※この作品はR-18です。

異世界ヒロインが召喚される世界で好き勝手する話   作:もう万体

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第九十九話(アニスフィア)

 ノワールに来てから五日。

 ティアナは何かと忙しく働いているが、政治的には役割が振られていないアニスはさほどすることがなく、マーリンやシオンといった技術系の魔術師たちを交流を深めてノワールの魔法技術の状況を確認するに留まっている。

 前線に支給されるマジックアイテムの生産ラインの視察は、アニスが最も楽しめたイベントだった。

 統一規格のマジックアイテムを工場で生産し、前線に支給するという試みは始まったばかりだが、概ね好評だ。

 西洋魔法をベースにしたマジックアイテムの量産化は、魔法力の弱いノワールの騎士団を下支えする産業になるだろう。

 ノワールの生活は悪くない。食べ物は美味しいし、魔術談義ができるヒロインも少なくない。アニス自身に求められていることが少ないので、ティアナには悪いが旅行気分になりつつある。

 そんなアニスだが、困っていることが一つある。

 

「う……また……」

 

 胸の疼き。

 乳首の先から母乳が滲むのだ。

 カードモンスターに囚われ身体を弄られた後遺症が残っていて、母乳が出る体質のままになっている。

 二、三日に一度は胸から母乳を搾る必要があった。

 いつになったらこの体質は戻ってくれるのか。

 カード効果によって身体を弄られた人間のデータは、あまりに少なく分からないことが多いようだ。ノワールに来たら何か分かるかと思ったが、ノワールはカードモンスターそのものの記録が少ない地域のようだ。

 

「ふう……ふう……また、搾らないと」

 

 スイッチが入る。

 乳首を擦る感覚が甘くアニスの意識を縛り付ける。

 アニスはふらつく足取りで部屋を出た。

 消灯後の廊下は薄暗い。ランプの明かりが抑えられているからだ。三分の一程度の照度になっているだろう。静かな廊下を歩いていって、階段を下る。辿り着いたのは地下一階の一室だ。魔術結界が張ってあるが、アニスはすでに味方と認識されているので問題はない。

 

「やあ、アニス。その様子だと、今日もかい?」

 

 白い髪の美女。紅い瞳を爛々と輝かせたマーリンがそこにいた。ここはマーリンの私室であり、工房だ。アニスは夜な夜なこの部屋に通い、母乳を搾りながら体質の検査を行っている。

 

「昨日もずいぶんと搾ったと思うけど、だいたい二十四時間もすれば元通りか」

「昼間はまだ何とかなるんだけど」

「テープの効果もいつまでも続くわけじゃないからね」

 

 アニスは、上半身裸になった。

 染み一つ無い肌はきめ細かく、瑞々しい。色白で透明感がありとても美しかった。それに、アニスは魔法こそ使えないものの膨大な魔力を秘めている逸材だ。

 アニスに乳首にはテープが貼ってある。

 敵に改造されたアニスの体質を元に戻す術は今のところ見つかっていない。いや、強いて言えば同じカードを使えば戻せるだろう。ノワールにそれがない以上は、対症療法で抑えていくしかないのが現状だ。相談を受けてマーリンが作成した即席のテープは、一時的に症状を緩和することはできるが長続きしない。張った胸は搾らなければならないし、テープのその都度張り直しだ。

 

「じゃ、今日も始めようか」

 

 椅子に腰掛けたアニスの胸にマーリンは小さなガラス瓶を装着する。ガラス瓶は乳房に吸い付くと、内部を真空状態にしてぎゅっと乳房を搾り始める。

 

「はう……う……んん」

 

 アニスが身じろぎする。乳房が搾られる痛みはなく、恥ずかしながら気持ちがイイ。固く尖った乳首から母乳が溢れて、ガラス瓶に溜っていく。

 

「はあ、ん、ふう……ふう……うう……う……これ、いつもながら、むずむずしてヤバい」

「仕方ないだろう。調べた感じ、君の乳首は性感帯としてもなかなかの感度になってしまっているからね。性的に興奮させて魔力を効率的に吸収するためなんだろう」

「そんなこと、淡々と言わなくていい、ふ、う……ぅあ」

 

