※この作品はR-18です。

詰みシコRの寝室   作:百男合

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 バレンタインに、ま、間に合った。
※この丹羽君には下半身にジョイスティックが生えています。
 あと風先輩はバッドエンドルームの記憶を引き継いでいたりするのです。


【風ルート「チョコのように溶け合う甘いエッチ」】

 2月8日のことである。

 同じクラスで席が隣同士になっている樹に、休み時間丹羽は話しかけられていた。

「ねえ、丹羽くん。そろそろ2月の一大イベントだね。期待してる?」

「ああ、針供養が近いよね。俺も準備に忙しいよ」

 ゆゆゆいお約束のボケをする丹羽に対し、いや、そうじゃなくてねと樹は告げる。

「バレンタインデーだよ! 丹羽くんは勇者部の皆からもらえるのは確定してるんでしょ? いいなー」

 その言葉にクラスにいた男子生徒たちから殺気を籠った視線が丹羽に向けられた。

 勇者部と言えば讃州中学でもきれいどころがそろっていると有名な部活だ。

 その女子たちからチョコをもらえるなんて羨ましすぎるだろうと現在丹羽は讃州中学全男子生徒たちから嫉妬の視線を受けている。

「いや、むしろ俺は勇者部同志で誰が誰にチョコを送るかの方が気になるよ。新しいカップリングもいいけど、既存のカップリングでこういうイベントを迎えるのは素晴らしいよね!」

「相変わらずぶれないなぁ丹羽くんは」

 隙あらば百合イチャイベントを見守りたいというのは姉と付き合っても変わらないらしい。樹は苦笑する。

「まあ、当日は期待してていいと思うよ。お姉ちゃん今年は気合入れてるから。なにしろ初めてできた彼氏だもん」

「いや、俺としては受験の方を頑張った方がいいと思うんですけど…でも、嬉しいなぁ」

 はにかむような丹羽にしては珍しい恋しているとわかる表情に思わず樹はキョトンとする。

 この男、百合イチャ以外でこんな顔ができるのかと。

「まあ、そんなわけで13日と14日は東郷先輩のお家で勇者部の皆といっしょにチョコ作りして交換会してくるからお姉ちゃんのことよろしくね」

「え、なにそれ勇者部みんなでチョコづくりの上お泊りイベントとか、絶対見に行きます!」

 まあ、そういう反応になるだろうなと思いながら樹は事前に伝えておいてよかったと園子に言われていたことを思い出す。

「バレンタインはふーみん先輩とにわみんを2人きりにしてあげようぜー」

 という意見。樹はもちろん勇者部全員がそれに賛成した。

 今年の14日は日曜日ということで渡すのは15日になるが、その間恋人同士である2人を一緒にしてあげようと思ったのだ。

 まあ、樹自身もクリスマスやら正月やらでイチャイチャしている2人と一緒の空間にいるのはもうごめんだという気持ちもある。

 なのでこの百合イチャ好きにはそのことを先に告げておかなければならなかったのだ。

「あのねぇ、丹羽くん。一体誰のためにわたしが2日も家を空けると思ってるの? もうクリスマスとお正月の時みたいなのはこりごりなの!」

 クリスマスと正月何かあったかな? と丹羽は考え、思い至る。

 なるほど、風と1日中イチャイチャしていて気付かなかったが、一緒に暮らしている樹としては身の置き場がなかったのだろう。

 これは悪い事をした。あとで何かお礼をしなくてはと丹羽は決意する。

「そういうわけだからお姉ちゃんと仲良くね。あ、15日は東郷先輩の家から学校へ行くから気にしないで。それと丹羽くんへのチョコは全部既製品で、手作りチョコは1つもないよ。手作りはお姉ちゃんに上げるんだぁ」

 にっこりと笑う樹にふういつはやっぱり大正義だなと丹羽は思うのだった。

 

 

 

