とある冬の月曜の朝、玄関に立っていたのは受験のために上京してきた義理の妹だった。

月曜日のたわわ その261「おしかけ上京義妹」、その262「一年前の事件」を基にした二次創作です。
今作も個人の性癖全開でお届けします。

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義妹、襲来!《前編》

 月曜日の朝はなんとなく憂鬱だ。

 とはいえ後期試験も終わり、後は春休みが始まるのを待つだけというこの時期は、講義も少なくなるので普段よりはかなりマシではある。

「さみ・・・・・・」

 東京の冬は寒い。

 学生向けの1Kで、節約のためにと寝るときはエアコンを切っているからなおさらだ。分厚い断熱材と強力な暖房設備に守られた北海道の実家が懐かしい。

(まあ、懐かしいのはそれだけじゃないんだけどな・・・・・・)

 布団をたくし上げ、再びベッドに潜り込もうとすると、不意に枕元のスマホが着信を知らせた。

「・・・・・・え?」

 プレビューに表示されたメッセージを見て、思わず間抜けな声を上げてしまう。

『お兄ちゃんと 同じ大学受けるから しばらく泊めてね』

 ベッドから半身を起こし、念のためアプリを開いて確認してみるが、やっぱり同じメッセージが妹のトーク画面に表示されていた。

(いやいやいや、どういうことだよ?全然聞いてないし!)

 全く状況が飲み込めない。混乱する頭でとりあえず妹にいつから来るのかも含めて返信するとすぐに返事が来た。

『着いた』

「え?」

 思わず口をついて出た言葉をそのまま返信する。てゆーか着いた?

 って、どこに?羽田?東京駅?

 既読の付かないスマホの画面を凝視しながら大量の「?」を生産していると、

 

 ぴんぽーん

 

 と、玄関のチャイムが鳴った。

 ゆっくりと玄関の方へと首を巡らせ、右手の中のスマホの画面と見比べる。

(いや、まさかな)

 そんなことを考えていると再びチャイムが鳴った。

 なんにせよ、チャイムの主がこの部屋の住人に用があるのは間違いないようなので、俺は寝間着代わりのスウェット姿のまま、のそのそとベッドから起き出した。

「はぁ~・・・・・・いぃ!?」

 しかして、ドアを開けたそこには高校の制服姿でスーツケースを従えた妹が立っていた。

「おはよう、お兄ちゃん」

 驚いている俺の反応を楽しんでいるかのように、小さく微笑みを浮かべて手を振っている。

「お、おう。おはよう・・・・・・じゃなくて!え!?なんで?」

「さっき送ったとおりだよ。お兄ちゃんとおんなじ大学受けるんだもん」

 当然でしょ?と言うように小さく首を傾げて見上げてきた。

「ここだと大学も近いし、ホテル代も節約出るしね・・・・・・ってお母さんも言ってたよ」

 そして人差し指を頬に当てると、わざとらしく『今思い出した』みたいな表情をして

「でも、お父さんはちょっと心配してたかな。なんでだろうね?」

 ふふっと悪戯っぽい笑顔を浮かべてきた。

「お前な・・・・・・」

 と、口を開きかけたところで手の中のスマホが再び着信を知らせた。

 今度は親父だ。

『義理とはいえ妹だからな?わかってるよな・・・・・・?』

 狙ったようなタイミングで、画面に表示されたメッセージを見て俺は心の中でため息をついた。

(分かってるから東京の大学にしたんだっつうの)

 胸の内で心配性の親父に毒づきながらこれからのことを考える。

 確か大学から通知された入試日は木曜日と金曜日の二日間だったはずだ。少なくとも入試が終わるまではこいつと二人きりでの生活をしなければならないということになる。

「まあいいや。とりあえず中に入れよ」

 言いながら妹のスーツケースに手を伸ばした。

「うん、よろしくね。お兄ちゃん」

 その屈託のない笑顔にとくんと胸が鳴る。同時に1年前の『事件』が頭によぎった。

 

―――・・・・・・いいよ。お兄ちゃん。

 

 あのときの、はっきりとした意志を込めた妹の声が頭の中で再生された。

 