 こんなはしたない格好を許すほど、アニスはマーリンと打ち解けた。

 身体のことを相談したのは、マーリンが宮廷魔術師だからだ。この国で最も優れた魔術師といってもいい。そのため、それとなく身体の事情を相談したが、あの手この手で言いくるめられてこの実験件検査に付き合うことになってしまった。

 

(わたしも馬鹿だった、ちょっと興味あったのは事実だけど)

 

 人間離れした美女に母乳を搾られるという常軌を逸した状況に、興奮している自分がいる。手で揉まれるわけでなく、機械で事務的に処理されているということに不思議と背筋が震えるのだ。

 乳首の感度が上がっていることも一因ではあるのだろう。

 マーリン曰く、アニスの乳首は時にクリトリス並の感度になるらしい。

 

「ふ、うぅうううう♡」

 

 歯を食いしばって快感に耐える。

 搾乳機がいっぱいになるまでそう時間は掛からない。あっという間に満杯になった搾乳機をマーリンが取り外して、二つ目を装着する。

 

「あ、ん……ふあ、あ……ううう」

「アニス、君、おっぱいの出がすごくいいね」

「そんなこと言われても、自分じゃどうにもできない……あん……ん……これ、ほんとどうにかならない?」

「うーん、どうにかねえ。君のそれはもう体質だからね。胸が張らなくなる程度まで搾っておくしかないかな」

「そんなぁ」

「まあ、ボクにとってもいい研究素材が提供されるわけだから、このままでも悪くないけどね」

「いいわけないでしょ、ぉ……う……くぅうう」

「ほら、変に動くから搾乳機がずれちゃったじゃないか」

「待って、待って、早く直して、き、キツい、強いって、んく、ふう、あ、あ、ヤバ……ぁ、あ」

「はい、戻すよ」

 

 マーリンがずれて吸い付いた搾乳機を捻って元の位置に戻した。

 

「ひぃん、んんんんんんんん♡」

 

 アニスは、その刺激で絶頂させられてしまった。

 搾乳はその後も続き、実に六つの搾乳機を使うことになってしまった。

 ひたすら乳首を吸われ続け、母乳を搾られたアニスは疲労困憊だ。ぜえぜえと息も絶え絶えになりながら、乳房を拭いて上着を着た。

 

「酷い目に遭った」

「胸の張りは治っただろう」

「確かにそうだけど、はあ……また何日かしたら同じことの繰り返しかぁ」

 

 気のせいか前回よりも今回の方が母乳が多いような気がする。アニスの胸も普段の膨らみが分からないが少し成長したような。

 

「ボクとしてはいつでもウェルカムだよ」

「……まあ、手を尽くしてくれているのはありがたいけど」

 

 アニスはマーリンからすれば他国の人間でしかない。

 そこまで時間をかけて体質改善に付き合う理由はない。

 同盟国の使節の一員という意味では重要だし政治的にも大事にすべきではあるが、個人的な体質の問題に延々と付き合わせるのは本来、業務外ではあるのだろう。

 

「じゃあ、今日は以上だね。またのご来店お待ちしてます」

「もう来なくていいようにしてよ」

 

 そう憎まれ口を叩くものの、この体質はマーリンの責任ではない。

 困ると言っても母乳が出るだけなので、今のところは緊急的に対応しなければならないことでもない。

 マーリンの搾乳が気持ち良くて、嵌まってしまいそうなのは無視する。

 これだけの美女に弄られるのだから、それは仕方のないことだ。

 火照った身体を冷やすかのように手で頬を仰ぎ、アニスは身だしなみを整えてマーリンの工房を後にした。

 

 

 

 ♪

 

 

 

 思いのほか穏やかな日々が続くノワールで、アニスはティアナを手伝って様々な雑務を消化していく。カリムへの報告を上げるための資料作りがほとんどで、それも大した内容ではない。クロガネ大公国との戦況が劇的に変わったわけではないし、ティアナが気に掛けている北方のイステネブルの動きも不透明なままだ。

