※この作品はR-18です。

プリズマ☆エルヴァ 第四部 ホムンクルス篇   作:炭団

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86、魔眼蒐集列車事件 Ⅶ

 もう一度おさらいだ。エルメロイ家がロードを務めていた鉱石科(キシュア)を奪った中立派筆頭のメルアステアは、貴族主義派のガイウスリンクと組んでいた。そのガイウスリンクがロードを務めるのが動物科(キメラ)だ。ガイウスリンクの後ろには法政科のバルトメロイ・ローレライがついているとされるが、彼女は時計塔、ひいては魔術協会の秩序を保ちたい側だ。なのでメルアステアの野望とは関係ないだろう。

 では、貴族主義派筆頭のロード・バルトメロイを裏切るような真似をどうしてしたのか? それが各科の知名度と予算にある。魔術を学ぼうとする若い学生に人気なのは、断然降霊科(ユリフィス)であり、鉱石科(キシュア)や天体科(アニムスフィア)、創造科(バリュエ)、現代魔術科(ノーリッジ)などに偏っていた。学長の肝入りとされる伝承科(ブリシサン)と個体基礎科(ソロネア)以外の中立派は、皆んないつも予算でヒーヒー言っているのがデフォだ。

 中立派とは貴族主義派や民主主義派に続く第三勢力ではない。貴族主義派にも、民主主義派にも手を挙げられなかった『煮え切らない臆病者』の集まりだったのだ。『Show the Flag(旗幟を鮮明にする)』が、出来なかった者達……彼らを指差して『卑怯者』とは公(おおやけ)には言えない。そこで便宜上『中立派』と名付けられただけで、そういう派閥があるとは貴族主義派や民主主義派の、どのロードも考えてはいないだろう。

 考古学科(アステア)のロードであるメルアステアは、その中で唯一人『どちらにも付かない』と自分自身の声をあげていた(声が大きかった)。それは隠し切れない野心を懐いていたからだ。またグリーンパークでセイバーや凜を襲った合成獣もガイウスリンクが騙されたか乗せられたかで、ガイウスリンク自身は貴族主義派の中のバルトメロイ派でもある。これも傀儡というより、代々法政科と合成獣のレンタル契約を結んでいたからに過ぎない部分もあった。

 

 この合成獣(キメラ)はその大元の伝承が古くからあり、よく知られるのは語源にもなったギリシア神話の、頭は獅子、尾は蛇、胴体は山羊という『キマイラ(Chimaira)』(※)からだ。

 

※)このキマイラは発音の仕方でキミーラにも聞こえるので、その『キミーラ(CHIMERA)』を会社名とロゴマークにしている、プロカメラマン向けのライトバンクを作っているメーカーがある。アメリカの『Chimera Lighting』だ。対抗メーカーの『WAFER LIGHT BANK』が浅胴型なのに対して、キミーラは深胴型なので光の当て方が少々難しい。けれど腕に自信のあるカメラマンほどこちらのバンクをチョイスしているように思う。あのエルヴァとフンボルト君との結婚式を撮影したカメラマンもこのキミーラのバンクだった(幻獣のマークがドーンと後ろにあるので一発でわかる)

 なおストロボはこれまたアメリカの老舗メーカー、バルカー(BALCAR)だった。ドイツのヘンセル(HENSEL)でなかったのでよく覚えている。日本では婚礼式場などはコメット(COMET)が多いようだけど、コマーシャル系の人はサンスターストロボをよく使うらしい。『エル』から教えて貰ったのだが、チャージが早く、コンデンサーが強いからだそう。早いと次のシャッターチャンスに備えられるし、コンデンサーの強さと相まって色温度が揃うかららしい(チャージ不足で発光させると色温度が落ちてアンバーに寄るとか)。どうしてそんな事まで知っているかな?

 不思議だけれど、『堺と言えば、昔は鉄砲、続いて包丁、今はシマノだ』と言い切るような奴なので、私とはアンテナが違うのだろう。それにお祖父様の影響で写真も趣味にしているから、ドイツには自前のモノクロ暗室を持っている。包丁はそこで研ぐそうだから、まさか業務用の円筒研削砥石なんか持っていないかと気になる。

 

 けれどグリフォンもヒポグリフも、あのエジプトのスフィンクスも合成獣である事は間違いなく、それは神獣でも幻想種でもなく、当時の魔術師が造ったものでしかないという意見もあるのは事実だ。そもそも幻想種にしてもその出自は大変怪しく、そのほとんどが神とか悪魔とかに関係なく、魔術師の手に拠る合成獣であると私なんかは考えていた。