 

 俺と妹は兄妹だが血の繋がった兄妹ではない。再婚した親父たち、俺は親父の、妹は今の母さんの、それぞれが連れ子だった。

 初めて合ったのは親父たちがまだ結婚する前、顔合わせのような感じで食事会をしたときだった。そのときの印象は『何を考えているかよく分からない子』だ。感情があまり表に出ず、何を話しかけても返ってくるのは短い返事だけで、正直俺は苦手意識を持っていた。

 だから親父たちの結婚が決まったときに、今の母さんから「この子もあなたのことすごく気に入ってるみたいだからよろしくね。お兄ちゃん」と言われて、思わず疑ってしまったほどだった。

 だが、一緒に生活を始めてみると、すぐに母さんの言っていたことが本当だったと気づくことになる。

 どこに行くにも、何をするにも「お兄ちゃん」と言って付いて来た。そして、感情が出ないと思っていた妹の表情も、変化が少ないだけで本当は実に豊かだということも分かってきた。特に時折見せる笑顔は本当に可憐で可愛らしく、いつしか俺もその笑顔が見たくて血の繋がらない妹を本当の妹のように可愛がるようになっていった。

 そんな二人の関係は、俺たちが成長しても変わることはなく・・・・・・と言いたいところだが、現実はそう簡単にはいかなかった。

 中学に進級したあたりから妹は加速度的に変化していった。子供としての可愛らしさから、女性としての可愛らしさへ、身体のラインも見る間に女性らしくなり、兄としての立場を差し引いても、十分すぎるほど魅力的な女の子へと変化していったのだった。

 それを表すように、妹の成長につれて同級生や先輩から「お前の妹を紹介して欲しい」という相談を持ちかけられることが多くなった。俺はそのたびに冗談めかしてやんわりと断っていたのだが、いつの頃からか胸の内にもやもやとした不快感と不安を感じるようになっていた。

 そして、俺が高一になった年、妹に対する見方が決定的に変わってしまうきっかけとなる出来事が起きた。

 それは女兄妹を持つ家庭ではよく起きるに違いない、日常の何気ない事故だった。妹が風呂から上がってきたタイミングで、うっかり脱衣所のドアを開けてしまったのだ。

 ほっそりとした首筋に張り付いた少し癖のある栗毛、湯上がりでほんのりと色づいたシミ一つない白い身体、同年代の子達よりは明らかに豊かであろう乳房とその頂の桜色の乳首、幼さを残しつつも艶やかな曲線を描く腰のライン、そして少女から女性への変化を象徴するように、ふっくらと盛り上がった恥丘の上に茂る陰毛。

 不意の出来事に固まってしまった俺とは裏腹に、妹は「あ、お兄ちゃん」と、いつもと変わらない様子で俺を見た。その声で硬直が解けた俺は慌てて脱衣所のドアを閉めたが、脳裏に焼き付いた妹の裸身を消し去ることはできなかった。

 

 そして、その夜俺は初めて妹の裸身を思い浮かべながら自慰をした。

 

 その日を境に、俺は妹のことを『妹』として見ることができなくなった。いや、これまでも妹に対して抱いていた感情を、自分に対して誤魔化せなくなったと言った方が正しいだろう。

 表面上はいつもと変わらない素振りを取りつつも、無意識のうちに妹を目で追っていることが多くなった。

 これまでは気恥ずかしさしか感じていなかった無邪気な妹のスキンシップにも、触れ合った肌から伝わる体温や、抱きついてきたときに感じる乳房の柔らかさを意識するようになっていった。

 妹に対する想いが大きくなるにつれて、このままでは妹に対して間違いを犯してしまうのではないかという気持ちも強くなる。

 もしそんなことになってしまったら、親父や母さんを裏切ることになってしまう。なにより、本当の兄のように全幅の信頼を寄せてくれている妹を傷つけることとなってしまうだろう。それだけは絶対に避けなければならないことだった。

