※この作品はR-18です。

英雄特典のエリス様   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

私の作品は一応ハーレムルートです。となれば、残されたヒロインの行く末がどうなるのか……ってことで他の仲間達とのエンディング、後日談入ります。

またお暇な時にでもお付き合いください。


Fantastic Dreamer

カズマに出会ってからというもの、私の人生は波乱に満ちていた。数々の冒険に出かけ、多くの強敵に出会い、そして遂には魔王を討伐するまでに至った。だが、そんな波乱を生き抜いた人生も、どうやらこれで終わりを迎えるらしい。

 

「お母様!もう少しだけ耐えてください!直ぐに妹がレジーナ教会の治癒師を連れてきますから!」

 

「残念だが、私はもうこれまでだ。これは病気じゃない。ただの老い……天命が尽きるだけなんだ……」

 

「嫌です!まだ諦めないでください!もっと、僕と一緒に生きてください!」

 

私の手を握る息子は、本当に最期まで私にベッタリだ。愛されることは幸福だが、これでは心配で仕方がない。しかし、それでも運命は待ってくれない。時間とは、誰にでも平等で、そして残酷だ。

 

「次期領主のお前が、そんな事でどうする。この街は悪魔と天使が共存できる唯一の街なんだ。ここから世界を変えると言うのに、そんな事では…ごふっ!」

 

「お母様?!」

 

口の中に広がる鉄の味に、もういよいよなのだと言う実感が湧く。まだ少しだけ不安は残るが、後は息子のことを信じてやろう。この子を産んだ、母として…

 

「お前には、私とカズマのすべてを教えたじゃないか……胸を張れ。私達の願いを継げるのは、この世界にお前しか居ないんだ……」

 

「……はい!お母様とお父様の願いは、僕が必ず!この街から世界に、共生と共存を広げてみせます!」

 

あぁ、覚悟を決めたときの顔はなんて頼もしい。大丈夫、お前にはカズマの血も流れている。きっとやれるさ。やる時にはやるのがお前の父親なんだ……

 

[いやそれはどうかな……俺は仲間と家族の為にしか頑張らないし……]

 

「カズマ?!今、カズマの声が……」

 

「えっ?僕には何も聴こえませんが……」

 

「あっ…そう…だよな……」

 

そうだ……カズマは確かに死んだ。次に会えてもそれは天国だろう。こんな形で話せるだなんて……私もカズマ離れが出来てないようだ……

 

[あれ?聞こえない?おーい!]

 

まったく、想像の中のカズマもやかましいな…最後くらい静かに…

 

[……ララティーナお嬢様〜?]

 

「その呼び方で呼ぶなぁ!」ダンッ!

 

「お母様?!」

 

し、しまった!ついいつもの癖で!

 

[おいおい、いきなり騒ぐなよ。周りの人ドン引きだぞ?]

 

「いやお前のせいだろ?!」

 

「あのお兄様…レジーナ教会の治癒師をお連れしたのですが……お母様は随分とお元気なようで……」

 

「いや、その……本当にさっきまでは死にそうで…と言うか、突然誰もいない虚空と会話を始めたので、実はヤバいかも知れなくてだな……」

 

「まさか!以前から時折怪しいとは思っていましたが、ついに脳が?!」

 

「ちがっ…本当!本当なんだ!」

 

どうしよう!娘どころか使用人も沢山集まってきている!死に際にまでこんなの望んでないのに!くぅ!

 

[いや〜、流石に最期の瞬間に性癖爆発はひくわー…子供の前では我慢するって言ってたのに、最後の最後でそれは無いわー]

 

「お、お前のせいだろう?!天国であったら、やはり一度ぶっ殺してやる!あっ…」ぷちっ

 

不味い……過度の興奮で血管が……

 

「「「「あぁ?!」」」」

 

[え?まさか最後の言葉がそれ?!]

 

あぁぁ!!もう嫌だ!死にたい!

 

[いや、それでいま死んでるわけじゃん?]

 

うるさい!!

 

_________________

 

「えっと……半月ぶり、ですね?」ぷるぷる

 

「あぁ……そうだな……」

 

あんな死に方をした私は、気が付けばエリスの前に座らされていた。そして、あの肩の震えは、多分全部知っているんだろう……

 

「死にたい…」

 

「ぶふぅ!」

 

くそぅ!やっぱり全部見てたんだな!

 

「ご、ごめんなさい!でもあの…二人のやり取りがもう昔のまんまで…しかも死因が興奮って……」ぷるぷる

 

「そんなに笑うな!今はこの身体だが、さっきまでは老体だったんだぞ?!あの馬鹿は何処にいる!やっぱり1回ぶっ殺してやる!」

 

カズマの声が本物なら、きっとあいつは普段ここに居るのだろう。それなら、せめて一発はぶん殴らないと気がすまない!

 

「えっと…会いに行くのは許可しますが、流石に今は辞めたほうが……」

 

「いいや!早くしないとアイツは逃げるからな!この怒りを今すぐにぶつけてやる!この若く戻った肉体で、思い切りぶん殴ってやる!」

 

「……はぁ…何があっても私は知りませんからね?じゃあ…『降臨』!」

 

エリスが手を挙げると、テレポートのように私の体が転送されていく。さぁ待ってろよカズマめ!この恥辱をお前に償わせてやるからな!

 

…………

 

「それで出棺の時間は……あっダクネス…」

 

いた!人に恥をかかせて置きながら、あっ、じゃないだろこの薄情者め!

 

「見つけたぞカズマ!さっきは良くもやってくれたな!お前のせいで家族への遺言がぶち壊しだ!ぶっ殺して……あっ…」

 

「え?お母様?!」「お母様ですの?!」「ら、ララティーナ様だ!」「なぜか若返っている!」「いや、しかしこっちに遺体が…」「まさか隠し子?!」「でも、ぶっ殺してやるの発音が完全に同じだし……」「まさか復活したのか?!どれだけカズマ様をぶっ殺したいんだ……」

 

あれ?眼の前に見知った顔が…と言うか見知った顔と、私の遺体が……

 

「えっと……お、おかえりなさい…で良いのでしょうか…」

 

「……身体はここにあるから、おはようじゃないか?ダクネスはどっちがいい?」

 

「ぜ、絶対どっちも違う!」

 

もう重ねて死にたい!!

