異世界ヒロインが召喚される世界で好き勝手する話 作:もう万体
愛歌を捕えたマーリンは、すぐに緊張を解かず念入りに愛歌に封印処置を施した。愛歌にマオの力が通じるのは、千里眼でもノワールを見通せないことから確信していたが、そうはいっても根源の姫である。この世界に迷い込んだ時点で性能が低下しているのか、絶対性に陰りこそあるものの、それでもマーリンをして勝敗を競うような相手ではないと断じるしかないほどの規格外だ。
そんな彼女すら抑え込めるマオの能力がどれほど突出しているのか、言葉で表現するのも難しい。元の世界風に言うのなら、まさにマオの能力は抑止力の顕現とでも言えるだろうか。その理不尽さには呆れて口を閉ざすしかない。
ともかく、あの沙条愛歌を捕えることができたのは、大きな収穫だ。今回のこの小競り合いにあっては、愛歌はお手伝いという程度の関わりに止めるつもりだっただろう。あくまでも、ノワールとイステネブルの争いなのだから、鎧の町としてはイステネブルの面目が立てばよいという程度だったはずである。まさか、愛歌が敗れて虜囚となるなど、想像もしていないだろう。
鎧の町は愛歌に依存し、愛歌の存在そのものを糧に成長してきた。それが失われれば、まさに土台から崩れるしかない。
もちろん、ノワールからすれば、すでに鎧の町は敵国として認知されているわけなので、今後仲良くする理由はない。
マーリンは、愛歌をそのまま地下収容所に送った。
立香やマシュが収容されていた調教施設である。
愛歌は危険だが、マオの力があれば制御可能だ。となれば、根源接続者の力を有効活用しない手はない。
気絶していた愛歌が目覚めたのは、マーリンに敗れてから丸一日後のことだった。これは愛歌を搬送するのにそれだけの時間を要していて、眠りの魔術を解くタイミングがなかったためだ。
「ここは……?」
全身を包む倦怠感。頭が上手く働かない。眠りすぎて調子が狂っている。今までの愛歌にはなかった身体の反応に戸惑いつつ、部屋の中に視線を巡らせる。
真っ白で清潔感のある部屋である。
愛歌はその片隅に置かれたベッドの上に寝かされているのだ。
「ん、う……手錠。そう、わたしは捕まったのね」
マーリンが放った使い魔に敵わず取り押さえられたのを思い出した。身体に痛みはないので、乱暴はされなかったのだろう。手首には桜色の魔力で構成された手錠が掛けられている。試しに魔術を使ってみようとしたがうんともすんとも言わない。
魔術は疎か魔力を扱うこともできないので、愛歌は年相応の少女とまったく変わらないところまで力を削がれてしまった。今となっては、魔術を使えない状況を作っているのがこの手錠によるものなのかも解析できない始末だ。
(情けない話ね。この手錠を構成しているものが、魔術なのかそれ以外の何かなのかも分からないなんて)
愛歌に、この状況を打破する手はない。そもそもの筋力人並みなのだから、どうしようもない。
「お姫様、お目覚めのようだね」
「あら、マーリン。お姫様というくらいなら、もう少し丁重に扱って欲しいのだけど?」
「そんなことを言ってもね、いちおう、君はマスターを狙った敵国の将軍みたいなものだしね。むしろ、扱いはいいほうだよ」
「それも、そうね」
と、愛歌はあっさりと状況を受け入れた。
「ちなみに逃げようと思ってもダメだよ」
「言われなくても分かっているわ。それに、こんなの填められてたんじゃ、どのみち逃げられないでしょう?」
愛歌は手錠をマーリンに見せる。