 だから、そうなる前にと妹から離れるために、俺は東京の大学へと進学を決めた。

 ともすれば顔を出しそうになる妹への想いを抑えつけながら高校の3年間を過ごした俺は、なんとか東京の志望校への合格も果たし、無事に卒業を迎えることができた。

 そして、東京への引っ越しを翌日に控えた、実家で過ごす最後の夜にそれは起きた。

 

「よしっ・・・・・・と、大体こんなモンかぁ?」

 雑然と段ボールが積み上げられた部屋を見渡しながら、腰に手を当て身体を反らせる。久しぶりに力仕事を強いられた、受験勉強でなまりきった身体がみしみしときしみを上げた。

 まだ少し部屋は散らかっていて、段ボールもいくつか口が開いてはいるが、明日の荷出しには間に合うだろう。

 昨日までは、全く片付いていなかった部屋の惨状に徹夜も覚悟していたのが嘘のようだった。

「ありがとな、お前のおかげで助かったよ」

 俺の窮状を救ってくれた一番の立役者に声を掛ける。

「うん」

 封をした荷物にマジックで中身を書いていた妹が短い返事をした。

 本当は一人で済ますつもりだったのだが、俺のあまりの手際の悪さを見かねた母さんが助っ人として寄越してくれたのだ。

「お兄ちゃん」

「ん?」

 振り向くと、妹は俺が最後まで机に残していた写真立てを手に取っていた。

「明日には、もう行っちゃうんだよね」

 俺たちが家族になった記念にと、写真館で撮ってもらった家族写真を見つめている。

「・・・・・・ああ」

「お兄ちゃんは、寂しくないの?」

 手の中の写真を見つめる妹の横顔からは、表情を読むことができない。

 ただ、俺はその一言で、これまで一緒に過ごしてきた妹と離れるという現実を突きつけられた気がした。

 本音を言えば離れたくはない。俺はこいつのことが好きなのだから。でも、それを口に出すわけにはいかなかった。

「私は、寂しいよ」

「・・・・・・え?」

 ぽつりと囁くように紡がれた妹の言葉に顔を上げる。しかし、相変わらず妹の横顔からは感情が読めない。

 そのときだった。妹の後ろに積み上げられた段ボールがぐらりと揺れた。

「危ない!」

「えっ?」

 妹を守ろうと反射的に身体が動いた。妹に襲い掛かろうとする段ボールを右手で押しのけながら、左手で妹の手を掴んで引き寄せる。

「きゃっ」

 ばさばさと段ボールの中身がこぼれる音と妹の小さな悲鳴が重なった。同時に俺たちもバランスを崩し、二人して床の上に倒れ込んだ。

「っと、大丈・・・・・・」

 言葉が途切れる。

 目の前に妹の顔があった。倒れながらも妹を守ろうとしたことが、結果的に妹を押し倒すような形になっていた。

 引き寄せた左手に妹の指が絡み、じんわりと体温が伝わってくる。

 おそらくアルバムか何かの中身だったのだろう、俺たちの周りには家族になってからの二人の写真が散らばっていた。

 これまでの妹との思い出が走馬燈のように蘇えり、胸がぎゅっと締め付けられる。離れたくないという想いが、無意識のうちに妹の体温を伝える指先に力を入れさせた。

 

「・・・・・・いいよ、お兄ちゃん」

 

 妹が紡いだその言葉を、俺は最初理解することができなかった。

 俺の姿を映す瞳がゆっくりと閉じ、わずかに顎が持ち上がる。どくんと心臓が高鳴り、ふっくらとした桜色の唇に吸い寄せられるように顔を近づけていった。

 妹の顔が間近に迫り、俺も瞼を閉じた。温もりの気配が感じられ、あと数センチで唇が重なろうとする、そのときだった。

「今、すごい音したけど大丈夫~?」

 荷物が崩れ落ちる音を聞きつけた母さんが、階下から声を上げた。

 その声に慌てて妹から体を離し、「大丈夫だから!」と入り口に向かって声を張り上げる。

「だ、大丈夫だったか?」

 心の動揺を隠しきれない、上擦った声しか掛けられなかった。

 身体を起こした妹が顔を伏せたまま「・・・・・・うん」と小さく返事をする。

「わたし、もう部屋に戻るね・・・・・・」

 顔を伏せ、表情を見せないままゆっくりと立ち上がった妹が、背中を向けた。

「あ、ああ。ありがとな」

 部屋を出て行こうとする小さな背中が、どこか寂しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 部屋を出ようとしたとき、背中を向けたまま一瞬だけ歩みを止めるが、結局振り返ることなく静かにドアは閉じられた。

