異世界ヒロインが召喚される世界で好き勝手する話 作:もう万体
マーリンにとって、それは退屈な旅だった。
黒い針葉樹の森の向こうにそびえ立つ大山脈。荒々しい岩山は、その頂上に年中雪を湛えていて、雪解け水は広く大地を潤す命の源だ。古来、大陸西部の信仰を集めた霊峰は、なるほど確かに荘厳かつ威厳ある佇まいであり、マーリンの世界の常識に当てはめても尋常ならざる神気を帯びている。
「これほどの霊地が手つかずのままとは。世界が変われば常識も変わるものだろうが、もったいない話だ」
荷馬車の上に腰を下ろしてガタガタと揺れる悪路を行く。川を遡るように、谷間の道を往く行商人たち。マーリンは昔作った生協の身分証を利用して彼らに同行し、ノワールに入国することに成功した。
魔物の出現はない。
ここはノワールが整備した国道で、山に住む魔物は近づかないのだとか。山の中にはノワールを守る特別な魔物がいて、悪い魔物を退治しているという噂があるのだとか。
行商人が恐れるのは魔物や山賊の襲撃ではなく、この険しい自然が織りなす天災や不慮の事故だ。
「ところで、ノワールの首都までは後どれくらいかかるのかな?」
と、マーリンは行商人に声をかける。
五台の大型の荷馬車を引き連れる隊商のキャプテンは、色黒の南方生まれの男だった。
「マーリンさんのおかげで、ちょっと短縮できたんで、あと三日ってところですね」
「それでもそんなにかかるんだ」
「手続きもありますからね。二日ほどで、ドゥマンシエルの町に入ります。そこで、必要な手続きをして、スムーズに行けば半日ほどでノワールの首都、パラディクレールに到着です」
「ずいぶんと大それた名前だね」
「昔、ノワールにいたヒロインがあれこれと名前を考えたらしいですよ」
「なるほどね」
この世界の地名や町の名前には、どうも異世界の言語体系から輸入されたと思しい言葉が混ざっていることが多々ある。
ヒロインそのものが町の形成に関わっていたり、古くからのヒロイン崇拝などの影響だろう。例えば、ノワールにいたというヒロインは、ほぼ間違いなくフランス系のヒロインだ。マーリンと世界を同じくするかどうかは不明だが、出身世界の言語体系は共通らしい。
(ありがたいことではあるけれど、根本的に異なる世界が入り交じっていながら言語については融通が利くというのは奇妙な話だ。まるで、ボクら全員、統一言語を習得したかのようじゃないか)
ひんやりとする山嶺からの吹き下ろし。
心なしか粉雪が舞っている。
標高がずいぶんと上がってきて、麓に比べてかなり気温が下がってきた。三千メートル級の山々が聳えるというが、逆に言えばその程度の標高でしかないはずだ。だが、この山岳地帯独特の魔力の影響か、気温が低く、天気も変わりやすい。マーリンの世界の魔術師がこの山脈を見れば、ここが超特級の霊地であると狂喜乱舞しただろう。
「根無し草のボクから見ても、ちょっとここは魅力的だぞ」
かつてのブリテンも魔窟ではあった。神秘がそこら中に溢れ、魔獣はおろか神獣、妖精なんでもござれ、かくいうマーリンもまたそう言った魔の一種であり、本来、人類種とは相容れない人でなしだ。
人の感情に寄生し、自らの栄養とする魔。人との混血であるために辛うじて人の世界に関わることができるが、その本質は人間とは別物と言って差し支えないだろう。
およそ、工房を構えるということをしないマーリンだが、手つかずの神秘の塊を前にすると、長居したくなってしまう。
根源の渦には、ほとんど興味が無い。
彼女は世間の分類では魔術使いに当たるのだろう。
魔術は手段であり、その技術の先に関心はない。自分の技術を磨くということすら、マーリンにとっては関心のある話ではない。
それでも、現代のあらゆるものを見通す千里眼を持つ彼女にとって、視えないことによる未知は新鮮だ。
魔術による情報収集を著しく制限する「黒いドーム」の内側にマーリンはいる。火を熾し、荷物の重量を軽減するといった軽い魔術ならばまだ使用可能だが、この黒いドームの内側はマーリンのあらゆる能力に干渉してくる。今のところ対抗策はなく、マーリンの能力は大きく低下していた。