 目下、マオとカリムとの会談に向けた調整のための連絡に行ったり来たりするのが主な仕事になりつつあった。それも忙しくて目が回るというようなものではない。

 戦時下の首都に派遣されたという割には、本当に仕事が少なくこれでいいのかと不安になるほどだ。

 

(……胸が疼く)

 

 マーリンに搾乳してもらっているものの、体質は未だ改善しない。一日二日で治るようなものではないとは思っているが、気になるものは気になる。テープで抑えていないと服が濡れるから困るのだ。今夜も絞ってもらわないとダメか。自分で搾ることもできるが、どうせなら美女の手でという邪な考えも浮かんでしまうのであった。

 ほぼ連日のように夜になるとマーリンの部屋を訪れるようになってしまった。迷惑だとは思うのだが、困ったことにマーリンが拒否しないのでついつい甘えてしまう。考えてみれば、これが治療に役立つかどうかも定かではないのに。

 

「今夜も来たんだね」

「ダメだった?」

「いいや、夜にまで仕事をするほどワーカホリックじゃないし、君が魔力をくれるのだからWin-Winさ。ま、とはいえ、そろそろ本腰を入れていくべきかなぁというところだったんだけど」

「本腰?」

 

 アニスが怪訝な顔をしたところで、部屋の奥の扉が開いた。マーリンの工房はさらに別の書斎や様々なマジックアイテムの保管庫が併設されている。書斎から出てきたのは、マオだった。

 

「領主様!? すみません、夜分遅くに」

「気にしなくていい。夜遅くというのなら、俺も同じだからな」

 

 書斎から出てきたマオは分厚い本を持っていた。

 宮廷魔術師の美女の部屋を夜に領主が訪れているというのは、ロマンスを感じるところだが、今日はそういった用件ではないのだろうか。ともかく、邪魔をしたのであれば即座に退散しないといけない。

 

「何か勘違いでもしているのかな、アニス」

「勘違い? いや、別に何も。ただお邪魔をするわけにはいかないので、今日の所は失礼しようかと」

「ふふ、別にマスターも気にしないでいいって言っているだろう。今日は、特にマスターと魔術のことで話をしていたんだ」

「魔術のことで?」

 

 と、アニスはマーリンからマオに視線を移す。

 

「俺も何かしら魔術なり魔法なりをきちんと使えるようにしたいからな。マーリン達が使う魔術はどうも身体に合わないようだから、やはり西洋魔法から入るべきだって話になってな。セクストゥムから学ぶのがよさそうだな」

 

 様々な種類の魔法や魔術が入り乱れるこの世界で自分の体質に合う魔法を選ぶのは難しい。西洋魔法ですら、合わない者もいる。

 

「アニスフィアこそ、マーリンに何の用なんだ?」

「え……いや、それは、またの機会にしようかと」

 

 さすがに母乳を搾りに来たとは言えない。

 アニスは踵を返して帰宅しようとしたが、マーリンがその肩を掴んだ。

 

「まあ、待ってくれ。せっかく来たんだ。用事を済ませてから帰った方がいいんじゃないかい?」

「な、何言ってるの。男の人がいるのにそんなことできるわけないでしょ」

 

 声を潜めてマーリンに抗議するアニス。

 当然の反論に、マーリンは涼やかな微笑みで答える。

 

「だからこそ、さ。せっかくマスターがいるんだから、直接搾ってもらえばいいじゃないか」

「へ……え、なに、言って」

 

 突然のマーリンの爆弾発言に頭が真っ白になる。

 彼女がマスターと呼ぶのはマオのことだ。

 マスターに搾ってもらうというのは、マオに胸を差し出すということに他ならない。

 

「ど、どうしてそんなことになるの!?」

「ふふ、結局はそれが一番の解決策だからさ。改善ではなく現状維持になるけどね。改造された結果は変えられないけれど、その効力を無効化することはできそうだ」

「よく、意味が分からないんだけど」

「マスターに委ねれば、とりあえず君のおっぱいは止められるってことだね」

「え……いや、そうなんだ。でも、そこまでしなくていいかな」

 

 マオが何かしらの能力を持っていて、アニスの身体の問題を解決する可能性があるということだが、アニスはそこまで切羽詰まっていない。もともと、男性に苦手意識があるので、できれば遠慮したい。男性だから嫌いというわけではないが、性的な関わりは無理というのがアニスの実情だ。