「ということがありましてね」

「あの娘、気の回しすぎよ……嬉しいんだけどね」

 放課後、勇者部部室。

 他のメンバーは依頼で席を外し、図らずも2人きりになってしまった風と丹羽は、どうしたものかと話し合っていた。

「まあまあ、犬吠埼さんも気を利かせてくれたんですから。2日間何をしましょう? 映画でも見に行きますか?」

「うーん。アタシは家で2人きりでいたいかな? 乃木に家庭教師してもらって結構成績も持ち直したけど、多分これが丹羽とイチャイチャできる最後のチャンスだと思うし」

 そう。犬吠埼風は3年生で受験生だ。本来ならバレンタインデーなんて浮かれたイベントを無視して最後の追い込みをかけなければならない。

 推薦が来ていた学校の受験は受けたのだが、それとは別に受ける高校もあるらしい。そこらへんは大赦に融通してもらおうと思わないのが彼女らしいというかなんというか。

「まあ、そういう風先輩だから、俺は好きなんですけど」

「ちょっ、何よいきなり⁉」

 唐突な告白に風は顔を真っ赤にする。何度も言っているはずなのにこういう新鮮な反応をしてくれるのは正直とても嬉しい。

 そんな純真な彼女のために、丹羽は自分が何ができるかを考える。

「風先輩。俺にしてほしい事って何かあります? 俺ができる範囲ならなんでもしますよ」

「え? 今なんでもって言った?」

 丹羽の言葉に椅子から身を乗り出して風が食いつく。え、そんなに?

 恋人として大抵のことはやったという自負があったが、彼女にはしてほしいことがまだあったらしい。

 ごくり、と生唾を飲んで丹羽は何を言われてもいいように覚悟する。

「えっと、じゃあ…前から興味があったんだけど。いいかな?」

 そして告げられた内容に、思わず首をかしげたのだった。

 

 

 

 それから4日間。丹羽と風は2人きりになってもキスや愛撫だけのペッティングだけで愛を確かめ合った。

 挿入は一切なし。いわゆるスローセッ〇ス、あるいはポリネシアンセッ〇スのための準備段階だった。

 これはポリネシアン地方に伝わる伝統的なセッ〇スの方法で、肉体と共に精神のつながりを強めるためのセッ〇スらしい。

 マンネリ防止に大変効果があり、精神的な充足感。通常のセッ〇スでは一瞬しか得られない快感が持続し、深いオーガズムを感じることができるという。

 いったいどこで調べてきたのか、風はこれをやりたいといってきたのだ。

 そして今日は5日目。いよいよ挿入して本番をする日だ。

「じゃあ、お姉ちゃん。行ってくるね」

「はーい。いってらっしゃい樹。東郷やみんなによろしくね」

 笑顔で妹を見送った風は妹の姿が見えなくなるや否や急いで丹羽の部屋のチャイムを押す。扉が開くと滑り込むように部屋に入り、驚いている丹羽の唇を奪った。

「はぁ♡ はぁ♡ 明吾ぉ♡ 早くっ♡ 早くお布団行こっ♡ アタシもう我慢できないっ♡ おなかの下が熱くてうずうずして、欲しい欲しいっていってるのぉ♡♡♡」

 すっかり発情状態になっている風に、丹羽はにこりと笑う。がまんしてきたのは自分も同じだったからだ。

 ポリネシアンセッ〇スの間、互いに性器へは一切触れてはいけない。

 その縛りがもどかしく、風と丹羽を狂おしいほどの快感への渇望へと駆り立てていた。

 今は無性だったころのことも思い出せないほど風に何度も絞られた下半身についたナニ。

 触れられないことに丹羽は1、2日目は特に何も感じなかったが、3日目に自覚するほど変化が起きた。

 なんと無意識だがキスをして胸をもんでいた風のふとももに下半身をこすりつけようとしていたのだ。

 風に指摘されて気付いた時自分はどうしてしまったんだろうと困惑した。こんなこと、人型のバーテックスに取り付けられて新しくできた生殖器の感覚が鋭敏だった頃以来だったのだ。

