私の指を折った魔の競技ですが、プレイ中に思い付いたのでネタにしました。
そんな余計なこと考えてるから折られるんでしょうけどね!(笑)
またお暇な時にでもお付き合いください。
世界に点在する神々の神器。それらの大半は転生特典として世界に送られたモノが殆どである。しかし、時にはこう言う例外も存在する。
「ふぅ…流石は王都だ。衛兵たちの巡回に隙がないな…」
彼はリッチーのウィズを心から推している9人制バレーボールの神。世のバレーボールが6人制ばかり注目される中、それでもバレーの素晴らしさを伝えるために努力する男である。今日もまた、王都に勝手にバレーボールコートを設置するのに大忙しだ。
「ふふふ…まさかこの世界でこんなにバレーボールが流行るとは思わなかった。大半が6人制とは言え、たまに子供や老人が9人でやってくれるだけで俺の神格は回復するからな。よし、後はネットを張れば……」
「おい不審者だ!謎の男が地面に何か突き立てているぞ!」「怪しい奴め!抵抗せず縄につけ!」
「くそっ!工具を片付ける暇がない!しかし、ここで捕まるわけには……」
こうして陰ながら暗躍する神々は、自らの存在を露骨に主張することはない。※アクアは除く。別に司るものがマイナーだからではなく、それが変な方向に世に混乱をもたらすから仕方ない。そのため、焦って落とし物しちゃうのも仕方ない!
「ん?なんだこれは……布製の、腕輪か?」
そして、この布製の腕輪。つまりリストバンドが、また大きな波乱を巻き起こすことになるのだが、その騒動の中心には、変わらず彼らがいるのである。
…………
「って感じで話を振っておけば、多分カズマ様とエリス様がなんとかしますよ?」
「えぇ…俺が悪いけど、えぇ…世界の主神へのフリがそれぇ……」
そう、最近良いところない私も、実はバレーボールだけは大得意!せっかくなので、私の活躍の場を用意させて貰うとしましょう!
「ははっ…ははははは!バレーボールは高さの競技!飛べない人間共が、私に跪く時が来たようですねぇ!」
「うわぁ…コイツ本当に天使か…」
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色々あった翌日……
「あの…本当の本当に引いてませんか?実は私にドン引きだったりしませんか?!それならそうと言ってください!私、少しずつでも改善しますからぁ!」
「いや、別に半洗脳状態なんて良く有ることだし…エリスがヤキモチ焼きなのは可愛いだけだぞ?」
「えっと…半洗脳が良くあるというのが引っかかりますが、それで良いなら、ありがとうございます…」
先日の暴走が余程恥ずかしかったのか、今日は朝からエリスがソワソワしている。まぁ、言われてみればエリスはヤンデレっぽいところもあるが、あの程度なら全然勃つので問題ない。
「なんかエリスってば付き合う前に手編みのマフラーとか贈りそうよね。重そうだし…」
「え?何言ってるんですか先輩?私は先輩より軽いですし、マフラーはもっと軽いですよ?」
え?なにそれ天然?!