魔力の手錠は、物理的にはどこにも繋がっていない。愛歌は両手を自由に使えないものの、部屋の中を自由に動き回ることはできる。それでも脱出できないのは、今の愛歌に魔術に抵抗する手段がないからだ。それに、手錠にも逃亡防止の機構がいくつも備わっている。
「それで、マーリン。わたし、これからどうなってしまうのかしら?」
「それは、もちろんボクと一緒にノワールの宮廷魔術師をすることになるんじゃないかな」
「引き受けられないと思うけど」
「ボクも初めはそんな感じだったけど、すぐに考えを改めるよ。ボクのマスターはすごいからね。きっと、君も気に入ると思う」
「あなたがそこまで入れ込むなんて、本当に意外だわ」
「どうしようもないものはあるのさ」
大仰に肩を竦めてみせるマーリン。
人の心など微塵も解さない女魔術師が、ここまで心を許す相手がこの世に存在すること自体、愛歌には信じがたいことだった。
愛歌を見つめるマーリンの瞳が紅く輝いたような気がした。
「ところで、彼が来るまで少し時間があるし、下準備だけ先に進めてしまってもいいよねぇ」
マーリンは白いローブを脱ぎ捨てる。
花のような香りがふわりと室内に広がる。
裸になったマーリンは愛歌が横たわるベッドの上に乗った。
「どういうつもり?」
「どうもこうも、魔力の補給だよ。ボクは夢魔だからね。マスター以外から吸精は、基本的に禁止なんだけど、例外があるんだ。例えば、女の子からだったら、見逃してもらえるんだよね」
「な、え……何を言っているのかしら。同性でそんなこと……!」
「怖がらなくても大丈夫。ボクは夢魔だからね。初めてでも、しっかり気持ちよくしてあげられるよ」
愛歌は初めて貞操の危機を感じ、身体を捩って逃げようとした。しかし、両足は萎えたように動かない。マーリンの拘束術式が愛歌の自由を奪ったのだ。
マーリンは愛歌の貫頭衣の裾に手を掛け、めくり上げる。
「あ、手錠が邪魔で脱がせられないか。じゃ、とりあえず切っちゃうか」
「ま、マーリン、ダメよ。いけないわ、だって、こんなの」
愛歌の抗議を無視してマーリンは貫頭衣の前を切り開く。愛歌の愛らしく柔らかそうな乳房が露わになった。
「ひう」
「怖いかな、それとも興味がある?」
「知ら、ない」
「だろうね。何せ、今の君は何も分からないんだから」
「……んく」
愛歌の上にのし掛かったマーリンは、愛歌の頬を撫でる。珠玉を愛でるように、愛歌の肌に指を這わせる。
「根源接続者は、ほぼ万能に近い。その権限は魔力量に左右されるとはいえ、性能自体は神霊級。生まれる前から世界の真理を知り尽くしている。だからこそ、普通は生まれてくる無意味さに絶望して死産するっていうから、そもそも君はイレギュラーな存在だ」
「あ……ん」
マーリンは愛歌の首を甘噛みする。その刺激だけで愛歌はぞくぞくとした高ぶりを感じてしまう。
「君とボクはよく似ているよ。他人の感情に寄生して、感情を燃料にしないと人間的な理性を維持できないボクとそもそも完成しているが故に感情を必要としない君。けど、ボクらはお互いに幸せだよ。マスターは、そんなボクらを普通の女にしてくれる」
愛歌の人生は大半が乾燥しきっていた。
生まれる前からこの世が無価値だと断定していた。それでも生まれてきたのは、死ぬことにすら意味がなかったからである。世界のすべては手の平の上で、世界のすべては記号以上のものではなかった。父も妹もいたが、所謂家族愛というものは終ぞ感じることがなく、友情も愛情も無縁であった。