 

 

「思ってたよりきれいにしてるんだね」

 物珍しそうに、部屋の中を見回す妹の後ろ頭でおさげが揺れている。

「まあな」

「彼女さんがしてくれてるの?」

 背中を向けたまま、何気ない雰囲気で聞いてきたが、その声は心なしか緊張を纏っているような気がした。

「いないよ、そんなの」

「ずっと?」

「ずっと」

 食い下がってくる妹に、少しだけムッとした声で答える。一応、いい雰囲気になりかけた子はいたのだが、なんとなくもう一歩踏み込むことができないままうやむやになってしまった。まあ、その理由は明確ではあるのだが。

「ふうん。お兄ちゃん、彼女いないんだ」

 ふっと妹が纏っていた空気が和らいだのが感じられた。

「悪いかよ」

「ううん」

 振り向いた顔には笑顔が浮かんでいた。

「ね、お兄ちゃん、今日って何かある?」

「いや、特に何もないけど」

「じゃあ、お兄ちゃんの大学を案内してよ。試験のとき迷ったら困るし、どんな雰囲気かも見ておきたいから」

 後ろ手に組んで前屈みになりながら、妹がぐいっと見上げるように顔を寄せてくる。

「まあ、別にいいけど・・・・・・」

 屈託なく距離を詰めてくる妹から、ふわりと甘い香りが鼻腔をくすぐった。その距離感と甘い香りに、内心どぎまぎしながらも何気ないふりを装って返事をするのにはかなりの精神力が必要だった。

「じゃあ決まりね」

 言うが早いか、ぱかっとスーツケースを開けると、中から私服を取り出してベッドに放る。

「えっ、今から?」

「うん。だって、早い方がいいでしょ」

 戸惑う俺に「当然でしょ」という表情で振り向きながら、制服のリボンを外す。そして、おもむろにセーラーのジッパーを引き上げると、何のためらいも見せずに上着を脱ぎ去った。

 制服の下から現れた、白地のキャミソールに包まれた乳房がぷるんと揺れる。

「お、おい!」

「なに?」

 慌てて声をかける俺とは裏腹に、普段の表情のままの妹が不思議そうに俺を見る。てゆうか、すでにスカートのホックを外し、ファスナーを引き下ろそうとしていた。

「『なに?』じゃねーよ!ここで着替えんのかよ!?」

「どうして?」

 言ってる間にもファスナーが下ろされ、ぱさりと落ちたスカートが妹の足下に花を開く。

「どうしてって、恥ずかしくないのかよ!」

 純白のショーツに覆われた、柔らかな曲線を描く下半身から目を逸らしながら俺は叫んだ。

「?、だって兄妹じゃない」

 当たり前のように返してくる妹に拍子抜けしてしまう。なんだか俺だけが一人で舞い上がっているのがバカらしく思えてきた。

「はあ・・・・・・。もういいからさっさと着替えろ。俺も支度するから」

「うん」

 俺はため息をつきながら妹に背中を向けた。これからしばらくの間、こんな風に無邪気に無防備な姿を晒され続けられたとき、俺は理性を保っていられるのだろうか。背中から聞こえる衣擦れの音を聞きながら、もう一度小さくため息をついた。

 

 それから午前中いっぱいを使ってキャンパス内を案内した後、近くのファストフードで昼食を取った俺たちは、近所を散策してアパートに戻ってきた。

「ところでさあ、お前・・・・・・勉強はいいのか?」

 タートルネックのセーターにジーンズという、ラフな格好で台所に立つ妹の背中に声を掛けた。

 ついでに晩飯も外食で済ませようとした俺に「節約しなきゃ」と窘められた。なので、帰りにスーパーで食材を買って、妹が夕食を作ってくれることになったのだ。

 その提案は大変ありがたいのだが、受験で上京してきている手前、妹の手を煩わせるのは気が引ける。

「ん~、大丈夫だと思うよ。模試はずっとA判定だし、対策もちゃんとやってるから」

 リズミカルに包丁の音を響かせながら、俺の方をちらりと見た。

「お兄ちゃんと違ってね♪」

 そう言って「ふふっ」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「・・・・・・クッ」

 実際、直前まで慌ただしく詰め込みをやっていた俺には返す言葉がない。

(でも・・・・・・)