 

「簡単に話は聞いている。俺はいくらでも協力するぞ」

 

 マオは乗り気だ。

 することといえば、アニスの乳を揉むだけなのだから断る理由がない。

 

「協力とか、領主様も乗らなくていいですから。とにかく、今日はお暇させていただきますね」

 

 アニスは怪しい流れに身の危険を感じて距離を取る。

 マーリンならばまだしも男はダメだ。マオがダメというわけではない。生理的かつ心情的な問題だ。

 

 

 

 

「ん……ふ……う……うぁ……あ……ふぅうう♡ う、ん、あ……あ……う、んんん♡」

 

 気がつけばアニスはベッドの上で甘い声を漏らしている。

 マオの股の間に座って、後ろから胸を揉まれている。

 

(あ、れ……なんで、わたし)

 

 アニスにも何がどうなったのか分からない。

 離れようとしたのは事実だ。部屋から出て、自室に向かおうとしたはずなのに、あっけなく捕まって今はベッドの上だ。マーリンの寝室だ。柔らかくふかふかとしたベッドは、さすがに王宮魔術師の寝室なだけのことはあってクッション性が高く、横になればきっと気持ち良く眠れるに違いない。

 そんなベッドの上で、アニスは横になることもなく男に後ろから抱き抱えられて乳房のマッサージを受けている。

 

「あ……ぁ……離して、ください。それ以上は、本当に怒ります、よ」

「怒りたければ怒ればいい。離れられるのなら、そうしろ。君の力なら、俺を引き剥がせるんじゃないか?」

 

 と、挑発的なことをマオは言う。

 マオから離れる気などさらさらない。

 アニスという美少女をこうして手中に収めたのだ。存分にその身体を楽しもうとするのは、雄の本能だ。

 

(力が入らない。薬を盛られた感じもないのに、なんでこんなに落ち着くの? 抵抗、したいと思えない)

 

 アニスは自分の感情の変化にも困惑する。

 男に胸を揉まれるなんてことは、想像するだけで嘔吐しそうになるほど拒否感があったのに、今はマオに身を委ねている。拒否感はまったくない。それが不思議だ。

 

「ふう、ん……う……あ……はあ、はあ、はあ……あう……それ、ん……あ……ん」

「母乳が出る体質にされたって話だったな」

「ん……ふう……カードの影響で、ふぅ、ん、おっぱいが止まらなくて……あ、ん、んあ……あ! ち、くびは、ダメッ」

 

 アニスが腰を跳ね上げる。

 マオは入念に乳房を揉みほぐしていたが、ここに来て乳首を責め始めた。

 マーリンが言ったとおり、アニスの乳首はクリトリス並の感度だ。乳房とは快感の次元が違う。

 

「ひ――――い、あッ、あッ、まって、くださぃ♡ ち、乳首はダメ、です♡ 今、あ、ひぃん♡」

 

 マオの指先がアニスの乳首を抓る。大きな快感が膨れ上がって、アニスの理性を焼いていく。咄嗟に声を我慢しようとするが、それでは到底抑えられない。

 

「はあ、ん……んふ……んふうううう♡ ん、あ……んあ……ふあん♡ あ、ぐ、ん、あぃや……あ、んあ、はあう♡」

「確かに母乳が滲んできたな」

「やあ、み、ないでぇ」

「このまま搾り出してやるから、思う存分出してみろ」

「あ――――ぐ、んひいい♡ い、あ……乳首抓っちゃ、あはッ、はひッ、ん、ふあ、あ、あ、出ちゃう、出ちゃうからぁ♡」

「出せ、ほら」

 

 ぐっと指先に力を込めて乳首を責める。乳房を根元から搾りながら乳首まで愛撫。人差し指で乳首をカリカリしながら、ハリのある乳房をしっかりと搾る。多くの女の胸を揉んできたマオは、乳搾りのプロ。アニスの大きすぎず小さすぎない、実に揉みやすい乳房を両手でしっかりと揉みほぐして母乳を搾り出す。

 