 例えばだけど日本の鵺(ぬえ)なんて、果たして本当に妖怪だろうか? マンティコアは想像の産物だろうか? 数は少ないだろうけど、魔術師の手から逃れて本当はそこらを歩いていたのではないか? その目撃談が伝承となった可能性もあるのだ。それは私がホムンクルス鋳造(合成人間/人造人間。学ぶとしたら創造科になる)を知り、蟲遣い(これもある意味合成獣に入る)でもあるからだ。だから余計にフランケンシュタイン博士の下(もと)から逃げた『怪物』に思いを馳せてしまう。

 なおキメラ(chimera)とは『キマイラ(Chimaira)』から来た生物学の言葉で、嵌合体(異質同体)……つまり、ある個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態などを指す。けれど私達魔術師がキメラと言えば、大概それは合成獣を指している。この理由には『使い魔』の抱える問題があった。その問題には種々あるが、一番大きな問題を私達は『知性の壁』と呼んでいた(不気味の谷への比喩だろうか?)。

 一見難しそうに聞こえるが、ここは単純に受け止め解釈すれば良い。要は魔術師(主)を補助してくれる存在(使い魔)をこそ私達は求めて使い魔を造る訳だが、それにはそれなりの高度な知能と、主を補佐できる知識と学習能力が必須だった。当然だろう。工房でボーッとされても困るのだ。だから魔術師は自らが造った使い魔には愛着を持ち、求めて来る餌の内容に寛容な人が多い。

 当家の使い魔もそこは同じだった。『フラスコの小人』も時給0円の仕事なんてしたくないだろう。その仕事内容を正しく評価し、彼らの欲するものは何でも用立てていたと残った書物に書かれてある。長い時間の中で小人はフラスコから出れて、人と変わらない体を手に入れた訳だけれど、『メイド』と呼び名が変わって、当時のアインツベルン総裁がホムンクルスの人権を認めるまでに費やした年月は100年や200年では足りない。それと時を同じく(並行)して小動物型の使い魔も高い知能を得るに至った。

 この一度は失われた(※)、小さな頭蓋に収まった脳では決して得られない知能を与える秘技こそが、降霊科の生み出した『人工憑依』だった。つまり、そこらの人魂(自我を保っていて従順なら浮遊霊でも地縛霊でも良い)を、犬や猫に第三者(主となる魔術師)が憑依させる方法だ。だけどこれも、その小さな脳髄に引き摺られ、やがては知能が衰える。そこで人の脳髄を下腹部に収めたり、霊的に繋がった拡張空間付きの首輪型礼装に収めたりといった改良が重ねられた。今はその首輪にホムンクルス用の脳髄を、それも4~5人分の大きさに肥大したモノを収めたりしている。本家アインツベルンとユリフィスはそんな接点があったのだ。

 

※)死骸を掻き集め切り貼りして造る方法。こうすると体は既に死んだ物質だから、関節だけをどうにかすれば憑依した霊が支配できるので脳髄が必要なくなる。

 

 この死骸を使って造る方法は、『人工憑依』とセットになった、ユリフィスが再発見した大昔の使い魔製造法だ。またユリフィスにしてもこういう魔術は本義ではないので、学生にバンバン教えていた。以上のような事から、動物型の使い魔を造るノウハウは、学科を飛び越え学生の間に覚えるものだと暗黙の了解があった。私は獅子劫さんのような死霊使いではないけれど、そういう事はよく知っていた。降霊科講師を志願したのも、セイバーの存在や刻印修復の事だけでなく、こちらの知識もあったからだ。まぁ、ユリフィスが欲しいのは英霊召喚とその維持のノウハウ、それと修復師としての腕だろうとは思うけれど。

 ともあれ、それが合成獣であろうと生きた動物の使い魔には違いない。それでユリフィスは同じ貴族主義でもガイウスリンクを下に見ていたのだ。もっと言えば、合成獣は何匹造ろうが現代のものだ。だけどそこには、幻獣の魂を憑依させれば、それは太古の神秘を帯びた幻獣に限りなく近いモノとなる。こういう事に気付いて死霊を喰らう幻獣を再現すれば、ユリフィスも困る。そこがわかっているからガイウスリンクを特に嫌うのだろう。

 また、ガイウスリンクがバルトメロイに尻尾を振るのは、『時計塔の事はこっちも考えている。裏切ったりはしない』という意思表明と、『わかってんのか? こっちは法政科が味方だぞ』というある種の脅し? でもあるからだった。

 まぁ、そんな事よりガイウスリンクが『裏切らない』という確証はもう一つあって、それがお祖父様はもとより、やたらメイドの多かったアハトとの関係だったのだ。『モモ肉が6本も取れる鶏』『通常の2倍以上大きく栄養価もバッチリな野菜』、キメラ(動物科)もユミナ(植物科)も貴族主義派なのはそういう理由だ。ん? それって『遺伝子組み換え』じゃないかって? ま、魔術だから……。

 

