※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

日本のネタですが、相変わらず酷いです。本人が幸せそうなので許してください。

※最初だけあるえ目線


ただいま…後編

世界が女神と英雄を失った日、私達の世界は混沌に包まれた。

 

「お願い手伝って!みんなの力が必要なの!」

 

残された水の女神は、涙を浮かべて懇願していた。かの英雄を取り戻すために、後輩の女神を迎えに行く為に…

 

「このままだと本当に女神の座がぁ!天使に降格されちゃうからぁ!!」ビエーン

 

そして何より、自分の立場を守るために…

 

「嫌よ!なんなのこの始末書の数!リビングの半分が紙の山じゃない!この中からカズマのプロフィールを探せって?!自分の仕事も管理できないなら、むしろ降格されたほうが世の為だわ!」

 

「そんなこと言わないでよぉ!同じ女神仲間でしょ!」

 

「私あんたの信者に邪神にされたんだけど?!」

 

私達の前に広がる混沌(始末書の山)、この中にカズマさんのプロフィールがあるらしい。それにしても、何年サボったらこんな事になるんだろう…

 

「カズマは実家にいて、そこにエリスも居る。なんの不安もありませんし、アクアが反省の意味を込めて探してください。私は、この機会に里帰りでもさせてもらいます!」

 

「そうだな。今回ばかりはアクアを甘やかしては駄目だろう。女神の勤めを果たさないのでは、それこそ信者に顔向け出来ないというものだ。街の問題は、カズマに頼らず私の方で対応しよう」

 

長い付き合いのめぐみんとダクネスさんがそう言うなら、今回ばかりは傍観しておこう。これだけあっても、丸2日も探し続ければ出てくるだろうし…

 

「アクア様、この山があと3つで全部です。どうしても無理なら言ってください。辛いですが!アクア様のミスが明るみに出ますが!私が神々に助けを求めますので!」ニコニコ

 

うん、この天使さんってアクアさんの部下なんだよね?顔と言動が一致してないけど…

 

「……あんた、私の後釜狙ってない?」

 

「いえいえ!そんな滅相もない!蘇生禁止エリアの日本に蘇生した人を送り込んで、しかも後輩の女神まで巻き込んだと聞いて、一発降格案件だからって喜んだりしてませんよぉ♪」

 

あ、本当に今回はアクアさんの立場が危ういんだ…

 

「でも、たまには良いんじゃないかしら?カズマは私達の為に無茶して、死にかけて、たまに死んで、散財して、泣いて…こんな時くらい。死に別れた家族の元でのんびり過ごしたら良いのよ」

 

「だよな…たまには良い思いさせてやらないと、マジで蘇生拒否されそうだし、そうなるとあたしらとしても困るしな…」

 

確かにこの状況なら、ちょっとの休暇と言えなくもない。少し位はカズマさんもガス抜きが必要だろうし、私もたまには家族に会いたい気持ちもある。それにしても、カズマさんの気持ちを真っ先に心配するのがウォルバクさんとセレナさんなのはどうだろう…そう言うのに一番敏感であるべきなのはアクアさんだよね…

 

「頑張って探せば1週間くらいですかね?カズマさんに1週間も会えないのは寂しいですけど…私も久々に家族に会ってきますね!」

 

「なら、友達として私をテレポートで送ってください」

 

「友達って単語で私を使おうとしてない?!前は全然認めてくれなかったのに!最近なんか凄く手軽に言うじゃない!」

 

「なにを言いますか!本当に便利な友達だと思ってますよ!」

 

「便利って言ったぁ!」

 

うん、私も原稿を仕上げたら、二人と一緒に里帰りでもしようかな…

 

「うわぁーん!ウィズは手伝ってよぉー!」

 

「やめてください!消えちゃいます!ていうかこの神聖な紙もなんかピリピリして持てませんからぁ!」

 

…やっぱり、私も巻き込まれる前に里に帰ろう!