 4日目には風の膣内に挿入することだけを考えていた。何度も頭の中で風の膣内の感触を反芻し、下半身へ手を伸ばしかけ自制するということを繰り返した。

 おかしい。これは確実におかしい。

 本来性欲がないはずの自分をここまで追い込んだポリネシアンセッ〇スの効果に困惑しながらも、丹羽はこの日を迎えた。

 一方風も同じだった。ただ、風の方は2日目にはとっくに限界を迎えていたが。

 3日目、4日目は何もしていないのに濡れている秘部に困惑しながらも、キスだけで絶頂し、胸をもまれた時は腰を浮かせてしまった。幸い丹羽には気づかれなかったが。

 何気なく下腹部を触られただけなのに、そこにある子宮をはっきりと感じることができた。それほど風の感覚は鋭敏になっている。

 嵐のように激しいキスをする風を抱え、丹羽は事前に敷いておいた布団の上に風を寝かせ自分の服を脱ぐ。

 風も服を脱ごうとするが気ばかりが焦りもたついている。丹羽はシャツのボタンをはずし、ブラのホックを外すとふといたずら心を起こし風の胸の谷間に舌を這わせてみた。

「きひぃいいいん♡♡♡⁉」

 嬌声を上げ風が絶頂する。その反応に満足しながらジーパンを脱がすと、ぐっしょりとショーツは濡れていた。

 これは前戯の必要はないな、と丹羽もすでにいきり立っているペ〇スを挿入するため手を当てる。

「はぁ♡ はぁ…♡ 明吾ぉ♡ 欲しいぃ♡ ねっ♡ そこにズンってぇ♡ 明吾のチ〇ポ頂戴ぃ♡ アタシの膣内が欲しい欲しいって言ってるからぁ♡♡♡♡♡」

「ええ、俺も正直限界なので…いきます」

 腰を落とし正常位で挿入すると、「ア゛ぁあああああー♡♡♡♡♡!」と獣のような声が上がった。

「こりぇ♡♡♡ しゅごぉ♡ 今までで1番気持ちいいかもぉ♡♡♡ 挿入だけでイくなんて久しぶりぃ♡」

「ぐっ、風先輩。締め付け強すぎ…それに膣内がうねってて、何もしなくても射精しそう」

「ダメ♡ ダメダメぇ♡♡♡ 30分はピストンしないといけないんだからぁ♡♡♡ それがルールでしょぉ♡♡♡♡♡?」

 そう、風が調べた情報によると4日間性器を触らないペッティングの後5日目に挿入してゆっくりと愛を確かめ合うのがポリネシアンセッ〇スの方法だった。

 だがそんなの関係ない。この気持ちいい肉穴にペ〇スを突っ込んで無茶苦茶にしてしまいたい。

 丹羽ははやる衝動を抑え、ゆっくりと、深く奥へとペ〇スを侵入させていく。

 そのたびに風の膣内のひだ1つ1つに愛撫されているようで、いつ気をやってしまうか気が気ではない。やがて最奥にたどり着くと、深々と息を吐いた。

「つきました。風先輩」

「うん♡ うんっ♡ あ゛ぁっ♡ 子宮トントンって丹羽のペ〇スが♡ 私の奥にこんにちわしてるぅ♡♡♡ ほらぁ見てぇ♡ ここぉ♡♡♡ おなかの下のところぉ♡ ここよぉ♡ わかるぅ♡♡♡♡♡?」

 よだれを出しながらとろけた顔をする風が下腹部の子宮があるあたりを愛おしそうに撫でる。その光景だけで丹羽の意識は吹き飛んだ。

「やぁっ♡ お゛ぉおおおっ♡ み、明吾ぉおほぉおおお~♡♡♡ いぎなりそんなっひぎぃいいいい♡ 激早ピストンらめぇえええ♡♡♡♡♡ 壊れる♡♡♡ 壊れちゃうぅううう♡♡♡♡!」