「い゛やぁ、出るッ、イクッ、あ、あ、あああ~~~~~~~~~~~~~♡」

 

 アニスの乳房から白い母乳が噴いた。

 同時に味わったことのない快感が胸から頭までを貫く。

 

「ひぃ、イイッ、あ、んあッ、あ、あ、あッ、何、これ、こんな知らな、ぃ♡ おっぱい、出しながら、なんてぇ♡」

 

 アニスは腰を痙攣させながらパクパクと口を開け閉めする。酸素を欲しがる金魚のようだ。クリトリス並の乳首を攻め抜かれて射乳したわけだから、強烈な快感に繋がるのは道理だろう。これまで、マーリンの施術では搾乳機で搾っていただけだ。乳首責めはされていないので、文字通りこれが初めての経験だ。

 これで済ますはずもなく、マオはさらにアニスの乳首を責め始める。

 

「お゛お゛ッ、んあッ、い、ま敏感だから、やめ、んああ♡ あ、ひゃあ♡ ひ、ひどい、いま、ダメって言ってるのにぃ♡ あ、出る出る、おっぱいぃぃい♡」

 

 アニスはイキながら母乳を噴く。

 

「んおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお♡ 出てりゅうう♡ おっぱいが、いっぱい、出てるよぉお♡ 領主様に搾られて、乳首、き、気持ちイイぃぃ♡」

 

 アニスは舌をだらしなく出して、腰をひくつかせて喘いでいる。恐ろしく乳首マッサージが気持ち良かった。

 

(なに、これ、信じられない。気持ち良すぎる。こんなの知らない)

 

 乳首を弄られて絶頂するということすら珍しい。この体質になって敏感になった乳首は確かに、強烈な性感帯になってしまったが、それでもこの頭がおかしくなるような快感は異常だ。

 

(こんなの続いたら、わたし……)

 

 乳首がジンジンとして熱い。

 男に胸を揉まれて母乳を絞り出されてしまうという屈辱を掻き消すほどの快感だ。

 これが続いたら胸だけでなく頭までおかしくなってしまいそうだ。

 次は何をされてしまうのだろうかと固唾を呑んでマオの手を見ていると、何の未練もないかのようにあっさりとアニスを解放してしまった。

 

「え……?」

「何だ?」

「あ、いえ……何でも」

 

 このまま身体を求められるのだろうと覚悟していた。

 それだけ一線を越えた行為をしていたのだ。アニスの立場からしてもマオの誘いを断るのは難しいだけに、マオがアニスを手放したのは意外だった。

 

「今日は母乳を搾りに来たんだろう。もう必要な分は搾れたんだから、終わりだろう。それとも、まだ何かあるのか?」

「……あ、ありません。失礼します!」

 

 アニスはそそくさと服を着て、その場を後にした。

 

「このまま堕としちゃえばよかったんじゃないかな?」

 

 と、マーリンは尋ねる。

 

「まあ、それでもいいんだけどな。少し時間をかけたい気分だったんだよ」

 

 と、マオは答える。

 

「こういうときは人でなしだねぇ。まあ、彼女にとっても最後は気持ち良くなれるからいいんだけどね」

 

 呆れたようにマーリンは言う。とはいえ、マーリン自身も経験していることだが、マオに堕とされるカタルシスはそれまでの常識をすべて作り替えるものである。アニスもまたその瞬間に向かって進んでいるのは確かであって、それが今日なのか、数日後なのかの違いでしかない。手籠めにした女の反応を愉しむのも、マオの特権ということだ。

 

 

 

 ♪

 

 

 

 翌朝、アニスは目覚めとともに深いため息をついた。

 胸の張りはひとまずは治っている。昨夜、マオに搾られたおかげだ。喜ばしいとは思わないが、身体に異常はない。

 男性を嫌悪するわけではないが、性の対象とされることには強い忌避感がある。それこそ、全身の細胞が恐怖と不快感に震え上がり、吐き気すら催すほどだ。

 

(あの人に触られている間は、そうじゃなかった……)

 

