月明かりだけが照らされている薄暗い部屋。
ロアナプラ全体を見下ろすように聳えている高層ビルの最上階にあるその部屋は、悪徳の都を支配する男の自室。
部屋の主である男の腕の中には、一人の女がおさまっていた。
グリーンの上質な布で仕立てられたパーティドレスに身を包んでいるその女は、頬を紅潮させ微かに手を震わせている。
――そんな二人の顔がゆっくりと近づいていき、お互いの唇が合わさった。
つやつやと光っているグロスは、張の渇いた唇にもつけられていく。
そっと触れただけの口づけを交わし、お互いの口が離れる。
「……キキョウ」
「んっ」
女の名を呟いたのとほぼ同時に、再び女の唇へと触れる。
次の瞬間、舌を出し女の柔らかい唇を舐め上げた。
「ッ……」
「口開けろ」
命令にも等しいその言葉通り、キキョウは震わせながらも口を開いた。
そしてすぐさま張の熱い舌が小さく開かれた口へとねじ込まれていく。
キキョウは一瞬びく、と体を震わせたが、抵抗することなくただ受け入れた。
「ん……」
「は……」
「……ッ」
行き場を失ったように口内を彷徨っている舌を逃がすことなく張は唾液を絡めていく。
口内が犯されている感覚に、キキョウは顔だけでなく全身が熱くなるのを感じていた。
お互いの唾液が混ざり合い響く水音が更にキキョウの羞恥心を煽っていく。
いつの間にか息の仕方を忘れ、酸素が足りなくなり今度は息苦しさが襲う。
それでも張は一向に離れる気配はない。
我慢ができず、キキョウは相手の胸板を叩いた。
「……はあ……はあ……ッ」
「息するのを忘れるほどよかったか?」
「いつ、息すればいいのか……分からないです、よ」
「そうかそうか」
「からかわないで、ください」
からかうような言葉に、キキョウは羞恥から顔を逸らす。
息を切らし、火照った顔をみた張は愉快そうに口の端を上げる。
「あまりにも初心な反応だったんでな。からかいたくもなる」
「こんなの、はじめてなんです……慣れてないのは当然でしょう」
「そう怒るなよ」
「……こういうのに慣れてない女は、めんどくさいですか」
「んなわけねえだろ。――むしろ、そそられる」
張は吐息交じりにそう呟くと、再びキキョウの顔を上げさせる。
上気した頬に、涙が溜まっている瞳。恥じらいのある表情。
以前の無理やり欲情させられた姿よりも、己の手によって露になっている今のキキョウの姿は張を興奮させるには十分だった。
「これからは俺が全部お前に教えてやる。息の仕方も、どこを触れば満足するかも、交わる時の快感も、その体が覚えるまでたっぷりとな」
「……」
「そしてそれは俺だけの役目だ。俺以外がお前の体に触れることは断じて許さん」
「……た……いが……に」
「ん?」
キキョウは目を逸らしながら小さく何かを呟いた。
それを目の前で気づかない訳もなく、張はおのずと聞き返す。
ゆっくりと目を合わせると、先程よりは聞き取りやすい声を出す。
「貴方以外、に……触れられてもいいと、思える人なんて……いません、よ」
顔を真っ赤にし、途切れ途切れに発せられたその言葉に張の口端は更に上がっていく。
満足感にも似た感情が湧き上がり、武骨な手で熱くなっている頬を撫でまわす。
「たくお前は……」
一言そう呟くと、張はさらにキキョウの体を抱き寄せた。
「そう煽ってくれるな。――我慢できなくなる」
「んッ……!」
間髪入れずにキキョウの唇を勢いよく塞ぐ。
先程とは打って変わった激しい舌使いにキキョウは一瞬目を見開いたが、逃げられない状況にきつく目を瞑る。
「……俺の呼吸と合わせろ。そうすりゃ息は吸える」
「は……はあ……ッ……ん……!」
口早にそう言うと、張はすぐさま柔らかい唇へと吸いついた。
キキョウは自身の口内を犯す舌の感覚に戸惑いながらも、次第に受け入れていく。
再び息苦しさが襲い掛かろうとした時、張が息を吸う瞬間が訪れる。
キキョウは言われた通り、自身も一緒に肺に空気を入れた。
いつもより浅い呼吸ではあったが、苦しさが来ることはなかった。
張は自身の言葉通りの行動を取ったキキョウを褒めるように、頬から頭へと手を伸ばし数回撫でる。そのまま押さえ込むように後頭部に手を添えた。
逃げる隙が一切ない態勢で張はひたすら唾液を絡ませる。
キキョウの舌には煙草の味が。張の舌には甘い味が広がっていく。
「は……んッ……」
「……は……」
「ふ……ッ……」
「ん……」
二人の息遣いと唾液が絡み合う音が部屋に響く。
そうしてお互い違う味をしばらく堪能した後、ようやく唇が離れていく。
深いキスをした証である細い糸が二人を繋ぐように引いていた。
「はあ……は……」
「……来い」
「わッ……」
低い声音でそう言うと、瞬時にキキョウの腕を掴み足を動かす。
――二人が向かっている先には、一人で寝るには少しばかり大きいベッド。
足早に歩きベッドの前に着いた瞬間、キキョウの腕を引っ張りベッドの上へ放り投げた。