「えっと…エリスとかマフラーじゃなくて、愛が重いって意味で…」
「嫌ですねぇ先輩ってば。軽い愛ってなんですか?それはもう愛じゃないですよ。それに、愛はどんなに背負っても、身体の負担にはなりませんよ?」
「……ごめんカズマさん。この娘、私じゃ手に負えない…」
「え?あれ?私変なこと言いましたか?!」
なるほど、一途で真面目ゆえに愛に軽いとか重いとかの判定がないのか……でも、可愛いし勃つから大丈夫。取り敢えずこれくらいなら守備範囲だ。
「そうだカズマ…実は今朝、エリス宛に変な荷物が届いていたのだが…」
「私にですか?基本的にはエリス教会に送るように話をしてあるのですが……」
「よ〜しダクネス。開けずに送り返せ、そんな不審物どうせ厄介事だ。俺は久々の平穏を楽しみたい」
「いや、それがもうめぐみんとあるえが開けてしまって……」
えぇ……それ絶対にフラグじゃん。これだから律儀にフラグ回収する馬鹿共は…
「そうなのですカズマ、この荷物なのですが…」
「おい。なんでお前らは警戒心もなくそういうのを…開け…て…」
そこまで言いかけた俺は、その先の言葉が出なかった。その理由は決して、リビングに来ためぐみんが申し訳無さそうだったからとか、あるえがちゃんと箱を返しに来たからとか、そんな理由では断じてない。二人が着ている服が、バレーボールのユニフォームだったからだ。
「そ、その服は…どうしたんだ?」
「エリス様宛の箱に入ってたんだよ。しかも色違いで赤、青、白の3種類。まぁ、これは予想の範囲内と言うやつさ。見覚えがあったからね。この箱に書かれた未知の言語は…」
あるえの手にあるダンボールには、この世界のものではない言葉で……と言うか、普通に日本語でこう刻まれていた。『ユザワヤ』と
※日本大手の手芸用品メーカー
「なるほど、織物の女神様か。でもなんでそんな服を?街で流行ってるからか?」
「あの人はインスピレーションが働いたらその場で即服を作りますからね…普段なら手紙などを同封してあるのですが……」
「入ってたよ?」
「いやそっちを先に出せよ!」
全く…本当にあるえは面白そうと言うだけで行動しやがる…
「しかし、これもまた未知の言語でね?」
「良いよ。多分俺は読めるから…」
あるえの手から紙を受け取ると、意外なことにそれはこの世界の言葉で綴られていた。つまり、内容が不可解とか言うことだろう。なら、声に出して全員に聞いてもらった方が良さそうだ。
「えっと…まるで黒炎の衣をまとったかのようだ。彼の剣は頑強にして繊細、我が水の守りを一方的に蹂躙し、その熱を我が身に…」
……マジでなにこれ?
「あぁ〜!!それじゃない!こっち!こっちだから!」
「なんだよ新作か。魔法剣士モノって事は、遂にオリジナルを書き始めたんだな」
「………そ、そうだね…そう思ってくれると有り難いな…」
「あるえ、まさか今のは……」
「後生だから…黙ってて…」
「……はい」
どうやらめぐみんには何かが伝わったようだが、今はそれよりもこの手紙だ。やはり日本語で『エリス、カズマ様両名へ』と書かれているので、どうやらこれは俺たちに向けたものらしい。さて、中身は……
『天使経由でご注文頂いた品です』
「………またアイツかよ?!いやでも、あのものぐさが自分からスポーツをしようなんて言うか?」
「言うとしたら、景品がかかってるとかいい格好出来る確信がある時だと思うのですが……」
なるほど、なんか話が読めてきたな……バレーボールって身長が高くてジャンプ力がある方が有利。つまり、飛べる存在ってのはもはやチートだ。あの変な生物も、これなら活躍間違いなしって訳だ……
バターン!
「カズマさん!エリスさん!なんかギルドで凄い話を聞いたんですけど!」
「ゆんゆん。どうしたんだそんなに急いで?」
いや、本当は分かっている。このタイミングは完全にフラグだ。次に言う言葉には、絶対にバレーボールと神様のうんぬんかんぬんが入っているのだろう……
「その、3日後に王都で神器をかけてバレーボール大会が開催されるって通達があったんです。でも、神器の管理ってエリスさんの仕事だった気がして………」
「え?私そんなの聞いてませんよ?!」
あぁ…やっぱり……
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「それで、なんでこんなお祭り騒ぎになるまで黙っていたんですか?弁明があるなら一応聞いてあげますが?」
「あの、せめてこの件を知ってたかどうか先に聞きません?なんで私はもう簀巻きなんですか?」
ゆんゆんの報告を受けた直後、俺たちはウィズの店に乗り込み、このハーピーの亜種を確保した。しかし、このユニフォームまで届いた状況で、まさか知らない等という話が通ると思っているのだろうか?