 

……………………………

 

「うぅ……これは私の求めるタイプの辱めじゃない……」

 

打ち合わせを終えたカズマに天界に連れ戻された私は、あまりの羞恥に部屋の隅で丸くなっている。なんで私は、人生最後の日にこんな恥をかかされているんだ……途中まで理想的な最期だったのに……

 

「ほら、いつまで体育座りしてんだよ。良かったじゃないか、ちゃんと引き継ぎも出来たし、別れの言葉だって言えたろ?」

 

「凹んでるのはカズマのせいだろう?!死に際のセリフがぶっ殺してやるで!死んだ10分後に里帰りさせられて!どうしてくれるんだあの空気!もう喪に服すなんて空気じゃなかっただろ?!もう、いっそ消えてしまいたい……」

 

うぅ……まさか、死んでるのに更に死にたくなるなんて思わなかった……

 

「そりゃ悪かったよ。と言うか、俺を無視したのはダクネスだろ?せっかくロマンチックな最期にしようと思ったのに、無視されて怒鳴られて…俺だって切ない気持ちだぞ?」

 

「だったら最初から来れば良かったじゃないか!あんな遠回しに声だけなんて、そりゃ私だって疑いたくもなる!」

 

「……この姿で前に出たら、その場で興奮して血管切れて死ぬだろ?」

 

「そ、それは……むぅ…」

 

否定できない……

 

「と言うか、久々に再会した妻に何か無いのか?私は本気で寂しかったんだぞ……」

 

「あぁ、本当なら抱きしめてキスしてやりたいよ。でもさ…」

 

ふわっ

 

「あっ………」

 

差し出されたカズマの手を掴もうとすると、自分の手が煙のように霧散する。そして、また再び手の形を成すが、その手には生前のような感覚がない。まるで、霞を触っているような。

 

「そうか…私は死んだんだもんな……もう、カズマには触れられないんだな…うぅ…」

 

最期の瞬間にも抑え込めた涙が、今は止めどなく溢れてくる。触れたい。コレが私としての最期の瞬間なんだ。せめて最後に、生涯をかけて愛した相手に触れたい。そのために頑張ってきたのに!

 

「ダクネス。貴方が本気で望むのであれば、転生も、天国へ行くことも諦める覚悟があるのなら、貴女に新たな肉体を与えることが出来ます。しかし、その先には平穏はありません。それでも…」

 

「それでも良い!私の全てを対価にしても構わない!だから、もう一度カズマに触れさせてくれ!」

 

「………言質とったよな?」

 

「ばっちりです!」

 

あれ?なんか二人の顔がさっきと違う?!これ悪巧みしてる時の顔じゃ……

 

「よし!これで晴れてダクネスも仲間だな!」

 

ぽむっ

 

あれ?なんか肩に普通に触られてる?!

 

「でも本当に良かったです!タイミング的に断られるかと思いましたもんね!」

 

「お、おい!なんだ?何の話だ?!さっきの手が霧散したのに、なんでカズマからは触れるんだ?!」

 

「だって神様だし?相手が霊体でも、触ろうとすれば触れるぞ?」

 

「う、嘘だろ?!」

 

だ、騙された!じゃあ抱き締めることも出来たはずじゃないか!

 

「でも、これで正式に私の天使ですね!明日からおねがいしますね」

 

「こ…こんな手を使わずとも、私は断ったりなんてしないぞ!なんでこんな意地の悪いやり方をするんだ!」

 

天使になるのは構わないが、流石にこれには納得なんてできない。さっきまでの涙を返して欲しい!

 

「あ〜いやな……明日ってなんの日だと思う?」

 

明日?普通に考えれば私の葬儀だろう。あれ、でも教会には活気があったな………あっ!

 

「まさか、明日って教会で……」

 

「そう。ダクネスの葬式したら、そのままエリス祭だ」

 

「えぇ、本来なら天使が私の隣に控えるのが通例なのですが、あの子北欧の神々と旅行に行く約束をしたとかで、ダクネスが天使になってくれて本当に良かったです!」

 

「おい待て!じゃあ私は、自分の葬儀後にそのままその場所で仕事をするのか?!街中の人に同じ恥を晒すのか?!」

 

「大丈夫だって!皆エリスを見に来てるわけだし?お前は何年も若返ってる訳じゃん?逆に全然わかんないって!」

 

「ほ、本当だろうな…」

 

まぁ、これからも二人と一緒に居られると思えば、隣に控えるくらいなら全然構わない。きっとそれなら気付いても数人だろうし、喋ったりして注目さえ集めなければ、他人の空似と思うだろう。

 

「分かった……2人の側に居られるなら、私はどんな苦難にも挑もう。これからも、どうか宜しく頼む!」

 

「あぁ、よろしくな!」

 

「えぇ、ずっと一緒です!」

 

しかし、死んでからも愛する人とずっと一緒だなんて、私は恵まれすぎている。最初の友達が、初恋の相手が、私の人生をここまで変えてくれるなんて……

 

「そ、それで…カズマにまだ抱き締めて貰ってないのだが…」

 

「そうだったな…お疲れさまダクネス。またよろしくな」

 

ぎゅっ

 

「あぁ………あぁ任せておけ!」

 

この先もまた困難の連続かもしれない。でも、私はそれでも後悔しない。この腕の中の温もりがあれば、私は何度でも立ち上がれる!さぁ、行こう!どんな運命だろうと、私はもう怖くはないぞ!

 

…………………

 

「あれララティーナ様だよな!」「凄い!超若いじゃん!」「凄い綺麗でスタイルやばい!」「イヤでも……」

 

「「「「「本人居る場で葬式するの?」」」」」

 

「おい…なんで……なんで遺影が……魔王討伐の時のものなんだ?!」

 

これのせいで、なんかめちゃくちゃ注目集めてるじゃないか!