 風の叫びは丹羽には届いていなかった。

 今の丹羽は自分の快感のために肉穴にペ〇スを突っ込んで気持ちよくなることしか考えられない。

 バーテックスであり性欲がなかった時があったとは信じられないほど脳内がマ〇コとぺ〇スのことで埋め尽くされた煩悩の塊となっていた。

 風を気持ち良くしたい。精神的にもっとつながりたい。

 そんな当初の目的など、押し寄せる快感の前には無力だった。

「おごぉおおおおお♡♡♡? 明吾ぉのぉおお゛ほおおおおお~♡♡♡ チ〇ポ♡♡♡ チ〇ポの形が今までと全然違ゆぅ♡♡♡ 血管の1筋1筋まで分かってぇ♡♡♡ こんなので犯されたらもう他のチ〇ポなんていらないぃいいいいいん♡♡♡♡♡!」

「他? 他ってどういうことですか? まさか高校に行ったら俺以外の男と付き合う気だったのか?」

 普段の彼らしくない粗暴な言葉遣いになっていたが、押し寄せる快感に翻弄されている風は気付かない。

「おっ♡ おっ♡ ア゛オ゛オオン♡♡♡! こんな獣みたいなセックス♡♡♡ セックスぅ♡♡♡ しゅきぃ♡♡♡ チ〇ポパンパン気持ちよくてしゅきぃ♡♡♡ らしてぇ♡♡♡ 明吾の熱い精液出してぇ♡♡♡♡♡!」

「答えろよ風! 俺以外の男とセックスする気なのかって訊いてんだよ!」

「んぇ♡? あっ♡ ああぁっ♡ ひゃあんっ♡♡♡ せっくしゅしゅきぃ♡♡♡♡ 気持ちいいのらいしゅきぃ♡♡♡♡♡♡ オチ〇ポオ〇コにハメてパンパンするのしゅきぃ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡! 明吾のバーテックスチ〇ポらいしゅきぃいいい♡♡♡!」