自然によるものではなく、おそらくは何らかの能力によるものだ。人為的な干渉を感じる。ただ、それは極めて強力で現状、マーリンの能力でもその影響下から抜けるのは難しい。
(ボクの世界の力とは違うんだろうな。ヒロインの力なのか、それとも別個の何かなのか)
あれこれと推測するのは楽しい。未知を探求しようという意欲が自分にあるとは思わなかった。
ヒロインを食らうと予言されたノワールの領主が果たしてどんな男なのか。伝聞でしか知らない男が、この黒いドームの主なのか、ますます興味がかき立てられる。
■
首都パラディクレールの屋敷で執務に当たるマオの元にヒロイン来るの報が届いたのは、ミコトがマオに彼女の存在を告げてから五日後のことであった。
相変わらず穏やかな陽気の午後である。
行商人の護衛という名目で入国した彼女は、特に問題を起こすこともなくまっすぐこの町にやって来た。
名前はマーリンというらしい。
遠見の水晶で見たところ、相当の美女だ。
白磁のような肌に白銀の長髪。妖しい紅い瞳。女の美しさを語るときには、見る者を魅了する等という表現が散見されるが、彼女の場合は間違いなく、文字通りのものとして機能するのだろう。
魅了の魔眼の類だ。
そういう能力があるということは、幼少期から教え込まれてきた。統治者にとって、洗脳性の能力は特に注意すべきものだからだ。
もっとも、注意したところでどうすることもできないのがヒロインの恐ろしいところでもある。マオのような例外を除けば、長い歴史の中で培われた対抗手段が通じることを祈るしかない。
「マーリン? 本当にそうなんですか?」
来訪者の名を聞いて驚愕したのはマシュだった。
「知ってるのか?」
「え、ええ、ただわたしの知っているマーリンさんは男性なので、こちらにはいらっしゃらないと思います」
「そうか。まあ、名前が被るくらいよくあることだからな」
「はい。ただ……驚きました。確かに女性ですけど、わたしと先輩を何度も助けてくれたマーリンさんによく似た服装です。雰囲気も似ていて、まったくの他人とは思えません」
水晶玉を覗き込んだマシュは、再び驚愕に目を剥いた。
「マシュと同じ世界の出身ではないにしても、かなり近いところから来た魔術師といったところかな」
「おそらくそうだと思います。平行世界というのでしょうか……」
マシュの世界において平行世界という概念は極めて複雑だ。
おまけに英霊の中には、男性と伝えられていただけで実際には女性だったという事例がいくつも存在している。
その中でも特異的なのは男女別々に召喚に応じたアーサー王だ。そういえば、男のアーサー王に仕えたマーリンは女性だったという話があった。
「よく分からないが、マシュのいた世界に近い別世界が彼女の出身世界である可能性が高いわけだ」
「可能性としては、ですが。わたしの知る男性のマーリンさんとよく似ているので」
「まったくの無関係というのは、天文学的な確率だろうから、マシュの世界を基準にしていいんじゃないか?」
マシュだけではなく、立香やシオンも彼女のことを知らないまでも、基本的な知識はあるのだろう。それは、彼女の性格や性能を推し量るのに十分な情報である。
「とりあえず、あのマーリンという魔術師のことを知りたい。立香たちも呼んできてくれるか?」
「はい、分かりました」
マーリンが危険だと思っているわけではない。だが、軽く話を聞くだけでマシュたちの世界でも相当に有名な魔術師らしい。その実力は、マシュたちが束になってかかっても敵わないだろうというほどだ。
それだけの力を持つ者がふらりと首都にやって来たのだから、注意しておくのは当然の対応である。
そして応接室にマーリンがやって来た。
白く美しい乙女だった。白銀の長い髪と魔的な深紅の瞳。細面の現実感のない美女。人間と言うよりも妖精といったほうがしっくりくる。そういった魔人だ。
マーリンはマオとの面会を求めてきた。
