※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

71 / 226
いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

ただいまで日本に来たので、帰るときのタイトルはこれで!

なお、今回は捜索サイドの話なのでウォルバク目線です


おかえりなさい…前編

カズマがこの世界から消えて3日。必死にカズマのプロフィールを探してたアクアも真っ白になり、そろそろ誰かが手を差し伸べるかと思っていた私は、予想外の事態に困惑している。

 

「どういう事なの…」

 

「どういう事も何も、これが今のトレンドなのよ?」

 

目の前に居るのは、天界の女神の代表格…愛の女神…それが何故かこの屋敷の、アクアの隣で書類整理をしている。と言うか、その回答じゃあんたが居る答えになってない…

 

「あっ、そうよね!こっちの世界じゃ知らないわよね!これはリモートワークって言ってね?自宅とか出張先から通信装置を使って仕事をするの!これが最先端の働き方よ!」ドヤッ

 

「……それって人んちの自宅からするモノじゃないわよね?」

 

「え?リモートなら何処でも良いんじゃないの?」

 

「そんな訳ないでしょ!人んちに乗り込んで仕事するってどんな文化よ?!迷惑にも程があるでしょ!」

 

こいつ…信仰心とか女神の力とか凄いけど…アクア同様なんか他に大切な物が色々欠けている気がするわ…常識とか…

※こいつも色々欠けています。

 

「でもでも、このままじゃアクアが業務不履行で天界に戻されちゃうわよ?私が無理にでも働かせなくていいの?」

 

「いいけど?」

 

「……そうよね?」

 

うん、そりゃそうでしょ。なんで私に、しかもそんな聞き方したのかしら…別に私はアクアが居なくても困らないわよ。別に会いたきゃ天界に帰るし…

 

「待ってよ!お願いだから!そんなこと言わないで手伝ってよ!」ビエーン!!

 

「無理よ!だってこれ内容が完全にアンタのやらかしじゃない。これは庇いようがないわ!」

 

私がカズマなら本気で返品してるもの。魔王よりカズマを追い詰めてるじゃない…

 

「あらあら、愛しのカズマさんにまで迷惑かけて…本当に駄目な娘なのね。あれ?そういえば皆は?」

 

「里帰りよ。まぁ、私は天界に会いたい相手も居ないし、ここで自由にやらせて貰ってるわ」

 

まぁ、書類整理してるアクアの食事くらいはついでに作ってるけど…一応仲間だし…

 

「へぇ〜。カズマさんとエリスが誰の所へ付いていったか知らないけど、貴女も付いて行けば良かったじゃない?」

 

「何言ってるのよ…元邪神の私が来ても、水を差すだけよ…」

 

あれ?そういえば天界規定違反したら、カズマとその家族ってどうなるのかしら?

 

「ねぇ、もしカズマに里帰りさせてあげたいって言ったら、あんたならどうする?」

 

「…叶えてあげたいけど、それは無理ね…」

 

「なんで?愛していた息子が帰ってきたら、嬉しいものじゃないの?」

 

少なくとも、カズマの蘇生を確認したとき、私はいつもカズマに触れて安堵している。まだ一緒に居られるんだと、触れ合えるんだと実感するから…

 

「彼の世界には、蘇生なんてないの。歴史的には神の子供がそれを成したって神格化されたわ。それほどにまで、人の蘇生は大事件。信じてもらえなくて、死者を語る不届き者として処理されるか、信じられたとしても、世間は彼を異物として排斥しようとする…人間ってね。理解を超えた現象を理解できないものだから…」

 

「じゃあ、カズマを日本には送れないのね…」

 

「そうなったら、蘇生を知る関係者全員の記憶を消すしか無いわね……」

 

うん…思ってたより事態は深刻だわ。追い詰められているなら即時救出が必要だし、歓迎されているなら記憶を消すなんて残酷すぎる…天界より先に、私がカズマを見つけないと!

 

「やっぱり私、ちょっと里帰りしてる仲間のご両親にご挨拶してくる!」

 

「えぇ、貴女にとってはほんのひと時でも、人々には長き人生…共に歩むなら、その方が誠実です」

 

「え?!ちょっと酷いんですけど!私をこのお局と2人にするっていうの?!私にも誠実に向き合ってよぉ!」

 

あっ…アクアの今の発言で、私の即時離脱は確定したわ。思っても言っちゃ駄目なことってあるでしょ……

 

「アクア?今の発言の意味について、お聞きしても良いかしら?」

 

「あ…違うんです…私そんな嫌味な意味は込めてなくて…」

 

アクアって、言い訳が下手過ぎない?