 どうしてそこまでできるのにわざわざ俺と同じ大学にしたのだろう。国公立大の滑り止めになることが多いとはいえ、決して偏差値が低いわけでもない。ウチの大学が余裕だというのなら、国公立だって狙えたはずだ。

(もしかして、俺を追いかけて・・・・・・)

 一年前、「いいよ」と言った妹の声が再び頭の中で再生された。

「なに?」

 俺の視線に気付いた妹が首を傾げる。

「いや、成績良いのに何で一緒の大学にしたのかなってさ」

「えっ?」

 一瞬だけ妹の表情が驚いたものに変わったが、すぐに元の表情に戻る。

「だって、おんなじ大学だったら下宿が一つで済むし、家電も一つでいいし、わたしが料理すれば食費も節約できるよ」

 妄想してたものよりも、ずっと現実的な理由だった・・・・・・って

「ええっ!?」

「そんなに驚くこと?」

 ざあっとカットした野菜を鍋に移しながら、「なに言ってんの?」みたいな表情で俺を見る。

「ちょっと待て、合格したら一緒に住む気なのか!?」

「そのつもりだけど、なにか問題ある?」

 それが当然だと言わんばかりの妹の表情に困惑する。

(いくら兄妹だからといっても、血は繋がっていないのに同棲とか・・・・・・、いや、兄妹の場合は、そもそも同棲というのか・・・・・・、いやいや・・・・・・)

 すっかり混乱してしまっている俺の姿を、妹はなぜかにこにこと機嫌良さそうに眺めていた。

 

「どういうことだよ、母さん!」

 結局、あの話の後、混乱から立ち直ることができなかった俺は、妹の作ってくれたカレーの味もよく分からないまま夕食を終え、ことの説明を求めるために義母に電話をしていた。ちなみに妹は食器の片付けを終え、今はシャワーを浴びている。

『何が?』

 スマホのスピーカーの向こうから、義母ののんびりとした声が返ってくる。

「いや、『何が?』じゃなくて!あいつ大学に合格したら一緒に住むとか言ってんだけど」

『あら、お兄ちゃんには言ってなかったかしら?』

「言ってない!てゆーか、同じ大学受けるってのも今日知ったんだけど」

 電話の向こうで、義母が「あら、そうなの?」とか言っている。この人は昔からこんな感じだ。妹もきっとこの人の血を色濃く受け継いでいるに違いない。

『じゃあ、そういうことだからよろしくね♪』

「何が『じゃあ』なのかさっぱり分かんないって」

『何か問題あるの?』

 あいつと全く同じ返事が返ってきた。

「いくら兄妹だからって、この歳で一緒に住むとか・・・・・・」

 なんとなく具体的に言葉にするのがはばかられて、最後の方は尻すぼみになってしまった。

『大丈夫よ、あなたたちならね』

「それって・・・・・・どういうこと?」

『さあ?』

 笑みを含んだ、意味深な空気を纏った答えが返ってくる。もしかして、この人は俺の妹に対する気持ちを知っているのだろうか?でも、知っていたとしてら、同じ屋根の下に自分の娘を送り込むなんてことするだろうか・・・・・・