愛歌は神の視点で世界を俯瞰する。完璧に近い存在なので、人間への共感能力は欠如していた。当然、自分の願望もない。そのため、愛歌は他者の願望に応える形で自分の機能を使用していた。よき娘、よき魔術師、よき姉、よき友人と求めに応じて仮面を付け替えた。「こう振る舞うのが求められる反応だ」ということを学習して繰り返すという空虚な半生である。面白いともつまらないとも感じない。本質的に、愛歌は人の形をした人形であり願望器であった。この世界に来てからもそれは変わらない。最初に愛歌を拾ったウィリアムの望みに応え、自らの力を振るっただけだ。その願いを受諾して、実行する。その繰り返しであった。
すべてを識るからこそ、この世に期待も何もなかった愛歌。
しかし、今、愛歌は生まれて初めてのパニックを味わっていた。
ぞくり、とする感覚。背筋を這う甘い痺れ。マーリンの蠱惑的な舌使いで乳首を舐められているのだ。さらに、マーリンは愛歌の乳首を咥えながら、太ももを撫で、下腹部を擦る。柔らかな指の感触が、愛歌の肌に熱を宿す。
それも、経験したことのない感覚だ。
「どうだい、愛歌。こんな感覚、識らなかっただろう? 知識としては、持っていても、実感を伴うのは初めてじゃないかな?」
「ん……ふ……ん……どうして、あなたがこんなこと」
「根源の姫から質問なんて光栄だよ。れろれろ、君の乳首は桜の蕾みみたいで可愛いね、ちゅ」
「んぁッ、んッ、ふうッ」
「敏感だ。ああ、せっかくの質問だから答えるよ。単に、デザートが欲しかっただけ。ボクはほら、夢魔だからね。普段の君に手を出したら、ボクのほうが持って行かれるだろうけど、今の君は無力だ。だったら、食べないともったいないじゃないか」
「わたしの魔力を……?」
「ああ、最高のデザートだよ。ふふ、こんなに乳首がコリコリに固くなってる。君もすっかり感じているんだね」
「そんなはずないわ。だって、わたし、こんなこと……ん、あッ、抓らないで」
「初めてで戸惑っているみたいだけど、大丈夫。すぐに、実感できるよ。ボクたちの身体が何のためにあるのか……ここの使い方もね」
「ま、マーリン、何をしているの? そんなところ、見ないで……」
愛歌の股を開いたマーリンは、まじまじと若い花弁を眺める。汚れのない桃色の肉弁は、マーリンの愛撫によって充血し、しっとりと濡れている。
愛歌の特異性は根源に接続しているという一点にある。肉体そのものは、普通の少女と変わりない。神の如き力を失った愛歌の身体は、ごく普通に肉欲を感じるのである。
マーリンは舌をクリトリスに伸ばす。
今まで弄ったことすらない肉芽をチロチロと舐めると、愛歌の反応は明白だった。
「んぃ……あ、ぃ、ひぃん♡」
びくん、びくん、と筋肉を痙攣させる愛歌。
「一思いにイカせたりはしないよ。たっぷりと初めての感覚を愉しんでくれ」
「やッ……あッ、ダメ、そんなところ、舐めないで。汚いのに……ひゃんッ、ぁ……ん……ん……はぁッ」
「れろ……れろ……さすがの根源の姫も、すっかり女の子だね。ほら、こんなに濡れてきてる」
「いや、そんな、恥ずかしい。言わないで、あッ」
「どうだい、ここを舐められると、気持ちイイだろう? クリトリスは、一番敏感な場所だからねぇ」
「ひゃッ、あッ、ああッ、あッ」
舌先がクリトリスを愛撫する。ぞりぞりとマーリンの舌のざらざらが舐め上げて敏感なクリトリスがさらに敏感になる。愛歌は腰をひくつかせ、与えられる刺激から身体を守ろうとしているが、自由は失われ、一方的にマーリンに魔力を吸われ続けるしかなかった。
(何が起こっているの? マーリンに舐められて、わたしの身体がどんどん熱くなっている?)