ノワールの領主は、今となっては一国の主と同義である。本来、見ず知らずの他人と軽々しく顔を合わせることはあり得ないのだが、ヒロインは特別扱いだ。
「初めまして、ノワールの領主様。わたしはマーリン。見ての通りの旅の魔術師だよ」
「初めまして、大魔術師殿。かつての世界では、キングメイカーとして名を馳せていた魔術師という理解でいいか?」
「カルデアのマスターだね。黒い森に逃げ込んだのは視たけれど、その先が分からなかった。無事、領主様のところにたどり着けたようで何よりだ」
「千里眼というヤツだな。聞くところによると、遠くが見えるんだとか。便利だな」
「覗き見が精々さ。特にこの国では、ほとんど機能しない。ああ、手の内を明かすと今のわたしはどうにも不調でね。原因に心当たりはあるかな?」
「さて、初対面の魔術師に不調の原因はと聞かれても困る」
「それもそうだ」
マーリンは応接間でゆったりと紅茶を楽しんでいる。
彼女の口に合っているのかどうかは分からないが、そういう雰囲気を味わうくらいはするということだろう。
カルデア三人組曰く、マーリンは夢魔と人間のハーフであり、他者の感情を糧にする魔性。魔術師の力量は折り紙付きで、あの三人とは別次元の実力者だということだ。
「それにしても、あっさりと目通りが叶うなんて、驚いたよ。多くの場合、それなりの立場の人間はわたしと面と向かって会うのを避けるものだからね」
「なるほど。確かに、それが一般的な反応かもしれない。君たちヒロインの能力は、俺たちの想像をいつだって超えてくるものだからな」
この世界の人間にも抵抗する力がないというわけではない。二千年の積み重ねの中で、ヒロインの能力の内、学問化できるものは貪欲に吸収してきた。とはいえ、この世界の人間が操る超能力や魔術といったっものは、一部の例外を除いてヒロインに劣ることが多く、やはり出力の違いが大きいようだ。
人を簡単に操る能力を持つヒロインと直接相対する権力者というのは少ない。自分の力に自信があるか、強力なヒロインを味方に付けているかだろう。マオの場合はその両方だ。
「それで、マーリン。君がわざわざ俺を訪ねてきたのは、何の要件でだ?」
「まずは挨拶だよ。いちおう、わたしたちみたいなのは何かと注目されているわけだから、領主様に顔見せくらいはしておかないと後が怖い」
「問題を起こさなければ、こちらから何かすることはない。余計なところに寄り道しないで、正規の手続きを踏んでいればとやかく言わない」
「それを聞いて安心したよ。入国するだけで身柄を拘束されそうになることも珍しくないご時世だからね」
「俺たちの立場を考えれば、ヒロインは総じて要注意人物だ。まして、マーリンのように力のあるヒロインはそういう対応になるところもあるから気をつけることだ」
「君たちの事情は分かっているつもりなんだけれどね。まあ、ともかくわたしも変に波風を立てるつもりはないよ。ついでに、ご入り用なら格安で引き受けるけど?」
「今のところ、大魔術師殿に相応しい仕事はないよ。君がノワールの宮廷魔術師になってくれるというのなら別だけど」
「残念。わたしはまだ根無し草でいたいからね。今回は縁が無かったってことで、また次の機会に」
マーリンは大して残念そうでもなく肩を竦めるだけだ。
人の形をした人以外の何かだというマーリンは、こうして話をしている分にはおかしな点はない。ノワールの領主と面と向かって話をしているというのに、ずいぶんと気楽にしているなとは思うが、マーリンというのは伝説的なキングメイカーだそうだから、一地方の領主程度に気後れはしないということなのかもしれない。
もとより旅のヒロインである。どこかに根付いたアイデンティティを持つわけではないし、一人で大抵のことは何とかできてしまう。権力構造の中に入って身を守る必要はまったくないのだ。これが、一部の力あるヒロインが要警戒対象になる理由でもある。
「君が強力な魔術師だということは分かったから、一つ、俺にも安心材料が欲しい」