 

「その…当時のお母様の勇姿に憧れる冒険者も多くて、実はあるえ様の書いた本がアニメになって再ブームなんですよ……あ、ちゃんと隣には老後の写真もありますよ?」

 

「でも凄いです…ダクネスは領主として、本当に愛されていたんですね…これは見た目の人気だけでは不可能な愛されっぷりです!」

 

「あぁ、俺もなんか誇らしいな!」

 

「はい!僕も父さんと母さんの子供として誇らしいです!」

 

「そ、そう言われると悪い気はしない……しないのだが…」

 

「あぁ可愛過ぎるよララティーナ!」「ララティーナ俺だぁ!結婚してくれぇ!」「中身も見た目も愛してます!」「こんな可愛い未亡人見たことねぇよ!」

 

これは本気でどうしてくれる!

 

「ははは!羨ましいか?羨ましいだろう冒険者共!可愛いララティーナは俺の嫁ですー!」

 

「おい冒険者共!可愛いララティーナ母さんは、僕のものだ!次言ったら追放するからな!」

 

「いや、追放はやめてやれ?あと、流石に息子のお前は少し母離れしろ?」

 

「駄目ですか?!」

 

あぁ!頼むからどっちも辞めてくれ!嬉しいんだ!2人の言葉は心から嬉しいんだが!それ何千人の前で言う事じゃないだろ?!

 

「これ、おそらく当分続きますよ……この熱気は、降臨する度に騒がれそうです…」

 

「別にそれも良いだろ?俺も当面はイジるぞ?」

 

「うぅ…そんなの…そんなのぉ………くっころ!!」

 

______________________

 

 

カズマが亡くなり、私達はバラバラの道を歩む事にしました。それは決して仲違いをしたからではなく、各々がカズマの意志を世界に広めるため……カズマの妻として、残された僅かな時間を世界の為に使うのだと……

 

「それで、平民の子供への教育をボランティアでやるって話だったはずよね?」

 

「あぁ、私もそう思っていたよ。まったく、めぐみんと一緒に居ると、本当に最期まで退屈しそうにないね?」

 

私はあるえとゆんゆんを連れ、王都で小さな学校を営んでいました。国の教育制度が配備されたとは言え、どうしても身分の低い人々には行き届いていない。そんな状況を、少しでも改善しようと考えたのですが……

 

「文句なら、あのトレント共に言ってください。どちらかといえば、うちのトラブルメーカーはアクアです!」

 

私達が教職に着いて半年後。王都に緊急クエストが発令されました。それは、カズマが無血勝利を治めた以前の恒例行事。その後、念入りな対応により長らく発生しなかったそのクエストの名は……桜前線。

 

「それで、ゆんゆんが呼び掛けた紅魔族の到着が早くても30分は必要だろう?そして、今回揃った防衛部隊の規模は過去の半分以下……」

 

「チート持ちの英雄は殆ど生存していないこの時代に、この群れと戦闘をすれば数百は死にますね……」

 

「うん。それはカズマさんとエリスさんが悲しむから、絶対に駄目だよね!」

 

だから私達は最前線の更に前に居る。どう考えも無謀でしょう。しかし紅魔族として、英雄カズマの妻として、私達が退くわけにはいかないのです!

 

「我が名はあるえ!アークウィザードにして上級魔法を操るもの!かの英雄譚を描いた作家にして、究極の魔法使い!」

 

「我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操るもの!紅魔の前族長にして、最高の魔法使い!」

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードにして爆裂魔法を操るもの!もっとも武勲ある英雄にして、最強の魔法使い!」

 

「「「さぁ、その目に焼き付けるが良い!これが我らの…最後の英雄譚だ!!」」」

 

さぁ、見せてやりましょう!私達の最期の輝きを!

 

_____________

 

「はぁはぁ……やはり、老体にこれは無茶だったみたいだね…」

 

「そうね……まぁでも…援軍は間に合ったから……」

 

「その間に合ったと言う話には、私達は含まれてないですけどね……」

 

既にボロボロとなった私達の前には、どうしようもない程の魔物の群れ。残念ながら、間に合った援軍とはあくまで町のこと……遥か前線にいる私達は、残念ながら含まれません。まぁそれでも、犠牲が0なんてありえませんが……

 

「現役時代なら、このまま殲滅できたかも知れないのに歳は取りたくないわね…」

 

「ふふっ、ボヤいても仕方ないよ…時間の流れとは残酷なのさ…」

 

「今ならまだ、二人だけなら逃げられるかも知れません。爆裂魔法を打った私はもう動けませんから、置いて逃げてください…私が食べられている間に、少しは時間も稼げるはずです…」

 

杖を地面に突き立て、フラつきながらその身体を必死に起こす。この年齢でも爆裂を撃ち続けたが為に、私の身体はもう長くはない。それならば、この2人だけはせめて……

 

「ううん…ソレは違うわ。めぐみんはちゃんと、ウォルバクさんを待っててあげて……二人は、私が死なせない!」

 

ガシッ!