「うちにユニフォームが届きました。しかも貴女からの依頼だと手紙まで添えてです。まさか、これで誤魔化せると思っているんですか?」
「……え?注文したの一時間前ですよ?!どうなってるんですかあの人?!」
なるほど、そりゃ確かに予想外だろう。しかし、これで成り済ましの可能性を自分で潰した訳だ。やはりコイツは詰めが甘い。
「それで、今回の経緯は説明してくれるんだろうな?もう転生者を募集してないのに、どうして神器が新たに発見されたんだ?まさか、お前が無断で持ち出したなんてことは……」
「ち、違います!本件は本当に私は悪くないですから!他の神様のフォローですから!ちゃんと全部話しますからぁ!」
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「「落とし物かよ(ですか)!!」」
くだらない!その理由は余りにもくだらない!俺達はまたこんなくだらない理由で変なイベントに巻き込まれたのか?!
「もうその神様の方で勝手になんとかしてくれよ!神様なんだから威厳とか振りまいたら何とかなるだろ?!」
「……アクア様の件をお忘れで?」
「え?そんな胡散臭いタイプの神様なの?!」
「バレーボール限定の、しかも9人制のみですからね。なんかクラスで1人くらいなら入れそうなアイドルグループくらいの威厳しかないですよ?」
あれ?なんか地味に某アイドルとリアに攻撃してないかこいつ?!
「と言うか、それなら銀髪盗賊団として対応すれば良いだろ?なんでこんな回りくどい方法なんだよ……」
「だってそれ犯罪じゃないですか…何名かに正体を知られている今、万が一バレたら色々終わりなのでは?」
「あっはい。仰るとおりです……」
あれ、コイツにこんなド正論でカウンター食らうなんて……どうしよう、凄く惨めな気持ち!
「でも、今なら正々堂々バレーボールで勝てば良いんです!ほら、仲間とスポーツするなんて青春じゃないですか!きっと絆も深まりますから!」
「そんなこと言っても、うちのパーティーにバレーボール経験者なんて…」
「しょうがねぇなぁ!やるか、バレーボール!」
「あれぇ?!意外にもカズマさんが乗り気なんですか?!」
青春!なんて甘酸っぱい響き!そうだよな!今の俺は愛されまくってる訳だし、まだ年齢的には全然青春していい筈だ!学校で青春出来なかった分、今取り返しても良い筈なんだ!
「安心しろよエリス。俺達の無敵のチームワークに、怖いものなんて無いだろ?」
「えぇ…過去にそんな無敵のチームワークを見たことが無いのですが……」
「いやいやスポーツだぞ?流石に戦闘みたいなことになるわけ無いって!」
さぁ!エンジョイ青春!
…………………………
「あのカズマさん?」
「はい、カズマです」
「その…私達の無敵のチームワーク、流石に脆すぎませんか?」
「うん…俺も予想してないレベルで脆かった…」
イベント参加の話を持ち帰ったところ。参加そのものに反対する声は出なかった。しかし、ここで全然関係ない所で問題が発生する事になる。
「赤です!ユニフォームは赤に決まってます!勝負服はやはり燃える炎の赤です!」
「いいえ青よ!この清い色の素晴らしさが分からないの?!試合ではクールな頭脳が勝利をもたらすのよ!」
「いいや!やはり白であるべきだ!チームには純潔の象徴と呼ばれるエリスが居るんだ!そこは白であるべきだ!」
そう、めぐみんとアクアとダクネスが、まさかのユニフォームカラーで揉め始めた。無敵のチームワークどころか、何故か1番メインの3人がこれでは、俺のセリフは完全にやらかしも良いところだ。
「この物語はカズマさんと私から始まったわけよ!つまり、青はカズマさんを表す色でもあるわけなの!分かるかしら?」
「それ、別に俺に青要素ねぇし、もうアクアが主人公みたいじゃん…」
「そうですよ!なんですかその自分が主役みたいな言い分は!それなら、魔王を倒したのは私が教えた爆裂魔法であり、常に赤い血潮を吹き出しているカズマには赤が相応しいです!」
「おい最後の!最後のセリフ全然相応しいとか思えねぇから!出血してるだけじゃねぇか!」
確かに流血沙汰は多いけども!