「エルメロイⅡ世先生。この列車に時計塔が関わっているなら、食堂車のお肉は動物科からで、お野菜は植物科からの仕入れですか?」

「いや、それは知らないが。何か気になる事があるのか?」

「先生は背骨が2本あって、ヘレ肉も2本ある肉牛とか、乳房だらけで真ん丸な乳牛とか見た事はないのですか?」

「ぅ……。それを動物科が……?」

「それがガイウスリンクの家業ですよ。当然、そんな人工奇形種はそのままの形で市場には出ません。使い魔や動物園の餌用に加工されたり、自分のところで缶詰にしてから出荷されますから。知りませんでした?」

「し、知らなかったぞ」

 

 おいおい。お祖父様が医学界と製薬界を牛耳り、ガイウスリンクとアーシェロットが畜産と農作物を抑えているから、魔術協会のある世界は、それが存在しない世界より『あいつら』の手が緩かったのに。むしろ緩いから『現象の彼女』が勝利できたとも言えるのだ。またガイウスリンクとアーシェロット両家の発明品は、人類の食糧事情に光を与える尊いものでもあった。

 

「もう、先生は……植物科(ユミナ)のアーシェロットもそういう家ですよ?」

「はぁ~……私より君の方が内部に詳しいとは……」

 

 中立派とされる呪詛科(ジグマリエ)、考古学科(アステア)は、全体基礎科(ミスティール)と同じく学生が集まる個体基礎科(ソロネア)や、学長の個人学科とも言える伝承科(ブリシサン)と違ってお金にならない学問だ。だからメルアステアは、お金になる学科(と言うかお家のバックボーン)が欲しかったのだ。それに誰がどう考えても、考古学は動物科や植物科に伝承科がミックスしたら、必要性のない学科だった。幻想種の化石なんて早々見つからないからね。

 それと数ある時計塔の学科で一番儲かるのはどこかと言うと、それが鉱石科(キシュア)だった。宝石をイジってどうこうなんてここ数百年の話で、本来は地に眠る鉱石、石油、天然ガス、岩塩などを扱う学科でもあったのだ。もっと言うと、その中の『塩(岩塩)』こそが、アーチボルト家隆興の礎だったのだ。そして代々のアーチボルトは家業以外の魔術や学問にも熱心で、親族や傘下にある家々は追っている魔術の系統や、属性も結構バラバラだった。ここはウチも似たり寄ったりだから、ケイネスが死ななければ(死地に行っても生き残るだけの才覚と、世の中を知っていれば)アーチボルト家は、あちら(『エル』の世界)のように隆盛を極めただろう。

 

 あちらはケイネス先生がご健在なので、ウェイバー先生は現代魔術科の学部長を任されていてもロードではない。言ってみればベルフェバン代理のような立場だった。そしてライネスは魔術も学んでいるが、本業はパブリック・スクールに通う気楽な学生だった。だから当然トリムマウは居ない。けれどケイネス先生は何故か一族の末端であるライネスをウェイバー先生に指導させていたし、ロード・アニムスフィアも娘のオルガマリーを現代魔術科の講義に参加させたりしていた。『エル』の入れ知恵か、大魔導師の先生の入れ知恵かも知れない。

 また『エル』が手を出したり組んだりしているので、アーチボルト家の隆盛も財力も生半可ではない。英国は英国人が食べないし、食べる人が居ないから流通もままならないというネックがあったので、あまり考える人が居なかった。が、近海は日本と変わらないお魚の宝庫なのだった。またカールお兄様が作り出したクローン・クロマグロを放流もしている場所に選ばれているので、これらを釣り上げる船団の漁業権の元締めをアーチボルト家とアインツベルン家、エーデルフェルト家で独占していた。

 エーデルフェルト家が入っているのは、あの家が北欧の漁業を握っているからだ。これは『バーター』で北欧の漁場でもクローン・クロマグロを放流・養殖しているという意味だ。そしてこのマグロを冷凍して日本に送っているのだ。こんな事業を始めたのは、ガイウスリンクがお魚に弱いのと、津軽海峡でクロマグロ(本マグロ)が年々釣れなくなって来ているからだった。

 

(青森側に大間、龍飛(たっぴ)、三厩(みんまや)、北海道側に吉岡、松前などなど、狭い海峡の中に小さな漁港だらけだ。この多さが漁獲が減る理由のような気がする。そもそも潮に乗って秋に北上するマグロは日本海側と太平洋側とで別れていて、大集団が迷い込んで来ない限り、圧倒的に日本海側が少ないだろう(有名な大間は太平洋に近い)。そしてその日本海側の北海道を廻らない、ごく少数が津軽海峡に入るのだ。そんなごくごく少数を個人の船舶で追うのだから、どうしても運頼みになってしまう。

 何より、クロマグロの餌であるサンマやイカの漁獲量と連動しているから、回遊するサンマが来なかったり、どこかで根刮(ねこそ)ぎやられればクロマグロが来なくなってしまう。最新のレーダーや魚群探知機を積載しようが、最後は運頼みの天任せになってしまうのが漁師であった)