 

________その頃、日本_________

 

「外から!大外からメイソウテイオーが追い上げてきた!誰が予想したでしょうか!ここにきてまさかのダークホース!」

 

競馬なんて分からないけれど、生活するには金が要る。だから、エリスと一緒に父さんに付いて来たのだが…

 

「あっ、あれは私が賭けた馬ですね」モチュモチュ

 

俺のGパンとTシャツを着て、フードコートのモツ煮を食ってる女神様は、今日も絶好調に幸運を発揮していた。だってあの馬、人気最下位で最高順位9位だぜ?運でどうにかなんのこれ?

 

「メイソウテイオーが先頭に並んだ!ゲートを破壊し、隣の馬を蹴り、ジョッキーを振り落としたあの迷馬が!出馬停止が明けた最初のレースでまさかのこの走り!」

 

そんな馬を出すなよ迷惑だから!でもなんでだろう…ちょっと親近感沸く…俺の周りが問題児だらけだからかな…

 

「最後の直線で前に出た!2馬身!3馬身!まだ突き放す!そしていま1着でゴール!ニューレコード!!」

 

「いや、なんで迷走しないんだよ!」「あれが1着?!ゴールした事がもう奇跡なのに!」「誰も予想してねぇよ!」

 

すみません!本当にうちの嫁がすみません!でも、なんでそんな馬走らせてるんですか?!

 

「数レースで1000円が30万になるカズマも相当凄いが…エリスさんは140万か…もう和真は働かなくても生きていけるだろ…」

 

それに関しては、俺も何度か頭をよぎった。でも、俺にも譲れないものがある。

 

「やっぱり、エリスの事は俺の手で幸せにしたいからさ…そこを頼るのはなんか違うだろ?」

 

「…和真」

 

「…カズマさん」

 

エリスは恥ずかしそうに顔を伏せてしまう。こんなの本人の前で話す事では無かったかも知れない。でも、エリスの事は自分の手で幸せにしたい。惚れた相手の前でくらい、格好つけたいのが男の子ってやつなのだ。

 

「…本当になりすましじゃないんだよな?」

 

「まだそれ言うのかよ?!」

 

___________

 

当面の生活費は工面したし、戸籍が無くても買い物は出来る。病院とかの社会保障の問題は、エリスが居ればそもそも不要だ。となれば、残った問題は…

 

「やっぱりエリスの服だよな。流石に俺の服じゃあんまりだし…でも、こっちでも服にこだわりなんて持ってなかったし…」

 

と言うか、今時の流行りも既に追えないし、服屋の店員のコミュ力は怖いし…

 

「それなら丁度いい方法があるよ?この店に行けば、なんとでもなるからさ!」

 

「え?マジで?」

 

母さんにも、そんな知り合い居るんだ…

 

………………

 

「いらっしゃいま……せぇー?!」

 

やってきたのは近所の女性向けの服屋。そして、目の前で驚く店員は俺の弟…なるほど、家に居なかったのはそういう事か…

 

「ちょっと!佐藤君どうし…えぇ?!」

 

そして、同じ反応をする店長さん…この人は何となく知ってる。ただ近所付き合いだけど…

 

「えっと店長…俺マジで今信じられないもんを見てるんですけど…」

 

「わ、私にも見えてるわよ…こんなことってあるの…」

 

母さん、外で身内や知り合いに会うのは流石にヤバいだろ…俺一応死んでんだし…

 

「すげー美人!」「死んだ佐藤くんのお兄さん!」

 

「「あれ?」」

 

…いや、そこはせめて逆じゃね?