唐突の行動に驚きながら、体を起こし張の方へと目を向ける。
張はベッドの上に転がされたキキョウを見下ろし、彼女が仕立てたロングコートとジャケットを脱ぎキキョウへと近づいていく。
顔を寄せ後頭部へ手を伸ばすと、再び口を塞ぎ熱い舌をねじ込んだ。
「ッ……」
「ん……」
深いキスを交わしながら、張はキキョウの体を軽々と押し倒す。
「……は……はあ……」
「随分気持ちよかったみたいだな。はまっちまいそうか?」
「分からない、です……」
「は、そうか」
唇を離すと蕩けたような表情を浮かべているキキョウを見て、張は機嫌よく言葉を発した。
口角を上げたまま、ゆっくりと耳元へ口を寄せる。
「いずれはお前からしてほしいとおねだりするようになるさ。こういうことも、な」
「ひッ」
低い声音で囁くと、そっと耳に唇で触れた。
同時にキキョウの口から驚いたような声が上がる。
そんな初心な反応に張はやめることもなく、ふっと息を吹きかけた。
体を震わせキキョウは咄嗟に顔を横へと逸らす。そのせいで耳を無防備にさせてしまっていることに気づいていない。
張は出された獲物を捕らえるように問答無用で真っ赤になっている耳へ再び口を寄せ、耳たぶを軽く噛んだ。
「ッ……張、さ」
「ん?」
「くすぐったい、です」
「そうは見えんがな」
「ほんと、に……だから耳、触るのは……」
「そうか」
キキョウは覆いかぶさっている張に声を震わせながら懇願した。
張は一言返したが、その言葉とは裏腹に耳たぶを再び噛む。
「ひあ……ッ、張、さん……!」
「くすぐったいだけじゃないだろう」
「ほんとに……」
「にしては反応が良すぎるぞ。ほら……」
「んッ!」
「……は……」
「や……ッ」
耳を噛んだその場所を舌先でなぞる。
張の舌が這わさる度にキキョウの口からは吐息が漏れる。
くすぐったさとは別の感覚に戸惑いながら、目をきつく瞑り耐え続ける。
「ッん……や……」
「は……やはりお前は耳が弱いらしい。あの時もこうして触れただけで甘い声を出していたな」
「そんな、こと」
「俺は覚えてる。お前だって忘れたわけじゃないだろう」
「……あの、時は……薬のせいで……」
「今は違うだろ。……ん……」
「んッ……!」
口の端を上げながら囁いた後、感覚を思い出させるように熱い舌を這わせる。
じっくりと責め立てるように耳を舐め、時折甘く噛む。
耳にもたらされる熱は次第にキキョウの体全体に巡り始める。
甘い痺れに背中を仰け反らせ、唇をきつく結ぶ。
同時に行き場を失った手を握りしめ、体に巡る感覚に流されまいと無意識に抗う。
熱くなった耳をひとしきり味わい、ようやく張は口を離す。
そのまま流れるように首筋へと顔を寄せ唇をつける。
「ん……ッ」
体を震わせ、咄嗟に張の胸板を押し返そうとする。
その行動を意にも介さず首に舌を這わせ、少しばかりの抵抗も意味を為していないことを分からせるように細い両手首を掴む。
手を押さえつけられ抗う術を失い、ただ張の行動を受け入れる。
「お前が自ら俺に体を差し出したんだ。この期に及んで抵抗するのはよくないなキキョウ」
「これでも、耐えてるん……です……」
「はっ。まあ、お前にとっては今夜が初めても同然か。なら、今回だけは大目に見てやろう」
「ッ……そういうこと、わざわざ言わないで……ください」
「はは」
自身の言葉に恥じらうキキョウの姿に笑い、再び首筋に唇と落とす。
固く握られた拳の上に武骨な手を重ね、微かに震えている手を包み込む。
流れるように綺麗に浮き出ている鎖骨へと口をつけ、きつく吸い始める。
「んッ」
「……は」
「なに、して」
「虫よけだ。さっきみたいに男が寄ってこないようにな」
「え?」
「今は分からなくていい。……ん」
「ッ……!」
言葉の意味を理解できず首を傾げていると、機嫌よさそうに呟いた張の唇が口を塞ぐ。
短く舌を絡ませた後、自身の唇についた唾液をキキョウに見せつけるように舐めとる。
今まで見たこともない張の表情にキキョウは息を呑んだ。
熱っぽく、鋭い視線に射貫かれている。その事実にキキョウは心臓の鼓動が少しだけ早まったのを感じ、思わず目を逸らす。
「今の格好をもう少し拝んでいたいが、そろそろその肌に触れたい」
「……ッ」
「背中浮かせろ」
吐息交じりにそう言うと、キキョウは恐る恐る背中をベッドから少しだけ浮かせた。
片方だけキキョウの手から離しそのまま空いた隙間から背中を滑るように触れていく。
武骨な手が衣服を脱がすためのファスナーへとたどり着き、ゆっくりと下ろされる。
一番最後まで下ろすとブラジャーのホックを外し、開かれたその部分から手を入れ直接その肌へと触れる。
「ッ……!」
「熱いな」
武骨な手で滑らかとは言えない背中の上を撫でた。
指先で体から放たれている熱さを堪能していると、キキョウは空いている手で張が動かしている腕を掴む。
「また抵抗するのか? 悪い子だな」
「……せ……は」
「ん?」