「「……えっ?」」

 

ゆんゆんの作り出したゴーレムが、私とあるえを抱えて走り出す。その場に術者であるゆんゆんを置いて……

 

「ゆんゆん、あなた死ぬ気ですか?!魔力なんて殆ど残ってないのに!」

 

「大丈夫。二人は死なせないよ。駄目ならテレポートもあるから…」

 

間違いなくそれは嘘でしょう。もしもテレポートの魔力が残っているなら、全員を連れて街に飛べばいい。さっき私にトレントの枝が伸びたとき、明らかに加減を間違えてライトオブセイバーを放った。多分、あの時に魔力を……

 

「残していて良かった……本当は使うつもりは無かったけど、このダガーがあれば、きっと二人を守れるよね…」

 

「早まるなゆんゆん!それはウォルバクさんが全てを失う覚悟じゃなきゃ使うなって言った魔道具じゃないか!」

 

「だから、私の全部で発動するの…失敗なんて出来ないから…」

 

「駄目です!師匠は冗談や酔狂でそんなことは言いません!本当に死ぬかも知れないんですよ?!」

 

でも、あの真っ直ぐな目は、きっともう止まらない。私達の為なら、ゆんゆんはきっと命さえも捨ててしまう……

 

「二人が居なきゃ、きっと私はずっと一人だった。だから、最期くらいは一人で良い……二人が無事なら、それで良い!トレント達には、二人は追わせない!」

 

ドスッ

「「ゆんゆん!!」」

 

「かはっ!」

 

躊躇わずに振り下ろされたダガーは、完璧に心臓を捉えました。そして、あふれる血液がそのダガーを濡らして……

 

どさっ…

「そ、そんな……」

 

なんの魔法も、発動してない?これじゃ、ゆんゆんは無駄死にじゃ……

 

「足りなかったんだ…老いた私達の魔力では…くっ!」

 

がっ!

 

「あるえ?!」

 

崩れ落ちたゆんゆんの元へ、まだ身体の動くあるえがゴーレムを振り切って走り出しました。捕縛の命令を逃げろで上書きされたゴーレムは、再びあるえを捕らえることはありません。でも、身体の動かない私は……

 

「あるえ駄目です!貴女まで逃げ切れなくなります!」

 

「わかってる……でも、ゴーレムじゃトレントなんて振り切れない。それに、ゆんゆんの意志を無駄には出来ないじゃないか…」

 

そう言って、あるえは血濡れのダガーを拾い上げる。そして……

 

「ごめんよめぐみん。私は、やっぱり自分よりめぐみんに生きてて欲しい…」

 

「そ、そんな駄目です!辞めてあるえ!」

 

「さぁ!一人分で足りないなら二人分くれてやるさ!これが、私達の覚悟だ!」

 

ズンッ

一切の迷いのない決断に、今度はあるえが崩れ落ちる。しかし、それでもダガーはなんの反応も示さない。まさか、二人分でも足りないと言うのですか……

 

「そんな……これじゃ二人が…あっ!」

 

ガコッ!

ゆんゆんの注いだ魔力が尽きたのか、ゴーレムがその場に崩れ落ちる。そして、ゆんゆんとあるえの亡骸を取り込み、さらに力を増したトレントが目の前に……

 

「ごめんなさい。私は二人の犠牲を無駄にしました。でも、直ぐに2人の側に行きますから…」

 

ごめんなさい師匠。貴方の託してくれたアイテムを無駄にして……そして、ごめんなさいカズマ。貴方の無敗神話に、私が泥を塗ってしまって…

 

「『ライトオブセイバー』!」

 

「『インフェルノ』!」

 

「…え?」

 

目の前に迫るトレント達が、まるで紙くずのように消し飛びました。でも、私はもうそんなことどうでも良い!この聞き覚えのある声は、間違いなくこの声は!

 

「うそ…そんなまさか?!」

 

声の主はまさかの上。太陽の光を受けて輝くのは、人にはある筈のない白い翼。でもその姿は、間違いなくあの二人!

 

「さぁ!血に飢えた歴史の遺物たちよ!天の裁きを受ける準備は良いか!」

 

「我が盟友に牙剥く魔物よ!蒼き稲妻に焼かれるが良い!」

 

「あるえ!!ゆんゆん!!」

 

あぁ、師匠はやはり私達を裏切ってなど居なかった!死してなおも戦える力を、こうして用意してくれていた!

 

「まったく、まさかアレを本当に使うなんて思わなかったわよ。しかも躊躇なく心臓を刺すだなんて、普通に苦しみと痛みはあるのに……」

 

「師匠!来てくれたんですね!」

 

「当たり前でしょ?さぁ、めぐみんも悔いを残しちゃ駄目よ。私の魔力を注いであげるから、きっちり決めてやりなさい!」

 

「はい!」

 

注ぎ込まれる膨大な魔力は、この老いた身体を容赦なく傷付け、口の中には血の味が広がる。でも、これが私の選んだ道。師匠に憧れ、カズマが共に歩んでくれた爆裂道。私の人生の最後には、やはり爆裂がふさわしい!

 

「「『ボトムレススワンプ』!さぁ、めぐみん!!」」

 

「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段!これこそが究極の攻撃魔法!我が天命を糧とし、我が終焉をこれで飾る!これが最期の……『エクスプロージョン!!!』」

 

この戦いは、後に王都で語り継がれることになる。その英雄は老体に鞭打ち人々の為に前線へ出た。そして、戻ってきた彼女らは、若かりし頃の姿なうえに、神々しい翼をまとっていたと聞く…………著者不明

 

_________

 

「「「もう1回!もう1回!」」」パンパン!

 

「飲み会なの?!いやもう本当に無理だから!あなた達これで4回目よ?!天使にしても昇華のタイミングが悪いだの、そこで格好いい戦闘が無かっただの文句ばっかり言って!今回のは完璧じゃない!人への被害もなきゃ伝承も絵画もあるのよ?!」

 

天界の1室。私達は師匠の前でやり直し要求をしています。まぁ、確かに今までよりは格段に良かったのです。でも……

 

「この絵画では遠すぎます!私達が誰か分かりません!」

 

「私もダガーを刺した痛みで変な声でちゃって……」

 

「ギャラリーが少なかったと思うんだ。あと、インフェルノの炎が絵画に書かれてないんだ!」

 

「いや知らないわよ!天使のまま肉体に戻して、わざと死んで天使降臨って……あなた達の倫理観どうなってんの?!と言うか、死ぬのは普通に痛いでしょ?!」

 

「「「でもせっかくの最期だし?」」」

 

「えぇ…それで何度も死ねるの貴方達……」

 

そう、やはり紅魔族として、退屈な結末で終わるなんてあってはならない。やり直せるのなら、妥協せず最高の最期で死にたいのです!

 

バターン!