 

 一方、アインツベルンやエーデルフェルトはもっと大きな船で、魔術を併用してマグロの魚群を追い込む。しかも天然は出来るだけ避け、放流したクローン・クロマグロの集団だけを狙う。半使い魔のようなものだから、育った頃に『戻って来い』だ。天然資源を守りつつ大儲けする。これを最初に行ったのがオーストラリアのカールお兄様だった。あちらではクローン・ミナミマグロがバカスカ獲れる。けれどマグロの価格が暴落しないのは、年々食べる人が増えているからだ。

『エルヴァ』からのメール情報だと、アメリカではボストン沖がクロマグロの釣れる漁場として有名らしい。そんなボストンからクロマグロが、ニューヨークなどの寿司店に渡っていく。今はアメリカの内陸部にもマグロが流通しているそうだ。

 また、この2年後にトロンメルがボストンへ留学するのだが、受け入れ先を『エルヴァ』が手配してくれ、私は恐縮するばかりだった)

 

 マグロに対して私個人としては、苦労して釣らないといけないお魚だからお金になるのはわかっているし(漁師さんの気持ち)、美味しいのも認めているけれど(料理人さんの気持ち)、『そこまで?』と思う気持ちもある。それは私がサバ好きだからだ。大型だった王様のマグロを捌いた(例の解体ショー)からこそ言う。あれより大きなマグロもあるだろう。けれどあれより美味しい身を持ったマグロは滅多に無いと思う。

 

(大きなマグロだったので、腹カミや腹ナカの中トロ部分から、『皮ぎし(寿司職人用語)』という小さなマグロからは取れない、ある種幻のサクが取れた。背のカミやナカも中トロがびっしりで、『背トロ』という部位もかなりあった。ただその分、腹の大トロは固い筋だらけで包丁で切っても食感が悪そうだった。なので『はがし』という、筋と筋の間の身を使う方法をとった。これは筋を丁寧に剥がさないといけないので結構難しい。なにぶん、そんな事ができる大きなマグロを捌いたのが初めてだったし、皮引きの要領で筋を引けば良いのだと気付くまでに時間が掛かってしまった。そんな大トロの端の端を『蛇腹』というらしいけれど、言ってみればそこはマグロのハラスそのもので、生で食べると『オエッ』となるほど脂っこい。だから布を掛けて、お湯を流す『霜降り』をして、切った後は大根おろしとポン酢で頂いた。量が多いので煮付けもしたし、ステーキにもした。もう二度とあんなマグロは口にできないだろう)

 

 大きいから大味だとか、小さいからイマイチだというのは、マグロに関してはあまりないと思う。でも、美味しい個体は本当に稀なのだと王様のマグロで再確認した次第だ。と同時に、そういう最高の個体を釣り上げる王様の豪運にも唸らされたものだ。

 と言うのは、大トロでも中トロでも良いけれど、そういう脂の乗ったマグロのお寿司と焼きサバのお寿司なら、私は断然サバだと考える人間だからだ。小骨までしっかり取れば、切り身のソテーにしてもフライにしても、サバはマグロより上だと思う。なのに王様のマグロは例外中の例外で私の認識を覆すものだったのだ。

 

 ちなみにこの両者、同じスズキ目サバ科だ(サワラやハガツオもこの科)。だけど火を通すと、私は断然サバの方が美味しく感じる。ところがサバはマグロ以上にヒスタミンが危ないし、アニサキス持ちがやたら多い(マグロは冷凍されるから寄生虫がとっくに死んでいる)。なので生食は〆サバが普通なのだけれど、私は酢で〆て寝かせた後、ポン酢に浸けて盛り付けるのが好きだ(※)。

 

※)関東では『しめ鯖』、関西では『きずし』というが、『きずし』は酢で〆たお魚全般の事を指すのでアジやサンマの『きずし』もある。だからそちらは『アジのきずし』『サンマのきずし』という。けれど大阪の人はサバに対して『サバのきずし』とは絶対に言わないで『きずし』と略す。そして大阪ではカツオの『たたき』だと、たっぷりな薬味をまぶして、ひたひたなポン酢に浸ける家庭が多いらしい。なので『きずし』も、このひたひたポン酢で出すお店がチラホラあるそうだ。私の〆サバはそれの真似だ。

 

 ところがサバと違ってマグロは生食が一番美味しい。焼いて美味しいのは限られた部位だけで、生で食べられるところは生で食べないと勿体ないとさえ思う。日本のカルチャーにすっかり染まっているよねぇ。