理解不能な感覚に愛歌は戸惑う。
性欲そのものが愛歌には縁がなかったのだ。肉体の感覚のすべてが他人事だった愛歌にとって、マーリンが与えるすべての感覚が未知。当然、耐性はまったくない。
マーリンの舌が、クリトリスからマンコに狙いを変える。すでに愛歌の割れ目からは透明な液体が零れていて、マーリンは割れ目に沿って舌を這わせてこれを舐め取る。
「あ、はぁん♡」
甘い痺れとも言うべき感覚が下腹部から脳に届く。
「んッ、んッ、んッ、ふう……あッ、んッ、んんッ、あッ、あん♡ んあッ、あッ、マーリン、んッ、いや、もうッ、変、これ、何か、あ、ん、んん、どうして、声、勝手に」
「それが気持ちイイってことさ。人間の女の子なら誰だってこうなるんだ。素直に身体の声に耳を傾けてみなよ。もっともっと、大きな声で喘ぎたくないかい? もっと、ここを擦って、弄り回して欲しいんじゃないかい?」
「そんなこと、思ってないわ」
「ふふふ、それでも身体はどんどん素直になっていくよ。ほら、もうびしょびしょ。美味しい魔力がたっぷりだ。れろぉ、ちゅ、じゅるる」
「ひッ、い、んひぃ!」
「れろれろれろ、じゅるる、じゅるるるる」
「ひん♡ あッ、あッ、そんな吸わないでッ、あッ、あッ、ああッ」
「れろれろれろれろれろれろ、ちゅ、ちゅ……れろぉ、クリトリスも扱いてあげるよ、ほら、れろれろ」
「あッ、ああッ、ダメ、マーリンッ、あ、熱いッ、舌、マーリンの……ひぃん♡ あッ、熱い、熱いのッ、お腹が熱くて、あッ、あッ」
愛歌の膣内に舌を押し込み、愛液を吸うマーリン。極上の魔力を味わいながら、愛歌の身体にも目を光らせる。
人並みの快楽ですら今の愛歌には毒になる。
何せ、愛歌は正真正銘の無垢かつ無知。欲望をまったく感じない全能神が、唐突に人間に堕ちたのだ。人間の欲望は純真無垢な神にとって猛毒に等しく、愛歌は未知の快感に振り回されている。
初めての相手が、マーリンというのも愛歌には悪かった。
マーリンにとって、処女を堕落させるなど容易い。並みの人間以下の耐性しかない今の愛歌の性欲など、自由自在にいじり回せるというものだ。
愛歌の絶頂が近い。
愛歌はオーガズムを知識で識るが実感を伴う経験があるわけではないく、登ってくる感覚の正体が分からないまま腰をガクガクを震わせている。
愛歌の視界が真っ白になる。
身体の感覚が愛歌の意思を飛び越えていく。
その瞬間、マーリンは舌を離した。
「ん――――ふあ」
飛び込み台から飛びだそうという一歩手前で足踏みしたような感覚。
明らかなオーガズムの気配に身体が暴発しそうだ。
無意識下の苛立ちと恐怖、そして失望が愛歌の心を揺さぶる。
「ふふふ、簡単にはイカせないよ」
マーリンは舌舐めずりをして愛歌の膣に指を入れた。
「ま、マーリン……ッ」
愛歌は唇を噛んだ。
今やマーリンに身体の支配権を奪われている。それを苦しいと思ったのは初めてだ。何もかもを受け入れるはずの愛歌に黒い感情が芽吹く。しかし、それも、すぐに吹き飛ぶ。マーリンの指がGスポットを探り当てる。
マーリンの人差し指が膣内の気持ちイイ場所を確実にひっかく。ぞくりと背筋が泡立ち、頭が沸騰する。
「あッ、ぃ……ひぃん♡」
はしたなく腰が跳ねる。
マーリンの指の動きに合わせて、勝手に腰が動いてしまう。
くちゅくちゅくちゅくちゅ、とはしたない音を響かせて、愛歌の膣が涎を垂らす。掻き出された愛液がシーツに染みを作り、愛歌の下半身が絶えず痙攣を繰り返す。膣肉はマーリンの指に吸い付いて、膣奥に引き込もうと躍起になっている。愛歌の意思は関係なく、身体は快楽を求めて動いている。
「あ、ああ、いや、何か来る。大きい、何か、あ、あ、ああッ」