「待て!カズマを示すのであればなおさら白だ!魔王により血に染められた世界を、もう一度真っ白な状態に戻し、新しい世界の下地を作ったじゃないか!」
「そ、それを言われたら…」
「確かに、私達の持論が恥ずかしくなってきます…」
ダクネス…お前、そんな事を思ってくれてたんだな…やっぱり、俺は魔王を倒して良かったよ…
「何より!みんな真っ白なモノをいつも注がれているじゃないか!あれこそカズマの象徴だろう?!」ハァハァ
「「「「「ぶち壊しだよ!!」」」」」
むしろ後半のほうがメインの勢いじゃねぇか!
「もう良いです!それなら私はあるえとゆんゆんで、赤色の紅魔のチームを作って参加します!」
「それよめぐみん!なら私もアクシズ教で青チームを結成するわ!そもそも、6人でいいならこのメンバーは多すぎるわ」
「そりゃまぁ、確かにそれも一理あるが…」
戦力の分散が怖い気もするけど、確率論で言うならチーム数は多くても良い。そして、何よりアクアが別チームなのはむしろ有り難い。やらかすとしたらコイツだし……
「よし!なら、各自チームを作って自主練だ!神器のリストバンドさえ手に入れば、副賞の賞金とか諸々はそのチームの物としていいぞ!」
「やった!なら直ぐにセシリーを誘って…ステータス的にはカツラギも使わないと…」
「それなら、こちらはやはり師匠の頭脳を中心に…」
まぁ駄目でも最悪盗むし、たまには自由にスポーツを楽しむのも悪くない。これであいつらが少しでもチームワークを磨いてくれれば、それで良しとしよう……
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そして3日後…
「ではここに!第一回王都バレーボール大会の開催を宣言します!」
「「「おぉーー!!」」」
王都中央広場に集まった人々の前で、アイリスが大会の開催宣言を行う。相変わらず国の顔は大忙しのようだ。しかし、それよりも俺は参加者の方が気になる……
「なんか、屈強な冒険者がやたら多くないか?」
「どんなものであれ、神器の所有者はそれだけで一目置かれますし、希少価値を求めた貴族が人を雇ってでも手に入れようとすることを考えれば、この状況は妥当でしょう。そして何より、どんな方法でもカズマ様に勝てれば箔が付きますからね?」
「マジかよ…」
天使はそれを当たり前のように俺に話すが、別に俺にバレーボールで勝っても微塵も自慢にはならないと思う。むしろ、ルールのあるスポーツで俺に挑んで勝てないヤツの方が少ない気がするが……
「ちなみに実況は私、カズマさんのパーティーに失言しても怒られないからと言う理由で呼び出されたアクセル冒険者ギルドのルナと…」
「解説はエリスコーポレーション取締役にして本イベントのスポンサー、吾輩バニルが務めさせて頂くぞ」
あぁ、だから売店にうちの商品が並んでたのか…あいつ本当に商魂逞しいな……
「さてカズマ、私達レッドクリムゾンヴァーミリオンは第1試合です。なので……そこで私達の勇姿に震えるがいいです!」バサァ!