 そんな風に生が一番と信じていても、マグロのアラで取ったダシで作った『おでん』と『ねぎま』だけは、違った意味で別格だ。まず、このダシで煮込まれると、ちくわなど練り物の味が急に野趣溢れる味になって後を惹く。そこに串に通した『ねぎま』を加えるのだけれど、この『ねぎま』が色んな意味で『ねぎま』なのだ。

 普通『ねぎま』と言えば焼き鳥の、『身とネギを交互に通したもの』が頭に浮かぶと思うけれど、その昔は市場の『ねぎま』と料理の『ねぎま』の二種あって、市場の『ねぎま』はマグロの中落ちから身をこそぎ取ったものを指し(これを『ねぎ取る』といい、そこから『ねぎま』となった)、料理の『ねぎま』はぶつ切りにしたマグロの身とネギを、ダシや味醂・酒・醤油などで煮込んだモノを指していた(元の料理は明治の頃の『ねぎま鍋』。安いビンナガマグロで試しに作ってみて。七味を振ればお酒のアテにぴったりだから)。

 ところがこのシロウさん直伝の『ねぎま』は、串にマグロの血合いや尾の身を、九条ネギ(長ネギは使わない)と交互に挿したものなのだ。これをアク抜きに塩茹でしてから、おでんの鍋に入れる。この『ねぎま』がアラダシのおでんとやたら合うのだ。また、マグロのアラや血合いなんてどう使って良いのか迷うというか、ほとんど棄てる部分だ。こういう原価幾らだという『おでん』で呑み屋を開き、奥さん(大魔導師の先生)と子供を4人も養ったのだから大したものだと思う。

 

 なお、イヴの缶詰で私が一番気に入っていたのが、サバ缶だった。この缶詰はなんとフュメ・ド・ポワソン(お魚ベースのダシの事)に浸かっていて、そのままでもやたら美味しいし、最初から骨が取り除かれてあるので子供にもウケが良かった。これはほんの一例で、とにかくあの手この手で欧州人にお魚の美味しさを浸透させているから、あちらは欧州の主要都市で寿司や和食のお店を開く日本人がこっちよりも多かった。その余波で和食のお店は日本政府からの認定制になっていたりもする。

 

 

「プロフェッサー・アインツベルン。食事の合図だ」

 

 お? 先生が私をプロフェッサーって。照れるよ。それで時計塔メンバー皆んなで、案内されるまま個室に入ったのだけれど(ただしアサシンの2人は別室だった)、イヴェット・L・レーマンもここに入っていた。だから私はイヴェットに囁いた。

 

『Show the Flag』

 

 彼女は真顔で、私を指差し、次いで自分の胸を指した。本当か? 長いものに巻かれるだけじゃないの?

 

「メルアステアともども沈む気はないですよ。それがレーマン家の総意です。アインツベルン先生がこれまで私に何も言わなかったのは、そういう事でしょう?」

 

 まぁ、『泳がせている間に腹を決めておけ』という意味があったのは間違いない。思った通り、彼女は裏で一族の『総意』を得ていたか。賢い子だ。

 皆んなが席に着いたところで、ウェイターが『アペリティフ(食前酒)』のオーダーを開始した。私はワインリストに『シモネ・フェブル』の『クレマン・ド・ブルゴーニュ・キュヴェ・クロエ(白)』があったのでそれにした。名の通りブルゴーニュ地方で、シャンパンと同じ製法で造られるスパークリングワインだ。ここのは個人的にロゼだと思うが、白いクロエ(CHLOE)が気になった。何でも当主のヴァンサン氏の孫娘の名前なのだとか。クロエちゃんとは綴りが違うが、私は迷わずそれにした。

 やがてそれぞれが頼んだ食前酒とともに、プラトー・シャルキュトリーがやって来た。意味はプレートで運ばれるハム類だ。レストランに拠って内容が変化し、今夜は生ハムとチーズ、それとカットしたトマトの盛り合わせだった。その後、前菜(オードブル)が運ばれて来た。前菜はホワイトアスパラガス(ドイツ語ではシュパーゲルと言う。何かの必殺技のようなやたらカッコイイ名前だけど、単なるアスパラガスだ。欧州では春の到来を告げる定番野菜だ)のマリネに、緑豆とリーフの何かをミキサーでピューレにしたものが掛かっていた。これがいきなり美味しい。

 次にカリフラワーを主体にしたサラダと、少量のホワイト・シチューがやって来た。これがスープ代わりだろうか? 私とセイバー以外がギョッとしていた。ウェイターが『ホワイト・シチューです』なんて言っても、これはどう見てもクリームシチューだからだ。知っている人は知っているだろうけど、クリームシチューは日本発祥のシチューで、海外では当たり前の茶色いシチューは、英国料理のビーフシチューが大元だ。だから入っている肉は牛のスネとアバラというオーソドックスなものだった。鶏肉じゃないのに色が濁っていない。これはお見事。またジャンマリオはここまで『白』を主体に色を決めてきている。さすがだ。となると次のメインは?