「背中は……あまり、触らないで……ください」
「……」
瞬間、張は動かしていた手を止めた。
キキョウを見つめ、なぜと無言で答えを求める。
「……やっぱりまだ……怖い、んです」
「……」
声を震わせながら放ったその言葉を聞いても尚、張は黙ったまま。
しばらくお互い無言の状態が続いた後もう片方の手を離し、代わりにキキョウの両肩をしっかりと掴んだ。
「え……」
驚くキキョウを余所に、力づくでうつ伏せにさせる。
何が起きているか分からないまま再び両手首を抑えられ、できるだけ顔を張の方へ向け戸惑った表情を見せる。
「張、さん……?」
「何度も言ったはずだ。お前の全てを受け入れると。そして、あの時何度もこの背中に触れた。こういう風に――」
「なッ……!」
淡々と話す中、張は顔をファスナーの間から覗いている背中へ近づける。
そして、そのまま火傷痕で覆われている肌に口をつけた。
キキョウは張の行動に思わず声を上げる。
「なに、して……! やめ」
「お前はこの背中も含め俺に体を差し出した。なら尚更、この肌に触れないなんてのはあり得ない話だ」
張は背中に何度も口づけながらはっきりと告げた。
やがて、信じられないと言いたげな表情を浮かべているキキョウの耳元へ口を寄せる。
「今はただ、俺を受け入れろ」
低い声音で呟くと徐に顔を上げ、キキョウの両手首から手を離しファスナーの部分を掴む。
――そして、勢いよく広げ更に背中を晒す。
逃げないよう細い両手首を掴み、眼下に広がる火傷痕で埋め尽くされた肌を眺める。
「俺がどれほどお前を求めていたか、この体にしっかり分からせてやる」
目を見開いているキキョウを見据え言葉を発し、すぐさま再び唇をつけた。
「ッ……ぁ…」
「……ん……」
「張、さ……ッ」
「は……」
「ん、は……ッ」
唇が触れるたび、キキョウの声からは熱い吐息が自然と漏れる。
その吐息交じりの声を聞きながら、張はただ黙って何度を唇を落とす。
一体どこの誰がこんな酷い有様へと変え彼女を縛っていたのかは知らない。
だが、そんなことはどうでもいい。
後悔するかしないかが全ての彼女が、決して晒したくなかった部分を自ら預けようとしてくれている。
自身を蝕み続けた寄生虫の存在を忘れさせてくれと。汚された自分を己に受け入れてほしいと願っている。
それは、ずっと己が一番欲していた結果。
――その結果を手にした今、張にとってキキョウの背中に触れないのはとんだ愚行でしかない。
張は晒されている背中に余すことなく唇を落としていく。
その感触と、張が何の躊躇いもなく自身の醜い部分に触れている事実に、キキョウは何かがせり上がってくるのを感じていた。
その証拠に、黒い瞳が次第に潤んでいく。
張はキキョウの表情を目に映すと、徐に顔を上げる。
両手首から手を離し先程より弱い力で肩を掴めば、難なく仰向けへと戻させた。
真上から見下げ目に入ったのは、酷く泣きそうな表情。
これまで見てきたものとはどこか違う顔を浮かべるキキョウに、できるだけ柔らかい声音で話しかける。
「ここにいるのは俺とお前だけだ。好きなだけ泣けばいい」
「……泣き、ません」
「強情だな。ま、それもお前らしい」
張は機嫌がよさそうに口の端を上げ、ゆっくりと頬へ触れる。
最早その行為は、二人だけが通ずる会話のようなもの。
キキョウはいつものように、指が頬を撫でるのを受け入れ目を瞑る。
――閉じられた目の端からは、一筋の涙が伝う。
その様をしばし眺めた後、流れる涙を指で拭った。
一呼吸間を空け張が顔を近づけると、キキョウは気配を感じ取ったのかゆっくりと目を開ける。
二人の視線が合わさり少しの間見つめ合った後、お互いの唇が重なった。
触れるだけのキスを交わし、張は半開きとなっているキキョウの口へと舌をねじ込んだ。
自身の舌から逃げるようなキキョウの舌使いに、張は口を離す。
「舌絡めろ。そうすりゃもっと気持ちよくなる」
「どう、すればいいのか……」
「俺から逃げるな。今はそれだけでいい」
口早にそう言うと、再びキキョウの口内へと舌を侵入させる。
先程の言葉通り、できるだけ逃げないよう張の絡めとるような舌使いに応じていく。
「……ん……ッ」
「は……」
「ッ……」
やがて恐る恐る自ら舌を絡めると、それに気づいた張は更に激しく口内を犯していく。
「は……ん……!」
「……は……ッ」
「ん……ふ、あ……!」
唾液が絡む水音と吐息を響かせながら、深いキスを交わしてく。
ひとしきりお互いの舌を堪能した後頬に触れていた手を離し、服へと手をかける。
「脱がすぞ」
「ッ……」
たった一言そう言うと、間を空けずにパーティドレスからキキョウの肩が露になる。
抵抗することができないまま下へとずらされ、段々肌が晒されていく。
そうして膨らんでいる女性の象徴である部分まで下ろすと、ヒラヒラとしたレースと光沢のあるシルク素材で作られた黒いランジェリーが姿を現した。