 

……………………

 

「ほら!やっぱりカズマくんよね!懐かしいわぁ…最後に見たの死に顔だったけど…」

 

「あはは…なんか究極に情けない所を見せてすみません…」

 

本来ならば、このやり取りを先にやるべきはうちの弟なのだが…そっちはと言うと…

 

「エリスさんって言うんですね…貴女ほどの美人はもう何を着ても関係ないとは思いますが、むしろ服が足手まといにしかならないと思いますが、なるべくマシな物を選ばせて貰います!」

 

うん、やはり美人に弱い遺伝子は俺と変わらない。て言うか、その発言は服屋としてどうなんだよ…

 

「えっと…死に別れのお兄さんがいるのに、接客してていいんですか?」

 

「えぇ、自分はプロです。死んだ兄の存在は乗り越え、いまは目の前のお客様に全力で最高の服を選びます」

 

「ねぇ佐藤くん?君プロじゃないしバイトだし…そもそも品出しとレジ係じゃない…そっちは私がやるから、お兄さんと話したら?」

 

「いいじゃないですか店長!俺は美人とお近付きになりたくてこの仕事してんですよ?!店長クラスの美人が現れるだけでも奇跡なのに、こんな極上の美人は初めてですよ!」

 

「そ、そう?ならちょっとくらい選んでみても…」テレテレ

 

うん。俺もこの店長は凄く美人だと思うんだけどさ。この人、俺が幼稚園の頃から見た目変わってねぇんだよ…うちの嫁も数百年は変わってないんだろうけど…人間か?

 

「で、カズマくんは可愛いお嫁さんを連れて復活ってところかしら?」

 

「ま、まぁそんな所です。俺がここにいて、驚かないんですね…」

 

「うーん…どっちかと言うと、君にそんな甲斐性があったことに驚いてるかな?」

 

「えぇ…そっちですか…」

 

本当にこの店長は不思議な人だ。まぁ、悪い人では無いんだろうけど…

 

「店長駄目です!エリスさんの手足が長くてこの服のサイズが合いません!あと、エリスさんが可愛すぎて直視できません!」

 

「はははっ!残念だったね佐藤くん!そんな事だから意中の女の子に話しかけることさえ出来ずに誰かに取られちゃうんだぞ!服は私が直すからお兄さんと話してなよ!」

 

「そんな!俺もうエリスさん一筋なんですよ!」

 

「えぇ?!困りますよ…私もう…」

 

と、ここでエリスの薬指に視線を落とす弟。そして、再びこちらを見るので…

 

すっ

俺も左手を見せ付けた。

 

「…俺、今後も店長一筋で頑張るっす」

 

「うん!そういうバカ正直なところ、私は好きだぞ!男としては減点だけどな!」

 

まぁ、弟も元気そうで良かったよ…

 

……………………

 

「でさ…マジで兄さんなんだよね?」

 

「うん、ただいま」

 

「いや軽いよ!ちょっと死人の自覚足りないんじゃないの?!」

 

店長が服を選んでる間、少しだけ弟と話をする。男兄弟と言うのはそんなにベタベタする関係でもないので、まぁこんなもんだろう。

 

「死人って…それなら他人の空似とか疑わないのか?そっちの方が現実的だろ?」

 

「何言ってるのさ。たった一人の兄貴を見間違える程薄情じゃないよ。まだちょっと混乱してるだけさ…」

 

頭を抱えて深く息をつく弟の反応に、少しだけ嬉しくなる。少なくとも、簀巻きにされてないし、じゃんけんによる確認もない。まぁ、まずはこれで十分だ。

 

「くそぅ…受け止めると、やっぱりキツイな…」

 

それでも、やはり弟にとっても俺の死は重かったようだ。そして、それがいきなり復活だなんて、色んな感情がせめぎ合うのも無理はないだろう…

 

「ごめんな…寂しい思いを…」

 

「兄さんの奥さん可愛過ぎるよ…こんな現実を受け止めたくない…」

 

「あ、そっち…」

 

駄目だ。俺の家族はブレない。俺の復活が軽すぎる。

 

「ほら男ども!女神様の降臨だぞ!」

 

「え!女神ですか?!」

 

そして数分後、店長がエリスを着せ替えて連れてきた。白を基調とした落ち着いたブラウスとロングスカート…なるほど、これは間違いなく二つの意味で女神だ。

 

「女神みたいに可愛いって意味だから落ち着け?」

 

「あ…そうなんですか…ありがとうございます…」

 

しかし、流石はカリスマ店長だ。もうホテル行って脱がせたい!いや、やっぱり着崩して抱きたい!それくらいの可愛さを作り出している!まぁ、俺は何着ても同じことに言いそうだけど!