 

 配置されたカラトリーだと次はお魚だ。来た! お魚とお肉のダブル・キャスティングだ。そして運ばれたお皿(ポワソン)は三種盛りだった。一つは二口分くらいの大きさの、ヨーロッパマダイの塩バターソテー。驚くなかれ、欧州にも真鯛が居て、ポルトガルやスペインで結構人気があるのだ。けれど日本のものより小振りで、大きなものでも1mを越える事はない。それに流通している全部が天然物だ(養殖されていない)。なので超高級魚だった。味は日本の真鯛と変わらない。だから甘みを感じるように塩バターなのだろう。

 もう一つはヘダイのハーブ・ムニエル(ほんの少し小麦粉が掛かっている)だった。こちらのヘダイは欧州だと養殖が盛んで、結構安く買える。それに日本のように刺身にはしないから、独特の磯臭さは熱を通した事で完全に消えている。だからハーブは臭み消しでなく、純粋に味付けのためなのだろう。安いからか、大きさもマダイのソテーの2倍(4口分?)はあるが、食べごたえがあって私は気に入った。

 最後が驚きの一品だった。お皿の上に乗った小皿で提供されたのだが、一口サイズの小さな切り身が二つだけだった。一つは皮なしの素揚げで、もう一つが松笠揚げだった。食べたらその味はアマダイ……だ? どちらもホワイトソース添えだけれどヨーロッパにアマダイ? 思わずウェイターを喚ぶと、このアカアマダイはスペイン沖で少量だけど獲れるのだそうだ。小さな一口サイズで出したのは、鱗を食べるなんて考えが西欧人にないからだろう。いや、私にとっては嬉しくて美味しいばかりの三種盛りだったけれど、他の人には厳しいかも知れない。だから三種盛りという、それぞれの切り身が小さくなる方法を取ったらしかった。

 

「セイバーと2人して、首が落ちるよ?」

 

 そうアルファに言われた。アオレアールが笑っている。よほどコクコク頷いていたのだろう。だけどこれはそういうグルメを唸らせる一皿だった。松笠揚げに驚いていたオルガマリー達も私とアオレアールの説明で食べ始め、その食感を楽しんでいた。口直しのソルベ(乳脂を使わない、果物と洋酒のシャーベット。リキュールの氷菓と言っても良い)もお見事だ。最初はリュバーブかと思ったが、これは……『スカンポ』だ。イタドリの変種?

 何の事かわからないだろうけど、欧州の特にフランスとイギリスでは果物っぽい野菜として、リュバーブ(ルバーブ)という蕗(ふき)のような植物が春に出回る。使われ方は色々らしいけれど、これまでの私にはあまり縁のない野菜だった。ところが日本の地方には田んぼの畦道などにイタドリという、これまた蕗のような、けれど節のある植物が春先に自生していた。これを抜いてパキンと折ると『ポン』と音がして、食べると酸味があった。だから夏場に口中を湿らせるため、地元の子供が時々食べていた。

 確か2本以上食べるとお腹を壊すとか教えてくれた(便秘の解消に良いらしい)。パキンと折ると酸っぱいから『スカンポ』なのだとか。悪口の『スカポンタン』は『アンポンタン(アホの意味。反魂丹という薬に準(なぞら)えた言い回し)』からの変化だ。また似たような味の酸っぱい植物にスイバというのがあって、イタドリと同じ様に田んぼの畦道で自生している。なのでこちらを『スカンポ』と呼ぶ地方もある。そしてこのスイバ、グローバル野草と言おうか、古代エジプトや古代ギリシアの時代から利尿効果があると知られ、薬草やハーブティーに利用されていた。

 それでこのソルベのイタドリっぽい何かだ。またまたウェイターを喚べば知っていた。教育が行き届いているので感心する(だから説明を聞いた後でチップを渡した)。で、答えは海を渡ってやって来たイタドリで間違いなく、現代では従来の草木を脅かす侵略的外来種に指定されていた。それでこれを欧州に持ち込んだ犯人もハッキリしていて、その名をフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトという。つまり蘭学のあのシーボルトだ。イタドリには緩下、利尿、通経、便秘、膀胱炎、膀胱結石、月経不順、産後の悪露(おろ/お産の後に暫く出て来るオリモノ)などに効果があるらしいから、これは新しい薬になると持ち帰ったらしい。けれど成長が早く繁殖力も強いからエライコッチャ……と。特に被害が大きいというか、広く生息しているのが英国なのだった。

 なお、使われているリキュールはアルコールを飛ばしたりんご酒らしいが、正直に言うとソルベの味よりもウェイターの博学ぷりに驚いた。

 

「先生みたいなウェイターでしたね」

 