 不可思議でしかない。

 性欲を含む視線だけで寒気がするというのに、胸を揉まれて嫌悪感がないというのはおかしなことだ。

 男性に胸を揉まれること自体初めての経験である。事故ではなく、しっかりと揉みしだかれて母乳まで噴いてしまった。そして、強烈な絶頂と圧倒的多幸感は、アニスの常識を覆すものであった。

 

(とにかく、こうしていても仕方がない。仕事仕事っと)

 

 パンパンと頬を叩いて気合いを入れ直す。

 前向きに進むのがアニスの長所である。昨夜のことは本来ならトラウマ物だが、運がいいのかそうはなっていない。

 嫌悪感がない不思議さはあるが、意識しなければ普通に過ごせる。

 アニスは身だしなみを整えて部屋を出て、一階に下りる。

 そこには食堂があって、ヒロインのために食事が提供される。

 さすがに領主の屋敷なだけはあって、使う食材は一級品。シェフもこの道のトップだ。海も山も近いパラディクレールは、海の幸と山の幸が豊富に採れる。農業こそ不向きな土地柄だが、特に漁業においては主力産業だ。

 魚の切り身の塩焼きにイカと山菜のマリネを注文した。主食はチーズ入りのパンを一つ選ぶ。食堂で調理してもらえる時間は朝昼晩で決まっているが、必要なら自分で食堂の機器を使うこともできるという。少なくともこの国に滞在する間、食事で困ることはないだろう。食堂で提供される料理にも文句はない。政情不安が続くこの世界で、安定して料理が提供される環境というのがまず珍しく、アニスが如何に恵まれているのかこれだけでもうかがい知れるというものだ。

 この時間、ティアナやステラはいないようだ。初めのうちは時間を合わせて一緒に食事をしていたが、パラディクレールでの生活に順応してくると、それぞれのタイムスケジュールで動くようになった。もっとも、同じ建物で生活しているので自然と顔を合わせる機会はあるから、バラバラになったという感覚はない。ただ、クルーザーでの共同生活が濃かったので、ずいぶんと食事の時間が静かになったという印象は否めない。

 

(別に誘ってもいいんだけど)

 

 アニスは比較的時間に余裕がある。ティアナはバタバタしている時期で、ステラは別のヒロインと一緒に外回りに出ている。ジータとアリサは新しい販路拡大に向けて営業活動中である。申し訳ないことに、悠々と過ごしているのはアニスだけなのだ。

 ――――花の匂い。

 アニスが身を固くすると、隣にマーリンが現れた。

 

「隣いいかな?」

「どうぞ。わたしはもう食べ終わるけど」

「妙に言葉に棘があるね」

「そりゃ、そうでしょ。昨日、あんなことされたんだから」

「あんなこと?」

「領主様に、わたしが、その、色々されたこと」

「ああ、マスターのマッサージのことか。よかったね、たくさん搾れて。あんなに熱心にこねくり回されて、羨ましいよ。ボクもしてもらいたいくらいさ」

 

 この人でなしは何の悪気もなくそう言った。彼女にとってマオは絶対的な存在だ。恐らくは異性としてはっきりと意識していて、マオに触れられることを喜ばしいことと思っている。そして、アニスがマオに触れられることを拒否するとは微塵も思っていないようでもあった。

 

「……どうして、領主様にあんなことをさせたの?」

「どうせ胸を揉むのなら、気持ちイイほうがいいじゃないか。マスターは女の扱いを熟知していて、ヒロインの身体のことは何でもお見通しさ。アニスだって、最高に気持ち良かったんじゃないかな?」

「……ッ!?」

 

 アニスの頬がカッと紅くなった。

 自分でも制御できない血流の上昇。

 喘ぎ、絶頂して母乳を噴いたシーンはマーリンにもしっかりと見られている。

 

「マスターはよほど突飛な相手でなければ、ヒロインの誘いは断らない性質だよ。頼めばもっと気持ち良くしてくれるさ」

「た、頼みません! そんなこと!」

 

 少し声が大きくなって、慌ててボリュームを下げる。

 

「とにかく、この身体のことはわたしが自分で何とかするから」

「おや、ボクのところにも来ないのかい?」

「もちろん。もうこりごりだから」

「それは残念だね」

 