「はは、意外だな。お前がこういう下着を身に着けるとは」
「……普段は、こんな派手なの……着ないです」
「ほう。なら、これは俺のためにわざわざ用意してくれたものだと思っていいのかな?」
「ッ……」
その言葉に、キキョウは顔を赤くさせ顔を背ける。
否定も肯定もしないキキョウの様子に、張は口の端を上げたまま上機嫌な声音で呟く。
「全く、可愛い事をしてくれる。――堪らねえな」
張は熱い吐息交じりに言葉を発すると、欲望のまま乳房を下着の上から武骨な手で包み込む。同時に、晒されている耳へと口をつけた。
「ん……!」
「柔らけえな。いつまでも触れていたくなる」
「ッ……」
耳元で囁きながら、豊かに実っている果実をゆっくり揉みしだく。
張の手が動く度キキョウの口からは息が漏れる。
「勿体ねえが、ちと邪魔だな」
一言呟くと胸を辛うじて隠していた下着に手を伸ばし、流れるように肩にかかっていた紐がキキョウの腕を通り、大きく膨らんだ乳房が露になる。
羞恥からか咄嗟に胸を隠そうとする手を抑え、張は淫らな格好となったキキョウを見据えた。
目を逸らし恥じらっている姿に口の端を上げ、そのまま何も言わず胸の谷間に口をつけた。
舌先でなぞりながら、徐に柔らかな果実に手を伸ばし今度は直接触れる。
キキョウは咄嗟に自身に触れている武骨な手に己の手を重ねたが、抵抗というにはあまりにも弱い力だった。
ただ行き場を失った手が無意識のうちにそこへ辿り着いただけなのだと張は結論付け、手を動かし続けた。
ゆっくりと固く握りしめられたもう一方の手に触れ、握り返すよう無言で命令する。
張からの命令に応じるようにキキョウが力を緩めると、その隙を逃すまいと瞬時に張の指が細い指に絡みつく。
力強く。だが痛みを感じさせない力で握れば、恐る恐るキキョウがか弱い力で握り返す。
逃げる隙を一切与えない姿勢のせいか。またはもたらされている熱のせいなのか、キキョウは逃げることなく、ただ張の行動を受け入れる。
そうして胸の柔らかさを堪能した後、張は膨らみの中心ある突起に指先でそっと触れた。
「……ッ」
唐突にもたらされた刺激に、キキョウの口からは再び熱い吐息が漏れる。
素直な反応に張は口元に薄笑いを浮かべた。
指先で突起をなぞり続けじわじわと刺激を与えていけば、先端が次第に固さを帯びていく。
やがて固くなった突起をきつくつまむと、びく、とキキョウの体が反応する。
「ひ、あ……ッ」
「触っただけでこんなに固くなっている。随分気持ちよさそうだな」
「んッ……貴方が、触る……から」
「こんないい反応を見せられて触るなと? それはちと無理な相談だ」
「は……そんな、の……しらな、あッ」
「つまんだだけでそんな声を出すんだ。気持ちよくない訳ないだろう」
「ッあ……ん……!」
上機嫌な声音で言葉をかけながら指を休めることなく先端を弄り続けた。
時折きつくつまみあげれば呼応するかのようにキキョウは声を上げる。
もっと乱れた姿を見てみたいという欲望が湧き上がり、張は手を止め乳房を柔らかく掴み先端を突き出させる。
瞬間、突き出された先端を口に含んだ。
「ん……ッ、あ……!」
「は……いい反応だ」
「や、あ……! 張、さッ」
「嫌? そうは見えないがなあ。……ん」
「ッ……!」
ひたすら与えられる刺激に耐えるようにキキョウは空いている手で自身の口を押さえる。
その行動を目に映すと、張は舌で転がしていた突起を噛んだ。
「いッ……!」
「痛かったか? だが、噛んだ後はより気持ちよくなる」
「そんなの……ありえな……」
「なら試してみるか? ん……」
「……ひ、あッ!」
噛んだ場所を癒すように舌先で触れると、キキョウは声を上げ腰を跳ねさせた。
「張さ……! い、あ……ッ」
先程よりも強い刺激に、止めてもらおうと張の名を呼び懇願する。
だがそれをすんなり聞きいれる訳がなく、張はひたすら固く尖った先端を舌で弄り続けた。
張の熱い舌が触れる度に痺れるような感覚が全身を伝い、無意識に身を捩る。
「ん……は……ッ!」
甘い痺れに口から甘い吐息が漏れ、武骨な手を握っている力は我慢するように更に強まっていく。呼応するかのように、張も同じ力で握り返す。
そうして先端に刺激を与えている中、張は握っている方とは反対の手を徐に動かした。
段々下に下がっていく手は、やがて太ももへと触れる。胸とは違う柔らかさがある肌を堪能するかのように撫でていく。
何度か肌の上を滑らせた後、流れるようにある場所へと手を伸ばす。
「ッ張さん……! どこ、触って……ッ」
「ここが一番気持ちよくなれる場所だ。前にも教えたろ」
「そういう、ことじゃ……なくて……! そんなとこ、触らないで……くださッ」
「このまま繋がるのは辛いぞ。お前だって痛いのは嫌だろう」
「んッ」
女の一番敏感な部分を傷つけないように、ゆっくりと下着の上から太い指で溝をなぞる。
何度も指を動かせば、細い腰が浮いていく。