ローブをカッコよく脱ぎ捨てるめぐみん。その目には自信とやる気が滾っていて、日課の爆裂散歩を練習のために夜にしただけの事はあるようだ。さて、ローブは拾っておかないとな……
「しかし、また赤色過多なチームだな……応援はしとくから、頑張れよ」
「えぇ、もちろんです!」
めぐみんのチームは紅魔の3人娘とウォルバク、アーネスとシルビアの6人だ。なぜこのメンバーかと言われたら、赤いかららしい。流石にちょっと雑が過ぎる。なお、入りたくても入れなかった者もいるようで……
「やっぱ俺、青いから入れて貰え無かったんですかね…」
「いや、ホーストはもう見た目から完全に無理だろ…」
多分、俺と話してなかったら警備員さんが突撃して来てたと思う。ジリジリこっちに向かってるし…
「でも、練習には付き合ってたんだよな?あいつらどうだった?」
「シルビア様以外は魔法使いなんで、そんな凄いポテンシャルとかは無かったですよ?」
「だよな…相手は王都の高レベル冒険者だし、こりゃ普通に負けて終わる感じかな…」
「いえ、それがですね…」
スパァン!
「せ、先制点はめぐみんさん!魔法使いで小柄な彼女が、屈強な男性冒険者から先制点を叩き出しました!」
「アクセルの男性冒険者との練習試合で、彼女らは負けなしです」
「しゃあぁっ!!」
え……これはまさか、めぐみんの新しい伝説が始まる流れなのか?!
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バレーボール。それは、相手のコートにボールを落とし合う球技。しかし、お互いのコート間には高くそびえ立つネットがあり、そこを超えて攻撃するには、どうしても身長か跳躍力が居る。だから、俺の眼の前の光景は、小柄なめぐみんが大活躍している光景は、まさに奇跡と言えるのだ。
スパァン!
「めぐみんさん、3連続ポイントです!まったくブロックが反応出来ません!」
「流石だねめぐみん」「私のライバルだもの!」「ふふ、やっぱり私のトスが良いからかしら?」「ほら、試合はまだ終わってないんだから、集中力を切らせないで?」「でも、このままならいけますよ!」
いや違うな。なんかだんだん見えてきたぞ。このチームの強さの秘訣が……
「カズマ様、このチームは私から見てもそんなに強そうに見えないどころか、先程からめぐみんさんがアタックする寸前に全員が一瞬止まります。これはまさか魔法による反則では……」
「いや、これは魔法じゃない。と言うか、真の得点源はめぐみん以外だ!」
「は?なんでですか?!」
俺もさっきから観察していて気付いた。そう、隣のクリスを観察してな!
「…くっ…ここでも…こんな時でもぉ…」イライラ
うん、これはいつか人を殺しそうだな。さて、じゃあここらで確認といこう。恐らく、見るべきは相手の視線だ。
「そぉ…れっ!」ペチッ…タユンッ
まずはゆんゆんのサーブ。まずこれは全然凄くない。凄くないのだが…
「……あっ!やべっ!」
まず、ボールより一回り小さい2つの柔らかボールに目を奪われ、相手の反応が一瞬遅れる…
「カバーカバー!」
しかし、あちらも歴戦のチームワーク。フォローが入ってトスが上がる。そして、そこにウォルバクとシルビアのブロックが飛ぶのだが、ジャンプ力の差でウォルバクの上を抜かれる……筈が……
「えいっ!」ぽよん
「はっ!」ばいん
ペチッ
「し、しまった!」
競技用ではない4つのバレーボールが少し低い位置で跳ねる為に、その視線は本来のボールから逸れてしまい、ボールを芯で捉えられない。
「オーライ!」
そして、そのへなちょこボールをあるえが拾い、ウォルバクがトスをして、めぐみんが打てば決まると言う流れだ。この間、相手の視線はほぼほぼ女性陣の胸にしか向いていないのだ。
「んーー?これはまさか、ただ相手が下手なんですか?」
「いや…これは…」
「くっ!こんな時まで発育がぁ!!」
クリスは長年の経験(?)で真っ先に気付いていたらしい。この戦いはボールとは違う所で決着していることに……
「発育って……これまさか?!」
「あぁ、天使も気付いたか…そうだ。対戦相手の視線は、常にめぐみん以外の胸元に吸い寄せられている!」
「なんですかその嫌すぎる最強の囮!そんな馬鹿な理由でここまで点数取れるんですか?!」
天使がここまで取り乱すのも無理はない。しかし、残念ながら男って言うものはそんなもんだ。豊かな実りが激しく揺れれば、それを目で追うのはもはや本能。抗うことなど出来るはずがない。
「おらぁ!!」スパァン!