「おっと、危ない危ない。イクところだったねぇ」
「あ――――ッ」
マーリンの技巧は隔絶している。性経験皆無の愛歌に対して豊富な知識と経験を持つマーリン。まして、マーリンは夢魔の血を引くこの道の専門家だ。絶頂のコントロールなど息をするのと大差ない。
マーリンは愛歌がイク寸前で指を止めた。
後一押しでオーガズムに達するというところで、また足踏みだ。
未知の快感と未知の不快感。
欲しい物が手に入らない不条理を愛歌は初めて経験している。
(あと少しで……)
と、愛歌は歯がみする。
あと少しで何が来るのか、分かっているわけではない。しかし、肉体が欲しがっているのを感じている。そして、その欲望が愛歌の理性を超えて襲いかかってきていて、制御ができないのだ。
「ふう……ふう……ふ、く……んふ……はあ……んッ」
少し落ち着いたところで、マーリンの愛撫が再開する。
途端に下腹部の疼きが強くなる。
マーリンは、指で愛歌のマンコを解しながら乳首を舐めたり噛んだりしている。時折感じる痛みすら、身体の熱を昂ぶらせるだけだ。
「どうかな、愛歌。気持ちイイものは気持ちイイと認めて楽になったほうがいいよ」
「ん……ん! はあ……んッ!」
愛歌はそっぽを向いてマーリンに取り合わない。口を開くと喘いでしまう。少し前の愛歌ならば、マーリンの要求をあっさりと呑んだかもしれない。願望器の性質を失ったからこそ、マーリンの要求を理屈抜きで拒否できた。マーリンに従ってはいけないと、理解していたからである。
少しずつ人間的反応を見せ始めた愛歌にマーリンは喜ばしい感情を抱いた。
だから、もっともっと虐めてみたくなった。いじらしく快楽を堪える少女がどこまで持ちこたえられるのか、かつて根源の姫として君臨した元全能の少女がどこまで堕落していくのか見届けてみたい。
と、思えばマーリンの行動は早い。
愛歌のマンコのすぐ上に、マーリンは舌を伸ばした。
舌の動きがそれまでと全く異なるものであると、愛歌はすぐに分かった。味わうための動きではなく、愛歌を感じさせるための動きでもない。何か、模様を描いている。
「何をしているの?」
「ちょっとしたお呪いだよ。君がどうしても快感を認めないっていうから、その望みを叶えてあげようと思ってね」
「え……?」
愛歌の下腹部にマーリンが描いたのは、左右対称の紋様だ。ハートに翼が付いたような形状だ。
「これは、何? 何なの?」
「何だと思う?」
(分からない、分からないわ。わたしに何をしたの、マーリン!)
すべてを見通す目も万能の魔術も失った愛歌は、マーリンが描いた紋様が何を意味するのか読み解けない。魔力の有無も分からず、これがそもそも魔術なのかも分からなかった。
(分からない。分からない。どうなるの? これから、何が起こるの?)
パニックである。
分からないという恐怖。
ほぼすべての人間が子どもの時から当たり前のように付き合ってきた感性が、愛歌を打ちのめす。この恐怖に抗う唯一の手段『経験』を愛歌は持たない。
喉が干上がり、身が竦み、頭が真っ白になる。
「別にこれは君に危害を加えるものじゃないよ。効果はシンプルなのが二つだけ。一つは、快感の減衰防止」
「快感の減衰防止?」
「性的興奮を理性が抑えないようにするためさ。これで、君は我慢しようとしても、興奮を抑えることはできなくなる」
「な……」
「でも、君はそれを望まないだろう? だから、どれだけ感じてもイクのだけは勘弁してあげるよ」
「どういうこと……?」
マーリンは答えない。
(快感を我慢できなくするのに、オーガズムにはならないということ? どうして、そんな回りくどいことをするのかしら?)