 疑問が疑問を呼び、頭の中でぐるぐる回る。そんなときだった、

「お兄ちゃ~ん!」

 風呂場の方から妹の呼ぶ声が聞こえてきた。

『あら、あの子が呼んでるみたいね。じゃ、あの子のことよろしくね。お兄ちゃん♪』

 そう言い残して、通話が一方的に切られてしまった。結局なんだったんだと通話終了の画面をながめていると、再び妹の呼ぶ声が聞こえた。

「どうし・・・・・・」

 脱衣所の引き戸を開けた瞬間、言葉につまる。

 ユニットバスの折り戸から、妹が顔だけをのぞかせていた。本人としては体を隠しているつもりなのかもしれないが、折り戸の磨り硝子にほとんど密着してしまっているため、身体のラインのみならず、ピンク色の乳輪や陰毛の陰りまではっきりと透けてしまっていた。

「お兄ちゃん?」

 固まってしまった俺は、怪訝そうな妹の声を聞いて我に返った。

「あ、ああ。どうしたんだ?」

 できるだけ視線を下に向けないように意識しながら聞き返す。

「ごめん。カバンの中のポーチにシャンプーとリンスが入ってるから取ってきてくれない?」

「あ、ああ」

 高鳴る胸の鼓動を抑えながらリビングに戻り、妹のスーツケースを開く。すぐに目的のものが見つかり脱衣所へと取って返した。

「ここ、置いとくぞ」

 シャワーの音が聞こえるユニットバスの方向をできるだけ見ないようにしながら、折り戸の前にシャンプーとリンスのボトルを置こうと身を屈めたときだった。

「いいよ、そのままちょうだい」

 おもむろに折り戸が開き、湯気とともに妹の裸身が現れた。

「っ!?」

 反射的に声のした方へ首を向けてしまった。身を屈めていたせいもあり、ちょうど目の前に妹の下腹部がくる格好になる。こんもりと扇情的な曲線を描く恥丘の上には、幅5センチほどの陰毛が生い茂り、お湯の雫を滴らせていた。

「あ」

 俺の姿を認めた妹が小さく声を上げた。俺は油の切れたロボットのような動きで、ボトルを持った右手を妹の方へと伸ばす。

「ありがと、お兄ちゃん」

 妹も身を屈めて手を伸ばす。桜色の乳首を頂に乗せた乳房がたゆんと揺れる。

 俺の手からボトルを取ると、ぱたんと折り戸が閉じられた。

 

 リビングに戻っても、妹の裸身が脳裏にこびりついて離れない。どころか高一の時に見た妹の裸身と比べている自分がいた。あのころと比べて、乳房はさらに成長していて、陰毛も濃くなっていた。身体のラインも、より女性らしさを増している。

 だめだと思っていても、自然と血流が下半身に集まってくるのを止められない。

「お兄ちゃん、上がったよ」

 いつの間にかシャワーを終えた妹に声を掛けられて我に返る。「早かったな」などと平静を装って返事をするが、心臓は早鐘のように鼓動を刻んでいた。

 俺は股間の膨らみを悟られないように注意しながら着替えを取ると、逃げるように脱衣所へと滑り込んだ。

「ああ・・・・・・」

 脱衣所もまた、妹の残り香で満たされていた。普段とは違う甘い香りに理性が揺さぶられ、我慢する必要のなくなったペニスが硬度を増す。

(とりあえず、早くヌイてしまおう)

 そんなことを考えながら、脱いだ上着を脱衣かごに放ろうとしたところで、先に入れられていた妹の衣服が目に入る。

 ごくり、と喉が鳴った。一番上には、さっきまで着ていたタートルネックの白いセーターが無造作に置かれていた。

 震える指先でセーターの裾をつまみ、そっと持ち上げると、控えめに花柄の刺繍が入ったナイロン地の白いブラジャーと揃いのショーツが現れた。

(これが、あいつの・・・・・・)

 喉がからからに乾き、手のひらにじんわりと汗がにじむ。

 朝に目にした、艶めかしい曲線を描く妹の下半身を包んでいた布が目の前にある。

 息を潜めてリビングの気配を窺うと、微かなテレビの音とドライヤーの音が聞こえている。

 俺は激しい心臓の鼓動を感じながら、妹の下半身を覆っていたとは思えないほどに小さく縮こまったショーツを手に取った。その生地はふわっとして柔らかく、まだ微かに妹の温もりが残っているような気さえした。