「ああ、そうかよ」

 丹羽は布団に寝かしていた風を抱き上げ体位を変える。

 後背位。より奥までペ〇スが挿入できる体位だ。

「じゃあお望み通り、奥まで犯してやる――よっ!」

「おごぉお゛お゛お゛お゛お゛⁉」

 突然膣の最奥を刺激され、風が一瞬白目をむく。だが丹羽が腰をゆっくりと引き、再び最奥を突くと意識を取り戻した。

「おっ♡? おっ♡? お゛ほおおおおおほおおおおお♡♡♡? いひっ♡♡♡ うへっ♡♡♡ あ゛っ♡ うあっ♡ あ゛♡ あ゛~♡」

「オラッ、どうだ風! こんな奥までついてくれるチ〇ポなんて俺くらいしかいないだろ! お前を気持ちよくさせられるのはお俺だけなんだよ!」

 この時丹羽の胸の中には今までにない感情が渦巻いていた。

 それは独占欲。高校に行けば風とは必然的に離れ離れになる。丹羽が同じ学校に通おうとしても2年間は今のように一緒にいられない。

 無意識でそのことを不安に思っていた丹羽は、風の発言が引き金となりその歪んだ感情をぶつけていた。

「あ゛~♡ あへっ♡ いひっ♡ う゛うぅ~♡ はっ♡ はっ♡ パンパン♡♡♡ もっとぉ♡♡♡♡♡♡」

「このエロ犬! 頼れる部長みたいな顔して一皮むけばチ〇ポ大好きなメス犬じゃねーか! 高校で男子生徒にオチ〇チン欲しくて服従のポーズでもするのか?」

「えひぃっ♡♡♡ いいよぉ♡ 気持ちいい♡ もっとぉ♡ もっと奥ゴリゴリパンパンしてぇ♡♡♡ チ〇ポでアタシ壊してぇ♡♡♡♡♡♡」

「上等だよ。高校に行っても俺のこと忘れられないくらい種付けしてやる! 絶対に他の男に目移りしないようにしつけてやるよ!」

 そこから先はよく憶えていない。

 風の膣内に丹羽は何度も何度も射精した。

 体位を変え、時には奉仕させ、高く昇っていた日が沈み、夕暮れとなっても。

 その間何度も「孕め!」と言ったことは憶えている。バーテックスが人間を孕ませられるわけがないのに、何度も何度も。

 これは俺のものだ。俺のメスだと宣言するように。

 ペ〇スに奉仕させている間精液があふれて床に落ちれば逆上し、何度も何度も風の膣内に精液を放った。

 そのたびに風は嬌声を上げ、壊れたようにもっともっとと求める。

 マンションの1室。そこにはただ性欲に取りつかれた2体の獣がいた。

「俺のだ! 風、お前は俺の、俺だけの女だ!」

 激しく腰を振り、鯖折しそうなほど強く抱きしめ丹羽は喉を震わし風に叫んでいる。それを目がうつろな風は半ば混濁した意識で聞いていた。

(そんなの、当たり前でしょ。アンタだって、アタシだけの男なんだから)

 伝えてあげたいが口からは「あぁ~♡」とか「おっふ♡」とかいう快感の喘ぎ声しか出ない。

 だから風は力を振り絞り、丹羽を抱き返した。私はあなたのものだと応えるように。

「好きだ! 風! 誰にも渡さない! ずっとずっと大好きだ!」

「明吾ぉ♡♡♡ らしてぇ♡ アタシのこと妊娠させてぇ♡♡♡♡♡」

 絞り出した言葉は、本音だった。

 次の瞬間風は意識を失い、目を覚ました時には夜の7時を過ぎていた。

 ぼーっとした頭で、そろそろご飯作らなくちゃと思う。それと樹が午前9時に出かけたから、あれから10時間ぶっ通しでセックスしたんだと冷静に判断した。

 身体を動かそうとしても、力が出ない。どうやら腰が抜けているらしい。

「起きました? 風先輩」

 声に顔を上げれば、そこには丹羽がいた。不慣れな様子でうどんをゆで、ザルに移している。

 というか、ここは丹羽の部屋ではなく隣の犬吠埼家だ。通りで見たことのある間取りだと思ったら、運んできてくれたらしい。

「どうぞ」

 出されたのは素うどんだった。冷蔵庫に他の具材もあったでしょうと思ったが、普段料理をしない彼がここまで作ってくれただけでも大したことだろう。

 それに、身体は栄養を欲していた。何とか椅子に座ろうとしたが布団から起き上がれない。

「明吾、食べさせて」

 風の懇願に、はいはいと年下の恋人は2つ返事で答えてくれる。

 こういうところに甘えてしまうなと自分でも思う。こんな姿、妹の樹には見せられない。

「熱いですよ? 冷ましますか?」

「いいから。あーん」

 口を開けてちゅるるるとうどんをすする。丹羽が言うほど熱くはなく、むしろゆですぎてコシがない。

 これは今度本格的に丹羽に料理を教える必要があるかもしれないなと風は決意した。香川県民なのにこのうどんのゆで方は許されない。

「その、すみませんでした。あんな乱暴なことをして」

 うどんを食べ終えた後、丹羽が頭を下げた。どういうこと? と風は首をかしげる。

「え? 普段もあんな感じだったでしょ? あんな風な言葉攻めは初めてだったけど」

「いや、そうじゃなくて…まあ、風先輩が気にしてないならいいです」

 しょんぼりとしたように言う丹羽の顔を自分の方に向けさせ、風は言う。

「風って言え。さっき散々あたしのこと名前で呼んだくせに、今更先輩づけしてんじゃないわよ」

「いや、あれは俺もどうかしてて…風先輩が高校に行って他の男と付き合う姿を想像したら、その」

 どうやら自分に嫉妬してくれたらしい。普段は丹羽に近づく女性にやきもきしていた風としては、立場が逆転したことに内心小躍りするほど喜んでいた。

「ふーう! 先輩はなし! それに心配しなくても、高校にあんた以上にいい男がいるとは思えないし、大丈夫よ」

 風の言葉に「いや、でも…」とさらに言いつのろうとする丹羽に、風は額が触れるほど顔を近づける。

「それより、アタシがいなくなったからって他の女と隠れて付き合うんじゃないわよ。ただでさえうちには東郷という爆弾がいるのに」

「いや、東郷先輩は結城先輩大好きですし心配ないでしょ。それに、俺と付き合うより人間の男と付き合う方が、風せんぱ…風にとってはいいことだし」

 ふざけたことを言う恋人に、風は頭突きをする。

「そんなの、アタシが決めることでしょ。少なくとも、アンタ以外に付き合う男は他にいないと思ってるわ。アンタ以外の男なんてさっき食べたコシのないうどん並みに魅力がない」

