するなら、これが一番早いですから…んっ」チュッ
親の前でキスされた!確かに手っ取り早いけど、流石に大胆が過ぎませんか?!
「…これで信じて貰えないと…この先はちょっと…」テレテレ
あっ、ちょっと無理してた。親に認めて欲しくて頑張ってた!可愛い、うちの嫁可愛い!
「も、もう大丈夫よ!疑ってごめんね!もう信じたから!ねぇ父さん?!」
「え?俺はむしろこの先が気になるので信じてない方向で…痛い!」パァン!
「エリスさんが無理してんのにあんた最低か?!」
うん。ありがとう母さん!
「あと、女神の方ですが…あっ、あの魚の頭をお借りしても?」
と言ってエリスが指を指すのは台所の三角コーナーにある鯵の頭。
「え?良いけど…生ゴミでなにするの?」
「『リザレクション』!」
ピチピチ
生ゴミだった鯵の頭が新鮮な鯵に?!なにそれ凄い!高級魚無限に食えるじゃん!
「……無礼をお許し下さい女神様!」ズザー
「うちの和真を許容してくれて本当にありがとうございます!」
あ、凄い変わり身を…俺も二人のこと言えないけど!
……………………………
「しかし、和真がこんな美人な嫁さんを…しかも女神様を連れてくるとはなぁ…」
「本当よねぇ…ここまで美人で良い子だと、もう和真の蘇生とか霞んじゃうわよねぇ…あ、エリスさん。お茶おかわりいかが?ごめんねぇ?安いお菓子しかなくて?ほら和真、戸棚からもっとマシなの探してきな!無かったら買ってきな!」
「いえいえ!そんなお気遣いなく!私の方こそ、まさか連絡手段まで途絶えるなんて思わなくて…いきなり泊めて頂いて感謝しかありませんから…」
「良いのよ。私達は2世帯でも全然オッケーだから!」
俺の嫁だと、そして女神だと信じられてからと言うもの。両親のエリスへの対応はまさしく歓迎ムードだ。もう、蘇生した息子を顎で使っておもてなしするくらい…うん、なんか納得行かない!
「でも、流石にこれは不味いよな…日本にゲートを開けるのはアクアと後任の天使だけで、でも2人は俺の所在を分かってないなんて…」
話を整理すると、今回もアクアのやらかしだった。自信満々に天界とあの世界を繋ぐ門を開けようとして、開いたのは日本行きの門。俺の魂は、その間違えて開けた門から遺灰に向かって来て蘇生されたらしい。ちなみに、同時に魂にリザレクションされてなかったら、魂だけ来て悪霊まっしぐらだったそうなので、今回は不幸中の幸いだと思う事にしておこう。
「でも、遺灰から蘇生ってすげーなアイツ…その凄さが本来の職務には適応されない所までがセットじゃなきゃなぁ…」
「アクア先輩って、送り込んだ人の情報を管理してませんからね…ここがカズマさんの実家と分かっていても、この座標情報が出てくるのに何年かかるか…」
「あいつの後釜も、あの天使だしなぁ…」
「「はぁ…」」
そんな訳で、俺たちは完全に帰る手立てを失ってしまった。後はもう、神様の誰かに見つけてもらえることを祈るしかないそうだ。
「詳しい事は分からないけど、2人が悩んでも仕方ないんでしょ?それなら、今は日本を楽しんで行きなさいよ。せっかく帰って来たんだから!」
「そうだぞ!お金は俺が出すから、和真はエリスさんに日本を案内してくると良い!」
「父さん、母さん…そうだよな!せっかくだから楽しまないとな!」
たしかに悩んでもなにも変わらない。それなら、今は少しでも楽しもう。今はエリスの方が不安だろうし、俺が少しでも支えないと!
「お義父様、お義母様…ありがとうございます。この御恩は必ずお返ししますから…」
「良いんだよ。息子が好きな人と幸せになるのが親の喜びなんだから…気にしないで年寄りのお節介を受け取りな…」
「母さん…」
「お義母様…」
さっきまで疑っていた自分が恥ずかしくなる。俺は、ちゃんと両親に愛されていたじゃないか…少しだけスレ違いがあっただけで、少しだけお互いが不器用だっただけで、俺はちゃんと愛する人とまた話せたじゃないか…
「あ、そうだ和真…言い忘れていた事があったな…」
「ん?今更なんだよ?他にも終わった番組でもあったのか?」
「「…おかえり…結婚おめでとう」」
「…あ」
本当に今更で、それに最低限で雑な言葉。でも、今の俺は、きっとこの言葉が一番欲しかったんだ。じゃなきゃ、こんな酷い会話の流れで、目頭が熱くなる事なんてないだろうから…
「ただいま…それと…先に死んでごめん。あと、今日まで大切に育ててくれて、ありがとう…」
「…和真」
俺の望む形とは少しだけ違ったけど、今はこれで十分だ。だって、うちの両親の不器用さは、俺が一番知ってるから…
「ねぇやっぱり、この人なりすましなんじゃ…和真がそんなこと言う?」
「最後くらい決めさせて!」
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
正月の帰省時、あの性格を形成する家庭を想像したらメッチャ楽しくなってきてネタにしました。
また不定期ですが、お暇なときにお付き合い頂ければありがたいです。
あ、あけおめです!