「ふむ、何かな」
「君に俺の部下を一人付けさせてもらう」
「ほう、なるほど。監視というわけだ」
「悪い言い方をすればそうなる。君と同じような世界から来た面々だから話も合うんじゃないかな」
「カルデアのマスターか。むしろ、嬉しい提案だよ。わたしも彼女には興味があったからね」
「決まりだな。それでは、歓迎するよマーリン。決して大きな町ではないが、ゆっくり見て回ってくれ」
今、この時点でマーリンをどうこうする必要はない。彼女の背後関係が不明な以上、下手に手出しをすれば余計ないざこざを起こしかねない。強力無比なヒロインは戦力として喉から手が出るほど欲しいが、だからといって他国と緊張状態になりたいわけではないのだ。
生協の所属ということも含めて、しばらくは様子見だ。何も問題を起こさずに出国してくれればそれでよし。何かするようであれば、いよいよその時はマオ自らマーリンに対処することになるだろう。
■
甘ったるい匂いを感じて目を覚ます。身体が重く、熱く、息が苦しい。部屋の中はぼんやりと明るく、空気は淀んでいるように思えた。
匂いの正体は女だ。
白い女が、マオの上に乗っている。
「マーリン」
「やあ、こんばんは、領主様」
白き大魔術師は、昼間に顔を合わせた時と同じく陰日向に咲く花のような妖しい美しさを醸し出していた。清楚可憐にはほど遠く、しかし視線を向けずにはいられない不思議な魅力が彼女にはある。
「大魔術師殿が、こんな夜更けに何の用だ?」
「ふふふ、分かってることを敢えて聞くのは少しばかり趣が欠けると思わないかい?」
マーリンは紅い瞳でマオを見つめてくる。
そして、彼女の手がマオの股間に伸びて、さわさわと撫で回す。
「領主様、今日はとてもいい夜だね。涼しいし、綺麗な月も出てる。そして、わたしみたいな超絶美女までいる」
「そうだな」
「領主様は罪深い人だね。あんなに可愛い女の子を何人も侍らせて、身体を自由にしている。君のここは、いったいどれくらいの女の子を泣かせてきたんだろうね」
「それほどでもないぞ。可愛い娘には目がないっていうのは否定しないけどな」
マーリンの手指がパンツ越しにペニスを撫でる。くすぐったい。直接触れて欲しいと思って、ペニスが布の内側で固くなっていく。
「可愛い娘に目がないっていうのなら、わたしのことはどうかな? 一夜の契りに相応しいと思うけど?」
「すごく綺麗だよ。美人で有能な魔術師なんだ。俺は大歓迎。一晩と言わず、ずっとここにいて欲しいくらいだ」
「ふふ、素直な欲望だ。生憎とわたしは放浪癖のある根無し草だ。一所にはいられないよ。でも、一晩だけ君のものになってあげてもいいよ。あれだけのヒロインを抱えるのだから、わたしを満たしてくれるんだろう?」
「そういうことなら、いくらでも相手をしてやるよ」
「いいね。じゃあ、まずはわたしが君をイカせてあげるよ」
マーリンはちろりと舌で自らの唇を濡らし、マオに顔を近づける。
長い髪を耳に掻き上げて、マオを唇を重ねる。
濃厚な花のような香りが心身に染み込んでくるようだった。マーリンの柔らかな口付けは、すぐに舌を絡めるディープキスになった。
「ん……ん……ちゅ……れろ……れろ……んちゅ……ん……ふぁ……んちゅ」
甘いマーリンの舌を吸う。涎を啜り、マーリンの口内に舌を滑り込ませる。マーリンの舌技は、マオがこれまでに経験したどのキスよりも上手い。さすがは夢魔の血を引く半魔なだけはある。マーリンの熱い舌先がマオの舌の裏側を舐め、上顎を舐り、歯茎を愛撫する。負けじとマオもマーリンの舌を追いかけて絡め取り、唇を吸う。
「ん……んふ……ちゅ……ちゅ……ちゅ……れる、ちゅ……んん……んふぅ……ちゅぱ、ふはぁ……はあ、さすが領主様、キスも上手だね」
マーリンの手がするりとマオのパンツの中に入り込む。すべすべした彼女の手の感触だけでイッてしまいそうだ。
ペニスを捏ねるように扱くマーリンは微笑みながらマオの耳元に口を寄せる。
「もうずいぶんと苦しそうだ。我慢しないで、イクときにはイッていいからね? れろ、ちゅ……ぴちゃ……れろ」