 

「あらあら、じゃあ良い意味でお局の私がみっちりと人間関係と信頼について教えてあげるわね?理想の上司、万年最下位のアクアさん?」

 

「あ…あぁ…」ガクガク

 

愛の女神の目が、完全に狩るものの目に……ごめんアクア!これはマジで無理!今だけは私、筋肉痛覚悟で走るわ!ダッ!

 

「裏切り者ぉ!」

 

「はい。お勉強しますよー」

 

「い、いやぁぁー!!」

 

でも、これでもうプロフィールは頼れないわね。

 

…………………………

 

「なるほど…アクア様にそんなピンチが訪れていようとは…このままでは降格間違いなしでは?フヒッ」

 

「…フヒッてあんた…よく今までクビにならなかったわね…」

 

日本に行くには、この天使の力が必要なのは間違いない。だから、取り敢えず少し高めの食事で天使を呼び出したわけだけど……まさか1000エリスの定食で釣れるなんて…

 

「アクア様のやらかしはさて置き。魔法のない世界では、蘇生者のご家族との再会はご法度。記憶処理は基本です。私としても心苦しいこと、何とかしてあげたいのですが………いや、しかしそれもあるべき世界を維持する為のこと、干渉して良いものか…」チラチラッ

 

うわぁ…こいつ途中から絶対に思ってない事言いながらデザートコーナー見てるわ…視線の先は…

 

「……すみません、この子にデラックスストロベリーパフェを1つ」

 

「親子の再会に水を差すルールなんてあって良いのでしょうか?ルールや規則より大切なもの…それが愛だと思うのです!」キリッ

 

え…なにこいつヤバい…本当に天使なの?

 

_____________

 

「それで、なんで捜索隊がこの面子なわけ?」

 

天使主導の元に集められたのは、ウィズ以外の魔王軍幹部と、なぜか第一王女様。なによこの包囲網…よく誘ったわね第一王女…

 

「他の方はご執心の神々が居るので、下手をすれば即座に行動がバレるからです。神々はいつもあなた達を見守っていますから…あ、レジーナ様は例外ですよ?話が分かる人です」

 

「それ、端的に言ってストーカーよね……いまさらだけど…」

 

でも、もう1つ理由を聞けば確かに分からなくもない。日本語を理解出来るのは私とセレナ…まぁセレナはレジーナ経由だけど…そして、何故か王女様が多少理解しているとはね…

 

「お兄様の為、異世界のアイテムで学んだ日本語をお役に立てたいと思います!」フンスッ

 

「レジーナ様の同時翻訳もあるし、情報戦ならあたしの専門分野だからな!」ドヤッ

 

「そして、日本を知り尽くした天使の私が同行します!もはや百人力!まさしく理想のパーティです!」ドヤァ!

 

うん……何故かしら、人のことは言えないけれど…そこはかとなく嫌な予感がする。でも、背に腹は代えられないし、これよりまともな面子も居ないし……駄目だったら、責任は全部アクアに押し付ければいっか!

 

「じゃあ、私とバニルは坊やの捜索に知恵を貸せば良いわけね?」

 

「そうですね。日本は小国とはいえ、個人を探すのは大変です。ここは知能の高いシルビア様と、見通す悪魔のバニル様にもご助力を頂きたいと思っております!」

 

まぁ、その発想は悪くないのだけど…バニルが手伝うかしら…

 

「ふざけるな下っ端天使。お断りだ。なんで吾輩が天使のお前に手を貸さねばならんのだ。アホな女神のやらかしなら、お前たちで勝手に何とかすれば良かろう」

 

「まぁ、あんたならそう言うと思ったわよ…天使、流石にバニルを引き入れるのは無理よ。他の方法を考えたほうが良いわ」

 

まぁ、見通す力は惜しいけどね…

 

「じゃあ、私の見通す力でなんとかしますか…でも、私の力じゃ16秒後にウィズさんの仕入れたクソ商品が14箱入ってくる位しか分からないんですよね…」

 

「は?オイ待て…貴様今なんと…」

 

カラーン

「すみません!ウィズ様ご注文の『即効性魔力ポーション』をお持ちしました!」

 

え?なにそれ、それはちゃんと凄い商品じゃない?