 

「はっ?!これが俺の義姉って考えれば…俺勝ち組じゃないかな?!」

 

「佐藤くんは本当に駄目な意味でブレないね。お兄さん見習って本命見つけなよ…」

 

個性的な店員はさておき…エリスは現代日本の服を手に入れた!これで何処へでも行けるぞ!テッテレー

____________

 

何処へでも行けるなら、やはり楽しい所へいきたい。そう考えたのはお互い様だったから、この旅行は即日計画し、翌日の早朝に実行された。

 

「ほら!和真笑って!折角だからエリスちゃんの肩とか抱いて!」

 

……親同伴で。

 

「エリスさんの反対側に居れば、写真切り取って彼女って言えるかな…」

 

「それ、虚しくなるだけだろ…」

 

関西にある大型遊園地。まさに現代のファンタジー世界。まぁ、俺たちはそれよりファンタジーな世界から来たんですけど…え?夢の国を選ばなかった理由?ハハッ、消されたくないからだよ!

 

「にしても、なんで家族全員付いてきてんだよ…流れ的にこれは二人でデートだったろ…」ギュッ

 

まぁ、肩くらい抱きますけど!

 

「ふふっ…そんなこと言って、カズマさんも楽しそうですよ?家族揃って、素直じゃないんですね?」

 

そりゃあ、家族旅行なんて殆ど行かなかったし、良い機会だとは思うけどさ…今更帰れとも言えないし、ホテルは別室だし良いか!

 

「ほら見て!魔法の杖とかあるって!エリスちゃんは杖とか使わない?」

 

うん、これただ母さんが来たかっただけだな…めっちゃはしゃいでるな…

 

「えっと…私は杖がなくても魔法が使えますし…そもそもウィザードでは無いので少し系統が違いますね…」

 

「へぇ…魔法の使いかたにも色々あるのねぇ」

 

日本人の多くの人がイメージするであろう魔法使いの世界を再現したワールド。その一角にある大量の杖が置かれた店。あれだっけ?世界観的には、ここから運命の一本を選ぶとか、杖に選ばれるとかだっけ?

 

「エリスちゃんの世界でも、こうやって杖を選んだりするの?運命の杖とかあるの?」

 

「夢を壊して申し訳ないのですが…専用の杖なら専門の職人が材料から選んでその人向けに作リますし、成長したら魔力量が増えたり使う系統が固定されたりして、それなりの魔法使いの方は結構こまめに買い替えます。材質も劣化しますし、魔道具は日々進化するので、こう言うのは2年売れなかったら大半がワゴンセール行きですね…」

 

うん、これで運命の杖とか言っちゃうと…女の人に運命と言う単語を軽々しく使う奴の典型みたいだな…コイツとか…

 

「おっと兄さん!こっち見ないで!確かにその場その場で運命とか使っちゃうけどこっち見ないで!その時は本気で思ってるから!」

 

自覚あるなら辞めろよ…んっ?なんか店員さんがこっち見て…あっ!

 

「なんか、嫌なところリアルなのね…」

 

「ファンタジーだけで生活はできませんからね…買う人は命が、売る人は生活がかかってますので…」

 

「ちょっともうこの話は辞めよう!店員さんが納得と拒絶の入り混じった顔してこっち見てるから!これ以上夢を壊さないであげて!すみません!全員分買ってすぐに出ていきますから!」

 

…………………………

 

「悪いわね。なんか買って貰っちゃって!」フリフリ

 

「はい、どういたしまして…母さんが嬉しそうで何よりだよ…」

 

「いや、悪いな和真。父さん、これ開けないで思い出と共に大切にするよ…」

 

「父さんは開けて、それでアトラクションとかするらしいから開けて」

 