マーリンの手淫は男の感じるところを完璧に把握しているかのように的確だ。指先が鈴口を弾き、手の平が亀頭を包んで撫でる。そうしながらマーリンは耳を舐め、キスをしてくる。吐息と舌が奏でる音が恐ろしく興奮を助長する。
「勃起してきた……って、ずいぶんと大きいペニスだね。さすがに驚いたよ。ヒロインを食うなんて予言されたのは伊達ではないってことかな? ふふ、じゃあ、このまま、精液を出してしまおうか」
シコシコシコシコとマーリンの手がペニスを愛撫する。
性欲を刺激する花の香りを振りまいて、マオの欲望を大いに高めてペニスを弄る。
さらに、マーリンは手コキをしながらマオの乳首に舌を伸ばした。舌先が乳首を舐め、唇が啄んでくる。
「ちゅ……ちゅ……れろ……れろ……男でもここは感じるだろう。他の娘たちはこういうところを舐めてくれるのかな? れろ……ちゅぱ、ちゅぱ……れろ……領主様も、れろ……好きなように感じて、好きなように射精するといいよ、ほら、今晩だけなんだから」
チロチロと挑発的な舌使いで乳首を舐めるマーリンは、にやりと笑みを浮かべてマオの顔を見上げている。
マーリンの技術はその道の頂点に近い。まだ本番前だというのに激しい射精欲求がマオに襲いかかっている。
「ほら、イキたいんだろう? イッてしまえ。我慢なんてする必要はないからね?」
カウパー液が止めどなく溢れてくるペニスを、マーリンは容赦なく扱く。彼女の手が粘液で濡れて汚れていくごとに、マオの快感は上昇していく。
ぐりぐりと亀頭をなで回されて、裏筋を指先で擦られる。腰が跳ね上がり、ペニスが痛いほど勃起していく。
「ぐ、くぅ」
我慢はできない。
マーリンの与える快感にマオの睾丸は全力で精を産出する。
そして、気がつけば射精していた。激しい脱力感と満足感がマオを襲う。飛び散った精液が身体の上に降り注ぐ。
「ふふふ、本当にずいぶんと溜めていたんだね。すごい精力だ」
マーリンはどことなく楽しげな口調でマオの精を眺める。それから、舌を伸ばして飛び散った精液を舐め取る。
「ん……ぁ……れろ……ちゅぱ……れろぉ……すごいな、身体に染みるような魔力だよ。れろ……れろぉ……ちゅ……んちゅ……れろ」
マーリンの舌の柔らかな感力が乳首から腹筋までを丹念になぞっている。
「これで綺麗になった。でも、君のペニスはまだまだ元気そうだ。精力絶倫。これは、楽しめそうだぞ。飛び散った精だけで、これだけ満たされるんだから、ここから直接吸ったらどうなるかな?」
眼前のペニスにマーリンは興味津々だ。
夢魔のマーリンに射精させられれば、大抵の男はしばらく不能になる。魔力も奪われて、下手をすると昏睡状態になるだろう。
だが、マオはまったくマーリンの手淫をものともしないで、まだ勃起している。とんでもない精力だと言わざるを得ない。
「じゃあ、次は口でイカせてみようか。んあ」
舌舐めずりをしたマーリンは舌の上に亀頭を乗せ、自分の口内に引き入れる。
「ちゅう、んちゅ……んむ」
「熱……マーリン」
「んふ……ちゅぷ……んむ……どうかな、ボクの口……ちゅ……手でするより、れろれろ、ずっとイイだろう? ん、ん、ん、じゅる……ちゅぷ……んむぅ♡」
マーリンはゆるゆると口を動かしてペニスを吸う。涎たっぷりの口内に泳がせるようにペニスを啜り、カウパー液を味わう。
刺激は弱いが、マーリンの口内は温かくぬめっていて、ペニスが溶けてしまいそうだ。
「んむぅぅ、んぐ……じゅる……ちゅぱ……はあ、はあ、れろれろ……すごいじゃないか。こんなにボクのフェラに耐えて、れろ……おまけにビンビンでまだまだ大きいときた。あむ……んじゅるる……ちゅ……ちゅ……れろぉ、この、れろ、カリの辺りとか、裏筋とかれろれろ、弱いんだよね。ちゅう……れろ、ボクに早く精を吐き出して、ん、ん、じゅるる」
マーリンにとっても精力はご馳走だ。魔力を収奪し、感情を食らうマーリンにとって、強力な精と感情は最高級の食べ物だ。早く味わいたいという欲がある。ペニスを頬張って、じゅぼじゅぼと音を立てて吸い立てる。