 と、スヴィン君。この場合の『先生』は、当然エルメロイⅡ世先生の事を指している。次に来るのはお肉の料理『アントレ』だけとは行かないだろう。ここまできちんとしているなら、生野菜の『サラダ』とチーズの何かも一緒に来そうだ。すると出て来たのは、鶏胸肉の皮がカリカリになったポワレと子牛のヘレステーキ、それとパイとサラダだった。

 ポワレにはバジルとパセリを合わせたソースが掛かり、その横に三口程度の小さな子牛のヘレステーキのフォアグラ添えが並んでいた。それと別皿でチーズが入ったミートローフパイが二切れにサラダだ。パンはとっくに出ていたが、このパイはお代わりがあった。なのでセイバーがお代りすると、それに釣られてスヴィン君も先生もお代わりしていた。私はもう、デザートが出る前に満足し切っていた。

 基本はフランス料理なのにイギリスらしい格を感じさせ、なおかつ和食の調理法なども取り入れる斬新さも併せ持つ……本当にお見事だ。特に鶏胸肉のソースが素晴らしい。生のパセリとバジルを細かく刻み、スパイスやお酢、ライム果汁、ハーブなどと合わせているのだ。

 

「ああ、あの鶏……フレンチ風イタリアンだ……」

 

 私は感心しつつ納得していた。思い返せば青唐辛子を使っていたら、西欧風柚子胡椒で通る味だった。けれどパセリの風味と、それを壊さないごく少量のバジルが良いアクセントで、ジャンマリオならではのオリジナリティが感じられた。彼はセンスも良いが、見た目以上に勉強家なようだ。

 私は思った。今後はレシピ本を出しつつ、動画サイトにも進出するべきだと。お金や名声より魔術が大事? いやいや、お金があるから魔術が研究できるのだ。何なら現代魔術科での、私の講義に出てくれると損はさせない。烏滸(おこ)がましいけれど、今以上の魔術師に必ずしてみせる。そこから私は、かつて時計塔を出た人向けの特別講義か講座があっても良いのではないかと考えるようになった。

 

 最後はここまでのコースなら、『アントルメ』と『フルーツ』との二種類が出るのが普通だけれど、今回は『デセール』という両者をミックスしたデザートだった。内容はマンゴーのタルト。スペイン辺りで採れるのかな? 上のクリームも白とオレンジのツートーンだからマンゴーの果汁からも作っている。絞り終えた果肉もタルトに使われているようで、かなり美味しかった。

 それで〆が『カフェ・プティフール』という、食後のコーヒーとちょっとしたおつまみサイズのお菓子だ。こちらはお砂糖代わりの、まるで日本のバレンタインのチョコか、小さなチョコの詰め合わせのような、一口サイズのチョコ菓子だった。それらを楽しんでお料理の感想を口々にしていたら、ジャンマリオがやって来た。彼は各部屋を回っていたようで、私達も最大の称賛を彼に送った。

 

 アオレアール達とは帰る途中で別れた。アサシンの2人は別室で携行食? でも食べて来たらしく、良いタイミングでアオレアールと合流していた。ここだという彼女の部屋は、私の部屋より3両くらい前だった。それでもオルガマリー達の警護は手を抜かず、別のアサシンが気配を消して要所要所に待機しているのを感じた。自分たちの車両に戻った私達は、エルメロイⅡ世先生やスヴィン君、オルガマリー達と別れ、そのまま各自の部屋に入った。ここからはプライベート・タイムだ。

 私とセイバーとグレイに3人娘は、交代でバスを使い寝間着に着替えた。女子のパジャマ会ではないのだが、アルファとベータが、グレイにエルメロイⅡ世先生の事をあれこれ聞き出していた。それはグレイ視点での先生の話だったから、結構面白かった。けれど3人娘が聞きたいのは『恋バナ』だ。だけどグレイはそういう部分が未熟とまでは言わないが、田舎娘らしく奥手で、戸惑う自分を隠したがるから余計にアルファ達のカモになっていた。

 それで何度か助け舟を出していた私が、日本に同い年の恋人が待っていると教えてあげると、途端グレイは目を輝かせ、興味津々な様子だった。

 

「では、アインツベルン先生は、講師を何年かすれば……?」

「はい、4年で切り上げて日本に帰る予定です。最初から時計塔とはそういう契約なんですよ」

「そうだったんですか」

 

 内弟子という曖昧な立場。何年と決まった契約ではないだろう。こういうところが英国人とは思えないほど抜けている。

 

「仮にも魔術師なら、『契約』を軽んじる行為はどうかと思いますね」

 

 例え口頭でも、『内弟子』として迎えたならば、グレイも年頃の女の子なのだから『どのレベルまで学べば』『だいたい何年くらい掛ければ』と具体的な今後を話すべきなのだ。でないと結婚などを含んだ将来設計が難しくなる。グレイはそうも言っていられない環境だったのは察するし理解もするけれど、そこをきっちり先生に話さないと。