「ありがとう兄さん。店長への土産はこれにするよ」

 

「おい家族旅行だぞ!少しくらい遊べ!お前はブレな過ぎだから!どんだけ彼女欲しいんだよ!あと店長は多分脈ねぇぞ!」

 

三者三様ではあるが、皆それなりに喜んでくれたらしい。しかし、こんな棒が5000円もするのか…中級装備くらいだな…

 

「にしても、材料に不死鳥の尻尾とか一角獣の角とか、よくこんな設定まで考えるよな…」

 

「本当ですね…これでワゴンセール行きなんて辛すぎると思うんですが…」

 

「もうやめてあげて!多分あの世界の魔道具は進歩しないから!きっとずっと使えるから!」

 

「あ、でも空を飛ぶ為のホウキは進化するわよ?」

 

「嘘だろ…それじゃマジでワゴンセールも有り得そうじゃん…」

 

どこの世界でも、時代の変化って世知辛いんだな…

 

「あ、ほらほら!ここで杖を振ったら水が出るんですって!」

 

「体験されていきますか?」

 

「体験します!」

 

うん。母さんが楽しそうだから今は何も言わないよ。俺のクリエイトウォーターをショボいって言ったことは忘れないけどな!

 

…………………

 

「これがジェットコースターなのですね!絶叫するほど怖いと噂の!」ワクワク

 

「新鮮かもしれないけど…多分そこまで怖くはないんじゃないかな…」

 

この手の乗り物は多少経験があるが、結局の所は安全第一。残念だが、安全度外視の大冒険をした俺達からすれば、子供騙しにも程がある。

 

「まぁ、カズマさんは大弓で発射された経験がありますからそうかも知れませんが…私はそんな経験ないですから…」

 

「え?いや、そうか…そうだよな…」

 

クリスとして考えればそんな訳が無いのだが…やはりエリスの身体では感覚が違うのだろうか…

 

「なんで和真が大弓で発射されたかは後で聞くとして…このコースターはスピード感だけじゃないの!現代の映像技術に驚くが良いわ!」

 

なんで母さんは、さっきからスタッフ側みたいなこと言ってるんだろう…きっと一番行きたかったの母さんだったんだろうな…

 

「はーい!発射しまーす!」

 

…………

 

「ふふふ…どうかしら!これが日本の本気よ!」ガクガク

 

「うん、そう言うの良いから…取り敢えず座って休めよ…」

 

そもそもこれ日本の作品じゃねぇだろ…と言うツッコミはさておき、コースターを降りた俺たちは、レストランで休憩を挟んでいる。まぁ、見ての通りコースターにやられた人が…

 

「べ、別に大した事ないな!」ガクガク

 

「と、父さんも膝が笑っているよ…まぁ、僕は余裕だったかな…」ガクガク

 

いやいや、佐藤家全滅だよ…俺が昔ビビりだったのは遺伝だな…

 

「でも、私もハラハラしました…大した魔法も使えないドラゴンでも、一般の方から見るとやっぱり危険なんですね…」

 

「そうだな。あの程度のレベルなら、中堅の弓兵が1人居れば落とせるけど…やっぱり、城壁と結界って大切だよな…」

 

今では実に建設的な議論が出来るほどには肝が座った。うん、慣れって怖い…

 

「母さんが思ってたより、息子は逞しく生きてたわ…そっちの世界には、ドラゴンもいるのよね?」

 

あぁ、そう言えば、そこは詳しく話してなかったな…

 

「そうなんです!カズマさんは伝説のドラゴンも倒したんですよ!大弓で発射されて…」

 

「え…何その伏線回収…あんた、向こうじゃ結構楽しそうにしてるのね…」

 

「好き好んで発射されてねぇよ!生きるか死ぬかのギリギリでやってんだよ!」

 

くそぅ!親までこんな扱いなんて…皆俺をなんだと思ってるんだ!