 

「おい…これは本当にそれだけか?」

 

「えっと…、消化吸収を強制的に行うので、一杯飲めば死にそうなレベルの下痢になります。でも、本当に生死をかけた状況なら、下痢なんて些末な問題だから、こんなに安くて即効性で魔力が回復するなら売れますよ!ってウィズ様がお買い上げになったんですよ…14箱」

 

「そんな猛烈な下痢の中で戦えるか!返品だこんなものぉー!!」

 

「そ、そんなぁ?!」

 

はい、いつもお疲れ様……でもないのかしらね?天使の方はここからが本番って顔してるから…

 

「あれれ?バニル様ってば、見通す悪魔なのに今の見通せなかったんですかぁ?こんなの返品料金かかるだけの無駄商品じゃないですかぁ?」(煽り)

 

え?なにこいつ、怖いものないの?!て言うかここら辺アクアの影響受け過ぎじゃない?お似合いの上司部下じゃない?!

 

「くっ!いちいちそんなものまで見て居られるか!情報量でパンクするわ!」

 

「はぁ〜!その程度の情報量も処理できないなら、今回の捜索は、見通す(笑)悪魔様より見通せちゃう下っ端天使がなんとかしちゃうしかないですかねぇ?」ニヤニヤ

 

あぁ、そう言う事…

 

「いいのバニル?あんた、こんな天使に負けたって言いふらされるわよ?」

 

「ふんっ、吾輩がそんな安い挑発に乗る訳がなかろう。そもそも、貴様ら神々が何を言ったところで、悪魔が信用する訳がない。普段から偉そうに、ある事無いこと言っているのだ。今更信用などある訳もない」

 

流石はバニルね。うちのパーティーなら余裕で乗せられたでしょうけど、そう簡単には行かないわ。やっぱり諦めて…

 

「あれれぇ?!店のドアがちょっと開いてて、外にサキュバスがいますねぇ!これは聞こえちゃいましたかねぇ?!ほら、入ってください!」

 

「え?!…えっと…カズマさんから読み取った記憶をくれれば、カズマさんを探すヒントになるって、そこの天使様に呼ばれまして…」

 

こいつ、この状況を用意してたの?!と言うかやり方が天使とは思えない!と言うか、多分カズマの影響だわこれ!

 

「あの…見通す悪魔のバニル様がいるので、不要とも思ったのですが…これ、夢の世界に出てきた風景画です…」

 

「あー、自称見通す(笑)悪魔のバニル様は下っ端天使の私より見通せないので…そっちの情報のほうが全然頼りになりますよぉ」(煽り)

 

「き、貴様…焼き払ってやりたいが…くっ!バックの神々を敵に回す訳には…」

 

「あれぇ?!私のライン仲間に北欧神話とエジプト神話の神々が入ってるのは見通せるんですねぇ?こんな不良品は見逃すのにそっちは必死に見通して……もしかして、ビビってるんですかぁ?!」(どこぞのワルキューレ風)

 

こいつ死ぬ気?!それとも、バニル相手に死なない確信が持てるほどのバックが居るの?!

 

「……いいだろう!その挑発に乗ってやる!吾輩の力で小僧を見つけた際には、悪魔の前に土下座させてやるからな!」

 

「わーい!ありがとうございます!!」土下座!

 

「「は?!」」

 

い、いきなり何コイツ?情緒不安定なの?!

 

「悪魔の貴方は、カズマ様発見の見返りに土下座を要求しました…つまり、これでもう報酬は先払い!貴方は契約を履行する他ないのです!でなければ、貴方はあなたを尊敬する淫魔の前で契約不履行をしたことになるのですからね!」

 

「な?!汝には天使としての誇りや矜持はないのか?!」

 

「ははははは!!天使に誇りなどある訳がないでしょう!悪神にも邪神にも、命令があれば破壊神にでも仕えるのが我々ですよ!最後の決定権は……あくまで自己の利益のみ!!」

 

えぇ…元邪神の私が言うのもアレだけど…えぇ……

 

「ですが…そんな薄っぺらい私にも譲れないものがあるんです!私が愛するお二人の幸福は、誰にも邪魔なんてさせません!その為なら、私は悪魔にでも頭を下げます!」

 