「おいこら馬鹿共!なんかお前らの劇的な最期が人界に広まってるんだけど?!しかも、何故か4通りも広まってんだけど?!」

 

「明らかに天界規定違反と分かる伝説とか作らないでください!ウォルバクさんも、せめて一回目で止めてくれませんか?!」

 

あれ?なんか見知った二人が?!

 

「か、カズマとエリス?!なんでこんな所に?!」

 

「死後は信仰する女神の元へ送られるとは言え、この世界の管理者は私とカズマさんです。あれだけ派手な伝説を作っておいて、気付かないわけがないでしょう?!」

 

あぁ〜、そう言えば主神なんでしたっけ?管理はあくまでエリスだとかそんな話を、エリスとアクアがしていたような……

 

「しかし待って欲しい!これら全ては人の為の行い!むしろ天使として正しい行いだと思うんだ!」

 

「へぇ……じゃあなんで紅魔の援軍要請のとき、わざわざギリギリに呼んだんですか?そもそも、皆さんのお子さんなりお孫さんならあんなの一瞬でしょう?!サラブレッドばかりなんですから!」

 

「いやそれは困る!めぐみんの娘なんて来てご覧よ!……それもう私達に出番ないからね!」

 

「正しい行いの話はどこへ?!」

 

残念ですが、どうやら私達の伝説はこれで終わりのようです。まぁ、逸話は悪くはなかったですし、これで満足することにしますか……ちなみに、ウチの娘は駄目ですよ?多分、王都まで無事じゃ済まないので……

 

「分かりました。もうこれ以上の最期は望めないでしょうし、契約を果たしましょう。師匠の言う地獄に、お供させて頂きます」

 

「そうだね……これ以上やれば安っぽくなりそうだし、二人に迷惑をかけるのは本意じゃない…」

 

「そうだよね。それに、3人一緒って段階で対価は十分だもん!」

 

「皆……ありがとう…ごめんね…」

 

師匠が一人で手に負えない程の地獄。私達を昇華させてまで挑まなければならない地獄とはどれ程のものか分かりません。それでも、この4人なら恐れることなどないのです!

 

「すみませんカズマ。感動の再会はまだ少し先になります。師匠と共に、私達は地獄に挑みますから!」

 

「えっと……うん。じゃあ……お祝いは来月にでも…」

 

「「「………ん?」」」

 

カズマたちの良く分からない反応に、私達はなんとも言えない疑問を浮かべます。しかしその理由は、嫌でも直ぐに知ることになるのです…

 

……………………

 

「もう…嫌です…無理です…」

 

「もう、もう紙なんて見たくない!」

ばさぁ!

 

「あるえが紙を拒むの?!でもほら、これで1山終わったから…あと少しだから……」

 

「ゆんゆん、しっかりしてください!そんなのなんの慰めにもなりませんよ!この山があと何百個あると思ってるんですか?!」

 

私達の前にある始末書の山は、手を止めずに捌いても減る気配がありません。それは師匠が魔王軍としてやらかしたモノから、私の爆裂魔法による指導責任、そしてゆんゆんの放送コード違反のモノに、あるえのネタバレ禁止法違反と様々でした………いや、これ半分くらい正気を疑うのですが?!

 

「あらあら、ウォルバク先輩ってば大変そう〜!そんなに始末書ばっかりじゃ死んじゃいますよぉ?」

 

「全然終わらないじゃないですか?諦めて引退して、愛しの彼の所へ転がり込んだらどうですかぁ?」

 

「や、闇と呪いの…まさかこれ、アンタたちが?!」

 

「えぇ?知りませんよぉ?私達は悪い魔王軍を通報しただけですしぃ?」

 

なるほど、つまりこの状況の原因は彼女らですか…

 

「そうですね師匠!直ぐに転がり込みましょう!大丈夫です!引き継ぎは彼女らがやってくれるはずです!」

 

「「………へ?」」

 

「そうだそれが良い!そしてこれが片付いたら再就職しよう!」

 

ほう、流石はあるえです。私の思考を瞬時に……

 

「だ、駄目なの!魔王軍なんてやってたから、ちゃんと始末書を書かなきゃお尋ね者にされて……皆に迷惑がかかるから……」

 

「そうそう!先輩がちゃんとやらないと、このままじゃ犯罪者ですよぉ?」

 

「愛しのカズマさんに愛想尽かされちゃいますねぇ?」

 

ほう、つまり……

 

「あぁ、無事書類も終わりましたねぇ!」

 

「……は?いやいや何も終わってないわよね?!あんた何言ってるの?!」

 

「さて、と言うことは……ここで書類が消失してもウォルバクさんの責任では無いと言うことになるね?」

 

「え?ちょっとまさか?!二人共伏せて!と言うか逃げて!!」

 

「「えっ?!」」

 

あぁ、流石はあるえと師匠です。では……

 

「あぁ部屋にハチが!『エクスプロージョン』!」

 

カッ!

 

____________

 

「いい天気だな」

 

「そうですね」

 

休日の朝、早くに目が覚めた俺とエリスは、リビングのおしゃれなテーブルでお茶を楽しんでいる。人生を一周すると、こういう時間の大切さが分かるようになるというものだ。

 

「しかし、再婚のご祝儀で家とか、神様ってスゲーな……」

 

デザインがアクセルの屋敷だから、多分見てた神様なんだろうけど……

 

「大工の神様は地球の主神を育てた方ですからね。実力も神格も本物です。木の神はジ○リ出身なので凄いのは仕方ないです」

 

「おいやめろ!その社名は消される!確かにトト○みたいなの居るとは思ったけど!あれなんで来たの?!何してたの?!」

 

「全ての材木を種から用意してましたよ?こう…にょきっ!って…」

 

「あぁ見覚えある!」

 

今度どんぐりとか集めて持っていこう。あと好きそうだから独楽とハンドスピナーも持っていこう!大工さんの方はワインで良いかな…

 

「でも、流石に部屋数が多いよな…」

 

「まぁ、あの時は大所帯でしたしね…」

 

別に他意はないとは思うのだが、こうして見るとやはり寂しいものがある。やはりここは……

 

「部屋を埋めたいって言ったら、エリスはどうする?」

 

「はい。私もちょっと、そう思ってました……」

 

やはり俺達の気持ちは同じ。この広大な家に俺とエリスとちょむすけでは流石に寂しい。そうと決まれば……

 

「じゃあ、排卵薬使うよ…」

 

「あ…朝からなんて……もう……」

 

取り敢えず、まず3人くらいを目標に……

 

バターン!