「第一セット、赤チームの先取である!」
「ちょっと!なんでレッドクリムゾンヴァーミリオンを略すんですか?!」
「やかましいわ!とはエントリー用紙の枠外にまで名前が続くなんて嫌がらせをしよって!ハーフタイムには、速やかにベンチに戻れ!」
「くっ!まぁ良いです。ここで活躍して、嫌でもその名前を覚えて帰ってもらいますからね!」
覚えて帰っても、それ明日以降絶対に使わねぇだろ……
…………………
「でも流石にこれだけで勝つのは無理そうだね。流石に向こうも慣れてきたみたいだし…」
「だろうな。めぐみんしか打ってこないなら、めぐみんにだけ注視してれば良いわけだしな?」
後半が始まって数分。相手もどうやら馬鹿ではないらしく、ウォルバクがトスする瞬間に視線を上げるようになった。その後で跳ぶのはめぐみんだけなのだから、もう弾むものがなく囮は通じない。ブロックされてしまえば、それを拾えるテクニシャンは存在しないのだ。
「ちょっとでも弾めば、まだぶち抜ける可能性もあるんだろうけど…」
「おい!なんか失礼な視線を感じましたよ!言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!」
「いや鋭いなめぐみん…」
しかし、これは本格的に不味い。このまま負けたら、この高レベルな冒険者が勝ち上がってしまう。そうなると、そこからリストバンドを奪うのは難しい。
「本当なら、1回戦から全ての力を出すつもりは無かったんだけどね…」シュルッ
「あるえが眼帯を外した?!」
「そんな!それ着けてると距離感掴めないから攻撃参加は無理って言ってた眼帯を?!」
「なんか私達も無いと違和感あるから何となく認めていた眼帯をついに?!」
いや、なんでそれで付けてたんだよ!普通に外せよ!
「いいのね?ここで本気を出せば、私は当分ベンチよ?」
「分かっているさ。でも、ここで敗北すれば、その場で終わりだからね…」
いや、それ別にカッコいいセリフじゃねぇよ?
「いくよ!全員参加で攻撃だ!」
「「「「「おぉー!!」」」」」
しかし、高い知能は伊達ではない。単体で勝てなくても、全員で攻撃に参加すればブロックは突破できる。俺はそれを研究するために、ちょっと里帰りしてハイ○ューを読み込んだものだ。
「くそっ!いきなり動きが良くなりやがった!」
「落ち着け!一人一人の動きはそれ程でも……」
残念だが、こうなってしまえばお前らに勝ち目はない。選り取り見取りの巨乳が5セット同時に揺れているんだ。男として、本当に心から同乗するよ。
「えぃ!」パスン!
「おっと飛べません!一斉攻撃に翻弄されたのか、ゆんゆんさんのブロックに一人も飛べません!」
そりゃ全員前屈みだもん。飛んだら色々ヤバい事になるじゃん……
「く、くそぅ!見えてるのに!どこに来るか分かってるのに!!」「でも飛んだら…ここで飛んだら人として終わる!」「畜生!なんでこんな……こんなの……最高すぎるだろぉー!」
「「「「「「わかる!」」」」」」
コートに響く対戦相手の魂の叫びに、心から同調する男性客たち。しかしバレーボールとは精神の戦いではない。どんな理由であれ、コートにボールを落としたほうが敗北するのである。
ぽとっ
「勝者!赤チーム!」
…………いや、なんだこれ?!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
折れた指を供養するためのネタ回です。
ちょこっと続きますが、また女性攻め回も書いてるので挟まないと……またお暇な時にでもお付き合いください。