 それに先生も先生だ。スヴィン君の給金の事で私に言ったじゃないか。なら先生もグレイに対して真摯に向き合うべきなのだ。それが出来ないなら、先生は大王の時代の人と変わりない低常識人間確定だ。何より出会って既に何ヶ月も経っているそうだから、本来なら正式な契約書を交わすべきだろう。身の回りの世話(靴磨きやフラットの掃除に洗濯など)を授業料代わりに行っているとは言え、余りにもいい加減過ぎる。グレイ曰く、一応お小遣い程度の金銭も頂いているそうだからなおさらだ。

 まぁ、私も先生の悪口を陰でコソコソ言いたくないし、ましてやグレイに零したくない。それでグッと堪えてグレイとアルファ達の話を静かに聞いていたのだが、セイバーからは念話で『堪えて、堪えて』とずっと宥(なだ)められていた。心の中はダダ漏れだったようだ。そうして1日目が終わったのだった。

 

 

 

 オークションの日を迎えた。昨夜はお酒を『アペリティフ(食前酒)』以外口に付けていなかったので快眠だった。寝起きもスッキリで、いつもと同じように5時には起きていた。歯を磨き顔を洗い乳液を塗リ広げた。

(欧州は寝ている間も乾燥するのでお肌に悪い気候だ。なので眠る前にもお肌に潤いを保たせるクリームなどが必須だった。鼻の周囲にそばかすが目立つ女の子がアメリカ人に多いのは、あっちの方が欧州よりも気候が厳しいからだろう)

 着替え終えれば、少し走りたい気分だったけれど列車内でそうは行かない。だけどこれも魔術(結界)だが、連結部以外は一切揺れないのがこの列車の特徴だった。だから通路に出て車窓の外を見るまで、停車している事に全然気付かなかった。

 

「どうして止まって……?」

「マナを取り込んでいるのだ。この列車はそうやっ動くからな」

 

 声のする方を見やればエルメロイⅡ世先生だった。

 

「おはようございます。いつもこうやって『充マナ』を?」

「『充マナ』言うな! だが、まぁそういう事だ」

 

 私は呆れた。ここまで素晴らしい列車だ。しかも『あいつら』ですら手が出せない死徒が絡んでいる……。なのに堂々と出来ないのは『血袋』の提供があったからではないかと私は疑った。まぁ、そこを責めれば争い事になりかねないので黙っていた。

 

「はぁ……。発想がそこ止まりかぁ。『炉心(省エネ装置)』の併用でなく、もっと根本的な『マナ発生装置』とか開発出来ないのですかねぇ?」

 

 御存知の通り魔力炉は魔術回路を持たない普通の人間が発生するオド程度で、エクスカリバーの真名開放を可能とする魔力増幅装置だ。セイバーを貶める気持ちはまったくないが、それくらい凄い装置なのだ。竜の血とは人体なのにそれを子々孫々にまで継いでいける特殊な血統という意味だ。その証拠がモードレッドだ。

 私は儀礼用のクラレントに宝具になるほどのものはなかったと考えている。盗み出したクラレントが『燦然と輝く王剣』になり得、その効果を齎(もたら)したのは、偏(ひとえ)にモードレッドも炉心を持っていたからに他ならない。これが私の出した答えだった。

 

「君は出来るのか?」

「ここですと無理ですよ。ですが電磁場の利用である程度は出来ると思います。何れにせよ、自転する『生きた本物の星』でないと難しいですね」

「やはり『そういう』ところだったか……」

 

 気付いていたか。

 

「それはスヴィン君から? そう言えば彼は?」

「私も天体くらいは見る。自分で気付いた。気付いていたからスヴィンに停車時間中の偵察を頼んだのだ」

「なるほど」

 

 私は頷いて、窓の外を眺めている先生を誘って外に出た。いつの間にか鎧姿のセイバーが私の横に立った。寝起きだろうに、一度霊体化し実体化すれば眠気も体の汚れも、キレイサッパリ失くなる。ついでにお顔の潤いも回復し、お肌もツヤツヤだ。ズルいぞ。外に出るとそれは森の中の開けた場所だった。

 

「師匠~、先生~」

 

 そんな外を歩いていると、遅れてグレイもやって来た。セイバーが声を掛けていたようだ。振り返れば、車窓の奥に見えるオルガマリーとトリシャの部屋の前と、車両全体をアサシン達がワラワラと守っていた。一体全体、何人の百貌を!?

 

『13人(百貌)+1人(呪腕)。しかも魔力は全部『現象の彼女』持ち』

 

 セイバーとの念話回線に……窓のところで手を振ってやがる。けれど百貌を最低の80人と考えても、80×13で1040人だ。はいはい。頑張って偵察して来ますよっと。なので私は安心して森の中に入っていけた。

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