「いや違うでしょ?!その流れは「皆をここに集めなきゃ!」って流れじゃないの?!あ、ごめん邪魔しちゃった!」

 

「あ、愛の女神様。お疲れ様です。大丈夫ですよ?続行するんで……」スルスル

 

「ど、どうしたんですか、こんな朝早くに!と言うか続行しちゃ駄目ですからね?!」グイグイ!

 

ちぇっ…

 

「あ、そうそう家庭菜園のきゅうりをお裾分けに来たのよ。またカズマ君の浅漬を食べたいと思ってね?」

 

あぁ、だから農家スタイルなんだ。この人も、なんかそう言う庶民的なの好きだよな。

 

「じゃあ、頂いた分の半分を浅漬にして返しますね。夕方にはお持ちしますよ」

 

「うん……………ってそうじゃなくて!あなた達はこんな広い家に二人とか寂しくないわけ?!」

 

「なっ!」ズバッ!

 

「ごめん!ちょむすけごめん!3人!3人でした!!」ワタワタ

 

そして、この人も猫に負けるタイプの女神だ。いや、ここまで来たらちょむすけが強いのかも知れない。

 

「そりゃもう寂しくて仕方ないので、また可愛い娘をですね?」

 

「私は男の子も可愛いと思うのですが…あ、娘は世界一可愛いですけどね?」

 

「そうじゃないでしょ?!空き部屋の数考えてよ?!何人産む気?!と言うか、以前の仲間を集めようとは思わないわけ?!」

 

「「いえ全然?」」

 

「思ってよ!それが見られると思って隣に引っ越して来たんだから!独り身で一軒家を買っちゃったんだから!休日にバーベキューとかして私を呼んでよ!」

 

そんなこと言われてもなぁ……

 

「一応携帯で連絡は取り合ってるんですよ?でも、ダクネスは北欧の神々と化け物狩りして楽しそうですし、アクアはセシリーを天使にしてから日本紹介のプロモーションビデオ作りを楽しんでますし、めぐみん達は親友同士で忙しくも仲良くやってるみたいですから、今更俺が何かする必要は……」

 

ドォーン!!

 

「「「………………は?」」」

 

ヤバい。エリスと愛の女神様には分からないだろうが、これは多分爆裂魔法の音だ。あの馬鹿!変なフラグ回収しやがって!

 

「ごめん!ちょっとテレビ付けるわよ?!」

 

ポチッ

[先日より問題になっていた転生先世界のプロモーション詐欺ですが、天界法務部より正式な発表がありました]

 

あ、セナさんだ!テロップに司法の女神って書いてある!スゲー!自力で女神になったんだ…

 

[えぇ、今回のものは実にアクシズ…いえ、悪質でした。まだ正式な手続きが済んでいないので名前は伏せますが、被告は映像のためとの言い分の元、飲酒シーンに使う酒を選ぶと酒屋で300万も使用し、リアリティを追求すると言う名目の元、ショッピングシーンでは本当にブランド品を買い漁り、それを換金して現金を得ていた事が判明しています]

 

[動機はなんなのでしょうか?]

 

[我々の取り調べでは、「アルカンレティアをもう1つ作る」などと発言していることから、頭のおかしい人物の犯行と思われます]

 

でしょうね?!

 

「カズマくん?」

 

「知りません!俺は何も知りません!アクシズ教って何でしょうね?!」

 

「あの、それより爆発の方は……」

 

「あぁ!そうだったわね!」

 

ぴっ

[本日未明、北欧で酒に酔っての暴力事件が発生しました]

 

あれ?まさかあの爆発って事件性はないのか?こんな微妙な事件が先に……

 

[被害者は新人天使のダスティネス・フォード・ララティーナ氏で、被害は35箇所の複雑骨折に、26針の縫合、そして精神に異常が見られるとの事で……]

 

「「ダクネスが?!」」

 

くそっ!これは直ぐにでも助けに行かないと!どうしてアイツがそんな目に!

 

[え?違う?……し、失礼しました!これらの怪我を負ったのは加害者側の雷神トール氏であり、「被害者の防御力と自身の攻撃力を比較することとなり殴りかかったら、鉄をも砕く拳がむしろ砕けた」との謎の発言をしているとの事です]

 

「「えぇ……」」

 

[更に同氏は腹筋にてグングニルを折り、「当たってもダメージが無いのでは意味がないのでは?」と言い放ったそうです。これに対しオーディン氏は「ぴえん」との声明を出しております]

 

「何やってんだアイツ…まぁ、事件じゃなくて良かったけど…」

 

[なお、グングニルは歴史的価値もあり時価20億はくだらないとのことで……]

 

こ、これも聞かなかったことにしよう!

 

[あっ!やっと先程の爆発についての速報が入りました!]

 

ちっ!やっぱり事件だったか!

 

[調査員の正式見解では今回の爆裂は84点とのことです]

 

「…………は?」

 

このニュース何言ってんの?!

 

「えっと……報道部の方は随分と毒されて居るような……」

 

「いや、あれは詠唱破棄で撃った92点だろ?!」

 

「「そっち?!」」

 

これだから素人は困る!詠唱破棄とフル詠唱の爆発範囲の違いがわからないなんて!

 

「よし!ちょっと関係者として報道に文句を……」

 

[なお、本件の被害総額は8億ほどと……]

 

うん、やっぱり辞めよう。他人でいよう!