キキョウの口から漏れ出す先程よりも甘い声を聞きながら、張は下着の中へと手を入れた。
「ッ……!」
「濡れてるな」
「ぬれ……? ンッ」
「気持ちよくなってる証拠だ」
「ッ……ん……!」
張が指先で触れている小さな穴からはヌメリとした液が滲みでている。
自分の手によって感じていたという明らかな証拠に、張は口の端を上げずにはいられなかった。
――だが、それでも自身を受け入れるにはまだ足りない。
指を上に動かし、膨らんでいる小さな突起に触れる。
「ひ、あッ!」
瞬間、体を震わせたのと同時にキキョウの甲高い声が響く。
胸の内で舌なめずりをしながら、張は敏感な蕾をゆっくり上下に擦る。
「ここは手っ取り早く気持ちよくなれる部分だ。お前は、まずはここを弄ってオナニーするのがいいかもな」
「なに、いって……は……あッ!」
「一人で気持ちよくなりたい時はここを刺激すればいい。こんな風にな」
「い、や……ッ! 張さ、あッ」
「そうすれば、すぐいい気分になれる」
じっくりと教え込むように言葉をかけながら指を動かし続ける。
押したり擦ったりしていれば、キキョウの口からは熱い吐息と共に淫らな声が次々と漏れていく。
「いやッ! や、あ……ッ!」
「怖がるな。何も恐れることはない」
「張さッ……もう、や……! 指、止めてくださッ」
「そのまま身を任せろ」
「ふ、あッ!」
「お前の乱れた姿をもっと見せろ」
微かに震える握っている手、上気した頬、口から漏れ出る色っぽい声、もぞもぞと動く細い脚、男を誘うようにくゆらせている腰。
甘い痺れに無意識に酔いしれているキキョウの姿は、張の雄の本能を更に駆り立てていく。
指を更に速く動かすと、より一層キキョウの悲鳴にも似た声が響く。
「は……! あッ! 張さ……ッ」
「……」
「もう、やッ! これ以上、は……おかしくなる、から……ッ!」
「そりゃとても興味深いな。どうおかしくなるんだ?」
「ふざけ、ないで……くださッ……!」
「ふざけてねえさ」
「い、あ……! いやッ! は、あ……ッ!」
「――淫らに喘ぐ姿も、快感に酔いしれる顔も全部俺に見せろ」
張はキキョウの耳元へ顔を寄せ、低い声音で囁いた。
脳裏に響く甘い囁きに、キキョウは一層身を捩らせる。
「あッ……! おねが、します……! もう、やめッ」
「ああ、すぐにイかせてやる。そのまま楽になれ」
「ふ、あっ! い、あ……! や、ああ――ッ!」
瞬間、甲高い声を響かせながら腰を反らし痙攣する。
その姿に張は指を止め、キキョウの顔を見据える。
その顔は、快楽に酔いしれ、艶やかさを感じさせる表情だった。
張は躊躇いもなく、熱い息が吐き出されている口を自身の唇で塞ぐ。
「ん……」
「……は……」
「……はあ……はあ」
「ちゃんとイけたな。いい子だ」
「い……?」
「これが、これからお前が何度も経験する感覚だ。疼いていた熱が放たれて、最高の気分だろう」
「よく……わからな……」
「たった一、二回じゃ分からないのも無理はない。ま、これから嫌というほど味わうんだ。ゆっくり覚えていけ」
張の普段は出されることのない柔らかい声音に、キキョウの頭は飽和していく。
惚けたまま呼吸を繰り返していると、張は下着から手を出した。
「脱がすぞ。腰浮かせろ」
張の命令にも似た言葉にキキョウは躊躇った後、程なくしてゆっくりと腰をベッドから浮かせる。
張は握っていた手を離し、最早纏っている意味を為していないパーティドレスと下着をあっという間に脱がしていく。
誰もが拝んだことがないであろう、全てが曝け出されている体を隅から隅まで目に焼き付けるように眺める。
艶やかな黒髪。
純粋さを表すかのような黒い瞳。
自身よりも一回り小さい肩。
服に隠されていた豊満な胸。
ほっそりとした腰。
これまで何度も無理にでも抱こうと思った。
だが、それでは己が本当に欲しているものは永遠に手に入らない。
だからこそ、部屋に呼ぶ度に襲い掛かってくる雄の本能に抗い食らうのを我慢してきた。
――それが、今度こそ自身が望んだ最高の結果で手に入る。
今すぐにでも乱暴に食らいつくしてしまいたいが、それは後でいくらでもできる。
張は胸の内に燻っている衝動を抑え、ほんのり赤く染まっている頬へと手を伸ばす。
そのままゆっくりと顔を近づけ、熱くなっている額へキスを落とした。
唇を離し、今度は自身の額をくっつける。
張がそういう行動をするとは思わなかったのかキキョウはきょとんとした表情見せ、その顔に「はっ」と堪らず笑みを漏らす。
「キスされると思ったか?」
「なッ、ちがいます!」
「お前が望むなら何度でもしてやるぞ」
「……私が望まなかったら、しないんですか?」
どこか躊躇いがちに放たれた言葉に張は一瞬目を見開き、すぐさま口元に弧を描き口を開く。
「それは約束できねえなあ」
上機嫌な声音で発した後くっつけていた額を離し、今度は唇へと触れる。
キキョウは抵抗することなく煙草の味がする唇を目を瞑り受け入れた。