でもやっぱり、エリスとカズマへの気持ちだけは本物なのね…そこだけは信用してもいいのかも…

 

「やかましいわ!!悪感情0で頭下げよって!元よりプライドなんて持ち合わせて居ないではないか!お前の頭の中には、小僧がお礼になにか用意してくれる事への期待しかないだろうが!」

 

「……プイッ」

 

うん、やっぱり駄目よコイツ…なんで天使やってるのか分からないもん…

 

「あれ?でも天使様はさきほどの荷物を見通しましたよね?どうしてバニルさんのお力を借りる必要が?」

 

「確かにそうね…と言うか、それがあれば私の知恵も必要ないんじゃないの?あなたが見通して、坊やを見つけたら話は終わりよね?」

 

確かに、こいつの能力が本物なら、バニルもシルビアも必要ない。なにか誓約でもあるのかしら?

 

「あぁ、あんなものは店を尋ねてきた配送業者に「今、店主が不在だから〇〇時に改めて来てください」って先に言っておけば良いのです。あとは荷馬車の音だけ気を使えばタイミングも取りやすいです」

 

「え?…それじゃあ見通す力は…」

 

「そんなものはないです。あったら協力も仰ぎませんよ?」

 

あ、予想の更に倍駄目なやつだわコイツ…

 

「吾輩、契約違反して自分の残機がめっちゃ減るとしても、本気でこいつは殺したい…」

 

「気持ちは分かるけど抑えて…カズマを助けてからなら契約違反にはならないから…」

 

「そこは止めてくれませんか?!」

 

それはちょっと…無理かな…

_______________

 

「貴様!!契約が切れたら覚えておけよ!」

 

「勿論忘れません!北欧の神々にもめっちゃ自慢します!」

 

「やかましいわ!!」

 

数ある降臨ポイントに天使を送り込み、戻った時の映像を見通す。異世界は見通せなくても、この弱い天使の未来なら数日先まで見通せるからと言うバニルの作戦。まぁ、問題は……

 

「なんで降臨先が4500箇所も登録してあるのだ!街の数より多いではないか!」

 

「スイーツとラーメン、アミューズメント施設に温泉とホテル…天界の旅行会プロ幹事とは私のこと!移動時間など取らせません!」

 

「やかましいわ!」

 

バニルの魔力が、もつかどうか…

 

「なぁバニル、悪魔ってトイレ行かないよな?もし下痢が細菌性なら直してやれるぞ?」

 

「おいセレナ、そのポーションをこちらに向けるな!飲ませようとするな!貴様小僧に似てきたな!」

 

「心配ないわ。私が解析して、下剤部分抜いてあげるわよ…べー」デロォ

 

「体内で精製するにしても口から出すな!絵面を気にしろ!」

 

うん、割と余裕そう…

 

「はぁ…どうせ直ぐには終わらんのだし、いっそ女神の完全独走状態になってから救出した方が、汝らの悪感情が食せる気がしてきたな…」

 

「それをやったら、あんたの夢のダンジョンには、毎日爆裂魔法が2発打ち込まれるわよ?」

 

「この猫神…貴様も小僧に似てきたな…」

 

「飼い主に似るって言うからね!」

 

「やかましいわ!まず猫を否定しろ!」

 

_______________

 

「はーい!ではカズマさんの出現ポイントが判明したので、これから乗り込みます!バニル様、お疲れさまです!」ビシッ!

 

「ぜぇはぁ…くそっ…この下っ端天使…途中から「このポイントに〜カズマさんは〜〜〜い〜〜……ない!」とか変な引っ張り方をしよって…見通すのに余計な魔力と精神を使ったわ…」

 

天使、流石にこの状況でそれはウザいわ…見通した結果だから、実際にはしてないのだけど…

 

「でも、お兄様の居場所が遊園地だなんて…再会したらデート出来ますね!」

 

「地図見た感じだと王都より広いし、まず探すのが大変だけどな…」

 

「でも、見つけたらデートくらい要求しても良いんじゃないかしら?」

 

「皆様、カズマ様とエリス様を探すのが目的ですからね?遊びに行くのではありません!遊びたいなら、さっさと見つけることからですよ!」

 

「勿論です!」

 

「当然だな!」

 

「えぇ、その為に行くんだもの!」

 

「おっと、いらぬ心配でしたか…では、『開門』!!」

 

さぁ、いざ異世界へ!