 マーリンと関わるとろくなコトにならない。恐ろしいほど人間離れした美女なので、危うく籠絡されるところだったが、本質は人非人――――そもそも、半分は夢魔だというからそれも宜なるかな。人間的な精神活動とは、異なる領域に思考回路が展開されているようにも感じる。

 マーリンは極めて優れた魔術師だ。彼女との関係は、アニスの魔法の探求にも大きな助けとなるのは間違いないが、それ以上にリスクのほうが大きそうだ。

 アニスにつれなくされても、マーリンは肩を竦めるだけだ。

 彼女にとってアニスはおやつのようなもので、そこまで固執するような間柄ではない。

 マーリンが関係を持つ女性は他にもいるのだろう。男性はマオがいる限り手を出さないだろうが、女性は別だ。マーリンが出入りしているメイドなどをつまみ食いしているということも、噂では聞いている。マーリンほどの妖艶な美女が相手なら、まっとうな性癖の女でも流されてしまうことは容易に想像できる。何せ夢魔でもあるのだ。その手のことに耐性のない相手なら、簡単に手籠めにできるだろう。

 

「まあ、ボクもマスターもいつでもウェルカムだから、気楽に相談してくれて構わないよ」

「しないってば」

 

 アニスの警戒心も何処吹く風のマーリンにアニスはつれなく答える。

 当面は、ノワールで過ごさなければならないので関係性を悪化させるわけには行かないのが辛いところだ。

 アニスは手早く食事を済ませて席を立った。

 マーリンは何も言わず、ただ隣に座っているだけだったが、それはそれで気味が悪い。何を考えているのか分からない。こういったキャラクター性の人物はアニスの身近にはいなかったので、対応が難しい。身内を戦とは全く別のところで警戒するという想定外の状況に困惑しつつアニスは食堂を出た。

 

 

 ♪

 

 

 ヒロイン生協ノワール出張所というには少々心許ない一室でアニスは黙々と資料に目を通す。四階ではあるが斜面を横に掘り進んだところにあるこの部屋には窓がなく、外から音が入ってくることもない。室内にいるのはティアナとアニスの二人だけで、共に机の上の書類を捌くことに時間を費やしている。

 紙を捲り、ペンを走らせる滓かな音だけが淡々と続いている。

 

(う……また)

 

 胸が張る。昨夜の乳搾りから半日が経過している。本当にこの体質はどうにかならないものか。何とかカードを手に入れて、身体を元に戻さなければならないのだろう。あるいは、他に打ち消せる手段があるのかもしれないが、それを探求するには時間も設備も足りない。

 

(また、搾ってもらえば……あの手で……)

 

 乳首がジンと熱くなる。マオの手により搾られた記憶が胸を震わせる。

 認めがたいが、事実気持ちが良かったし楽になった。マオのマッサージは、アニスの症状改善に確かに役立った。その理由までは分からないが、何かしらの特性・能力なのだろう。マーリンはウェルカムだと言った。マオの言動からしてアニスを拒否することはないだろう。だから、恥を忍んで頼めばいいのではないか。

 

「……ニス」

 

 昨日の続きを頼めば、この胸の張りはまた治るだろう。それは言うなれば治療であって、それ以上のものではない。必要な手続き。身体のメンテナンスだ。

 

「アニス」

「……あ、な、何?」

 

 ティアナがアニスの顔の前で手を振っている。

 アニスはティアナに気づかなかった。

 

「手が止まってる。何かあった?」

「え、ごめん。ちょっと考え事をしちゃって」

「ほんと大丈夫? 顔、赤いけど」

「え……そうかな」

「今日は休んでいいよ」

「いやいや、そんなわけにはいかないって。ちょっと手を止めちゃっただけだから」

「いいから。あんた、身体の調子もよくないんじゃないの? 必要ならマオさんに医者の手配をお願いするから」

「そ、そこまでじゃないから。ほんとに」

 

 ティアナに気を遣わせたことを申し訳なく思いながら、アニスは笑顔で誤魔化す。アニスの身体の不調はティアナも承知している。今の状況までは分からないが、体質が変わってしまったことは報告済みの案件だ。内容が内容だけに、ティアナは深くは踏み込めない。

 