舌を絡ませながら、張は徐に下半身へと手を伸ばす。
そのまま指先で露になった裂け目に触れた。
「んッ」
「さっきよりも濡れている。今にも溢れそうだ」
「あ……ッ」
「聞こえるか? この音」
「は、あ……!」
小さな入り口を指で撫でながら、漏れ出している愛液で音を奏でる。
その音をしばらく響かせた後、ひくついている穴へと指を侵入させた。
「いッ……ん……」
「痛いか?」
「すこし……だけ……」
「直に慣れる。この前みたいに息をしろ」
一度しか男を受け入れたことのないキキョウの秘部は、まだ異物がすんなり入ることを許さない。
痛がる様子を見せながらも、以前よりも受け入れてくれようとしているキキョウを目に映し、できるだけゆっくりと指を中へと進めていく。
感じる圧迫感と痛みを逃がすように、キキョウは詰まっていた息を吐き出しては肺に空気を入れる。
そうして指を根元まで入れ、慣れさせるようにしばらく留まった。
「はあ……ッ」
「まだ痛むか?」
「……さっきよりは……大丈夫、です」
「そうか。……動かすぞ」
「んッ」
言葉通り徐に指を動かすと、自分の中で蠢く感触にキキョウは思わず反応する。
出された吐息は苦痛から漏れ出されたものではなかった。
大丈夫と言った言葉は嘘ではないことが分かると、張はひたすら指を動かし続ける。
じんわりと押しながら、追い出すように締まっている肉壁を解していく。
慣れていない感触にキキョウの体は自然と緊張で力が入っている。
自身の手を握っている力が段々強まっているのが何よりの証拠。
「そんな締めてたら動かしづらいだろ。力抜け」
「むり、です……ッ」
「ちゃんと息をしろ、そうすりゃいくらかマシになる」
「……は……はあ……」
「いい子だ。そのまま続けろ」
「ん……は……ッ」
ぎこちなく、だがしっかりと呼吸を繰り返す。
素直に言う事を聞くキキョウの姿を目に映しながら指の動きに集中する。
「ふ……は、あ……ッ」
「その様子だとちったあ慣れたみたいだな。指増やすぞ」
「いッ……は……!」
問答無用で指をもう一本入れると、キキョウの口からは苦痛の声が出る。
だがそれも一時の事で、先程のように動かず慣れるのを待っていると次第に痛がっていた表情が和らいでいく。
新たに増やした指でも中の熱さを感じた後、ゆっくりと再び指を動かす。
「ふ、は……あ……ッ」
「いい反応だ」
「や、あ……!」
「お前のここもいやらしく波打っている。早く犯してほしいと誘ってる」
「そんな、こと……言わないで、くださッ」
「お前自身が抱かれてもいいと思った男が相手なんだ。何も恥ずかしがることはない」
張は甘い声で言葉をかけながら口の端を上げる。
やがて指を止め、「はっ」と熱い吐息を漏らしゆっくりと引き抜いた。
「ん……ッ」
張はキキョウの手を離し、サイドテーブルの引き出しへ手を伸ばす。
薬のようなものを手に取り、中から小さな錠剤を二つ手の平に出した。
そのままその錠剤を不思議そうに見ているキキョウの口へと運ぶ。
「口開けろ」
「なん、ですか?」
「ピル。避妊薬だよ。妊娠しちまったら困るだろ?」
「え……」
「どうせなら直接お前を感じたい。ほら、口開けろ」
張が言っている言葉の意味を全ては理解できなかったが、“妊娠したら困る”というのだけはキキョウも同じだった。
以前に無理やり媚薬を与えられたこともあり薬に少しだけ敏感になっていた。
だが張がもし媚薬を盛って事に至るというのであれば、最初からしているはず。
キキョウは短い間でそう結論付け、おずおずと口を開いた。
口の隙間から一つ錠剤を入れ、張はサイドテーブルの上に置いてあるペットボトルを手に取り水を口に含む。顔を近づけ、含んでいた水を口移しでキキョウの口へと流す。キキョウは目を見開いた後、流れ込んできた水とともになんとか錠剤を飲み込んだ。
そして残ったもう一つの錠剤を目の前に出され、再び口を開ける。
同じように口移しされた水で錠剤を飲み込むと、ゆっくりと唇が離れた。
張は上体を上げネクタイとワイシャツのボタンを外し、乱暴に脱ぎ捨て上半身を曝け出す。
そのまま流れるようにベルトに手をかけ金具がぶつかる音を奏でた。手早くベルトを外すと再びキキョウの体の上へ覆いかぶさり、上半身を密着させる。感じる温かな人肌に、キキョウは妙な安心感を感じていた。
落ち着いたような表情を見据え、何度目か分からないキスを交わす。
しばらく唾液を絡ませた後慣れた手つきでズボンと下着を脱ぐ。キキョウの細い両足を広げ、露になった秘部へと既に熱り立っている男根を擦りつける。
「ひ、あッ! なに、して……!」
「これが、今からお前のナカに入るものだ」
「んッ」
「お前の淫らな姿は俺をどこまでも興奮させる。――分かるだろ? 触ってねえのに、もう熱く滾っている」
「や……ッ、こすりつけ、ないで……くださ」