マーリンの狙いは分からない。
この紋様が愛歌にどのような影響を与えるのかも、口頭で受けた説明だけでは想像できない。
「まあ、すぐに分かるよ。これも今しか経験できないことだからね」
深紅の瞳にどこか狂気を纏わせて、マーリンは笑みを浮かべた。
マーリンの舌がねっとりと愛歌のマンコを舐める。愛液をじゅるじゅると音を立てて吸い出され、猛烈な熱が全身を駆け巡る。愛歌の身体は勝手に痙攣し、昂ぶる肉欲を抑えられずに貪ってしまう。愛歌がどれほど抵抗しようとしても、マーリンから与えられる快感がそれを押し潰し、塗り潰してしまうのだ。
「じゅるるるる、れろれろれろ、じゅるるる!」
「あ……ぃ、んふう、はあ、ああ!」
「じゅる、じゅる、じゅる、じゅる、じゅる、れろれろれろ」
「ひッ、ぃッ、あッ、ふあ、はあ、あ、んあ、ああん♡」
「じゅるるるるるるる」
「あッ、あああああッ」
室内に水音と嬌声が響く。
愛歌はずっとマーリンの舌技に翻弄され続けている。汗の雫を滴らせ、快楽の熱に脳を焼かれながらベッドの上で悶えるしかない。まな板の上の鯉ですら、ここまで苦しむことはないだろう。
「ちゅぱ、ふう、おいしい。根源接続者なだけあって、魔力は極上だね」
口元を拭うマーリン。
愛歌の魔力が美味しすぎて、必要以上に吸ってしまった。愛歌は魔力の質こそ最高級なものの、量は少ないほうだ。マーリンが思いきり吸い上げてしまえば、意識を保つのも難しいほど疲弊する。この疲労すら、愛歌にとっては初めてだ。
愛歌はひくひくと痙攣を続けている。
「はあ……あ、あ、ふあ……はあ……はあ……はあ……はあ……ぁ、ぁぁぁ♡」
愛歌は茫洋とした表情を浮かべて虚空を眺めている。
猛烈な疲労と快楽で意識が飛びそうになっていた。
ずっとマーリンの愛撫を受け続けてきた。本来なら三十回は絶頂しているはずが、今に至っても一度も絶頂していない。すべて、ギリギリのところで波が引く。おまけに快感の波は引き切らない。常に絶頂の一歩手前で留まっている。
マーリンの呪いのせいで、快感を我慢することができない。その一方でオーガズムも禁じられているので、受け入れた快感を発散することもできない。
愛歌は汗と愛液を垂れ流しながら、身悶えし続けている。それ以外に何もない。
「満足、した、かしら?」
「ああ、ボクは大満足。とてもいい魔力だったよ。でも、君は全然物足りなそうだねぇ」
「だ、誰のせいで、こうなったと思っているの、かしら、あ――――ひゃあん♡」
全身が敏感になっている。愛歌はマーリンに乳首を抓られただけでイキそうになった。それでも、やはりイケないのだ。
「うく……んふう♡ はあ♡ あ、ぁう♡」
「イってみたいかい? 欲望の果てに飛び込んでみたいんじゃないかい?」
「はッ、はッ、はあッ、ん、ふぅう♡」
愛歌は首を振る。意地でもマーリンに従いたくなかった。
それから甘い快楽を与えられ続けること、一時間弱。
イキたくてもイケない苦痛と快感がトロ火のように愛歌を熱し続けている。
「はあー♡ はあー♡ ふあッ、あ、あ、ああ♡ ふうぅ♡ はあ♡ はあ♡ あん♡ ん、ぁ♡」
愛歌の目には何もう映っていない。
苦悶と快楽を交互に映し出す表情。
室内には発情したメスの臭いが充満していて噎せ返るようだ。
「イク寸前を一時間以上。普通の女の子なら、とっくの昔に発狂しているところだけど、君はどの辺りまで正気を保てたかなぁ」
「あ――――あひ♡ ああ、あ、ああ、い、イク、イク♡ あ、ああぁ……!」