「なんですかそれ」という丹羽は言葉とは裏腹に嬉しそうだ。どうやら機嫌が直ったらしい。

「風せんぱ…風、ポリネシアンセッ〇スは気持ち良すぎて危険だから封印しましょう。風だって何回も気絶してたし、部屋もすごいことになるし」

「そういえばいつの間にアタシの家に連れてきたのよ。間取り同じなら、アンタの部屋のままでも」

 風の言葉に「いや、部屋がどうとかいうレベルじゃないんですよ、もう」と丹羽は暗い顔で言った。

 いったい自分は何をしたんだろう。記憶がないが相当汚したんだろうか?

「えっと、後で掃除手伝おっか?」

「お願いします。今は部屋の空気を入れ替えるために窓とか全部開けて換気中なので。もうファブ〇ーズじゃ間に合わなくて」

 おいおい、何したんだアタシと風は改めて半分も記憶がない意識が飛ぶほどの激しい情事が残した爪痕に恐れおののく。

「図々しいお願いなんですけど、今日はこっちで寝ていいですか? 明日部屋の掃除をするので」

「そうね。アタシも責任の一端があるし手伝うわ。それと…」

 風は冷蔵庫を開けて目的のものを丹羽に取ってくるように言い、持って来たものを改めて丹羽に渡す。

「ハッピーバレンタイン! 本当は日にちが変わった時に1番に渡したかったんだけど、お互い消耗しすぎて夜中まで起きてられないかもしれないから今渡すわね」

「ありがとうございます」

 丁寧に包装された紙を解き、丹羽が取り出したのは手作りのトリュフチョコだった。

「おいしそうですね。風も一緒に食べませんか?」

「名前も呼べたんだからもう敬語なしでいいのに。まあ、運動の直後で甘いものが食べたいし、半分もらうわ」

 あーんと口を開ける風に、丹羽は3つあるトリュフチョコの1つを放り込む。すると風に手招きされ、なんだろうと思いながら近づくと唇を奪われた。

「んむっ⁉」

 カカオの香りと濃厚なチョコレートの甘みが口の中に広がる。どうやら口移しでチョコを食べさせてもらえるらしい。

「んんっ♡ じゅるぅ♡ じゅずずずぅ♡ じゅっ♡ んふん♡」

 してやったりという顔の風がチョコを咀嚼しながら舌を絡めてくる。

 それに応えるように丹羽も風と舌を絡め合い、チョコの味がしなくなるまで濃厚なキスは続いた。

「ハァ♡ ハァ♡ ハァ♡ ハァ♡ ハァ♡」

 荒い息。互いに発情しているのが上気した顔からうかがえる。

「ねえ、明吾。知ってる? チョコレートってさ、昔、媚薬として使われたんだって」

 風の言葉に誘われるように丹羽は残っていたトリュフチョコをもう1つ口にくわえ、風に口づけをした。

 

 

 

 その後、結局次の日も丸1日エッチして丹羽の部屋の掃除は行われずじまいとなる。

 結果風の部屋も汚してしまい樹の部屋で2人は寝たのだが、帰って来た樹ちゃんに即バレして大目玉を食らいましたとさ。




 ポリネシアンセッ〇スってなに? という人は検索してね。
 いわゆるオ〇禁ならぬセッ〇ス禁しながらペッティングだけはするセッ〇スだよ。
 本当に効果があるのかどうか、信じるか信じないかはあなた次第です。
 ていうか二次エロなんて空想なんだからエロけりゃいいんです。
 ぶっちゃけチョコキスの口移しからのセッ〇ス再開が書きたかっただけなの。
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