「とりあえず、今日は休みなさい。別に今日しないと明日死んじゃうって感じのヤバい案件なんてないんだから」

「いや、でもね、ほんとに大したことじゃないんだよ」

「大したことじゃなくてもいいから。今は休める時でしょ?」

「……それは、まあ、はい」

 

 しぶしぶアニスは頷いた。

 実際、ティアナを説得してでも今日明日中に終わらせなくてはならない仕事というものはない。現時点で、ここでの事務仕事は決して多くはないのだ。

 アニスはやむなくティアナに促されるままに部屋を辞した。体調不良という理由で休暇を取った以上は、ふらふら歩き回ることも憚られる。そのままの足で、自室に戻ることにした。自室は廊下で一続き。職場が自宅と同じ建物にあるというのは、移動が楽でいい。

 部屋に戻ったアニスは、肩に担いでいた鞄を床に置くとベッドに横たわった。

 ふかふかのベッドはこの世界では高級品だ。王侯貴族か相当裕福な家庭でなければ手が出せない。それが、ヒロインの数だけ用意されているのだから、さすがはこの国の領主の屋敷というだけのことはある。

 寝心地は最高。

 この部屋の環境に文句はない。

 各ヒロインに宛がわれた私室は、寝室だけでなくリビングや書斎まである十分過ぎる環境なのだ。

 ベッドに横たわるアニスは、おもむろに自分の胸に手を伸ばした。服の上からでもはっきりと分かる豊かな膨らみ。もともとなかったわけではないが、この旅の中でさらに成長していた。

 自分の胸を揉む。

 じりじりとひりつくような熱を帯びた乳首が苦しい。服を捲って下着で押さえつけていた胸を開放する。

 

「は――――ぁ♡」

 

 切ない吐息を漏らしたアニスは自分の乳首をひっかいた。

 

「ん、ん……あ……あう、う、んはぁ……ぁ」

 

 カリ、カリ、と愛撫をする。昔の自分ならば、乳首オナニーで感じる日が来るとは思っていなかっただろう。どうしようもない。この身体はそういう風に作り変えられてしまった。ベッドにうつ伏せになり、尻を突き上げる。犬のような姿勢で乳首を弄る。強烈な性感帯となった乳首をひとたび弄れば止まれなくなる。これほど気持ちのイイオナニーを途中でやめることなどできるはずがない。

 

「ヤバい……わたし、こんなこと、してたら、あ、あん、ん、う、ぅうう、んふ、んお♡ と、止まらない、止めないと、ダメ、なのに♡ んひぃ♡」

 

 アニスはついにマンコにも手を伸ばした。乳首とマンコの同時責め。自らの性感帯を自らの指で慰めることに、抵抗感が消えていく。それほど、この身体は性に貪欲になってしまった。

 

「んお……これ、ヤバい、あ、すご……ん、ふう、あ、あん♡ あ、あ、指、あ、き、気持ちイイ、よ♡ はあ、んは、あ、あ、ん、ふうぅ♡ んふぅ♡ ん、んん♡」

 

 あふれ出そうになる声を殺して、アニスは指でクリトリスを弄る。感じる場所を探しながら、ここぞというところを見つけたら重点的に弄る。

 オナニーをしないほど潔癖というわけではないが、積極的というわけでもない。ストレス発散にする程度だったはずなのに、

 

(ほんとに、まずいんじゃないこれ。嵌りそう)

 

 警鐘を鳴らす理性。

 しかし、高まる性欲の前に理性の抵抗はそよ風のようなものだ。

 

「おッ、イク。ん、んお!」

 

 びっくん、と身体を跳ねさせるアニス。

 オーガズムが理性を焼き切った。

 

「はあ……はあ……は、あ、あ、マンコ、イッた、あう……まだ」 

 

 熱は収まらない。

 オナニーで一回イッただけでは昂った身体は落ち着かない。

 

「ふー♡ ふー♡ も、もう少しだけ、あと一回したら終わりにしよう」

 

 アニスはそう言いながら、強く乳首をつねる。強烈な快感で頭が弾けそうになる。結局、一度では満足することができず、二度、三度とオーガズムを味わい続けるのだった。

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