「マーリン、それはヤバい」
「んふう、ふう、我慢しなくていい。思い切り、射精して、んふ……んん……じゅぷ……じゅぷ……じゅぷ……じゅるるる!」
「うわッ、う、気持ちイイ。すごい吸い付き」
頬を窄めたマーリンは強くペニスを吸引する。根元まで咥えてからのバキュームフェラは、マオにさらなる快感を与える。強引にマオの理性を蕩かして、脳髄を焼くような欲望を溢れさせる。
「ぐぅ、イク」
ペニスが爆発するような快感。
ドクドクを脈打ち精液がマーリンの口内に注ぎ込まれる。
「んッ、んんぅ♡ んく……んく……じゅる……ん……はぁう♡ はあ、なんて濃厚なんだ、君の精は」
口を離したマーリンはうっとりとした表情で精液を味わっていた。注がれた精のすべてを飲み干して、なお魔性の笑みを浮かべるマーリン。まだまだ満足していないといった風で、いつの間にか白雪のような肌を露わにしている。
「こんなのを味わわされたら、ボクももう我慢できなくなっちゃったよ」
マーリンはマオの身体によじ登る。
全裸の彼女は今までに無く魅力的だ。形のよい乳房もくびれ腰も非の打ち所のない顔もすべてが男の欲望を刺激する。
「まだまだ、できるだろう?」
「ああ、マーリンが魅力的すぎるからかな」
「お世辞じゃボクを昂ぶらせることはできないよ……ん♪」
マーリンはマオの腰の上に跨がり、ペニスをマンコに宛がう。
手淫と口淫で精液を絞り出されたのに、まだペニスが固い。マーリンからしても驚愕だ。
腰を落とし、ペニスを胎内に飲み込む。
「んく……♡ はあ、大きいな♡」
蠢く膣肉がペニスに食らいつく。
マーリンの身体の熱が直接ペニスに浸透してくる。熱く柔らかい肉の感触は、手とも口とも違う。
「マーリン、動いて」
「んぅ、もちろん……あッ、んふう♡」
マーリンの腰が前後に揺れる。初動はゆっくりと馴染ませるように。ペニスのしっかりと咥え込んだ膣は愛液を分泌してペニスに塗り込んでいる。
数多の男をこうして虜にしてきたのだろう。
マーリンの腰使いは完璧だ。
膣圧でペニスが吸い込まれそうになる。
子宮の入り口に亀頭が当たって、コツコツとノックする。
「はふッ、あんッ、んふ、はあ、はあ、届く。領主様のチンポ、ボクの一番奥に、しっかり届いてるよ」
「それは、よかった」
「ん、ふ……はあ、ああ、イイ、ね、これ……ふう、魔力がぐちゃぐちゃに混ざり合って、蕩けていく感じ。はあ、ん! ふう……んふう……はあ、ああん♡」
ぐちゅ、ぐちゅ、とマーリンが腰を振る度に淫らな音がする。
単純な上下運動ではない。円を描いたり、前後にグラインドしたりと不規則な腰使いだ。
「はあ、はあ、どうかな、ボクのマンコは? イキそうかな?」
「ああ、すごく気持ちイイ。最高だ」
「ふふふ、嬉しいね。ん、じゃあ、どんどん気持ちよくなってよ。あッ、それで、ボクに最高の魔力を味わわせておくれ、はあぁ♡ んッ♡ あん♡」
うねる膣肉。
襞と襞が波打ってペニスを擦り、射精欲求を極限まで高めてくる。
マーリンは楽しげに腰を振り、恐ろしいほど的確に男の快感のツボを攻めてくる。
「んふッ、あふッ、ああん♡ いいよ、そのまま、んッ、はあ、ボクの膣内に思いっきり射精して……あ、あ、んん♡」
突き抜けるような快感がマオの脳に響く。
ペニスを締め付ける膣の圧力が睾丸から精液をぐんぐん吸い出そうとしているのが分かるのだ。
マーリンの美しい顔が淫蕩に歪み、それを目の当たりにしてますますマオの血流が増加する。この女を完全に支配したいという欲が深く強くなっていく。
男を蕩かし、虜にして操る妖しい夢魔の面目躍如というところか。マオのペニスはマーリンのマンコに包まれて至極の快感に溺れている。
「んんッ、ふう……マーリン、射精するぞ」
「ああ、いいよ。んッ、はあ、射精して、ほら……んん、すぐに……はあう♡」
「ぐうぅ!」
歯を食いしばり最後の抵抗。それも空しく、マオはマーリンの膣内で果てる。