 

_______________

 

「なにここ、楽しい!しかも武器が必要ない国って良いな!」

 

「食べ物も可愛いくて美味しいです!これが大衆向けなんて信じられません!」

 

「ははは!そうでしょう!これが日本の本気です!担当天使の私を崇めてもいいんですよ!」

※全員向こうの言語で話しております。

 

スタートダッシュかまして、いきなりコースター乗って、そのままレストランって…うちのパーティーってこんなのばっかりなの?!馬鹿ばっかりなの?!

 

「ねぇ…お約束が過ぎるわよね?!早くない?目的を見失うの早くない?!」

 

「でも、そう言うウォルバクさんも一緒に乗ってましたし、猫耳を付けてますよね?」

 

「高い所から探すって言ったの天使じゃない!あと、これは自前よ!ここ、エルフ耳は居ないけど猫耳は何故か沢山いるから溶け込んでるの!」

 

頑張れば猫になれるって知ったのは、最近だけど…

 

「ただ、回ってみて分かったけど。ここじゃ人が多すぎてカズマを探せないぞ?一通り回ったら土産買って帰ろうぜ?下手すりゃあたしたちが二次遭難しそうだし」

 

「ま、まぁ…たしかにそれはそうだけど…」

 

「それならいっそ、ここら辺のお土産店などで待ち伏せるのはいかがですか?それなら出会える確率も高いですし、エリアを移動する際にも通りますよね?」

 

確かに、地図ではそこの人通りが一番多いはずだし、確率としては高いわね。やるじゃない天使!

 

「それで行きましょう!じゃあ、皆でお土産店に…」

 

「いえ…ここは分担作業が賢明です。一番長身のウォルバク様に待ち伏せて頂き、私達はこのまま捜索を続けます。ウォルバク様が動かなければ、私達の合流も確実です!」

 

「え?私だけ残るの?!」

 

「まぁ、確かに売店を背にしてれば一人でも良いよな…こっちは移動する訳だし…」

 

そ、それはあんまりじゃないの?こんな楽しそうな所で私だけ売店に残れって?!

 

「待ってください!ウォルバク様だけが残るのは流石に可哀想です!」

 

何この王女様天使!昔、観測魔法で覗いたときはクソ生意気なガキだった気がするけど今は天使だわ!

 

「じゃあ、アイリス様も残りますか?」

 

「……え」スンッ

 

むしろ天使のはずの貴女が悪魔よ?!

 

ポンッ

「ウォルバク…大人として私達がやるべき事って、分かるよな?」

 

くっ…カズマのことは大切だけど…でも、きっとカズマもこうするから!

 

「……私も遊ぶ!アイリスが心から楽しめるように!」

 

「そうこなくちゃ!」

 

………………………

 

「いいお湯ね…」

 

「そうだな…」

 

「そうですね…」

 

疲れた身体は、やっぱりお風呂で癒やすのが一番。近場のホテルが露天風呂付きだったなんて、得した気分ね…

 

「でも、これからどうするのですか?お兄様の痕跡さえ掴んでいませんが…」

 

「うん…それは本当にどうしよう…」

 

あれから本気で遊んでしまって、気付いたら閉園時間……このまま帰ればバニルに焼かれそうだからって近くのホテルに泊まってるけど…これ、問題の先延ばしでなんの解決にもなってないのよね…

 

「もう良いじゃないですかぁ、お土産沢山買いましたし、バニル様も許してくれますよ〜。まぁ、私はゲート開けたら天界に直帰ですけど…」

 

こいつ…もうこの場で私が焼いてやろうかしら…

 

「でも、バニルが見通したのは天使の反応だろ?天使なら3日先でも見通せるらしいし、実はこれから出会うって可能性はないか?」

 

「バニルって、私達相手だと半日先も見通せないのよ…むしろ私達が居たから出会えなかったって可能性もあるのよね…」

 

「え?じゃあむしろ皆さんが足手まといだったんですか?!困りますねぇ!」

 

「『インフェルノ』」

 

「あっつぅ!」

 

「…次は羽をローストチキンにするわよ?」

 

「あ、はい…ごめんなさい…」

 

まったく…真っ先に遊びに走った奴がなんて言い草よ…

 

「あれ?なんか今炎が見えたような…」

 

不味い!他のお客が来てた?!騒ぎになったら…

 

「まぁいっか…うちの息子も炎出すし…」

 

え、いいの?て言うか息子さん何者?!