「そうはいっても体は正直だぞ。ほら……擦る度、またあそこがヒクついている。お前も興奮してるんだ」
「はあッ……張、さ……!」
「そう急かさなくても、すぐに気持ちよくさせてやるさ」
両脚から手を離し細い腰を掴む。
「挿れるぞ、力抜け……ッ」
「い、た……ッ……!」
熱く固くなっているソレを小さな入り口へと侵入させた。
瞬間キキョウの顔には苦痛の表情が浮かび、呻き声が上がる。痛みに耐えるように歯を食い縛り、拳を固く握る。
「は……ッ……やっぱ狭いな、お前のナカは」
「ふ……く……ッ」
「力抜け。これじゃ、奥まで入らねえだろ。……ほら、息しろ」
一度しか受け入れたことのないキキョウの秘部は、入ってきた異物を押し出そうとする。
張は自身を締め上げるその圧迫感に顔を歪め、少しでも和らげようと声をかけた。
「は……はあ……は、あ……ッ」
キキョウはその言葉通り素直に呼吸を繰り返す。苦し気な声を聞きながら、張は自身を包み込んでいる肉壁の力みがほんの少しとれたのを感じ取り、できるだけゆっくり更に奥へと進む。
「いい子だ。最初はゆっくり、な」
「んう……ッ……あ……」
「痛いか。だがそれも少しの辛抱だ」
言葉をかけながら奥へ奥へと進んでいく。
熱い“何か”が入ってくる感覚は、キキョウにどうしようもない圧迫感を味わわせる。
息をすることで幾分か楽になるものの、それでも尚襲い来る感覚からは逃げられない。
――やがて張は眉根を寄せ、以前よりは進みやすい秘部に太く熱いものを根元まで収めた。
「はあ……ほら、全部入ったぞ。ちとキツイな」
「ふ……はあ……ッ」
「だが……はは、堪らねえな」
ぎゅう、と締め上げられるのを感じながら、張は恍惚ともいえる表情を浮かべる。
「ほら、分かるか? 俺から絞りとるように、ナカがうねってる。早く奥を突いてほしいと、誘ってる」
熱い吐息を吐き出しながら、興奮したような声音を出す。
張は波打っている秘部をしばらく堪能した後、細い腰を掴んだまま徐に男根を引き戻す。
「ひ……や、あ……ッ」
ぎりぎりまで戻した後再びゆっくりと腰を動かせば、キキョウの口からは切ない声が漏れ出した。痛みから出た声ではないことを、張は一瞬で理解する。
何回も一定のスピードで同じ動きを繰り返すと、自身を咥えこんでいる秘部は次第に異物を受け入れていく。
その証拠に、繋がっている部分からは蜜が漏れ出していく。
「んッ……は……あ……」
「随分慣れたみたいだな。――なら、そろそろ楽しませてもらおうか……ッ」
「は、あ……ッ!」
張は吐息交じりに呟くと、一気に腰を打ち付けた。
同時にキキョウは唐突に襲ってきた圧迫感に無意識で声を上げる。
波打っている秘部は入っているモノをきつく締め上げるが、それがさらに張の興奮を駆り立てる。
「あッ……ま、って……!」
「待て? はっ、これ以上お預けを食らうのはごめんだ、なッ」
「んう……ッ、張さ……!」
「は……ッ」
我慢していたものを吐き出すように、張は激しく腰を打ち付ける。
容赦なく責め立てられる感覚にキキョウは腰を浮かせ張の名前を呼んだ。
それでも張は躊躇うことなくキキョウをひたすら犯していく。
肌がぶつかる音とキキョウの切ない声が響く中、張は己の下で乱れる女の姿を目に映す。
打ち付けるたびに揺れる乳房。
我慢するように握られた拳。
快楽を感じている表情。
その姿は、香港で見た時とは何もかもが違う。
これこそが、己がずっと望んでいた彼女の姿。
彼女自身が体を差し出し、己の手のみで感じ、淫らに身を捩らせている。
――長年我慢し続け、求めたものが今この手に。
やっと、欲していたものを手に入れた。
これがどんなに喜ばしいことか。
今すぐ大声で笑ってしまいそうになる程歓喜している。
張は口端を上げ動きを止めた。
すぐさま腰から手を離し、上半身を密着させキキョウの顔を自身の方へ向けさせる。
そのまま半開きとなっている口を塞ぎ、舌を絡めていく。唇を離し、傷一つない頬へ手を伸ばす。
「キキョウ」
いつものように指を頬の上で滑らせながら名を呼ぶと、瞑っていた眼が開き、黒い瞳に張の顔が映る。
つい先ほどまでの動きが嘘のような柔らかい声音と手つきに戸惑いながら、キキョウは言葉をかけた。
「張、さん? どうしたん、ですか」
「……いや、何でもない」
張の胸の内には、言葉では言い表せない優越感と満足感で満たされていた。
気高さの象徴ともいえるあの黒い瞳が、熱っぽい視線で己を見つめている。
初めて出会った時から、何度もこの瞳に魅了されてきた。
真っすぐな瞳をこの街で初めて向けられたのも、壊していいのも、今のようなものへと変えさせるのもこの自分だ。
他の誰かが汚すことは許さない。
誰にも渡さない。
内心でそう呟き、「はっ」と息を洩らす。
「まさか、この俺がここまでなるとはな」
「え……?」
「本当お前は、罪な女だよ」
そう口にすると、キキョウは意味が分からなかったのかきょとんとした表情を浮かべた。