 

「カズマ君?あの、天界の偉いお姉さんとしてお願いがあるんだけど……」

 

「嫌です」

 

「そう言わずにね?ほら、なんなら出世させちゃうよ?」

 

「良いです野心とか無いんで!地位なんて、平穏より価値ないんで!」

 

俺はマジで平穏に過ごしたい!

 

「し、仕方ないわね!なら、私の配下に入れさせて貰うけどそれでも良いのね?カズマ君の事なんて忘れちゃうかもよ?私の魅力凄いのよ!」

 

「どうぞ?」

 

「あ、後から謝っても許してあげないんだから!土下座しても返してあげないんだからね?!愛の女神の加護は凄いんだからねぇー!!」ドタドタ

 

うん。それフラグだな……

 

……………………………

 

「すみませんでした!」ガンッ!

 

へぇ、愛の女神も随分と美しい土下座をするんだな…

 

「なんなの?!取り入っても仲良くなっても従えても問題を起こすんですが?!あの子達と世界を救うなんて可能なんですか?!」

 

「いや、多分無理じゃないですか?」

 

「カズマさんやりましたよ?!覚えてないんですか?!無かったことにするつもりですか?!」

 

無かったことにしたいんです!

 

「お願いだから!カズマ君だけが頼りなの!あの子達には貴方が必要なの!」

 

「いいですか女神様。魔王討伐後の俺の商売の年収、いくらだったと思います?」

 

「ふぇ?…えっと…1億円くらい?」

 

「12億です。安定して入ってきてたのがそれくらいです。さて、あいつらのやらかしでいくら消えると思います?」

 

「えっと…2億円くらい?」

 

「12億です」

 

「…………………うそ?」

 

本当に、マジで嘘だったら良かったよ!

 

「実質、俺の必死の稼ぎがあいつらの手で消えるんですよ?だから、僕はもう関わりたくありません!恋人としてとか、デートに行くのなら大歓迎です!でも、籍を入れたら責任が来るでしょ?!」

 

「せっ…責任取ってよぉ〜!」グイグイ

 

「いや言い方?!それだと俺があなたになんかしたみたいじゃん?!て言うか、取りたくてもそんな金はない!」

 

「お、お金だけは工面するから!受信料から払うから!」

 

「おい!まだ俺たちの生活を撮影して売ってんのか?!て言うかそれこそ大問題だろ?!」

 

「……政治には透明性が大切じゃない?ほら、私達って神様だし?」

 

「……なら今からこの化粧落としで貴女の顔面を擦って写真撮りますね?」

 

「…ごめんなさい」ガンッ!

 

「カズマさんって女神のトップにも容赦無いですね……」

 

いや、こういうタイプは情に訴えかけてくるのは知ってるし…

 

「こんなに土下座してますし、そろそろ折れてあげても良いんじゃないですか?一途に愛してくれるのも幸せですけど、皆と一緒も楽しいですよ?」

 

「エリス……まぁ、エリスが言うなら…」

 

「本当?!ありがとうカズマ君!直ぐに招集かけるわね!本当にお願いね?!」

 

エリスの返事を聞いた愛の女神様は、それはもう大急ぎで自分のオフィスに向かっていった。はぁ…また明日から大変な日々か…

 

「でも良かったのか?ずっと我慢してくれたのに…」

 

「良いんです。皆は、私にとっても大切な家族ですから……」

 

「エリス…」

 

「あと、性技とHと繁栄の神様が本気になったら、私だけだと絶対に壊されちゃいますし……」

 

………………あれ?

 

「ば、バレてた?」

 

「天界文字に漢字がないからって油断しましたね?上司の私には加護や能力を閲覧する権限があるんです。まぁ、納得しちゃいましたけど…」

 

「くっ!英雄として恥ずかしいので、これはマジで黙っててください!変な神話出来ちゃうのでどうか!」ガンッ!

 

「土下座はしなくて良いですけど……今夜だけは、その力も使って本気で抱いてください…その、明日からは壊されちゃ困るので……」

 

「……いいの?!」

 

「カズマさんの1番は絶対に譲りませんから!あとその…カズマさんになら壊されても良いので……きゃっ!」ドサッ

 

「ごめん。止まらないよ?」

 

「……はい」

 

※このあと滅茶苦茶セックスした。

 

_____________

 

それから3日。俺の元に、また慌ただしい日常が帰ってきた。少し、過剰気味に……

 

「バーベキューの費用が経費なのは嬉しいんですけど……なんか、メンバーがちょっと多くないですか?」

 

「良いじゃない。そのために部屋数多くしたんだし?」

 

「それもあんたの指示かよ……」

 

元が大所帯であったにも関わらず、俺たちの屋敷には新メンバーが加入した。その理由は至極単純、仲間だから…きっとこれだろう。

 

「セレナが居るからレジーナが来るのはまぁ分かる。散々お世話になったし歓迎するよ」

 

「はい。これからも、天使のセレナ共々お願いします」

 

うん、能力がヤバい割にはこの人は本当に普通。数少ない常識人なので、むしろ助かる。そして意外にも和風美人。

 

「それでウィズは……こっち来ても大丈夫なの?」

 

「えっと…突然神様が押し寄せてきて「将来的には魂を浄化して天使にしてあげるから、カズマさんと一緒にこっちに住んで欲しい」と言うので…」

 

「神公認かよ…」

 

「彼女のファンは多いので」

 

それは神として大丈夫なのか?!

 

「み、右に同じです。悪魔の私は尚の事不味い気もするのですが……」

 

「アーネスはマジでなんでだろうな…」

 

「エロくて可愛いから良いんじゃないですか?」

 

「「……は?」」

 

本当に大丈夫なのか!こいつが重役で天界は大丈夫なのか?!

 

「す、すみません…私は志願です…」

 

「あ、セナさんは大歓迎だから大丈夫です!これからもお願いします!」

 

「は、はい!」パアァ

 

うん、この人はマジで味方にしとかないとな!