 

………………………… 

 

「うん、軽食で落ち着いて考えたけど…やっぱりもう乗り物は良いわね!」

 

さぁ次は何に乗ろう!時間一杯楽しもう!なんて会話は、佐藤家には存在しない。そう、田舎のコミュ障一家に、この過密な行列は地獄だ。怖い思いをする為に、再びこれに並ぼうとは思わない。

 

「それでまた魔法使いエリアかよ…母さん好きだな…」

 

「だって、和真が色々できるから夢が広がっちゃって!」

 

俺だって最初は魔法に憧れた。でも、何度も魔法で痛い目にあってると流石に冷めるし、下手をすればトラウマだ。今回はいたずら魔法具と言う名前だけの玩具だから可愛いもんだけど…

 

「魔法の悪戯ですか…めぐみんさんが邪神の封印を解いたみたいなものですかね?」

 

「あれは悪戯では済ませちゃ駄目だろ…でも、こう言う可愛らしい魔道具なら、貴族の子供に売れるかもな…」

 

それにしても、よく考えたなこの変な味のグミ…耳クソ味って耳クソ食ったことある奴しか分かんねぇだろ…あっちなら返品待ったなしだぞ…

 

「兄さんの行った世界にはどんな魔道具があるの?」

 

「…願いをかけて首にかけると、自力で願いを叶えないと首が締まって死ぬチョーカーとか、洪水を起こす携帯トイレとか?」

 

「え?なにそれ…呪いのアイテムじゃん…」

 

あ、良かった。弟は俺と同じ認識だ。

 

「ねぇ和真…あんたのとこの魔法は全体的に血なまぐさくて暴力的なのが良くないと思うの!もっと夢のある可愛い魔法はないの?」

 

「夢って言われてもなぁ…例えば?」

 

「えっと、変身とか?」

 

うん。目の前に盗賊と女神の即時変身可能なのが居るけど…多分違うよな…そうなると…

 

「宝箱に変身して人を食ったり、人に変身してモンスターを食ったりする奴とか、可愛い女の子の姿で人を衰弱死させる植物とか…悪魔は人に化けるし、あとは人を食うポイズンスライム?」

 

「えぇ…結局存在が血なまぐさいじゃない…」

 

そんなことを言われても、変身とはつまり偽装だ。当たり前だが、やましいことが無ければそんな事をする必要はないのだ。

 

「そうだ!猫とかにはなれないの?それなら可愛いし夢があるわ!」

 

「可愛い猫から出てきた巨乳美人ならいるけど?」

 

「「なにそれ夢ある!!」」

 

「男どもうっさい!巨乳美人ならなんでも良いだろあんたたちは!私の夢に巨乳なんて要らん!」

 

いや、おっぱいは全てが素晴らしいし必要だろ。エリスの前では言えないけど…

 

「それなら、会話の盗み聞きの魔法とかは?」

 

「俺が出来るよ。盗聴スキルで」

 

「え、あんたができるんだ…姿を消すとかは?」

 

「それも出来るね。光の屈折魔法で」

 

「…バレないように尾行、監視するとか?」

 

「潜伏と千里眼がある」

 

「……人を捕まえるとか?」

 

「バインドで縛り上げて、パラライズで麻痺させるかなぁ…」

 

「……………実は洗脳とかも出来たりするの?」

 

「特定条件を満たせば…そういう加護というか技ならあるよ」

 

あれ?これなんか誘導尋問みたいに…

 

「和真…自首しよ?母さん一緒に行ってあげるから…あと、エリスちゃんの洗脳も解いてあげよ?」

 

「その認識そろそろやめて!そしてもっと息子を信じて!」

 

「も、もう一回証明しますか?!」

 

「エリスも変なやる気出さなくて良いから!」

 

残念ながら、日本に来ても俺に静かな日常は訪れないらしい。ほんの少しで良いんです!甘酸っぱい時間をください!




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

ちょっと大型レジャーランドいってました。何処とは言いませんが…

なんとなく察している方もいると思いますが、次は私の作品的には本編になるのかなと…

また不定期ですが、お暇なときにお付き合いください。
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