張は口の端を上げたまま、キキョウの耳元へ口を寄せる。
「休憩は終わりだ。――さあ、さっきの続きをしようか」
「んッ!」
呟いた後、すぐさま止まっていた腰が動き出す。休む間を与えることなく、キキョウのナカを奥まで犯していく。
痛みはほぼ無いに等しく、代わりに何かが波のように迫ってくるのをキキョウは全身で感じていた。
その感覚にどうすればいいのか分からず、無意識にシーツを掴む。
上半身を密着させたまま動いている張は目の端でその行動を目に映し、腰の動きを一旦休め、キキョウの耳元へと口を寄せる。
「俺の背中に手を回せ」
「え……?」
「もっとお前を感じていたい」
囁かれた言葉を一つ間を空けた後理解した後、掴んでいたシーツを離す。
そのままゆっくりと、言われた通りに恐る恐る逞しい背中へと手を伸ばした。
汗ばんだ背中に触れると、指先から張の体の熱さがキキョウにも伝わった。
「いい子だ……ッ」
「は、あ……!」
口の端を上げ呟くと、再びキキョウのナカを自身の肉棒で擦り始める。
ぐちゅ、と繋がっている部分から水音が鳴り、さらに蜜を溢れさせるように激しく責め立てていく。
子宮口まで一気に貫かれる度、キキョウの口からは自然と熱い吐息と乏しい喘ぎ声が響く。
「ん……あ……ッ」
「は……ッ」
奥を突けば突くほどキキョウが力強く己の背中に縋るのを感じ、張は勢いよく唇を塞いだ。
触れあっている部分全てを淫らに絡ませ、お互いの熱を共有し合う。
ひたすら獣のように犯していけば、次第に熱を保つのが限界になっていく。
放出したくなる感覚に、張は一層激しく律動を速める。
「そろそろ、限界だ……ッ」
「張さ……ッ……張さ、あ……ッ!」
「そう何度も呼ばなくても、ここにいるさ……ッ」
「ひ、あッ!」
「やっと、手に入れたんだ……手放すわけねえだ、ろッ」
「い、あ……ッ! 張、さん……もう……!」
「ああ、いいぞ。今すぐ、楽にしてやる……」
「ん……ッ!」
「キキョウ……ッ」
「は、あッ……ああ――!」
名を呼びながら勢いよく突くと男根から白濁が吐き出され、キキョウの秘部へと注がれた。
同時にキキョウは張の背中をより一層強く抱きしめ、体が小さく痙攣する。
――しばらくそのままの態勢で精液を全て出し切った後、体を少しだけ離し張はキキョウの顔を見つめる。
力が抜けたのか背中から手が離れ、絶頂した後の感覚に耽っているキキョウの顔へ手を伸ばし頬を数回撫でていく。
一呼吸間を空け、流れるように唇を塞ぎ短いキスを交わす。
ゆっくりと唇を離し、開かれた瞼から覗く涙に濡れた瞳を見据える。
「お前とのセックスは本当堪らねえな。想像以上だ」
「……想像、してたんですか」
「当たり前だろ。俺が何度お前を抱きたいと思ってきたか」
「……」
反応に困ったのか、キキョウはすぐさま目を逸らす。
その様に張は口の端を上げ、再び頬を撫でる。
「キキョウ、本当お前は最高だ」
そう呟くと、汗ばんだ額へキスを落とした。
すぐさま唇を離し、もう一度お互いの顔を見やる。
「なに言ってるんですか」
そう言ってキキョウは柔らかく微笑んだ。
その微笑みは、今まで見てきたものとは少し違うもの。
一瞬目を見開いた後、張もつられて微笑む。
流れているゆったりとした時間を堪能しようとキキョウは目を瞑る。
――次の瞬間、それを許さないと言わんばかりに張は徐に腰を動かした。
驚きで目を勢いよく開け、キキョウは困惑した表情を浮かべ声を出す。
「え……っ。張さん、なにしてッ」
「まさか、たった一回で終わらせると思うのか?」
ニヤリと口元を歪め、戸惑っているキキョウに言葉をかける。
張の表情と言葉に、キキョウは思わず顔を引き攣らせた。
「こ、こういうのは、何回もするものじゃないのでは……!」
「セックスはお互いが満足するまでやるもんだ」
「わ、私はもう十分で」
「お互いが、って言ったろ。俺はまだ満足しちゃいねえぞキキョウ?」
張は意地悪な笑みを浮かべたまま、愉しんでいるような声音でそう呟いた。
キキョウは頭に浮かんだ予想に腰を引かせたが、逃がさないと言わんばかりに張の腰は動きをゆっくりと再開する。
「ひ……張さッ……私もう、これ以上は……無理、ですよッ」
「俺だって何度も我慢してきたんだ。なら今度はお前に頑張ってもらわんと割に合わん」
自身の懇願を聞きいれる様子もない張に、キキョウは絶望にも似た感情を抱いた。
「待たされた分、付き合ってもらうぞ」
「ちょ、と……待っ――」
張は熱っぽい声音で囁いた後、問答無用で再びキキョウの体を犯していった。
我慢していた欲望を吐き出すように、何度も何度も発情した獣のようにくらい尽くしていく。
キキョウはただ張の下で、淫らに身を捩らせることしかできなくなっていった。
――翌日、満足げな顔を浮かべている張の隣には、腰を痛め唸っているキキョウの姿があった。
この話を同時に投稿しようとしていたので本編の方が中々投稿できなかったという……。