 

「あらあら?随分と美人さん揃いね?」

 

「あら奥様、私の友人が騒がしくて申し訳ございません」ペコリ

 

セレナ変わり身早っ?!そして日本語が迅速過ぎるわ!

※ここから先は日本語でお送りします。

 

「あら、日本語が話せるの?これはどうもご丁寧に…えっと、どこの国からいらしたのかしら?」

 

こういう時はなんて答えるべきかしら…この世界では何でも簡単に調べられるって言うから、下手な事は言えないし…

 

「わたくし、ベルゼルグ王国より参りましたアイリスと申すもの!以後お見知りおきを!」

 

いや、あんた武士か?!どんな資料から日本語を学んだの?!

 

「残念、知らない国だわ!日本へようこそ、異国の侍ガール!」

 

あ…この人も結構ノリがいい…

 

……………

 

「うぅ…大変だったでしょう…事故にあった大切な人を探しての来日なんて…」グスン

 

「いえ…彼は私達の為に、もっと大変な思いをしてくれたんです。私達の苦労なんて、大した事ではありません…」

 

「セレナちゃん健気すぎるぅ!」ダバー

 

私達に話しかけてきた女性は、知れば知るほど不器用でお人好し…こんなに不審な私達のことを、怪しむより先に心配してくれた。ほんの少しだけ、この人がカズマと重なって見えた気がする…

 

「必死に言葉を勉強して、慣れない都会に翻弄されて、貯めたお金を出し合って……うぅ、探してる人は幸せ者ねぇ…」

 

うん、嘘は付いてないけど……なんかごめんなさい…事故って言うのはバカのミスです。言葉を勉強したのはアイリスだけだし、翻弄されたのは遊園地にです…

 

「愛する兄の為ゆえ、私の苦労など些末な問題にござります…」

 

あーうん…アイリスには、後日ちゃんとした日本語を教えましょう…雰囲気ぶち壊すから…

 

「アイリスちゃん……分かった!うちの家族も手伝うから!一緒に探してあげるから!!」

 

「えっと…それは流石に申し訳ないですし…」

 

「ありがとうございます!!」

 

ちょっと天使?!

 

「なに言ってるの!深入りさせるのはまずいでしょ!私達完全に怪しい集団よ?叩けばほぼ埃の塊よ?!」(小声)

 

「こういう人間の方が厄介なんですよ。断れば善意で色々と調べ始めますから…深い話はせず、感動の再会を見せたら解散とした方がリスクは低いです」(小声)

 

「どういう事なのよ…」(小声)

 

カズマもそうだけど、日本人って、なんか変な方向に厄介だわ…

 

___________

 

「良い?手を借りるのはあくまで今日だけで、余計なことは言わないのよ?」

 

「分かってる…あの人とは深く関わるべきじゃない。あんな良い人に記憶処理なんて受けさせちゃ駄目だ。だから、あたし達の事は深く語らない…」

 

「そうですね…私はこのまま謎のサムライガールのままで別れます…」

 

「アイリス様のは少し位訂正しても良いとは思いますが……」

 

翌日の朝、私達は朝食を済ませて彼女の元へ。逃げて調べられれば、偽造したプロフィールでホテルを予約した事を悟られる。天使の作戦により、私達は深くは語らず最低限の情報だけ渡すことにした。

 

「いい?嘘を付けばボロが出るでしょうから、誤魔化すときはセレナに任せて…アイリスと天使はなるべく発言しないこと」

 

「うわぁ、あたしの責任重大だな…じゃあ、行くぞ?」コンコン

 

先頭はセレナで、私達は後ろから……深くは語らず怪しまれず…冷静に考えると難易度が高いけど…これで捜査が進展すれば儲けもの。折角だから前向きに…

 

「あら!皆さんいらっしゃい!早速うちの家族に紹介を……」

 

「どうも初めまして!セレスディナと申します!仕事は聖職者で、出身はベルゼルグ!カズマさんには大変良くして頂いておりまして!」

 

「ちょっと!いきなり何よ?!あんた下手な部分は語らないって……」

 

「…………よぅ…3日ぶり…」

 

……カズマがいるぅ?!




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

皆さん疑問に思う方も多いと思います。なんで捜索隊がこのメンバーなのか…

次回、母のビンタを炸裂させるためです!

またお暇なときにお付き合いください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。