 ゆっくりと顔を近づけ、鼻をスンと鳴らす。脱衣所を満たすシャンプーの香りとは異なる、女の子特有のものだろうか、甘ったるい芳香が鼻腔を満たし、続いて微かな刺激臭が鼻をついた。

 外の気配を気にしながらゆっくりとショーツを裏返す。

(う・・・・・・わ)

 クロッチを露わにさせた瞬間、心の中で感嘆のため息をこぼした。

 二重になった白い裏地には、性器の形がくっきりと刻印されていた。中央に走る、笹の葉を引き延ばしたような薄い黄色の縦筋、その中央よりやや後ろ側には何か粘液質のものが染み出したような汚れが乾ききらずに残っている。

 そして、その汚れから立ち昇る香り。妹の甘い体臭に混じる、つんと嗅覚を刺激するアンモニア臭と汗の匂い、微かな獣臭におりものの匂いだろうか、やや酸味を帯びた生臭い匂いが混然となって脳髄を刺激する。

 決して香気と呼べるものではないが、あの可憐な妹の中から溢れた臭いだと思うと、いつまでも嗅いでいたかった。

 妹の性器の奥はもっと濃厚な匂いを放っているのだろうか。想像しただけでトランクスの下で勃起したペニスがびくんと震えた。

 俺はいそいそと全裸になると、妹の服の上に脱いだ服を重ねて置いた。これでもし妹が途中で入ってきても、簡単には下着を持ち去ったことが発覚することはないだろう。

 我ながら姑息な発想に自己嫌悪を覚えながらも、欲望に打ち勝つことはできなかった。

 妹のショーツを握りしめたまま、ユニットバスの扉を閉めるとシャワーヘッドを壁に向け、濡れないようにするとハンドルをひねる。

 蒸気と水音がバスルームを満たし、これから行おうとする行為のカモフラージュの役目を果たす。

(ああ・・・・・・この匂い)

 再びクロッチの汚れに鼻先を当てて息を吸い込むと、様々な分泌物が混ざり合った妹の恥臭が鼻腔を満たす。俺は腹にくっつきそうなほどに反り返ったペニスに右手を添えると、ゆっくりとしごき始めていった。

 舌を伸ばしてクロッチを舐めあげると、まるで妹の性器をねぶっているような錯覚に陥る。唾液で溶かされた妹の分泌物が、さらに生々しい匂いを放ち俺の官能を高めてゆく。

「はあ・・・・・・あっ、くっ・・・・・・うう」 

 普段の、ネットの動画や画像でのオナニーと違い、想いを寄せる妹の下着があるだけで何倍もの興奮が押し寄せる。

 舌先でクロッチの汚れをこそげ落とすと、塩気と酸味の混じり合った複雑な味が口中に広がり、その刺激がペニスの付け根へと精子を集めていく。

(やっ・・・・・・、お兄ちゃん・・・・・・だめ、だめぇ・・・・・・)

 妄想の中で、妹が羞恥に身体を染めながらも大きく脚を広げ、うっすらと開いた性器からとろとろと愛液を溢れさせて快感に打ち震えている。

 決して現実になることのない妄想に興奮がピークを迎え、下腹部の奥から抑えようもない快感が駆け上がってきた。

「ウウッ・・・・・・くぅ、ああっ!!」

 次の瞬間、ググッと亀頭が一際膨張し、ぱくりと口を開いた鈴口からとてつもない快感とともに勢いよく白濁とした精液が吐き出された。

 




「義妹ちゃんとお兄ちゃん~義妹、襲来!《前編》~」を読んでいただきありがとうございました。浅倉椎です。

ようやく月曜日のたわわに戻ってきたらと思ったら、またもや別キャラで書くというね・・・・・・
毎度のことですが、基本本能に忠実ですので、もうしょうがないと思ってあきらめてください。

ということで、今回は義妹ちゃんとお兄ちゃんのお話です。
本作では連れ子同士ということで、二人の関係性みたいなものをちょっと深堀りして書いてみました。
おかげで字数を食ってしまい、このままエッチまで書こうとしたらかなり字数が嵩んでしまうと思ったので、前後編の体をとっております。
続きはできるだけ早くお届けしたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ではでは

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