マーリンが触れるだけで絶頂しかねない敏感な肌になった愛歌。それでも、イケない苦しみを何度嘆いたことだろうか。
ただの小娘にこの苦悶は耐えられない。愛歌は外部の刺激に反応を返すだけの人形に逆戻りしてしまいそうだった。
「それにしても遅いな、マスターは。あの神騎っていうのは、そんなに難物だったのかな?」
青い髪のポニーテールにした少女をマーリンは思い出す。ハルカと知り合いらしく、ハルカと激突した後に捕縛され、現在はマオの調教を受けている。
堅物そうではあったが、マオが調教に手間取るような相手とも思えない。
愛歌はイキたがっているのか、太ももを擦り合わせてもじもじとしている。愛歌の身体はいよいよ限界を迎えつつあるのだ。
「どんな感じ? イキたい? もう満足したい?」
「あ……ふ……あッ」
答えない愛歌のマンコをマーリンは穿る。
「あッあッあッ、ああ、それッ、あ、イ……あッ、ああッ」
「素直になりなよ。これ以上の我慢は身体に悪いよ」
「……ふう……あぅ、い……イキたい、わ」
「そんなにイキたいんだね」
「ふ……く……んん♡」
愛歌はついに頷いた。
肉体も精神も限界を超えていた。
快感に慣れることも許されず、イクこともできない。終わりのない拷問に愛歌の精神は耐えられない。
「じゃあ、イク方法を教えてあげよう。簡単だ。セックスをするんだ。チンポをここに入れてもらって子宮にザーメンを注いでもらうのさ。そしてマスター専用のメスになるんだ。ボクと同じようにね」
「せ、セックスですって。そんな、無理……そんな、はしたないこと……ぉ♡」
「しないとずっとこのままだよ。ボクの魔術に時間制限はないからね」
「ふッ、あッ、ずっと、このまま……は、ふうー♡ んあッ♡」
(それも無理、ずっとこのままイケない身体なんて、絶対にどうにかなってしまうわ)
未来は見えないが、マーリンの呪いを放置したままで日常生活が送れるはずがない。あっという間に狂ってしまうだろう。
マーリンの言葉が真実である保証はないが、最早他に選択肢がないのも事実である。
「セックス、するわ。……したい。ぃ、イキたいの」
「チンポ入れてぐちゃぐちゃにかき回してもらうの、想像するだけで気持ちイイよねぇ」
「チンポを入れてぐちゃぐちゃに……はあ、ぁ♡」
切ない吐息を漏らす愛歌。
想像したこともない光景を夢想して、子宮がきゅんと震える。
「セックス、セックスをして、気持ちよく……ん……はあ、マーリン、はあ、はあ」
「今までにないくらいはっきり欲を出してきたね。でも、ごめんね愛歌。仕込んだボクが言うのもあれなんだけど、ボク、女だから君とセックスはできないんだよね」
「え、あ……うん、それは……」
うっかりマーリンに求めてしまったことが恥ずかしい。愛歌は頬を朱に染めて視線を逸らす。マーリンにペニスがついていないのだから、魔術を解除する条件に該当しない。当然のことであった。
「待って、だったら、わたしはどうしたらいいの?」
「そんなの簡単だよ。ボクのマスターは男だからね。君はこれから来るマスターに誠心誠意お仕えすればいいのさ」
「マーリンのマスター。この国の領主様? あなたを籠絡したっていう」
「そう。最高に気持ちイイよ。ボクが保証するよ」
「……そんな、知らない男の人とするなんて……♡」
愛歌の背筋が震える。
恐怖ではなく期待によって、愛歌は頬を上気させた。
焦らされる苦痛からの解放の時が目の前に迫っている。そう思うだけで、愛歌はかつてないほどの悦びを感じていた。