 

「私も志願です!」

 

「セシリーは帰れ。宗教勧誘は間に合ってる!」

 

「酷い?!もう勧誘しませんから!と言うか出来ないのでここに置いてくださいよぉ!」

 

「……本当だろうな?」

 

「神様を勧誘するのは、自分の神格では神として威厳が保てないと暴露するようなもの。心配いらないわ」

 

なるほど。そういえばそんな話あったな。

 

「妹は、兄の元に住む義務があります!」

 

「うん、アイリスはよく来たな…」ナデナデ

 

「えへへ…武神様が自身の後継にと呼んでくださったんです!」

 

嘘だろ?アイリスの秘めたポテンシャルに底が見えねぇ……

 

「私はアイリス様に仕える義務があるからな!」

 

「私は二人を止める義務があるらしいです……」

 

「と、武神様が二人も良いって言ってくれました!」

 

うん、あの人って実は結構甘いよね?

 

「私達も志願だ。何故か部屋から追い出されたので、マネージャーに面倒見て貰おうと思ってな!」

 

「いや、アクセルハーツはなんで居るの?そもそもお前らはなんで天界にいるの?!」

 

ちなみに、リアの追い出された理由は皆知ってるよ!

 

「エーリカちゃん、可愛過ぎてマジ天使になっちゃった♪」

 

「まぁ、彼女らのファンが天界にも多数いますので…」

 

「いや適当にも程があるだろ?!それで採用していいのかよ?!」

 

「神々は、常に貴方達を見守っています……そう、気付けばこの70年間、殆どアクセルしか見てなかった程にです……」

 

「それでやたらアクセルの奴ばっかりいるのかよ……」

 

これじゃ、またアクセルの時みたいな問題が起こるんじゃないのか…

 

「でも、何だかんだ言って、カズマ様もそんな日々が結構嫌いじゃなかったのでは無いですか?そんなこと言いつつ、この頃からずっと楽しそうですよ?」

 

「まぁ、ちょっとは…」

 

天使が俺に手渡したのは、修繕されたエリスとの挙式の写真。本音を言えばワクワクしてる。一生涯じゃ全然足りないくらい、こいつらと過ごした日々は素晴らしかったんだ。

 

「では、皆さん集まってください!折角なので写真撮りますよ〜!」

 

天使がカメラを構えると、皆が俺の周りに集まってくる。そうだな。せっかく延長戦を許されたんだから、やりたいことを全部やろう。楽しい思い出を、嫌になるくらい増やしてやろう!

 

「では、新しい伝説の始まりを祝して……はい!笑ってください!」

 

パシャッ!

 

「ふふっ…皆さん、いい顔してます!」

 

 

________________

 

 

オマケ

 

こうして、新たな伝説は始まった。そう、私達にとって、最高の伝説が!第2シーズンが!

 

「ふふふ、私はネットで、愛の女神様は国営放送で…:まだまだ稼げそうですね?」

 

「ええ!この為に中継地点に出来る隣家を買ったのです!さぁ、まだまだガッポガッポ儲けさせて貰います!彼らのドタバタ私生活で!」

 

そう、この伝説はまだまだ終わられては困る。天界の娯楽と、我々の利益の為に!!

 

[番組の途中ですが、ここで臨時ニュースです。国営メディアに本人に許可のない盗撮映像が使われていた可能性があるとの事で、口座が差し押さえになりました]

 

「………え?」

 

い、今更なんで?!あ、セナ様ですか?!

 

[本件の責任者は天界でも屈指の権力者である愛の女神様であるとの意見も出ております。あっ!ここで被害者とされるサトウカズマ様の会見が開始されました!]

 

「だ、大丈夫よね?!カズマ君許してくれるわよね?!」

 

「だ、大丈夫ですよ!カズマ様は把握してましたし、時には神々に助けられたりしてますから!私達にはきっと寛容ですよ!」

 

[今回の一件は、僕が魔王を倒すために全面的なサポートを行う為、そして、その後の生涯を平穏に過ごすために必要な処置であったと理解しております。ですので、これに対して訴訟などを起こすつもりはありません]

 

「………もう、カズマ君ちゅき!」(はぁと)

 

え?なにこの人、愛情表現がキモい…

 

[しかし、そこから利益が発生していたことを考えると、それは好意的すぎる解釈な気もしますが…]

 

「ちっ!あの記者には、クリスマス直前にフラれる天罰を与えよ…」

 

そして大人気ない!

 

[皆さんは、彼女の素晴らしさを知らないからそんな事が言えるのです!愛の女神様の愛はとても深く、家庭菜園さえ虫を殺したくないからと結界で行い、どんな小さな命でも慈しむ愛を持っています!]

 

「うん、虫嫌いだからだけどね?でもでも、信頼って良いわねぇ!」

 

[そして、その証拠として、女神アクア氏と同様。自らが平和のために下界に降り立とうとしているのです!]

 

[おぉ!][なんて立派なんだ!][我々が誤解してたんだな…]

 

「えっ?………そうなんですか?!」

 

「………言ってないわよ?!マジで全く記憶にないわよ?!」

 

じゃあ、この会見は……

 

[と言う事で、愛の女神様はインセクト王国に行く勇者ヘラクレスさんの特典として、ムカデ帝国との和平のために頑張ってください!無事に平和な世界が訪れましたら、迎えの者を送りますので!]

 

シュパ!

あっ、見覚えある魔法陣が……

 

「……い、嫌よ!なんで虫の国なの?!辞めて!本当に悪かったから辞めてぇ!て言うか、なんでヘラクレスがメスなのよ!全然強そうじゃないんだけど?!」

 

「さ、差し入れしますね?虫ゼリーとか……」

 

「いやあぁぁぁ!!」

 

スンッ

「……よし、アカウントは消して、後で全力で土下座しよ!!」

 

本当に、おしまい

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

感動が無いという文句は受け付けません。これが私のスタイルです。涙は大切な時に取っておいてください。

今後は過去作の修正と、ネタが思い付いたら書きます。
※結局メインストーリーが無くなるだけでいつも通りです。更新頻度は落ちますが……
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