どぴゅるるるるるッ、と勢いよく精を放出するマオ。
「あ――――はあぁぁ♡」
蕩けた表情を浮かべてマーリンは膣全体で精を味わう。
マオの強力な精力がマーリンの身体に染み渡る。
「ん♡ ん♡ はあ、ふはぁ♡ はあぁー、ああ、イイ。すごく、よかったよ、領主様。こんなに気持ちよかったのは、いつ以来かな」
マーリンにはまだ余裕がある。
ペニスを抜いてベッドから下りた。
「ふふ、楽しかったよ、領主様。魔力の質も量もいいし、一回や二回で枯れない精力はすばらしい。今後、また気が向いたら遊びにくることにしようか」
存分に精力を味わい尽くしたマーリンは、とりあえず満足していた。薄い精より濃い精のほうがずっといい。マオの魔力はマーリンを楽しませるのに十分だった。
杖を拾い上げて、衣服を再構成。
ここでなら、いくらでも融通が利く。
「もう帰るのか、マーリン」
「おっと、驚いた。まさか、まだ精力が尽きていないのかい?」
マーリンが三回も抜いて口がきける男がいるとは思わなかった。まして、最後は直接膣で精を搾ったのだ。その時点で普通の男は当分は賢者モードに突入する。一日二日で回復することはないのが常だった。
「二、三回で枯れるほど、柔じゃないってことだ」
「普通の女の子ならそうかもだけど、わたしを相手にそこまで持つなんて、びっくりだよ」
「マーリンも普通の女の子ってことなんじゃないのか?」
「曲がりなりにもわたしはグランドな大魔術師なんだけどな」
「その区分はよく分からないが、勝手に人の部屋に来て襲っていったわけだから、それなりにやり返さないとダメだろうな。曲がりなりにも俺はノワールの領主なわけだから」
マオはベッドから下りてマーリンの元に向かう。
「なるほど、確かにその通りだ。それで、どうするのかな?」
「どうもこうも、マーリンにはノワールの宮廷魔術師になってもらう。旅に出るのは、ナシだ」
「わたしを縛り付けるつもりかい? 難しいと思うよ」
「どうかな。やってみなければ分からないだろ?」
マーリンにとってマオは高濃度の栄養源だ。そういう意味では、彼との関係は有意義ではあるが、必要条件ではない。別にマオ個人に依存しなくとも、マーリンの栄養源には事欠かない。この世界の人間も元の世界の人間も、大きな差異はないのだから。
「……何を考えているか分からないけれど、意味がないよ。君にわたしを捕えることはできないさ」
「それこそ、やってみなければ分からないってヤツだ。一応、マーリンのことは勉強してるんだ。例えば、君が夢魔の血を引く半魔で、他人の夢に入り込むことができるとか、夢だと気づかれると途端に無力化してしまうとかな」
「ッ……!」
マーリンの顔色が変わる。
そう、ここはマオの夢の世界であり、マーリンはマオの精を吸うためにここに侵入しているのだ。
夢魔は夢を支配する魔だが、夢だとバレると一気に劣勢になってしまう。下手をすると虫のように潰される。
「意地の悪い人だな。気づいていたなんて」
「勝手に人の夢に入ってくるヤツが何を言ってるんだ。マーリンの本体も俺の仲間が押さえている。チェックメイトだ」
「うく……!」
マーリンの膝から力が抜け落ちる。
纏っていた衣服もボロボロと崩れてしまう。
「君、魔術師でもないのに夢の中で自由に動けるのかい? それどころか、わたしに干渉まで」
「俺一人だとまだまだだけどな。手伝ってもらえば、これくらいは何とかできる」
「そうか、アトラス院の……!」
アトラス院出身の錬金術師がマオの傍に控えている。
魔術回路が少なくても、アトラス院の魔術礼装は機能する。それに、今回は全面的にシオンもバックについている。擬似的な分割思考でマーリンが侵入した夢を切り取り、精神の牢獄とするくらいは造作もない。
「なるほど、最初から罠だったって訳だ。してやられたよ。降参だ」
「口先だけの降参を頭っから信じるほどバカじゃないぞ。それに、敗軍の将の末路っていうのは、いつも似たり寄ったりだ」
「どうぞ、ご随意に」
マーリンは両手を挙げて降参のポーズ。
勝算があるわけではないが、マーリンにとっては面白いか否かがすべてだ。勝ち負けにこだわるつもりはないし、マオの相手をするだけならば立場がどうあれ、結果は同じだ。
罠に填められたのは業腹だが、適当にマオの相手をして抜け出す機を窺う。それだけでいい。
「それじゃあ、好きにさせてもらう」
マオがそう言うや、マーリンの足下の影が揺らめき太いロープのようなものが両手に巻き付いた。
「は……なッ」
それは巨大なヒトデのような形をした魔物だ。太い触手がマーリンの細い腕や腰、太ももにつぎつぎと絡みついて締め付ける。
「ぐ……こ、れは、ずいぶんと悪趣味じゃないか」
「海魔というらしい。立香の記憶から使えそうな怪物をピックアップしたものなんだが、マーリンも似たような世界から来たようだし、知ってるかな。なかなかの再現度だろう? ミコトに式神として再現させたヤツで試したら、立香は大喜びしたもんだが、マーリンはどうかな」
「ん……く……あ……まさか、こんなことまでするとは……ん、ぐ、ぅぅぅ!」
海魔の触手がマーリンのマンコに押し入った。ぬちゃりと粘液を滴らせる触手は一つではない。マーリンの顔を舐めるように触手が這い、乳房に巻き付き、尻を撫でる。本物ではなく夢の産物だ。マオが自分の夢の中で作った怪物。本来、マーリンが使役する類の使い魔だ。マーリンが素人の使い魔に遅れを取るはずがないのだが、
(何が起こっているんだ? どうして、魔術が使えない……?)
「ふぐ……んふ……あ……んぶッんんぅ♡」
締め上げられるマーリンは杖を取り落とす。マンコを突き上げられながら、口内に侵入してきた触手の相手もしなければならない。
夢の世界だというのに息が苦しい。
(これは、不味いぞ。このままだと、わたしを保てない!)
生存本能が警鐘を鳴らす。
マーリンは他人の感情に寄生し、それを摂取することで自我を維持する。マオの夢に閉じ込められた挙げ句、自我を持たない夢の怪物ばかりが相手となると、栄養が足りなくなる。
「んぶ……んん……んふう……んッ、んん……んはッ、はあ、待って、領主様、取引をしようじゃないか」
「取引?」
「わたしの魔術の知識を領主様に役立てよう。宮廷魔術師の任も引き受ける。わざわざ、こんなことをしなくても、十分役に立つことを保証しよう」
「まあ、君が宮廷魔術師になってくれるのなら万々歳だ。ますますノワールが発展すること、間違いなしだからな」
「そうだろう?」
「マーリンは今日からノワールの宮廷魔術師だ。そういうわけだから、しばらくはそのまま俺を楽しませてくれ」
「ま、待て待て、それは話が違うぞ。わたしは……んぉ♡」
なおも食い下がるマーリンの尻穴に触手がめり込む。マンコの中に入っている触手も負けじと脈打ち、さらに残る穴にも触手が侵入を試みる。口を固く閉ざすマーリンではあるが、もはや力で敵う状況ではなく、あっけなく口内への侵入を許した。
「んぐぅ……んんんッ、んあッ、んおッ、んじゅる、んふぅあ♡」
前も後ろも口の中までもおぞましい海魔に犯されるマーリン。
それを眺めているマオのペニスも膨れ上がった。
マーリンの夢魔の力は今、完全に封じられている。マオの力がマーリンという大魔術師すらも抑え込んだのだ。
今のマーリンは非力な少女と同じだけの存在だ。それどころか、絶頂するごとに魔力と感情をすり減らし、抵抗する意欲を削がれていく。マーリンが危惧するとおり、栄養補給をしなければ、マーリンは自己を維持することすらもできないのだ。
それこそがマオの狙い。
マーリンを極度の飢餓状態に置いて、マオのこと以外は考えられない肉人形に作り替える。
「ん、ん、ん、ん――――んふううぅぅ♡」
マーリンが背中を反らしてイッた。
力を封じられて性欲を制御できないマーリンは、海魔の猛攻に耐えられずあっけなく絶頂する。
絶望という感情がマーリンにあるかどうかはマオには分からないが、能力を封じられた彼女は今まで経験したことのない無力さの中で快感を味わわされているのであった。